雇用形態・試用期間

試用期間でクビは有効?理由と対処法を社労士が解説

こんにちは。

もりおか社会保険労務士事務所、社会保険労務士の川熊です。

試用期間でクビになることはあります。

ただし、試用期間中だからといって、会社が自由に解雇できるわけではありません。

すでに労働契約は成立しているため、解雇には客観的に合理的な理由と、社会通念上の相当性が必要です。

突然クビと言われた場合でも、まずは理由や手続き、失業保険への影響を落ち着いて確認することが大切です。

この記事では、試用期間中の解雇が認められるケース、不当解雇になりやすいケース、解雇予告や失業保険、退職届への対応まで、実務目線で整理します。

  • 試用期間中の解雇が有効になる条件
  • 不当解雇になりやすい判断ポイント
  • 解雇予告や14日ルールの考え方
  • クビと言われた後に取るべき対応

試用期間でクビは有効?理由と対処法

試用期間でクビになる理由

試用期間でクビになる理由

まずは、試用期間中の解雇が法律上どのように扱われるのかを確認します。

実務上、「試用期間だから簡単に辞めさせられる」と誤解されていることがありますが、これは正確ではありません。

試用期間は、会社が労働者の能力や適性を見極める期間ではあります。

ただし、労働者側から見ると、すでに雇用契約が成立している状態です。

そのため、会社が本採用前であることだけを理由に、一方的に雇用関係を終わらせることはできません。

この章では、試用期間でクビになる場合に、どのような理由が問題になるのか、そしてどのような理由では足りないのかを整理します。

従業員側にとっては自分のケースを冷静に見る材料になりますし、会社側にとっても安易な判断を避けるための確認ポイントになります。

試用期間の解雇はよっぽどか

試用期間の解雇はよっぽどか

試用期間でクビになるのはよっぽどのことなのか、という相談は実際によくあります。

結論としては、 よっぽどでないと難しいという感覚は、おおむね間違っていません

ただし、ここでいうよっぽどとは、感情的に重大そうに見えるかどうかではなく、法律上・実務上、解雇を正当化できるほどの事情があるかどうかを意味します。

試用期間中の雇用契約は、一般に解約権留保付労働契約と説明されます。

これは、会社が採用後に能力や適性を確認し、一定の場合に解約できる余地を残している契約という意味です。

まだ本採用前だから、通常の正社員よりも会社側の判断が少し広く認められる余地はあります。

しかし、それでもすでに労働契約は成立しています。

そのため、会社が「試用期間だから」「うちには合わないから」という一言だけで雇用を終了させることは、かなり慎重に見る必要があります。

労働契約法では、解雇が有効となるために、客観的に合理的な理由があり、社会通念上相当であることが求められます。

解雇の基本的な考え方については、 e-Gov法令検索「労働契約法」 に規定があります。

試用期間中でも、会社との労働契約は成立しています。

そのため、なんとなく合わない、職場の雰囲気に合わない、少し期待と違ったという程度では、解雇が有効と認められにくいです。

私が労務相談で確認する場合も、最初に見るのは「会社がどのような理由を示しているか」と「その理由を裏付ける記録があるか」です。

たとえば、注意指導の記録、業務上のミスの内容、面談の履歴、本人に改善を促した経緯などがあるかどうかです。

感覚的な不満だけでは、解雇理由として弱いことが多いです。

よっぽどかどうかを見る実務上の視点

実務では、試用期間の解雇について、単にミスがあったかどうかだけで判断しません。

採用時にどのような能力を期待していたのか、入社後にどのような業務を任せたのか、会社がどの程度教えたのか、本人に改善の見込みがあるのかを総合的に見ます。

特に未経験者や新卒者の場合、短期間で判断するほど会社側に丁寧な説明が必要になることがあります。

一方で、重大な経歴詐称、無断欠勤の繰り返し、職場内での暴言やハラスメント、業務に必要な基本的対応がまったくできず改善も難しい場合などは、試用期間中の解雇理由として検討されることがあります。

つまり、試用期間でクビは絶対にない、というわけでもありません。

大事なのは、会社の理由が具体的で、客観的に説明できるかどうかです。

解雇に必要な正当な理由

試用期間中の解雇で重要なのは、会社が示す理由が具体的で、業務との関係があるかどうかです。

たとえば、著しい能力不足、勤務態度の重大な問題、重大な経歴詐称、ハラスメント行為などは、事情によって解雇理由として検討されることがあります。

ただし、これらの言葉が出てきたからといって、自動的に解雇が有効になるわけではありません。

一方で、単に「期待していたほどではない」「社風に合わない」「少しミスが多い」といった抽象的な理由だけでは足りません。

特に、会社が注意や指導をしていない、改善の機会を与えていない、評価基準があいまいという場合は、解雇の有効性が問題になりやすいです。

会社が解雇理由を説明するときは、どの業務で、どのような問題があり、どの程度の影響が出たのかまで整理されている必要があります。

中小企業では、採用時の期待値と入社後の実務能力に差があることがあります。

そこまでは珍しくありません。

ただ、差があるからすぐ解雇という判断ではなく、 業務上どのような支障があり、どのような指導をして、それでも改善が難しいのか を丁寧に確認する必要があります。

ここを飛ばしてしまうと、従業員側から不当解雇だと主張されたときに、会社側の説明が苦しくなります。

正当な理由があるかどうかは、会社の主観ではなく、第三者にも説明できる事情があるかで考えます。

社長や上司が合わないと感じた、というだけではなく、客観的な事実に落とし込めるかが大切です。

正当な理由として検討されやすい例

  • 十分な指導後も基本的な業務を遂行できない
  • 無断欠勤や遅刻早退が繰り返されている
  • 採用判断に影響する重大な経歴詐称があった
  • 職場内で重大なハラスメント行為があった
  • 業務継続が著しく困難な事情がある

従業員側としては、解雇理由を口頭で聞いただけで納得する必要はありません。

会社に対して、解雇理由証明書の交付を請求し、理由を書面で確認することが重要です。

口頭の説明は、後から「言った」「言わない」になりがちです。

特に試用期間中の解雇では、会社側も急いで判断していることがあり、正式な理由が整理されていないケースも見られます。

また、理由が複数あると言われた場合は、それぞれの理由について事実関係を分けて確認しましょう。

能力不足なのか、勤務態度なのか、経歴詐称なのかで、見るべき証拠や反論の仕方が変わります。

感情的にすぐ争うのではなく、まずは会社が何を理由にしているのかを明確にすること。

ここが第一歩です。

能力不足で解雇される条件

試用期間中の解雇理由として多いのが、能力不足です。

ただし、能力不足といっても、少し作業が遅い、ミスが数回あったという程度で直ちに解雇が認められるとは限りません。

入社直後は、会社独自のルール、使用するシステム、社内の確認手順、人間関係など、覚えることが多い時期です。

最初から完璧に動けないこと自体は、通常よくあることです。

ポイントは、 業務遂行に支障が出るほど著しい能力不足なのか 、そして 会社が必要な指導や教育を行ったのか です。

未経験者や新卒者であれば、一定の育成期間が必要です。

入社直後から完璧な仕事を求めるのは、実務上も慎重に見るべきです。

会社側が教育担当を置いていなかった、マニュアルもなく口頭指示だけだった、質問できる環境がなかったという場合は、能力不足だけで片づけるのは難しいことがあります。

一方で、中途採用で即戦力として採用された場合は、求められる水準が比較的明確なことがあります。

採用時に経験職種や担当業務が具体的に示されており、その能力が明らかに不足している場合には、会社側の主張が通りやすくなることもあります。

たとえば、経理経験者として採用されたにもかかわらず基本的な仕訳処理ができない、営業管理職として採用されたのに基本的な顧客対応や報告がまったくできない、といったケースです。

能力不足を理由にする場合、会社側は評価記録、指導記録、面談記録、業務上のミスの内容などを残しているかが重要です。

従業員側も、指導を受けた内容、改善した点、業務量や教育体制に問題がなかったかを整理しておきましょう。

能力不足を判断する主な確認項目

確認項目 従業員側の確認ポイント 会社側の確認ポイント
採用時の説明 求められる経験や職務内容を聞いていたか 求人票や面接で期待水準を明示していたか
教育体制 十分な指導や引き継ぎがあったか 誰が、いつ、何を教えたか記録しているか
ミスの内容 軽微なミスか重大な支障か 業務への影響を具体的に説明できるか
改善機会 注意後に改善する時間があったか 改善目標や期限を本人に伝えていたか

能力不足は、見る人によって評価が分かれやすいテーマです。

そのため、感情的なやり取りよりも、事実を時系列で整理することが大切です。

私が相談でよく確認するのは、入社日、担当業務、指導日、注意された内容、改善した内容、解雇を告げられた日です。

この流れを見ると、会社が十分に様子を見たのか、それとも短期間で急に判断したのかが見えやすくなります。

従業員側は、自分に不利な事実を隠すよりも、どのような背景があったのかを整理するほうが大切です。

たとえば、業務量が明らかに多かった、指示が毎回変わった、前任者の引き継ぎが不十分だった、質問しても回答がなかったなどの事情があれば、それも記録に残しましょう。

能力不足と言われた場合でも、会社の教育体制や評価の仕方に問題があるケースはあります。

勤務態度不良が問題になる例

勤務態度不良が問題になる例

勤務態度の不良も、試用期間中の解雇理由として問題になりやすいものです。

たとえば、無断欠勤、度重なる遅刻や早退、業務命令への反抗、職場秩序を乱す言動などが考えられます。

職場は複数の人が協力して働く場ですから、勤務態度に重大な問題がある場合、会社が一定の対応を検討すること自体は不自然ではありません。

ただし、1回から2回の遅刻や、入社直後の軽微なミスだけで解雇が有効になるとは限りません。

勤務態度不良を理由にする場合も、注意や指導があり、それでも改善されないという経緯が重要です。

特に、会社がそれまで何も注意していなかったのに、ある日突然「態度が悪いから明日から来なくていい」と告げた場合は、解雇の相当性が問題になりやすいです。

また、会社側が「協調性がない」と言う場合でも、その中身を確認する必要があります。

単に上司と相性が悪いだけなのか、職場全体に具体的な支障が出ているのかで、評価は変わります。

たとえば、同僚に強い口調で何度も詰め寄る、指示を無視して勝手な作業を繰り返す、顧客対応で重大なトラブルを起こすといった事情がある場合と、意見を述べただけの場合では、まったく意味が違います。

勤務態度不良という言葉だけでは不十分です。

いつ、どのような行為があり、会社がどう注意し、改善の機会があったのかを確認しましょう。

勤務態度不良で見られる具体例

  • 無断欠勤があり、会社からの連絡にも応答しない
  • 遅刻や早退が繰り返され、注意後も改善しない
  • 業務上必要な報告、連絡、相談を意図的に行わない
  • 上司や同僚に対して暴言、威圧的な言動を繰り返す
  • 顧客や取引先に対して会社の信用を損なう対応をする

実務では、会社側も従業員側も「態度が悪い」「きつく言われた」という表現で止まってしまうことがあります。

しかし、そのままでは判断できません。

何月何日のどの場面で、誰に対して、どのような発言や行動があったのかを具体的にする必要があります。

メール、チャット、勤怠記録、面談メモ、注意書面などがあると、事実関係を整理しやすくなります。

従業員側としては、勤務態度を指摘されたら、まず事実を確認しましょう。

心当たりがある場合は、改善した事実を残すことも大切です。

たとえば、遅刻について注意を受けた後に改善した、報告方法を変更した、上司に確認しながら業務を進めたなどの記録です。

会社側から見た評価だけでなく、あなたが改善に向けて動いたことも判断材料になります。

本採用拒否との違い

試用期間中の解雇と、試用期間満了時の本採用拒否は、似ていますが実務上は少し分けて考えます。

どちらも結果として雇用が終了する点では同じですが、判断されるタイミングや必要とされる事情に違いがあります。

ここを混同すると、自分のケースがどの類型なのか分かりにくくなります。

試用期間の途中で解雇する場合は、期間満了を待たずに雇用関係を終わらせることになります。

そのため、より強い事情が必要になりやすいです。

たとえば、試用期間が3か月あるのに、入社2週間から1か月程度で解雇する場合、会社側はなぜ期間満了まで様子を見ることができなかったのかを説明する必要が出てきます。

重大な勤務態度不良や経歴詐称のような事情がない限り、短期間での判断は慎重に扱われます。

一方、本採用拒否は、試用期間を通じて能力や適性を確認したうえで、期間満了時に本採用しない判断をするものです。

試用期間の趣旨からすると、期間中の勤務状況を見て最終判断をすること自体は想定されています。

そのため、試用期間途中の解雇よりは認められやすい場面があります。

ただし、本採用拒否であっても自由にできるわけではありません。

本採用拒否でも、合理性と相当性は必要です。

試用期間満了というタイミングだけで有効になるわけではなく、勤務状況、指導内容、改善機会、採用時の説明などを踏まえて判断されます。

途中解雇と本採用拒否の違い

区分 タイミング 実務上の見られ方
試用期間途中の解雇 試用期間が終わる前 期間満了を待てない理由があるかが重要
本採用拒否 試用期間満了時 期間中の評価や指導の積み重ねが重要
共通点 雇用終了の判断 客観的な理由と相当性が必要

従業員側としては、会社から「本採用しない」と言われた場合でも、退職届を書く前に、会社がどのような理由で本採用拒否をしたのか確認しましょう。

書面で理由を残しておくことが、後の判断材料になります。

特に、「本採用拒否だから自己都合で退職届を書いてください」と言われるケースは注意が必要です。

会社側にとっても、本採用拒否は採用判断の延長ではあるものの、雇用契約を終了させる重い判断です。

評価シート、面談記録、注意指導の履歴、本人に伝えた改善点などが整理されていないと、後から説明が難しくなります。

労務の現場では、採用時の期待値を言語化していなかったために、試用期間満了時の判断があいまいになるケースも少なくありません。

採用時から、どの業務をどの水準で任せるのかを明確にしておくことが大切です。

試用期間でクビ後の対処法

試用期間でクビ後の対処法

ここからは、実際に試用期間でクビと言われた場合の対応を整理します。

大切なのは、すぐに退職届へサインしたり、口頭だけで話を終わらせたりしないことです。

解雇が有効かどうか、解雇予告手当が必要か、失業保険の扱いがどうなるかは、個別事情によって変わります。

焦って結論を出さず、書面と記録をもとに確認していきましょう。

この章では、不当解雇になりやすいケース、14日ルール、解雇理由証明書、失業保険、退職届への対応を順番に解説します。

相談に行く前の準備としても使える内容です。

不当解雇になりやすいケース

試用期間中でも、不当解雇になる可能性があります。

特に注意したいのは、理由が抽象的なケースです。

会社から「雰囲気に合わない」「なんとなく違う」「期待と違った」とだけ言われた場合、解雇理由としては弱い可能性があります。

業務上の具体的な問題や、改善の機会が示されていないからです。

また、入社してすぐに十分な指導もなく解雇された場合も、慎重に確認すべきです。

会社側が教育や指導をほとんどしていないのに、能力不足だけを理由にするのは、実務上リスクがあります。

特に、未経験者として採用されたのに、入社数週間で即戦力のような働きを求められた場合は、会社側の期待設定や教育体制にも問題がないか見ていく必要があります。

不当解雇になりやすいケースでは、会社の説明があいまいであることが多いです。

たとえば、解雇理由を聞いても「総合的に判断した」と言われるだけ、具体的なミスを聞いても答えてもらえない、注意された記憶がないのに「何度も注意した」と言われる、といった場面です。

このような場合は、口頭のやり取りだけで終わらせず、必ず記録を残しましょう。

  • 抽象的な理由だけで解雇された
  • 指導や注意を受けていない
  • 改善の機会がなかった
  • 軽微なミスだけを理由にされた
  • 会社都合の事情を個人の責任にされた

不当解雇かどうかは、本人の納得感だけで決まるものではありません。

会社側の理由、解雇までの経緯、証拠、就業規則、採用時の説明などを総合的に見て判断します。

まず集めたい資料

  • 雇用契約書または労働条件通知書
  • 就業規則、試用期間に関する規定
  • 求人票や採用時のメール
  • 会社からの解雇通知や面談記録
  • 業務指示、注意指導、評価に関するメールやチャット
  • 勤怠記録、給与明細、雇用保険の加入状況が分かる資料

このような事情がある場合は、解雇理由証明書、雇用契約書、就業規則、メール、チャット、面談記録を確認してください。

解雇そのものの有効性は、最終的には裁判所などで判断される領域です。

最終的な判断は専門家にご相談ください

実務では、「自分にもミスがあったから何も言えないのでは」と不安になる方もいます。

しかし、ミスが一つあったことと、解雇が有効かどうかは別問題です。

ミスの程度、会社の指導、改善可能性、他の従業員との扱いの差なども関係します。

自分を責める前に、まずは事実関係を整理することが大切です。

解雇予告の14日ルール

解雇予告の14日ルール

試用期間中の解雇で特に誤解が多いのが、解雇予告の14日ルールです。

労働基準法では、試用期間中の労働者について、雇い入れ後14日以内であれば解雇予告の規定が適用されないとされています。

ここだけを切り取って、「14日以内なら自由に解雇できる」と理解されることがありますが、それは正確ではありません。

つまり、雇い入れから14日以内であれば、30日前の解雇予告や解雇予告手当の支払いが不要となる場合があります。

一方、14日を超えて引き続き働いている場合は、原則として通常の解雇と同じように、30日前の予告または解雇予告手当が問題になります。

解雇予告の基本的な規定は、 e-Gov法令検索「労働基準法」 で確認できます。

14日以内なら何でも解雇できる、という意味ではありません。

14日ルールは解雇予告に関するルールであり、解雇理由の正当性とは別の問題です。

たとえば、入社から10日でクビと言われた場合、解雇予告手当が不要になることはあり得ます。

しかし、その解雇理由が合理的かどうかは別に確認します。

この切り分けは、相談現場でも非常に大切です。

解雇予告手当が出ないからといって、解雇そのものが必ず有効になるわけではありません。

14日ルールで確認する日数

14日を数えるときは、単に出勤日数だけを見るのではなく、雇い入れの日からの期間を確認します。

たとえば、入社日、雇用契約の開始日、実際に勤務を始めた日がずれている場合は、どの日を基準にするか確認が必要になることがあります。

会社からの説明だけで判断せず、雇用契約書や労働条件通知書の日付を見てください。

状況 解雇予告の考え方 注意点
雇い入れ後14日以内 解雇予告や予告手当が不要となる場合あり 解雇理由の合理性は別に必要
雇い入れ後14日超 原則として30日前予告または予告手当が問題 即日解雇なら不足日数分を確認
試用期間満了時 本採用拒否でも解雇に近い検討が必要 離職理由や書面の確認が重要

解雇予告手当は、30日前に予告できない場合に、不足する日数分の平均賃金を支払うという考え方です。

即日解雇なら30日分が問題になり、10日前の予告なら20日分が問題になる、というイメージです。

ただし、平均賃金の計算には細かなルールがあるため、金額は個別に確認する必要があります。

会社から「試用期間だから予告手当はありません」と言われた場合でも、入社から何日経過しているのかを確認してください。

14日を超えていれば、解雇予告や解雇予告手当の話が出てきます。

逆に14日以内であっても、解雇理由があいまいなら、不当解雇の問題は残ります。

制度の最新情報や個別計算については、正確な情報は公式サイトをご確認ください。

解雇理由証明書を請求する

試用期間でクビと言われたら、まず行うべきことの一つが、解雇理由証明書の請求です。

労働者が請求した場合、会社は退職の事由や解雇理由などについて証明書を交付する必要があります。

口頭で説明を受けただけでは、会社が正式にどの理由で解雇したのかが分からないことがあります。

口頭で「能力不足」と言われただけでは、具体的に何が問題だったのか分かりません。

解雇理由証明書を請求することで、会社がどのような理由を正式に示しているのか確認できます。

後から相談機関や専門家に相談する場合も、書面があると話がかなり進めやすくなります。

請求するときは、メールなど記録が残る方法が望ましいです。

文面は難しく考えすぎる必要はありません。

感情的な反論を書き連ねるよりも、まずは淡々と書面の交付を求めるのが実務上は扱いやすいです。

会社とのやり取りが緊張している場合ほど、短く、明確に、記録に残る形で連絡することをおすすめします。

例として、「本日告げられた解雇について、解雇理由証明書の交付をお願いいたします」と記載すれば足ります。

あわせて、解雇日、解雇予告の有無、離職票の退職理由も確認しておくとよいでしょう。

請求時に確認したい項目

  • 解雇日がいつなのか
  • 解雇理由が具体的に何なのか
  • 解雇予告があった扱いなのか
  • 解雇予告手当の支払い予定があるのか
  • 離職票の離職理由をどう記載する予定なのか

相談先に行く場合も、解雇理由証明書があると話が進みやすくなります。

会社の主張が書面で明確になるため、不当解雇かどうか、解雇予告手当が必要かどうかを検討しやすくなります。

反対に、理由が書面で示されないままだと、相談先でも「まず会社に理由を確認しましょう」という話になりやすいです。

また、解雇理由証明書に書かれた理由が、口頭で聞いた内容と違うこともあります。

たとえば、口頭では「能力不足」と言われていたのに、書面では「勤務態度不良」と書かれている場合です。

このような食い違いがある場合は、いつ、誰から、どのように説明を受けたかをメモに残してください。

後から経緯を説明する際に役立ちます。

労働基準監督署と労働局のどちらに相談すべきか迷う場合は、当事務所の 労働基準監督署と労働局の違いを問題別に解説した記事 も参考になります。

解雇予告手当の未払いのような労働基準法上の問題と、解雇の有効性を争う問題では、相談先や進め方が変わることがあります。

失業保険の受給条件

試用期間中に解雇された場合、雇用保険上は会社都合退職に近い扱いになることがあります。

ただし、実際の判断は離職票の記載内容、離職理由、雇用保険の加入期間などによって変わります。

ここは生活に直結する部分なので、会社からの説明だけで終わらせず、ハローワークで確認することが大切です。

一般的には、会社都合退職の場合、自己都合退職よりも基本手当を受けるまでの期間や受給要件で有利になることがあります。

一方で、試用期間が3か月程度の場合は、そもそも雇用保険の被保険者期間が足りず、受給できないこともあります。

短期間で退職した場合は、前職の雇用保険加入期間と通算できる可能性もあるため、離職票や雇用保険被保険者証などを整理しておきましょう。

特に注意したいのは、会社から「退職届を書いてください」と言われて自己都合退職の形になってしまうケースです。

実態としては会社から辞めるように言われたのに、書類上は自己都合退職になっていると、給付制限や受給資格の判断に影響する可能性があります。

離職票が届いたら、離職理由欄を必ず確認してください。

確認項目 見るポイント 実務上の注意
離職理由 会社都合か自己都合か 離職票の記載を確認します
加入期間 雇用保険に何か月加入したか 試用期間が短いと不足する場合があります
退職届 自己都合と読める記載がないか 提出前に内容確認が必要です
給付制限 自己都合の場合の制限 制度変更があるため最新情報を確認します

離職票が届いたら見る場所

離職票が届いたら、まず会社が記載した離職理由を確認します。

内容に納得できない場合は、ハローワークで事情を説明することができます。

会社の記載がすべてではなく、最終的にはハローワークが離職理由を判断します。

その際、解雇通知、解雇理由証明書、退職勧奨のメール、面談メモなどがあると説明しやすくなります。

退職理由は失業保険に大きく影響します。

会社から送られてきた書類をそのまま受け入れるのではなく、実態と合っているか確認しましょう。

また、雇用保険に加入していたかどうかも重要です。

週の所定労働時間や雇用見込みなどによって、そもそも雇用保険の加入対象だったかが問題になることがあります。

加入すべき働き方だったのに未加入だった可能性がある場合は、給与明細や労働条件通知書を持ってハローワークなどに相談してください。

雇用保険の給付制限や手続きは、法改正や運用変更の影響を受けることがあります。

正確な情報は公式サイトをご確認ください

また、雇用保険説明会や認定日の流れを知りたい場合は、当事務所の 雇用保険説明会の持ち物や流れを解説した記事 も参考にしてください。

退職届にサインする注意点

退職届にサインする注意点

試用期間でクビと言われた場面で、特に注意してほしいのが退職届です。

会社から「手続き上必要だから」と言われて退職届を出してしまうと、後から自己都合退職として扱われる可能性があります。

もちろん、書類を出したから必ずすべてが決まるという単純な話ではありませんが、余計な争点を増やさないためにも、署名前の確認が大切です。

本当に自分から退職したい場合は別です。

しかし、会社から一方的に辞めてほしいと言われたのであれば、退職届を書く前に内容を確認してください。

解雇なのか、退職勧奨なのか、自己都合退職なのかで、失業保険や今後の争い方が変わることがあります。

会社側は事務処理を簡単にするために退職届を求めることがありますが、従業員側にとっては大きな意味を持つ書類です。

その場で急いで署名しないことが大切です。

「持ち帰って確認します」「専門家に相談してから返答します」と伝えて、書面のコピーや文案を確認しましょう。

退職届と退職合意書の違い

退職届は、一般的に労働者が自分から退職の意思を示す書面です。

一方、退職合意書は、会社と労働者が合意して退職条件を確認する書面として使われることがあります。

どちらも内容によって意味が変わりますが、いずれにしても、署名する前に「自分から辞める内容になっていないか」「会社都合の事情が消えていないか」「未払い賃金や解雇予告手当を放棄するような文言がないか」を確認してください。

特に注意したい文言は、「一身上の都合により退職します」「今後一切異議を申し立てません」「会社に対して何ら請求しません」といったものです。

事情によっては問題ない場合もありますが、試用期間でクビと言われた場面で安易に署名するのは避けたいところです。

署名後に撤回したいと思っても、会社側が「本人が合意した」と主張する可能性があります。

会社から書類を出されたら、まず写真やコピーで控えを残し、提出期限、退職日、退職理由、金銭の支払い条件を確認しましょう。

分からない文言がある場合は、そのまま署名せず相談するのが安全です。

退職届の提出や退職理由の整理については、会社都合か自己都合かの判断にも関係します。

関連する考え方として、当事務所の 会社都合退職で確認すべき資料を解説した記事 も参考になります。

もしすでに退職届を出してしまった場合でも、すぐに諦める必要はありません。

提出時の経緯、会社からの説明、メールや録音、面談記録などによって、実態を確認できることがあります。

たとえば、会社から強い圧力があった、選択肢がないように説明された、解雇と言われた後に形式的に退職届を書かされた、といった事情です。

このあたりは、事実関係の整理がかなり重要です。

誰が、いつ、どのような言い方をしたのか。

書類はその場で渡されたのか、持ち帰りを認められたのか。

退職理由を自分で考えて書いたのか、会社から指定されたのか。

細かいようですが、後から見ると大事なポイントになります。

試用期間でクビの対処まとめ

試用期間でクビと言われると、今後の生活や再就職のことが一気に不安になると思います。

ただ、試用期間中でも、会社が自由に解雇できるわけではありません。

まずは、会社から言われたことをそのまま受け止めすぎず、解雇理由、手続き、書類、失業保険の扱いを一つずつ確認していきましょう。

まず確認すべきなのは、解雇理由が具体的か、指導や改善の機会があったか、解雇予告や解雇予告手当の扱いが適切か、離職理由が正しく処理されるかです。

特に、口頭だけで解雇を告げられた場合は、解雇理由証明書を請求し、会社の正式な理由を確認してください。

記録がないまま話を進めると、後から事実関係を説明しにくくなります。

  • 解雇理由証明書を請求する
  • メールやチャット、面談記録を保存する
  • 退職届へ安易にサインしない
  • 離職票の退職理由を確認する
  • 必要に応じて相談窓口や専門家へ相談する

相談先を選ぶ目安

相談先としては、解雇予告手当や未払い賃金など労働基準法上の問題は労働基準監督署、解雇そのものをめぐる話し合いや紛争は総合労働相談コーナー、弁護士、労働組合などが関係します。

どこに相談すべきかは、問題の内容によって変わります。

たとえば、「解雇予告手当が支払われていない」という話と、「解雇自体を無効にしたい」という話では、進め方が異なります。

相談内容 主な相談先 持参したい資料
解雇予告手当の未払い 労働基準監督署 解雇通知、給与明細、雇用契約書
解雇理由に納得できない 総合労働相談コーナー、弁護士 解雇理由証明書、面談記録、メール
会社と交渉したい 弁護士、労働組合、ユニオン 経緯メモ、就業規則、やり取りの記録
失業保険を確認したい ハローワーク 離職票、雇用保険被保険者証、本人確認書類

試用期間でクビと言われたときは、感情的に争う前に、まず書面と事実を整理しましょう。

解雇が有効かどうか、失業保険を受けられるかどうかは、個別事情によって判断が変わります。

大切な生活と権利に関わる問題ですので、最終的な判断は専門家にご相談ください。

最後に、実務家としてお伝えしたいのは、早めに動くほど選択肢が残りやすいということです。

退職届に署名した後、離職票が出た後、時間がかなり経った後でも相談できる場合はありますが、資料が散逸したり、記憶があいまいになったりします。

試用期間でクビと言われたら、まずは解雇理由を確認し、記録を残し、退職理由を安易に自己都合へ寄せないこと。

この基本を押さえるだけでも、かなり違います。

試用期間でクビと言われても、すぐにすべてを受け入れる必要はありません。

解雇理由、14日ルール、退職届、失業保険の4点を確認し、必要に応じて早めに専門家へ相談しましょう。

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