こんにちは。
もりおか社会保険労務士事務所、社会保険労務士の川熊です。
最初に結論をお伝えすると、再就職手当は、基本手当の支給残日数が所定給付日数の3分の1以上あり、その他の支給要件も満たして早期に再就職した場合に受け取れる可能性があります。
支給残日数が3分の2以上なら支給率は70%、3分の1以上3分の2未満なら60%です。
申請は、原則として就職した日の翌日から1か月以内に行います。
再就職先に記入してもらう書類もあるため、就職が決まった段階から手続きの流れを把握しておくことが大切です。
再就職手当は、失業手当を最後までもらってから就職する人だけが有利にならないよう、早期の再就職を促すために設けられている雇用保険の給付です。
ただし、「早く就職すれば必ずもらえる」という制度ではなく、待期期間、就職経路、再就職先、雇用期間、過去の受給歴なども確認されます。
この記事では、再就職手当の条件、支給残日数の考え方、金額の計算方法、給付制限中に就職した場合の扱い、申請方法まで順番に整理します。
- 再就職手当を受け取るための条件
- 支給残日数と60%・70%の違い
- 再就職手当の金額を計算する方法
- 申請期限や必要書類などの手続き

再就職手当の条件と支給額
再就職手当は、単に失業手当を受けている途中で就職すれば自動的にもらえる制度ではありません。
支給残日数だけでなく、7日間の待期が終わっているか、再就職先で1年を超えて働くことが確実と認められるか、前職との関係はないか、過去3年間に再就職手当などを受けていないかといった複数の要件を確認します。
特に混同しやすいのが、 支給残日数が3分の1以上必要という受給要件 と、 3分の2以上残っていると支給率が70%になるという計算上の分岐 です。
この2つは役割が違います。
3分の1は「対象になるための最低ライン」、3分の2は「70%になるライン」と分けて理解してください。
再就職手当の対象になる条件
再就職手当は、雇用保険の基本手当を受ける資格がある方が、早期に安定した職業へ再就職した場合などに支給される就職促進給付の一つです。
失業手当を受けられる日数を一定以上残して再就職した人に、その残日数の一部をまとめて支給する仕組みです。
ただし、「失業手当が残っている」という理由だけでは支給されません。
再就職手当には複数の支給要件があり、原則としてそれらをすべて満たす必要があります。
- 受給手続き後の7日間の待期が満了した後に就職または事業を開始していること
- 就職日の前日までの失業認定を受け、基本手当の支給残日数が所定給付日数の3分の1以上あること
- 離職した前の事業主への再就職ではないこと
- 前の事業主と資本・資金・人事・取引面で密接な関係がある事業主への就職ではないこと
- 給付制限がある一定の期間中はハローワーク等の紹介による就職であること
- 1年を超えて勤務することが確実と認められること
- 原則として雇用保険の被保険者となること
- 過去3年以内に再就職手当または常用就職支度手当を受けていないこと
- 受給資格決定前から採用が内定していた事業主への就職ではないこと
1年を超えて働く見込みも重要
実務上、支給残日数と同じくらい確認しておきたいのが、 再就職先で1年を超えて勤務することが確実と認められるか という点です。
たとえば、雇用期間が6か月で「契約更新なし」と明記されている場合は、通常、1年を超えて勤務することが確実とはいえません。
一方で、6か月や1年の有期契約であっても、更新することが予定されている契約であれば、契約内容や更新条件を踏まえて判断されます。
ここで注意したいのが、単に契約書に「更新の可能性あり」と書かれていれば必ず対象になるわけではないことです。
一定の売上目標や成績を達成しなければ更新しないなど、更新に厳しい条件が付いている場合は、1年を超えて勤務することが確実とは認められない可能性があります。
派遣労働者も同様です。
派遣先で働く期間だけを見るのではなく、雇用主である派遣元との雇用契約がどうなっているか、契約更新が見込まれるかを確認します。
採用や雇用契約書の確認をしていると、この「派遣先」と「雇用主」を混同しやすいところです。
待期満了前の就職は対象にならない
また、雇用保険の受給手続きをした後には、原則として7日間の待期があります。
再就職手当は、この待期が満了した後に就職することが要件です。
待期は単純に申請日から7日経過すれば完成するとは限りません。
待期期間中に働き、失業状態ではなかった日などがあると、その日は待期に含まれない場合があります。
そのため、短期アルバイトなどをしている方は特に注意してください。
事業を始める場合も対象になることがある
再就職手当という名称から、会社に雇用された場合だけの制度と思われがちですが、一定の要件を満たして事業を開始した場合も対象になることがあります。
ただし、自営業を開始する場合も、受給資格や待期、支給残日数などの要件があります。
さらに、給付制限を受けている方が事業を開始する場合には、開始時期にも注意が必要です。
会社員として再就職する場合と同じ感覚で判断せず、事業開始前にハローワークへ相談しておく方が安全です。
再就職手当は「就職した事実」だけで判断する制度ではありません。
雇用契約期間、前職との関係、採用が決まった時期、就職経路なども確認されます。
特に有期契約、派遣、グループ会社への転職、自営業開始の場合は、就職や開業の前に管轄のハローワークへ確認しておくことをおすすめします。
制度の基本的な支給要件は、ハローワークインターネットサービスでも確認できます。
(出典:ハローワークインターネットサービス「就職促進給付」)
失業手当そのものの受給条件や手続きから確認したい方は、 失業手当のもらい方と申請手順 もあわせて確認してください。
支給残日数は3分の1以上必要

再就職手当を受けるための中心的な条件が、 基本手当の支給残日数が所定給付日数の3分の1以上残っていること です。
ここでいう「所定給付日数」と「支給残日数」は似ていますが、意味が違います。
所定給付日数は、あなたが基本手当を最大で何日分受けられるかを示す日数です。
一方、支給残日数は、そのうち再就職時点でまだ支給を受けていない日数を指します。
たとえば所定給付日数が90日の方が、すでに基本手当を40日分受け取り、再就職時点で50日残っているとします。
この場合の支給残日数は50日です。
90日の3分の1は30日なので、50日残っていれば「3分の1以上」という要件を満たします。
所定給付日数ごとの最低残日数
所定給付日数ごとに、60%・70%の対象となる残日数を整理すると次のとおりです。
| 所定給付日数 | 再就職手当の対象となる最低残日数 | 70%となる残日数 |
|---|---|---|
| 90日 | 30日以上 | 60日以上 |
| 120日 | 40日以上 | 80日以上 |
| 150日 | 50日以上 | 100日以上 |
| 180日 | 60日以上 | 120日以上 |
| 210日 | 70日以上 | 140日以上 |
| 240日 | 80日以上 | 160日以上 |
| 270日 | 90日以上 | 180日以上 |
| 300日 | 100日以上 | 200日以上 |
| 330日 | 110日以上 | 220日以上 |
| 360日 | 120日以上 | 240日以上 |
表の左から2列目は「再就職手当を受けるために最低限必要となる残日数」です。
3列目は、そのうち支給率70%になる残日数です。
たとえば所定給付日数90日の方なら、30日以上残っていれば再就職手当の対象になり得ます。
30日から59日なら60%、60日以上なら70%という関係です。
支給残日数は就職日の前日までで確定する
支給残日数を考えるときに重要なのが、 就職日の前日までの失業認定を受けた後の残日数 を使うことです。
たとえば「受給資格者証を見るとまだ60日残っているから70%だろう」と自己判断しても、その後に基本手当を受けた日数があれば、実際の残日数は減っています。
再就職手当の計算では、就職日の前日までに基本手当として支給される日数を反映した後の残日数を確認します。
実務上、ここは非常に大切です。
再就職が決まったからといって、次の認定日を待たずに何も手続きをしなくてよいわけではありません。
就職日が決まったらハローワークへ連絡し、就職日前日までの失業認定をどのように受けるか確認してください。
支給残日数の考え方
- 所定給付日数は基本手当を最大何日受けられるかという日数
- 支給残日数は再就職時点でまだ残っている日数
- 3分の1以上残っていることが再就職手当の入口要件
- 3分の2以上残っていれば支給率が70%になる
- 就職日の前日までの失業認定後の残日数で判断する
なお、延長給付により追加された支給日数は、再就職手当を計算するときの支給残日数には含まれません。
所定給付日数や基本手当日額そのものの仕組みを確認したい方は、 失業手当はいくらもらえるかを解説した記事 も参考にしてください。
3分の2以上なら支給率70%
支給残日数についてもう一つ重要なのが、所定給付日数の 3分の2以上を残して再就職すると、再就職手当の支給率が70%になる という仕組みです。
この「3分の1」と「3分の2」は、検索している方が最も混同しやすい部分だと思います。
制度を理解するときは、それぞれの役割を分けて考えてください。
3分の1以上 は、再就職手当の対象となるための最低ラインです。
3分の2以上 は、対象となった人の支給率が60%から70%へ上がるラインです。
90日の場合で考えると分かりやすい
所定給付日数が90日の場合を例にしてみましょう。
90日の3分の1は30日、3分の2は60日です。
そのため、支給残日数が29日以下なら、支給残日数の要件を満たしません。
30日以上59日以下であれば60%、60日以上なら70%です。
| 支給残日数 | 判定 | 支給率 |
|---|---|---|
| 29日以下 | 支給残日数の要件を満たさない | 対象外 |
| 30日以上59日以下 | 3分の1以上 | 60% |
| 60日以上 | 3分の2以上 | 70% |
「3分の2以上残っていなければ再就職手当はもらえない」と考えている方もいますが、これは誤解です。
所定給付日数90日の方で支給残日数が50日なら、70%にはなりませんが、他の要件を満たせば60%の再就職手当の対象になり得ます。
270日の場合でも考え方は同じ
所定給付日数270日の場合は、3分の1が90日、3分の2が180日です。
したがって、90日以上179日以下なら60%、180日以上なら70%です。
所定給付日数が多くなっても計算の考え方自体は変わりません。
あなた自身の所定給付日数を確認し、その3分の1と3分の2が何日なのかを先に計算すると判断しやすくなります。
早く就職するほど70%になりやすい
基本手当を受け取る前、あるいは受け取り始めて間もない時期に再就職すると、通常は支給残日数が多く残っています。
そのため、結果的に70%の区分に入りやすくなります。
ただし、ここで「70%をもらうために、とにかく早くどこかへ就職した方が得」と考えるのはおすすめしません。
再就職手当は一時的な給付ですが、再就職先の給与、仕事内容、通勤時間、勤務時間、雇用の安定性などは、その後の生活に長く影響します。
この記事では「再就職手当をもらう・もらわないのどちらが得か」という比較までは扱いませんが、少なくとも再就職手当だけを理由に就職先を決める制度ではないと考えてください。
再就職手当は「失業手当を使わずに残した分をそのまま全額受け取る制度」ではありません。
残日数に対して60%または70%を乗じる仕組みです。
その代わり、早期に再就職して給与を得ながら、再就職手当を一括で受け取れる可能性があります。
再就職手当の金額を計算する方法

再就職手当の金額は、基本的には次の計算式で求めます。
基本手当日額 × 支給残日数 × 60%または70%
計算自体はそれほど難しくありません。
ポイントは、①基本手当日額、②就職日の前日までの失業認定後の支給残日数、③60%と70%のどちらになるか、の3つを正しく確認することです。
所定給付日数90日・残日数90日の計算例
基本手当日額4,000円、所定給付日数90日の方が、基本手当を受け取る前の給付制限期間中などに再就職し、支給残日数が90日残っていたとします。
90日の3分の2は60日です。
支給残日数90日は60日以上ですから、支給率は70%です。
4,000円 × 90日 × 70% = 252,000円
この例では、再就職手当は252,000円となります。
所定給付日数270日・残日数228日の計算例
次に、基本手当日額4,000円、所定給付日数270日の方で、就職日の前日までの失業認定後の支給残日数が228日だったケースを考えます。
270日の3分の2は180日です。
228日は180日以上なので、70%の区分です。
4,000円 × 228日 × 70% = 638,400円
所定給付日数270日・残日数178日の計算例
同じく基本手当日額4,000円、所定給付日数270日の方でも、支給残日数が178日だった場合は結果が変わります。
270日の3分の2は180日ですから、178日では70%の基準に2日足りません。
一方、3分の1の90日以上は残っているため、再就職手当の対象となる残日数要件は満たし、支給率は60%です。
4,000円 × 178日 × 60% = 427,200円
このように、所定給付日数そのものではなく、 実際に何日残して再就職したか によって支給率と金額が変わります。
基本手当日額には再就職手当用の上限がある
もう一つ注意したいのが、計算に使う基本手当日額には上限があることです。
2026年8月1日から2027年7月31日までの再就職手当に係る基本手当日額の上限は、離職時の年齢が60歳未満の場合は 6,745円 、60歳以上65歳未満の場合は 5,454円 です。
たとえば受給資格者証に記載された基本手当日額がこれを上回っている場合でも、再就職手当の計算では上限額までしか使用しません。
この上限額は毎年8月1日に改定される可能性があります。
そのため、この記事を将来読んでいる場合は、現在の金額を必ず確認してください。
ここで示した金額は制度を理解するための一般的な計算例です。
実際の再就職手当は、就職日の前日までの失業認定、基本手当日額、支給残日数、年齢などによって決まります。
1円未満の端数は切り捨てとなります。
正確な情報は公式サイトをご確認ください。
現在の支給率や基本手当日額の上限は、前述のハローワークインターネットサービス「就職促進給付」で最新情報を確認してください。
待期や給付制限中の就職条件
自己都合退職をした方から再就職手当について相談を受けるとき、特によく出てくるのが「まだ給付制限中なので、今就職すると再就職手当はもらえませんよね」という疑問です。
結論からいうと、 給付制限中に就職しても、それだけで再就職手当の対象外になるわけではありません。
むしろ基本手当をまだ受給していないため支給残日数が多く、70%の区分に入りやすいケースがあります。
ただし、給付制限がある方は、就職した時期によって「どのような経路で就職したか」という追加の要件に注意する必要があります。
まず7日間の待期を完成させる
前提として、再就職手当は受給手続き後の7日間の待期が満了した後に就職する必要があります。
つまり、受給資格決定から間もなく就職が決まり、7日間の待期を完成させる前に就職した場合は、再就職手当の要件を満たしません。
また、待期期間中に仕事をした場合などは、その日が失業状態と認められず、待期が後ろにずれることがあります。
「手続きから7日たったから大丈夫」と日数だけで判断しない方が安全です。
待期満了後1か月以内は紹介要件に注意
正当な理由のない自己都合退職などで給付制限を受ける方については、 待期満了後1か月以内に就職する場合、ハローワークまたは一定の職業紹介事業者の紹介によって就職すること が再就職手当の要件になります。
たとえば待期が終わって2週間後に入社するケースで、自分で求人サイトを検索し、会社へ直接応募して採用された場合は、この紹介要件を満たさない可能性があります。
一方、ハローワークから紹介を受けた求人や、要件を満たす職業紹介事業者から紹介を受けた求人で就職したのであれば、他の要件も満たすことを前提に再就職手当の対象になり得ます。
1か月経過後は就職経路を問われない
この就職経路に関する制限は、ずっと続くわけではありません。
待期満了後1か月を経過した後に就職する場合は、知人から紹介された会社、自分で見つけた求人、企業へ直接応募した求人などであっても、紹介経路だけを理由に再就職手当の対象外になるわけではありません。
| 就職時期 | 給付制限がある方の主な注意点 |
|---|---|
| 7日間の待期中 | 再就職手当の対象外 |
| 待期満了後1か月以内 | 原則としてハローワーク等の紹介による就職が必要 |
| 待期満了後1か月経過後 | 就職経路は原則として問われない |
2025年4月1日以降に正当な理由なく自己都合退職した場合、基本手当の給付制限は原則1か月です。
ただし、5年間に2回以上の正当な理由のない自己都合退職がある場合などは3か月となることがあります。
また、一定の教育訓練等を受けることで給付制限が解除される場合もあります。
給付制限の有無、紹介要件がかかる期間、求人の紹介元は、再就職手当の可否に直接影響することがあります。
特に待期満了後1か月以内に自分で見つけた求人へ応募する場合は、応募や入社を決める前にハローワークへ確認しておくとよいでしょう。
再就職手当の申請と注意点
再就職手当は、条件を満たしていても自動的に口座へ振り込まれるものではありません。
就職が決まったことをハローワークへ届け出たうえで、支給申請書を準備し、再就職先から必要な証明を受けて申請します。
実務上、最も取りこぼしやすいのがこの申請部分です。
入社直後は新しい仕事、社会保険の手続き、研修などが重なり、「再就職手当はあとでやろう」と後回しになりやすいためです。
時系列で考えると、 就職が決まる→ハローワークへ連絡する→就職日前日までの失業認定を受ける→就職の届け出をする→申請書を受け取る→会社に証明を依頼する→再就職手当を申請する という流れを意識すると分かりやすいでしょう。
申請期限は就職翌日から1か月以内
再就職手当の支給申請期間は、原則として 就職した日の翌日から1か月以内 です。
たとえば4月1日に就職した場合は、4月2日から1か月以内に申請するというイメージです。
実際には期限日の考え方を含め、管轄のハローワークから案内される日付を確認してください。
「内定日から1か月」ではありません。
また、「最初の給与を受け取ってから1か月」でもありません。
基準になるのは原則として就職日です。
申請までの時系列を整理する
再就職手当は、次のような順番で進めると手続きが分かりやすくなります。
- 再就職先と就職日が決まる
- ハローワークへ就職が決まったことを連絡する
- 案内に従って就職日前日までの失業認定を受ける
- 就職の届け出を行う
- 再就職手当の支給要件を確認してもらう
- 再就職手当支給申請書などを受け取る
- 入社後、再就職先へ事業主証明の記入を依頼する
- 原則として就職日の翌日から1か月以内に申請する
この中で見落としやすいのが、就職日前日までの失業認定です。
再就職手当の支給残日数は、就職日の前日までの失業認定を受けた後の残日数で判定します。
そのため、「就職が決まったからもう認定日は関係ない」と考えて自己判断で手続きを止めないでください。
入社日前日にハローワークへ行けない場合の対応は、ハローワークから案内を受けることになります。
入社日が決まった時点で早めに連絡しておくのが実務上は確実です。
1か月を過ぎても直ちに権利が消えるとは限らない
原則的な申請期間は1か月ですが、雇用保険の給付については、現在、一定の給付について時効の範囲内であれば、本来の申請期間を過ぎた後でも申請できる取扱いがあります。
再就職手当についても、 就職日の翌日から2年を経過する日までであれば申請できる場合があります。
したがって、1か月を数日過ぎてしまったからといって、「もう絶対にもらえない」と自己判断して諦める必要はありません。
期限を過ぎたことに気づいたら、できるだけ早く管轄のハローワークへ相談してください。
2年以内ならいつ申請しても同じという意味ではありません。
原則の申請期間はあくまで就職日の翌日から1か月以内です。
時間が経過すると、当時の雇用状況や再就職先との関係などの確認に時間を要する可能性があります。
申請できる状態になったら早めに手続きを進めてください。
申請期間と時効については、厚生労働省も案内を公表しています。
(出典:厚生労働省「雇用保険の給付金は、2年の時効の範囲内であれば、支給申請が可能です」)
再就職手当の申請に必要な書類

再就職手当を申請するときは、まず再就職が決まったことをハローワークへ届け出ます。
その際、支給要件を満たす見込みがあると確認されれば、再就職手当支給申請書など、申請に必要となる書類の案内を受けます。
手続きで重要なのは、 本人が記入するだけでは申請書が完成しない ということです。
再就職手当支給申請書には、再就職先の事業主が証明する部分があります。
会社に記入を依頼する書類がある
再就職先では、採用された日、雇用期間、雇用形態など、再就職時の状況について証明します。
そのため、入社してから総務や人事の担当者へ申請書を渡し、記入を依頼する必要があります。
中小企業では、再就職手当の申請書を日常的に扱っている担当者がいないケースも珍しくありません。
あなたから「失業手当の再就職手当を申請するため、会社記入欄の証明をお願いします」と伝えると話が進みやすいかなと思います。
会社側としても、単に依頼された内容をそのまま記載するのではなく、実際の雇用契約と一致する内容を証明する必要があります。
雇用契約書の内容と整合しているか確認する
たとえば、申請書上では「1年を超えて雇用する見込み」となっていても、雇用契約書に「3か月の有期契約・更新なし」と記載されていれば、再就職手当の支給要件との整合性が問題になります。
反対に、有期契約だからという理由だけで必ず対象外になるわけでもありません。
更新の予定があるか、更新条件はどのようになっているかによって判断されます。
特に派遣労働者、契約社員、試用期間を設けている会社への就職などは、書面上の雇用条件を確認しておくことが大切です。
申請時に確認したい主な流れ
- 就職が決まったことをハローワークへ連絡する
- 就職日前日までの失業認定について確認する
- 就職の届け出を行う
- 再就職手当支給申請書などを受け取る
- 再就職先へ事業主証明の記入を依頼する
- 本人記入欄を確認する
- 必要な書類をそろえてハローワークへ提出する
郵送や代理人で提出できる場合もある
再就職手当の申請は、本人が窓口へ持参するほか、郵送や代理人による提出が認められる場合があります。
新しい会社へ入社したばかりで平日にハローワークへ行きにくい方も多いため、利用できる提出方法を確認してください。
郵送する場合は、必要書類の不足や記載漏れがあると確認に時間がかかります。
書類を発送する前にコピーを手元に残しておくと、後から問い合わせがあったときにも確認しやすくなります。
再就職が決まった段階で会社へ「入社後に再就職手当の証明をお願いする予定です」と伝えておくと、入社後の手続きがスムーズです。
申請期限直前になって急いで会社へ依頼するより、余裕を持って準備しておくことをおすすめします。
必要書類や提出方法は個別の状況によって異なることがあります。
受給資格者のしおりと、管轄のハローワークから受けた案内を優先して確認してください。
再就職手当はいつもらえるのか
再就職手当を申請した後に気になるのが、「申請してから何日くらいで振り込まれるのか」という点です。
再就職手当は、申請書を出した時点で自動的に支給が確定する制度ではありません。
ハローワークが申請内容を審査し、支給要件を満たしていることを確認したうえで支給決定を行います。
申請後に支給要件の確認が行われる
申請後には、基本手当の支給残日数、待期の状況、給付制限がある場合の就職経路、再就職先との関係、雇用期間、過去3年間の再就職手当等の受給歴などが確認されます。
必要に応じて、再就職先へ雇用状況の確認が行われることもあります。
そのため、申請書を出した翌日や数日後にすぐ振り込まれるものではありません。
審査が終わり、再就職手当の支給が決定すると、指定した金融機関の口座へ振り込まれます。
全国一律の振込日数とは考えない
インターネットで検索すると、「申請から1か月だった」「3週間で入金された」などさまざまな体験談が見つかります。
ただし、個別の申請内容、確認事項、ハローワークの処理状況などによって期間は変わります。
一部のハローワークでは「受理から1か月程度」といった目安を案内していますが、全国のすべての申請について必ず同じ日数で振り込まれると考えるべきではありません。
再就職手当の振込日を前提に、家賃やカード代などの支払予定を組むのは注意が必要です。
支給可否の審査があり、確認に時間がかかる場合もあります。
就職直後の生活費は、再就職手当が予定より遅くなっても対応できるように考えておくと安心です。
支給が遅いと感じたときはハローワークへ確認する
申請してから相当期間が経過しても支給決定や連絡がない場合は、申請したハローワークへ問い合わせてください。
その際、いつ申請したのか、どのハローワークへ提出したのかが分かるようにしておくと確認しやすくなります。
郵送申請の場合は、発送した日や書類のコピーを残しておくとよいでしょう。
また、申請後に転居した、電話番号を変更した、再就職先を短期間で退職したなど状況が変わった場合は、自己判断せずハローワークへ申し出てください。
再就職手当については、「いつ入金されるか」より先に「支給要件を満たしているか」が審査されます。
支給時期について確実な日付が必要な場合は、申請先のハローワークへ確認するのが最も確実です。
なお、支給の可否についても最終的にはハローワークが個別の申請内容を確認して判断します。
前の会社や関連会社への再就職

再就職手当では、支給残日数や就職日だけでなく、 どの会社へ再就職したのか も重要な要件です。
まず、離職した前の事業主へ再び就職した場合は、原則として再就職手当の対象になりません。
たとえばA社を退職して基本手当の受給資格決定を受け、その後再びA社へ雇用された場合です。
基本手当が多く残っていたとしても、前の事業主への再就職という要件に抵触するため、再就職手当の対象にはなりません。
別法人でも関連会社なら確認が必要
判断が難しくなるのが、「前の会社とは法人が違う」というケースです。
再就職手当では、前の事業主そのものだけではなく、前の事業主と 資本、資金、人事、取引などの面で密接な関わりがある事業主 への就職についても対象外となる場合があります。
そのため、A社を辞めてA社の100%子会社であるB社へ就職した、同じオーナーが経営する別会社へ移った、実質的に人事や経営が一体となっている会社へ移った、といったケースでは確認が必要になります。
反対に、「以前の会社の取引先だから」という理由だけで直ちに対象外になるわけでもありません。
どの程度密接な関係があるのかを個別に確認することになります。
会社名や法人番号が異なるだけでは判断できません。
グループ会社、関連会社、前職と非常に取引関係が深い会社などへ転職する場合は、会社同士の関係を説明できる資料や情報を整理したうえで、ハローワークへ事前に確認することをおすすめします。
同じ派遣会社への再就職も注意
派遣労働の場合は、実際に働く「派遣先」と雇用主である「派遣元」を分けて考える必要があります。
たとえば前職でX派遣会社に雇用され、A社へ派遣されていた方がいったん退職し、その後再びX派遣会社に雇用されてB社へ派遣された場合です。
勤務する場所や派遣先はA社からB社へ変わっていますが、雇用主はどちらもX派遣会社です。
前職と同じ事業主への再就職となるため、再就職手当の対象とはならない取扱いになります。
受給資格決定前の内定も対象外
もう一つ重要なのが、受給資格決定前から採用が内定していた会社への就職です。
再就職手当は、基本手当の受給資格決定後に早期再就職した人を支援する制度です。
そのため、求職申込みを行う前から就職先がすでに決まっていた場合には支給対象になりません。
たとえば在職中に転職活動を行い、退職前に次の会社から内定を受け、入社日まで1か月空いているケースを考えてみましょう。
この間に失業手当の受給手続きをしたとしても、受給資格決定前からその会社への採用が決まっていたのであれば、再就職手当の要件を満たしません。
「退職日と次の入社日の間に期間があるか」ではなく、「受給資格決定前から次の会社への採用が内定していたか」がポイントです。
転職先がすでに決まっている場合に、形式的に失業手当の手続きをすれば再就職手当を受け取れる制度ではありません。
この部分は事実関係によって判断が変わりやすいため、前職や再就職先との関係に迷う場合は、採用前後の状況を具体的に説明してハローワークへ確認してください。
再就職手当の条件を確認して申請する
再就職手当は、失業手当の受給資格がある方が早期に安定した職業へ再就職した場合に、残っている基本手当の一定割合を受け取れる制度です。
制度全体を理解するときは、まず 支給残日数が所定給付日数の3分の1以上必要 という入口の要件を押さえてください。
そのうえで、3分の2以上残っていれば70%、3分の1以上3分の2未満なら60%という順番で考えると整理しやすくなります。
- 支給残日数が所定給付日数の3分の1以上必要
- 3分の2以上残っていれば支給率70%
- 3分の1以上3分の2未満なら支給率60%
- 7日間の待期が満了した後の就職であることが必要
- 給付制限がある場合は待期満了後1か月以内の就職経路に注意する
- 1年を超えて勤務することが確実と認められることが必要
- 前の会社や密接な関係のある会社への再就職は対象外となる
- 過去3年以内の再就職手当などの受給歴も確認される
- 原則として就職日の翌日から1か月以内に申請する
就職が決まったら最初にハローワークへ連絡する
実務上、私が特に意識してほしいと思うのは、再就職が決まったら自分だけで手続きを判断しないことです。
まずハローワークへ就職日を伝え、就職日前日までの失業認定をどうするのか、いつ就職の届け出を行うのか、再就職手当の対象となる見込みがあるのかを確認してください。
そのうえで支給申請書を受け取り、入社後は早めに再就職先へ会社記入欄の証明を依頼します。
こうして順番に進めれば、「会社に書いてもらうのを忘れて申請が遅れた」という事態を避けやすくなります。
再就職後に退職しても残りがすべて消えるとは限らない
再就職手当を受給した後、残念ながら再就職先を短期間で退職するケースもあります。
この場合、再就職手当を受け取ったからといって、元の基本手当の権利が必ずすべて消えるわけではありません。
新しい受給資格が生じていない場合で、元の基本手当の受給期間内であるなどの条件を満たせば、 再就職手当として支給された分を差し引いた残日数について、基本手当を再び受給できる可能性があります。
一方、再就職先で一定期間働き、新たな雇用保険の受給資格を取得した後に離職した場合は、新たに取得した受給資格に基づいて基本手当を受けることになります。
再就職先を退職した場合は、受給期間との関係もあるため、できるだけ早くハローワークへ相談してください。
6か月働いた後は就業促進定着手当も確認する
再就職手当を受けた方が、その再就職先に6か月以上雇用され、再就職後6か月間の賃金が離職前の賃金より低くなった場合には、一定の条件のもとで就業促進定着手当を受けられることがあります。
これは再就職した時点で支給される再就職手当とは別の給付です。
再就職手当を受け取って手続きがすべて終わりというわけではなく、再就職後の賃金状況によっては6か月後に確認すべき制度がある、と覚えておくとよいでしょう。
就業促進定着手当の支給条件と申請時期は 就業促進定着手当の支給条件と申請の流れ で解説しています。
再就職手当の手続きで迷ったときは、金額だけでなく時系列で確認してください。
受給手続き → 7日間の待期 → 再就職決定 → 就職日前日までの失業認定 → 就職の届け出 → 会社による証明 → 再就職手当の申請、という流れを追うと、自分が今どの段階にいるのか分かりやすくなります。
再就職手当は、一見すると「基本手当日額×残日数×60%または70%」という単純な制度に見えます。
しかし実際の支給可否は、待期、給付制限、就職経路、支給残日数、前職との関係、雇用契約の内容、内定した時期などを総合して確認します。
制度や上限額は改正されることがありますので、正確な情報は公式サイトをご確認ください。
個別の雇用契約や再就職先との関係など、支給対象になるか判断が難しい場合には、最終的な判断は専門家にご相談ください。