こんにちは。
もりおか社会保険労務士事務所、社会保険労務士の川熊です。
有給は1年目に何日もらえるのか、いつから使えるのか、入社半年や試用期間中はどう扱うのか。
新卒の方、中途採用で入社した方、パートやアルバイトの方、そして人事労務を担当する企業側からも、実際によくある相談です。
はじめて確認する方にとっては、少しややこしく感じますよね。
有給の付与日数は、労働基準法上の基本ルールを押さえれば大きく迷うものではありません。
ただし、8割出勤、比例付与、年5日取得義務、繰り越し、基準日の統一など、実務では確認すべきポイントがいくつかあります。
特に会社側では、入社日ごとの管理、短時間労働者の付与日数、取得義務の進捗確認までセットで見る必要があります。
この記事では、有給休暇の1年目の考え方を中心に、従業員側にも企業側にも分かりやすい形で整理します。
個別の勤務形態や就業規則によって扱いが変わる場合がありますので、正確な情報は公式サイトをご確認ください。
- 有給が1年目に何日付与されるか
- 入社半年や試用期間の扱い
- パートやアルバイトの比例付与
- 企業が注意すべき管理実務

有給は1年目に何日もらえるか

まずは、有給休暇が1年目に何日発生するのかを確認します。
結論からいうと、フルタイム勤務で一定の条件を満たす場合、入社から6か月後に10日付与されるのが法律上の基本です。
ここでは、付与条件、試用期間、中途採用、出勤率の考え方を順番に見ていきます。
従業員として自分の権利を確認したい場合にも、会社として正しく管理したい場合にも、最初に押さえておきたい土台の部分です。
入社6か月後に10日付与

正社員やフルタイム勤務の方は、入社から6か月間継続して勤務し、全労働日の8割以上出勤している場合、原則として 10日の年次有給休暇 が付与されます。
ここでいうフルタイム勤務とは、一般的には週5日勤務や週30時間以上勤務など、通常の労働者と同じような働き方をしているケースを指します。
つまり、1年目だから少ない、入社したばかりだからまだゼロというよりも、まずは入社から6か月経過した時点で条件を満たしているかを見る、という考え方です。
たとえば、4月1日に入社した場合、法律上の基本的な考え方では10月1日に10日付与されます。
5月15日に入社した場合は、原則として11月15日が初回付与のタイミングになります。
企業側から見ると、入社月がバラバラな会社では、この初回付与日を見落としやすいんですよ。
新卒一括採用の会社なら管理しやすいのですが、中途採用やパート採用が多い会社では、従業員ごとの入社日管理がとても大事になります。
一方で、従業員側としては、入社直後から当然に10日使えるわけではない点に注意が必要です。
会社が独自に入社時付与をしている場合は別ですが、法律上の最低ラインとしては、入社から6か月間の継続勤務と8割以上の出勤が必要になります。
ですので、入社してすぐに私用で休みたい場合は、有給ではなく欠勤、特別休暇、会社独自の休暇制度などで処理されることがあります。
ポイント
フルタイム勤務の場合、有給1年目の基本は、入社6か月後に10日です。
これは会社の任意ではなく、要件を満たした労働者に対する法律上の付与義務です。
会社の就業規則に有給の記載がない場合でも、法律上の要件を満たしていれば付与対象になります。
実務では初回付与日を一覧化する
企業側の実務では、採用時によく確認します。
特に4月入社の新卒社員や、年度途中に入社した中途採用者については、誰が何月何日に初回付与を迎えるのかを一覧で管理しておくことが大切です。
入社日、雇用区分、週所定労働日数、週所定労働時間、初回付与予定日、付与日数を表にしておくと、付与漏れのリスクをかなり下げられます。
また、会社によっては給与計算ソフトや勤怠システムに有給付与機能があるものの、入社時の設定が誤っていると自動計算も誤ります。
特に週3日勤務、週4日勤務、途中で勤務日数が変わった人などは、初期設定のままにせず、実態に合っているか確認したほうがいいかなと思います。
便利なシステムほど、最初の登録が大事。
ここは地味ですが、労務管理ではかなり効いてくる部分です。
年次有給休暇の基本的な付与日数や要件については、厚生労働省も案内しています。
一次情報として確認する場合は、 厚生労働省「年次有給休暇の付与日数は法律で決まっています」 を確認するとよいですよ。
付与条件は継続勤務と出勤率
有給休暇が付与されるための基本条件は、 6か月間の継続勤務 と 全労働日の8割以上の出勤 です。
この2つを満たすと、正社員だけでなく、契約社員、パート、アルバイト、派遣社員にも有給休暇が発生します。
ここはとても大事で、雇用形態の名前ではなく、労働者として雇用されているか、そして法律上の要件を満たしているかで判断します。
ここでいう継続勤務とは、会社との雇用関係が続いていることをいいます。
毎日出勤しているかどうかだけでなく、雇用契約が継続しているかが重要です。
たとえば、週3日勤務のパートであっても、同じ会社で6か月間雇用され続けていて、勤務すべき日の8割以上出勤していれば、有給休暇の対象になります。
逆に、雇用契約がいったん終了していて、期間を空けて再雇用されたような場合は、継続勤務といえるかを個別に見る必要があります。
出勤率は、全労働日のうち実際に出勤した日数が8割以上かどうかで判断します。
ここでいう全労働日とは、会社が働く日として定めた日を指します。
土日休みの会社であれば、通常は土日などの休日は全労働日に含めません。
シフト制のパートやアルバイトであれば、その人の雇用契約やシフト上の所定労働日を基準に考えることになります。
ここ、少し迷いやすいですよね。
実務メモ
中小企業では、勤怠システムを使わずに表計算で管理しているケースもあります。
その場合、入社日、所定労働日数、欠勤日数、初回付与日を一つの表で管理しておくと、付与漏れを防ぎやすくなります。
さらに、出勤率の計算対象に含める日と含めない日を社内で整理しておくと、担当者が変わっても判断がぶれにくくなります。
出勤率計算で注意したい休み
実務上は、欠勤、休職、育児休業、労災による休業など、出勤率の計算でどう扱うかを確認する場面があります。
単純に出社していない日をすべて欠勤扱いにしてしまうと、法律上の扱いとずれることがあります。
たとえば、業務上の負傷や疾病による療養のための休業、産前産後休業、育児休業などは、一定の場合に出勤したものとして取り扱う必要があります。
会社側としては、勤怠上の名称だけで判断しないことが大切です。
システム上は欠勤と表示されていても、法律上は出勤扱いにすべき日が含まれているかもしれません。
反対に、私傷病による欠勤や無断欠勤などは、出勤率に影響することがあります。
判断を誤ると、本来付与すべき有給を付与しない、あるいは付与日数を誤るという問題につながります。
従業員側としては、自分が8割以上出勤しているか不安なときは、まず勤務日数と欠勤日数を確認してみるとよいです。
ただし、出勤率の計算は意外と細かいので、自己判断だけで決めつけないほうが安全です。
会社の人事労務担当者に確認し、それでも判断が分かれる場合は、専門家や公的相談窓口に相談するのが現実的かなと思います。
労働基準法第39条の条文を確認したい場合は、一次情報として e-Gov法令検索「労働基準法」 で確認できます。
試用期間中の勤務も通算

試用期間中は有給が発生しないのではないか、という相談はよくあります。
これ、かなり多い相談です。
会社側も従業員側も、試用期間という言葉の印象から、本採用前は正式な勤務期間ではないように感じることがあるんですよね。
しかし、試用期間は通常、本採用を前提として勤務状況を確認する期間であり、法律上は雇用期間に含まれます。
そのため、 試用期間中の勤務期間も、6か月の継続勤務に通算されます 。
たとえば、4月1日に入社し、6月30日までが試用期間、7月1日から本採用という会社があったとします。
この場合、有給休暇の起算日は7月1日ではなく、原則として4月1日です。
したがって、要件を満たしていれば10月1日に初回の有給休暇が付与される、という考え方になります。
試用期間を3か月、6か月などと定めている会社は多いですが、試用期間の長さと有給休暇の発生日は別の問題です。
試用期間が6か月ある会社でも、6か月経過時点で継続勤務と8割出勤の要件を満たしていれば、有給休暇の付与対象になります。
ここを誤って、試用期間終了後さらに6か月後に付与する運用にしていると、初回付与が法律上のタイミングより遅くなる可能性があります。
注意点
就業規則や雇用契約書に試用期間の定めがあっても、それだけで有給休暇の起算日を本採用日に遅らせることはできません。
企業側は、入社日を基準に初回付与日を確認する運用が必要です。
就業規則に有給休暇の付与時期を記載する場合も、試用期間との関係が誤解されない表現にしておくと安心です。
試用期間中に有給を使えるかは別問題
従業員側から見ると、試用期間中の勤務も通算されるなら、試用期間中でも有給を使えるのではと思うかもしれません。
ここは少し分けて考える必要があります。
法律上の初回付与がまだ到来していない場合、つまり入社から6か月経過していない段階では、会社が独自に前倒し付与をしていない限り、まだ有給休暇の日数自体が発生していないことがあります。
つまり、試用期間中の勤務は6か月の継続勤務にカウントされるけれど、入社直後から当然に有給休暇を使えるという意味ではありません。
たとえば、入社2か月目に通院で休みたい場合、会社に入社時付与制度がなければ、有給ではなく欠勤や特別休暇などで処理されることがあります。
ここを混同しやすいんです。
企業側としては、試用期間中の休みの扱いを採用時に説明しておくとトラブル予防になります。
「試用期間中は有給がありません」とだけ説明すると、試用期間が勤続期間に含まれないように聞こえてしまうことがあります。
より正確には、「法律上の初回付与は入社から6か月後ですが、試用期間中の勤務期間もその6か月に含めます」と説明するのがよいかなと思います。
また、試用期間中に欠勤が多い場合は、出勤率にも影響する可能性があります。
会社としては、本採用判断と有給付与要件を混同しないこと。
従業員としては、休みが有給になるかどうかを早めに確認しておくこと。
双方にとって、認識合わせが大切です。
中途採用は転職先で再計算
中途採用の方からは、前職の勤続年数が転職先でも引き継がれるのかという質問を受けることがあります。
これも実際によくある相談です。
前職で10年以上働いていて有給が20日あった方からすると、転職先でも同じように20日使えるのではないかと思うのは自然ですよね。
ただ、原則として、前職での勤続年数は転職先には引き継がれません。
有給休暇の勤続年数は、基本的に 現在の勤務先での雇い入れ日 から計算します。
前職で長く働いていたとしても、転職先では新たに6か月間の継続勤務からスタートするのが一般的です。
たとえば、前職で有給残日数が15日残っていても、その日数を転職先でそのまま使えるわけではありません。
前職の有給は前職との雇用関係に基づくものだからです。
会社側としては、中途採用者に対して、入社時に有給休暇の初回付与日を明確に伝えておくことが大切です。
特に管理職採用、専門職採用、即戦力採用では、入社直後から忙しくなることも多く、有給の扱いを曖昧にしていると後から不満につながることがあります。
採用条件通知書や雇用契約書に、有給休暇は法定どおり付与するのか、入社時に何日か前倒し付与するのかを明記しておくとよいですよ。
採用時によく確認します
中途採用者には、入社時点で前職の有給残日数が残っていても、転職先でその日数を当然に使えるわけではありません。
企業側は、入社時の説明で初回付与日と付与条件を明確にしておくとトラブル予防になります。
特に、前職から間を空けずに転職する方には、前職の有給消化と転職先の初回付与は別物だと説明しておくと親切です。
例外的に継続性を見るケース
ただし、すべてのケースで単純にリセットと考えればよいわけではありません。
グループ会社間の転籍、会社分割、事業譲渡、合併、定年再雇用、アルバイトから正社員への雇用形態変更などでは、雇用関係の継続性を個別に確認する必要があります。
たとえば、同じ会社でアルバイトから正社員になった場合、雇用契約の形は変わっていても、雇用関係が実質的に続いているなら、勤続期間を通算して考える場面があります。
また、定年後再雇用の場合も注意が必要です。
定年退職後、期間を空けずに継続雇用されるケースでは、実務上、勤続期間の通算を検討すべきことがあります。
会社側が「いったん退職したから全部リセット」と機械的に処理すると、後から問題になる可能性があります。
ここは、契約書の形式だけでなく、退職と再雇用の間に空白期間があるか、業務内容や勤務先が変わったか、雇用主が同じか、社会保険や雇用保険の扱いがどうなっているかなどを総合的に見ます。
企業側では、判断に迷う場合、社内だけで決めきらず専門家に確認したほうが安全です。
従業員側も、自分のケースが継続勤務にあたるのではと感じる場合は、感情的に主張するより、雇用契約の経緯を整理して相談すると話が進みやすいかなと思います。
出勤率8割未満の場合

入社から6か月が経過しても、全労働日の出勤率が8割未満の場合、その時点では有給休暇が付与されないことがあります。
これは、労働基準法上の付与要件の一つである8割出勤を満たしていないためです。
少し厳しく感じるかもしれませんが、有給休暇は一定期間の継続勤務と出勤実績を前提に発生する制度なので、この出勤率の確認は避けて通れません。
ただし、出勤率が8割未満だったからといって、勤続年数そのものがリセットされるわけではありません。
勤続期間のカウントは続きます。
たとえば、6か月時点で出勤率が8割未満だったとしても、その後の期間で要件を満たせば、次回の判定で勤続年数に応じた日数が付与される可能性があります。
ここを誤解して、一度8割未満になったらまた入社日からやり直し、という処理をしないように注意が必要です。
企業側では、欠勤が多い従業員についても、単純に有給なしと処理するのではなく、出勤率の計算期間、全労働日の範囲、出勤扱いにすべき日を確認する必要があります。
特に、休職、育児休業、産前産後休業、労災休業などが絡むと、勤怠システム上の表示だけでは判断できないことがあります。
ここは本当に間違いやすいポイントです。
実務上の注意
産前産後休業、育児休業、業務上の傷病による休業などは、出勤率計算で出勤したものとして扱うべき場面があります。
個別事情によって判断が変わるため、最終的な判断は専門家にご相談ください。
会社としては、出勤率を計算した根拠を残しておくと、後で説明がしやすくなります。
出勤率の確認は感覚で決めない
出勤率の判断で避けたいのは、「休みが多い印象だから8割未満だろう」と感覚で決めてしまうことです。
実務では、まず対象期間の全労働日を確認し、そのうえで出勤日数を数えます。
たとえば、対象期間の全労働日が120日であれば、96日以上出勤していれば8割以上になります。
逆に、95日以下であれば8割未満になる可能性があります。
ただし、出勤扱いにすべき休業日がある場合は、その補正も必要です。
また、遅刻や早退があった場合にどう扱うかも質問されることがあります。
一般的には、所定労働日に一部でも勤務していれば、その日を出勤日として扱う運用が多いですが、賃金控除や評価とは別に考える必要があります。
遅刻が多いから有給を付けない、というような処理は慎重に考えるべきです。
従業員側としては、出勤率が理由で有給が付与されなかった場合、まず計算根拠を確認しましょう。
会社側も、単に「8割未満です」と伝えるだけでなく、対象期間、全労働日、出勤日数、出勤扱いにした日を説明できる状態にしておくと、不要な不信感を防げます。
労務トラブルは、制度そのものより説明不足から起きることも多いんですよ。
有給1年目は何日から管理するか

ここからは、企業側の実務管理を意識して、有給休暇をどのように管理すべきかを整理します。
パートやアルバイトの比例付与、付与基準日の統一、前倒し付与、年5日取得義務、繰り越しまで確認しておくと、1年目の有給管理で迷いにくくなります。
従業員側にとっても、自分の勤務形態では何日付与されるのか、いつまで使えるのかを理解しやすくなります。
パートやアルバイトの比例付与
パートやアルバイトにも、有給休暇は発生します。
よくある誤解ですが、短時間勤務だから有給がない、週1日勤務だから対象外、という扱いはできません。
会社側から「うちはパートには有給がない」と説明されるケースもたまに聞きますが、これはかなり危ない運用です。
雇用形態の名称に関係なく、要件を満たせば年次有給休暇の対象になります。
ただし、週所定労働日数が少なく、週所定労働時間が30時間未満の場合には、通常のフルタイム勤務より少ない日数が比例付与されます。
これを一般に 比例付与 といいます。
比例付与は、短時間労働者に有給を与えない制度ではなく、勤務日数に応じて法定日数を調整する制度です。
この違い、実務ではとても重要ですよ。
たとえば、週3日勤務のパートが6か月継続勤務し、8割以上出勤している場合、一般的には5日の有給休暇が付与されます。
週1日勤務でも、要件を満たせば1日付与されることがあります。
つまり、勤務日数が少ないからゼロではなく、その人の所定労働日数に合わせて日数を決めるということです。
押さえておきたい点
パートやアルバイトの有給は、雇用形態ではなく、継続勤務、出勤率、所定労働日数によって判断します。
名称だけで対象外にしないことが重要です。
会社側は、採用時の雇用契約書に週所定労働日数や週所定労働時間を明記しておくと、後から付与日数を判断しやすくなります。
シフト制では所定労働日数の確認が大事
パートやアルバイトで特に迷いやすいのが、シフト制の人です。
毎週同じ曜日に働く人であれば、週所定労働日数を把握しやすいのですが、月ごとにシフトが変わる人は判断が難しくなります。
この場合、雇用契約上の所定労働日数、実際の勤務実績、年間所定労働日数などを見て判断することになります。
たとえば、契約書には週2日程度と書いているのに、実態としてほぼ週4日働いている場合、契約書だけを根拠に週2日として有給を計算すると、実態とずれる可能性があります。
反対に、繁忙期だけ一時的に勤務日数が増えた場合は、年間を通じた所定労働日数をどう見るかが問題になります。
ここは会社ごとに運用を整理しておきたいところです。
従業員側としては、自分がパートやアルバイトだからといって、有給がないと決めつけないでください。
入社から6か月以上働いていて、シフトどおりにおおむね出勤しているなら、有給が発生している可能性があります。
会社に確認するときは、「私は週何日勤務として有給が付与されていますか」と聞くと、話が具体的になりやすいです。
有給の申請理由について社内運用を整えたい場合は、 有給の理由は何と書くかを解説した記事 も参考になります。
週所定労働日数別の付与日数

パートやアルバイトの比例付与では、週所定労働日数や年間所定労働日数に応じて付与日数が変わります。
以下は、一般的な法定付与日数の目安です。
数字が並ぶので少し見づらいかもしれませんが、実務ではこの表をベースに確認することが多いです。
特に人事労務担当者は、正社員用の付与日数と短時間労働者用の付与日数を分けて管理することが大切です。
| 週所定労働日数 | 年間所定労働日数 | 6か月 | 1年6か月 | 2年6か月 | 3年6か月 | 4年6か月 | 5年6か月 | 6年6か月以上 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 5日以上 | 217日以上 | 10日 | 11日 | 12日 | 14日 | 16日 | 18日 | 20日 |
| 4日 | 169日から216日 | 7日 | 8日 | 9日 | 10日 | 12日 | 13日 | 15日 |
| 3日 | 121日から168日 | 5日 | 6日 | 6日 | 8日 | 9日 | 10日 | 11日 |
| 2日 | 73日から120日 | 3日 | 4日 | 4日 | 5日 | 6日 | 6日 | 7日 |
| 1日 | 48日から72日 | 1日 | 2日 | 2日 | 2日 | 3日 | 3日 | 3日 |
この表の数値は、あくまで一般的な目安として確認してください。
実際の付与日数は、所定労働日数、所定労働時間、雇用契約、就業規則、勤務実績によって確認が必要です。
特に、週30時間以上働く人や、週5日以上働く人は、パートという名称であってもフルタイム相当として10日付与の対象になることがあります。
中小企業では迷いやすいポイント
週3日勤務の人に正社員と同じ10日を付与しているケースや、逆に付与すべき人にまったく付与していないケースがあります。
多く付与すること自体は会社の制度として可能ですが、少なく付与することは法令違反のリスクがあります。
会社が法定を上回る日数を付与する場合は、就業規則にそのルールを明確にしておくと安心です。
勤務日数が途中で変わった場合
実務でよく迷うのが、勤務日数が途中で変わった場合です。
たとえば、入社時は週3日勤務だった人が、途中から週5日勤務になったケース。
反対に、週5日勤務だった人が家庭の事情で週3日勤務に変更したケース。
こうした場合、次回付与日にどの勤務日数を基準にするかを確認する必要があります。
一般的には、付与日時点の所定労働日数を基準に判断する運用が多いですが、変更の時期や契約内容によって確認が必要です。
勤務日数の変更があった場合は、口頭だけで済ませず、雇用契約書や労働条件通知書を更新しておくとよいです。
口頭で「来月から少し増やしますね」という運用を続けていると、有給日数の計算で困ることがあります。
また、週所定労働日数がはっきりしない働き方では、年間所定労働日数で判断する場面もあります。
飲食店、小売業、介護事業所など、シフトが変動しやすい職場では、この年間所定労働日数の管理がとても大事です。
従業員ごとに実態が異なるため、同じパートでも付与日数が違うことがあります。
ここは不公平ではなく、所定労働日数に応じた扱いです。
スマートフォンで表を見ると横に長くなるため、この記事では横スクロールできる形にしています。
実務で社内資料を作る場合も、従業員向けには「週1日なら何日」「週3日なら何日」のように簡略化した表を別途作ると、現場に伝わりやすいかなと思います。
付与基準日と斉一的取扱い
法律上の原則は、労働者ごとに入社日から6か月後を初回付与日として管理する方法です。
しかし、従業員ごとに入社日が異なる会社では、付与日がバラバラになり、管理が複雑になります。
中途採用が多い会社では、毎月のように誰かの有給付与日が来ることもあります。
担当者としては、かなり大変ですよね。
そこで、企業実務では、全従業員の付与日を一定の日にそろえる 斉一的取扱い を採用することがあります。
たとえば、毎年4月1日を一斉付与日とする方法です。
これにより、年次有給休暇管理簿、年5日取得義務、残日数管理、繰り越し管理をまとめて確認しやすくなります。
管理のしやすさという意味では、かなり有効な方法です。
ただし、基準日を統一する場合でも、最初の付与が法律上の期限より遅くなり、労働者に不利益となる扱いはできません。
入社から6か月以内に付与されるよう、前倒しで調整する必要があります。
たとえば、10月1日入社の人に対して、翌年4月1日の一斉付与を待つのは原則として問題ありませんが、9月1日入社の人に翌年4月1日まで付与しないと、6か月を超えてしまう可能性があります。
この場合は、前倒し付与などの調整が必要です。
実務上の考え方
斉一的取扱いは管理を楽にする制度ですが、初回付与を遅らせるための制度ではありません。
企業側は、労働者に不利益が出ない設計にすることが重要です。
制度を導入する場合は、就業規則に基準日、初年度の扱い、中途入社者の扱いを明記しておくと運用しやすくなります。
一斉付与を導入するときの設計
一斉付与を導入する場合、まず決めるべきなのは基準日です。
4月1日、10月1日、会社の決算月の翌月など、会社ごとに管理しやすい日を選びます。
次に、中途入社者に対して初年度はどのように付与するかを決めます。
入社時期によって、入社日に数日付与するのか、基準日にまとめて付与するのか、6か月到達前に前倒しで付与するのかを整理します。
注意したいのは、制度を簡単に見せようとして、かえって法律上の最低基準を下回ってしまうことです。
たとえば、「全員4月1日に付与」とだけ決めてしまうと、入社時期によっては初回付与が遅れる人が出ます。
これを防ぐためには、「入社日から6か月以内に初回付与する」「その後は毎年4月1日を基準日とする」といった形で、初年度と2年目以降を分けて設計するのが現実的です。
また、一斉付与をすると、年5日取得義務の管理期間も基準日ベースで管理しやすくなります。
ただし、前倒し付与した場合には、取得義務の起算点がずれることがあります。
ここを雑に扱うと、付与したつもり、取得させたつもりでも、法律上の管理期間と合わないことがあるので注意が必要です。
労基署調査では、年休管理簿や取得状況を確認されることがあります。
労務管理全体の確認ポイントを把握したい場合は、 労基署の監査項目と労務管理の整え方 も参考にしてください。
入社時の前倒し付与ルール

会社によっては、入社時点で有給休暇を数日付与する制度を設けている場合があります。
たとえば、入社時に3日または5日を付与し、6か月後に残りの日数を付与する方法です。
採用時の印象としては、従業員にとって安心感がありますよね。
入社直後でも、通院や家庭の用事でどうしても休みたい日があるかもしれません。
法律上の最低基準より労働者に有利な制度であれば、前倒し付与自体は可能です。
ただし、前倒し付与を行う場合は、就業規則や雇用契約書にルールを明確にしておく必要があります。
会社が善意で付与した制度でも、ルールが曖昧だと後からトラブルになることがあります。
特に退職時、残日数、次回付与日、年5日取得義務の管理で問題が出やすいです。
特に確認すべきなのは、入社時に付与した日数を6か月後の10日から差し引くのか、それとも6か月後に追加で10日付与するのかという点です。
たとえば、入社時に5日付与し、6か月後にさらに10日付与する制度なら、初年度に合計15日使えることになります。
一方、入社時に5日を前倒しで付与し、6か月後に残り5日を付与する制度なら、初年度の合計は10日です。
どちらが正しいというより、会社の制度として明確に決めることが大切です。
注意点
前倒し付与は、採用面では魅力的な制度になり得ます。
一方で、退職時の残日数、年5日取得義務の起算日、基準日の重複など、管理が複雑になることがあります。
制度導入前に運用方法を整理しておくことが大切です。
特に、前倒し付与した日数を欠勤控除とどう関係させるか、退職時に買い取りをするのかしないのか、といった周辺ルールも確認しておきたいところです。
就業規則に書いておきたい内容
前倒し付与をするなら、就業規則には少なくとも、付与時期、付与日数、6か月後の扱い、次回以降の基準日、退職時の扱いを書いておきたいです。
たとえば、「入社日に年次有給休暇を5日付与し、入社6か月経過日に法定付与日数との差分を付与する」といった書き方であれば、初年度の合計日数が分かりやすくなります。
逆に、「入社時に有給を付与することがある」だけでは、誰に何日付与されるのか、会社の裁量なのか、制度として全員対象なのかが分かりません。
曖昧な規定は、従業員ごとの不公平感にもつながります。
労務管理では、柔軟さも大事ですが、休暇制度はルールの明確さがかなり大事です。
また、前倒し付与をした場合、従業員が入社後すぐに全日数を使い切り、その後短期間で退職するケースもあり得ます。
会社としては、そうしたリスクも踏まえたうえで制度設計をする必要があります。
ただし、一度付与した有給休暇を、退職するからという理由だけで一方的に取り消すような運用は慎重に考えるべきです。
採用力を高めたい会社では、入社時付与は良い制度になることがあります。
ただ、制度は作って終わりではなく、勤怠管理、給与計算、年休管理簿、就業規則がつながっていることが大切です。
ここが整っている会社は、従業員にも説明しやすいですし、担当者の負担も減ります。
年5日の取得義務の対象
年次有給休暇が10日以上付与される労働者について、使用者は年5日以上の有給休暇を確実に取得させる必要があります。
これは2019年4月から始まった企業側の義務です。
つまり、有給休暇を付与して終わりではなく、一定の対象者には実際に取得してもらうところまで会社が管理する必要があります。
ここは会社側にとってかなり重要な実務ポイントです。
対象になるのは、正社員に限られません。
パートやアルバイトであっても、年10日以上の有給休暇が付与される場合は対象になります。
たとえば、週4日勤務で勤続年数が進んだ人などは、比例付与でも10日以上となることがあります。
雇用形態の名称だけで対象者を決めると漏れが出るので、付与日数で対象者を判定するのが基本です。
企業側は、労働者本人が自主的に取得した日数、計画的付与で取得した日数、会社が時季指定した日数を合わせて、年5日に達しているかを管理する必要があります。
本人がすでに5日以上取得していれば、会社が追加で時季指定する必要はありません。
一方で、取得が進んでいない人については、本人の意向を聞きながら取得時季を指定するなど、実際に5日取得できるよう管理する必要があります。
企業側の管理ポイント
年5日の取得義務は、付与日から1年以内に5日取得させるという考え方です。
単に年度末にまとめて確認するのではなく、基準日ごとに管理する必要があります。
4月1日一斉付与なら管理しやすいですが、入社日基準で付与している会社では、従業員ごとに管理期間が異なる点に注意が必要です。
取得義務で起きやすいミス
年5日取得義務でよくあるミスは、対象者の漏れです。
正社員だけを一覧にして、パートやアルバイトを見落としてしまうケース。
これは中小企業では本当に起きやすいです。
また、入社6か月後に10日付与された1年目の従業員も対象になるため、新入社員についても付与日から1年以内に5日取得させる管理が必要になります。
次に多いのが、管理期間の勘違いです。
会社の事業年度やカレンダー年で管理しているつもりでも、法律上は付与日から1年以内という考え方になります。
たとえば、10月1日に10日付与された人については、翌年9月30日までに5日取得させる必要があります。
これを年度末の3月31日だけで見ていると、途中で漏れる人が出るかもしれません。
また、有給休暇の申請を従業員任せにしているだけでは、取得義務を果たしたことにならない場合があります。
会社としては、定期的に取得状況を確認し、取得が進んでいない人に声をかける、繁忙期を避けて取得予定を組む、管理職にも周知する、といった運用が必要です。
現場が忙しいと後回しになりがちですが、ここは法令遵守の観点からも押さえたいところです。
有給取得と残業時間の関係で迷う場合は、 有給休暇と残業時間の扱いを解説した記事 もあわせて確認すると理解しやすくなります。
有給の繰り越しと時効

有給休暇の権利は、原則として2年間有効です。
1年目に付与された有給休暇を使い切れなかった場合、翌年に繰り越されることがあります。
つまり、1年目に10日付与されたからといって、その年に使わなかった分がすぐ消えるわけではありません。
ここも従業員側からよく質問されるところです。
たとえば、1年目に10日付与され、そのうち4日だけ使用した場合、残り6日が翌年に繰り越されます。
2年目に新たに11日付与されると、合計で17日使える状態になることがあります。
もちろん、実際の残日数は会社の就業規則、付与日、取得日、時効の到来時期によって確認が必要です。
数字だけを見ると簡単そうですが、複数年分が混ざると管理は少し複雑になります。
ただし、会社の管理画面上で古い有給から消化するのか、新しい有給から消化するのかは、就業規則や運用ルールで確認しておく必要があります。
一般的には、時効が近い古い有給から消化する運用が分かりやすいです。
従業員にとっても、古い分から消化されるほうが自然に感じるかなと思います。
管理簿で確認したい項目
- 付与日
- 付与日数
- 取得日
- 取得日数
- 残日数
- 時効にかかる日
繰り越し管理は残日数だけでは足りない
有給管理でよくあるのが、残日数だけを見ているケースです。
たとえば「残り12日」と表示されていても、そのうち何日が前年度分で、何日が今年度分なのか分からないと、時効管理ができません。
企業側としては、付与日ごとの残日数を把握しておくことが大切です。
年休管理簿でも、付与日、取得日、取得日数は重要な管理項目です。
また、従業員側から「有給が勝手に消えた」と言われるケースでは、時効によって消滅したのか、システム上の表示ミスなのか、そもそも付与日数が誤っていたのかを確認する必要があります。
会社側が説明できるようにしておかないと、不信感につながります。
特に退職前は、有給残日数に関する問い合わせが増えやすいです。
有給休暇は労働者の権利である一方、企業にとっては適切な管理が求められる労務項目です。
未取得日数が多く残っている場合は、繁忙期を避けながら計画的に取得できる環境を整えることも重要です。
取得しづらい雰囲気があると、制度上は付与していても実態として使いにくい職場になってしまいます。
会社側としては、年5日取得義務だけを最低限クリアするのではなく、従業員が必要なタイミングで有給を使えるよう、業務の属人化を減らす、代替要員を確保する、管理職が取得を妨げないよう教育する、といった取り組みも大切です。
制度と現場運用の両方。
ここが整うと、従業員満足にもつながりやすいですよ。
有給1年目は何日かのまとめ
有給休暇は、フルタイム勤務であれば、入社から6か月継続勤務し、全労働日の8割以上出勤した場合に、1年目は10日付与されるのが基本です。
試用期間中の勤務も継続勤務に含まれます。
つまり、有給1年目は何日かという疑問に対する基本回答は、フルタイムなら入社6か月後に10日です。
ここをまず押さえておけば、大きな方向性はつかめます。
パートやアルバイトの場合も、有給休暇の対象外ではありません。
勤務日数や勤務時間に応じて比例付与されるため、週所定労働日数を確認して付与日数を判断します。
週1日勤務でも有給が発生する可能性がありますし、週4日勤務で勤続年数が進めば年5日取得義務の対象になることもあります。
雇用形態の名前だけで判断しないことが大事です。
企業側では、入社日、初回付与日、所定労働日数、出勤率、年5日取得義務、繰り越しを一体で管理することが大切です。
特に中途採用者や短時間勤務者が多い職場では、基準日の統一や管理簿の整備が有効です。
管理が曖昧なまま人数が増えると、後から修正するのが大変になります。
小さい会社のうちから整えておくのがおすすめです。
この記事の結論
有給1年目は何日かという疑問への答えは、フルタイムなら入社6か月後に10日が基本です。
ただし、勤務形態や出勤率によって変わるため、就業規則と勤務実績を確認して判断しましょう。
会社側は、法定日数を下回らないこと、付与漏れを起こさないこと、年5日取得義務を管理することが重要です。
最後に確認したい実務チェック
従業員側のあなたが確認するなら、まず入社日、雇用契約上の週所定労働日数、6か月経過日、欠勤日数、有給残日数を見てみましょう。
会社の給与明細や勤怠システムに有給残日数が表示されている場合もありますが、表示がない場合は人事担当者に確認して大丈夫です。
聞きづらいと感じるかもしれませんが、有給休暇は法律で定められた制度です。
企業側のあなたが確認するなら、まず全従業員の一覧を作り、入社日、雇用区分、週所定労働日数、付与日、付与日数、取得日数、残日数を確認してください。
正社員だけでなく、パート、アルバイト、契約社員も含めます。
次に、年10日以上付与される人について、年5日取得義務の管理ができているかを見ます。
ここまで確認できると、かなり安心です。
実務でおすすめの管理項目
- 入社日と初回付与日をセットで管理する
- 週所定労働日数を雇用契約書で明確にする
- 短時間労働者の比例付与を別表で確認する
- 年5日取得義務の対象者を定期的に抽出する
- 繰り越し分と新規付与分を分けて残日数管理する
労務管理では、一般論だけで処理すると個別事情を見落とすことがあります。
特に、勤務日数の変更、休職、育児休業、定年再雇用、前倒し付与、一斉付与などが絡む場合は、会社ごとの事情を踏まえた確認が必要です。
正確な情報は公式サイトをご確認ください。
制度設計や個別ケースの判断に迷う場合は、最終的な判断は専門家にご相談ください。