こんにちは。
もりおか社会保険労務士事務所、社会保険労務士の川熊です。
9歳未満の子どもが、弱視・斜視・先天白内障術後の屈折矯正の治療用として医師の指示により眼鏡やコンタクトレンズを作った場合、一定の要件を満たせば健康保険の療養費を受けられます。
ただし、眼鏡代がそのまま全額戻るわけではありません。
令和6年4月以降、眼鏡については40,492円が計算上の上限額とされており、実際の購入額と上限額の低い方に、原則として7割、義務教育就学前であれば8割の給付割合を掛けて支給額を計算します。
また、2本目以降の更新には年齢に応じた期間の要件があり、健康保険から療養費を受けた後に自治体の子ども医療費助成を申請できる場合もあります。
制度がいくつか重なるため、どこから、いくら戻るのかが分かりにくいところです。
特に、「眼鏡店で40,492円まで補助されると聞いたが、本当に40,492円振り込まれるのか」「2本目も対象になるのか」「健康保険の手続きが終わった後に市区町村へ何か申請するのか」という点は、実務でも整理して考えた方がよい部分です。
この記事では、小児弱視用眼鏡の療養費について、対象となる条件、上限額と実際の支給額、必要書類、2回目の更新、子ども医療費助成まで順番に整理します。
- 小児弱視用眼鏡が療養費の対象となる条件
- 上限額と実際に戻る金額の計算方法
- 申請に必要な書類と提出先
- 2回目の更新と子ども医療費助成の考え方

小児弱視用眼鏡の療養費とは
まず確認しておきたいのは、子どもの眼鏡であればすべて健康保険の対象になるわけではないという点です。
小児弱視等の治療用眼鏡については、年齢、治療目的、医師の指示など一定の条件を満たす場合に、通常の保険診療とは異なる「療養費」という仕組みで給付を受けます。
このため、眼鏡店の窓口で健康保険証を提示して最初から2割・3割だけを支払うのではなく、いったん費用を支払い、その後に健康保険へ申請するのが基本です。
さらに、購入額のすべてが計算対象になるとは限らず、支給基準となる上限額も設定されています。
ここでは、対象になるケースとならないケース、年齢要件、上限額、実際の支給額を整理します。
弱視用眼鏡が保険適用になる条件
健康保険の療養費の対象となるのは、主に 9歳未満の子どもについて、弱視、斜視、先天白内障術後の屈折矯正の治療用として使用する眼鏡またはコンタクトレンズ です。
ポイントは、単に視力が悪いため眼鏡を作るのではなく、 眼科医が治療上必要と判断し、治療用眼鏡等の作成を指示していること です。
主な対象条件
- 対象となる子どもが9歳未満である
- 弱視、斜視、先天白内障術後の屈折矯正を目的としている
- 保険医である眼科医から眼鏡等の作成指示を受けている
- 治療用として眼鏡またはコンタクトレンズを作成・購入している
ここでいう療養費は、医療機関の窓口で通常受ける「療養の給付」と少し仕組みが違います。
健康保険法では、一定の場合に療養そのものを現物給付する代わりに、被保険者が支払った費用について後から療養費を支給する仕組みが設けられています。
治療用眼鏡についても、この療養費の仕組みによって給付を受けることになります。
通常の健康保険で病院を受診すると、窓口では最初から7割または8割を健康保険が負担し、患者は自己負担分だけを支払います。
しかし、治療用眼鏡の場合は仕組みが異なります。
まず眼鏡店などで いったん眼鏡代を全額支払い、その後に加入している健康保険へ療養費を申請する という償還払いの形になります。
たとえば、眼科で弱視と診断され、医師から治療用眼鏡の作成指示書を受け取ったとしても、その作成指示書を眼鏡店へ持っていけば自動的に健康保険分が差し引かれるわけではありません。
眼鏡店ではいったん代金を支払い、領収書を受け取り、医師の作成指示書などと一緒に健康保険へ申請します。
医師の指示があることが重要
実務上、まず確認したいのは「子どもが眼鏡を使用しているか」ではなく、 何のための眼鏡なのか です。
一般的な近視などの視力矯正を目的とした眼鏡と、小児弱視等の治療のために医師が作成を指示した眼鏡では、健康保険上の取扱いが異なります。
保護者の方からすると、どちらも同じ眼鏡店で購入するため分かりにくいところですが、療養費ではこの「治療目的」が重要になります。
また、眼鏡店で視力を測り、店頭で度数を合わせて作っただけでは、小児弱視等の治療用眼鏡としての療養費申請に必要な医師の作成指示を満たしません。
申請時には、医師の眼鏡等作成指示書や、必要に応じて検査結果を提出します。
私が制度を確認するときも、「眼鏡を買った」という事実だけでは判断しません。
年齢、診断・治療目的、医師の作成指示、購入時期、初回か更新か、加入している保険者まで確認すると、対象になるかを整理しやすくなります。
「医師から眼鏡を作るよう言われたから自動的に保険が使われる」という仕組みではありません。
眼鏡店の会計時に健康保険証を提示して自己負担分だけ支払うのではなく、購入後に別途申請が必要です。
なお、小児弱視用眼鏡の療養費と、障害者総合支援法による補装具費支給制度は別の制度です。
制度名や上限額の基準に「補装具」が登場するため混同しやすいのですが、健康保険の療養費として申請する治療用眼鏡と、市区町村へ事前申請する補装具費支給制度は分けて考える必要があります。
両制度の違いについては、 治療用装具と補装具の違い で詳しく整理しています。
療養費の対象年齢は9歳未満

小児弱視等の治療用眼鏡について療養費の対象となるのは、原則として 9歳未満の子ども です。
したがって、幼児だけが対象というわけではありません。
小学校へ入学した後であっても、9歳未満であり、弱視等の治療用眼鏡として必要な要件を満たしていれば、療養費の対象となる可能性があります。
一方で、単純に「小学生だから対象」「子どもだから対象」と判断するのは適切ではありません。
小児弱視等の治療用眼鏡については、9歳未満という明確な年齢要件が設けられているためです。
9歳の誕生日直前は特に注意する
ここで注意したいのが、9歳の誕生日が近い場合です。
制度上は9歳未満が対象ですが、実務では作成指示書の日付、眼鏡を購入した日、療養費を申請する時点など、どの日付を基準に年齢を確認するかが問題になることがあります。
厚生労働省の通知では9歳未満の小児を対象として制度が設けられていますが、具体的な年齢確認や申請実務については、実際に給付を行う保険者へ確認しておいた方が安全です。
特に作成指示書を受け取った日と眼鏡を購入する日が離れているケースでは、この点が重要になります。
9歳の誕生日が近い場合は、眼鏡を作る前に確認してください。
年齢判定の具体的な取扱いは加入している保険者によって確認が必要です。
眼科で作成指示書を受け取った時点では9歳未満でも、購入日などが9歳の誕生日後になることで支給に影響する可能性があります。
たとえば、8歳11か月の時点で眼科を受診して作成指示書を受け取り、その後しばらくしてから眼鏡店へ行くような場合です。
数日から数週間の違いが、9歳という年齢要件との関係で問題になる可能性があります。
特に誕生日直前に治療用眼鏡を作成する場合は、「まだ8歳だから大丈夫だろう」と自己判断せず、協会けんぽ、健康保険組合、共済組合、市区町村国保など、実際に療養費を支給する保険者へ事前に確認しておくのが安全です。
未就学児と小学生では給付割合も異なる
もう一つ年齢に関係するポイントが、健康保険の給付割合です。
小児弱視等の治療用眼鏡そのものの対象年齢は9歳未満ですが、療養費として実際に支給される割合は、義務教育就学前かどうかによって変わります。
義務教育就学前の子どもは原則8割、それ以降の子どもは原則7割です。
そのため、同じ金額の治療用眼鏡を作ったとしても、未就学児と小学生では健康保険から支給される金額が同じとは限りません。
「9歳未満」という対象年齢と、「8割か7割か」という給付割合は別の判定だと理解すると整理しやすいですよ。
年齢に関して確認したい3点
- 小児弱視等の治療用眼鏡の対象は原則9歳未満
- 義務教育就学前は原則8割、それ以降は原則7割の給付
- 誕生日直前や更新直前は、基準日を保険者へ事前確認する
また、後で説明する2本目以降の更新では、「5歳未満か5歳以上か」によって必要な装着期間も変わります。
つまり、小児弱視用眼鏡の療養費では、9歳という対象年齢だけでなく、就学前かどうか、更新時に5歳未満かどうかといった複数の年齢基準が登場します。
治療上いつ眼鏡を作る必要があるかは眼科医が判断することですので、制度上の期限を理由に治療時期を自己判断するのではなく、治療については担当の眼科医、給付要件については保険者にそれぞれ確認してください。
弱視用眼鏡の療養費上限額
小児弱視用眼鏡の療養費には、計算の基礎となる上限額があります。
ここは検索すると「弱視眼鏡の補助金は最大40,492円」といった表現を目にすることがありますが、この表現だけを見ると、40,492円が健康保険からそのまま支給されるように感じるかもしれません。
実際には、 40,492円は健康保険から振り込まれる金額そのものではなく、療養費を計算するときの基準となる上限額 です。
この違いは非常に重要です。
令和6年4月以降の基準では、弱視用の掛け眼鏡について、障害者総合支援法に基づく告示上の価格38,200円に106%を掛けた 40,492円 が上限額となっています。
コンタクトレンズについては、基準額13,000円に106%を掛けた 13,780円 が1枚あたりの上限額となります。
| 種類 | 基準額 | 療養費計算上の上限額 |
|---|---|---|
| 弱視用眼鏡 | 38,200円 | 40,492円 |
| コンタクトレンズ | 13,000円 | 13,780円/1枚 |
この基準額は、厚生労働省告示で定める補装具の購入基準をもとにしています。
療養費については、その告示に定められた価格の100分の106に相当する額を上限とし、さらに実際の作成・購入費用の範囲内で支給額を計算します。
(出典: 厚生労働省「治療用装具に係る療養費について」 )
上限額より安く買った場合
たとえば治療用眼鏡の購入額が30,000円だった場合、上限額40,492円まで使えるからといって、40,492円を基準に療養費を計算するわけではありません。
この場合は、実際に支払った30,000円の方が低いため、30,000円を基準として給付割合を掛けます。
上限額より高く買った場合
反対に、眼鏡代が50,000円だった場合は、50,000円全体が健康保険の計算対象になるわけではありません。
療養費計算上の上限額が40,492円であれば、この40,492円を基準に7割または8割を計算します。
上限額を超えた部分については、少なくとも健康保険の療養費計算には入りません。
40,492円がそのまま健康保険から振り込まれるわけではありません。
40,492円は、眼鏡について療養費を計算するときの上限額です。
この金額と実際の購入額を比較し、低い方の金額に健康保険の給付割合を掛けて支給額を計算します。
眼鏡店などで「最大40,492円まで対象」と説明されることがありますが、「40,492円もらえる」という意味ではありません。
この違いは実際の自己負担額に直結するため、分けて考える必要があります。
また、40,492円、13,780円という金額は令和6年4月以降の基準を前提としたものです。
基準となる告示は改正されることがありますので、将来にわたって固定された金額ではありません。
治療用眼鏡をこれから購入する場合は、「この記事に40,492円と書いてあったから大丈夫」と判断するのではなく、購入時点の最新基準を確認してください。
金額が制度改正で変わる可能性があるためです。
また、眼鏡の販売価格そのものに上限が設けられているわけではありません。
50,000円や60,000円の眼鏡を購入すること自体と、健康保険がどこまで療養費の計算対象とするかは別の話です。
数値はあくまで一般的な目安です。
実際の支給額については、加入している健康保険の最新の支給基準で確認してください。
実際に戻る療養費の計算方法

小児弱視用眼鏡で実際に支給される療養費は、基本的に次の考え方で計算します。
療養費の計算
「実際の購入額」と「療養費の上限額」の低い方 × 健康保険の給付割合
給付割合は、義務教育就学前の子どもであれば原則8割、それ以降の子どもは原則7割です。
小児弱視等の治療用眼鏡は9歳未満が対象ですので、大きく分けると、未就学児では8割、小学生では7割で計算するケースが中心になります。
この計算は、まず「どの金額を計算の土台にするか」を決め、その後に給付割合を掛けるという2段階で考えると分かりやすくなります。
最初に購入額と上限額を比べる
最初のステップは、実際に眼鏡店へ支払った金額と、療養費計算上の上限額を比較することです。
- 購入額が上限額以下なら購入額を使う
- 購入額が上限額を超えるなら上限額を使う
そのうえで、対象となる金額に7割または8割を掛けます。
3万円の眼鏡を未就学児が作った場合
購入額が30,000円で、上限額40,492円を下回っているため、30,000円を基準に計算します。
30,000円 × 80% = 24,000円
この場合、健康保険から支給される療養費は24,000円が一つの目安となり、健康保険上の自己負担相当額は6,000円です。
購入額30,000円は上限額以内ですので、購入額全体が療養費計算の土台になります。
ここでは「上限額40,492円との差額10,492円が余っている」という考え方はしません。
上限額は利用枠のように残額を次回へ繰り越す制度ではないためです。
5万円の眼鏡を小学生が作った場合
購入額50,000円は上限額40,492円を超えるため、40,492円を基準に計算します。
40,492円 × 70% = 約28,344円
この場合、50,000円全体の7割である35,000円が戻るわけではありません。
上限額を超えた部分は健康保険の療養費を計算する対象に含まれません。
単純化すると、50,000円を支払ったうち、健康保険の療養費計算に使われるのは40,492円までです。
その40,492円について7割相当額が療養費として支給され、上限を超えた部分については別に考えることになります。
| ケース | 購入額 | 計算基礎額 | 給付割合 | 支給額の目安 |
|---|---|---|---|---|
| 未就学児・3万円 | 30,000円 | 30,000円 | 8割 | 24,000円 |
| 小学生・5万円 | 50,000円 | 40,492円 | 7割 | 約28,344円 |
上記の金額は制度を理解するための一般的な計算例です。
1円未満の端数処理など、実際の支給額については保険者の決定に従ってください。
眼鏡代と最終的な自己負担額は同じではない
ここでもう一段整理しておきたいのが、健康保険から療養費を受けた後の自己負担です。
たとえば健康保険上の計算では、未就学児なら2割、小学生なら3割に相当する部分が残ります。
しかし、あなたの住んでいる自治体に子ども医療費助成制度があり、治療用眼鏡についても助成対象となる場合には、その自己負担相当額について追加の払い戻しを受けられる可能性があります。
そのため、実際の流れは「眼鏡代を支払う→健康保険の療養費が戻る→自治体によってはさらに子ども医療費助成を申請する」という二段階になるケースがあります。
一方で、上限額を超えた部分まで自治体が当然に助成してくれるとは限りません。
自治体の助成制度は全国一律ではないため、健康保険の計算と自治体助成の計算を混ぜないことが大切です。
「50,000円の眼鏡を買っても、健康保険と子ども医療費助成で最終的に全額戻る」とは限りません。
健康保険には計算上の上限額があり、自治体助成にもそれぞれ対象範囲があります。
購入前に総額を知りたい場合は、加入先の保険者と住所地の自治体の双方へ確認してください。
また、健康保険の療養費は保険者が提出書類を審査して支給額を決定するものです。
この記事の計算式だけで最終支給額を確定できるものではありませんので、具体的な金額は支給決定通知で確認してください。
近視用眼鏡やアイパッチは対象外
小児弱視用眼鏡の療養費で特に誤解しやすいのが、「子どもが使う眼鏡なら健康保険の対象になる」という考え方です。
対象となるのは、あくまで 小児弱視、斜視、先天白内障術後の屈折矯正の治療用として医師が作成を指示した眼鏡等 です。
一般的な近視、遠視、乱視などについて、単純に視力を矯正するために作る通常の眼鏡は、この小児弱視等の治療用眼鏡に関する療養費の対象ではありません。
保護者の立場からすると、「眼科で処方箋を出してもらった眼鏡なのだから、健康保険の対象ではないのか」と感じることもあると思います。
しかし、眼科で眼鏡処方箋を受けたことだけで、小児弱視等の治療用眼鏡の療養費対象になるとは限りません。
大切なのは眼鏡を使う目的
同じ眼鏡という物であっても、健康保険上は使用目的を確認します。
弱視等の治療の一環として使用する治療用眼鏡なのか、それとも一般的な屈折異常を矯正して日常生活上の視力を補うための眼鏡なのかによって扱いが異なります。
| 眼鏡等 | 療養費の考え方 |
|---|---|
| 小児弱視の治療用眼鏡 | 要件を満たせば対象 |
| 斜視の治療用眼鏡 | 要件を満たせば対象 |
| 先天白内障術後の屈折矯正用眼鏡 | 要件を満たせば対象 |
| 一般的な近視等の眼鏡 | 原則として対象外 |
| アイパッチ | 対象外 |
| フレネル膜プリズム | 対象外 |
また、斜視の矯正などに使用する アイパッチやフレネル膜プリズムも、この療養費の対象とはされていません。
ここも少し分かりにくい部分です。
弱視や斜視の治療過程で実際に使用する物であっても、「治療に使う物ならすべて療養費になる」という制度ではありません。
対象となる品目は制度上限定されています。
9歳以上になった場合
弱視等の治療が続いている場合であっても、この小児弱視等の治療用眼鏡に関する療養費は9歳未満を対象とした制度です。
「以前は療養費が出たから、次の眼鏡も当然出る」とは限りません。
年齢要件を超えていないか、更新期間を満たしているかなどを改めて確認する必要があります。
予備眼鏡や一部分だけの交換は事前確認を
予備として2本目を作る場合や、フレームだけ、レンズだけを交換する場合など、個別のケースについては一律に判断せず、購入前に加入先へ確認するのが確実です。
特に「壊れたので予備を作りたい」「度数は同じだがフレームだけ交換したい」「レンズに傷が付いたのでレンズだけ交換したい」といったケースは、治療上必要な更新と同じように扱われるとは限りません。
眼鏡を購入してから対象外だと分かっても、健康保険の支給要件を後から変更することはできません。
初回ではない眼鏡や、通常と異なる購入方法を検討している場合は、購入前に保険者へ確認するのがおすすめです。
治療用として眼鏡が必要かどうかは、社会保険労務士や眼鏡店ではなく、診察を行う眼科医が判断する事項です。
治療内容について疑問がある場合は、担当の眼科医へ確認してください。
一方で、「その治療用眼鏡について健康保険の療養費が支給されるか」という給付上の判断は保険者が行います。
医療上の必要性と健康保険上の支給要件は確認先が異なるため、この二つを分けると迷いにくくなります。
小児弱視用眼鏡の療養費申請方法
対象になることが分かったら、次は実際の申請です。
基本的な流れは、眼科で作成指示を受け、眼鏡店でいったん全額を支払い、その後に加入している健康保険へ療養費を申請する形になります。
申請先によって書類の様式や原本・コピーの取扱いが異なることもあります。
さらに2本目の更新や子ども医療費助成では別の確認が必要になるため、順番に見ていきましょう。
実務では、眼鏡を作った後に必要書類を一から探すよりも、眼科で作成指示書を受け取った時点で「何を残しておけばよいか」を確認しておく方がスムーズです。
特に領収書の宛名や但し書き、作成指示書のコピーは後から確認する手間を減らせます。
療養費申請に必要な書類
小児弱視等の治療用眼鏡について、協会けんぽへ療養費を申請する場合は、主に次の書類を準備します。
- 健康保険療養費支給申請書
- 医師の眼鏡等作成指示書のコピー
- 必要に応じて視力等の検査結果のコピー
- 眼鏡等の名称、種類、費用額が分かる領収書
作成指示書に視力などの検査結果が記載されていない場合は、別途検査結果のコピーが必要になります。
申請書だけ提出すればよいわけではなく、「医師が治療用として作成を指示したこと」と「実際に眼鏡等を購入し、いくら支払ったのか」を確認できる書類をそろえる必要があります。
眼鏡等作成指示書は重要な添付書類
眼鏡等作成指示書は、その眼鏡が一般的な視力矯正用ではなく、小児弱視等の治療用として医師から作成を指示されたことを確認するための重要な書類です。
眼科を受診した際に受け取った書類を、そのまま眼鏡店へ渡して手元に何も残っていないということがないよう、必要に応じてコピーを取っておくとよいでしょう。
また、作成指示書だけでは視力などの検査結果が確認できない場合には、別に検査結果のコピーが必要になることがあります。
受診した眼科や加入している保険者へ確認してください。
領収書は内容まで確認する
また、領収書は後から取り直すと手間になります。
眼鏡店で会計するときに、 対象となる子どもの氏名、治療用眼鏡であること、費用額や内容が分かる形 で発行されているか確認しておくとよいでしょう。
領収書を親の名前でもらってしまわないよう注意してください。
小児弱視用眼鏡の申請では、実際に眼鏡を使用する子どもの氏名が確認できる領収書を求められることがあります。
「治療用眼鏡代」など内容が分かる但し書きも確認しておくと安心です。
たとえば、領収書に単に「商品代」としか記載されていない場合、何を購入した費用なのか確認しづらくなります。
眼鏡店側も小児弱視用眼鏡の療養費申請に慣れていることがありますので、会計時に「健康保険の療養費申請に使います」と伝えておくとスムーズでしょう。
書類は提出前にコピーを残す
療養費を申請した後、自治体の子ども医療費助成を申請する場合があります。
その際に、眼鏡の領収書や医師の作成指示書などの写しが必要になることもあります。
保険者へ提出した書類がすべて返却されるとは限りませんので、 提出前に一式をコピーまたはデータ保存しておく ことをおすすめします。
特に次の書類はまとめて保管しておくと、その後の手続きがしやすくなります。
- 療養費支給申請書の控え
- 眼鏡等作成指示書のコピー
- 検査結果のコピー
- 領収書のコピー
- 健康保険から届く療養費支給決定通知書
なお、健康保険組合や共済組合、国民健康保険では、提出する書類や原本・コピーの扱いが協会けんぽと異なる場合があります。
書類をそろえる前に、加入先の案内を確認してください。
申請書類は「全国共通で完全に同じ」と考えない方が安全です。
協会けんぽの様式をそのまま健康保険組合や市区町村国保へ提出するのではなく、必ず自分が加入している保険者の申請書と添付書類を確認してください。
治療用装具を含めた療養費申請全体の流れについては、 治療用装具の申請方法と必要書類 でも詳しく解説しています。
申請書の各欄をどのように記載するのか確認したい場合は、 療養費支給申請書の書き方と記入例 も参考にしてください。
協会けんぽなど申請先の違い

療養費の申請先は、子どもが加入している公的医療保険によって変わります。
小児弱視用眼鏡の療養費については、「眼科へ申請する」「眼鏡店へ申請する」と考えてしまう方もいるかもしれませんが、療養費を支給するのはあなたの子どもが加入している健康保険の保険者です。
| 加入している健康保険 | 主な申請先 |
|---|---|
| 協会けんぽ | 全国健康保険協会 |
| 健康保険組合 | 加入している健康保険組合 |
| 共済組合 | 加入している共済組合 |
| 国民健康保険 | 住所地の市区町村 |
会社員の子どもは扶養先を確認する
会社員の子どもであれば、多くの場合は父母のどちらかの被扶養者として健康保険へ加入しています。
共働きの場合は、 子どもが実際にどちらの親の健康保険の被扶養者になっているか を最初に確認してください。
申請するのは、子どもを被扶養者として認定している側の保険者です。
たとえば、父が協会けんぽ、母が健康保険組合に加入していて、子どもは母の被扶養者になっているのであれば、父の勤務先の協会けんぽへ申請するのではなく、母が加入している健康保険組合のルールに従って申請します。
被扶養者である子どもの療養費については、健康保険上の申請者は被保険者である親となるのが基本です。
協会けんぽでは、振込先についても原則として被保険者本人の口座を使用します。
会社は支給の可否を決めない
会社の人事・総務担当者が書類を取り次ぐ場合でも、会社が療養費を支給するわけではありません。
最終的な支給の審査・決定を行うのは保険者です。
社会保険の実務では、会社経由で書類を提出することがあるため、「会社に申請している」という感覚になりやすいのですが、会社はあくまで手続きの窓口や取次ぎをしているケースがあります。
支給対象になるか、支給額がいくらになるかについて最終判断するのは健康保険者です。
そのため、年齢要件、更新期間、領収書の記載方法など、支給可否に関わる個別論点を事前に確認したい場合は、勤務先だけでなく、必要に応じて加入している保険者へ直接確認した方が確実です。
協会けんぽでは、小児弱視等の治療用眼鏡やコンタクトレンズについて、領収書、医師の眼鏡等作成指示書のコピー、必要に応じた検査結果のコピーなどを案内しています。
(出典: 全国健康保険協会「治療用装具・治療用眼鏡等」 )
申請を忘れていた場合は2年の時効に注意
なお、療養費を受ける権利には時効があります。
健康保険の療養費については、原則として権利を行使できる時から2年で時効となります。
治療用眼鏡では、費用を支払った日の翌日を起算日として案内している保険者があります。
「眼鏡を作ったのはかなり前だけれど、申請できることを最近知った」というケースでも、直ちに諦める必要はありません。
まだ2年を経過していない可能性がありますので、領収書や作成指示書が残っているか確認し、早めに加入先へ問い合わせてみてください。
2年ぎりぎりまで待つメリットはありません。
書類の不足や内容確認が必要になることもあります。
申請できることが分かった時点で、できるだけ早く手続きを進めるのがおすすめです。
なお、具体的な時効の起算日や必要書類の扱いは個別事情によって確認が必要です。
過去の購入分を申請する場合は、購入日や支払日が分かる資料を用意したうえで保険者へ確認してください。
2回目の弱視眼鏡と更新期間
子どもの成長や度数の変化などにより、治療用眼鏡を作り直すことがあります。
ただし、2本目以降について療養費の支給を受けるためには、前回の治療用眼鏡等から一定期間が経過している必要があります。
「眼科医から新しく作るよう言われたのだから、健康保険も当然もう一度出るだろう」と考えやすいところですが、治療上の必要性とは別に、療養費の更新には期間要件があります。
| 更新時の年齢 | 必要な装着期間 |
|---|---|
| 5歳未満 | 1年以上 |
| 5歳以上 | 2年以上 |
つまり、5歳未満の子どもであれば、更新前の治療用眼鏡等を1年以上装着していること、5歳以上であれば2年以上装着していることが、再支給の基本的な条件となります。
5歳未満と5歳以上で期間が変わる
更新期間については、単純に「弱視眼鏡は2年に1回」と覚えない方がよいでしょう。
5歳未満の場合は1年以上、5歳以上では2年以上と、年齢によって必要な装着期間が異なるためです。
たとえば4歳の子どもについて前回の治療用眼鏡から1年以上経過していれば、更新の期間要件を検討できます。
一方、6歳の子どもであれば、基本的には2年以上の装着期間が必要になります。
更新時に確認するポイント
- 現在の子どもの年齢
- 前回の治療用眼鏡を作った時期
- 前回の療養費支給状況
- 作成指示書と領収書の日付
- 加入している保険者の起算日の取扱い
1年・2年をいつから数えるか
ここで実務上特に注意したいのが、 1年または2年をどの日から数えるのか という点です。
医師の作成指示書の日付を基準にする保険者もあれば、眼鏡を購入した領収書の日付などを基準として確認する場合もあります。
この起算日の取扱いは一律ではありません。
たとえば、前回の眼科受診日が2024年9月1日、実際に眼鏡を購入した日が2024年9月20日だったとします。
2年の更新期間を判断するときに9月1日から数えるのか、9月20日から数えるのかによって、購入できる時期に差が出ます。
数か月違うケースであれば分かりやすいのですが、更新時期が数日しか離れていない場合には、この起算日の違いが支給可否に直接影響することがあります。
「前回から2年くらいたったから大丈夫」と自己判断しないことが大切です。
度数が変わって眼科医から新しい眼鏡を勧められた場合でも、療養費の再支給については別途期間要件があります。
更新時期がぎりぎりの場合は、新しい眼鏡を購入する前に加入先へ起算日を確認してください。
度数が変わっても期間要件は別問題
子どもは成長過程にありますので、以前作った眼鏡の度数が合わなくなることもあります。
ただし、医学的に新しい眼鏡が必要であることと、健康保険上の更新期間を満たして療養費が再支給されることは同じ話ではありません。
治療上の判断は眼科医が行い、療養費の支給要件は健康保険者が判断します。
この二つを分けて考える必要があります。
特に、5歳の前後や9歳の誕生日直前では、年齢要件と更新期間の両方が関係してきます。
作成指示書を受け取った日と実際に眼鏡を購入する日が離れる場合にも注意が必要です。
更新の相談を受けた場合、私は「前回いつ買いましたか」だけでなく、前回の作成指示書の日付、領収書の日付、現在の年齢まで確認した方がよいと考えています。
更新時期ぎりぎりのケースでは、この確認が特に重要です。
治療上、いつ眼鏡を作り直す必要があるかは眼科医が判断します。
一方、療養費の再支給要件を満たすかどうかは保険者が判断します。
この二つを分けて確認するのがポイントです。
子ども医療費助成も申請できる?

健康保険から療養費が支給された後、自治体によっては 残った自己負担相当額について子ども医療費助成を受けられる場合があります。
小児弱視用眼鏡では、この「健康保険の療養費」と「自治体の子ども医療費助成」を混同しやすいため、順番を整理しておきましょう。
健康保険の療養費と子ども医療費助成は、一つの制度の中で同時に処理されるわけではありません。
基本的には、まず加入している健康保険側で療養費の支給額を確定させ、その結果をもとに自治体へ助成申請をする流れになります。
一般的な申請の順番
- 眼科で治療用眼鏡等の作成指示を受ける
- 眼鏡店で費用を全額支払う
- 健康保険へ療養費を申請する
- 健康保険から療養費支給決定通知を受け取る
- 対象となる場合は市区町村へ子ども医療費助成を申請する
なぜ健康保険を先に申請するのか
先に健康保険へ療養費を申請するのは、自治体への申請時に 健康保険からいくら支給されたのかを確認する療養費支給決定通知書 が必要になることが多いためです。
自治体側からすると、購入した眼鏡代全額について助成額を計算するのではなく、まず公的医療保険によってどこまで給付されたのかを確認し、その後の自己負担部分を自治体制度のルールに従って判断することになります。
そのため、健康保険の療養費支給決定が終わる前に自治体へ行っても、必要書類がそろわず手続きを完了できないことがあります。
自己負担分が戻る場合がある
子ども医療費助成の対象になれば、健康保険の計算上の自己負担となった2割または3割について、自治体から払い戻しを受けられることがあります。
たとえば未就学児の場合、健康保険では原則8割が給付されるため、残る2割相当額について自治体助成の対象になる可能性があります。
小学生であれば、原則7割給付後の3割相当額が問題になります。
ただし、これはあくまで考え方です。
実際の助成内容は自治体によって異なります。
子ども医療費助成は全国一律の制度ではありません。
対象年齢、所得制限、自己負担の有無、必要書類、申請期限などは市区町村によって異なります。
上限額を超えた部分は別に考える
健康保険の上限額を超えて支払った部分まで必ず助成されるわけではありません。
どこまで子ども医療費助成の対象となるかは自治体の制度によって確認が必要です。
「健康保険と子ども医療費助成を使えば眼鏡代が必ず全額戻る」とは考えないようにしてください。
たとえば50,000円の眼鏡を購入し、健康保険では40,492円を上限に療養費が計算されたとします。
この場合、40,492円を超える部分について自治体がどのように扱うかは、その自治体の助成制度を確認しなければ分かりません。
「子どもの医療費が無料の自治体だから、眼鏡代も全部無料になる」と考えてしまうと、実際の助成額との間に差が生じる可能性があります。
療養費支給決定通知書は捨てない
また、健康保険から送られてくる療養費支給決定通知書は、自治体への申請に使うことがあります。
振込が確認できたからといって処分せず、子ども医療費助成の手続きが終わるまで保管しておきましょう。
自治体によっては、療養費支給決定通知書のほか、領収書の写し、医師の作成指示書、子ども医療費受給資格を確認する書類、振込口座情報などを求める場合があります。
健康保険へ提出する前に、領収書や作成指示書をコピーしておくと、後から自治体助成を申請するときに慌てずに済みます。
健康保険の申請と自治体の申請を一連の手続きとして考えて書類を保管しておくのがおすすめです。
なお、自治体によって制度名自体も異なる場合があります。
「子ども医療費助成」「小児医療費助成」「乳幼児医療費助成」など名称が違っても、まずは住所地の市区町村へ、治療用眼鏡の自己負担分が助成対象になるか確認してみてください。
小児弱視用眼鏡の療養費まとめ
小児弱視用眼鏡の療養費は、 9歳未満の子どもについて、弱視、斜視、先天白内障術後の屈折矯正の治療用として眼科医が作成を指示した眼鏡等 が主な対象です。
通常の眼鏡購入とは異なり、いったん費用を全額支払った後、加入している健康保険へ療養費を申請します。
制度を理解するときは、「子どもの眼鏡だから補助が出る」と考えるのではなく、 対象となる治療用眼鏡か、年齢要件を満たしているか、初回か更新か、いくらを基準に療養費を計算するか という順番で確認するのが分かりやすいです。
- 対象は原則として9歳未満の小児弱視等の治療用眼鏡・コンタクトレンズ
- 一般的な近視用眼鏡やアイパッチなどは対象外
- 眼鏡の上限額は令和6年4月以降40,492円
- 40,492円全額が戻るのではなく給付割合を掛けて計算する
- 5歳未満の更新は1年以上、5歳以上は2年以上が基本
- 健康保険の後に子ども医療費助成を申請できる場合がある
特に間違えやすいのは、 上限額40,492円を「もらえる金額」と考えてしまうこと と、2本目の更新について「前回からおおむね1年・2年たっていればよい」と判断してしまうことです。
療養費は、「購入額と上限額の低い方」に健康保険の給付割合を掛けて計算します。
また、更新期間の起算日や9歳未満という年齢要件の具体的な判定については、加入している保険者の取扱いを事前に確認しておくことが重要です。
迷ったら5項目を順番に確認する
実際に申請できるか迷った場合は、次の順番で確認すると整理しやすいかなと思います。
- 子どもは9歳未満か
- 弱視・斜視・先天白内障術後の屈折矯正の治療用か
- 眼科医の作成指示書があるか
- 2本目なら1年・2年の更新期間を満たしているか
- 子どもがどの健康保険に加入しているか
この5項目が整理できれば、次に必要書類をそろえて申請先へ確認するという流れに進めます。
そして健康保険の療養費が支給されたら、それで手続きがすべて終わりとは限りません。
自治体の子ども医療費助成が利用できる場合がありますので、療養費支給決定通知書を保管し、住所地の市区町村にも確認してください。
また、治療用眼鏡をこれから作る場合で、9歳の誕生日が近い、更新期間がぎりぎり、前回の購入日が分からないといった事情があるなら、購入してから確認するよりも事前に保険者へ問い合わせる方が安全です。
医療上の必要性と、健康保険から療養費が支給されるかどうかは分けて考えてください。
治療用眼鏡を作る必要性や治療時期は眼科医が判断し、療養費の支給要件は加入している保険者が判断します。
給付を受けるために治療時期を自己判断で変更することは避けてください。
金額や支給基準、必要書類は制度改正や保険者の運用によって変更される可能性があります。
この記事で示した数値は一般的な目安として捉え、 正確な情報は公式サイトをご確認ください 。
また、治療用眼鏡が必要かどうかや治療内容については眼科医へ、個別の療養費の支給可否については加入している保険者へ確認してください。
勤務先で被扶養者の療養費申請を取り次ぐ場合には、子どもがどちらの親の被扶養者になっているか、提出先となる保険者はどこかという点も確認しておくと手続きがスムーズです。
制度の適用関係など個別事情を含む場合には、 最終的な判断は専門家にご相談ください 。