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雇用保険で87時間を超えない月と80時間基準の違いを解説

こんにちは。

もりおか社会保険労務士事務所、社会保険労務士の川熊です。

雇用保険で87時間を超えない月があると、パートやアルバイトの雇用保険加入が外れるのか、失業給付の被保険者期間に影響するのか、不安になる方は少なくありません。

実務では、月87時間、週20時間、31日以上の雇用見込み、所定労働時間、実労働時間、11日以上、80時間以上、賃金支払基礎日数、シフト制、離職票といった言葉が一緒に出てくるため、会社側も従業員側も判断に迷いやすいところです。

この記事では、雇用保険の加入要件と、失業給付に関係する被保険者期間の考え方を分けて整理します。

中小企業の労務管理でもよく確認するポイントですので、実務で迷わないように順番に見ていきましょう。

  • 月87時間と週20時間の関係
  • 87時間未満でも雇用保険が外れないケース
  • 被保険者期間の11日・80時間基準
  • 離職票作成時に会社が確認すべき点

雇用保険で87時間を超えない月は?

雇用保険で87時間を超えない月の基本知識

雇用保険で87時間を超えない月の基本知識

まず押さえたいのは、雇用保険の加入要件と、失業給付の被保険者期間は別の話だという点です。

月87時間という数字は、週20時間を月換算した実務上の目安として使われることがありますが、毎月の実労働時間だけで加入・喪失を機械的に判断するものではありません。

このあたり、少しややこしいですよね。

私も相談を受けるときは、最初に「雇用保険に入れるかどうかの話ですか、それとも失業給付を受けるための期間計算の話ですか」と確認するようにしています。

ここを分けるだけで、かなり見通しがよくなります。

87時間が意味する2つの基準

87時間が意味する2つの基準

雇用保険で出てくる87時間は、主に週20時間を月に換算した目安です。

計算上は、週20時間に52週を掛け、それを12か月で割ると約86.7時間になります。

そのため、週の所定労働時間がはっきり決まっていない働き方では、 月87時間前後が週20時間以上に相当する目安 として話題に出ることがあります。

ただし、87時間という数字が、雇用保険のすべての場面で絶対的な基準になるわけではありません。

ここが大事です。

雇用保険に加入するかどうかは、基本的に週の所定労働時間と雇用見込みで判断します。

一方で、失業給付を受けるために必要な被保険者期間を数える場面では、賃金支払基礎日数11日以上、または賃金支払基礎労働時間80時間以上という別の基準が出てきます。

つまり、同じ雇用保険の話でも、87時間は「加入できるかどうか」の目安として使われやすく、80時間は「被保険者期間として1か月に数えられるかどうか」の場面で使われる数字です。

ここを混同すると、「87時間に届かなかったから雇用保険が外れるのでは」「80時間を超えているから必ず加入できるのでは」といった誤解が起きやすくなります。

実務上のポイント

87時間は加入要件を考えるときの月換算目安、80時間は被保険者期間を数えるときの救済基準 です。

この2つは似て見えますが、使う場面が違います。

会社側がまず確認したいこと

会社の実務では、最初に雇用契約書や労働条件通知書を確認します。

そこに週の所定労働時間が20時間以上と書かれているなら、ある月の勤務実績が87時間を下回ったとしても、直ちに資格喪失と考えるのは早いです。

反対に、契約上は週20時間未満なのに、実態として毎月87時間前後働いている場合は、契約書の内容と勤務実態にズレがないか確認した方がいいかなと思います。

加入要件は週20時間以上が基本

雇用保険の加入要件は、原則として 週の所定労働時間が20時間以上 であり、かつ 31日以上の雇用見込み があることです。

ここでいう所定労働時間とは、実際に働いた時間ではなく、雇用契約書や労働条件通知書などであらかじめ定めた契約上の勤務時間を指します。

たとえば、週5日、1日4時間勤務の契約であれば、週の所定労働時間は20時間です。

この場合、ある月に欠勤が多く、実際の勤務時間が87時間を下回ったとしても、それだけで直ちに雇用保険の資格を失うとは考えません。

月の実績だけを見て、毎月加入したり外したりする運用は、実務上もかなり危ういです。

採用時によく確認するのは、実績ではなく契約条件です。

特にパートやアルバイトでは、シフト表の実績だけを見て判断しがちですが、まずは雇用契約上の所定労働時間を確認することが基本になります。

シフト制で勤務時間が変動する場合でも、採用時に「おおむね週何時間働く予定なのか」「継続して31日以上雇用する見込みがあるのか」を確認しておくと、後から判断に迷いにくくなります。

雇用形態の名前も、実はあまり関係ありません。

パート、アルバイト、契約社員、嘱託など名称が違っても、雇用保険の加入要件を満たす場合は、原則として被保険者になります。

会社側から見れば、本人が希望するかどうかではなく、要件に該当するかどうかで判断するのが基本です。

確認の目安

  • 週の所定労働時間が20時間以上か
  • 31日以上の雇用見込みがあるか
  • 一時的な欠勤ではなく契約内容が変わっているか
  • 勤務実態と契約書に大きなズレがないか

制度上の加入要件については、公的機関の情報も確認しておくと安心です。

雇用保険の被保険者となる基本的な考え方は、厚生労働省の資料でも、週の所定労働時間20時間以上と31日以上の雇用見込みがポイントとして整理されています(出典: 厚生労働省「31日以上の雇用見込みがあること」 )。

実労働と所定労働時間の違い

実労働と所定労働時間の違い

実労働時間は、実際に働いた時間です。

一方、所定労働時間は、会社と従業員の間であらかじめ決めた勤務時間です。

雇用保険の加入要件では、この 所定労働時間 を見るのが基本です。

ここを取り違えると、かなり混乱します。

たとえば、契約上は週20時間以上で働く予定だったものの、ある月だけ体調不良や家庭の事情で出勤が少なくなった場合、その月の実労働時間は87時間を超えないかもしれません。

しかし、契約内容が変わっていないのであれば、加入要件の判断まで直ちに変わるわけではありません。

これは、雇用保険の加入判断が「毎月の実績だけを見る制度」ではなく、「継続的な雇用契約の内容を見る制度」だからです。

一方で、実態として長期間にわたり週20時間未満の勤務が続き、今後もその状態が続くことが明らかな場合は、契約内容の見直しや資格喪失の検討が必要になることがあります。

つまり、1か月だけ87時間を超えない月があったのか、今後も継続して週20時間未満になるのかで、対応は変わるということです。

状況 加入資格の考え方 実務での確認ポイント
所定が週20時間以上で、実労働が87時間未満 原則として加入資格は維持 欠勤・有給・シフト減が一時的か確認
欠勤や有給で一時的に勤務時間が減少 契約が変わらなければ直ちに喪失しない 雇用契約書の所定労働時間を確認
契約を週20時間未満に正式変更 資格喪失を検討 変更日と変更後の勤務条件を確認
週の所定時間が決まらないシフト制 月87時間などの目安で確認 採用時の勤務見込みと実態を確認

給与明細だけでは判断しにくい

従業員の立場では、給与明細で雇用保険料が引かれているかを確認するのは有効です。

ただし、保険料が引かれているかどうかだけで、加入要件の正確な判断まではできません。

会社の手続き漏れや、逆に誤って控除しているケースもゼロではありません。

気になる場合は、まず会社に雇用保険の加入状況を確認し、必要に応じてハローワークや専門家に相談するといいですよ。

87時間未満でも雇用保険は外れない?

結論からいうと、 月87時間未満の月があるだけで雇用保険から外れるとは限りません

加入資格は、原則として週の所定労働時間と雇用見込みで判断するためです。

ここは、相談現場でも本当によく聞かれるところです。

たとえば、週20時間以上の契約で採用されたパート従業員が、1か月だけ子どもの体調不良や自身の通院などで勤務日数が少なくなり、月の実労働時間が70時間程度になったとします。

この場合、たしかにその月は87時間を超えていません。

しかし、契約内容が変わっておらず、翌月以降も週20時間以上で働く予定であれば、その月だけを理由に雇用保険を外すのは通常の考え方ではありません。

会社側として大事なのは、「一時的な勤務減少」なのか「今後の契約変更」なのかを見極めることです。

一時的な欠勤やシフト減であれば、加入資格は維持される方向で考えます。

一方で、本人から今後は勤務時間を大幅に減らしたいという申し出があり、会社もそれを了承して週20時間未満の契約に変更するなら、資格喪失の検討が必要になります。

注意点

一時的な勤務減少と、契約内容の変更は分けて考えます。

会社が正式に週20時間未満の契約へ変更した場合は、雇用保険の資格喪失を検討する必要があります。

従業員への説明も大切

従業員側からすると、「今月は87時間に届かなかったから、雇用保険がなくなるのでは」と不安になることがあります。

こういうとき、会社が制度の仕組みを簡単に説明できると、安心感がかなり違います。

給与計算担当者や人事担当者は、「加入は週の所定労働時間で見ること」「失業給付の期間計算では別の基準があること」を分けて説明できるようにしておくといいかなと思います。

シフト制パートの加入判断

シフト制パートの加入判断

シフト制のパートやアルバイトでは、週によって勤務時間が変わるため、雇用保険の加入判断が難しくなりやすいです。

中小企業では迷いやすいポイントです。

固定シフトならまだ判断しやすいのですが、「今月は人手不足だから多め」「来月は閑散期だから少なめ」という職場では、週20時間を超えたり超えなかったりします。

週の所定労働時間が明確に決まっていない場合、月87時間という目安を使って、実態として週20時間以上に相当する働き方かどうかを確認することがあります。

ただし、これも単月だけで判断するより、採用時の条件、勤務予定、継続的な勤務実態を合わせて見ることが大切です。

1か月だけ忙しくて100時間働いたからすぐ加入、翌月60時間だからすぐ喪失、という運用は実務的にも安定しません。

会社側は、採用時に勤務日数や勤務時間の見込みを曖昧にしないことが重要です。

たとえば「週3日から5日程度」「1日4時間から6時間程度」とだけ書くと、週20時間以上なのか未満なのか判断しにくくなります。

雇用保険の加入判断を意識するなら、労働条件通知書にはできるだけ具体的に、週の所定労働時間やシフトの基本パターンを記載しておきたいところです。

シフト制で見たいポイント

  • 採用時の勤務見込みが週20時間以上か
  • 実際のシフトが継続的に月87時間前後あるか
  • 繁忙期だけ一時的に勤務時間が増えていないか
  • 閑散期だけ一時的に勤務時間が減っていないか
  • 雇用契約書と実態にズレがないか

従業員側も、雇用契約書や労働条件通知書にどのような勤務条件が書かれているかを確認しておくと、後日のトラブル防止につながります。

特に、失業給付を意識している方は、雇用保険に入っているかだけでなく、勤務日数や労働時間が被保険者期間としてカウントされる水準にあるかも見ておくと安心です。

社会保険の週20時間基準との違いも混同されやすいため、健康保険・厚生年金の加入条件については、 社会保険への加入条件を社労士が解説 も参考になります。

所定労働時間変更時の注意点

雇用保険の資格喪失を検討する場面は、単にある月の勤務実績が少なかったときではなく、 契約上の所定労働時間を週20時間未満に変更したとき です。

ここは、会社の手続きで特に注意したいところです。

たとえば、本人の希望で今後は週3日、1日5時間に変更する場合、週の所定労働時間は15時間になります。

このように継続的に週20時間未満となる契約へ変更する場合は、雇用保険の資格喪失手続きが必要になる可能性があります。

逆に、契約は週20時間以上のままで、たまたま今月だけ勤務時間が少なかった場合は、すぐに資格喪失と考える必要はありません。

一方で、繁忙期と閑散期で一時的に勤務時間が変わるだけの場合は、すぐに加入・喪失を繰り返すのではなく、契約内容と勤務実態を丁寧に確認します。

給与計算や入退社手続きの現場では、この切り分けがとても重要です。

特に、雇用保険料を控除するかどうかは給与計算にも直結するため、担当者がなんとなく判断してしまうと、後から修正が必要になることもあります。

変更時に残しておきたい書類

  • 変更後の労働条件通知書
  • 本人の勤務時間変更の申出書
  • 会社と本人の合意が分かる記録
  • 変更日が分かる資料
  • 変更前後のシフト表や勤怠記録

実務では、「いつから週20時間未満になったのか」が後で問題になることがあります。

資格喪失日を判断するには、契約変更日や実態の変化を確認する必要があるからです。

口頭だけで勤務条件を変えると、後で確認できなくなります。

小さな職場ほど口頭で済ませがちですが、こういうところこそ書面化しておくと安心ですよ。

雇用保険で87時間を超えない月と被保険者期間

雇用保険で87時間を超えない月と被保険者期間

次に、失業給付に関係する被保険者期間を確認します。

ここでは、月87時間よりも、賃金支払基礎日数11日以上、または賃金支払基礎労働時間80時間以上という基準が重要です。

離職票を作成する会社側にとっても、従業員が受給要件を確認するうえでも大切な部分です。

この章では、雇用保険に加入していることと、失業給付の受給要件を満たすことは完全に同じではない、という点を整理します。

ここを押さえると、「87時間を超えない月があると何が困るのか」がかなり見えやすくなります。

被保険者期間の仕組み

被保険者期間の仕組み

被保険者期間とは、失業給付の基本手当を受けるために必要となる雇用保険上の期間です。

一般的な自己都合退職などでは、原則として離職前2年間に被保険者期間が12か月以上必要とされます。

倒産や解雇など一定の場合には、離職前1年間に6か月以上が目安になります。

ただし、雇用保険に加入していた期間がそのまますべて1か月として数えられるわけではありません。

離職日からさかのぼって1か月ずつ区切り、それぞれの期間について、賃金支払基礎日数や労働時間数を確認します。

ここが、雇用保険に加入しているかどうかの話と違うところです。

たとえば、雇用保険には1年間加入していたとしても、その間に勤務日数が少ない月が多く、賃金支払基礎日数11日以上にも労働時間80時間以上にも届かない月が複数あると、被保険者期間としては12か月に満たない可能性があります。

シフト制や短時間勤務では、この点が問題になりやすいです。

ここで重要なのは、 87時間を超えない月でも、11日以上の賃金支払基礎日数があれば被保険者期間にカウントされる可能性がある ことです。

逆に、87時間に近い勤務をしていても、日数や時間の条件を満たさなければカウントされないことがあります。

加入期間と被保険者期間は別物

雇用保険に入っていた期間が長くても、失業給付の受給要件で見る被保険者期間は、月ごとの日数や時間で確認します。

ここが見落とされやすいポイントです。

失業給付の受給要件や被保険者期間の考え方は、ハローワークの公式情報でも確認できます。

制度の詳細や最新の取扱いは、必ず公的情報で確認してください(出典: ハローワークインターネットサービス「基本手当について」 )。

11日以上でカウントされる条件

被保険者期間として1か月にカウントされる代表的な条件は、賃金支払基礎日数が11日以上あることです。

賃金支払基礎日数とは、簡単にいうと給与の支払い対象になった日数です。

時間給のパートやアルバイトでは、実際に出勤して働いた日が賃金支払基礎日数になることが多いです。

ここで大事なのは、「出勤日だけ」とは限らないことです。

年次有給休暇を取得して賃金が支払われた日も、通常は賃金支払基礎日数に含まれます。

つまり、実際に出勤した日が少なくても、有給休暇を含めると11日以上になるケースがあります。

これは従業員にとっても会社にとっても重要です。

たとえば、ある月に実際の出勤が8日、有給休暇が3日あった場合、給与の支払い対象となった日が合計11日になることがあります。

この場合、実労働時間が87時間未満であっても、賃金支払基礎日数11日以上という条件を満たす可能性があります。

逆に、欠勤して賃金が支払われなかった日は、原則として賃金支払基礎日数には含めません。

日数の種類 賃金支払基礎日数への扱い 実務上の注意
実際に出勤した日 原則として含める 時間給の場合は勤務実績と給与支払いを確認
年次有給休暇 通常は含める 有給として賃金が支払われているか確認
無給の欠勤日 通常は含めない 欠勤控除の有無を確認
無給の休業日 通常は含めない 休業手当の支払いがある場合は個別確認

実務メモ

実労働時間が75時間など87時間未満であっても、出勤日と有給休暇取得日の合計が11日以上あれば、被保険者期間としてカウントされる可能性があります。

離職票を作成する際には、単に総労働時間だけを見るのではなく、各月の賃金支払基礎日数を正確に確認する必要があります。

ここを誤ると、従業員の失業給付に影響することがあります。

会社としては、勤怠データ、給与計算データ、有給休暇管理簿を突き合わせて確認する運用にしておくと安心です。

80時間以上の救済基準とは

80時間以上の救済基準とは

令和2年8月以降は、賃金支払基礎日数が11日以上に満たない月でも、賃金支払基礎労働時間数が80時間以上であれば、被保険者期間としてカウントできる場合があります。

これは、勤務日数だけでは実態をうまく反映できない働き方に対応するための考え方です。

たとえば、1か月の勤務日数が10日しかない場合、日数だけを見ると11日に届きません。

しかし、1日8時間働いていれば合計80時間になります。

このような月をすべて被保険者期間から外してしまうと、週の所定労働時間が20時間以上あり、雇用保険の被保険者として働いているのに、失業給付の要件では不利になりすぎることがあります。

そのため、80時間以上という基準が補完的に使われます。

ここで混同しやすいのが、87時間と80時間です。

87時間は主に加入要件の月換算目安であり、80時間は被保険者期間のカウントに関する基準です。

会社の担当者は、離職票の作成時にこの違いを意識しておく必要があります。

特に、賃金支払基礎日数が10日以下の月では、労働時間数を確認する意味が大きくなります。

80時間基準が効いてくる場面

  • 勤務日数は10日以下だが、1日あたりの勤務時間が長い
  • 変形労働時間制や不規則勤務で日数が少ない
  • シフト制で勤務日数に波がある
  • 離職票作成時に日数だけでは判断できない

注意したいのは、80時間以上なら何でも有利に扱われるという話ではないことです。

あくまで被保険者期間を算定する場面で、賃金支払の基礎となった労働時間を見ます。

加入要件そのものは、週の所定労働時間20時間以上と31日以上の雇用見込みが基本です。

制度の詳細は変更される可能性があるため、正確な情報は公式サイトをご確認ください。

87時間未満でもカウントされる例

雇用保険で87時間を超えない月があっても、被保険者期間としてカウントされるケースはあります。

典型的なのは、実労働時間は少ないものの、賃金支払基礎日数が11日以上ある場合です。

ここは、読者の方が一番安心したい部分かもしれませんね。

たとえば、ある月の実労働時間が75時間で、出勤日数が12日だったとします。

この場合、実労働時間は87時間に届いていませんが、賃金支払基礎日数が11日以上あるため、被保険者期間としてカウントされる可能性があります。

月87時間だけを見て「この月はダメ」と判断しないことが大切です。

また、有給休暇を多く取得した月も注意が必要です。

実際に出勤した日が少なくても、有給休暇取得日が賃金支払基礎日数に含まれることで、11日以上を満たす場合があります。

たとえば、出勤8日、有給3日で合計11日になれば、実労働時間は少なくても、賃金支払基礎日数の条件を満たす可能性があります。

ケース 勤務日数等 労働時間 カウントの可能性
出勤日数が多い月 出勤12日 75時間 11日以上のためカウントされる可能性あり
有給を含む月 出勤8日+有給3日 60時間 賃金支払基礎日数11日なら可能性あり
長時間勤務の月 出勤10日 80時間 80時間以上なら可能性あり
欠勤が多い月 出勤9日 70時間 日数・時間とも不足する可能性あり

確認の順番

  • まず賃金支払基礎日数が11日以上あるか確認する
  • 11日未満なら労働時間が80時間以上あるか確認する
  • 87時間未満という理由だけで欠け月と決めない

実務では、従業員から「今月87時間なかったのですが、失業給付に影響しますか」と聞かれることがあります。

この場合、私はまず勤務日数と有給休暇の有無を確認します。

時間数だけでなく、賃金が支払われた日数を見ないと正確な判断ができないからです。

会社側も、離職票を作成する段階で慌てないよう、普段から勤怠と給与データを整えておくことが大切です。

カウントされない月の影響

カウントされない月の影響

一方で、賃金支払基礎日数が10日以下で、かつ賃金支払基礎労働時間数が80時間未満の月は、被保険者期間としてカウントされない可能性があります。

ここは少し厳しい話ですが、失業給付の受給要件に関わるので避けて通れません。

たとえば、体調不良で欠勤が多く、出勤日数が9日、労働時間が70時間だった月は、11日以上にも80時間以上にも届きません。

このような月は、失業給付の受給要件を満たすための月数に含まれない可能性があります。

雇用保険に加入していることと、その月が被保険者期間としてカウントされることは、同じではないのです。

シフト制の職場では、繁忙月は120時間、通常月は90時間、閑散月は60時間というように、月ごとの勤務実績が大きく変わることがあります。

この場合、雇用保険に加入していても、被保険者期間としてカウントされる月とされない月が混在することがあります。

一般の離職者で12か月必要な場合、カウントされない月がいくつかあると、受給要件を満たすまでに時間がかかることがあります。

会社側の注意点

離職票には、各月の賃金支払基礎日数や賃金額を正確に記載する必要があります。

賃金支払基礎日数が少ない月については、労働時間数の確認も重要です。

従業員への伝え方も大事

会社としては、「その月はカウントされないかもしれません」とだけ伝えると、従業員が不安になることがあります。

実務上は、どの月がカウントされる可能性があり、どの月が不足している可能性があるのかを、離職票の考え方に沿って整理することが大切です。

ただし、最終的な受給資格の判断はハローワークが行います。

会社は正確な資料を作成し、従業員には必要に応じてハローワークで確認するよう案内するのが現実的です。

また、シフトを組む会社側としては、雇用保険に加入している短時間労働者について、極端に勤務日数が少ない月が続く場合には注意が必要です。

もちろん、業務量や本人の希望もありますが、従業員が将来の失業給付を意識している場合は、勤務日数や時間の見通しを事前に説明しておくと親切かなと思います。

雇用保険で87時間を超えない月のポイントまとめ

雇用保険で87時間を超えない月がある場合、まずは加入資格の問題なのか、失業給付の被保険者期間の問題なのかを分けて考えることが大切です。

この切り分けができれば、必要以上に不安にならずに済みます。

加入資格は、原則として週の所定労働時間が20時間以上か、31日以上の雇用見込みがあるかを確認します。

ある月の実労働時間が87時間未満だっただけで、直ちに雇用保険から外れるとは限りません。

一時的な欠勤やシフト減であれば、契約内容が変わっていないかをまず確認します。

一方、被保険者期間は、賃金支払基礎日数11日以上、または賃金支払基礎労働時間80時間以上を満たすかどうかで判断します。

87時間未満でもカウントされる月はありますし、逆に日数や時間が不足すればカウントされない月もあります。

つまり、87時間だけで結論を出さないことが大切です。

最終チェック

  • 雇用保険の加入は週20時間以上と31日以上の雇用見込みで確認する
  • 月87時間は週20時間の月換算目安として理解する
  • 被保険者期間は11日以上または80時間以上で確認する
  • 有給休暇の日数も賃金支払基礎日数に関係する
  • 離職票作成時は日数と時間を正確に確認する

企業側は、採用時の契約条件、シフト管理、給与計算、離職票作成をつなげて確認することが重要です。

従業員側も、給与明細で雇用保険料が控除されているか、雇用契約上の勤務時間がどうなっているかを確認しておくと安心です。

疑問があるときは、早めに会社へ確認するのがいいですよ。

雇用保険の取り扱いは、個別の契約内容や勤務実態によって判断が変わることがあります。

また、制度改正や行政の取扱いによって確認すべき点が変わる可能性もあります。

正確な情報は公式サイトをご確認ください。

最終的な判断は専門家にご相談ください。

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