こんにちは。
もりおか社会保険労務士事務所、社会保険労務士の川熊です。
会社から退職を勧められたものの、辞めるつもりがない場合は、退職する意思がないことを明確に伝え、その場で退職届や退職合意書に署名しないことが基本です。
退職勧奨は会社からの提案であり、労働者が応じなければならないものではありません。
ただし、退職勧奨を拒否した後に、会社から配置転換や人事評価、懲戒、解雇などの話が出てくる可能性はあります。
それぞれ別の法的なルールがあるため、退職勧奨を断ったことと、その後の人事上の対応は分けて考えることが重要です。
この記事では、退職勧奨の具体的な断り方、面談や書類への対応、拒否した後に起こり得ること、違法な退職強要への備え、相談先まで順番に整理します。
- 退職勧奨を拒否できる理由と解雇との違い
- 退職する意思がないときの具体的な伝え方
- 拒否後の配置転換・懲戒・解雇の考え方
- 退職強要に備える記録方法と公的な相談先

退職勧奨の断り方と基本対応
退職勧奨を受けたときに最初に押さえたいのは、会社から「辞めてほしい」と言われたことだけで退職が決まるわけではないという点です。
辞める意思がないのであれば、曖昧な返事を続けるより、退職しない意思を明確にしたうえで記録を残していく方が、その後の認識違いを防ぎやすくなります。
退職勧奨は拒否しても問題ない
退職勧奨は、会社が労働者に退職を勧める行為であり、解雇とは異なります。
会社から「辞めてもらえないか」「別の道を考えてほしい」と言われても、それだけで労働契約が終了するわけではありません。
厚生労働省も、退職勧奨は勧めに応じて退職することも、拒否して勤め続けることも、労働者が自由に選択できるものだとしています。
辞める意思がないのであれば、退職勧奨に応じず勤務を続けることを選択できます。
退職勧奨を受けたからといって、退職に同意する義務はありません。
「会社に辞めてほしいと言われた」という事実と、「労働契約が終了した」という事実は別のものです。
これに対して解雇は、会社が労働者の同意を得ず、一方的に労働契約を終了させるものです。
解雇については、労働契約法第16条により、客観的に合理的な理由がなく、社会通念上相当と認められない場合には無効とされます。
そのため、会社から「もう会社には置いておけない」「来月から来なくてよい」などと言われ、退職の提案なのか解雇の通知なのか判然としない場合は、まず 「これは退職勧奨ですか、それとも解雇の通知ですか」 と確認することが重要です。
退職勧奨を拒否する自由について考えるうえで参考になるのが、下関商業高校事件(最高裁昭和55年7月10日判決)です。
退職勧奨を一貫して拒否していた教諭に対し、多数回かつ長期間にわたり勧奨が続けられた事案について、退職を勧められた側が自由に意思を決定できることを前提に、任意の意思形成を妨げたり名誉感情を害したりする勧奨は不法行為となる場合があると判断されています。
重要なのは、退職勧奨そのものが直ちに違法なのではなく、 本人が自由に断れる状態が保たれているか という点です。
会社側にも退職を提案する余地はありますが、労働者側にもその提案を断る自由があります。
退職する意思がないとはっきり伝える

退職するつもりがないのであれば、最初の対応で特に重要なのは、結論を曖昧にしないことです。
私は、退職勧奨を断る場合には、理由を長く説明するよりも、まず 「退職する意思はありません」 という結論を短く伝えることをおすすめします。
伝え方の例
「退職する意思はありません。今後も勤務を続けたいと考えています。」
「今回の退職勧奨には応じません。引き続き現在の会社で勤務することを希望します。」
ここで紹介する言い方や文例は一般的な例です。実際の状況や会社とのやり取りに合わせて、言葉は調整してください。
「少し考えます」「今は何とも言えません」「家族と相談してみます」といった返答をすると、会社側から見れば、まだ退職に応じる可能性が残っているように受け取られることがあります。
その結果、再び面談が設定され、退職条件についての話が続くことも考えられます。
もちろん、実際に退職するか迷っているのであれば、すぐに結論を出す必要はありません。
その場合は「本日は回答しません。条件を確認したうえで検討します」と伝え、その場で退職への同意をしないことが大切です。
一方、すでに「辞めない」と決めているのであれば、 退職の話と、勤務上の問題に関する話を切り分ける ことも重要です。
たとえば会社から「営業成績が低い」「遅刻が多い」と指摘された場合でも、それに対して「改善すべき点があれば指導を受けて改善します。ただし、退職する意思はありません」と答えることができます。
勤務成績や業務上の問題を改善する必要があることと、そのために退職しなければならないことは同じではありません。
理由の議論に入り込んでしまうと、「では辞めるべきか」という話に戻りやすいため、退職意思の有無は明確に分けて伝えるのが実務上のポイントです。
口頭だけでなくメールでも拒否を伝える
面談で退職勧奨を断った場合は、口頭で終わらせず、メールや書面でも同じ内容を残しておくことをおすすめします。
退職勧奨が後から問題になったときには、「いつ退職勧奨を受けたか」「いつ拒否したか」「その後も勧奨が続いたか」といった時系列が重要になります。
口頭のやり取りだけでは、後になって会社と本人の認識が食い違うことがあります。
メールの文例
「○年○月○日の面談で退職のご提案をいただきましたが、私は退職する意思はありません。今後も現在の業務で勤務を続けることを希望します。退職に関する面談については、以上を私の回答といたします。」
このようなメールを送っておけば、少なくともその日時点で退職の意思がなかったことを確認しやすくなります。
実務では、 口頭で断った日にメールでも同じ内容を送る と時系列が整理しやすくなります。
送信済みメールは削除せず、可能であれば自分が確認できる形で保存しておきましょう。
会社に提出する書面であれば、提出前にコピーを取っておく方法もあります。
ここで注意したいのは、会社の機密情報や個人情報を無断で私物の端末へ持ち出すこととは区別する必要がある点です。
記録を残す場合も、社内規程や情報管理上のルールに注意してください。
また、会社側から勤務態度や業務上の問題について文書が交付された場合には、その資料も保管しておきます。
退職勧奨の問題と業務指導の問題を後から切り分けて確認するためにも、記録は時系列で整理しておくと役立ちます。
退職勧奨の面談は断ってもよい

退職勧奨を明確に断った後も、会社から何度も「もう一度話したい」と面談を求められることがあります。
すでに退職する意思がないことをはっきり伝えており、同じ退職勧奨を繰り返すことだけが目的であれば、いつまでも同じ話し合いに応じ続けなければならないとは限りません。
繰り返し面談を求められた場合の例
「退職する意思がないことはすでにお伝えしています。退職を前提とする面談については、これ以上お受けする考えはありません。」
ただし、ここは特に注意が必要です。
退職勧奨の面談と、通常の業務上の面談を混同しないでください。
たとえば、人事評価の説明、勤務上の注意や指導、業務上必要な打ち合わせ、配置転換に関する業務上の説明などまで一律に拒否すると、別の問題が生じる可能性があります。
「退職について話す面談には応じない」ということと、「上司からの面談にはすべて応じない」ということは全く異なります。
面談を求められた場合は、何を目的とする面談なのか確認してから対応しましょう。
面談に参加する場合は、日時、場所、開始・終了時刻、会社側の出席者と役職、会社から言われた内容、自分が回答した内容をできるだけその日のうちにメモしておきます。
特に、明確に拒否した後も退職の話が繰り返される場合には、面談の回数や時間、言葉の内容が重要になります。
下関商業高校事件でも、勧奨の回数や期間、言動の内容などが問題となりました。
大人数に囲まれて長時間退職を迫られる、威圧的な言動が続くなど、面談を継続することが難しい状況であれば、中断を申し出ることも検討してください。
退職届や合意書にはその場で署名しない
退職勧奨を受けた場で、退職願、退職届、退職合意書、退職確認書などへの署名を求められることがあります。
退職する意思がない、またはまだ判断できていないのであれば、その場で署名する必要はありません。
「内容を確認したいので持ち帰ります」と伝えて構いません。
書類のタイトルだけで法的な効果が一律に決まるわけではありませんが、退職願は合意による退職の申込みと評価されることがあります。
会社側の承諾権限を持つ者が承諾した後では、後から撤回することが難しくなる場合があります。
大隈鉄工所事件でも、退職願に対して承諾権限を持つ者が承諾した後の撤回が問題となっています。
「後から撤回すればよい」と考えて署名するより、納得できていない段階では提出しない方が安全です。
強迫による意思表示については、民法第96条に基づき取り消しが問題となる場合があります。
しかし、後になって「本当は辞めたくなかった」「強く迫られて書いた」と主張する場合、当時どのような状況だったかを確認する必要があります。
そのため、退職するか迷っている段階では、その場で書類を完成させるのではなく、少なくとも次の事項を確認してから判断します。
- 退職日はいつになるのか
- 退職金や上乗せ条件があるのか
- 残っている年次有給休暇をどう扱うのか
- 退職理由をどのように整理するのか
- 雇用保険の離職理由をどのように扱う予定なのか
なお、退職勧奨に応じて退職する場合の雇用保険の離職理由は、「退職届を書いたから自己都合」と単純に決まるものではなく、ハローワークが退職に至った実際の経緯などを確認して判断します。
離職票の記載や給付制限の扱いは、 退職勧奨と失業保険の会社都合・給付制限・離職票の扱い のとおり、離職理由の判定によって変わります。
退職勧奨の断り方と拒否後の対処
退職勧奨を断ると、「今後会社から何をされるのか」が最も不安になるところです。
会社が人事上の対応を行うこと自体がすべて禁止されるわけではありませんが、配置転換、評価、懲戒、解雇にはそれぞれ別の根拠と限界があります。
退職勧奨を拒否したことだけを理由に一括して考えないことが重要です。
退職勧奨を断り続けるとどうなるか
退職勧奨を断っても、それだけで雇用契約が終了するわけではありません。
原則として、それまでと同じように雇用関係は継続します。
一方、会社が退職勧奨を行った背景に、勤務成績、能力、勤務態度、職場規律上の問題などがある場合には、退職勧奨を断った後、会社が通常の人事管理へ切り替えることがあります。
たとえば、業務上の注意や指導を行う、目標を明確にする、改善状況を確認する、人事評価に反映するといった対応です。
実際の勤務状況に基づく正当な指導や評価まで、退職勧奨を断ったという理由だけで違法になるわけではありません。
このような場合に重要なのは、退職の問題とは別に、 会社から指摘された事項について事実を確認し、必要な改善には対応すること です。
退職勧奨を断った後は、「何を言われても退職に追い込むための嫌がらせだ」と決めつけるのではなく、業務上必要な指導なのか、退職させるための不当な圧力なのかを分けて記録していくことが重要です。
反対に、退職に追い込む目的で仕事を与えなくなる、本人の能力や経験とかけ離れた単純な仕事だけをさせる、長期間隔離するなどの対応は問題になる可能性があります。
厚生労働省のパワーハラスメント防止指針でも、管理職を退職させる目的で誰でもできる業務だけを行わせることや、嫌がらせのために仕事を与えないことは「過小な要求」の例として示されています。
また、意に沿わない労働者から仕事を外し、長期間別室に隔離するような行為は「人間関係からの切り離し」の例として挙げられています。
会社が退職勧奨をどの手順で進め、拒否された後にどう対応するかという 退職勧奨の進め方と拒否後の会社側の対応 は、会社側の実務の問題であり、労働者側の断り方とは別のテーマです。
拒否後の配置転換や評価には限界がある

退職勧奨を断った後に、部署異動や転勤を命じられることも考えられます。
配置転換について就業規則や労働契約上の根拠があり、会社に業務上の必要性がある場合には、会社が一定の範囲で配置転換を命じることがあります。
そのため、 退職勧奨を断った直後の異動だからという理由だけで、直ちに無効になるわけではありません。
一方、東亜ペイント事件では、配置転換について、業務上の必要性がない場合、不当な動機・目的による場合、労働者に通常甘受すべき程度を著しく超える不利益を負わせる場合などには、権利濫用が問題となるという考え方が示されています。
したがって、退職勧奨を断ったことへの報復として異動させる、退職させるために極端に不利益な勤務地や職務へ移すといった事情がある場合には、その目的や必要性が問題になる可能性があります。
人事評価についても同じです。
勤務成績や能力に基づいて通常の評価制度を適用すること自体は問題ありません。
しかし、退職勧奨を拒否したことを理由として、実際の勤務実績とは関係なく評価を下げるのであれば、その根拠を確認する必要があります。
会社から改善計画などを提示された場合には、次の点を確認しておくと整理しやすくなります。
- 何が問題と評価されているのか
- どのような基準で改善を求められているのか
- 達成期限や評価方法が明確になっているか
- 他の従業員と比べて不自然な条件になっていないか
- 会社から必要な指導や支援が行われているか
配置転換について納得できない場合でも、自己判断で命令を無視すると、配置転換の問題とは別に業務命令違反を主張される可能性があります。
まず就業規則、辞令、会社から説明された理由を確認し、疑問が大きい場合には労働局や専門家へ相談してから対応する方が安全です。
なお、出向についても、労働契約法第14条により、その必要性や対象者を選定した事情などから権利濫用と認められる場合には無効とされます。
退職勧奨の拒否だけでは懲戒できない
退職勧奨に応じなかったこと自体を理由として懲戒処分を行うことはできません。
退職勧奨を受け入れるかどうかは労働者が判断する問題だからです。
ただし、退職勧奨とは別に、無断欠勤、重大な業務命令違反、ハラスメント、会社財産の不正利用など、就業規則に定められた懲戒事由に該当する行為がある場合には、会社がその事実について懲戒処分を検討することはあります。
懲戒について労働契約法第15条は、労働者の行為の性質や態様などの事情に照らし、客観的に合理的な理由がなく、社会通念上相当と認められない場合には無効になると定めています。
つまり、会社が「懲戒」と名前を付ければ有効になるわけではありません。
就業規則上の根拠、実際に起きた事実、処分の重さなどを確認する必要があります。
「退職勧奨を断るなら懲戒処分にする」と言われた場合は注意が必要です。
退職の拒否とは別に、本当に懲戒事由となる行為が存在するのか、その行為に対する処分として相当なのかを分けて確認してください。
減給についても同様です。
退職勧奨を断ったことだけを理由に、根拠なく賃金を下げられるものではありません。
職務や役割の変更に伴う賃金変更なのか、評価制度に基づくものなのか、懲戒としての減給なのかによって確認するルールが異なります。
特に懲戒処分としての減給については、労働基準法第91条による制限があります。
個別の処分が適法かどうかは、就業規則や事実関係によって判断が変わるため、処分通知書や就業規則を確認することが重要です。
退職勧奨の後に軽微なミスを次々と問題視されるようになった場合も、感情的に反論するより、日時、指摘された内容、自分の説明、会社から受けた処分を時系列で記録しておく方が後から状況を整理しやすくなります。
退職勧奨の拒否だけでは解雇できない
退職勧奨を拒否した後、「断るなら解雇する」と言われると、不安になるのは当然です。
しかし、 退職勧奨を断ったという事実だけで解雇が正当化されるわけではありません。
解雇については労働契約法第16条が適用され、客観的に合理的な理由と社会通念上の相当性が求められます。
会社が能力不足や勤務態度などを理由に解雇を検討する場合も、「以前に退職勧奨をした」「本人が退職を断った」というだけでは足りません。
どのような問題があり、どの程度重大なのか、会社がどのような指導や改善の機会を設けたのかなど、個別の事情を確認することになります。
退職勧奨の拒否と解雇の有効性は別問題です。
会社が退職勧奨から解雇へ切り替えた場合には、今度はその解雇自体に法律上の根拠があるかを確認します。
解雇を告げられた場合には、「退職勧奨ですか、解雇ですか」という点を曖昧にしたままにしないことが重要です。
解雇であれば、解雇日、解雇理由、解雇予告の扱いなどを確認します。
労働基準法第22条では、解雇を予告された労働者が解雇理由について証明書を請求した場合のルールが定められています。
口頭で「辞めてもらう」とだけ言われた場合には、会社に解雇の意思があるのか、その理由は何なのかを書面で確認することが後の整理につながります。
なお、業務上の傷病による療養のため休業している期間などには、別途、労働基準法上の解雇制限が問題になります。
労災で休業中に退職を勧められている場合は、通常の退職勧奨だけでなく解雇制限も確認する必要があります。
労災中の退職勧奨と拒否方法・会社側の注意点 では、療養のため休業する期間とその後30日間の解雇制限(労働基準法第19条)が判断の中心になります。
違法な退職強要に備えて記録を残す

退職勧奨は、会社が退職を提案するだけで直ちに違法になるものではありません。
しかし、その方法が社会通念上相当な範囲を超え、本人の自由な意思決定を妨げるようになれば、退職強要として違法性が問題になる場合があります。
ここには、「何回なら違法」「何分を超えたら違法」といった一律の線引きがあるわけではありません。
面談の回数、期間、時間、人数、言葉の内容、労働者が拒否した後の対応などを含めて判断することになります。
たとえば、次のような事情が重なる場合には注意が必要です。
- 明確に拒否した後も短期間に何度も退職面談を行う
- 長時間にわたり退職への同意を迫る
- 大声や威圧的な言動で退職を求める
- 人格を否定するような言葉を使う
- 根拠なく解雇や懲戒をほのめかして退職を迫る
- 退職させる目的で仕事を取り上げたり隔離したりする
- 拒否への報復として不利益な取扱いをする
このような状況に備えるためには、感覚的に「ひどかった」と記録するだけではなく、具体的な事実を残しておくことが重要です。
面談ごとに残しておきたい4項目
- 面談を行った日時と場所
- 出席した人の氏名や役職
- 会社から言われた具体的な内容
- 自分がどのように回答したか
会社から受け取った退職合意書案、面談資料、配置転換の辞令、人事評価表、改善計画の資料なども保管しておきます。
メールやチャットによる連絡があれば、それらも時系列で整理します。
面談内容を録音することを考える方もいますが、録音の方法や、その後に証拠としてどのように扱われるかは具体的な事情によります。
紛争が予想される場合には、録音だけに頼らず、メール、書面、面談メモなど複数の記録を残しておくと状況を確認しやすくなります。
また、退職勧奨のやり取りによって体調を崩した場合には、必要に応じて医療機関を受診してください。
受診記録や診断書は健康管理のために重要であると同時に、後から経過を確認する資料になる場合があります。
退職勧奨の断り方に迷ったら相談する
退職勧奨を一度受けただけであれば、自分で意思を伝えて解決できるケースもあります。
一方、明確に拒否しても勧奨が続く、配置転換や懲戒をほのめかされている、すでに解雇を告げられたといった場合には、一人で判断を続けるより外部の相談窓口を利用することも検討してください。
公的な相談先として利用しやすいのが、都道府県労働局などに設置されている 総合労働相談コーナー です。
解雇、雇止め、配置転換、賃金の引下げ、いじめ・嫌がらせ、パワーハラスメントなど幅広い労働問題について相談できます。
総合労働相談コーナーでは相談のほか、事案に応じて都道府県労働局長による助言・指導や、紛争調整委員会によるあっせん制度について案内を受けることができます。
あっせんは、労働問題の専門家が当事者の間に入り、話し合いによる解決を目指す制度です。
裁判とは異なり、相手方に参加を強制する制度ではありませんが、話し合いによる解決を検討したい場合の選択肢になります。
また、個別労働関係紛争解決制度では、労働者が助言・指導を求めたことや、あっせんを申請したことを理由として、事業主が解雇その他の不利益な取扱いをすることは禁止されています。
損害賠償請求、労働審判、訴訟、退職の意思表示の取消しなどを具体的に検討する段階では、弁護士への相談が必要になる場合があります。
就業規則や労働保険・社会保険などの制度、会社側の労務管理については社会保険労務士への相談も選択肢になります。
退職勧奨を断るときの基本は、複雑ではありません。
辞める意思がないのであれば、まず 「退職する意思はありません」 とはっきり伝えます。
そのうえで、その日のうちにメールなどでも意思を残し、納得していない退職届や合意書には署名しないことが重要です。
その後、会社から配置転換、人事評価、懲戒、解雇などの対応があったとしても、一つずつ根拠を確認してください。
退職勧奨を断ったことと、業務上の指導や人事処分が適法かどうかは別々に判断する必要があります。
退職勧奨の断り方で最も大切なのは、意思を曖昧にせず、会社とのやり取りを記録しながら冷静に対応することです。
違法な退職強要かどうかは具体的な事情によって判断が変わるため、不利益な処分や解雇まで進んだ場合には、自己判断だけで対応しない方が安全です。
法律や行政制度の取扱いは、個別の事実関係や今後の法改正などによって異なる場合があります。
正確な情報は公式サイトをご確認ください。
また、具体的な退職勧奨、配置転換、懲戒、解雇などの有効性については個別判断が必要になるため、 最終的な判断は専門家にご相談ください。