労災

労災保険関係成立票の書き方と記入例を現場実務で確認

こんにちは。

もりおか社会保険労務士事務所、社会保険労務士の川熊です。

労災保険関係成立票には、労働保険番号や工事期間、元請事業者、注文者などの情報を記入し、建設現場の見やすい場所に掲示します。

この記事では、初めて成立票を準備する元請事業者や現場担当者に向けて、様式の入手方法、項目ごとの記入方法、掲示場所やサイズ、元請・下請の取り扱いまで実務の流れに沿って解説します。

特に迷いやすい事業主代理人欄や、一括有期事業と単独有期事業の違いも整理しますので、現場に掲示する前の確認にお役立てください。

  • 労災保険関係成立票を掲示する目的
  • 様式の入手方法と各項目の記入例
  • 成立票のサイズと正しい掲示場所
  • 元請と下請の掲示義務の違い

労災保険関係成立票の書き方と記入例

労災保険関係成立票の書き方と基本

労災保険関係成立票は、建設工事の現場で労災保険の保険関係が成立していることを示すための法定掲示物です。

まずは成立票の目的と様式の入手方法を確認し、そのうえで保険関係成立年月日、労働保険番号、工期、事業主、注文者などを順番に記入していきましょう。

実務では、用紙の空欄を埋めること自体よりも、どの労働保険番号を転記するのか、誰を事業主として記載するのか、一括有期事業と単独有期事業のどちらに該当するのかという判断で迷うことが多いです。

過去の現場で使用した成立票をそのままコピーするのではなく、今回の工事に対応した情報を確認することが重要です。

労災保険関係成立票とは

労災保険関係成立票は、その建設工事について労災保険の保険関係が成立していることを、工事関係者や外部の人に示すための標識です。

建設工事では、工事が完了するまでの一定期間だけ事業が行われることが多く、工事ごとに施工場所や発注者、工期、保険関係が異なります。

そのため、現場で適用されている労災保険の情報を外部から確認できるようにするため、成立票の掲示が求められています。

労働保険の保険料の徴収等に関する法律施行規則第77条では、労災保険に係る保険関係が成立している事業のうち、建設の事業に係る事業主は、労災保険関係成立票を見やすい場所に掲げなければならないと定めています。

つまり、成立票は会社が任意で作る案内表示ではなく、法令に基づいて掲示する書類です。

ここで注意したいのは、成立票は労働者本人が記入する書類ではないという点です。

労働者が業務中に負傷した際に医療機関へ提出する労災保険の請求書とも異なります。

成立票を準備し、正しい内容を記載して掲示するのは、建設事業を行う事業主側の実務です。

多くの現場では元請事業者の本社担当者、総務担当者、工事部門または現場責任者が連携して準備します。

成立票の掲示義務があるのは、原則として建設の事業です。

一般の会社が本社や営業所に成立票を掲示する制度ではありません。

建設工事の現場ごとに、どの事業主の労災保険関係のもとで工事が行われているのかを明らかにするためのものです。

成立票を掲示する目的

成立票を掲示する主な目的は、対象となる工事について労災保険の保険関係が成立していることを明らかにすることです。

建設現場では元請事業者の労働者だけでなく、一次下請、二次下請など複数の事業者に雇用された労働者が同じ場所で作業することがあります。

成立票によって事業主や労働保険番号などを表示することで、その現場における保険関係を確認しやすくなります。

ただし、成立票を掲示していることだけで、現場内のすべての人が自動的に労災保険の補償対象になるとは限りません。

雇用される労働者は原則として労災保険の対象になりますが、事業主、役員、一人親方など、労働者に該当しない人は、特別加入の有無を別途確認する必要があります。

成立票の掲示と、個々の作業者に対する労災保険の適用関係は分けて考える必要があります。

建設現場では、建設業の許可票、施工体系図、緊急連絡先、安全衛生関係の掲示物などと一緒に、成立票を現場出入口付近へ掲示することが多いです。

掲示物が多い現場では、成立票が他の書類に隠れていないか、記載内容が離れた位置からでも読めるかまで確認するとよいでしょう。

成立票は、労災事故が発生してから作る書類ではありません。

工事を開始する段階で準備し、工事期間中を通じて掲示しておく書類 です。

工期が延長された場合や表示が雨風で傷んだ場合には、その都度内容や掲示状態を見直します。

法令上の根拠や現在の様式は、厚生労働省やe-Gov法令検索で確認できます。

社内に以前から保存されている様式だけで判断すると、様式番号やサイズに関する古い情報が残っている場合があるため、定期的に公式情報と照合することが大切です。

様式第4号の入手方法

様式第4号の入手方法

労災保険関係成立票の正式な様式は、労働保険の保険料の徴収等に関する法律施行規則に定められた様式第4号です。

厚生労働省の主要様式ダウンロードコーナーから様式を入手し、パソコンで入力して印刷する方法が一般的です。

行政機関が提供するエクセル形式の様式を使えば、必要事項を入力したうえで、現場ごとに保存して管理できます。

インターネット上では、民間事業者が作成したエクセルテンプレートや、印刷用の画像データも見つかります。

しかし、検索結果に表示された様式が現行の法令に対応しているとは限りません。

古い様式番号、旧サイズ、独自の記載欄が使われている可能性もあるため、最初に厚生労働省が公開している公式様式を確認するのが確実です。

なお、成立票のサイズや文字色などの規格は、同じ施行規則の別記様式第25号で定められています。

成立票そのものの様式は様式第4号ですが、規格を定める様式の番号は別であるため、古い資料や看板で「様式第25号」という表記を見かけても、成立票の様式自体が変更されたことを意味するとは限りません。

様式番号の表記に迷った場合は、厚生労働省が公開している現行の様式第4号を基準にしてください。

公式様式の確認先

厚生労働省「労働保険適用・徴収関係主要様式」 では、労働保険関係の主要な届出様式や記入要領を確認できます。

(出典:厚生労働省「労働保険適用・徴収関係主要様式」)

エクセル様式を使う場合の流れ

エクセル様式を使用する場合は、まず原本となるファイルを保存し、工事ごとに複製して使用する方法が管理しやすいです。

ファイル名には、工事名、現場名、工期の開始年月などを入れておくと、後からどの現場の成立票なのかを確認しやすくなります。

  • 厚生労働省の公式ページから様式をダウンロードする
  • 原本ファイルを変更せずに保管する
  • 工事ごとにファイルを複製する
  • 労働保険関係書類を見ながら各項目を入力する
  • 入力内容を別の担当者が確認する
  • 所定のサイズで印刷する
  • 必要に応じてラミネートや耐候加工を行う
  • 現場の見やすい場所へ掲示する

エクセルに入力する際は、セルの幅に収めるために文字を極端に小さくしないよう注意してください。

会社名や住所が長い場合でも、法定サイズで印刷したときに読み取れる文字の大きさを確保します。

印刷プレビューで用紙サイズ、向き、余白、拡大縮小率を確認し、規定の寸法を下回らないようにしてください。

紙で印刷するか既製標識を使うか

短期間の小規模工事であれば、公式様式へ入力して印刷し、ラミネート加工して掲示する方法でも対応できます。

一方、屋外で数か月以上掲示する現場では、雨、紫外線、風、泥などによって紙が劣化しやすいため、プラスチック製やアルミ複合板製の既製標識を使うこともあります。

作成方法 メリット 注意点
エクセル入力後に紙で印刷 内容を修正しやすく、費用を抑えやすい 水濡れや日焼けへの対策が必要
印刷後にラミネート加工 短期から中期の現場で扱いやすい 端部から水が入らないように加工する
既製の樹脂製標識 耐水性があり、繰り返し使用しやすい 記載内容を消去・変更できるか確認する
アルミ複合板などで作成 長期掲示に向き、風雨に比較的強い 法定の記載事項と寸法を省略しない

既製標識を購入するときは、商品名だけで選ばず、現行の様式第4号に対応しているか、縦25センチメートル以上、横35センチメートル以上であるかを確認しましょう。

旧様式の在庫が販売されている可能性もあります。

購入した標識に不要な旧表記がある場合や、必要な記載欄が不足している場合は、そのまま使用せず、公式様式と比較してください。

A4用紙は、そのままでは法定の最低サイズを満たしません。

A4用紙は縦29.7センチメートル、横21センチメートルであるため、横幅が35センチメートルに届きません。

プリンターの設定だけでなく、実際に出力された成立票の寸法を確認してください。

保険関係成立年月日の記入例

保険関係成立年月日には、対象となる事業について、労災保険の保険関係が成立した年月日を記入します。

ここは、成立票を印刷した日、工事請負契約を締結した日、工事代金を受領した日を書く欄ではありません。

労災保険上の保険関係が成立した日を、関係書類に基づいて記入します。

労災保険の適用事業では、原則として事業を開始した日に保険関係が成立します。

ただし、建設工事では、一つの工事ごとに保険関係を成立させる単独有期事業と、一定の要件を満たす複数の工事をまとめる一括有期事業があるため、成立票へ記入する日付を判断する際には、事業の区分を先に確認する必要があります。

事業の区分 保険関係成立年月日の考え方 確認する書類 記入時の注意
単独有期事業 その工事について保険関係が成立した日 保険関係成立届、概算保険料申告書など 契約締結日ではなく、工事開始日との関係を確認する
一括有期事業 一括有期事業として保険関係が成立した日 年度更新申告書、成立届、労働保険番号の通知など 個別工事の着工日と混同しない

単独有期事業の場合

単独有期事業は、一つの建設工事を独立した事業として扱うものです。

対象工事について保険関係成立届を提出し、その工事に対応した労働保険番号で労働保険料を申告します。

保険関係成立年月日は、その事業を開始した日、通常は実際に工事へ着手した日を基準に確認します。

たとえば、工事請負契約を2026年7月10日に締結し、契約上の工期が2026年8月1日から始まる場合、実際の事業開始日が2026年8月1日であれば、成立年月日は令和8年8月1日となるのが基本です。

ただし、契約上の工期より前に準備工事や現場作業を開始している場合には、実際の事業開始日との関係を確認する必要があります。

契約書の日付をそのまま記入しないでください。

契約締結日、契約上の工期初日、実際の工事開始日が異なることがあります。

保険関係成立届の控えなどを確認し、行政手続き上の成立年月日と一致させることが重要です。

一括有期事業の場合

一括有期事業では、一定の要件を満たす複数の建設工事が、労災保険上は一つの事業としてまとめて扱われます。

そのため、個別工事の着工日を毎回、保険関係成立年月日として記載するわけではありません。

一括有期事業に使用している労働保険番号に対応する成立年月日を確認して記入します。

ここは中小企業の実務担当者が特に迷いやすいポイントです。

個別工事の事業期間には今回の現場の着工日と完成予定日を書く一方で、保険関係成立年月日には一括有期事業としての成立年月日を書くため、一枚の成立票の中に異なる基準の日付が並ぶことがあります。

たとえば、一括有期事業の保険関係が以前から成立しており、今回の個別工事を2026年9月1日に開始した場合、事業の期間は2026年9月1日から完成予定日までと記載しますが、保険関係成立年月日は、一括有期事業に対応する以前の成立年月日になることがあります。

日付は欄ごとに役割が異なります。

  • 保険関係成立年月日には労災保険上の成立日を記入する
  • 事業の期間には今回掲示する個別工事の工期を記入する
  • 成立票を作成した日や印刷した日は通常記載しない

日付がわからない場合の確認順序

成立年月日がわからないときは、推測で記入せず、まず労働保険関係成立届の事業主控えを確認します。

次に、年度更新時の申告書控え、労働保険番号が記載された通知、労働保険事務組合から交付された書類などを確認してください。

  1. 今回の工事が単独有期事業か一括有期事業かを確認する
  2. 成立票へ記入する労働保険番号を特定する
  3. その番号に対応する成立年月日を関係書類で確認する
  4. 工事請負契約書や工程表で個別工事の期間を確認する
  5. 成立年月日と工期をそれぞれの欄へ記入する

複数の労働保険番号を持つ建設会社では、番号と成立年月日の組み合わせがずれてしまうことがあります。

私は実務上、成立票だけを単独で作成するのではなく、番号の通知書や年度更新申告書と横に並べて確認する方法をおすすめしています。

過去の成立票を参考にする場合も、会社名や住所だけでなく、労働保険番号と成立年月日の組み合わせが現在も正しいかを確認しましょう。

支店の統廃合、所在地変更、事業の承継、事務組合への委託などによって、使用する情報が変わる場合があります。

労働保険番号と事業期間の書き方

労働保険番号と事業期間の書き方

労働保険番号は、成立票の記載事項の中でも特に間違いが起こりやすい項目です。

会社に一つだけ割り当てられている番号だと思われることがありますが、実際には事業の種類や成立形態などによって、同じ法人が複数の労働保険番号を持っていることがあります。

労働保険番号は一般に14桁で構成され、2桁、1桁、2桁、6桁、3桁という区分で管理されます。

書類上では、数字のまとまりをハイフンなどで区切って表示することがあります。

成立票へ記入する際は、数字の桁数だけでなく、それぞれの数字を正しい順番で転記することが大切です。

区分 一般的な桁数 確認のポイント
都道府県 2桁 労働保険関係を管轄する地域に対応
所掌 1桁 労災保険、雇用保険などの区分に関係
管轄 2桁 管轄する行政機関に対応
基幹番号 6桁 事業ごとに付される主要な番号
枝番号 3桁 事業や委託関係などに応じて使用

記憶や過去の成立票だけを頼りにせず、次のような書類で確認してから転記してください。

  • 労働保険関係成立届の事業主控え
  • 労働保険概算・確定保険料申告書の控え
  • 労働保険番号が記載された行政機関からの通知
  • 労働保険事務組合から交付された関係書類
  • 電子申請後に保存した控えや到達通知

会社に複数の番号がある場合

建設会社では、本社や事務所などの継続事業に使用する番号、現場の一括有期事業に使用する番号、単独有期事業ごとに付された番号などが存在する場合があります。

そのため、会社名が同じ書類に記載されているからといって、その番号を成立票へ転記してよいとは限りません。

本社や事務所に適用されている労働保険番号を、そのまま建設工事の成立票へ記入できるとは限りません。

今回の工事がどの保険関係に含まれているのかを確認し、その保険関係に対応する番号を記載します。

雇用保険の番号と混同しないようにしてください。

従業員個人の雇用保険被保険者番号や、公共職業安定所で使用する事業所番号は、成立票へ記入する労働保険番号とは異なります。

名称が似ている番号が複数あるため、桁数だけで判断しないことが重要です。

事業の期間には工期を記入する

事業の期間には、対象となる工事の開始日から完成予定日までを記入します。

工事請負契約書や最新の工程表を確認し、今回の現場について予定されている工期を記載してください。

たとえば、2026年8月1日に工事を開始し、2027年1月31日に完成する予定であれば、令和8年8月1日から令和9年1月31日までと記載します。

和暦で記載する場合は元号や年を間違えないようにし、西暦で社内管理している場合には変換ミスにも注意します。

事業の期間は、保険関係成立年月日とは別の記載欄です。

一括有期事業の場合でも、事業の期間には一括有期事業全体の期間ではなく、成立票を掲示する個別工事の工期を記載するのが基本です。

この違いを理解していないと、すべての現場で同じ期間を表示してしまうことがあります。

工期が変更された場合

建設現場では、天候不順、資材の納入遅延、人員配置、設計変更、追加工事、発注者との調整などによって工期が延長されることがあります。

工期が変更された場合は、契約書や工程表だけを修正して終わらせず、現場に掲示している成立票も更新してください。

成立票を手書きで修正する場合は、訂正後の内容が明確に読めるようにします。

修正が多くなった場合や、修正テープなどで見づらくなった場合は、新しい成立票を作り直した方が確実です。

工期短縮があった場合にも、現場の掲示内容と実際の予定が一致するように見直します。

転記前に確認したいポイント

  • 労働保険番号が今回の工事に対応するものか
  • 14桁の数字を正しい順番で記載しているか
  • 成立年月日と労働保険番号が対応しているか
  • 事業の期間が個別工事の最新の工期と一致しているか
  • 工期延長後も古い成立票を掲示していないか

ダブルチェックの方法

成立票を作成した担当者とは別の人が確認できる場合は、ダブルチェックを行うと安心です。

確認者は、完成した成立票だけを眺めるのではなく、根拠となる労働保険関係書類や契約書と一項目ずつ照合します。

確認項目 照合する資料 よくある誤り
労働保険番号 成立届、年度更新申告書、番号通知 本社の継続事業の番号を記載
成立年月日 成立届、労働保険関係書類 成立票を作成した日を記載
事業の期間 工事請負契約書、最新の工程表 変更前の完成予定日を記載
元号・年月日 各原本資料 西暦から和暦への変換ミス

中小企業では、一人の担当者が工事関係書類をまとめて作成することも多いと思います。

その場合でも、作成直後ではなく、少し時間を置いて原本と照合するだけで転記ミスを発見しやすくなります。

成立票の作成手順をチェックリスト化し、現場ごとに確認記録を残す方法も有効です。

事業主や注文者の記載方法

事業主の住所氏名欄には、その建設工事について労災保険上の事業主となる者の住所、名称、代表者名を記載します。

建設工事が数次の請負によって行われる場合には、原則として元請負人が事業主として扱われるため、通常は元請事業者の情報を記載します。

法人の場合は、本店所在地または労働保険関係書類に記載している所在地、法人の正式名称、代表者の役職および氏名を記載します。

会社の通称、屋号、現場名だけでは、誰が事業主なのか明確にならないことがあるため、登記上の名称や成立届の記載と整合させることが重要です。

個人事業主が元請となる場合には、事業主の住所、屋号があれば屋号、事業主本人の氏名を記載します。

屋号だけを記載すると事業主個人を特定しにくいため、氏名まで記載しましょう。

記載欄 記載する内容 記入例 避けたい記載
事業主の住所氏名 元請事業者の所在地、正式名称、代表者名 岩手県盛岡市○○町1番1号
株式会社○○建設
代表取締役 ○○○○
現場監督の個人名だけを記載
注文者の氏名 元請事業者へ工事を発注した法人または個人 株式会社○○不動産 一次下請や資材業者を記載
事業主代理人の氏名 正式に選任された労働保険上の代理人 代理人を選任していなければ空欄 現場代理人を自動的に記載

現場事務所の住所ではない

事業主の住所氏名欄は、工事現場の所在地を書く欄ではありません。

現場内に仮設事務所を設けていても、その住所を事業主の住所として記載するのではなく、労働保険関係の事業主として届け出ている住所を確認します。

会社の本店とは別の支店が工事を管理している場合には、どの事業所の情報で保険関係を成立させているかを確認してください。

必ず本店住所を書く、必ず支店住所を書くという単純なルールではなく、対象となる労働保険関係の書類と一致していることが重要です。

名刺や会社案内だけを見て記載しないようにしましょう。

会社案内では営業上の所在地や通称が使われている場合があります。

成立届、年度更新申告書、法人の正式名称を確認できる資料などと照合してください。

注文者には誰を書くのか

注文者の氏名欄には、その工事を元請事業者へ発注した法人または個人の名称を記載します。

ここでいう注文者は、成立票を作成する元請事業者から見た発注者です。

元請の下に入る一次下請事業者や、資材を納入する業者、現場の管理会社を記載する欄ではありません。

法人から発注を受けた場合は法人の正式名称を、個人から住宅工事などを直接受注した場合には発注者である個人の氏名を記載します。

行政機関が発注する公共工事では、発注者となる国、地方公共団体、担当部局など、契約書に記載された注文者を確認してください。

不動産会社が企画し、別の法人が契約上の発注者となっているなど、関係者が複数いる場合は、現場で実質的に指示をしている者ではなく、工事請負契約上の注文者を基準に確認します。

工事請負契約書の表紙や注文書を確認すると、注文者の正式名称を特定しやすくなります。

発注者の名称変更や組織再編があった場合は、契約書と現在の名称のどちらを使用するか、発注者にも確認するとよいでしょう。

共同企業体の場合

共同企業体が工事を受注している場合は、共同企業体の名称、代表者、構成員、労働保険関係の成立方法を確認する必要があります。

共同企業体の名称だけを書くのか、代表となる構成員の名称を併記するのかは、実際に提出した労働保険関係成立届などと整合させます。

共同企業体では、工事請負契約上の代表者と、労働保険関係の事業主として届け出た情報を混同しやすいです。

契約書、共同企業体協定書、成立届の控えを確認し、不明な点があれば工事を管轄する労働基準監督署へ確認してください。

記載後に確認したいこと

  • 法人名を略称ではなく正式名称で記載しているか
  • 事業主の所在地が労働保険関係書類と一致しているか
  • 代表者の役職と氏名が現在の情報になっているか
  • 注文者が工事請負契約書の発注者と一致しているか
  • 下請事業者や現場管理者を誤って注文者としていないか
  • 共同企業体の場合に成立手続きの内容と一致しているか

代表者の変更、会社の移転、商号変更があった場合には、古い成立票のデータを流用すると誤記が起こります。

特に、複数の現場で同じテンプレートを使用している会社では、会社情報のマスターデータを一か所で管理し、変更時にすべて更新できる仕組みにするとよいかなと思います。

労災保険関係成立票の書き方と掲示ルール

成立票は、必要事項を正しく記入するだけでは足りません。

法令で定められた大きさを満たし、工事関係者や公衆が確認しやすい場所へ、工事期間中継続して掲示する必要があります。

ここからは、事業主代理人欄を空欄にできる場合、成立票のサイズ、掲示場所、元請と下請の役割、一括有期事業での記載方法など、現場運用で迷いやすいポイントを詳しく解説します。

事業主代理人欄は空欄でもよい

事業主代理人の氏名欄は、すべての成立票で必ず埋めなければならない欄ではありません。

労働保険上の事業主代理人を正式に選任していない場合は、 空欄のままで差し支えありません

実際によくあるのが、空欄では書類の不備になると考え、現場代理人、現場監督、工事責任者、支店長などの氏名を便宜的に書いてしまうケースです。

しかし、成立票における事業主代理人は、単に現場を管理している担当者という意味ではありません。

事業主代理人とは、労働保険に関する事務を事業主に代わって処理する者として選任された人を指します。

代理人を選任または解任したときは、所轄の労働基準監督署などへ所定の届出を行います。

その届出によって選任されている代理人がいる場合に、成立票の事業主代理人欄へ氏名を記載します。

現場代理人と事業主代理人は別のものです。

工事請負契約や建設業法上の現場代理人に選任されているだけでは、労働保険上の事業主代理人になったことにはなりません。

肩書が似ていても、制度上の役割は異なります。

事業主代理人を選任するケース

事業主代理人は、本社から離れた支店や営業所で労働保険の事務を行う場合、一定の事業について支店長などに手続き権限を持たせる場合などに選任されることがあります。

会社の規模が大きく、事業所ごとに労働保険事務を管理している場合には、代理人が置かれている可能性があります。

一方、会社の代表者や本社の総務担当者が通常どおり手続きを行っており、代理人選任の届出をしていない場合は、成立票の欄を空欄にします。

空欄が気になるからという理由で、任意の担当者名を記載する必要はありません。

現場代理人との違い

比較項目 事業主代理人 現場代理人
主な役割 労働保険に関する事務を事業主に代わって処理する 工事現場の運営や契約上の事務を担う
根拠となる手続き 代理人選任・解任に関する届出 工事請負契約や社内の選任
成立票への記載 正式に選任されている場合に氏名を記載 現場代理人であることだけでは記載しない
選任されていない場合 成立票の欄は空欄 現場に配置されていても代理人欄とは無関係

たとえば、現場監督のAさんが工程、安全、下請業者との連絡を担当していても、労働保険上の代理人として届け出ていなければ、事業主代理人欄にAさんの氏名を記載する必要はありません。

反対に、本社から離れた支店の支店長Bさんを労働保険上の代理人として正式に選任している場合には、Bさんの氏名を記載します。

空欄でよいか確認する方法

自社で代理人を選任しているかわからない場合は、過去の成立票だけを見て判断せず、社内の労務担当者、本社管理部門、手続きを委託している労働保険事務組合または社会保険労務士へ確認してください。

  • 代理人選任・解任届の事業主控えが保存されているか
  • 労働保険関係書類で代理人の氏名が使用されているか
  • 支店長や営業所長へ労働保険事務の権限を付与しているか
  • 過去に選任した代理人が現在も在職しているか
  • 代理人が交代した際に解任・選任の手続きを行っているか

確認できないまま誰かの氏名を書くより、代理人を選任していなければ空欄にする方が適切です。

成立票の空欄をすべて埋めることが目的ではありません。

実際の労働保険関係と一致した内容を記載することが重要です。

また、以前に代理人を選任していたものの、その人が退職または異動している場合には、成立票を直すだけでなく、代理人の解任や新たな選任に関する手続きが適切に行われているかも確認しましょう。

古い担当者名が複数の現場でそのまま使われているケースは、実務上注意したいポイントです。

成立票のサイズと掲示場所

成立票のサイズと掲示場所

労災保険関係成立票は、 縦25センチメートル以上、横35センチメートル以上 の大きさで作成します。

文字は黒色、地色は白色とされています。

この寸法は、完成した成立票の実際の大きさに関する基準です。

パソコン上のファイルが規定どおりに作られていても、印刷時に縮小されていれば基準を満たさない可能性があります。

以前は、成立票の大きさが縦40センチメートル、横50センチメートルとされていましたが、2014年の省令改正によって現在の縦25センチメートル以上、横35センチメートル以上へ変更されました。

社内で長年使用しているマニュアルや標識には、旧サイズが記載されている場合があります。

現在の基準は最低限必要な寸法を示しているため、旧サイズの縦40センチメートル、横50センチメートルの成立票を掲示しても、大きさが現在の最低基準を上回っていれば、サイズが大きいこと自体が問題になるわけではありません。

古い大きな標識を急いで廃棄する必要は通常ありません。

記載項目が現行様式に対応しており、文字が読める状態で、現在の最低寸法以上であれば使用できると考えられます。

ただし、様式番号や記載欄も含めて現在の公式様式と比較してください。

印刷時に確認するポイント

パソコンで作成した成立票を印刷する際は、プリンターが自動的に用紙へ収める設定になっていないか確認します。

たとえば、A3用紙へ印刷するデータをA4用紙へ自動縮小すると、画面上では正しく見えても、完成した成立票が最低寸法を下回ります。

  • 印刷用紙のサイズが適切か
  • 用紙の向きが横向きになっているか
  • 拡大縮小率が自動変更されていないか
  • 余白によって成立票本体が小さくなっていないか
  • 印刷後の縦横寸法を実際に測ったか
  • 会社名や労働保険番号を無理なく読めるか

A4用紙へ通常印刷するだけでは、横35センチメートル以上を確保できません。

複数のA4用紙に分割して貼り合わせる方法を取る場合は、掲示中に用紙がずれたり、境目から雨水が入ったりしないようにしてください。

可能であればA3以上の用紙や既製標識を利用すると管理しやすいです。

外部から確認しやすい場所へ掲示する

施行規則では、成立票を見やすい場所に掲げることが求められています。

見やすい場所とは、単に現場のどこかへ置いておけばよいという意味ではありません。

工事関係者や公衆が外部から容易に確認できる位置を選ぶことが基本です。

一般的には、次のような場所が掲示候補になります。

  • 工事現場の主な出入口付近
  • 現場事務所の外壁
  • 仮囲いに設けた法定標識の掲示スペース
  • 建設業許可票などをまとめた掲示板
  • 歩行者や工事関係者が安全に確認できる場所

現場事務所の室内、鍵のかかった倉庫の中、資材置き場の奥など、限られた関係者しか確認できない場所は避けます。

仮囲いの外側に掲示する場合でも、通行人が車道へ出なければ読めない位置や、高すぎて文字が見えない位置では適切とはいえません。

掲示場所の例 評価 確認事項
現場出入口付近の掲示板 適切になりやすい 車両や開閉扉で隠れないか
仮囲いの外側 適切になりやすい 歩道から安全に読めるか
現場事務所の室内 不適切となる可能性 外部から確認できるか
資材置き場の奥 避けるべき 公衆や関係者が容易に確認できない
地面に立てかけるだけ 管理上不十分 転倒、泥はね、紛失のおそれがある

掲示後も定期的に確認する

成立票は、一度掲示すれば工事終了まで確認不要というものではありません。

屋外では、風で外れる、雨で文字がにじむ、日光で退色する、工事車両や資材で隠れるといったことがあります。

また、現場の進行に伴って仮囲いや出入口の位置が変わる場合もあります。

安全巡回や現場点検の項目に、成立票の確認を入れておくと管理しやすいです。

私は、法定掲示物については有無だけをチェックするのではなく、内容、視認性、最新性の三つに分けて確認する方法をおすすめしています。

現場巡回時の確認項目

  • 成立票が所定の場所に残っているか
  • 文字が薄れず、離れた位置から読めるか
  • 掲示板や標識が破損していないか
  • 車両、足場、資材、広告物などで隠れていないか
  • 工期、事業主、注文者などが最新の情報か
  • 現場出入口が移動した後も見やすい位置にあるか

成立票のサイズと掲示方法に関する根拠は、労働保険徴収法施行規則の第77条および様式第4号で確認できます。

法令や様式は改正される可能性があるため、古い解説資料だけで運用を固定しないようにしましょう。

元請と下請の掲示義務

建設工事が数次の請負によって行われる場合、労災保険上は、原則として元請負人だけがその事業の事業主とされます。

元請事業者が直接雇用する労働者だけでなく、一次下請、二次下請などの事業者が雇用する労働者についても、原則として元請事業者が成立させた労災保険関係の中で取り扱われます。

そのため、労災保険関係成立票を掲示する義務も、通常は 元請事業者が負います

下請事業者が現場へ入るたびに、それぞれ自社の労働保険番号を使って成立票を掲示する仕組みではありません。

建設現場における基本的な関係

  • 元請事業者が現場全体の労災保険関係を成立させる
  • 成立票には元請事業者に対応する労働保険番号を記載する
  • 下請事業者の労働者も原則として元請の労災保険で扱う
  • 成立票の作成と掲示も原則として元請事業者が行う

下請業者は成立票を掲示しなくてよいのか

通常の数次請負による建設工事で、元請事業者の労災保険関係に含まれている下請事業者は、自社名義の成立票を同じ現場へ重ねて掲示する必要は通常ありません。

下請事業者としては、元請名義の成立票が適切に掲示されているかを確認します。

ただし、下請事業者だから労災保険関係を一切確認しなくてよいわけではありません。

自社の従業員がどの現場で作業しているか、元請事業者は誰か、現場の保険関係がどのように成立しているかを把握しておくことは、労災事故が起きた際の対応にも関わります。

  • 元請事業者の正式名称
  • 工事現場の名称と所在地
  • 工事の注文者
  • 元請名義の成立票が掲示されている場所
  • 元請の労災保険関係に含まれる工事か
  • 事故発生時の元請担当者と連絡方法

事業の分離が認められている場合

下請負人を事業主とすることについて所定の認可を受けた場合には、例外的に下請事業者が独立した事業主として労災保険関係を成立させることがあります。

一般に事業の分離と呼ばれる取り扱いです。

この場合は、下請事業者が自らの保険関係について必要な手続きを行い、その保険関係に対応した成立票の掲示が必要になる可能性があります。

単に請負金額が大きい、施工範囲が明確に分かれている、現場を独立して管理しているというだけで、自動的に事業が分離されるわけではありません。

事業の分離は、元請と下請が口頭で決めるだけでは成立しません。

所定の要件と行政機関による認可が必要です。

認可を受けていないにもかかわらず、下請事業者が自社の番号だけで処理していると、保険関係を誤る可能性があります。

現場の状況 成立票の基本的な考え方
通常の数次請負工事 元請事業者が現場全体について掲示
下請が元請の保険関係に含まれる 下請ごとの成立票は通常不要
事業分離の認可を受けている 認可内容に応じて下請側の成立票を確認
下請が別の独立工事を直接受注 その工事では下請事業者が元請となる可能性

一人親方の取り扱い

一人親方は、一般に事業主として業務を行っており、雇用される労働者ではありません。

そのため、現場に元請事業者の成立票が掲示されていても、一人親方本人が当然にその労災保険の補償対象になるわけではありません。

一人親方が労災保険の補償を受けるためには、原則として一人親方等の特別加入制度への加入を検討する必要があります。

ただし、特別加入をしている一人親方が現場へ入ったからといって、その一人親方が労災保険関係成立票の掲示義務者になるわけではありません。

元請事業者としては、一人親方から特別加入を証明する書類の提出を受ける、加入期間が切れていないか確認する、実態として労働者に該当しないか確認するなど、成立票とは別の管理が必要です。

成立票の掲示と一人親方の特別加入確認は別の手続きです。

成立票が掲示されているから、一人親方を含む現場内のすべての作業者が補償されると考えないようにしてください。

事故が発生した場合に備えた情報管理

労災事故が発生した場合、被災者の雇用主、元請事業者、作業内容、事故の発生場所、使用する労働保険番号などを確認します。

成立票の内容が正しければ、現場の保険関係を確認する手掛かりになります。

ただし、成立票だけで労災事故の手続きに必要な情報がすべてそろうわけではありません。

元請事業者は、下請事業者名簿、作業員名簿、施工体系図、雇用関係、特別加入状況、事故報告の連絡経路なども整理しておく必要があります。

下請事業者として現場へ入る際は、自社で成立票を作るかどうかだけでなく、事故が発生した場合に誰へ連絡し、どの保険関係で手続きを進めるのかを元請事業者と確認しておくと安心です。

これは形式的な書類管理というより、事故発生時の初動を早めるための実務上の備えです。

一括有期事業での記載方法

一括有期事業での記載方法

一括有期事業とは、一定の要件を満たす複数の建設工事を、労災保険料の申告や納付のうえで一つの事業としてまとめて取り扱う仕組みです。

比較的小規模な建設工事を継続して受注する建設会社では、一括有期事業として労働保険を管理していることが多くあります。

一つの工事ごとに独立した保険関係を成立させる単独有期事業とは異なり、一括有期事業では、一括の対象となる工事について共通する労働保険番号を使用します。

しかし、現場へ掲示する成立票のすべての項目が共通になるわけではありません。

記載項目 一括有期事業での確認方法 個別工事ごとの変更
保険関係成立年月日 一括有期事業の保険関係が成立した年月日を関係書類で確認 原則として共通情報を使用
労働保険番号 一括有期事業に使用している番号を確認 対象となる工事では原則として共通
事業の期間 今回の個別工事の着工日から完成予定日を確認 工事ごとに変更
事業主 一括有期事業の事業主である元請事業者を確認 通常は共通
注文者 今回の個別工事を発注した法人または個人を確認 工事ごとに変更
事業主代理人 代理人選任の届出状況を確認 選任状況に応じて記載

共通する情報と工事ごとに変わる情報

一括有期事業の成立票を作成するときは、共通情報と個別情報を分けて考えるとわかりやすいです。

労働保険番号や保険関係成立年月日は、一括有期事業の保険関係に対応するため、対象工事の間で共通することがあります。

一方、事業の期間と注文者は、今回掲示する個別工事の情報を記載します。

同じ会社が同じ労働保険番号を使って複数の現場を施工していても、それぞれの現場で工期や発注者が異なるためです。

一括有期事業の成立票は、すべての現場で同じ内容を掲示するものではありません。

労働保険番号が共通でも、工期と注文者は個別工事ごとに確認して変更します。

過去の成立票をコピーするときの注意

一括有期事業では労働保険番号が共通するため、以前の現場で使用した成立票のデータをコピーして作ることがあります。

この方法自体は効率的ですが、工事名だけを書き換えて、事業の期間や注文者が前の現場のまま残ってしまうミスが起こりやすいです。

コピーしたファイルを使用するときは、変更すべき項目に色を付けた作業用テンプレートを用意する、入力欄以外を保護する、完成後に色を解除するなどの運用も考えられます。

現場ごとの確認表を設ける方法も有効です。

  • 工事名または現場名
  • 工事現場の所在地
  • 事業の開始日
  • 工事の完成予定日
  • 注文者の正式名称
  • 元請事業者の代表者や所在地の変更
  • 事業主代理人の選任状況

労働保険番号が同じだからといって、成立票全体をそのまま使用しないでください。

前の工事の注文者や工期が残ったまま掲示すると、今回の現場に関する成立票として正しい情報を示せません。

一括有期事業に該当するか確認する

すべての小規模な建設工事が自動的に一括有期事業となるわけではありません。

事業の種類、請負金額、概算保険料、事業が行われる地域など、法令上の要件を確認する必要があります。

また、制度改正によって要件や手続きが見直されることもあります。

請負金額だけを見て、一括有期事業に該当すると判断するのは避けてください。

支給される材料の価額をどのように扱うか、消費税をどのように扱うか、工事が分割されている場合に一つの事業として判断するかなど、個別の確認が必要になる場合があります。

一括有期事業に含まれない工事を、既存の共通番号で処理してしまうと、本来必要な単独有期事業の成立手続きや保険料申告が行われない可能性があります。

反対に、一括の対象となる工事について、不要な単独有期事業の手続きをしてしまうことも避けたいところです。

一括有期事業の対象になるか判断できない場合は、工事の契約書、見積書、工事内容、施工場所、請負金額などを整理したうえで、所轄の労働基準監督署や社会保険労務士へ確認してください。

一括有期事業の管理台帳を作る

複数の工事を一括有期事業として管理する会社では、現場ごとの情報を一覧化した管理台帳を作成すると、成立票の作成や年度更新時の集計がしやすくなります。

管理項目 記録する内容
工事名称 契約書や注文書に記載された正式な工事名
工事場所 実際に工事を行う所在地
注文者 元請事業者へ発注した法人または個人
工期 着工日と完成日または完成予定日
請負金額 一括有期事業の対象判定や申告に必要な金額
事業の種類 道路新設、建築、その他の建設事業などの区分
労働保険番号 その工事に使用する番号
成立票確認日 作成日、掲示日、工期変更時の更新日

成立票の作成と一括有期事業の年度更新を別々に管理すると、現場の漏れや工期の不一致が起こりやすくなります。

工事を受注した時点で台帳へ登録し、着工前に成立票を作成し、完成後に完成日を確定するという流れを決めておくとよいでしょう。

工期変更や追加工事があった場合

工事期間が延長された場合は、成立票の事業の期間を更新します。

追加工事が発生した場合には、当初の工事と一体の事業として扱うのか、別の工事として管理するのかを、契約内容や施工実態に基づいて確認する必要があります。

同じ現場で行うから必ず一つの工事になる、注文者が同じだから必ず一括できるというものではありません。

契約が分かれていても実質的に一つの工事と判断される場合がある一方、別個の事業として扱う場合もあります。

判断に迷うときは、契約書や追加注文書をそろえて確認してください。

一括有期事業での成立票作成手順

  1. 今回の工事が一括有期事業の対象かを確認する
  2. 使用する労働保険番号と成立年月日を確認する
  3. 個別工事の工期と注文者を契約書で確認する
  4. 事業主情報と代理人選任の有無を確認する
  5. 所定のサイズで印刷して掲示する
  6. 工期変更時に成立票も更新する
  7. 完成後は一括有期事業の管理台帳へ反映する

労災保険関係成立票の書き方まとめ

労災保険関係成立票は、建設現場で労災保険の保険関係が成立していることを示す重要な法定掲示物です。

原則として元請事業者が作成し、現場出入口付近など、工事関係者や公衆が容易に確認できる場所へ掲示します。

成立票の作成は、空欄へ文字を入力するだけの作業に見えるかもしれません。

しかし、実際には、対象工事が単独有期事業か一括有期事業か、どの労働保険番号を使うか、誰を事業主および注文者として記載するか、事業主代理人が選任されているかを確認する必要があります。

特に重要なのは、過去の現場で使用した成立票や社内に保存されている古いテンプレートを、そのまま信用しないことです。

会社名、代表者、所在地、工期、注文者、様式番号、サイズなどは変更される可能性があります。

毎回すべてを一から入力する必要はありませんが、今回の工事に対応する情報へ更新されているかを確認してください。

記入内容の最終チェック

  • 現行の様式第4号を使用しているか
  • 対象工事に対応する保険関係成立年月日を記入しているか
  • 単独有期事業か一括有期事業かを確認したか
  • 今回の工事に使用する労働保険番号を転記したか
  • 14桁の番号に転記ミスがないか
  • 事業の期間が最新の工期と一致しているか
  • 事業主の住所、名称、代表者名が正しいか
  • 注文者が工事請負契約上の発注者と一致しているか
  • 事業主代理人を選任していない場合は空欄にしているか

掲示方法の最終チェック

  • 縦25センチメートル以上、横35センチメートル以上か
  • 黒色の文字、白色の地で作成されているか
  • 工事現場の外部から確認しやすい位置にあるか
  • 車両、足場、資材などで隠れていないか
  • 雨、風、紫外線によって文字が読めなくなっていないか
  • 掲示物が倒れたり外れたりしないよう固定されているか
  • 工期変更時に事業の期間を更新したか
項目 主な確認資料 確認担当の例
労働保険番号・成立年月日 成立届、年度更新申告書、番号通知 総務・労務担当者
工期・注文者 工事請負契約書、注文書、工程表 工事担当者・現場責任者
事業主情報 成立届、会社情報、登記事項 総務・管理部門
代理人 代理人選任・解任届の控え 労務担当者
サイズ・掲示状態 完成した成立票と現場の掲示状況 現場責任者・安全担当者

掲示を怠った場合に考えられるリスク

労働保険徴収法施行規則第77条は、建設事業の事業主に対して成立票を見やすい場所へ掲示することを求めています。

成立票が掲示されていない場合や、掲示されていても小さすぎる、文字が読めない、現場の奥に置かれている、内容が別の工事のままになっている場合には、労働基準監督署の現場確認などで是正を求められる可能性があります。

また、成立票の不備は、それだけで労災保険給付が直ちに受けられなくなるというものではありませんが、労災事故の発生時に、現場の事業主や使用する労働保険番号の確認に時間がかかる要因になります。

労災事故が起きた直後は、被災者の救護、医療機関への連絡、事故状況の確認、行政報告など複数の対応が必要です。

日頃から保険関係を整理しておくことが、迅速な初動につながります。

成立票を掲示していれば、労災関係の管理がすべて完了するわけではありません。

作業員名簿、下請事業者の情報、一人親方の特別加入状況、事故発生時の連絡体制なども、別途適切に管理してください。

社内で運用を標準化する

複数の現場を管理する建設会社では、担当者ごとに成立票の作り方が異なると、記載漏れや古い様式の使用が起こりやすくなります。

社内で共通のテンプレート、確認資料、作成手順、掲示後の点検方法を決めておくことが有効です。

たとえば、工事を受注した段階で総務担当者へ契約書の写しを共有し、総務担当者が労働保険番号と成立年月日を確認し、工事担当者が工期と注文者を確認する流れにすれば、一人の担当者だけで判断する負担を減らせます。

労災保険関係成立票の書き方で最も重要なのは、手元の労働保険関係書類と実際の工事内容を一致させることです。

過去の成立票をそのまま流用せず、労働保険番号、成立年月日、工期、事業主、注文者、代理人の有無を工事ごとに確認してください。

成立票を作成した後は、データと掲示状況を記録しておくと管理しやすくなります。

完成した成立票のPDF、掲示日、掲示場所の写真、確認者、工期変更時の更新履歴などを工事ごとのフォルダへ保存しておけば、後日の確認にも役立ちます。

公式情報と専門家への確認

労働保険関係成立票の根拠となる規定は、労働保険の保険料の徴収等に関する法律施行規則第77条および様式第4号です。

制度や様式は改正される可能性があるため、社内資料や過去の成立票だけではなく、最新の法令も確認してください。

e-Gov法令検索「労働保険の保険料の徴収等に関する法律施行規則」 では、第77条と現行様式を確認できます。

(出典:e-Gov法令検索「労働保険の保険料の徴収等に関する法律施行規則」)

制度や様式は改正される可能性がありますので、 正確な情報は公式サイトをご確認ください

個別の工事について、一括有期事業に該当するか、単独有期事業として手続きが必要か、どの労働保険番号を記載するか、事業分離の取り扱いがあるか判断が難しい場合は、所轄の労働基準監督署へ確認するか、 最終的な判断は専門家にご相談ください

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