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労災の5号様式とは?書き方・提出先を実務で詳しく確認

こんにちは。

もりおか社会保険労務士事務所、社会保険労務士の川熊です。

労災の5号様式は、仕事が原因でけがや病気をした労働者が、労災保険指定医療機関で自己負担なく治療を受けるために使用する請求書です。

初めて労災手続きを行う場合は、誰がどこまで記入するのか、会社の証明は必要なのか、病院と薬局のどちらに提出するのかなど、迷う点が少なくありません。

また、通勤中の事故や指定医療機関以外を受診した場合は、5号様式とは別の書類を使用します。

書類の番号だけを見ると難しそうに感じますが、最初に事故が業務中に起きたものか、通勤中に起きたものかを整理し、次に受診先が労災保険指定医療機関かどうかを確認すると、使用する様式を判断しやすくなります。

労働者本人だけで進めるのではなく、会社と医療機関がそれぞれ必要な部分を記入して手続きを進める点も押さえておきたいところです。

この記事では、労働者本人と会社の双方に向けて、労災の5号様式を使用する場面、書き方、提出先、他の様式との違いを実務の流れに沿って解説します。

受診前に何を確認すればよいか、書類が間に合わない場合はどうすればよいか、薬局にも提出が必要なのかといった実務上の疑問まで順番に確認していきましょう。

  • 労災の5号様式を使用する場面
  • 5号様式の入手方法と提出先
  • 労働者本人と会社が記入する項目
  • 6号・7号・8号・16号の3との違い

労災の5号様式とは?書き方と提出先を解説

労災の5号様式とは何か

労災の5号様式は、業務中のけがや仕事が原因となった病気について、労災保険指定医療機関で治療を受けるときに使用する書類です。

この章では、5号様式を使えるケース、通勤災害との区別、書類の入手方法、提出までの流れを順番に確認します。

労災保険の書類は、治療を受ける場所や災害の種類、すでに治療費を支払ったかどうかによって使用する様式が変わります。

5号様式という番号だけを覚えるのではなく、 業務災害であり、労災保険指定医療機関等において療養の給付を受ける場面で使用する書類 と理解すると、他の様式との違いが分かりやすくなります。

最初に確認したいのは、災害が業務中に起きたものか、通勤途中に起きたものかという点です。

業務災害と通勤災害では、使用する請求書の様式が異なります。

5号様式を使用する場面

5号様式の正式名称は、療養補償給付及び複数事業労働者療養給付たる療養の給付請求書です。

主に、仕事中のけがや仕事が原因となった病気について、労災病院または労災保険指定医療機関で治療を受けるときに使用します。

名称が長いため難しく感じるかもしれませんが、実務上は 仕事が原因のけがや病気について、指定された病院や薬局で労災扱いの治療を受けるための最初の請求書 と考えると分かりやすいです。

医療機関の受付でも「労災の5号様式」と伝えれば通じることが一般的です。

たとえば、工場で機械を操作しているときに手を負傷した場合、建設現場で足場から転落した場合、介護業務中に利用者を支えた際に腰を痛めた場合、店舗で商品を運んでいる途中に転倒した場合などが考えられます。

業務との因果関係が認められるけがや病気であれば、正社員だけでなく、パート、アルバイト、日雇労働者なども原則として労災保険の対象です。

労災保険は、会社の規模や雇用形態だけで適用の有無が決まる制度ではありません。

原則として、労働者を一人でも使用する事業には労災保険が適用され、賃金を受けて働く労働者であれば、パートやアルバイトであっても対象になり得ます。

会社が労災保険への加入手続きを失念していた場合でも、それだけを理由として労働者が給付を受けられなくなるわけではありません。

労災保険制度の対象や基本的な仕組みについては、厚生労働省も、業務上の事由または通勤による労働者の負傷、疾病、障害、死亡に対して必要な保険給付を行う制度であると案内しています。

制度の全体像を確認したい場合は、 厚生労働省「労災補償」 をご確認ください。

5号様式を医療機関の窓口へ提出すると、労働者は治療費を窓口で支払うのではなく、必要な治療そのものを労災保険の給付として受けます。

これを 療養の給付 といいます。

一般の病気や私生活上のけがで健康保険を使用するときのように、窓口で原則3割を負担する仕組みとは異なります。

健康保険を使って一部負担金を支払う手続きではなく、労災保険から治療そのものを受ける仕組み であることが重要です。

業務災害には原則として健康保険を使用できないため、病院の受付では仕事中のけがであることを最初に伝えてください。

5号様式を使用できる代表的なケース

事故や疾病の例 業務との関係 5号様式の使用
工場の機械で手を負傷した 作業中の事故 指定医療機関であれば使用
建設現場で転落して骨折した 現場作業中の事故 指定医療機関であれば使用
介助中に腰を痛めた 介護業務中の負傷 業務との関係を確認して使用
会社の階段で業務中に転倒した 事業場施設内の業務中の事故 指定医療機関であれば使用
取引先への訪問中に交通事故に遭った 業務上の移動中の事故 業務災害であれば使用
自宅から会社へ出勤中に転倒した 通常は通勤災害 5号ではなく16号の3

ここで注意したいのは、勤務時間中に起きた出来事であれば必ず労災になるわけではなく、反対に、会社の建物の外で起きた事故だから労災にならないわけでもないという点です。

業務災害に該当するかどうかは、労働者が会社の支配や管理の下にあったか、業務が原因となって災害が発生したかなど、事故当時の具体的な状況から判断されます。

たとえば、昼休みに会社の食堂へ移動中に階段で転倒した場合、休憩時間中の私的な行為であることだけを理由に直ちに対象外となるわけではありません。

会社施設の管理状況が事故に関係している場合などは、業務災害と判断される可能性があります。

一方で、勤務時間中であっても、業務と無関係な私的行為をしている最中のけがは、労災と認められない場合があります。

また、5号様式は、目に見える外傷だけに使うものではありません。

仕事が原因となった熱中症、化学物質へのばく露による疾病、長期間の業務による身体障害なども、要件を満たせば労災保険の対象になります。

ただし、事故によるけがと比べて、疾病は業務との因果関係の確認に時間を要することがあります。

5号様式を使用する基本条件

  • 仕事が原因となったけがや病気である
  • 労災保険指定医療機関などを受診する
  • 治療費ではなく治療そのものの給付を受ける
  • 原則として業務災害の最初の医療機関等に提出する

会社が労災ではないと言っている場合

労災に該当するかどうかを会社だけで最終決定するわけではありません。

会社が「本人の不注意だから労災ではない」「軽いけがなので労災を使う必要はない」と考えていたとしても、それだけで労災保険の請求ができなくなるものではありません。

労災保険給付の請求権者は、原則として被災した労働者本人です。

会社は事故の発生状況など、自社で確認できる事実を証明しますが、給付の支給または不支給を最終的に判断するのは所轄の労働基準監督署長です。

本人に過失があった事故でも、業務との関係が認められれば労災保険の対象になることがあります。

もっとも、会社と労働者の説明が大きく食い違っている場合は、労働基準監督署による事実確認が必要となり、通常より手続きに時間がかかる可能性があります。

事故の直後に、発生日時、作業内容、現場の状況、使用していた機械や道具、目撃者、受診までの経過を整理しておくことが大切です。

会社側も、労災該当性に疑問があるからといって、最初から申請自体を止めるような対応は避けたほうがよいでしょう。

確認できた事実は事実として整理し、会社の認識や疑問点がある場合は、必要に応じて労働基準監督署へ説明するという進め方が実務的です。

労災かどうかは、けがの重さだけで決まるものではありません。

軽傷であっても仕事が原因であれば労災保険の対象になり得ます。

健康保険で処理して終わらせるのではなく、事故の原因と受診先を確認してください。

通勤災害は16号の3を使う

通勤災害は16号の3を使う

自宅から会社へ向かう途中や、会社から自宅へ帰る途中に事故に遭った場合は、原則として業務災害ではなく通勤災害として扱います。

通勤災害によって労災保険指定医療機関を受診するときは、5号様式ではなく 16号の3 を使用します。

5号様式と16号の3は、どちらも労災保険指定医療機関等で治療の給付を受けるための書類ですが、対象となる災害が異なります。

5号様式は仕事が原因となった業務災害用、16号の3は通勤が原因となった通勤災害用です。

実際によくある間違いが、出勤途中の事故について5号様式を用意してしまうケースです。

出勤や退勤の途中だからといって会社と無関係になるわけではありませんが、労災保険上は業務災害と通勤災害を区別して手続きします。

使用する様式を間違えると、書類の差し替えや追加確認が必要になる可能性があります。

発生場面 災害の区分 使用する様式 判断のポイント
勤務中の作業で負傷した 業務災害 5号様式 担当業務との関係を確認
業務命令による外出中に負傷した 業務災害となる可能性 5号様式 移動目的と会社の指示を確認
通常の経路で出勤中に事故に遭った 通勤災害 16号の3 住居と就業場所の往復か確認
通常の経路で退勤中に事故に遭った 通勤災害 16号の3 合理的な経路と方法か確認
取引先から会社へ戻る途中に事故に遭った 業務災害となる可能性 5号様式 業務上の移動か確認
帰宅途中に長時間私用を済ませた後に事故に遭った 通勤災害にならない可能性 個別判断 逸脱・中断の内容を確認

通勤災害における通勤とは

労災保険上の通勤は、一般的には、労働者が就業に関して住居と就業場所との間を、合理的な経路と方法によって往復することなどをいいます。

単に道路上で事故に遭ったというだけではなく、就業との関係、移動の起点と終点、経路、移動方法などを確認します。

たとえば、自宅から会社へ通常利用している道路を自動車で移動している途中の事故、自宅から最寄り駅まで徒歩で向かう途中の転倒、退勤後に会社から自宅へ帰る途中の交通事故などは、一般的には通勤災害として検討されます。

一方、休日に会社付近を私用で通行していた場合や、勤務とは関係なく友人宅へ向かっていた場合などは、通常、労災保険上の通勤には当たりません。

また、仕事を終えた後に私的な目的で合理的な経路を大きく外れたり、通勤とはいえないほど長時間の私用を行ったりした場合は、通勤の逸脱または中断が問題になります。

寄り道をした場合は必ず対象外になるのか

帰宅途中に寄り道をしたからといって、必ず通勤災害の対象外になるとは限りません。

日用品の購入、病院での診察、家族の介護など、日常生活上必要な一定の行為については、その行為を終えて合理的な通勤経路へ戻った後の移動が、再び通勤として扱われることがあります。

ただし、どのような寄り道でも認められるわけではありません。

飲食店で長時間の会食をした場合、娯楽施設へ立ち寄った場合、友人宅で長時間過ごした場合などは、逸脱や中断の内容によって通勤災害に該当しない可能性があります。

実際の判断では、立ち寄った目的、時間、場所、通常の経路からの距離などを確認します。

通勤災害用の16号の3には、通勤の経路や事故発生場所などを記載する欄があります。

必要に応じて経路図を記載するため、事故後は、どの道路を通っていたか、どこで事故に遭ったか、途中で立ち寄った場所があるかを整理しておきましょう。

移動中でも業務災害になるケース

移動中の事故がすべて通勤災害になるわけではありません。

出張先への移動、取引先への訪問、会社の指示による物品の購入、利用者宅への移動、現場から別の現場への移動など、移動自体が業務に含まれる場合は、業務災害として扱われる可能性があります。

たとえば、営業担当者が会社から取引先へ自動車で向かう途中に交通事故に遭った場合は、通常の出勤とは異なり、業務上の移動として業務災害を検討します。

また、自宅から直接取引先へ向かう直行や、取引先からそのまま帰宅する直帰では、事故が発生した時点や移動目的によって判断が分かれることがあります。

この区分は、会社の勤怠処理だけで決まるものではありません。

会社が移動時間を労働時間として扱っていない場合でも、労災保険上は業務上の移動と評価される可能性があります。

反対に、会社の敷地内に入る前の事故であっても、通常の通勤であれば通勤災害として扱われることがあります。

業務災害か通勤災害かは、単に事故が道路上で発生したかどうかでは判断できません。

事故当時の目的、会社の指示、移動経路、私的な寄り道の有無などを踏まえて判断します。

区分が分からないときは、所轄の労働基準監督署や社会保険労務士へ確認してください。

5号様式と16号の3を取り違えても、それだけで労災保険給付を受けられなくなるとは限りませんが、正しい様式への書き直しが必要になります。

受診先の医療機関にも事務負担が生じるため、事故が「勤務中の業務によるもの」なのか、「住居と就業場所の間の通勤によるもの」なのかを最初に確認することが重要です。

5号様式のダウンロード方法

5号様式は、労働基準監督署の窓口で受け取れるほか、厚生労働省のウェブサイトからダウンロードできます。

会社が独自に作成する書類ではなく、厚生労働省が定めた所定の様式を使用します。

現在は、厚生労働省のウェブサイトに、労災保険給付に関する主要な様式がまとめて掲載されています。

5号様式だけでなく、通勤災害用の16号の3、療養費を立て替えた場合に使用する7号、休業補償給付を請求する8号なども掲載されているため、様式番号と使用目的を確認してダウンロードしてください。

厚生労働省の 「主要様式ダウンロードコーナー(労災保険給付関係主要様式)」 には、仕事が原因のけがや病気について指定医療機関等で治療を受けるための第5号が掲載されています。

通勤が原因の場合は、同じ療養の給付関係の欄に第16号の3が掲載されています。

参照元を明確にしたい場合は、 厚生労働省「主要様式ダウンロードコーナー(労災保険給付関係主要様式)」 から最新の様式を確認してください。

ダウンロード時に確認する項目

検索結果から直接PDFを開くと、以前の様式や、似た名称の別の請求書を選んでしまうことがあります。

ダウンロードする際は、少なくとも次の点を確認してください。

  • 様式番号が第5号であること
  • 業務災害用・複数業務要因災害用であること
  • 療養の給付請求書であること
  • 厚生労働省または都道府県労働局の公式ページから取得していること
  • 提出時点で使用されている最新の様式であること

5号様式の正式名称には、療養補償給付だけでなく、複数事業労働者療養給付という文言も含まれています。

複数の勤務先で働く労働者について、複数の事業の業務上の負荷を総合的に評価する制度に対応した表記ですが、一般的な業務中のけがについても同じ第5号を使用します。

名称が以前と違って見えても、様式番号と用途を確認してください。

手書きとパソコン入力のどちらを選ぶか

5号様式には、印刷して手書きする方法と、PDF上で入力してから印刷する方法があります。

どちらを使用しても、必要事項が正確に記載され、所定の形式で提出できれば問題ありません。

手書きの場合は、事故直後でもすぐに作成しやすい点がメリットです。

一方、労働保険番号や会社所在地など数字や文字数の多い項目では、読み間違いが起きないよう丁寧に記載する必要があります。

パソコン入力の場合は、会社情報を読みやすく入力でき、同じ事故について病院分と薬局分を作成するときにも作業しやすいでしょう。

ただし、入力欄に文字が収まらない場合や、印刷時に文字がずれる場合があります。

入力後の画面だけで確認せず、必ず印刷物を見て文字切れがないか確認してください。

会社で様式のひな型を保存する場合

会社名、所在地、電話番号、労働保険番号など、通常変わらない情報を入力した社内用のひな型を用意しておくと、事故発生時の対応が早くなります。

ただし、古い様式を使い続けないよう、定期的に公式サイトの様式と照合してください。

OCR様式を印刷するときの注意点

5号様式は、機械による読み取りを前提としたOCR様式です。

手書きする場合は、文字や数字を指定された枠内に収め、読み取れる大きさではっきり記載します。

枠から大きくはみ出したり、数字を極端に崩して書いたりすると、内容確認に時間がかかる可能性があります。

印刷時には、プリンターの設定によって用紙全体が自動的に縮小されることがあります。

「用紙に合わせる」「ページに収める」といった設定が有効になっていると、原寸より小さく印刷される場合があるため注意してください。

原則として、公式ページや様式に記載された印刷上の注意に従い、指定された用紙サイズと倍率で印刷します。

印刷時は用紙を不用意に縮小しないことが大切です。

印刷設定によって様式の大きさが変わると、機械で正常に読み取れない可能性があります。

印刷後に用紙の端が欠けていないか、記入枠がすべて表示されているかも確認してください。

会社で複数部を印刷するときは、片面・両面の指定や裏面の注意事項も確認します。

裏面には記入上の注意が掲載されていることがあり、表面だけを見て記入すると、必要な情報を誤解する可能性があります。

また、ブラウザ上でPDFが正常に表示されない場合は、PDFファイルを一度端末に保存し、対応するPDF閲覧ソフトで開く方法があります。

入力可能なPDFであっても、使用するブラウザやソフトによって入力内容が保存されないことがあるため、印刷前に内容を確認してください。

古い様式を使用してよいか

労災保険関係の様式は、制度改正や押印廃止などによって変更されることがあります。

以前に会社で使用したPDFをそのまま複製すると、現在の様式と項目や注意書きが異なっている可能性があります。

古い様式で提出した場合に直ちに請求が無効になるとは限りませんが、差し替えや追記を求められれば、労働者、会社、医療機関のすべてに追加の手間が発生します。

受診を急ぐ場面では過去の様式を使いたくなるかもしれませんが、できる限り提出時点の公式様式を使用するのが安全です。

民間サイトが掲載している書式は、更新日や内容が確認できないことがあります。

労災保険の請求書は、厚生労働省または都道府県労働局などの公式サイトから取得してください。

様式の掲載場所や記載項目は変更される可能性があります。

正確な情報は公式サイトをご確認ください。

5号様式の提出先と手続き

5号様式の提出先と手続き

5号様式は、通常、労働者が労働基準監督署へ直接持参するのではなく、治療を受ける労災保険指定医療機関の窓口へ提出します。

医療機関を経由して、所轄の労働基準監督署長へ請求する仕組みです。

様式の宛先には労働基準監督署長と記載されていますが、労働者が5号様式を監督署へ直接提出してから病院を受診するという流れではありません。

指定医療機関で療養の給付を受ける場合は、まず受診先の窓口に提出し、医療機関が労災診療費の請求と併せて手続きを進めます。

ただし、病院によっては、初診時に5号様式を提出できない場合の取扱いや、後日提出できる期限、預り金の有無などが異なります。

受診前または受付時に、労災で受診することと、書類をいつ提出できるかを確認してください。

5号様式を提出するまでの基本的な流れ

  1. 労働者が会社へ事故の発生を報告する
  2. 必要に応じて救急要請や応急処置を行う
  3. 受診先が労災保険指定医療機関か確認する
  4. 病院の受付で仕事中のけがであることを伝える
  5. 労働者と会社が5号様式の必要事項を記入する
  6. 会社が事業主証明欄を記入する
  7. 労働者が医療機関の窓口へ5号様式を提出する
  8. 医療機関が必要事項を確認し、労災診療費を請求する

事故が起きた場合は、書類よりもけが人の救護を優先します。

緊急性が高ければ、指定医療機関かどうかを調べる前に最寄りの医療機関へ搬送することも必要です。

その結果、労災保険指定医療機関以外を受診した場合は、後から7号様式による費用請求を検討します。

会社には、事故の日時、場所、作業内容、発生原因をできるだけ早く報告してください。

口頭で報告した後に、社内の事故報告書やメールなど、記録に残る方法でも共有すると、後日の確認がしやすくなります。

会社側は、労働保険番号を確認するとともに、現場責任者や目撃者への聞き取りを行い、請求書に記載する内容と社内で把握している事実に食い違いがないか確認します。

監視カメラの映像や作業日報など、時間の経過によって失われる可能性がある資料は早めに確保しておきましょう。

労災発生時は、治療、5号様式の作成、社内調査を並行して進めることが重要です。

書類が完成するまで受診を待つ必要はありませんが、医療機関には最初から仕事中のけがであることを伝えてください。

5号様式が受診日に間に合わない場合

現実には、夜間や休日に事故が発生した場合、会社の担当者が不在の場合、労働保険番号をすぐ確認できない場合など、初診日に5号様式を用意できないことがあります。

この場合でも、病院の受付で仕事中のけがであることを明確に伝えてください。

医療機関によっては、後日の5号様式提出を前提として労災扱いで受け付ける場合があります。

一方、書類が提出されるまで預り金を求める場合や、いったん治療費の支払いを求める場合もあります。

医療機関ごとに取扱いが異なるため、「書類がないから健康保険で受診して後で考える」という判断を自分だけで行うのは避けたほうがよいでしょう。

受付に事情を説明し、5号様式を後日提出できるか、いったん支払う必要があるかを確認します。

会社側は、労働者から連絡を受けたら、可能な限り早く労働保険番号と事業主情報を確認し、書類を作成してください。

遠方の病院へ提出する場合は、郵送が可能か、本人が次回受診時に持参するか、医療機関へ事前に確認するとスムーズです。

受診先が労災保険指定医療機関か確認する

5号様式を使って療養の給付を受けるには、受診先が労災病院または労災保険指定医療機関等であることが基本です。

病院や診療所が健康保険を扱っているからといって、必ず労災保険指定医療機関であるとは限りません。

受診前に医療機関へ電話し、「労災保険指定医療機関ですか」「仕事中のけがで5号様式を提出できますか」と確認すると確実です。

医療機関検索や都道府県労働局の情報から確認できる場合もあります。

ただし、緊急時に指定医療機関を探すことへ時間をかけ、治療が遅れることは避けなければなりません。

救急搬送された先が指定医療機関ではなかった場合でも、治療を受けた後に療養費の請求手続きを行う方法があります。

指定医療機関でない病院を受診した場合

いったん治療費を負担し、原則として7号様式で療養に要した費用を請求します。

領収書などが必要になることがあるため、医療機関から受け取った書類は保管してください。

健康保険を使ってしまった場合

仕事中のけがであることを伝えず、健康保険証やマイナ保険証を使用して受診してしまうケースもあります。

業務災害には原則として健康保険を使用できないため、後から労災保険へ切り替える手続きが必要です。

切替方法は、受診した医療機関が請求を取り下げられる段階か、すでに健康保険への請求が済んでいるかなどによって異なります。

医療機関の窓口で精算できる場合もあれば、加入している健康保険へ医療費を返還した後、労災保険へ請求する場合もあります。

自分で健康保険の3割分だけを支払っているため、それをそのまま労災の治療費として請求できるとは限りません。

健康保険者が負担した分の精算も必要になるため、まずは受診した医療機関と加入する健康保険へ連絡してください。

仕事中のけがであることを伝えず、健康保険証やマイナ保険証を使って受診した場合は、医療機関や加入する健康保険への精算が必要になることがあります。

受付時には、必ず 仕事中のけがであること を伝えてください。

第三者が関係する事故の場合

交通事故や他社の従業員による事故など、労災の原因に第三者が関係している場合は、5号様式だけで手続きが完了しないことがあります。

第三者行為災害に関する届出、交通事故証明書、事故状況を示す書類などの提出を求められる場合があります。

たとえば、営業中に相手方の自動車に追突されて負傷した場合は、業務災害として労災保険を利用できる可能性がある一方、相手方の自動車保険との調整も必要になります。

労災保険と相手方からの損害賠償を同じ損害について二重に受け取ることはできないためです。

交通事故では、相手方の保険会社から「健康保険を使ってほしい」「自賠責で処理する」と案内されることがありますが、仕事中や通勤中の事故であれば、労災保険の利用も含めて検討します。

会社、労働基準監督署、保険会社の間で情報を整理し、どの制度をどの順番で利用するか確認してください。

5号様式の提出だけに意識が向きやすいところですが、会社側には、事故の内容に応じて労働者死傷病報告など別の届出が必要になる場合もあります。

労災保険給付の請求と、労働安全衛生法上の報告は別の手続きとして管理することが大切です。

薬局にも5号様式を提出する

病院で診察を受け、院外処方箋によって調剤薬局で薬を受け取る場合は、病院だけでなく薬局でも労災の手続きが必要です。

病院へ提出した5号様式が、自動的に薬局へ共有されるわけではありません。

院外処方では、病院や診療所と調剤薬局がそれぞれ別の機関として労災保険へ費用を請求します。

そのため、病院へ5号様式を1部提出しただけでは、薬局が労災扱いで薬剤費を請求するために必要な書類を確認できないことがあります。

利用する薬局が労災保険指定薬局であれば、通常はその薬局にも5号様式を提出し、薬剤の給付を受けます。

病院用に提出した書類とは別に、薬局へ提出する分を用意しておくと手続きがスムーズです。

実務では、会社が病院分だけを準備し、薬局分が必要だと後から気づくケースがよくあります。

病院で院外処方箋を発行された段階で、利用する薬局が労災保険指定薬局か、5号様式の原本が必要か、後日の提出が可能かを確認してください。

病院分と薬局分は別に用意する

病院と調剤薬局の両方を利用する場合は、提出先ごとに5号様式を作成するのが基本です。

病院へ提出した原本を返してもらい、薬局へ回すという意味ではなく、それぞれの機関へ提出する分を準備します。

会社が5号様式を作成するときは、院外処方の可能性を確認し、必要に応じて病院分と薬局分の2部を用意するとよいでしょう。

歯科診療、訪問看護など、複数の指定機関を利用する場合も、それぞれに必要な手続きを確認します。

提出先ごとに書類が必要になるのが基本です。

病院と調剤薬局の両方を利用する場合は、それぞれの窓口へ提出する分を準備してください。

ただし、医療機関や薬局の運用によって、書類の受け取り方法や提出時期が異なることがあります。

会社側が一律に判断するのではなく、利用する薬局へ直接確認するのが確実です。

労災保険指定薬局かどうかを確認する

一般の処方箋を受け付けている薬局であっても、必ず労災保険指定薬局であるとは限りません。

労災保険指定薬局でなければ、5号様式を提出して窓口負担なく薬を受け取る取扱いができない場合があります。

病院の近くにある薬局だから労災にも対応しているだろうと考えず、処方箋を提出する前に「労災保険指定薬局ですか」「業務災害の5号様式を提出できますか」と確認してください。

指定薬局でない場合は、薬代をいったん支払い、後日、療養に要した費用を請求する手続きが必要になることがあります。

その場合、領収書、調剤内容が分かる明細、薬局の証明などが必要になる可能性があるため、受け取った書類を保管します。

利用先 指定の有無 基本的な手続き
労災保険指定医療機関 指定あり 5号様式を提出して療養の給付
労災保険指定薬局 指定あり 薬局分の5号様式を提出
指定されていない医療機関 指定なし 費用を支払い7号様式で請求を検討
指定されていない薬局 指定なし 薬代を支払い費用請求を検討

薬局分の書類が間に合わない場合

事故当日に会社が病院分しか用意しておらず、診察後に院外処方となることもあります。

この場合は、薬局へ労災であることを伝え、5号様式を後日提出できるか確認してください。

薬局によっては、書類が届くまで薬代を預り金として受け取る場合や、いったん全額を支払うよう求める場合があります。

後日書類を提出したときに窓口で精算できるのか、費用請求が必要になるのかも併せて確認しましょう。

薬を受け取る際に健康保険を使用してしまった場合は、病院の場合と同様に、健康保険から労災保険への切替や精算が必要になることがあります。

薬局へ事情を説明し、加入している健康保険への連絡が必要か確認してください。

病院が労災指定でも、利用する薬局が労災指定とは限りません。

院外処方箋を受け取ったら、薬局の指定状況と必要書類を確認してください。

会社が準備しておきたい実務対応

会社では、労災事故が発生した際に、5号様式を1部だけ作成する運用ではなく、院外処方の有無を確認する仕組みを作っておくとよいでしょう。

担当者が本人へ「薬は院内処方か、院外処方か」「利用する薬局は決まっているか」と確認し、必要な部数を準備します。

また、初診後に別の診療科へ紹介された場合や、リハビリのため別の指定医療機関を利用する場合など、受診先が増えることもあります。

最初に提出した5号様式をすべての医療機関で共通して使えるわけではないため、受診先が変わるたびに必要な様式を確認してください。

労災の治療が長期化すると、病院、薬局、転院先、会社の間で、どこに何の書類を提出したか分からなくなることがあります。

会社側では、提出先、提出日、使用した様式、控えの保存場所を一覧で管理すると、本人から問い合わせを受けたときにも対応しやすくなります。

病院へ5号様式を出せば薬局の手続きも自動的に終わるわけではありません。

院外処方を受けた場合は、薬局にも労災であることを伝え、薬局分の書類を提出してください。

薬局の指定状況、必要な書類、窓口での支払い方法は個別の取扱いによって異なることがあります。

利用する薬局または所轄の労働基準監督署へ確認し、領収書や明細書は手続きが完了するまで保管してください。

続きがあります

労災の5号様式の書き方

5号様式は、労働者本人だけで完成させる書類ではありません。

労働者、会社、医療機関が、それぞれ担当する欄を記入します。

この章では、本人が確認する項目、労働保険番号、災害発生状況、事業主証明欄、訂正方法を実務的に解説します。

書類を早く提出することは大切ですが、事実と異なる内容や、後から説明できない内容を記載してしまうと、医療機関や労働基準監督署から確認を受ける可能性があります。

特に、災害発生日時、職種、事故の原因、負傷部位は、会社の事故報告書や労働者死傷病報告など、ほかの書類にも記載することがあります。

提出書類ごとに説明が変わらないよう、事故直後の段階で情報を整理しておきましょう。

記入前に事故の日時、場所、作業内容、原因、負傷した部位を整理しておくと、本人の記載と会社の証明内容が一致しやすくなります。

労働者本人が記入する項目

労働者本人に関する欄には、氏名、生年月日、住所、職種、負傷または発病した年月日などを記入します。

会社が書類を準備する場合でも、本人に内容を確認してもらい、事実と異なる記載がないようにしてください。

実務では、会社の担当者が5号様式の大部分を作成し、労働者本人は完成した書類を医療機関へ持参するケースも多くあります。

しかし、会社が代理で入力した場合でも、労働者本人に関する情報や事故状況について、本人が確認しないまま提出するのは避けたほうがよいでしょう。

本人の認識と会社の記載内容が異なっていると、後日、労働基準監督署から事情を聞かれたときに説明が食い違う可能性があります。

氏名・生年月日・住所の書き方

氏名や住所は、略称ではなく正確に記入します。

氏名のフリガナや生年月日の数字についても、記入欄の指定に従います。

旧字体や異体字を使用している場合は、本人確認書類や会社に届け出ている氏名を確認し、できる限り正式な表記に合わせます。

住所については、現在実際に生活している住所を記載するのが基本ですが、転居直後で会社へ住所変更を届け出ていない場合などは、社内資料と本人の現住所が一致しないことがあります。

住所が異なっていること自体で直ちに労災保険の対象外になるわけではありませんが、連絡先の確認が必要になる可能性があります。

どの住所を記載すべきか判断に迷う場合は、提出先へ確認してください。

電話番号を記載する欄がある場合は、日中に連絡を受けられる番号を記入します。

労働基準監督署が事故状況を確認するため、本人へ直接連絡する場合があるためです。

会社の電話番号だけを記載し、本人と連絡が取れない状態にならないよう注意しましょう。

職種は具体的に記載する

職種欄には、単に会社員、作業員、パートなどと書くのではなく、どのような仕事をしていたのかが分かる名称を記載します。

雇用形態ではなく、実際の仕事内容を表す名称を書くのがポイントです。

  • 建設作業員ではなく型枠大工
  • 介護職ではなく介護施設の介護職員
  • 工場勤務ではなく金属部品のプレス加工担当
  • 事務員ではなく経理事務担当
  • 運転手ではなく食品配送トラック運転手
  • 販売員ではなくスーパーマーケットのレジ担当

職種を具体的に記載することで、災害発生状況との関係が分かりやすくなります。

たとえば、腰痛を発症した場合でも、重量物を日常的に取り扱う倉庫作業員なのか、長時間の座位作業を行う事務職なのかによって、確認される業務内容が異なります。

複数の業務を担当している場合は、事故発生時に従事していた主な職務が分かるように記載するとよいでしょう。

正式な社内職種名が抽象的な場合は、括弧書きで具体的な作業内容を補足する方法もあります。

負傷・発病した日時を確認する

負傷または発病年月日は、原則として事故が発生した日を記入します。

時間を記載する欄では、可能な限り正確な時刻を確認してください。

事故発生直後に時計を見ていなかった場合は、作業日報、防犯カメラ、車両の運行記録、タイムカード、同僚の証言などから確認します。

数分単位まで断定できない場合は、実際の状況に応じて「午前10時頃」などと説明することもあります。

ただし、様式の数字欄には具体的な時刻を記載する必要があるため、無理のない範囲で時間を特定します。

会社側の事故報告書と異なる時刻を記載しないよう、双方で確認しておきましょう。

疾病の場合は、発病年月日の特定が難しいことがあります。

長期間の業務負荷によって症状が徐々に現れた場合や、受診後に職業性疾病の可能性を指摘された場合などです。

このようなケースでは、自己判断で日付を決めず、医療機関や労働基準監督署へ確認しながら記載することが適切です。

医学的な項目は医療機関へ任せる

傷病名や診療内容などの医学的な事項は、医師や医療機関が記入する部分です。

労働者や会社が推測して記載するのではなく、医療機関の判断に任せます。

本人が「捻挫だと思う」と感じていても、診断の結果、骨折や靱帯損傷が判明することがあります。

事故発生直後に痛みを感じた部位と、診察後に判明した傷病名が異なることも珍しくありません。

本人や会社は、負傷した身体部位や症状をありのまま説明し、正式な傷病名は医師の診断に基づいて記載してもらいます。

最初の受診では症状が軽くても、時間の経過とともに痛みやしびれが現れる場合があります。

新たな症状が出たときは、自己判断で請求書へ追記するのではなく、医師へ症状と事故との関係を説明してください。

事故の状況を実際より大きく見せたり、反対に会社へ遠慮して軽く書いたりしてはいけません。

後の調査や別の請求書との間で内容が食い違わないよう、 確認できた事実を正確に記載すること が基本です。

本人が提出前に確認したいチェック項目

確認項目 具体的な確認内容
氏名・住所 誤字や旧住所の記載がないか
生年月日 年・月・日の入力順を間違えていないか
職種 雇用形態ではなく具体的な仕事内容になっているか
事故日時 会社の記録や本人の認識と一致しているか
事故状況 事実と異なる内容や推測が含まれていないか
受診先 提出する医療機関名に誤りがないか

労働者本人にとっては、会社が作成した書類へ意見を言いづらい場合もあるかもしれません。

しかし、5号様式は本人の保険給付に関する重要な請求書です。

事故状況が違う、氏名や住所が間違っているなどの問題があれば、提出前に会社へ伝えて修正してください。

労働保険番号の確認方法

労働保険番号の確認方法

5号様式には、事業場の労働保険番号を記入する欄があります。

労働保険番号は、一般に、府県、所掌、管轄、基幹番号、枝番号で構成される14桁の番号です。

労働保険番号は、労災保険や雇用保険の適用事業を識別するための番号であり、健康保険の事業所記号、法人番号、雇用保険適用事業所番号とは異なります。

数字の並びが似ている資料もあるため、慣れていない担当者ほど取り違えやすいポイントです。

会社で確認できる主な書類

会社側では、労働保険の年度更新申告書の控え、労働保険関係成立届の控え、労働保険料の納付書などから確認できます。

年度更新を電子申請している場合は、申請データや電子公文書、前年の申告資料にも記載されています。

  • 労働保険概算・確定保険料申告書の控え
  • 労働保険関係成立届の事業主控え
  • 労働保険料の納付書
  • 労働保険事務組合から届いた年度更新資料
  • 社会保険労務士が作成した労働保険関係書類
  • 電子申請システムに保存された過去の申請データ

最も確認しやすいのは、直近の年度更新申告書の控えです。

ただし、会社が複数の労働保険番号を持っている場合は、単に最新の書類に記載された番号を転記すればよいとは限りません。

被災労働者が所属する事業や、事故が発生した工事の労働保険番号を確認する必要があります。

番号の種類 主な用途 労災5号様式への記入
労働保険番号 労災保険料・雇用保険料の申告など 原則として記入する
雇用保険適用事業所番号 雇用保険の資格取得・喪失など 記入しない
健康保険の事業所記号 健康保険の適用手続きなど 記入しない
法人番号 法人を識別する13桁の番号 労働保険番号ではない
社会保険の事業所整理記号 厚生年金保険・健康保険の事業所管理 記入しない

14桁の構成を理解しておく

労働保険番号は、一般に、府県2桁、所掌1桁、管轄2桁、基幹番号6桁、枝番号3桁の合計14桁で構成されます。

書類上では区切りごとに入力欄が分かれているため、番号を一続きに書くのではなく、それぞれの枠に対応する数字を記載します。

会社の資料にハイフン付きで表示されている場合は、区切りを確認しながら転記してください。

一つでも数字が違うと、別の事業場の番号として扱われる可能性があります。

特に、基幹番号や枝番号の先頭にゼロが含まれている場合、表計算ソフトで管理するとゼロが消えてしまうことがあるため注意が必要です。

担当者が番号を口頭で伝える場合も、聞き間違いが起きやすいため、可能であれば年度更新申告書などの原資料を見ながら入力しましょう。

メールやチャットで送る場合は、個人情報や会社情報の管理にも配慮してください。

建設業では工事ごとの番号に注意する

建設業では、元請工事について、工事ごとに労災保険関係が成立するのが原則です。

ただし、一定の要件を満たす工事については、有期事業の一括としてまとめて取り扱われる場合があります。

そのため、会社が通常使用している継続事業の労働保険番号ではなく、事故が発生した工事に対応する番号を記載するケースがあります。

建設現場で労災事故が起きた場合は、被災した労働者の雇用主だけでなく、工事の元請会社、現場名、工事期間、一括有期事業に含まれる工事かどうかを確認します。

下請会社の労働者が被災した場合、労災保険上は元請会社の労災保険を使用することがあるためです。

この点は、一般の事業会社の労災手続きとは異なり、実務上迷いやすいところです。

現場担当者が自社の年度更新番号をそのまま記載すると、後から番号の訂正を求められる場合があります。

建設業の事故では、元請会社の労務担当者、現場責任者、社会保険労務士などへ早めに確認してください。

労働保険事務組合へ委託している場合

労働保険事務組合へ労働保険事務を委託している会社では、事務組合から交付された年度更新資料や保険料納付関係書類で番号を確認できます。

事務組合加入前に使用していた番号と、委託後に使用している番号が異なるケースもあるため、古い資料を見て転記しないよう注意しましょう。

会社の代表者や家族従事者が労災保険の特別加入をしている場合は、一般の労働者の業務災害とは使用する情報や手続きが異なることがあります。

被災者が労働者なのか、特別加入者なのかを確認したうえで、事務組合へ問い合わせると確実です。

複数事業場がある場合

本店のほかに支店、店舗、工場、営業所などを運営している会社では、事業場ごとに異なる労働保険番号を持っている場合があります。

被災労働者の給与を本店で一括計算しているからといって、本店の番号を使用するとは限りません。

労働者が普段所属している事業場、事故当日に勤務していた事業場、労働保険料を申告している単位を確認します。

人事異動の直後に事故が起きた場合や、応援勤務先で事故が発生した場合は、どの事業場の番号を使うか迷いやすいため、労働基準監督署へ確認するのが安全です。

労働者本人が労働保険番号を把握していなくても不自然ではありません。

通常は会社の労務担当者、経営者、社会保険労務士または労働保険事務組合が資料を確認して記入します。

番号が分からないまま受診するとき

事故が夜間や休日に発生し、すぐに労働保険番号を確認できないこともあります。

その場合でも、治療を遅らせる必要はありません。

医療機関へ仕事中のけがであることを伝え、5号様式は後日提出できるか確認してください。

会社側では、翌営業日以降に年度更新資料などを確認し、できるだけ早く書類を作成します。

番号を確認できないからといって、推測した数字や雇用保険の番号を記載するのは避けてください。

労働保険番号は、会社の法人番号や雇用保険適用事業所番号とは異なります。

分からない場合は空欄のまま提出するのではなく、会社の年度更新担当者や専門家へ確認してください。

災害発生状況の記入例

災害の原因及び発生状況は、労災の5号様式の中でも特に重要な欄です。

単に作業中に転倒した、荷物を持って腰を痛めたとだけ記載するのではなく、事故が起きるまでの流れが第三者にも伝わるように書きます。

この欄は、労働基準監督署が業務とけがとの関係を確認するための重要な情報になります。

長く書けばよいわけではありませんが、事故の場所、作業内容、原因となった物や環境、身体の動き、負傷部位が分かるように記載する必要があります。

実務でよく見かけるのが、「仕事中に転んだ」「作業中にけがをした」「荷物を持って腰痛になった」といった短すぎる記載です。

これでは、どのような業務を行い、何が原因で、どのように負傷したかが分かりません。

後から問い合わせを受け、書類を追加で提出することになれば、かえって時間がかかります。

記載前に整理する5つの要素

記載するときは、次の要素を整理してください。

  • どこで発生したか
  • 誰が何の作業をしていたか
  • どのような物や設備を使用していたか
  • どのような動作や出来事があったか
  • 身体のどの部分をどのように負傷したか

私は、事故状況を整理するときには、 いつ、どこで、何をしていて、何が原因で、身体がどうなったか という順番で確認するようにしています。

この順番で本人へ質問すると、事故の全体像が整理しやすく、簡潔な文章にまとめやすくなります。

事故の評価や責任追及を書くのではなく、第三者が事故の動きを再現できる程度に、客観的な事実を記載することがポイントです。

転倒事故の記入例

令和○年○月○日午前10時頃、会社倉庫内で商品を台車に積み込むため移動していたところ、床に置かれていた梱包材に右足を取られて前方へ転倒し、床に右手をついた際に右手首を負傷した。

転倒事故では、単に転倒したという結果だけでなく、何につまずいたのか、床が濡れていたのか、段差があったのかなど、転倒の原因を記載します。

また、転倒時にどこを打ったか、手をついたのか、ひねったのかも説明します。

たとえば、「倉庫で転倒し右手首を負傷」と書くだけでは、業務中の移動だったのか、休憩中の私的な行動だったのか、転倒の原因が会社設備にあったのかが分かりません。

商品を運ぶために移動していた、床の梱包材に足を取られた、右手をついたという流れを記載すると、事故状況が具体的になります。

重量物を持ち上げた事故の記入例

令和○年○月○日午後2時頃、工場内で約20キログラムの資材を床から作業台へ持ち上げた際、腰部に強い痛みを感じ、その後も痛みが続いたため医療機関を受診した。

腰痛などでは、事故が一瞬の動作によって発生したのか、長期間の作業によって徐々に症状が現れたのかが重要になります。

重量物を持ち上げた瞬間に痛みを感じた場合は、物の重さ、持ち上げる前の位置、移動先、身体の姿勢、痛みが出たタイミングを記載します。

重量が正確に分からない場合は、無理に断定せず、商品規格や荷札、同じ製品の重量などから確認します。

「かなり重い荷物」では主観的なので、「約20キログラムの資材」のように具体的な目安を示すと分かりやすくなります。

一方、以前から腰痛があり、ある日に症状が悪化した場合は、既往症の有無や業務による悪化の状況が確認されることがあります。

以前から痛かったことを隠すのではなく、医療機関へ正確に説明してください。

機械による事故の記入例

令和○年○月○日午前9時30分頃、工場内で金属部品のプレス加工を行っていた際、加工済み部品を取り出そうとして右手指が機械の可動部分に接触し、右手人差し指を負傷した。

機械災害では、使用していた機械の種類、事故時の運転状態、安全装置の有無、どの部分に身体が接触したかを整理します。

ただし、5号様式の限られた記入欄へ、機械構造や事故原因の分析をすべて記載する必要はありません。

事故の基本的な流れを簡潔に記載し、詳細は社内事故報告書や労働者死傷病報告で整理します。

「本人が誤って手を入れた」といった責任を断定する表現は避け、何をしようとして、どのように接触したかを客観的に書きます。

安全装置が作動しなかったなどの事実が確認できる場合は、その内容も必要に応じて記載します。

交通事故の記入例

令和○年○月○日午後3時頃、会社の指示により社用車で取引先から事業場へ戻るため市道を走行中、交差点で赤信号のため停止していたところ、後方から走行してきた車両に追突され、頸部および腰部を負傷した。

交通事故では、業務上の移動であったこと、車両の種類、走行または停止の状況、相手車両との接触状況を記載します。

相手方の過失割合を5号様式で断定する必要はありません。

警察や保険会社の判断前に「相手が100%悪い」などと書くのではなく、停止中に後方から追突されたといった客観的な状況を記載します。

交通事故の場合は、5号様式のほかに第三者行為災害に関する書類が必要になることがあります。

事故証明書、相手方の氏名や連絡先、車両番号、保険会社などの情報も早めに整理しておきましょう。

切創事故の記入例

令和○年○月○日午前11時頃、飲食店の厨房で調理のため包丁を使用して野菜を切っていたところ、包丁が滑って左手人差し指に当たり、同指を切創した。

刃物による事故では、どのような作業で刃物を使っていたか、刃物がどのように動き、身体のどこへ当たったかを記載します。

業務に関係する調理中の事故であることが分かるようにし、単に「包丁で指を切った」とだけ記載しないようにします。

介護業務中の事故の記入例

令和○年○月○日午前8時30分頃、介護施設の居室内で利用者をベッドから車椅子へ移乗介助していた際、利用者の身体が傾いたため支えようとして腰部に強い痛みを感じた。

介護や医療の現場では、利用者や患者の個人情報へ配慮する必要があります。

5号様式には、事故状況を説明するために必要な範囲で記載し、利用者の氏名や病状など、不要な個人情報まで詳しく書かないようにします。

移乗介助中の腰痛では、介助人数、福祉用具の使用状況、利用者の動き、本人の身体の向きなどが確認されることがあります。

社内の事故報告では、再発防止のためにさらに詳しく検証するとよいでしょう。

記入を避けたい表現

避けたい表現 問題点 改善例
本人の不注意で転倒した 主観的な責任評価になっている 床の梱包材に足を取られて転倒した
重い荷物で腰を痛めた 作業内容や重量が不明 約20キログラムの資材を床から持ち上げた際に腰部へ痛みが生じた
仕事中にけがをした 原因と負傷状況が不明 プレス加工中に右手指が機械の可動部分へ接触した
相手が悪く交通事故になった 過失を断定している 信号停止中に後方車両から追突された

記入例はそのまま転用するものではありません。

実際の事故状況に合わせて、確認できた事実を記載してください。

誰かの不注意を強調する文章や、必要以上に主観的な評価を加える必要はありません。

また、請求書の記載は、会社が作成する労働者死傷病報告や社内の事故報告書と整合している必要があります。

同じ事故について、発生時刻、作業内容、事故原因が書類ごとに異なると、事実確認に時間がかかる可能性があります。

いつ、どこで、何をしていて、何によって、どこを負傷したか の順番で整理すると、簡潔で分かりやすい文章になります。

会社が記入する事業主証明欄

5号様式には、事業主が災害の発生年月日や発生状況などを証明する欄があります。

会社は労働者から報告を受けたら、現場責任者、同僚、目撃者などへ確認し、把握した事実に基づいて記入します。

事業主証明は、単に会社名と代表者名を書けば終わる欄ではありません。

会社が、被災者を労働者として使用していたこと、記載された事故日時や発生状況について把握している事実を証明する役割があります。

事業主証明は労災認定ではない

事業主証明は、会社が労災保険の支給を決定する手続きではありません。

会社は、雇用関係や事故の発生状況など、自社で確認できる事実を証明します。

最終的に労災保険給付の対象になるかどうかを判断するのは、所轄の労働基準監督署です。

会社が証明したから必ず労災として認定されるわけではなく、反対に、会社が労災ではないと考えているから請求できないわけでもありません。

この点は、労働者側にも会社側にも誤解が多いところです。

たとえば、労働者が安全手順に反する方法で作業していた場合でも、仕事として行っていた作業中の事故であれば、本人の不注意だけを理由に労災の対象外になるとは限りません。

会社は、事故原因の評価とは分けて、確認できた事実を記載します。

会社が最初に確認する事項

労働者から事故の報告を受けたら、会社は次の事項を確認します。

  • 被災労働者の氏名、所属、職種、雇用形態
  • 事故が発生した年月日と時刻
  • 事故が発生した場所
  • 事故当時に行っていた作業
  • 事故の原因となった設備、物、環境
  • 負傷した身体部位と受診先
  • 事故を目撃した人の有無
  • 救急搬送や警察への届出の有無
  • 休業の見込み

確認内容は、できる限り記録に残します。

電話で聞き取っただけで終わらせず、事故報告書、メール、チャット、聞き取りメモなどの形で保存しておくと、後日説明が必要になったときに役立ちます。

現場写真、防犯カメラ映像、機械の稼働記録、作業手順書など、時間の経過によって失われる資料は早めに確保してください。

労災申請のためだけでなく、再発防止や会社の安全配慮義務を検討するうえでも重要です。

会社が労災ではないと考える場合

中小企業では、事故原因がはっきりしないことや、会社が業務災害に当たらないと考えていることを理由に、証明を保留してしまうケースがあります。

しかし、会社が労災該当性に疑問を持っている場合でも、確認できる事実まで証明しないことが適切とは限りません。

会社の認識と労働者の主張が異なる場合は、無理に内容を一致させるのではなく、労働基準監督署へ事情を説明する方法があります。

たとえば、労働者は業務中に負傷したと主張しているものの、会社側では事故を目撃した人がおらず、当日の報告もなかったという場合です。

この場合、会社は確認できない内容まで事実として証明する必要はありません。

一方で、労働者がその日に勤務していたこと、担当業務、報告を受けた日時など、確認できる事実は整理できます。

会社の見解や確認できない理由を別途説明し、判断を労働基準監督署へ委ねることが考えられます。

労働者は、事業主証明が得られない場合でも、事情を説明して請求できる可能性があります。

会社が証明を拒否すれば申請自体を完全に止められる、という仕組みではありません。

労災申請をしたことを理由として、労働者に不利益な取扱いをすることは避けなければなりません。

会社は、事故原因の調査、再発防止、必要な労働基準監督署への報告を、給付請求とは別に進める必要があります。

代表者名や会社情報の書き方

事業主証明欄を記入するときは、会社名、所在地、代表者の職氏名なども正式な表記で記載します。

株式会社を省略したり、店舗名だけを書いたりすると、どの事業主が証明しているのか分かりにくくなることがあります。

法人の場合は、法人の正式名称、代表者の役職と氏名を記載します。

個人事業の場合は、屋号だけではなく事業主本人の氏名も確認します。

支店や営業所で事故が発生した場合でも、証明者を支店長とするのか法人代表者とするのかは、会社の権限関係や提出先の運用を踏まえて確認してください。

現在、労災保険の請求書では押印を求められない取扱いが一般的ですが、様式の改定や個別事情もあるため、使用する最新様式の注意事項を確認してください。

押印がないことだけを理由に、社内で誰でも自由に証明できるわけではありません。

会社として証明権限を持つ人が内容を確認する運用が必要です。

派遣労働者が被災した場合

派遣労働者が派遣先でけがをした場合、労災保険給付の手続きは、原則として派遣元事業主の労災保険を使用します。

一方、事故現場の状況は派遣先が詳しく把握していることが多いため、派遣元と派遣先が連携して事実を整理する必要があります。

派遣先だけで5号様式を作成したり、派遣元へ連絡せず処理したりすると、労働保険番号や事業主証明を誤る可能性があります。

事故発生後は、派遣先が救護と現場確認を行い、速やかに派遣元へ連絡します。

労働者死傷病報告についても、派遣元と派遣先の双方に関係する取扱いがあるため、5号様式だけで対応を終わらせないよう注意してください。

下請労働者が建設現場で被災した場合

建設業の数次請負現場では、下請会社の労働者が被災しても、労災保険は原則として元請事業者の保険関係を使用します。

被災者の直接の雇用主である下請会社の労働保険番号を記載するとは限りません。

事業主証明についても、元請会社と雇用主である下請会社のどちらがどの欄を確認するか、現場の関係を整理する必要があります。

事故直後に、元請会社の現場責任者、下請会社の担当者、労働保険事務を担当する専門家の間で連絡を取ってください。

建設現場では、現場名称、工事の元請会社、労働保険番号、事故発生場所を取り違えやすいため、過去の別現場の書類を流用しないよう注意しましょう。

5号様式以外に会社が確認する手続き

労働者が休業した場合は、治療に関する5号様式だけで手続きが完了するわけではありません。

休業補償給付を請求する場合は、原則として別途8号様式を使用します。

また、休業日数などの条件によっては、労働者死傷病報告を労働基準監督署へ提出する必要があります。

会社は、次の手続きを分けて管理すると漏れを防げます。

手続き 目的 主な担当
5号様式 指定医療機関で治療の給付を受ける 労働者・会社・医療機関
8号様式 休業補償給付を請求する 労働者・会社・医療機関
労働者死傷病報告 一定の労働災害を監督署へ報告する 会社
社内事故報告 原因分析と再発防止を行う 会社
第三者行為災害届 交通事故など第三者が関係する事故を届け出る 労働者・会社

5号様式の証明は事故対応の一部です。

会社は、治療手続きだけでなく、休業の管理、安全対策、法定報告の要否まで確認してください。

記入ミスを訂正する方法

5号様式の記入を誤った場合は、修正液や修正テープで文字を完全に消すのではなく、一般には誤った部分に二重線を引き、その付近に正しい内容を記載します。

修正液を使うと、何が記載されていたか確認できなくなり、書類の信用性を損なう可能性があります。

訂正後も誤記部分が読める状態にし、どこをどのように直したか分かるようにします。

軽微な誤りは二重線で訂正する

氏名の一文字、電話番号の一桁、事故時刻など、訂正箇所が少なく、正しい内容を近くへ明確に記載できる場合は、二重線による訂正が一般的です。

労災保険関係の様式は、押印廃止に伴い、訂正印を求められない取扱いが基本となっています。

ただし、提出先や訂正内容によって確認を求められる場合があるため、医療機関から案内を受けたときはその指示に従ってください。

二重線を引く際は、誤った文字全体を塗りつぶさず、元の記載内容を確認できるようにします。

正しい内容は、訂正箇所の上部や余白など、どの項目の訂正か分かる位置へ記載します。

重要項目を大きく間違えた場合

労働保険番号を全く別の事業場の番号で記載した場合、災害発生日を誤った月で記載した場合、事故状況の文章全体を書き直す必要がある場合などは、新しい用紙へ書き直したほうが確実です。

何度も二重線を引いて訂正すると、OCRで読み取りにくくなるだけでなく、医療機関や労働基準監督署が正しい内容を判断できなくなる可能性があります。

書き直しに少し時間がかかっても、読みやすい書類を提出したほうが、結果として手続きが早く進むことがあります。

特に、次の項目は誤りがあると確認に時間がかかる可能性があります。

  • 労働保険番号
  • 負傷または発病年月日
  • 労働者の氏名と生年月日
  • 災害の発生状況
  • 事業場の名称と所在地
  • 受診した医療機関の名称
  • 業務災害と通勤災害の区分

5号様式と16号の3を間違えた場合

業務災害用の5号様式を提出した後に、実際には通勤災害であることが分かった場合は、単なる記入ミスの訂正では済まず、通勤災害用の16号の3へ差し替える必要があります。

反対に、通勤途中の事故だと思っていたものが、会社の指示による移動中の事故であり、業務災害として扱うべきケースもあります。

このような場合は、自分で様式番号を書き換えず、医療機関と労働基準監督署へ事情を説明し、必要な書類を確認してください。

様式番号の誤りは、二重線による訂正で対応するものではありません。

業務災害と通勤災害の区分を確認し、正しい様式を作成し直してください。

提出後に誤りが判明した場合

医療機関へ提出した後に誤りへ気づいた場合は、まず提出先の医療機関へ連絡します。

医療機関がまだ労災診療費を請求していない場合は、書類を差し替えられることがあります。

すでに医療機関から労働基準監督署へ請求が行われている場合は、追加書類や訂正書類の提出を求められる可能性があります。

自分の判断で別の5号様式を重ねて提出すると、同じ事故について複数の請求があるように見える場合があるため、提出先の指示に従ってください。

会社の控えだけを修正し、医療機関へ提出した原本をそのままにするのも避けるべきです。

会社の記録と提出書類に食い違いが残るため、どの書類をいつ訂正したか記録しておきましょう。

パソコン入力後の確認ポイント

パソコンで入力した場合も、印刷後に文字切れや位置ずれがないか確認します。

画面上では枠内に収まっていても、印刷すると文字の末尾が欠けたり、別の欄へ重なったりすることがあります。

特に数字の桁が多い労働保険番号、住所、災害発生状況の文章は、印刷物で確認してください。

PDFへ入力した内容を保存できていないまま閉じることもあるため、完成データを保存し、会社控えとして適切に管理します。

個人情報を含むため、共有フォルダへ保存するときはアクセス権限を確認してください。

事故報告や診断情報を、必要のない従業員まで閲覧できる状態にすることは避けるべきです。

提出前に、 本人記入欄、会社記入欄、医療機関へ依頼する欄が混在していないか を確認してください。

誰が記入すべきか分からない欄を、推測で埋めないことが大切です。

提出前の最終確認表

確認項目 確認内容
様式番号 業務災害用の第5号で間違いないか
労働保険番号 最新資料から転記した正しい14桁か
本人情報 氏名、生年月日、住所に誤りがないか
事故日時 会社の事故記録と一致しているか
事故状況 原因と負傷の流れが具体的に書かれているか
事業主証明 会社情報と証明内容に漏れがないか
印刷状態 文字切れ、縮小、ページ欠けがないか
提出部数 病院分、薬局分など必要部数を用意したか

訂正方法について医療機関から個別の案内を受けた場合は、その案内に従ってください。

提出先によって確認方法が異なることもあるため、不明な点は提出前に問い合わせると安心です。

6号・7号・8号との違い

6号・7号・8号との違い

労災保険には複数の様式があり、番号だけでは用途が分かりにくいものです。

5号様式と混同しやすい6号、7号、8号、16号の3の違いを整理します。

使用する様式を選ぶときは、まず業務災害か通勤災害かを確認し、次に指定医療機関で治療そのものを受けるのか、治療費を立て替えて費用請求するのか、転院するのか、休業補償を請求するのかを確認します。

様式 主な使用場面 手続きの特徴
5号様式 業務災害で労災指定医療機関を受診 治療そのものを給付として受ける
6号様式 業務災害で指定医療機関を変更 転院先などへ変更届を提出する
7号様式 業務災害で指定医療機関以外を受診 支払った療養費を後から請求する
8号様式 業務災害によって仕事を休んだ 休業補償給付などを請求する
16号の3 通勤災害で労災指定医療機関を受診 通勤災害用の療養給付請求書

6号様式を使う場合

業務災害について、すでに労災保険指定医療機関で治療を受けており、その後、別の指定医療機関へ転院するときは、原則として6号様式を使用します。

正式には、療養補償給付及び複数事業労働者療養給付たる療養の給付を受ける指定病院等変更届です。

たとえば、事故直後に近隣の指定病院で応急処置を受け、その後、自宅近くの整形外科へ通院を変更する場合や、専門的な治療を受けるため別の病院へ紹介される場合などが考えられます。

最初の病院へ5号様式を提出し、次の病院にも新たな5号様式を提出するのではなく、指定医療機関から別の指定医療機関へ変更する場合は6号様式を使用するのが基本です。

ただし、最初に受診した医療機関が労災保険指定医療機関ではなかった場合や、転院先が指定医療機関ではない場合は、単純に6号様式だけで処理できないことがあります。

受診先の指定状況と、これまでどの様式を提出したかを確認してください。

6号様式のポイント

  • 業務災害の治療先を変更するときに使用する
  • 転院先が労災保険指定医療機関か確認する
  • 転院前後の医療機関へ必要な手続きを確認する

7号様式を使う場合

労災保険指定医療機関以外で治療を受け、治療費を自分で支払った場合は、7号様式によって療養に要した費用を請求します。

5号様式が現物給付であるのに対し、7号様式は立て替えた費用を後から請求する点が大きな違いです。

救急搬送によって指定医療機関以外を受診した場合、近隣に指定医療機関がなかった場合、仕事中のけがと伝えないまま治療費を全額支払った場合などに、7号様式を使用することがあります。

7号様式には、診療費、薬剤費、柔道整復師による施術費など、請求する費用の種類に応じた様式があります。

単に「7号」とだけ覚えるのではなく、どの費用を誰へ支払ったかによって使用する用紙を確認してください。

7号様式による請求では、医療機関の証明や領収書などが必要になることがあります。

支払時に受け取った領収書、診療明細書、薬剤情報などは処分せず、手続きが完了するまで保管してください。

健康保険を使用して一部負担金だけを支払った場合は、本人が支払った金額の領収書だけでは手続きが完結しない場合があります。

健康保険者が負担した医療費の返還手続きが必要になる可能性があるため、受診した医療機関と健康保険者へ確認します。

指定外医療機関で支払った費用が、すべて無条件に支給されるわけではありません。

労災保険の対象となる治療か、費用が必要かつ相当な範囲かなどが確認されます。

8号様式を使う場合

8号様式は、業務災害によって療養のため仕事を休み、賃金を受けられなかった日について、休業補償給付と休業特別支給金を請求するための書類です。

5号様式は治療に関する請求、8号様式は休業中の所得補償に関する請求であり、目的が異なります。

治療を受けながら仕事を休んでいる場合は、条件に応じて両方の手続きが必要です。

休業補償給付を受けるには、一般に、業務上の負傷や疾病の療養のため、労働することができず、賃金を受けていないことなどの要件を確認します。

単に会社を休んだというだけで自動的に支給されるものではありません。

休業の最初の3日間は待期期間とされ、業務災害の場合、事業主に労働基準法上の休業補償が必要になることがあります。

4日目以降は、要件を満たせば労災保険から休業補償給付等が支給されます。

待期期間の考え方、休日を含めるか、会社から賃金の一部が支払われている場合の取扱いなどは、個別の勤怠状況によって確認が必要です。

会社は、欠勤日、有給休暇を使用した日、賃金を支払った日を正確に管理してください。

休業補償給付は、休業したすべての日について一律に支給されるものではありません。

待期期間、賃金の支払い状況、療養のため労働できない状態かどうかなど、複数の要件を確認する必要があります。

16号の3を使う場合

16号の3は、通勤災害によって労災保険指定医療機関等で治療を受けるときに使用します。

5号様式との大きな違いは、業務災害用か通勤災害用かという点です。

通勤災害では、住居、就業場所、事故発生場所、通常の通勤経路、移動方法、寄り道の有無などを確認します。

そのため、16号の3には通勤の状況を説明するための項目があります。

会社から帰宅する途中の事故であっても、取引先から会社の指示により別の現場へ移動していた場合などは、通勤災害ではなく業務災害となる可能性があります。

単に「会社の外で起きた事故」という理由で16号の3を使用しないよう注意してください。

どの様式を使うか迷ったときの考え方

確認する質問 該当する場合 検討する様式
仕事中または業務上の移動中の事故か はい 業務災害用の様式
通常の出勤・退勤途中の事故か はい 通勤災害用の様式
最初の労災指定医療機関で治療を受けるか はい 5号または16号の3
指定医療機関から別の指定医療機関へ転院するか はい 6号に対応する様式
治療費をすでに自分で支払ったか はい 7号に対応する様式
治療のため仕事を休み賃金を受けていないか はい 8号に対応する様式

通勤災害の場合は、5号、6号、7号、8号にそれぞれ対応する通勤災害用の様式があります。

番号だけで判断せず、業務災害用か通勤災害用かを必ず確認してください。

様式を選ぶ順番は、災害区分、受診先の指定状況、治療費の支払状況、転院や休業の有無です。

この順番で整理すると、自分のケースに必要な書類を判断しやすくなります。

労災の5号様式を正しく提出しよう

労災の5号様式は、仕事が原因となったけがや病気について、労災保険指定医療機関で治療の給付を受けるための書類です。

業務災害であること、受診先が指定医療機関であることを確認したうえで使用します。

事故直後は、けがの痛みや現場対応で混乱しやすく、書類の準備まで気が回らないこともあります。

まずは救護と治療を優先し、そのうえで、医療機関へ仕事中のけがであることを伝え、会社へ事故を報告してください。

書類が初診日に間に合わなくても、労災であることを伝えずに健康保険を使用すると、後から精算が複雑になることがあります。

5号様式を後日提出できるか、預り金が必要かなどを受診先へ確認しましょう。

労働者が確認するポイント

  • 事故が業務中か通勤中かを整理する
  • 病院の受付で仕事中のけがであることを伝える
  • 会社へ事故日時、場所、作業内容を報告する
  • 会社が作成した5号様式の内容を本人も確認する
  • 院外処方の場合は薬局にも労災であることを伝える
  • 領収書や診療明細書を保管する
  • 症状の変化や休業状況を会社へ共有する

会社に報告するときは、「けがをしました」だけではなく、いつ、どこで、何をしていて、どのように負傷したかを伝えてください。

事故当日は軽い痛みでも、翌日以降に症状が悪化することがあります。

症状が変化した場合は、医療機関と会社へ共有します。

会社が確認するポイント

  • 被災者の救護と受診先の確保
  • 労災保険指定医療機関かどうかの確認
  • 正しい労働保険番号の確認
  • 事故状況と目撃者の確認
  • 5号様式の事業主証明
  • 病院分と薬局分の必要部数の確認
  • 休業補償給付の対象となるかの確認
  • 労働者死傷病報告の提出要否の確認
  • 事故原因の分析と再発防止

会社側も、5号様式への記入だけで対応を終わらせず、事故状況の記録、再発防止策の検討、労働者死傷病報告の提出が必要かどうかを確認してください。

労災保険の給付請求と、会社に課される安全管理や報告の義務は別の手続きです。

受診が決まった段階で早めに会社へ連絡し、労働保険番号と事業主証明の準備を依頼することが、手続きをスムーズに進めるポイントです。

提出前の総合チェックリスト

確認項目 チェック内容
災害区分 業務災害であり5号様式を使うケースか
受診先 労災保険指定医療機関か
様式 最新の第5号を使用しているか
本人情報 氏名、生年月日、住所、職種が正しいか
労働保険番号 事故に対応する正しい14桁の番号か
事故状況 日時、場所、作業、原因、負傷部位が分かるか
会社証明 会社名、所在地、代表者名に誤りがないか
薬局 院外処方の場合に薬局分を用意したか
別の給付 転院、立替払い、休業に必要な別様式を確認したか
会社の届出 労働者死傷病報告などの要否を確認したか

書類の控えを保存する

5号様式を医療機関へ提出すると、会社や労働者の手元に原本が残らないことがあります。

提出前にコピーやPDFを保存し、何をいつどこへ提出したか記録しておくとよいでしょう。

特に、病院と薬局へ複数部を提出した場合や、後から転院した場合は、書類の提出先が分からなくなりやすいです。

会社では、事故ごとに管理表を作成し、提出日、提出先、様式番号、休業期間、監督署への報告状況を一覧で管理すると実務が安定します。

ただし、5号様式には労働者の氏名、住所、傷病情報などの個人情報が含まれます。

紙の控えは施錠できる場所へ保管し、電子データはアクセス権限を限定してください。

会社が作っておきたい労災対応の流れ

労災事故が発生してから、担当者がその都度手続きを調べると、5号様式の提出が遅れやすくなります。

会社では、事故発生時の連絡先と対応手順をあらかじめ決めておくとよいでしょう。

  1. 現場責任者が救護と会社への報告を行う
  2. 担当者が受診先の指定状況を確認する
  3. 本人と目撃者から事故状況を聞き取る
  4. 労働保険番号を確認して5号様式を作成する
  5. 病院と薬局へ提出する必要部数を確認する
  6. 休業や法定報告の要否を確認する
  7. 事故原因を分析し再発防止策を実施する

労災手続きは、単に申請書を作成する業務ではありません。

労働者が必要な治療を受けられるよう支援し、同じ事故を繰り返さないよう職場環境を改善するところまでが会社の重要な対応です。

実務上のポイント

5号様式の会社情報だけを事前入力したひな型、事故報告書、受診先確認票、労災対応チェックリストを用意しておくと、事故発生時の初動が早くなります。

様式は定期的に最新版へ更新してください。

判断に迷ったら早めに確認する

実際の手続きでは、事故の状況、受診先、転院の有無、健康保険を使用してしまったかどうかなどによって必要書類が変わります。

建設現場、派遣労働者、複数事業場、交通事故などでは、通常の社内事故より確認事項が増えることがあります。

一度誤った様式で処理を進めると、病院、薬局、会社、健康保険者など複数の機関で訂正が必要になる場合があります。

分からない状態で書類を提出するより、医療機関や労働基準監督署へ早めに確認したほうが、結果として手続きを短くできることが多いですよ。

様式や運用が変更される可能性もあるため、 正確な情報は公式サイトをご確認ください。

個別の事情によって業務災害と通勤災害の判断が難しい場合や、会社と労働者の認識が一致しない場合は、所轄の労働基準監督署、労災保険相談ダイヤルまたは社会保険労務士へ確認してください。

最終的な判断は専門家にご相談ください。

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