社会保険・年金

出産育児一時金の差額申請書はいつ届く?書き方と振込時期を整理

こんにちは。

もりおか社会保険労務士事務所、社会保険労務士の川熊です。

出産育児一時金の直接支払制度を利用し、実際の出産費用が一時金の支給額を下回った場合は、その差額を受け取ることができます。

協会けんぽでは、大きく分けて2つの手続きがあります。

医療機関への支払いが終わった後に協会けんぽから届く差額申請書を提出する方法と、その書類が届く前に内払金支払依頼書を提出して早めに差額を受け取る方法です。

この2つは、提出するタイミングだけでなく、添付書類の有無も異なります。

出産後は出生届や健康保険の扶養手続き、育児関係の申請なども重なりやすいため、自分はどちらの方法を使えばよいのかを最初に整理しておくとスムーズです。

特に迷いやすいのが、「差額申請書はいつ届くのか」「届くまで待たなければならないのか」「出産費用の領収書は必要なのか」「余った分は自動で振り込まれるのか」といった点です。

この記事では、協会けんぽの手続きを中心に、差額申請書がいつ届くのか、どこでもらえるのか、書き方や必要書類、差額が振り込まれるまでの流れを順番に解説します。

健康保険組合や国民健康保険では取扱いが異なることがありますので、その違いにも触れていきます。

  • 出産育児一時金の差額が発生する仕組み
  • 差額申請書と内払金支払依頼書の違い
  • 差額申請書の書き方と必要書類
  • 差額が振り込まれるまでの時期と届かない場合の対応

出産育児一時金の差額申請書とは?書き方と振込時期

出産育児一時金の差額申請書とは

まずは、なぜ出産育児一時金に差額が発生するのかを整理しておきましょう。

ポイントになるのは、出産育児一時金そのものと、医療機関へ直接支払う直接支払制度を分けて考えることです。

特に協会けんぽでは、差額を受け取る方法が1つではありません。

通常の差額申請書を待つ方法と、内払金支払依頼書を使う方法があります。

どちらを選ぶかによって手続きの時期や必要書類が変わりますので、まず制度全体の流れから確認していきます。

出産費用が50万円未満なら差額を請求

出産育児一時金は、公的医療保険の加入者が出産した場合に支給される給付です。

現行制度では、子ども1人につき 原則50万円 が基本となっています。

ただし、すべての出産について必ず50万円になるわけではありません。

産科医療補償制度の加算対象とならない出産などでは、支給額が48万8,000円となる場合があります。

また、双子などの多胎出産では、原則として出生児数に応じて出産育児一時金が支給されます。

したがって、この見出しでは分かりやすく「50万円未満」としていますが、正確には、 あなたの出産に適用される出産育児一時金の支給額より、医療機関等が請求する出産費用が少なかった場合に差額が発生する と考えてください。

直接支払制度を利用すると、出産育児一時金の全額が最初からあなたの銀行口座へ振り込まれるわけではありません。

医療機関等が本人に代わって保険者へ出産育児一時金を請求し、保険者から医療機関等へ直接支払われます。

そのため、出産時にまとまった金額をいったん自分で用意する負担を軽くできる仕組みになっています。

たとえば、出産育児一時金の支給額が50万円で、出産費用が46万円だった場合を考えてみましょう。

  • 出産育児一時金の支給額:50万円
  • 医療機関等へ支払われる額:46万円
  • 被保険者側が受け取れる差額:4万円

この4万円について、協会けんぽでは所定の差額請求手続きを行うことで受け取ることができます。

反対に、出産費用が55万円だった場合には、原則50万円までが直接支払制度によって医療機関等へ支払われ、超えた5万円を本人が窓口で負担するという考え方になります。

この場合は一時金の残額がありませんので、差額申請は発生しません。

特に注意したいのは、「50万円より安く済んだから、残った分はそのうち自動的に振り込まれるだろう」と考えて放置しないことです。

協会けんぽでは、差額を受け取るために、原則として差額申請書または内払金支払依頼書による手続きが必要です。

実務上も、ここを「自動振込」と勘違いしてしまうと、受け取れるお金を長期間そのままにしてしまう原因になります。

一方、健康保険組合では、医療機関等への支払い後に差額を自動的に登録口座へ振り込むなど、独自の運用をしているところもあります。

国民健康保険についても市区町村等によって手続きが異なりますので、協会けんぽのルールをそのまま当てはめないようにしてください。

また、直接支払制度を利用せず、退院時に出産費用を全額自分で支払った場合は考え方が変わります。

この場合は「50万円から費用を引いた残額だけを請求する」のではなく、原則として出産育児一時金そのものについて支給申請を行います。

つまり、差額申請書が問題になるのは、主に 直接支払制度を利用し、保険者から医療機関等へ支払われた金額が出産育児一時金の上限額より少なかったケース です。

制度全体の仕組みについては、厚生労働省も、直接支払制度を利用して出産費用が一時金の支給額を下回った場合には差額を受け取ることができると案内しています。

(出典:厚生労働省「出産育児一時金等について」)

出産育児一時金を含めた健康保険の現金給付の全体像については、 健康保険の給付金一覧と申請方法 でも整理しています。

帝王切開の場合は少し整理が必要です。

帝王切開など保険診療となる部分については、健康保険の療養の給付や高額療養費の対象となる場合があります。

一方、出産育児一時金も別の仕組みとして支給されます。

「帝王切開だから必ず差額が出る」「帝王切開だから差額は出ない」と一律には判断できません。

最終的には、医療機関から請求される出産費用と、適用される出産育児一時金の額を比較して判断します。

高額療養費については、 健康保険の高額療養費の仕組みと自己負担限度額 で詳しく解説しています。

差額申請書はいつ届くのか

差額申請書はいつ届くのか

協会けんぽの出産育児一時金差額申請書は、通常、出産した直後や退院直後に届く書類ではありません。

ここは「出産費用が50万円未満だったことは退院時の領収書を見れば分かるのに、なぜすぐ差額申請書が来ないのか」と疑問に感じやすいところです。

理由は、直接支払制度の処理に一定の時間が必要だからです。

差額申請書が届くまでの流れ

直接支払制度を利用した場合、まず出産した医療機関等から支払機関を通じて保険者へ請求が行われます。

その後、保険者側で請求内容を確認し、実際に医療機関等へ支払った額を確定します。

協会けんぽでは、この処理が終わった後に支給決定通知書を作成し、差額が発生している場合には差額申請に必要な書類を被保険者へ送付する流れになります。

協会けんぽの一般的な流れ

  • 出産する
  • 医療機関等が直接支払制度による請求を行う
  • 協会けんぽが請求内容を確認する
  • 協会けんぽから医療機関等へ支払う
  • 出産育児一時金の差額が確定する
  • 支給決定通知書と差額申請書が被保険者へ送付される
  • 被保険者が差額申請書を提出する
  • 審査後、指定口座へ差額が振り込まれる

協会けんぽでは、 出産後おおむね3か月後 に申請に必要な出産育児一時金差額申請書を送付する案内となっています。

ここで非常に重要なのは、「出産から3か月後に差額が振り込まれる」という意味ではないことです。

おおむね3か月後というのは、差額申請書が送付される時期の目安です。

書類が届いた後に必要事項を記入して提出し、その後に審査と振込があります。

出産後3か月は絶対的な期限ではありません。

医療機関等が請求を行うタイミングや、請求内容の確認状況などによって差額申請書の到着が前後する可能性があります。

したがって、「3か月と1日たったのに届かないから異常」という考え方ではなく、あくまで一般的な目安として考えてください。

出産から1か月や2か月程度しかたっていない段階で差額申請書が届いていない場合には、それだけで手続きに問題が起きているとは限りません。

医療機関等から協会けんぽへの請求処理の途中ということも十分考えられます。

社労士として手続きの流れを説明するときも、「退院した時点で差額が見えていること」と「協会けんぽ側で差額が正式に確定していること」は分けて考えるようにお伝えします。

一方で、出産費用の領収・明細書を見れば明らかに差額があり、「できれば早く受け取りたい」という事情もあるでしょう。

そのために用意されているのが、後ほど詳しく説明する 内払金支払依頼書 です。

差額申請書が届くまで待つ方法しかないわけではありません。

急ぐかどうかによって、申請方法を選べるということです。

差額申請書はどこでもらえるのか

協会けんぽの出産育児一時金差額申請書は、基本的には、出産前に会社の総務担当者からもらって準備しておく申請書ではありません。

直接支払制度を利用した後、医療機関等への支払額が確定し、出産育児一時金の支給額との差額があることが確認されると、 協会けんぽから支給決定通知書とともに被保険者へ送付される という流れで考えると分かりやすいです。

そのため、検索して差額申請書のPDFを探し、出産直後に自分から提出しなければならないという手続きではありません。

本人の出産と家族の出産で申請者を混同しない

特に注意したいのが、被扶養者である家族が出産したケースです。

たとえば、夫が会社員として協会けんぽの被保険者となり、妻がその健康保険の被扶養者になっている場合、妻の出産については「家族出産育児一時金」が夫の健康保険から支給されます。

出産するのは妻ですが、健康保険上の給付を受ける側は被保険者である夫です。

そのため、差額の手続きも原則として被保険者側の手続きとして進みます。

協会けんぽから差額申請書が送られてくる場合の基本

  • 本人が出産した場合:被保険者本人が申請
  • 被扶養者が出産した場合:被保険者が家族出産育児一時金の差額を申請
  • 会社が必ず申請する手続きではない

「妻が出産したのだから妻の名前で申請するのではないか」と迷うケースはありますが、被扶養者の出産では、健康保険の加入関係を基準に考えることがポイントです。

会社の総務からもらうとは限らない

会社員の場合、健康保険の手続きは何でも会社を通すイメージがあるかもしれません。

しかし、協会けんぽの健康保険給付については、本人が協会けんぽへ直接提出するものも多くあります。

差額申請書についても、会社から配布されるのを待つというより、協会けんぽから被保険者へ送付される書類を確認して手続きを進めるのが基本です。

ただし、健康保険組合の場合は会社を経由して申請する運用を採用していることがあります。

会社から独自の案内が出ている場合は、その案内も確認してください。

早く請求する場合は別の書類を使う

「差額申請書を今すぐダウンロードしたい」という場合には、実際に必要としているのが差額申請書ではなく、 内払金支払依頼書 である可能性があります。

協会けんぽの差額申請書は、支給決定後に送付される書類です。

一方、支給決定通知書が届く前に差額を請求したい場合には、健康保険出産育児一時金内払金支払依頼書を利用します。

内払金支払依頼書については、協会けんぽのWebサイトから様式を確認できるほか、電子申請も用意されています。

紙で申請する場合には、加入している協会けんぽの都道府県支部へ郵送します。

(出典:全国健康保険協会「健康保険出産育児一時金内払金支払依頼書」)

協会けんぽ以外では手続きが同じとは限りません。

健康保険組合によっては、内払金支払依頼書と差額申請書を同じ様式の中で選択する方式、自動で差額を振り込む方式、勤務先経由で申請する方式などがあります。

国民健康保険についても自治体等によって取扱いが異なります。

加入先が協会けんぽ以外の場合は、必ずその保険者の案内を確認してください。

差額申請書が届かず、紛失した可能性がある場合や、転居して住所が変わっている場合には、単にWeb上で別の様式を探すより、加入している協会けんぽ支部へ状況を伝えて確認するほうが確実です。

内払金支払依頼書との違い

内払金支払依頼書との違い

出産育児一時金の差額を調べていると、「差額申請書」と「健康保険出産育児一時金内払金支払依頼書」という2種類の書類が出てきます。

名称が大きく違うため、「別々のお金がもらえるのか」「両方出す必要があるのか」と感じるかもしれません。

しかし、協会けんぽにおいては、 どちらも同じ出産について発生した出産育児一時金の差額を受け取るための方法 です。

大きな違いは、申請できる時期と、申請時に自分で提出しなければならない資料の量です。

比較項目 差額申請書 内払金支払依頼書
利用する時期 支給決定通知後 支給決定通知前
書類の入手 協会けんぽから送付 協会けんぽWebサイト等から入手
差額の確定方法 協会けんぽ側で支払内容を確認済み 領収・明細書等をもとに確認
主な特徴 手続きが比較的簡単 差額申請書を待たずに請求できる
主な添付書類 原則不要 領収・明細書や合意文書等
向いている人 受取時期を急いでいない人 差額を早く受け取りたい人

差額申請書は「確認が終わるまで待つ」方法

差額申請書の場合、協会けんぽが医療機関等からの請求を確認し、医療機関等へ支払う金額と本人へ支払う差額を確定した後に書類が送られてきます。

つまり、申請する段階では協会けんぽ側に必要な情報がかなりそろっています。

そのため、原則として領収書や直接支払制度の合意文書を改めて添付する必要がなく、手続きがシンプルです。

内払金支払依頼書は「自分から先に動く」方法

これに対して内払金支払依頼書は、協会けんぽが通常の処理を終えて差額申請書を送る前に、本人から「差額を先に支給してください」と申し出るための手続きです。

まだ通常の差額確定処理が終わる前ですので、本人側から、直接支払制度を利用したことや実際の出産費用を確認できる書類を提出する必要があります。

したがって、 急いでいなければ差額申請書を待つほうが簡単、早く受け取りたいなら内払金支払依頼書を使う という整理でまず問題ありません。

同じ出産について、2つの手続きを重ねて行わないようにしてください。

内払金支払依頼書を提出し、すでに差額の支払いを受けた後に差額申請書が届いても、同じ差額について改めて申請する必要はありません。

「書類が届いたから提出しなければ」と機械的に出すのではなく、すでに差額を受け取っていないか確認しましょう。

会社の総務担当者が従業員から相談を受けた場合にも、「2種類の給付がある」と説明するのではなく、 同じ差額について、待って簡単に申請するか、必要書類を用意して先に請求するかの違い と説明すると分かりやすいです。

なお、健康保険組合では「内払金支払依頼書・差額申請書」のように1枚の用紙でいずれかを選ぶ様式もあります。

名称だけで判断せず、自分が加入している保険者の様式と説明を確認することが大切です。

差額を早く受け取る方法

出産費用が出産育児一時金の支給額を下回っていることが分かっており、「差額申請書が送られてくるまで数か月待つのではなく、できるだけ早く受け取りたい」という場合には、協会けんぽへ 健康保険出産育児一時金内払金支払依頼書 を提出します。

出産直後は育児用品の購入などで支出も増えやすいため、数万円の差額であっても早く受け取りたいというケースは十分あると思います。

その場合に利用を検討したい制度です。

手順1:退院時の書類を保管する

内払金支払依頼書を利用する場合、まず重要なのが医療機関等から受け取った書類を保管しておくことです。

主な書類は次の2つです。

  • 医療機関等から交付された出産費用の領収・明細書
  • 直接支払制度に係る代理契約に関する合意文書

特に「領収書は取ってあるが、明細書は処分してしまった」ということがないようにしてください。

申請では、単にいくら支払ったかだけではなく、出産費用や直接支払制度の利用状況を確認できることが重要になります。

手順2:内払金支払依頼書を作成する

協会けんぽの内払金支払依頼書に、被保険者情報、出産者の情報、出産年月日、振込先などの必要事項を記入します。

紙で申請するほか、協会けんぽでは電子申請も利用できます。

電子申請では入力漏れのチェックや処理状況の確認ができるため、自分で手続きを進める場合には選択肢になるでしょう。

手順3:必要書類を添付して提出する

紙の申請では、領収・明細書のコピーや、直接支払制度の代理契約に関する文書のコピーなどを添付して、加入している協会けんぽ支部へ提出します。

申請書に医師・助産師または市区町村長の証明を受けられず、領収・明細書にも出産年月日や出生児数など必要な情報が記載されていない場合は、出産の事実を確認できる追加書類が必要になることがあります。

この点は、「領収書さえ送ればよい」と単純化しないほうが安全です。

手順4:支払いを待つ

協会けんぽでは、内払金支払依頼書について、 審査の結果支払いが可能であれば受付日から10営業日以内に支払う と案内しています。

たとえば金曜日に提出した場合、「10日後」という暦日ではなく、土日祝日等を除いた営業日で数える点にも注意してください。

差額を早く受け取りたい場合の実務上のポイント

  • 退院時に領収・明細書を受け取ったら保管する
  • 直接支払制度の合意文書も保管する
  • 差額申請書が届く前なら内払金支払依頼書を検討する
  • 添付書類の不足がないか提出前に確認する

受付日から10営業日以内というのは、必要な確認ができ、審査の結果支払い可能な場合の取扱いです。

記載漏れ、添付書類の不足、資格関係の確認などが必要な場合は、予定より時間がかかる可能性があります。

逆に、差額を急いで受け取る必要がなく、領収書等をそろえて申請するのが負担に感じるのであれば、協会けんぽから差額申請書が届くのを待つ方法でも構いません。

早いほうが必ず正解という制度ではありません。

受取時期を優先するのか、手続きの簡単さを優先するのか で選ぶとよいかなと思います。

出産育児一時金の差額申請書の手続き

ここからは、実際に協会けんぽから差額申請書が届いた後の手続きを見ていきます。

差額申請書は、内払金支払依頼書と比べれば比較的シンプルな手続きです。

ただし、誰の情報を書くのか、振込先を誰の名義にするのか、「同一の出産について」の確認をどう考えるのかなど、迷いやすい箇所があります。

書類を見ながら悩む前に、それぞれの欄が何を確認するためのものなのかを理解しておくと、記入しやすくなります。

差額申請書の書き方と記入例

協会けんぽから出産育児一時金差額申請書が届いたら、まず印字されている内容と実際の出産内容に相違がないかを確認しましょう。

差額申請書は、何もない状態から出産育児一時金全体を申請する書類ではありません。

すでに医療機関等への支払い内容が確認された後に届くため、内払金支払依頼書よりも記入や添付書類が簡略化されています。

ただし、被保険者本人が出産した場合と、被扶養者である家族が出産した場合では、「被保険者」と「出産した人」が同じとは限りません。

ここを分けて考えるのが、記入の一番大切なポイントです。

被保険者情報を確認する

まず、被保険者の氏名、生年月日、住所、電話番号、健康保険の記号・番号などを確認します。

被保険者とは、健康保険に本人として加入している人です。

会社員である夫が被保険者、妻がその扶養に入っている場合には、妻が出産したとしても被保険者は夫です。

この場合、妻の出産について支給されるものは家族出産育児一時金となり、申請者は原則として夫になります。

「誰が出産したか」と「誰が健康保険の被保険者か」は別の項目です。

本人出産なら両者は同じですが、被扶養者の出産なら別人になります。

記入するときはこの2人を混同しないようにしましょう。

出産した人の情報を記入する

次に、実際に出産した人の氏名、生年月日、出産年月日、出生児数などを確認します。

双子などの場合には出生児数も重要です。

また、死産について出産育児一時金の支給対象となるケースでは、妊娠週数などの情報が必要になることがあります。

手元の母子健康手帳や医療機関から受け取った書類と照らし合わせながら確認するとよいでしょう。

振込先口座を確認する

差額の振込先についても確認します。

基本的には、給付を受ける被保険者本人の口座を指定する形で考えると分かりやすいです。

申請書の様式によっては、公金受取口座を利用するための選択欄などが設けられていることがあります。

過去の記入例を見て同じ欄がないからと戸惑う必要はありません。

様式は改定されることがありますので、実際に手元に届いた書類を基準に記入してください。

書き間違えやすいポイント

私が実務上特に確認したいのは、次のような点です。

  • 被扶養者の出産なのに出産者を申請者として扱っていないか
  • 被保険者の記号・番号に誤りがないか
  • 出産年月日に誤りがないか
  • 振込先の名義や口座番号に誤りがないか
  • すでに内払金支払依頼書で差額を受給していないか
  • 他の健康保険から同じ出産について給付を受けていないか

差額申請書の記入で迷ったら、「被保険者」「出産した人」「振込先」の3つを別々に確認してください。

特に家族の出産では、被保険者と出産者が別人になることを意識するだけで、かなり分かりやすくなります。

インターネット上には過去の差額申請書や記入例の画像も多数ありますが、古い様式を参考にしすぎるのはおすすめしません。

健康保険関係の申請書は、マイナンバーや公金受取口座への対応などによって様式が変更されることがあります。

手元に届いた最新版の書類と、協会けんぽが現在公開している記入方法を基準にしてください。

なお、会社の総務担当者が従業員から「ここは何を書けばいいですか」と聞かれた場合も、会社独自の判断で内容を作るのではなく、健康保険上の資格情報や協会けんぽの案内に沿って確認するのが安全です。

同一の出産について欄の書き方

同一の出産について欄の書き方

出産育児一時金に関する申請書では、「同一の出産について」、他の健康保険等から出産育児一時金を受けているかどうかを確認する趣旨の項目が設けられていることがあります。

この表現だけを見ると、「同一の出産とは何のことだろう」と迷いやすいところです。

考え方はそれほど複雑ではありません。

今回の1回の出産について、別の健康保険からすでに出産育児一時金や家族出産育児一時金を受けていないかを確認するための項目 です。

なぜ確認が必要なのか

出産育児一時金は、同じ出産について複数の保険者から重複して満額を受け取れる制度ではありません。

たとえば、出産前に退職し、その後は配偶者の健康保険の被扶養者となっているケースを考えてみましょう。

一定の要件を満たして退職後6か月以内に出産した場合には、以前自分が被保険者として加入していた健康保険から資格喪失後の出産育児一時金を受けることを選択できることがあります。

一方、出産時には配偶者の健康保険の被扶養者として家族出産育児一時金の対象となる可能性があります。

このような場合でも、同じ出産について両方から重複して受給することはできません。

「以前の健康保険から50万円、現在の健康保険からさらに50万円」という受け取り方はできません。

複数の保険者との関係が生じる場合には、どの保険者から給付を受けるのかを確認する必要があります。

夫婦それぞれの保険が関係する場合

夫婦共働きの場合には、そもそもそれぞれが別々の健康保険の被保険者であるケースがあります。

この場合、妻本人が自分の健康保険から出産育児一時金を受けるのであれば、夫の健康保険から同じ出産について家族出産育児一時金を受けるものではありません。

反対に、妻が夫の被扶養者であれば、妻自身が別の健康保険の被保険者として出産育児一時金を受ける関係には通常ありません。

つまり、「夫婦だから両方の保険からもらえる」という制度ではなく、 出産した人の資格関係を確認して、支給する保険者を特定する ことになります。

転職や退職があるときは慎重に確認する

実務上、特に慎重に確認したいのは、出産前後に退職、転職、扶養への加入などがある場合です。

「今の保険証の保険者に出せばよい」と単純に決められないケースがあります。

資格喪失後の給付の要件を満たしている場合には、以前の保険者を選択できる可能性があるためです。

一方で、資格喪失後の出産育児一時金には、以前の健康保険に一定期間継続して加入していたことなどの要件があります。

退職・転職・扶養への切替えが出産前後にある場合は、現在の保険者だけではなく、以前加入していた保険者にも状況を伝えて確認すると確実です。

その際は「退職日」「現在の資格取得日」「出産日」の3つを整理してから問い合わせると話が早く進みます。

差額申請書に「同一の出産について」という表現が出てきたら、難しく考えすぎず、「今回の出産について、別の保険からすでに給付を受けていないかを確認している」と理解するとよいでしょう。

差額申請に必要な添付書類

協会けんぽから支給決定通知書と一緒に送られてきた 出産育児一時金差額申請書を使う場合、原則として添付書類は必要ありません。

これは、協会けんぽが医療機関等からの請求内容をすでに確認し、医療機関等へ支払った額と、本来の出産育児一時金との差額を把握したうえで申請書を送っているためです。

そのため、「出産費用の領収書をなくしてしまったので、もう差額を申請できないのでは」と心配している場合でも、協会けんぽから届いた差額申請書を利用するケースであれば、領収・明細書を添付しないのが通常です。

ここが、内払金支払依頼書との大きな違いです。

申請方法 主な添付書類 理由
差額申請書 原則として不要 協会けんぽ側で医療機関等への支払内容を確認済み
内払金支払依頼書 領収・明細書、直接支払制度の合意文書など 通常の支給決定前に本人から先に請求するため

内払金支払依頼書で必要になる主な書類

差額申請書が届く前に内払金支払依頼書で請求する場合には、主に次の書類を準備します。

  • 医療機関等から交付された出産費用の領収・明細書のコピー
  • 医療機関等から交付された直接支払制度に係る代理契約に関する文書のコピー

領収・明細書では、出産費用がいくらであったかだけでなく、直接支払制度に関する必要な情報が記載されているかが確認されます。

また、直接支払制度の合意文書は、「医療機関等が本人に代わって出産育児一時金を受け取る」という契約関係を確認するための重要な資料です。

追加資料が必要になる場合もある

申請書に医師・助産師または市区町村長による必要な証明を受けられず、さらに領収・明細書にも出産年月日や出生児数などが記載されていない場合には、出生を確認できる書類などが追加で必要となることがあります。

死産の場合には、死産年月日や妊娠週数を確認できる書類が必要となることもあります。

また、健康保険の記号・番号ではなくマイナンバーを記入して紙で申請する場合など、申請方法によって本人確認書類が必要となるケースがあります。

「必要書類は必ずこの2枚だけ」とは限りません。

申請内容や書類に記載されている情報によって、追加資料を求められることがあります。

特に通常と異なる資格関係や死産等の場合は、提出前に確認しておくと安心です。

実務上の整理としては、「差額申請書まで待てば添付書類は原則不要、早く受け取るために内払金支払依頼書を使うなら自分で資料をそろえる」と考えると非常に分かりやすいです。

そのため、出産後すぐに差額を請求する予定がなくても、領収書、費用明細書、直接支払制度の合意文書はすぐに処分しないことをおすすめします。

出産育児一時金の処理が完全に終わるまでは、ひとまとめにして保管しておくとよいでしょう。

出産費用に関する書類は、後に医療費控除を検討するときにも確認が必要になる場合があります。

なお、医療費控除では出産育児一時金などで補填される金額との関係もあります。

税務上の取扱いについて判断が必要な場合は、国税庁の案内や税理士等へ確認してください。

差額はいつ振り込まれるのか

出産育児一時金の差額について、「最終的にいくら受け取れるか」と同じくらい多い疑問が、「いつ口座に入るのか」です。

ここは、 差額申請書が届くまで待つ方法と、内払金支払依頼書を使って先に請求する方法で大きく違う ため、分けて考える必要があります。

差額申請書を待つ場合

直接支払制度を利用した場合、医療機関等から保険者への請求が行われ、協会けんぽがその内容を確認して医療機関等へ支払いを行います。

その処理が終わった後、差額がある場合には、出産後おおむね3か月を目安として差額申請書が送付されます。

その後、あなたが差額申請書に必要事項を記入して提出し、協会けんぽ側で申請内容を確認した後に差額が振り込まれます。

「出産後3か月で振り込まれる」という意味ではありません。

おおむね3か月後という目安は、差額申請書が送付される時期です。

そこから申請書を提出する期間と審査期間が加わります。

たとえば、差額申請書が届いても1か月自宅に置いたままにしていれば、その分だけ振込も後になります。

差額を早めに受け取りたいのであれば、届いた書類は内容を確認し、できるだけ早めに返送することが基本です。

内払金支払依頼書を利用する場合

差額申請書の到着を待たずに内払金支払依頼書を提出した場合には、協会けんぽでは、審査の結果支払いが可能であれば 受付日から10営業日以内 に支払う取扱いが案内されています。

通常の差額申請書が出産後おおむね3か月後に届くことを考えると、必要書類がそろっている人にとっては、内払金支払依頼書のほうがかなり早く受け取れる可能性があります。

受取時期を基準に選ぶなら

  • 急いでいない:差額申請書が届くのを待つ
  • できるだけ早く受け取りたい:内払金支払依頼書を検討する

ただし、10営業日は「どのような申請でも必ず10営業日後に入金される」という保証ではありません。

記載内容に不備がある、添付書類が不足している、出産の事実や資格関係の追加確認が必要であるといった場合には、通常より時間がかかることがあります。

振込が遅いと感じたときの確認ポイント

すでに申請したにもかかわらず入金が確認できない場合には、次の点を確認してみましょう。

  • 申請書を実際に発送・送信した日
  • 協会けんぽ側の受付日
  • 指定した口座番号や名義に誤りがないか
  • 協会けんぽから照会や追加書類の依頼が来ていないか
  • 土日祝日を営業日として数えていないか

特に郵送の場合、「ポストへ投函した日」と「協会けんぽが受付した日」は同じではありません。

10営業日の起点を考える場合には、この違いにも注意してください。

なお、出産に伴って仕事を休んだ会社員本人の場合には、出産育児一時金とは別に出産手当金を受けられる可能性があります。

出産育児一時金は出産そのものに関する給付、出産手当金は産前産後休業中の所得保障という性格の違いがあります。

名称は似ていますが別制度です。

出産手当金の手続きについては、 出産手当金の申請と書き方・提出手順 で詳しく整理しています。

出産後は複数の給付や手続きが同時に動くため、「これは何のお金か」を分けて管理すると混乱しにくいですよ。

差額申請書が届かないときの対応

差額申請書が届かないときの対応

出産費用が出産育児一時金の支給額を下回っているはずなのに、差額申請書がなかなか届かない場合は、まず出産からどの程度の期間が経過しているかを確認しましょう。

協会けんぽでは、差額申請書の送付は出産後おおむね3か月後が目安です。

そのため、出産から1か月や2か月程度で届いていないからといって、直ちに手続きミスや郵便事故と判断する必要はありません。

まずは経過期間を確認する

直接支払制度では、出産後に医療機関等から請求が行われ、支払機関を通じて協会けんぽ側へ情報が届きます。

その処理が終わらなければ、協会けんぽ側も最終的な差額を確定できません。

したがって、「退院時の明細では40万円だったから差額10万円なのに、なぜ翌月に書類が来ないのか」という疑問があっても、制度上はまだ通常処理の途中である可能性があります。

3か月程度を大きく超えたら確認する

一方、出産後3か月程度を大きく超えても何も届かない場合は、そのまま待ち続けるのではなく、一度状況を確認したほうがよいでしょう。

主な確認ポイントは次のとおりです。

  • 医療機関等から保険者への請求処理が完了しているか
  • 健康保険に登録されている住所が現在の住所と一致しているか
  • 出産前後に転居していないか
  • 郵便物の転送期間が終了していないか
  • 退職や転職によって健康保険の加入先が変わっていないか
  • 出産時点の保険者を正しく把握しているか
  • すでに内払金支払依頼書で請求していないか

転居している場合

出産前後は、住宅の購入、実家への転居、配偶者との同居開始などで住所が変わることもあります。

健康保険側に登録されている情報や郵便物の送付先が旧住所のままになっていると、差額申請書が手元に届かない可能性があります。

住民票を動かしただけで健康保険関係のすべての送付先が必ず更新されるとは考えず、必要に応じて勤務先や保険者へ確認してください。

退職・転職がある場合

出産前後に退職や転職をしている場合は、さらに注意が必要です。

現在加入している健康保険と、出産育児一時金を支給する保険者が必ずしも同じとは限らないケースがあります。

特に資格喪失後の出産育児一時金を利用する場合などは、以前の保険者との関係も確認する必要があります。

差額申請書が届かないまま放置し続けるのは避けてください。

出産育児一時金を受ける権利は、原則として出産日の翌日から2年で時効になります。

「書類が届かなかったから何年後でも請求できる」という制度ではありません。

出産から相当期間がたっている場合には、「そのうち来るだろう」と待つのではなく、加入していた協会けんぽの支部などへ問い合わせるのが安全です。

届かないが早く受け取りたい場合

まだ差額申請書が届いていなくても、必要書類がそろっていれば内払金支払依頼書を利用できる場合があります。

「書類が来ないから何もできない」と考える必要はありません。

出産費用の領収・明細書と直接支払制度の合意文書を保管しているのであれば、内払金支払依頼書による先行請求を検討してください。

問い合わせるときに準備しておくとよい情報

  • 被保険者の氏名
  • 健康保険の記号・番号
  • 出産した人の氏名
  • 出産年月日
  • 出産した医療機関名
  • 出産費用のおおよその金額
  • 転職・退職・転居がある場合はその日付

協会けんぽ以外の健康保険組合や国民健康保険の場合は、自動支給や独自様式など別の取扱いが行われている可能性があります。

正確な情報は公式サイトをご確認ください。

特に退職前後の資格関係、複数の保険者が関係するケース、申請期限が迫っているケースなど、自分だけでは判断しにくい場合には、最終的な判断は専門家にご相談ください。

出産育児一時金の差額申請書まとめ

出産育児一時金の直接支払制度を利用し、実際の出産費用が適用される出産育児一時金の支給額を下回った場合には、その差額を受け取ることができます。

たとえば支給額が50万円で、医療機関等への支払額が46万円なら、差額は4万円です。

ただし、協会けんぽの場合、この差額は「余ったから自動的にすぐ振り込まれる」というものではありません。

基本的には、 差額申請書を待って申請する方法 と、 内払金支払依頼書を使って先に請求する方法 の2つから考えます。

あなたの状況 基本的な選択肢
差額の受取を急いでいない 協会けんぽから差額申請書が届くのを待つ
差額をできるだけ早く受け取りたい 内払金支払依頼書を提出する
出産後3か月程度を大きく超えても届かない 住所・資格関係を確認し、協会けんぽへ問い合わせる
健康保険組合や国保に加入している 加入先独自の手続きを確認する

差額申請書を利用する場合は、協会けんぽ側ですでに医療機関等への支払内容を確認しているため、 原則として添付書類が不要で、手続きの負担が小さい というメリットがあります。

一方、内払金支払依頼書は、差額申請書が届くのを待つ必要がないため、早く受け取りたい人に向いています。

その代わり、出産費用の領収・明細書や、直接支払制度の合意文書などを自分で準備する必要があります。

出産育児一時金の差額申請書で押さえておきたいポイント

  • 出産費用が一時金の支給額を下回れば差額が発生する
  • 協会けんぽでは差額を受け取るための申請が原則必要
  • 差額申請書は出産後おおむね3か月後に送付される
  • 3か月後は「振込時期」ではなく「書類送付時期」の目安
  • 急ぐ場合は内払金支払依頼書を利用できる
  • 内払金支払依頼書では領収・明細書などが必要
  • 差額申請書なら添付書類は原則不要
  • 同じ出産について二重に申請しない
  • 被扶養者の出産では申請者と出産者が異なることがある
  • 申請期限は原則として出産日の翌日から2年以内

実務的には、難しく考えすぎる必要はありません。

「急がなければ差額申請書を待つ。急ぐなら内払金支払依頼書を使う。」まずはこの整理を押さえておけば、手続きの方向性はかなり分かりやすくなります。

そして、差額申請書が届いたら、被保険者情報、出産した人の情報、振込先、同一の出産について他の保険者から給付を受けていないかを確認して提出します。

家族の出産の場合は、「出産した人」と「被保険者」が別人になる点を忘れないでください。

夫が被保険者で妻が被扶養者であれば、妻の出産について夫側の健康保険から家族出産育児一時金を受けるという関係になります。

また、出産前後に退職、転職、扶養への加入などがある場合は、どの保険者から支給を受けるのか確認が必要になることがあります。

出産育児一時金の金額、申請様式、電子申請の方法などは制度改正によって変更される可能性があります。

健康保険組合や国民健康保険では、協会けんぽとは異なる方法で差額を支給することもありますので、加入先を確認したうえで手続きを進めてください。

出産後は、出産育児一時金だけでなく、出産手当金、扶養の手続き、高額療養費など複数の制度が関係する場合があります。

それぞれは別の制度ですので、「出産に関係する給付」とひとまとめにせず、一つずつ対象になるかを確認していくことが大切です。

差額が発生していることに気づいたら、そのまま放置せず、差額申請書または内払金支払依頼書のどちらを利用するかを確認して手続きを進めましょう。

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