こんにちは。
もりおか社会保険労務士事務所、社会保険労務士の川熊です。
再就職手当は、一律に「もらわない方がいい」とは言えません。
再就職手当を受け取る場合と、就職を遅らせて失業手当を受け続ける場合では、受け取る給付だけでなく、再就職先から得られる賃金や受給期間の残りまで含めて比較する必要があるからです。
特に誤解されやすいのが、「再就職手当をもらうと失業手当の残りが全部なくなる」「失業手当を満額もらってから就職した方が得」という考え方です。
実際には、再就職手当を受け取った後でも一定の支給残日数が残る場合がありますし、就職して失業状態でなくなれば、そもそも基本手当を受け続けることはできません。
この記事では、再就職手当を受け取る場合と受け取らない場合に何が変わるのか、再び離職した場合はどうなるのか、過去3年の受給歴をどう考えるのかまで、判断に必要なポイントを整理します。
- 再就職手当を受け取ると何が変わるのか
- 支給残日数と失業手当の関係
- 再離職した場合に残日数を使える条件
- 受け取るか迷ったときの比較ポイント

再就職手当はもらわない方がいいのか
再就職手当について考えるときは、「再就職手当だけでいくらになるか」を見るのではなく、受け取らない場合に何が起きるのかまでセットで考える必要があります。
まずは、受け取ると本当に損なのか、制度の仕組みから整理していきます。
一律に受け取ると損とは言えない
再就職手当を受け取ると、基本手当の支給残日数のすべてを100%の金額で受け取るわけではありません。
そのため、「失業手当を全部もらった方が金額は多いのでは」と感じるのは自然です。
ただし、この比較には大きな前提があります。
基本手当を引き続き受け取るためには、原則として失業の状態にあり、求職活動を続けている必要があります。
つまり、基本手当を受け続けるという選択は、一般的には再就職をその分だけ後ろへずらすことになります。
比較すべきなのは「再就職手当」と「基本手当の満額」だけではありません。
早く就職した場合には、再就職手当に加えて再就職先から賃金を受け取れます。
反対に、就職を遅らせれば、その期間の主な収入は基本手当になります。
| 比較項目 | 再就職手当を受け取る | 基本手当を受け続ける |
|---|---|---|
| 前提 | 一定の要件を満たして再就職する | 失業状態を続けて認定を受ける |
| 雇用保険からの給付 | 支給残日数に応じた60%または70%相当を一括受給 | 認定された日数分の基本手当を受給 |
| 仕事からの収入 | 再就職先の賃金がある | 原則として再就職先の賃金はない |
| 残日数 | 再就職手当に相当する日数を受給済みとして計算 | 基本手当を受けた日数分だけ減少 |
| 期限 | 再離職時は受給期間と残日数を確認 | 受給期間を過ぎれば残日数があっても原則使えない |
実務上、「損をしたくないので再就職手当を申請しない方がいいでしょうか」という相談では、実は「再就職手当を申請するかどうか」ではなく、 今の就職機会を選ぶのか、それとも就職を遅らせて基本手当を受けるのか が本当の比較になっていることが少なくありません。
なお、就職自体はするものの再就職手当だけ申請しない、という選択も考えられます。
しかし、就職して失業状態でなくなれば、その期間について基本手当を受けられるわけではありません。
単に申請しなかったからといって、その分の基本手当が自動的に支払われる仕組みではない点には注意が必要です。
判断のポイント
再就職手当を受け取るかどうかは、給付額だけでなく、再就職先の賃金、就職する時期、支給残日数、受給期間の満了日を一緒に確認して判断することが重要です。
再就職手当は基本手当の前借りではない

再就職手当について非常に多い誤解が、「失業手当を先にまとめてもらう制度」という理解です。
しかし、再就職手当は単純な基本手当の前借りではありません。
再就職手当は、基本手当の受給資格がある方が早期に安定した職業へ再就職した場合に、一定の要件を満たすことで支給される就職促進給付です。
支給要件の全体と金額の計算手順は 再就職手当の条件と金額の計算方法 で解説しています。
代表的な要件として、就職日の前日までの失業認定を受けた後の 基本手当の支給残日数が、所定給付日数の3分の1以上あること があります。
支給残日数が所定給付日数の3分の2以上残っている場合は70%、3分の1以上残っている場合は60%の給付率で計算されます。
再就職手当の基本的な計算方法
基本手当日額 × 支給残日数 × 70%または60%
たとえば、基本手当日額が6,000円、再就職時の支給残日数が90日あり、70%の給付率に該当すると仮定します。
上限額などを考慮しない単純な例では、6,000円×90日×70%で、再就職手当は378,000円となります。
一方、その90日間について失業状態を続け、すべて基本手当として受け取ることができれば、単純計算では540,000円です。
ここだけを比べると162,000円の差があるため、「再就職手当を受け取ると損」と感じるかもしれません。
しかし、再就職手当を受け取るケースでは、その90日間ずっと無収入でいるわけではなく、再就職先から賃金を受け取ります。
この賃金を無視して給付だけを比較すると、実際の家計に入ってくる金額とは異なる結論になってしまいます。
また、再就職手当の計算に使用する基本手当日額には上限があります。
2026年8月1日以降の上限額は、60歳未満が6,745円、60歳以上65歳未満が5,454円とされています。
これらの金額は毎年8月1日に改定される可能性があるため、実際に計算するときは最新の金額を確認してください。
失業手当そのものの基本手当日額や所定給付日数の考え方については、 失業手当はいくらもらえる?
計算方法と給付日数のポイントで詳しく整理しています。
受け取っても支給残日数は全部消えない
「再就職手当を受け取ったら、残っている失業手当が全部なくなるのではないか」という心配もよくあります。
しかし、再就職手当を受けたからといって、支給残日数のすべてが一律にゼロになるわけではありません。
再就職手当を受けた場合は、 再就職手当に相当する日数分について、基本手当の支給を受けたものとして支給残日数が計算されます。
分かりやすくするため、基本手当日額が再就職手当の上限額以下である単純なケースを考えてみます。
支給残日数が90日あり、70%の給付率で再就職手当を受け取った場合、90日の70%にあたる63日分が受給済みとして扱われるイメージです。
この場合、計算上は27日分が残ります。
60%の給付率であれば、同じ90日のうち54日分が再就職手当に相当し、計算上は36日分が残ることになります。
| 再就職前の支給残日数 | 給付率 | 受給済み扱いの目安 | 残る日数の目安 |
|---|---|---|---|
| 90日 | 70% | 63日 | 27日 |
| 90日 | 60% | 54日 | 36日 |
ただし、これは制度を理解するための単純な例です。
実際の支給残日数は、それまでの認定状況や基本手当日額の上限、受給期間などによって確認が必要になります。
個別の残日数については、受給資格者証や受給資格通知を確認したうえで、ハローワークで確認してください。
ここで重要なのは、 「再就職手当を受ける=残っていた基本手当が全部消滅する」ではない ということです。
再就職後に職場が合わず再び離職した場合、新たな基本手当の受給資格を取得していなければ、就職前の受給資格について、受給期間内かつ残っている支給日数の範囲で基本手当を再開できる場合があります。
そのため、「再就職してもすぐ辞めるかもしれないから、再就職手当を受け取るのは怖い」と考えている場合も、まずは現在の受給期間満了日と、再就職手当支給後にどれだけ残日数が残る可能性があるのかを確認することが大切です。
受け取らないなら就職を遅らせる必要がある

再就職手当を受け取らない方がいいか考えるときに、最も整理しておきたいのが「受け取らないとは何を意味するのか」です。
大きく分けると、二つのケースがあります。
一つは、再就職をせず失業状態を続けて基本手当を受給するケース。
もう一つは、再就職はするものの再就職手当を申請しないケースです。
この二つは結果が大きく異なります。
後者の場合、就職して失業状態ではなくなっている以上、再就職手当を申請しなかったからといって、その間に基本手当が支給されるわけではありません。
再就職手当を申請しないだけでは基本手当が増えるわけではありません。
基本手当を100%の給付率で受け続けるためには、原則として失業状態を継続し、失業認定を受ける必要があります。
つまり、「再就職手当の70%ではなく基本手当を100%もらいたい」という比較をするのであれば、実質的には 再就職する時期を後ろへずらして基本手当を受け続ける という選択との比較になります。
ここには機会損失があります。
たとえば、基本手当が1日6,000円であれば、30日分は単純計算で18万円です。
一方、再就職先の月給が25万円であれば、就職を1か月遅らせたことによって、基本手当は受けられても、その期間に得られたはずの賃金は発生しません。
もちろん、給与には税金や社会保険料がかかる一方、雇用保険の失業等給付は原則として非課税です。
そのため額面だけで単純比較することはできません。
それでも、「失業手当を満額もらえるか」だけで判断するのではなく、 再就職を遅らせる期間に失う賃金まで考える ことが重要です。
また、受給期間にも期限があります。
基本手当の受給期間は原則として離職日の翌日から1年間です。
支給残日数がたくさん残っていても、受給期間の満了日を過ぎれば、原則として残りを使うことはできません。
私がこのような相談を受ける場合も、最初に見るのは「再就職手当はいくらになるか」だけではありません。
受給資格者証に記載された 基本手当日額、支給残日数、受給期間満了日 の3つを確認します。
この3つが分からなければ、受け取る場合と受け取らない場合を具体的に比較することが難しいからです。
失業手当を全部もらう場合の注意点
失業手当を全部もらってから就職した方が得ではないか、と考える方もいます。
確かに、基本手当だけを比較すれば、認定された日については基本手当日額の100%が支給されるため、60%または70%で計算される再就職手当より大きく見えます。
ただし、所定給付日数分をすべて受け取れることが最初から保証されているわけではありません。
まず、基本手当を受けるには失業状態であることに加え、就職する意思と能力があり、求職活動を行っていることが前提になります。
単に「給付を全部使い切ってから働こう」と決めて何もしなくても受給できる制度ではありません。
失業手当の受給条件や認定までの流れについては、 失業手当のもらい方|条件・金額・申請手順のポイント で全体像を解説しています。
また、基本手当には受給期間があります。
たとえば受給期間の満了まであと40日しかないにもかかわらず、支給残日数が60日残っている場合、通常はその60日すべてを使えるとは限りません。
「支給残日数が残っている=いつでもその日数分を受け取れる」という仕組みではない点に注意が必要です。
さらに、基本手当を受けながらアルバイトなどを行う場合には、働いた事実を申告する必要があります。
働いた時間や収入、契約内容によって、その日の基本手当が支給されない、減額される、支給が後ろへ繰り越されるなど取扱いが変わることがあります。
「全部もらう」こと自体を目的にしないことが大切です。
基本手当は失業中の生活を支えながら再就職を促進する制度です。
良い就職先が見つかったのであれば、残っている失業手当だけを理由に就職時期を遅らせることが、家計全体で有利とは限りません。
再就職手当をもらわない方がいいケース
再就職手当については、全員に共通する損得の答えはありません。
「もらわない方がいいのでは」と迷う場合には、支給残日数、給付率、再就職先の賃金、受給期間の残り、再就職先の安定性、過去の受給歴という順番で条件を整理すると判断しやすくなります。
支給残日数と給付率で損得は変わる
再就職手当を比較するときに、最初に確認したいのが基本手当の支給残日数です。
再就職手当は、いつ再就職しても同じ額になるわけではありません。
就職日の前日までの失業認定を受けた後の支給残日数が、所定給付日数の3分の2以上残っていれば給付率は70%、3分の1以上で3分の2未満であれば60%です。
そして、3分の1未満になると、原則として再就職手当の対象になりません。
たとえば所定給付日数が90日の方であれば、60日以上残して再就職すれば70%、30日以上60日未満なら60%という考え方になります。
| 支給残日数 | 再就職手当の給付率 | 考え方 |
|---|---|---|
| 所定給付日数の3分の2以上 | 70% | 早期再就職ほど給付率が高い |
| 3分の1以上3分の2未満 | 60% | 対象だが給付率は下がる |
| 3分の1未満 | 原則対象外 | 再就職手当を受けられない |
この仕組みを考えると、「もう少し失業手当を受け取ってから就職しよう」と就職時期を遅らせることで、かえって再就職手当の給付率が70%から60%に下がったり、最終的には再就職手当自体を受けられなくなったりする可能性があります。
一方で、支給残日数がすでに3分の1に近づいているケースでは、再就職手当の金額自体がそれほど大きくならないこともあります。
どこまで失業手当を受けたかによって比較結果は変わります。
実務では、まず受給資格者証や受給資格通知の「所定給付日数」「支給残日数」「基本手当日額」を確認します。
そのうえで、現在の残日数なら70%なのか60%なのか、次の認定日まで待った場合に給付率が変わらないかを確認すると、数字で比較しやすくなります。
なお、再就職手当の支給要件は支給残日数だけではありません。
1年を超えて勤務することが確実と認められることなど複数の要件がありますので、単純に残日数だけで受給できると判断しないようにしてください。
古いインターネット記事では「就業手当」と再就職手当を比較している場合がありますが、就業手当は2025年4月1日から廃止されています。
古い制度説明を見る際は情報の時点にも注意が必要です。
再就職先の賃金と就職時期を比較する

再就職手当の損得を考えるうえで、支給残日数と同じくらい重要なのが再就職先の賃金です。
失業手当だけを比較すると、「基本手当を100%受ける方が、再就職手当の70%より得」という計算になります。
しかし、この考え方では再就職した後に受け取る給与が抜けています。
たとえば基本手当日額が6,000円、支給残日数が90日あるとします。
90日すべての基本手当を受け取れた場合の単純計算は540,000円です。
一方、70%で再就職手当を受ける場合は378,000円です。
雇用保険の給付だけを見ると162,000円の差があります。
しかし、早く再就職した人は、その期間中に再就職先から給与を受け取ります。
そのため、実際の比較は次のようになります。
| 選択 | 雇用保険からの収入 | 仕事からの収入 |
|---|---|---|
| 失業状態を続ける | 基本手当 | 原則として再就職先の賃金なし |
| 早く再就職する | 再就職手当 | 再就職先の賃金あり |
再就職先の賃金が基本手当より大きければ、就職を遅らせるほど機会損失が大きくなる可能性があります。
特に月給制の正社員などで一定の給与が確保される場合、雇用保険から受け取れる金額だけを理由に就職を遅らせることが、家計全体では不利になるケースがあります。
反対に、再就職先の賃金が低く、雇用の継続にも不確定要素が多い場合には、単純な給与額だけでは判断できません。
仕事の内容、雇用期間、労働条件、通勤費なども含めて確認する必要があります。
また、再就職手当の支給を受けた方が同じ事業主に6か月以上雇用され、再就職後6か月間の賃金が離職前より低下しているなどの要件を満たす場合には、 就業促進定着手当 を受けられる可能性があります。
就業促進定着手当は、再就職手当の支給を受けていることが要件の一つです。
そのため、再就職手当を受け取らなければ、この追加給付の対象にもなりません。
再就職後の給与が下がる見込みがある方は、再就職手当だけでなく就業促進定着手当まで含めて確認しておくとよいでしょう。
なお、再就職手当を含む雇用保険の失業等給付は原則として非課税です。
「再就職手当を受け取ると税金が増えるから受けない方がいい」という理由だけで判断する必要はありません。
再離職しても基本手当を受けられる場合がある
再就職手当を受け取るか迷う方の中には、「新しい会社が合わず、試用期間中に辞めるかもしれない」という不安を持つ方もいます。
実際によくある相談です。
ここで知っておきたいのは、再就職手当を受け取った後に退職したとしても、必ず基本手当を一切受けられなくなるわけではないということです。
再就職後に再び離職した場合は、大きく二つに分けて考えます。
新しい受給資格を取得した場合
再就職先で一定期間雇用保険に加入し、その後離職して新しい基本手当の受給資格を取得した場合には、原則としてその新しい受給資格に基づいて基本手当を受けることになります。
この場合、就職前の受給資格は消滅します。
基本手当の受給資格は、原則として離職前2年間に被保険者期間が通算12か月以上必要ですが、倒産や解雇など一定の離職理由に該当する場合は、離職前1年間に6か月以上で受給資格を得られる場合があります。
実際の判定は離職理由や被保険者期間によって異なります。
新しい受給資格を取得しない場合
再就職先での雇用期間が短いなどの理由で新しい受給資格を取得できなかった場合には、 就職前の受給資格の受給期間内で、なおかつ支給残日数が残っていれば、以前の基本手当を再開できる場合があります。
この場合、再就職手当として支給された部分に相当する日数については、基本手当を受給済みとして支給残日数が計算されます。
そのため、再就職手当を受け取る前と同じ残日数に戻るわけではありませんが、残りがすべてゼロになるとも限りません。
再離職時に最も注意したいのは受給期間です。
支給残日数が残っていても、就職前の受給資格の受給期間がすでに満了していれば、原則としてその残日数をそのまま使うことはできません。
再離職した場合は、できるだけ早くハローワークで求職申込みをしてください。
なお、再就職手当を受給した方が受給期間内に倒産や解雇などで離職し、基本手当を再開しても当初の受給期間満了時点で支給残日数が残る場合には、一定の要件のもとで受給期間が延長される取扱いがあります。
具体的には、離職日の翌日から支給残日数に14日を加えた日数まで延長される場合があります。
この取扱いは離職理由や残日数などによって判断が必要ですので、「再就職手当を受けた後に辞めれば必ず使える」と考えず、再離職した時点でハローワークへ確認することが大切です。
また、再就職手当には、原則として1年を超えて勤務することが確実と認められることなどの要件があります。
最初から短期間だけ働く契約で、1年を超える雇用が見込まれない場合には、そもそも再就職手当の対象とならない可能性があります。
過去3年の受給歴も判断材料になる

再就職手当を受けるかどうかで見落とされやすいのが、過去3年間の受給歴に関する要件です。
再就職手当を受けるためには、原則として 就職日前3年以内の就職について、再就職手当または常用就職支度手当の支給を受けていないこと が必要です。
そのため、今回再就職手当を受け取り、その後再び離職して別の会社へ再就職する場合、次の就職日が今回の受給に関係する就職から3年以内であれば、過去3年間の受給歴が次回の再就職手当の要件に影響することになります。
たとえば、転職を短期間で繰り返す可能性が比較的高い方にとっては、この3年のルールも判断材料の一つになります。
「今回受け取るか、それとも将来の再就職時に受けられる可能性を残しておくか」という視点です。
ただし、将来もう一度離職するかどうか、次回の離職で基本手当の受給資格を得られるか、その後の再就職が再就職手当の要件を満たすかは、現時点では確定していません。
そのため、 「3年以内に転職するかもしれない」という可能性だけで、現在受けられる再就職手当を必ず辞退した方がいいとは言えません。
私なら、まず現在受けられる再就職手当の見込額を確認し、そのうえで今後3年間の働き方をどの程度具体的に想定しているのかを整理します。
たとえば、今回の会社で長く働く予定であれば3年ルールの影響は相対的に小さくなります。
一方、もともと期間限定のキャリア形成を考えており、数年以内の転職を具体的に予定しているのであれば、判断材料としての重要度は上がります。
なお、「短期間で辞めるつもりだから再就職手当を受けない」という考え方については注意が必要です。
再就職手当には1年を超えて勤務することが確実と認められることなどの要件があるため、雇用契約や就職時点の見込みによっては、そもそも支給要件を満たさないことがあります。
3年ルールを確認するときの考え方
- 現在の再就職手当はいくらになるのか
- 今後3年以内の転職を具体的に予定しているか
- 今回の再就職先で長期勤務する可能性はどの程度か
- 将来の再就職手当は現時点では確定していないこと
再就職手当はもらわない方がいいとは限らない
再就職手当をもらわない方がいいかどうかについては、一律の答えはありません。
確かに、失業状態を続けて基本手当を受給すれば、認定された日については基本手当日額の100%を受け取ります。
それに対して、再就職手当は支給残日数の60%または70%を基準として計算されます。
この部分だけを見れば、基本手当を使い切った方が大きく見えるのは事実です。
しかし、再就職手当を受け取るケースでは、早く再就職して給与を得られます。
さらに、再就職後の賃金が離職前より低い場合には、一定の要件を満たすことで就業促進定着手当を受けられる可能性もあります。
反対に、基本手当を満額に近いところまで受けようとすれば、それだけ再就職を遅らせることになり、給与を得る機会を失う可能性があります。
また、基本手当の受給期間は原則として離職日の翌日から1年間であるため、支給残日数を最後まで使い切れるとは限りません。
再就職手当を受けた後に再び離職したとしても、新しい受給資格を取得しなかった場合には、就職前の受給期間内かつ支給残日数の範囲で、基本手当を再開できる場合があります。
そのため、「再就職手当を受けたら残りがすべてなくなる」という前提で判断する必要もありません。
私が確認したいのは次の5点です。
- 現在の基本手当日額
- 現在の支給残日数
- 受給期間の満了日
- 再就職先の賃金と雇用の見込み
- 過去3年間の再就職手当等の受給歴
特に重要なのは、 「再就職手当を受け取るか」だけを単独で考えないこと です。
「受け取らない場合には自分は何をするのか」まで具体的に置き換えると判断しやすくなります。
すでに条件の良い就職先が決まっているのであれば、再就職手当を受けないためだけに就職を遅らせることが合理的とは限りません。
一方、就職条件が不安定で、受給期間や今後の転職予定などにも特殊な事情がある場合には、個別に確認した方がよいケースがあります。
最終的には、受給資格者証または受給資格通知を手元に置き、基本手当日額、支給残日数、受給期間満了日を確認してください。
そのうえで、再就職手当の見込額と再就職後の賃金を比較すると、判断材料がかなり明確になります。
再就職手当の支給可否や支給残日数、再離職した場合の取扱いは、個々の雇用保険加入期間、離職理由、受給状況などによって異なります。
制度改正や毎年の金額改定もあるため、 正確な情報は公式サイトをご確認ください 。
最新情報は、 ハローワークインターネットサービスの就職促進給付 や、 厚生労働省の基本手当・再就職手当に関するQ&A で確認できます。
具体的な支給可否や、受け取る場合と受け取らない場合の比較について迷う場合は、ハローワークでご自身の受給状況を確認したうえで、 最終的な判断は専門家にご相談ください 。