こんにちは。
もりおか社会保険労務士事務所、社会保険労務士の川熊です。
障害年金を受給している方のうち、有期認定となっている場合は、一定期間ごとに障害状態確認届を提出して障害の状態を確認してもらう必要があります。
更新では、診断書を提出すれば必ず今までと同じ等級になるわけではありません。
障害の状態によっては等級が上がることも下がることもあり、障害等級に該当しないと判断されれば支給停止になる場合もあります。
一方で、更新になったから年金が止まるわけでも、働き始めたから直ちに受給できなくなるわけでもありません。
大切なのは、現在の障害の状態や日常生活、就労状況を診断書に正確に反映してもらうことです。
特に、うつ病などの精神疾患で障害年金を受けている方は、「少し体調が良くなったと医師に話したけれど大丈夫だろうか」「仕事を始めたので更新で落ちるのではないか」と不安になることがあります。
しかし、更新では一つの事実だけを切り取って判断するのではなく、診断書に記載された障害状態や日常生活能力、就労状況などを踏まえて確認されます。
この記事では、障害年金の更新時期、障害状態確認届の提出方法、診断書を作成するときのポイント、等級変更や支給停止になった場合の対応まで、実務目線で順番に解説します。
- 障害年金を更新する時期と有期認定・永久認定の違い
- 障害状態確認届と診断書の提出期限
- 更新による等級変更や支給停止の考え方
- 症状悪化や支給停止後に利用できる手続き

障害年金の更新時期と手続きの流れ
障害年金を受給している方全員が、毎年更新するわけではありません。
更新が必要になる時期は一人ひとり異なり、まず確認したいのが年金証書に記載された次回診断書提出年月です。
更新対象の場合は、日本年金機構から障害状態確認届が送られてきます。
診断書を医療機関に作成してもらい、期限までに提出するというのが基本的な流れです。
実務上は、書類が届いてから初めて更新時期に気づくより、あらかじめ次回診断書提出年月を把握しておくほうが安心です。
医療機関によっては診断書の完成まで数週間かかる場合がありますし、普段の診察で生活状況を十分に伝えられていない場合には、更新前に状況を整理しておく時間も必要だからです。
最初に確認したいのは、年金証書の次回診断書提出年月です。
更新時期が近づいてから慌てないよう、あらかじめ確認しておきましょう。
障害年金は何年ごとに更新するのか
障害年金の更新は、すべての人について一律に何年ごとと決められているわけではありません。
一定期間ごとに障害状態を確認する有期認定の場合、一般的には 1年から5年程度の間隔 で障害状態確認届を提出します。
1年ごとの方もいれば、2年、3年、5年といった間隔が設定される方もいます。
障害年金を受け始めた時点で全員に同じ更新周期が設定されるわけではなく、その人の障害状態に応じて個別に決められます。
何年後に更新するかを考えるうえでは、病気やけがの種類だけでなく、症状が今後どの程度変化する可能性があるかも関係します。
たとえば、治療によって状態が改善したり、反対に症状が悪化したりする可能性がある場合には、一定期間後にあらためて状態を確認する必要があります。
そのため、比較的短い間隔で障害状態確認届の提出が求められることがあります。
一方、障害状態が比較的安定している場合には、次回までの期間が長く設定されることもあります。
ただし、これは「症状が安定しているから必ず5年更新になる」といった単純な仕組みではありません。
個別の認定結果として決まるものと考えてください。
実務上、「前回は3年更新だったので、次も3年後ですよね」と聞かれることがありますが、 前回と次回の更新間隔が必ず同じになるとは限りません。
今回の障害状態確認届をもとに審査された結果、次回は1年後になることもあれば、前回より長い期間になることもあります。
更新結果が届いたら、等級や年金額だけを確認するのではなく、次回診断書提出年月まで見ておくことが大切です。
更新時期は年金証書や通知書で確認する
現在の更新時期を確認したい場合は、まず年金証書や、その後に日本年金機構から届いた通知書を確認してください。
年金証書には次回診断書提出年月が記載されている場合があります。
「自分が何年更新なのか覚えていない」という相談は珍しくありません。
受給開始から数年経過すると、最初の認定時に何年の有期認定だったか分からなくなっていることもあります。
そのため、記憶だけに頼らず、手元の書類で確認するのが確実です。
また、障害年金を受け始めてから引っ越している場合は、登録されている住所にも注意してください。
更新時期を把握していれば、「そろそろ届くはずなのに障害状態確認届が届かない」という異変にも気づきやすくなります。
更新時期を把握しておけば、診断書を依頼する医療機関への予約や、日常生活・就労状況の整理を早めに始められます。
特に予約が取りにくい医療機関や、診断書の完成まで時間がかかる医療機関を受診している場合は、早めの確認が大切です。
障害年金そのものの受給要件を整理したい場合は、 障害年金の受給条件と初診日・納付要件・障害等級 もあわせて確認してください。
有期認定と永久認定の違い

障害年金の認定には、大きく分けて 有期認定 と 永久認定 があります。
更新が必要かどうかを理解するには、まずこの違いを押さえておく必要があります。
有期認定とは、障害の状態が今後変化する可能性があるため、一定期間後にあらためて障害等級に該当しているか確認する認定です。
有期認定になっている方には、指定された時期に障害状態確認届が送られ、医師が作成した診断書を提出します。
有期認定だからといって「現在の受給が暫定的で、次回は止まる可能性が高い」という意味ではありません。
障害の状態を将来もう一度確認する必要があるという意味です。
更新の結果として現在と同じ等級が継続することも当然あります。
これに対して永久認定は、基本的に定期的な障害状態確認届の提出が必要ない認定です。
たとえば、身体の一部を失ったケースなど、障害状態が医学的に大きく変化する可能性が低いと考えられる場合には永久認定となることがあります。
ただし、「この病気なら永久認定」「この障害なら必ず有期認定」と病名だけで機械的に決まるわけではありません。
特に精神疾患では、症状や日常生活能力が時間の経過とともに変化する可能性があるため、有期認定となるケースが一般的です。
| 区分 | 更新 | 年金証書の確認ポイント | 考え方 |
|---|---|---|---|
| 有期認定 | 原則として必要 | 次回診断書提出年月が記載されている | 一定期間後に障害状態を再確認する |
| 永久認定 | 原則として不要 | 次回診断書提出年月が空欄 | 定期的な障害状態の再確認を原則行わない |
年金証書の次回診断書提出年月を確認する
手元に年金証書がある場合は、「次回診断書提出年月」の欄を確認してみてください。
年月が記載されていれば、その時期に障害状態確認届を提出する有期認定と考えることができます。
一方、次回診断書提出年月が空欄であれば、永久認定となっている可能性があります。
もっとも、手元の書類だけでは判断しにくい場合もあるため、疑問があるときは年金事務所などで確認すると確実です。
ここで注意したいのは、永久認定と「今後一切、年金関係の手続きがないこと」は同じではないという点です。
永久認定は、定期的な障害状態確認届による更新が原則として不要という意味です。
氏名や年金の受取口座などに変更が生じれば、それぞれ必要な手続きが発生する場合があります。
永久認定は「障害年金に関する届出が一生不要」という意味ではありません。
更新のための定期的な診断書提出と、住所・氏名・受取口座などに関する手続きは分けて考えてください。
また、有期認定から更新を繰り返した結果、将来的に永久認定になる場合もありますが、受給者側から「次回から永久認定にしてください」と自由に選べるものではありません。
更新時には、まず現在指定されている提出時期に沿って適切に手続きを進めることが基本です。
障害状態確認届はいつ届くのか
有期認定で更新が必要な方には、日本年金機構から 誕生月の3か月前の月末ごろ に障害状態確認届が送付されます。
障害状態確認届は、現在も障害年金を受ける障害状態にあるかどうかを確認するための書類で、診断書と一体になっています。
たとえば9月生まれで、その年が更新年になっている場合は、6月末ごろに障害状態確認届が送られてくるイメージです。
以前より診断書を作成できる期間が長く取られているため、書類を受け取ったら早めに医療機関へ相談するとよいでしょう。
届いた障害状態確認届の診断書欄を医師に記載してもらい、原則として誕生月の末日までに日本年金機構へ到着するよう提出します。
提出期限の日に病院へ診断書を依頼すればよいわけではありません。
医師に作成してもらう時間や郵送期間も考えて動く必要があります。
| 項目 | 基本的な時期 | 実務上の確認ポイント |
|---|---|---|
| 障害状態確認届の送付 | 誕生月の3か月前の月末ごろ | 届かなければ住所や更新時期を確認 |
| 診断書に記載する障害状態 | 提出期限前3か月以内 | 対象期間外の現症日にならないよう注意 |
| 提出期限 | 誕生月の末日 | 期限までに到着するよう余裕を持って提出 |
更新時期なのに書類が届かない場合
ここで注意したいのが、障害状態確認届が届かないケースです。
引っ越し後の住所関係などの事情で書類を受け取れないことがあります。
また、自分が覚えていた更新時期と実際の次回診断書提出年月が違っているケースも考えられます。
そのため、「届かないから今回は更新しなくてよいのだろう」と自己判断するのはおすすめできません。
年金証書や直近の通知書で次回診断書提出年月を確認し、更新時期が来ているはずなのに書類が届かない場合には、年金事務所などへ確認しましょう。
特に転居を繰り返している場合や、郵便物の転送期間が終了している場合は注意が必要です。
実務的には、更新年を手帳やスマートフォンの予定表に入れておくのも一つの方法です。
数年に1回の更新では、日常生活の中で忘れてしまうことも十分にあり得ます。
年金証書だけをしまい込まず、「次回は何年何月」という点だけでも把握しておくとよいでしょう。
障害状態確認届が届かなかったことだけで、更新手続きをしなくてよいことにはなりません。
次回診断書提出年月を確認し、時期が来ているのに届かない場合は、早めに年金事務所などへ確認してください。
障害状態確認届は、誕生月の3か月前の月末に送付され、誕生月末までに提出することが日本年金機構から案内されています。
最新の提出方法については公式情報も確認してください。
(出典:日本年金機構「障害状態確認届(診断書)が届いたとき」)
更新時の診断書と提出期限

障害年金の更新で最も重要になる書類が、障害状態確認届に含まれる診断書です。
更新では、現在の障害状態を確認する必要があるため、過去の診断書をそのまま再提出するのではなく、指定された期間内の状態について医師に記載してもらいます。
診断書には、 提出期限前3か月以内の障害の状態 が記載されている必要があります。
たとえば提出期限が9月末であれば、原則としてその提出期限前3か月以内の現症日となるように作成してもらうことになります。
診断書の作成を依頼するときは、単に「障害年金の診断書をお願いします」と伝えるだけでなく、届いた障害状態確認届そのものを医療機関に提示して進めると分かりやすいでしょう。
提出期限は原則として誕生月の末日です。
ただし、期限の日までに医師へ依頼すればよいわけではありません。
診断書を完成させ、日本年金機構へ期限までに届くよう提出する必要があります。
医療機関によって、診断書が完成するまでの日数は異なります。
主治医の診察日が月1回しかない場合や、診断書作成に数週間必要な場合もあります。
障害状態確認届が届いたら、まず次回の診察日と診断書の作成期間を確認しておくと安心です。
診断書には日常生活の実態を伝える
特に精神疾患の障害年金では、診察室で医師と話す短い時間だけでは、実際の日常生活の困難さが十分に伝わっていないことがあります。
たとえば、一人で食事を準備できるか、決められた時間に服薬できるか、必要な買い物や金銭管理を一人で行えるか、外出するときに付き添いが必要か、人とのコミュニケーションにどの程度支障があるかといった事情です。
家族と同居している場合には、本人が「できている」と思っていても、実際には家族が食事を用意し、服薬を声掛けし、通院にも付き添っていることがあります。
診察では「最近どうですか」と聞かれ、「まあまあです」「前よりは良いです」と答えることもあるでしょう。
それ自体が問題なのではありません。
ただ、その一言だけでは、日常生活でどの程度の援助を受けているのかまでは医師に伝わらない場合があります。
診断書を有利に書いてもらうことが目的ではなく、実際の状態を正確に医師へ伝えることが重要です。
医師へ伝えておきたい代表的な内容
- 食事や身の回りのことを一人でできるか
- 服薬や通院を自分で管理できるか
- 買い物や金銭管理をどの程度できるか
- 外出や対人関係で支障があるか
- 家族などからどのような援助を受けているか
- 一人暮らしの場合に誰から支援を受けているか
- 働いている場合の勤務時間や職場での配慮
- 欠勤・遅刻・早退などがどの程度あるか
調子の良い日だけで説明しない
症状に波がある病気では、診察日だけ比較的調子が良いということもあります。
特に精神疾患では、「先週はほとんど横になっていたが、今日は病院に来られた」というケースもあります。
更新時に重要なのは、診察日に病院まで来られたという一場面だけではなく、一定期間の日常生活全体としてどのような状態なのかという点です。
更新の準備では、診断書だけを見るのではなく、本人の日常生活や就労の実態と、診断書に記載されている内容との間に大きなズレがないかを確認することが大切です。
本人が普段どのように暮らし、誰からどの程度援助を受けているのかが整理されていないと、主治医にも十分に伝えられません。
もちろん、診断書は医師が医学的判断に基づいて作成するものです。
本人が記載内容を指定したり、実態と異なる内容を書いてもらったりするものではありません。
しかし、医師が把握していない日常生活上の事情を具体的に説明することは、現在の状態を正確に診断書へ反映してもらううえで大切です。
診断書を受け取ったら、可能であれば提出前に氏名などの基本事項や記載漏れがないか確認し、提出後に備えてコピーを保管しておくとよいでしょう。
更新書類の提出を忘れた場合
障害状態確認届の提出を忘れてしまった場合は、気づいた時点でできるだけ早く対応してください。
期限を過ぎたことに気づいても、「もう間に合わないから出しても意味がない」と考えて放置するのは避けるべきです。
障害状態確認届の提出が遅れたり、診断書の記載内容に不備があったりすると、日本年金機構で現在の障害状態を確認できないため、 障害年金の支払いが一時的に止まることがあります。
ここで重要なのは、書類を期限までに提出できなかったことによる支払いの一時停止と、障害の程度が軽くなったことによる支給停止を分けて考えることです。
提出遅れの場合には、現在の障害状態を確認するための資料がそろっていないことが原因となります。
そのため、遅れて障害状態確認届を提出し、必要な審査が行われ、受給要件を満たしていることが確認されれば、停止されていた期間について後から支払われることがあります。
忘れたことに気づいたらすぐ確認する
期限を過ぎていることに気づいた場合、まず障害状態確認届が手元にあるか確認しましょう。
すでに医師へ診断書を依頼しているのであれば、いつ完成するのかを確認します。
まだ依頼していない場合には、医療機関へ連絡し、障害状態確認届の診断書について相談してください。
一方で、かなり長期間提出していなかった場合や、手元に書類がない場合は、年金事務所などにも確認したほうがよいでしょう。
提出期限を過ぎた後にどのような書類が必要になるかは、個々の状況によって確認が必要になる場合があります。
提出を忘れたからといって、そのまま放置するのが最も避けたい対応です。
書類が手元にある場合は速やかに医療機関や年金事務所へ確認し、必要な手続きを進めてください。
期限ぎりぎりではなく余裕を持つ
更新書類の提出遅れでよくあるのが、「診断書はすぐ書いてもらえると思っていた」というケースです。
診断書は、通常の診察とは別に医師が内容を確認して作成するため、当日その場で完成するとは限りません。
病院によっては数週間程度かかることもあります。
障害状態確認届が届いた時点では提出期限まで一定の期間がありますので、届いた書類をそのまま保管せず、次回の受診日や診断書作成に必要な日数を確認しておきましょう。
また、提出後は診断書のコピーを保管することをおすすめします。
次回の更新時に、前回はどのような状態として認定されていたのかを確認できますし、更新後に等級変更や支給停止となった場合にも、提出した内容を確認するための重要な資料になります。
特に、精神疾患など症状の変化を時系列で確認することが重要なケースでは、前回の診断書と今回の診断書を比較できることに意味があります。
毎回の診断書をファイルなどにまとめて保管しておくと、将来の更新や額改定請求を検討するときにも役立ちます。
障害状態確認届を郵送する場合は、提出前に書類一式のコピーを取っておくと安心です。
提出した日もメモしておくと、後から確認しやすくなります。
障害年金の更新結果と支給停止への対応
障害状態確認届を提出すると、現在の障害状態についてあらためて審査されます。
その結果、同じ等級が続くこともあれば、障害の程度に応じて等級が変更されたり、支給停止になったりすることもあります。
更新結果を待っている間は、「前より少し良くなっているから下がるだろうか」「働いているので止まるのではないか」と考えてしまう方もいます。
ただ、更新結果は一つの事情だけで決まるものではありません。
現在の障害状態が、それぞれの障害等級に定められた程度に該当しているかが確認されます。
また、更新結果が変わったときに重要なのは、「もう何もできない」と考えないことです。
症状が悪化した場合の額改定請求や、支給停止後に再び障害状態が重くなった場合の手続きも用意されています。
更新後に利用できる制度まで理解しておくと、結果が変わった場合にも次に何を確認すればよいか整理しやすくなります。
更新で等級が上がる・下がる場合
障害年金の更新では、提出された診断書などをもとに、現在の障害状態が障害等級の基準に該当しているか審査されます。
最初に障害年金を受給したときの等級が、その後ずっと固定されるわけではありません。
その結果は、大きく分けると 同じ等級を継続する、上位等級へ変更する、下位等級へ変更する、障害等級に該当せず支給停止になる という形になります。
| 更新結果 | 基本的な取扱い | 確認したいこと |
|---|---|---|
| 同じ等級 | 同じ等級で支給が継続 | 次回診断書提出年月 |
| 障害が重くなった | 上位等級への改定が行われる場合がある | 増額後の年金額と改定時期 |
| 障害が軽くなった | 下位等級への改定が行われる場合がある | 新しい等級と減額時期 |
| 障害等級に該当しない | 支給停止となる場合がある | 停止時期と受給権の状態 |
障害基礎年金は1級・2級、障害厚生年金は1級・2級・3級があるため、どの種類の障害年金を受けているかによって、等級が下がったときの扱いも異なります。
たとえば、障害厚生年金2級を受給している方について、障害状態が以前より軽くなり3級相当と判断された場合には、障害厚生年金3級へ変更される可能性があります。
一方、障害基礎年金には3級がありません。
そのため、障害基礎年金2級の方が2級に該当しない程度まで軽くなった場合には、単純に「3級へ下がる」という仕組みではありません。
増額と減額では反映時期が異なる
更新による年金額の変更時期については、上位等級への変更と、下位等級への変更・支給停止とで扱いが異なります。
障害状態確認届の審査によって障害の程度が重くなり、上位等級に該当した場合は、原則として 提出期限の翌月分から増額改定 されます。
一方、障害の程度が軽くなり、下位等級に該当した場合や支給停止となる場合は、原則として 提出期限の4か月後の年金額から減額改定または支給停止 となります。
増額と減額・停止で時期が同じではない点は、実務上確認しておきたいポイントです。
更新結果が変わった場合は、「何級になったか」だけでなく「何月分から変わるのか」まで通知書で確認してください。
また、同じ等級が継続した場合でも、次回の認定期間が変わることがあります。
前回が1年更新だった方が次回は3年後になることも、その逆も考えられます。
更新結果が届いたら、等級、年金額、変更年月、次回診断書提出年月の4点を確認しておくと、その後の手続きが整理しやすくなります。
「体調が少し良くなった」と感じていても、それだけで等級が下がるとは限りません。
一方、以前と同じ病名で通院を続けていても、現在の障害状態が変化していれば認定結果が変わる可能性があります。
病名ではなく、現在どの程度の障害状態にあるかを見る制度だと理解しておくことが大切です。
障害年金が支給停止になる場合

更新時の診断書などを審査した結果、現在の障害状態が障害年金の等級に該当しないと判断されると、障害年金が支給停止になる場合があります。
日常的には「障害年金を打ち切られた」という表現が使われることがありますが、制度を理解するうえでは、 支給停止と受給権の消滅を分けて考えること が重要です。
障害の程度が軽くなったことによる支給停止では、その時点で直ちに障害年金の受給権そのものが消滅するわけではありません。
受給権を持ったまま、現在は障害等級に該当しないため年金の支給が止まっている状態となる場合があります。
その後に同じ傷病による障害状態が再び重くなり、障害等級に該当する状態となった場合には、支給停止事由消滅届を提出して支給再開を求められる可能性があります。
この点は、更新で支給停止となった後に対応を検討する際にも重要なポイントです。
「一度止まったので、もう二度と障害年金を受けられない」と考えてしまう方がいますが、支給停止であれば、その後の障害状態によって再開を求める手続きがあります。
支給停止と失権は区別して考えることが大切です。
支給停止の場合には、障害状態が再び重くなったときに支給再開を求められる可能性があります。
支給停止の通知が届いたら確認すること
支給停止の通知が届いたら、まず提出した障害状態確認届のコピーと、今回届いた通知書を確認してください。
前回の診断書も保管しているのであれば、前回と今回で日常生活能力や就労状況などの記載がどのように変わっているかを見比べることも一つの整理方法です。
ただし、診断書の一つの項目だけを見て、「ここが変わったから支給停止になった」と断定することはできません。
障害認定は、障害の種類に応じた認定基準や診断書全体の内容を踏まえて行われます。
また、「以前と同じ病名なのだから同じ等級になるはず」という考え方にも注意が必要です。
障害年金では病名が同じかどうかだけではなく、その時点でどの程度の日常生活・労働上の制限があるかなど、現在の障害状態が重要になります。
決定に納得できない場合は別の手続きがある
更新による等級変更や支給停止の決定そのものに納得できない場合には、審査請求などの不服申立て制度があります。
これは、「今後症状が悪化したので年金を再開してほしい」という支給停止事由消滅届とは目的が異なります。
つまり、決定時点の判断がおかしいと考えるのか、その後に障害状態が再び悪化したのかによって、検討すべき手続きが変わります。
ここを混同すると、必要な対応がずれてしまいます。
更新結果に疑問がある場合は、通知書を受け取った日や決定内容を確認し、提出済みの診断書などの資料を整理しておきましょう。
不服申立てには期間の制限があるため、検討する場合は早めの確認が必要です。
なお、長期間障害等級に該当しない状態が続いた場合など、法律上受給権そのものが消滅する場合もあります。
支給停止と失権は同じではないものの、「支給停止なら永久に受給権が残る」と考えるのも正確ではありません。
個別の状況は通知書や年金記録をもとに確認してください。
働いていると更新に影響するのか
障害年金を受給している方が働き始めたとしても、 就職したという事実だけで一律に障害年金が停止されるわけではありません。
「障害年金を受給している人は働いてはいけない」「正社員になったら必ず障害年金が止まる」と思われていることがありますが、そのような一律の仕組みではありません。
障害年金は、原則として給与額が一定額を超えたら機械的に年金額を減らす在職老齢年金のような制度ではありません。
障害年金の更新では、働いているという事実も含めて、現在どの程度の障害状態にあるのかが確認されます。
ただし、特に精神障害や内部障害などでは、就労状況が障害状態を判断する重要な材料の一つになることがあります。
そのため、「働いていても関係ない」と考えるのも適切ではありません。
勤務時間だけで判断されるわけではない
「週5日働いているから障害年金は無理」「正社員になったら必ず止まる」と単純に決まるものではありません。
たとえば同じ週5日勤務でも、一般の従業員と同じ時間・同じ業務量で働き、特別な支援を受けず安定して勤務している方と、勤務時間を短縮し、業務内容を限定し、周囲の継続的な援助を受けながら勤務している方では、実際の就労状況が大きく異なります。
障害者雇用で働いているか一般雇用で働いているかという区分だけで決まるものでもありません。
実際にどのような業務をしているのか、どの程度の援助や配慮が必要なのか、安定して出勤できているのかといった実態を整理する必要があります。
更新時に整理しておきたい就労状況
- 1日・1週間の勤務時間
- 週に何日勤務しているか
- 担当している具体的な業務内容
- 業務量や責任について配慮があるか
- 上司や同僚による援助があるか
- 欠勤・遅刻・早退の頻度
- 休職を繰り返していないか
- 仕事を終えた後の日常生活の状態
実際の相談でも、「働いている」という一言だけでは実態が分からないケースは珍しくありません。
週5日出勤していても、職場では担当業務を大幅に限定してもらい、頻繁に休憩を取り、帰宅後はほとんど横になっているという方もいます。
逆に、診断書では「就労困難」となっている一方で、実際には長期間にわたってフルタイム勤務を継続し、特段の配慮も受けていないのであれば、診断書の記載と実態との関係が確認される可能性があります。
就労している事実を隠すのではなく、どのような支援や制限の中で働いているのかを正確に伝えることが重要です。
会社から勤務状況の証明を求められる場合
障害年金に関する手続きの中で、勤務状況について確認が必要になる場合があります。
会社側としては、本人の障害年金を維持するために都合のよい内容を書くのではなく、実際の勤務時間、欠勤状況、仕事内容、職場で実施している配慮など、客観的な事実に基づいて対応することになります。
私は企業側から相談を受ける場合でも、「本人がこう書いてほしいと言っている」という事情と、「会社として証明できる事実」は分けて考えるようお伝えします。
本人、主治医、勤務先の情報に不自然な食い違いが生じないよう、実態を正確に整理することが大切です。
なお、20歳前の傷病による障害基礎年金には、障害状態とは別に本人の所得による支給制限があります。
これは「働いたから障害状態が軽くなったと判断される」という問題とは別の仕組みです。
20歳前傷病による障害基礎年金を受給している方は、就労状況と所得制限を分けて確認してください。
働き始めること自体を必要以上に恐れる必要はありませんが、更新時には就労の実態も重要な情報になります。
仕事を続けるためにどのような配慮を受けているのか、仕事以外の生活にどの程度影響が出ているのかを、普段から主治医にも具体的に伝えておくとよいでしょう。
症状悪化時に行う額改定請求
障害年金を受給している間に症状が悪化した場合、次回の更新まで必ず待たなければならないわけではありません。
現在受けている障害年金より上位の等級に該当する程度まで障害状態が重くなったと考えられる場合には、 額改定請求 によって障害等級の見直しを求めることができます。
たとえば、障害厚生年金3級を受給している方の状態が大きく悪化し、2級相当ではないかと考えられるようになった場合や、障害基礎年金2級を受給している方について1級相当まで障害状態が重くなったと考えられる場合などが検討の対象になります。
額改定請求では、「障害給付 額改定請求書」に、現在の障害状態を記載した診断書を添えて提出します。
更新時期まで何年も残っている場合でも、要件を満たしていれば請求を検討できます。
原則として1年を待つ必要がある
ただし、症状が悪化したからといって、いつでも自由に額改定請求ができるわけではありません。
原則として、年金を受ける権利が発生した日から1年を経過した日、または障害の程度について診査を受けた日から1年を経過した日を過ぎてから請求する必要があります。
ここでいう「診査を受けた日」には、過去の更新や額改定に関する診査が関係する場合があります。
そのため、「障害年金を受け始めてからもう5年経っているから、いつでも額改定請求できる」とは限りません。
直近の診査時期を確認する必要があります。
一方、人工透析を開始した場合など、省令で定められた障害状態の増進が明らかなケースでは、例外的に1年を待たずに額改定請求ができる場合があります。
額改定請求は、単に「病気が悪化した」と申し立てる手続きではありません。
現在の障害状態が、今受けている等級より上位の障害等級に該当する程度まで重くなっているかが重要です。
額改定請求は請求時期も重要
額改定請求によって上位等級に該当すると認められた場合、原則として請求月の翌月分から増額された年金が支給されます。
そのため、要件を満たしているのに長期間請求しないままでいると、増額される時期にも影響します。
もっとも、症状が悪化したように感じるからといって、急いで診断書を取得すればよいわけではありません。
上位等級の認定基準に該当する状態なのか、直近1年間の請求制限に該当しないか、診断書に現在の状態が適切に反映されるかを確認して進める必要があります。
提出先は、原則として年金事務所または街角の年金相談センターです。
障害基礎年金のみを受給している方については、市区町村役場の窓口でも提出できる場合があります。
また、65歳以上で3級の障害厚生年金のみを受けている方について、過去に同じ支給事由による障害基礎年金の受給権を有していない場合など、額改定請求ができないケースがあります。
| 確認項目 | 額改定請求のポイント |
|---|---|
| 現在の状態 | 上位等級に該当する程度まで悪化しているか |
| 請求時期 | 原則として直近の受給権発生・診査から1年経過後 |
| 例外 | 省令で定める明らかな障害状態の増進は1年を待たず請求できる場合がある |
| 提出書類 | 額改定請求書と所定の診断書 |
| 認められた場合 | 原則として請求月の翌月分から増額 |
額改定請求の時期や提出先については、日本年金機構からも案内されています。
制度の取扱いや様式は変更される可能性がありますので、実際に請求する際は最新情報を確認してください。
支給停止後に年金を再開する方法

障害の程度が軽くなったとして障害年金が支給停止された後、再び症状が悪化することもあります。
その場合、再び障害年金を受けられる程度の障害状態になったのであれば、 支給停止事由消滅届に診断書を添付して提出し、支給の再開を求める ことができます。
これは、新たに最初から障害年金を請求し直す手続きとは性質が異なります。
すでに障害年金の受給権はあるものの、障害状態が軽くなったことによって支給停止されている方について、その支給停止の理由がなくなったことを届け出る手続きです。
更新で支給停止となった際に「受給資格そのものが全部なくなった」と思ってしまう方もいますが、支給停止の段階では受給権が残っている場合があります。
この違いを理解しておくことが、症状が再び悪化したときの対応につながります。
額改定請求とは使う場面が違う
症状が悪化したときの手続きとして、額改定請求と支給停止事由消滅届は混同されやすいところです。
基本的には、現在も障害年金が支給されていて、より上位の等級を求める場合に検討するのが額改定請求です。
一方、受給権はあるものの障害の程度が軽くなったため年金が全額支給停止されている方が、再び障害等級に該当する程度まで重くなった場合に検討するのが支給停止事由消滅届です。
| 手続き | 主な対象 | 目的 |
|---|---|---|
| 額改定請求 | 障害年金を現在受給している方 | 障害悪化により上位等級への変更を求める |
| 支給停止事由消滅届 | 受給権はあるが年金が支給停止中の方 | 障害悪化による支給再開を求める |
悪化した時点を確認できる資料が重要になる
支給停止後に障害状態が再び重くなった場合には、いつから障害等級に該当する程度まで悪化したのかが重要になることがあります。
そのため、症状が悪化しているにもかかわらず長期間医療機関を受診していないと、後からその時点の状態を確認することが難しくなる場合があります。
症状の悪化がある場合には、無理のない範囲で医療機関を受診し、その時点の状態を主治医へ具体的に伝えておくことが大切です。
精神疾患であれば、仕事を続けられなくなった、家族の援助が大幅に増えた、一人で外出できなくなった、身の回りのことができなくなったといった変化も、診療時に伝えておきたい内容です。
更新で障害等級に該当しないと判断されても、「もう障害年金とは一切関係がなくなった」と決めつけず、届いた通知書、年金証書、過去の診断書などは保管しておきましょう。
なお、支給停止と受給権の失権は異なりますが、受給権が永久に残り続けるとは限りません。
長期間障害等級に該当しない状態が続いた場合など、法律上の失権事由に該当するケースは別に考える必要があります。
また、支給停止となった当時の決定自体に納得できないケースと、その後に症状が悪化したケースでは、検討する手続きが異なります。
前者であれば不服申立て、後者であれば支給停止事由消滅届が問題になるというように、時系列を整理することが重要です。
支給停止から時間が経過している場合や、症状がいつから悪化したのか判断しにくい場合は、提出前に年金事務所や障害年金を扱う専門家へ確認することをおすすめします。
障害年金の更新で迷ったときの整理
障害年金の更新で不安になったときは、最初から「年金が止まるかもしれない」と結果を予想するのではなく、まず必要な手続きを順番に整理することが大切です。
最初に確認したいのは、年金証書などに記載されている次回診断書提出年月です。
有期認定で更新時期に該当する場合は、原則として誕生月の3か月前の月末ごろに障害状態確認届が送付されます。
書類が届いたら、内容を確認したうえで早めに主治医へ診断書の作成を依頼します。
診断書には提出期限前3か月以内の障害状態が記載されている必要があり、原則として誕生月の末日までに提出します。
そして、更新で最も重要なのは、現在の生活実態を正確に伝えることです。
特に精神疾患の場合、「診察には一人で来られる」「短時間なら会話できる」といった一場面だけでは、日常生活全体の状態が分かりません。
家族からどのような援助を受けているのか、仕事をしている場合にどの程度の配慮を受けているのかまで具体的に主治医へ伝えることが重要です。
特に確認しておきたいポイントを整理すると、次のようになります。
- 年金証書で次回診断書提出年月を確認する
- 障害状態確認届が届いたら早めに主治医へ依頼する
- 日常生活や就労の実態を具体的に医師へ伝える
- 提出期限までに障害状態確認届を提出する
- 提出した診断書のコピーを保管する
- 更新結果と次回診断書提出年月を確認する
更新で必ず同じ等級になるわけではない
障害年金の更新では、少し症状が良くなったから必ず等級が下がるわけでも、働いているから必ず支給停止になるわけでもありません。
反対に、以前と同じ病名で治療を続けているから、必ず現在の等級が維持されるとも限りません。
障害年金で確認されるのは病名そのものではなく、その時点での実際の障害状態です。
このため、「どう書けば今の等級を維持できますか」という考え方よりも、「現在の状態が診断書へ正確に反映されているか」という視点で準備することが大切です。
診断書の内容を実態以上に重くしてもらうことは適切ではありませんし、反対に、本人が遠慮して生活上の困難を医師へ伝えず、実態より軽い状態に見えてしまうことも避けたいところです。
結果が変わっても次の手続きがある
更新の結果、障害状態が重くなっていれば上位等級へ変更される場合があります。
一方、軽くなっていれば下位等級への変更や支給停止になる場合があります。
さらに、現在年金を受給している方の症状が更新を待たずに大きく悪化した場合には額改定請求を検討できます。
支給停止となった後に再び障害等級に該当する程度まで重くなった場合には、支給停止事由消滅届によって支給再開を求める手続きがあります。
つまり、更新は「一度結果が出たら、その状態が一生固定される」という手続きではありません。
障害状態が変われば、それに対応する制度が用意されています。
| 状況 | 基本的な対応 |
|---|---|
| 更新時期が近い | 次回診断書提出年月を確認する |
| 障害状態確認届が届いた | 早めに主治医へ診断書作成を依頼する |
| 現在受給中で症状が悪化した | 要件を確認して額改定請求を検討する |
| 更新で支給停止となった | 通知書と提出済み診断書を確認する |
| 支給停止後に再び悪化した | 支給停止事由消滅届を検討する |
| 更新決定そのものに納得できない | 不服申立ての制度を確認する |
障害年金の更新で最も大切なのは、現在の生活や仕事の状態を実態どおりに診断書へ反映してもらうことです。
更新前だからといって普段と違う説明をするのではなく、日頃から主治医に生活状況や仕事上の困難を具体的に伝えておくことが、結果として最も自然な準備になります。
また、障害年金は個別性の高い制度です。
同じ病名、同じ年齢、同じ勤務時間であっても、日常生活能力や必要な援助、治療状況などによって判断は異なります。
インターネット上で「働いたら止まった」「自分は働いていても2級だった」という他人の事例を見ても、それだけで自分の更新結果を予測することはできません。
制度や様式、手続きの取扱いは変更されることがありますので、 正確な情報は公式サイトをご確認ください。
また、診断書の内容、これまでの認定状況、就労状況などによって判断が変わるため、個別のケースについて迷う場合は、 最終的な判断は専門家にご相談ください。
※本記事は制度の一般的な解説を目的としています。当事務所では現在、企業・事業主の方を対象とした人事労務管理に関するご相談を中心に承っております。個人の方からの障害年金の請求、審査請求・再審査請求に関する個別相談および代理業務は、現在取り扱っておりません。具体的な案件については、障害年金を取り扱う社会保険労務士などへの相談をご検討ください。