育児休業

育児休業は3歳まで取れる?法定期間と会社独自制度を整理

こんにちは。

もりおか社会保険労務士事務所、社会保険労務士の川熊です。

育児・介護休業法に基づく育児休業は、原則として子どもが1歳になるまでで、一定の事情がある場合でも最長2歳までです。

そのため、法律上当然に3歳まで育児休業を取得できるわけではありません。

一方で、会社が法律を上回る独自制度を設け、3歳まで、あるいはそれ以上の期間について休業を認めることは可能です。

実際に3歳まで休めるかどうかは、勤務先の育児・介護休業規程や就業規則を確認する必要があります。

また、3歳まで休める会社であっても、育児休業給付金、給与、社会保険料まで法定の育児休業と同じ扱いになるとは限りません。

この記事では、法定の育児休業と会社独自制度の違いから、3歳まで休む場合のお金や社会保険、復職方法まで整理して解説します。

  • 法定の育児休業を取得できる期間
  • 会社独自で3歳まで休める制度の仕組み
  • 3歳まで休む場合の給付金・給与・社会保険料
  • 休業以外に利用できる短時間勤務などの制度

育児休業は3歳まで取れる?法定期間と会社独自制度を解説

育児休業は3歳まで取れるのか

育児休業を3歳まで取りたいと考えたとき、最初に整理しておきたいのが「法律上取得できる育児休業」と「会社が独自に設けている休業制度」の違いです。

日常会話ではどちらも育休と呼ばれることがありますが、取得できる根拠や期間、給付金などの扱いは異なります。

まずは法定制度の上限から確認していきましょう。

法定の育児休業は最長2歳まで

育児・介護休業法に基づく育児休業は、 原則として子どもが1歳に達するまで 取得できる制度です。

会社が独自に期間を延ばしていない一般的なケースであれば、まず「1歳まで」が基本になると考えてください。

ただし、子どもが1歳になる時点で保育所等への入所を希望しているものの入所できない場合や、子どもを養育する予定だった配偶者が死亡、負傷、疾病など一定の事情によって養育できなくなった場合には、法律上の要件を満たすことで1歳6か月まで育児休業を延長できる場合があります。

さらに、子どもが1歳6か月になった時点でも保育所等に入所できないなどの事情が継続し、改めて延長要件を満たしている場合には、 最長で2歳に達するまで 育児休業を取得できる場合があります。

法定育休の基本的な期間

  • 原則:子どもが1歳になるまで
  • 一定の延長要件を満たす場合:1歳6か月まで
  • 1歳6か月時点でも延長要件を満たす場合:最長2歳まで

つまり、 育児・介護休業法によって労働者が請求できる通常の育児休業について、3歳までという一律の権利が定められているわけではありません。

ここは実際によく誤解されるところです。

「保育園に入れなければ、そのまま3歳まで育休を延長できるのでは」と考える方もいますが、法定の育児休業については2歳が基本的な上限です。

2歳を迎えた後も会社を休みたいのであれば、その先は会社に独自の休業制度があるかという別の話になります。

もう一つ注意しておきたいのが、1歳から1歳6か月、1歳6か月から2歳への延長は、本人が希望するだけで自動的に認められる制度ではないという点です。

法定の延長には理由が必要であり、その理由を確認するための手続きもあります。

特に保育所等に入れないことを理由として育児休業給付金の支給対象期間を延長する場合は、2025年4月から確認方法が変更されています。

従来の入所保留通知書等だけではなく、保育所等の申込みが速やかな職場復帰のために行われたものと認められることなどが確認され、申込書の写しなどの提出も必要になります。

会社の育児休業期間の延長と、雇用保険の育児休業給付金の延長は、関連していますが同じ手続きではありません。

「会社には延長を申し出たので給付金も自動的に延長される」と考えず、それぞれの要件と必要書類を確認してください。

保育所等に入れないことによる給付期間の延長については、申込みの時期や内容も重要になります。

たとえば、実際には速やかに復職する意思がないことを前提とした申込みなどでは、給付期間の延長要件を満たさない可能性があります。

保育所への申込みを行う段階から、延長要件を意識して手続きを進めることが大切です。

詳細は、 厚生労働省「育児休業給付金の支給対象期間延長手続き」 で確認できます。

また、育児休業の申出方法や会社へ提出する書類については、 育児休業申出書の書き方と提出期限 でも詳しく解説しています。

実務では、「いつまで育児休業を取りたいか」だけではなく、子どもの誕生日、保育所等の入所申込日、会社への申出期限、雇用保険の申請時期を一つのスケジュールとして整理するとミスを防ぎやすくなります。

3歳まで休める会社独自制度とは

3歳まで休める会社独自制度とは

法定の育児休業が最長2歳までだからといって、会社がそれ以上の休業を認めてはいけないわけではありません。

育児・介護休業法は、一定の要件を満たす労働者について会社が保障しなければならない育児休業等の最低基準を定めています。

したがって、会社がその基準を上回り、従業員にとって有利な制度として 3歳まで育児を理由に休業できる制度 を設けることは可能です。

たとえば、法定の育児休業が終了する2歳までを法律に基づく育児休業として扱い、その後、子どもが3歳になるまでを会社独自の育児休職期間として認める設計も考えられます。

また、会社によっては法定期間と独自期間を区別せず、社内ではまとめて「育児休業」と呼んでいる場合もあります。

会社によって制度名は異なります。

「育児休業」と呼んでいる場合もあれば、「育児休職」「育児特別休暇」「育児支援休業」など、独自の名称を使用している場合もあります。

そのため、制度名だけを見て法定制度か会社独自制度かを判断しないことが大切です。

重要なのは名称ではなく、 どの年齢まで休めるのか、誰が対象なのか、どのような条件で利用できるのか、休業中の給与や社会保険をどう扱うのか という具体的な制度内容です。

たとえば会社独自部分について、「子どもが3歳になる前日まで取得できる」「保育所に入れない場合だけ利用できる」「一定の勤続期間が必要」「申出期限を3か月前までとする」など、独自の条件を定めていることがあります。

ここで注意してほしいのは、会社独自の条件と法定育休の条件を混同しないことです。

会社が独自制度について一定の利用条件を定めているからといって、それをそのまま法定育休の取得条件に適用できるとは限りません。

法定部分については育児・介護休業法に基づいて判断し、法律を上回る独自部分については会社の規程に基づいて判断するという整理が必要です。

私が会社の育児・介護休業規程を確認するときも、「育児休業」という言葉が何を指しているのかはかなり注意して見ます。

法律上の育児休業と福利厚生としての休業が一つの条文にまとめられていると、従業員だけでなく担当者側も給付や社会保険の取扱いを混同しやすいからです。

3歳まで休めるか確認するときは、次の5点を見ると整理しやすくなります。

  • 法定育休が終了した後も休めるのか
  • 独自制度を利用できる対象者
  • 申出期限と必要な手続き
  • 独自休業期間中の給与や会社手当
  • 復職時の勤務条件や短時間勤務制度

会社から口頭で「3歳まで育休を取れますよ」と案内された場合でも、できれば育児・介護休業規程や就業規則などの正式なルールを確認してください。

特に長期間の休業では、給付金の終了時期や社会保険料の扱いが家計に直接影響します。

会社側にとっても、法律上の育児休業と独自制度の境界を明確にしておくことは重要です。

休業を認めるだけでなく、給与、賞与、勤続年数、退職金、社会保険手続き、復職時の取扱いまで規程上整理しておくと、従業員との認識違いを防ぎやすくなります。

法定育休と会社独自制度の違い

法定の育児休業と会社独自の3歳までの休業制度は、外から見るとどちらも「育児のために会社を休む制度」ですが、制度の根拠が異なります。

この違いを理解しておくと、なぜ給付金や社会保険の取扱いを個別に確認しなければならないのかが分かりやすくなります。

項目 法定の育児休業 会社独自の休業制度
主な根拠 育児・介護休業法 就業規則・育児休業規程等
主な期間 原則1歳、一定の場合最長2歳 会社が定めた期間
取得条件 法律上の要件による 会社の規程による
給与 会社に一律の支給義務はない 会社の規程による
育児休業給付 要件を満たせば対象 法定期間を超えた部分は別に判断
社会保険料 一定の要件で免除 休業の位置付け等によって確認が必要

特に注意したいのが、 会社から休業を認められることと、雇用保険から育児休業給付金を受け取れることは別の問題 だという点です。

たとえば、勤務先の規程に「子が3歳に達するまで育児休業を取得できる」と書かれていたとしても、その会社規程だけを根拠として雇用保険の育児休業給付金まで3歳になるまで支給されるわけではありません。

会社が休業を認めるかどうかは労働契約や就業規則の問題です。

一方、育児休業給付金を支給するかどうかは雇用保険制度上の要件によって決まります。

さらに社会保険料免除については健康保険・厚生年金保険のルールによって判断します。

3歳までの育休を確認するときは、制度を4つに分けると分かりやすいです。

  • 会社を休めるか:育児・介護休業法と会社規程
  • 会社から給与が出るか:就業規則・賃金規程等
  • 育児休業給付が出るか:雇用保険
  • 社会保険料が免除されるか:健康保険・厚生年金保険

この4つは関連していますが、一つの制度ではありません。

「育休」という一つの言葉だけで全部を判断しようとすると、どうしても混乱しやすくなります。

たとえば2歳までは法定の育児休業として休み、2歳から3歳までは会社独自制度で休むケースを考えてみます。

会社との関係では3歳まで継続して休業しているため、本人の感覚ではずっと同じ「育休」です。

しかし、雇用保険上は2歳を境に育児休業給付の取扱いが変わる可能性があり、社会保険上はさらに別の基準で免除の可否を判断することになります。

実務ではこの境目を明確にしておくことが重要です。

特に給与計算や社会保険手続きを担当する会社側では、「会社独自の休業だから全部対象外」「育児のための休業だから全部法定育休と同じ」と一括りにせず、それぞれの制度要件を確認する必要があります。

従業員側も、人事担当者に確認するときは「3歳まで休めますか」だけで終わらせず、「2歳以降は会社ではどの制度として扱いますか」「その期間の給与や社会保険はどうなりますか」と一段踏み込んで聞いておくと、後から想定外の負担が生じるリスクを減らせます。

3歳以上まで休める会社もある

3歳以上まで休める会社もある

会社が法律を上回る制度を設ける場合、必ず3歳までにしなければならないわけではありません。

育児と仕事の両立支援を重視する会社では、3歳より長い期間を対象にした独自制度を設けていることもあります。

たとえば、小学校就学前まで利用できる育児休職制度、一定期間の無給休職、独自の育児目的休暇などです。

休業ではなく、短時間勤務を法律上求められる年齢より長く利用できるようにする会社もあります。

こうした制度は、採用や人材定着、離職防止の観点から会社が独自に設計している福利厚生の一つと考えると分かりやすいでしょう。

特に専門職など、長期的な人材確保を重視する会社では、法定制度だけにとどまらず柔軟な制度を整備しているケースがあります。

ただし、会社独自制度で長期間休める場合には、 期間が長くなるほど「休めること」と「生活を維持できること」を分けて考える必要があります。

会社が長く休める制度を用意していることと、公的な経済支援が同じ期間まで続くことは別です。

休業期間だけを見て判断せず、給与、給付金、社会保険料などを含めて確認してください。

具体的には、次のような項目を確認するとよいでしょう。

  • 休業中に給与が支給されるか
  • 会社独自の育児手当や支援金があるか
  • 賞与の算定期間に休業期間が含まれるか
  • 定期昇給や人事評価をどのように扱うか
  • 勤続年数や退職金の計算に影響するか
  • 社会保険料をどのように取り扱うか
  • 福利厚生を休業中も利用できるか
  • 復職時の部署や職務をどのように扱うか

たとえば会社が4歳まで休業を認めていたとしても、3歳以降について雇用保険の育児休業給付や育児休業等期間中の社会保険料免除がそのまま継続するとは限りません。

その結果、会社には在籍できても、一定期間は給与も公的給付もなく、社会保険料の本人負担が発生するというケースも考えられます。

そのため、長期間の休業制度を利用する場合は「制度上の最長期間を全部使うこと」が必ずしも最適とは限りません。

たとえば2歳で復職して短時間勤務を利用したほうが家計とのバランスを取りやすい場合もありますし、家庭内で育児を分担して段階的に通常勤務へ戻る方法もあります。

長く休める制度があること自体は大きな安心材料です。

ただ、実際の利用を考える際には、最長取得期間よりも「どの時点でどの程度の収入があるか」「復職後にどんな勤務方法を選べるか」を確認したほうが実用的ですよ。

会社側として独自制度を設計する場合も同じです。

「3歳まで休めます」と期間だけを広げるのではなく、復職支援、短時間勤務、在宅勤務、休業中の情報提供などを組み合わせたほうが、実際に利用しやすい制度になりやすいと私は考えています。

求職時に育休制度を確認する方法

転職や就職活動の段階で、3歳まで育児休業を取得できる会社を探している方もいると思います。

今後出産を考えている場合や、小さな子どもを育てながら転職する場合には、育児支援制度は会社選びの重要な条件になります。

ただし、求人票や採用サイトに「育児休業制度あり」と書かれていても、それだけでは3歳まで利用できる会社なのかは分かりません。

法律上の育児休業制度を利用できることだけを意味している場合もあるためです。

求職時には、単に「育休あり」という表示を見るのではなく、制度の具体的な利用期間まで確認する必要があります。

求職時に確認したい主な情報

  • 採用サイトの福利厚生ページ
  • 育児・仕事の両立支援制度の案内
  • 法定期間を上回る育児休業・育児休職の有無
  • 短時間勤務を利用できる子どもの年齢
  • テレワークや時差出勤の利用条件
  • 育児休業の取得実績や復職実績

会社によっては、採用サイトで「育児休業は子が3歳になるまで」「短時間勤務は小学校3年生まで」など、法定制度を上回る部分を具体的に公表しています。

このように期間まで明記されていれば比較しやすいでしょう。

一方、「育児休業取得実績あり」という情報だけでは、3歳まで取得できるかは判断できません。

法定育休を取得した人がいることと、会社独自の長期育休制度があることは別だからです。

採用面接や条件面談で確認する場合は、「育休は取れますか」と聞くより、 「法定の育児休業期間を超えて利用できる育児休業や育児休職制度はありますか」 と質問したほうが知りたい情報を確認しやすくなります。

さらに、可能であれば「何歳まで利用できますか」「独自期間は有給ですか、無給ですか」「復職後の短時間勤務は何歳まで利用できますか」と確認すると、制度の実態がかなり見えてきます。

入社前は就業規則そのものを自由に閲覧できない場合もあります。

その場合は、採用担当者に制度の概要を質問し、入社後に正式な育児・介護休業規程や就業規則を確認するという流れになります。

また、制度が存在することと、実際に利用しやすいことも分けて考えたいところです。

育児休業の取得実績、復職率、短時間勤務の利用状況などが公表されていれば参考になります。

採用時によく確認するポイントですが、私は休業期間だけで会社の育児支援を評価しないほうがよいと考えています。

子どもが小さい時期は、復職した後にも保育園の送迎、急な発熱、行事などへの対応が続くためです。

そのため、3歳までの育児休業に加えて、短時間勤務、始業・終業時刻の変更、テレワーク、子の看護等休暇、残業免除なども含めて確認すると、実際に長く働き続けられる会社かどうかを判断しやすくなります。

育児休業を3歳まで取る際の注意点

勤務先に3歳まで休める制度があったとしても、「3歳まで仕事を休める」という一点だけで利用を決めるのはおすすめできません。

特に確認したいのが、育児休業給付金、休業中の給与、社会保険料です。

法定の育児休業と会社独自制度では扱いが変わることがあるため、復職までの家計を具体的に確認しておきましょう。

3歳まで育休給付金は出るのか

3歳まで休める会社に勤務している方が特に気になるのが、「3歳まで休めるなら、育児休業給付金も3歳まで出るのか」という点だと思います。

結論からいうと、 会社が3歳まで休業を認めているという理由だけで、雇用保険の育児休業給付金が3歳まで支給されるわけではありません。

育児休業給付金の支給対象となる期間は、原則として子どもが1歳になるまでです。

保育所等に入所できないなど一定の要件を満たす場合には1歳6か月まで、さらに要件を満たす場合には最長2歳まで支給対象期間を延長できることがあります。

「会社を休める期間」と「育児休業給付金を受け取れる期間」は同じとは限りません。

たとえば、法定の延長要件を満たし2歳になるまで育児休業と育児休業給付を利用した後、勤務先の独自制度によって3歳までさらに1年間休業するケースを考えてみます。

会社との雇用関係では2歳から3歳までの期間も休業が認められています。

しかし、会社が独自に休業を認めたという事実だけで、その1年間について育児休業給付が継続するわけではありません。

そのため、2歳から3歳までの独自休業期間を無給とする会社であれば、 給付金も給与もない期間が生じる可能性を考えて家計を組み立てておく必要があります。

この点は「3歳まで育休が取れる会社だから安心」と思っていた方にとって、かなり重要なポイントです。

会社が保障しているのは、一定期間休業しても雇用関係を維持できるという部分であり、その期間中の生活費まで会社や雇用保険が保障するとは限りません。

2歳以降も休業する予定なら、育児休業給付金がいつ終了するのかを先に確認してください。

そのうえで、会社独自の給与・手当の有無、世帯収入、保育料などを含めて復職までの資金計画を考えることが大切です。

また、法定の延長期間についても、保育所等へ入れなければ無条件で給付金を2歳まで受け取れるわけではありません。

1歳時点、1歳6か月時点でそれぞれ延長要件を満たしているか確認されます。

特に2025年4月以降は、保育所等への申込みが速やかな職場復帰を目的としたものと認められることなど、延長手続きの確認が従来より具体化されています。

入所申込書の写しなども必要になるため、自治体へ提出した書類を手元に残しておくことも重要です。

なお、雇用保険には育児休業給付以外にも、一定の条件を満たして育児のために短時間勤務をする場合の給付制度などがあります。

ただし、対象となる子どもの年齢や雇用保険上の要件がそれぞれ定められていますので、「育児に関係する制度だから利用できる」と一括りにせず確認してください。

3歳まで休むか早めに復職するかを考える際には、取得可能な休業期間だけではなく、 給付が終了する時点を一つの判断材料にする と現実的な選択をしやすくなります。

法定期間を超えた休業中の給与

法定期間を超えた休業中の給与

育児休業期間中の給与については、「育休中は国から給与が支払われる」と考えると制度を理解しにくくなります。

会社から支払われる給与と、雇用保険から支給される育児休業給付は別のものです。

まず、法定の育児休業を取得している期間について、会社に通常の給与を一律に支給する義務があるわけではありません。

そのため、育児休業中を無給としている会社は珍しくありません。

一定の雇用保険上の要件を満たしている方については、その無給・減給となる育児休業期間の生活を支える仕組みとして育児休業給付があります。

しかし、会社独自制度によって2歳を超えて3歳まで休業する場合は、 その独自期間について会社が給与を支払うかどうかは、就業規則や育児・介護休業規程、賃金規程などによって異なります。

会社によっては、法定育休部分も独自休業部分も無給としていることがあります。

一方、福利厚生を手厚くしている会社では、独自の育児支援手当を支給したり、一定期間だけ有給扱いにしたりすることも考えられます。

確認項目 確認する内容
基本給 独自休業期間中に支給されるか
会社独自手当 育児支援金などがあるか
賞与 休業期間が算定にどう影響するか
昇給 休業によって昇給時期等が変わるか
退職金 勤続期間等の計算方法

ここで意外と見落としやすいのが賞与です。

月例給与が無給であることは理解していても、「育休中でもボーナスは出ると思っていた」という認識違いが生じることがあります。

賞与の支給条件や算定方法は会社の賃金規程等によって異なります。

賞与算定期間のうち実際に勤務した期間を基準として計算する会社もあれば、別の計算方法を採用している会社もありますので、個別に確認してください。

「3歳まで在籍したまま休める」ことと「3歳まで収入が確保される」ことは同じではありません。

特に法定の育児休業給付が終了した後の期間については、世帯収入が大きく変わる可能性があります。

たとえば2歳から3歳までの1年間が無給で、育児休業給付も終了している場合、その期間は配偶者の給与や貯蓄などで生活することになります。

住宅ローン、教育費、保険料など固定費が大きい家庭では、この1年間が想像以上に負担になることもあります。

一方で、早めに短時間勤務で復職すれば給与収入を得られる可能性があります。

もちろん子どもの保育状況や家庭事情によって選択は変わりますが、「最大3歳まで休めるから3歳まで休む」と最初から決める必要はありません。

私は、長期の休業を検討する場合には、少なくとも「法定給付が終わる時期」「会社からの収入がなくなる時期」「復職した場合の収入」の3つを並べて考えるのがよいと思います。

会社に確認するときも、「3歳まで休業できますか」だけでなく、「2歳以降の会社独自休業期間は無給ですか」「賞与や退職金の算定はどうなりますか」と具体的に質問すると、後からの認識違いを防ぎやすくなります。

社会保険料の扱いを確認する

3歳まで休業する場合に特に迷いやすいのが、健康保険・厚生年金保険料の扱いです。

育児休業給付金については「最長2歳」というイメージを持っている方が多いのですが、社会保険料免除については制度の考え方が少し異なります。

育児休業等の期間について一定の要件を満たし、被保険者からの申出を受けた会社が所定の手続きを行うことで、健康保険料と厚生年金保険料について 被保険者本人負担分と事業主負担分の双方が免除 される制度があります。

ここで重要なのは、 会社独自の3歳までの休業だから、一律に社会保険料免除の対象外になるわけではない という点です。

日本年金機構では、育児・介護休業法に基づく通常の育児休業だけでなく、一定の場合には、1歳、1歳6か月または2歳から3歳に達するまでの子を養育するための 育児休業の制度に準ずる措置による休業 についても、社会保険上の育児休業等に含めています。

そのため、勤務先が法定の育児休業期間を超えて3歳まで休業できる制度を設けている場合、その制度の内容や位置付けによっては、2歳から3歳までの期間についても社会保険料免除の対象となる可能性があります。

育児休業給付と社会保険料免除は、同じ期間になるとは限りません。

2歳以降に育児休業給付が支給されない場合でも、会社の制度が社会保険上の育児休業等に該当するかは別途確認します。

これは3歳までの会社独自制度を考えるうえで非常に重要なポイントです。

「給付金が2歳までだから社会保険料免除も2歳まで」と単純に考えるのは正確ではありません。

一方で、会社が単に「無給で休職してもよい」と認めただけで、どのような休職でも自動的に育児休業等として扱われるわけではありません。

育児のための休業制度としてどのように規程されているのか、育児休業等に準ずる休業として要件を満たすのか、会社が必要な届出を行っているのかなどを確認する必要があります。

「育児のために会社を休んでいる」という事実だけでは判断できません。

休業制度の内容と社会保険上の位置付けを会社側で確認したうえで、必要な届出を行うことが重要です。

また、社会保険料免除の対象となる育児休業等は、基本的に満3歳未満の子を養育するためのものです。

たとえば勤務先が4歳や小学校入学までの独自休職を認めているからといって、3歳以降についても同じ育児休業等期間中の保険料免除が続くと考えるのは適切ではありません。

社会保険料免除の仕組みや対象となる育児休業等については、 日本年金機構「従業員が育児休業等を取得・延長したときの手続き」 で確認できます。

なお、社会保険料が免除されている期間については、単純に将来の厚生年金がその期間分だけなくなるという仕組みではありません。

育児休業等期間中の保険料免除には年金上の取扱いも定められていますので、「保険料を払っていないから将来の年金が必ず減る」とだけ考える必要はありません。

会社独自の3歳までの休業制度を利用する場合は、人事・総務担当者に「2歳以降の独自休業期間について、社会保険上は育児休業等として手続きをする制度ですか」と確認すると分かりやすいでしょう。

会社側でも判断が難しい場合は、年金事務所や専門家へ確認することをおすすめします。

3歳未満は短時間勤務も利用できる

3歳未満は短時間勤務も利用できる

「できれば3歳まで仕事を完全に休みたい」と考えている場合でも、休業以外の選択肢を知っておくと復職時期を考えやすくなります。

育児・介護休業法では、事業主に対して、 3歳に満たない子どもを養育する一定の労働者が利用できる短時間勤務制度 を設けることを原則として義務付けています。

短時間勤務制度については、1日の所定労働時間を原則として6時間とする措置を含む制度を用意することが求められています。

対象要件や労使協定による一定の除外などもあるため、すべての労働者に例外なく同じ条件で適用されるわけではありませんが、育児と仕事を両立するための重要な法定制度です。

そのため、法定の育児休業が終わった後に「フルタイムではまだ復職が難しい」という場合でも、仕事を完全に辞めたり、必ず会社独自の長期休業を利用したりする必要があるとは限りません。

法定育休が終わることと、育児と仕事を両立する制度がすべて終わることは同じではありません。

たとえば2歳で育児休業が終了した後、子どもが3歳になるまで短時間勤務を利用して復職するという選択もできます。

会社独自制度によって3歳まで完全に休業する場合と比較すると、仕事との接点を維持しながら給与収入を得られる可能性がある点は大きな違いです。

もちろん、短時間勤務をすると勤務時間が短くなるため、通常勤務時より賃金が下がることがあります。

会社によって賃金の計算方法は異なりますので、短時間勤務を選ぶ場合も実際の手取りを確認しておくとよいでしょう。

さらに、2025年10月からは、3歳から小学校就学前までの子を養育する一定の労働者について、会社が 柔軟な働き方を実現するための措置 を設ける制度が始まっています。

会社は、次の5つの措置の中から2つ以上を選択して用意し、対象となる労働者は会社が用意した措置の中から1つを選択して利用できる仕組みです。

措置 主な内容
始業時刻等の変更 時差出勤などにより勤務時間帯を調整する
テレワーク等 一定日数以上利用できる制度を設ける
保育施設の設置運営等 保育サービス等によって両立を支援する
養育両立支援休暇 就業しながら子を養育しやすくする休暇を設ける
短時間勤務制度 所定労働時間を短縮して勤務できる制度を設ける

つまり、3歳になったからといって、法律上の育児支援制度が突然すべてなくなるわけではありません。

3歳未満までは短時間勤務制度が中心となり、3歳以降、小学校就学前までは会社が選択した柔軟な働き方の措置を利用するという流れを考えることができます。

ここは会社ごとの差が出やすい部分です。

法律上、5つすべての措置を会社が用意する必要があるわけではなく、会社が2つ以上を選択します。

そのため、ある会社では「時差出勤とテレワーク」、別の会社では「養育両立支援休暇と短時間勤務」というように、利用できる制度が異なる可能性があります。

子どもが3歳になる前に、勤務先がどの措置を導入しているのか確認しておくと、3歳まで休業するか、その前に復職するかを考えやすくなります。

私が実務で育児関係の制度を整理するときも、育休の終了日だけを見るのではなく、その後どの制度に接続できるのかまで確認します。

育児は子どもが2歳になった日に終わるわけではありませんから、休業と復職後の制度を一本の流れとして考えることが大切です。

会社独自の3歳までの休業を利用する、2歳で復職して短時間勤務を利用する、さらに3歳以降は柔軟な働き方の措置を利用するなど、複数の選択肢を比較したうえで家庭に合う方法を考えてください。

育児休業を3歳まで考えるときの要点

育児休業を3歳まで取りたい場合、最初に押さえておきたいのは、 法律上の育児休業と会社独自の制度を分けて考えること です。

育児・介護休業法に基づく通常の育児休業は原則として子どもが1歳になるまでで、保育所等に入れないなど一定の事情がある場合には1歳6か月まで、さらに要件を満たせば最長2歳まで延長できます。

一方で、会社が法律を上回る福利厚生として、3歳まで、あるいはそれ以上の期間について育児を理由とした休業制度を設けることは可能です。

したがって、「育児休業は3歳まで取れますか」という質問への答えは、 法律だけでいえば原則として最長2歳までですが、勤務先に独自制度があれば3歳まで休める可能性がある となります。

ただし、実際に利用するかどうかを判断するときは、休業期間だけを確認するのでは不十分です。

確認事項 確認するポイント
休業期間 法定育休終了後も会社独自制度で何歳まで休めるか
取得条件 会社独自期間にどのような利用条件があるか
育児休業給付 公的給付をいつまで受給できるか
給与 独自休業期間が有給か無給か
賞与等 賞与・昇給・退職金への影響
社会保険料 育児休業等として免除対象になるか
復職方法 短時間勤務等を利用できるか
3歳以降 会社が用意する柔軟な働き方の措置

特に大切なのは、 3歳まで休める制度があるからといって、3歳まで育児休業給付金が支給され、すべての期間で社会保険料も自動的に免除されるわけではない という点です。

会社を休める期間は会社の制度、育児休業給付は雇用保険、社会保険料免除は健康保険・厚生年金保険の制度というように、それぞれ別のルールがあります。

反対に、会社独自制度だから社会保険料が必ず免除されないというわけでもありません。

3歳未満の子を養育するための育児休業の制度に準ずる措置による休業として、社会保険上の要件を満たす場合があります。

勤務先に「3歳まで育休可能」と書かれていたら、次の順番で確認してみてください。

  • 2歳以降はどの社内制度で休業するのか
  • その期間に会社から給与や手当が出るのか
  • 育児休業給付金はいつ終了するのか
  • 社会保険料免除の対象として手続きされるのか
  • 途中で復職する場合に短時間勤務等を利用できるのか

この5点が分かれば、3歳まで休む場合の実際の生活をかなり具体的にイメージできるようになります。

また、3歳まで休業できるからといって、必ず最長期間まで利用する必要はありません。

子どもの保育状況、配偶者の働き方、世帯収入、本人のキャリア、復職後に利用できる制度などを考えながら、途中で復職する方法も含めて検討してよいと思います。

特に現在は、3歳未満の短時間勤務制度に加えて、3歳から小学校就学前までの柔軟な働き方を支援する制度も整備されています。

「休むかフルタイムで復職するか」の二択ではなく、段階的に働き方を戻していくことも可能です。

実務上も、育児関係の制度は「育児休業だけ」を確認するとかえって分かりにくくなります。

育児休業、育児休業給付、社会保険料免除、短時間勤務、3歳以降の両立支援制度を一つの流れとして確認するのがポイントです。

育児関係の制度は法改正によって要件や手続きが変更されることがあります。

また、会社独自制度については勤務先ごとに内容が異なります。

正確な情報は公式サイトをご確認ください。

また、会社独自制度の適用条件、育児休業給付の延長、社会保険料免除の可否などは、実際の休業期間や会社の規程によって判断が変わることがあります。

勤務先の規程を読んでも判断が難しい場合や、会社側で3歳までの育児休業制度を設計する場合には、 最終的な判断は専門家にご相談ください。

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