社会保険・年金

社会保険は副業で増える?加入条件と手続き上の注意点

こんにちは。

もりおか社会保険労務士事務所、社会保険労務士の川熊です。

副業を始めても、必ず社会保険料が増えるわけではありません。

個人事業主や業務委託として副業する場合は原則として変わらず、副業先と雇用契約を結び、その勤務先でも加入条件を満たした場合に社会保険料が増える可能性があります。

社会保険と副業の関係を判断するときは、副業で得る収入額だけではなく、契約形態、所定労働時間、所定労働日数、雇用される期間、副業先の企業規模などを順番に確認することが重要です。

本業ですでに健康保険と厚生年金保険へ加入しているからといって、副業先での加入判定が省略されるわけではありません。

実際によくあるのが、副業収入が増えたら直ちに社会保険料も上がると思い込んでいるケースです。

一方で、副業先から給与を受け取っているにもかかわらず、本業で社会保険に入っているから手続きは不要だと思っているケースもあります。

この記事では、会社員が副業をする場合の加入条件や保険料の計算方法、必要な手続き、会社に知られる可能性まで実務目線で詳しく整理します。

  • 副業の形態によって社会保険がどう変わるか
  • 副業先でも社会保険に加入する条件
  • 二以上事業所勤務届と保険料の計算方法
  • 雇用保険や労災保険とのルールの違い

社会保険は副業で増える?加入条件と手続きを解説

社会保険は副業でどう変わるのか

副業による社会保険への影響は、副業でいくら稼いだかだけでは判断できません。

最初に確認するべきなのは、あなたが副業先と雇用契約を結んでいるのか、それとも個人事業主や業務委託として仕事を受けているのかという点です。

同じ月10万円の副業収入でも、アルバイトの給与として受け取る場合と、業務委託報酬として受け取る場合とでは、健康保険と厚生年金保険の扱いが異なります。

さらに、雇用契約であっても、副業先における勤務条件が加入基準に届かなければ、直ちに二以上事業所勤務になるわけではありません。

ここでは、健康保険と厚生年金保険を中心に、副業の形態ごとの基本的な考え方、加入条件、2026年10月以降に予定されている適用拡大の影響を確認していきます。

副業の形態で扱いは異なる

副業は、大きく分けると、個人事業主や業務委託として仕事を請け負う形態と、副業先に雇用されてアルバイトやパートとして働く形態があります。

社会保険と副業の関係を判断するときは、この区分を最初に確認しなければなりません。

副業の形態 具体例 報酬の受け取り方 社会保険への影響
個人事業主・業務委託 ライター、コンサルタント、デザイナー、ネット販売、請負業務など 請求書を発行して業務の対価を受け取る 副業収入は原則として本業の社会保険料に反映されない
雇用契約 アルバイト、パート、契約社員、非常勤職員など 労働時間に応じた給与を受け取る 副業先でも加入条件を満たすと二以上事業所勤務になる

この違いが、社会保険と副業を考えるうえで最も重要なポイントです。

健康保険と厚生年金保険は、基本的に適用事業所に使用され、労働の対価として報酬を受ける人を対象とする制度です。

そのため、自分の裁量で業務を完成させ、その成果に対して報酬を受け取る業務委託と、会社の指揮命令を受けて勤務する雇用契約とでは、制度上の扱いが異なります。

契約書の名称だけでは判断できない

注意したいのは、契約書に業務委託契約と書かれていれば、必ず個人事業主として扱われるわけではないことです。

勤務する曜日や時間を会社が指定している、仕事の進め方について具体的な指示を受けている、本人の判断で仕事を断りにくい、他の人へ業務を代替させられない、時間給で報酬が決まっているといった事情がある場合、実態として労働者に近い可能性があります。

反対に、成果物や納期だけが決められ、仕事を行う時間や場所、進め方を本人が決められる場合は、業務委託としての性格が強くなります。

ただし、労働者に該当するかどうかは一つの事情だけで決まるものではなく、契約内容と実際の働き方を総合的に見て判断します。

副業を始めるときは、収入額を確認する前に契約形態と実際の働き方を確認してください。

契約書の表題が業務委託であっても、実態として会社の指揮命令下で働いている場合は、社会保険だけでなく、労働時間、残業代、労災保険などの扱いにも影響する可能性があります。

受け取る書類も確認材料になる

副業先から給与明細や源泉徴収票を受け取っている場合は、雇用契約として処理されている可能性が高いでしょう。

一方、自分で請求書を発行し、業務の成果に応じて報酬を受け取り、確定申告で事業所得や雑所得として申告している場合は、一般的には業務委託として整理されます。

もっとも、税務上の所得区分と、労働法や社会保険上の労働者性は必ずしも同じ基準ではありません。

採用時や副業相談で私が確認するのも、契約書の名称だけではなく、誰が勤務時間を決めているのか、仕事の指示を誰から受けているのか、報酬が何に対して支払われているのかという実態です。

社会保険への影響を判断する最初の一歩は、副業が給与を受け取る働き方なのか、事業として報酬を受け取る働き方なのかを整理することです。

個人事業主なら保険料は増えない

個人事業主なら保険料は増えない

本業で会社の健康保険と厚生年金保険に加入しながら、個人事業主や業務委託として副業する場合、副業の売上や所得は原則として本業の標準報酬月額に加算されません。

標準報酬月額は、基本給、各種手当、通勤手当など、適用事業所から労働の対価として受ける報酬を基に決めるためです。

たとえば、本業の給与が月30万円で、副業の業務委託報酬が月10万円ある場合でも、本業の会社における社会保険料は原則として本業の給与を基に計算されます。

副業収入を加えた月40万円を、そのまま健康保険や厚生年金保険の標準報酬月額として扱うわけではありません。

個人事業主としての副業収入が増えたことだけを理由に、会社員として負担する健康保険料や厚生年金保険料が上がることは原則としてありません。

社会保険料と税金は分けて考える

ただし、副業所得が増えれば、所得税や住民税には影響します。

会社の社会保険料が変わらないことと、税金が変わらないことは別の話です。

副業の売上から必要経費を差し引いた所得が発生すれば、確定申告が必要になることがあり、その所得を含めて所得税や住民税が計算されます。

住民税の金額が変わることにより、本業の会社が給与以外の所得の存在に気づく可能性もあります。

ただし、住民税の徴収方法や会社へ通知される内容は、所得の種類や自治体の運用によって異なります。

社会保険に加入しない副業であれば会社に絶対に知られない、と考えるのは避けた方がよいでしょう。

退職後は国民健康保険への影響がある

会社員として本業を続けている間は、副業所得が会社の社会保険料へ直接反映されないのが原則です。

しかし、本業を退職して会社の健康保険と厚生年金保険から外れた場合は、状況が変わります。

退職後に国民健康保険へ加入する場合、国民健康保険料は前年の所得や世帯構成、居住する市区町村の計算方法などを基に決まります。

そのため、前年に得た副業所得が国民健康保険料へ影響する可能性があります。

また、国民年金の保険料は所得に比例して増える制度ではありませんが、所得が一定以下の場合に利用できる免除や納付猶予の判定には所得が関係します。

会社員のまま個人事業を行う場合 と、 退職して個人事業を本業にする場合 では、加入する社会保険制度が異なります。

現在どの制度の被保険者になっているのかを整理してから、保険料への影響を判断することが大切です。

自分の法人から役員報酬を受ける場合は別

個人事業主として副業する場合と、副業のために法人を設立して、その法人から役員報酬を受け取る場合は同じではありません。

法人は、原則として社会保険の適用事業所になります。

自分が代表者であっても、法人から役員報酬を受け、常勤性が認められる場合には、その法人でも社会保険の加入対象になる可能性があります。

この場合は、本業の会社と自分の法人の両方で加入要件を満たし、二以上事業所勤務の手続きが必要になることがあります。

個人事業主なら社会保険料は増えないという説明は、あくまで法人から役員報酬を受けず、個人として事業所得や雑所得を得ている場合の基本的な考え方です。

副業を法人化すると、税務上の扱いだけでなく、社会保険の適用関係も変わる可能性があります。

法人設立や役員報酬の設定を行う場合は、税負担だけで判断せず、社会保険料と会社負担分も含めて検討してください。

雇用契約では加入条件を確認する

副業先でアルバイトやパートとして働く場合は、副業先における勤務条件を使って社会保険の加入対象になるかを判断します。

本業で健康保険と厚生年金保険に加入していることは、副業先での加入義務を免除する理由にはなりません。

ここで注意したいのは、本業と副業の労働時間を最初から合算して、社会保険の加入条件を判定するわけではないという点です。

原則として、本業の会社と副業先の会社について、それぞれ個別に加入条件を確認します。

たとえば、本業で週40時間、副業先で週10時間働いている場合、合計では週50時間です。

しかし、副業先における所定労働時間は週10時間であるため、合計50時間という数字だけで副業先の社会保険へ加入することにはなりません。

加入判定は勤務先ごとに行う

反対に、副業先だけで週20時間以上働き、賃金、雇用期間、学生ではないこと、企業規模などの要件も満たす場合は、本業ですでに社会保険へ加入していても、副業先でも被保険者となります。

副業先の会社から見ると、その人が本業で社会保険に加入しているかどうかよりも、自社における勤務条件が自社の加入基準を満たしているかどうかが重要です。

本業があるから加入させないという処理をすると、副業先で資格取得届の提出漏れが生じる可能性があります。

本業ですでに加入しているから、副業先では加入しなくてよいという扱いにはなりません。

それぞれの勤務先で加入条件を満たすかどうかを確認し、両方で満たす場合は二以上事業所勤務の手続きに進みます。

所定労働時間と実労働時間の違い

加入条件の判定では、基本的に雇用契約書や労働条件通知書などで定められた所定労働時間を確認します。

ある週だけ残業をして20時間を超えたからといって、直ちに加入対象になるわけではありません。

一方、契約書には週15時間と記載されているものの、実際には毎週20時間以上働く状態が恒常化している場合は、契約書の記載だけを根拠に非加入とするのは適切ではありません。

実際の勤務実績や今後の勤務見込みを確認し、所定労働時間の変更や資格取得の要否を検討する必要があります。

シフト制では、週ごとの勤務時間が一定しないこともあります。

その場合は、一定期間の勤務周期における所定労働時間を平均して判断することがあります。

月単位でシフトを組む会社であれば、月の所定労働時間を12分の52で割り、週の所定労働時間へ換算する方法が実務上用いられます。

企業側は副業社員も通常どおり確認する

副業社員を採用する会社は、本人から本業の社会保険に入っていると申告された場合でも、自社での加入判定を省略してはいけません。

雇用契約書の勤務時間、賃金月額、雇用期間、学生であるかどうか、企業規模を確認し、自社でも要件を満たす場合は資格取得届を提出します。

また、雇用契約による副業では、社会保険とは別に労働時間の通算が問題になる場合があります。

会社は本人から他社での労働時間について申告を受け、長時間労働による健康障害や割増賃金の取扱いを確認する必要があります。

社会保険の加入判定では勤務先ごとに時間を確認し、労働基準法上の労働時間管理では複数の勤務先が関係し得るという違いがあります。

社会保険では勤務先ごとに加入要件を判定する一方、労働時間管理では本業と副業の勤務状況を無視できない場合があります。

ダブルワークの社会保険加入条件

ダブルワークの社会保険加入条件

ダブルワークで副業先の社会保険に加入するかどうかは、最初に正社員など通常の労働者と比較する4分の3基準を確認します。

4分の3基準を満たさない場合に、短時間労働者の加入要件を確認するという順番です。

最初に4分の3基準を確認する

副業先における1週間の所定労働時間と1か月の所定労働日数の両方が、その事業所の通常の労働者の4分の3以上であれば、企業規模にかかわらず、原則として健康保険と厚生年金保険の加入対象になります。

たとえば、副業先の正社員が週40時間、月20日勤務している場合、週の所定労働時間が30時間以上、月の所定労働日数が15日以上であれば、4分の3基準を満たす可能性があります。

時間だけが4分の3以上でも、所定労働日数が4分の3未満であれば、この基準には該当しません。

両方を確認することがポイントです。

なお、比較対象となる通常の労働者は、単純に会社で最も長く働く人を指すものではありません。

その事業所で同種の業務に従事する正社員などの所定労働時間と所定労働日数を基準に確認します。

4分の3未満なら短時間労働者の要件を確認する

4分の3基準を満たさない場合でも、一定の短時間労働者は社会保険の加入対象になります。

現行制度では、主に次の条件を確認します。

  • 週の所定労働時間が20時間以上である
  • 所定内賃金が月額8万8,000円以上である
  • 2か月を超えて雇用されることが見込まれる
  • 原則として学生ではない
  • 勤務先が一定の企業規模要件を満たしている

これらは、原則としてすべて満たす必要があります。

週20時間以上であっても、現在の制度上、対象となる企業規模を満たしていなければ、短時間労働者の要件だけを理由に強制加入となるわけではありません。

ただし、50人以下の企業でも、労使の合意により任意で短時間労働者へ適用を拡大している場合があります。

確認項目 実務上の主な確認資料 迷いやすい点
週20時間以上 雇用契約書、労働条件通知書、シフト表 一時的な残業時間ではなく所定労働時間を確認する
月額8万8,000円以上 賃金台帳、雇用契約書、給与規程 残業代や賞与などを含めず判定する項目がある
2か月を超える雇用見込み 契約期間、更新条項、過去の更新実績 契約期間が2か月以内でも更新見込みがあれば対象になり得る
学生ではない 本人申告、在学状況 休学中や通信制などは一律に除外されるとは限らない
企業規模 厚生年金保険の被保険者数 店舗単位ではなく法人全体で判定する場合がある

月額8万8,000円に含まれる賃金

月額8万8,000円の判定では、基本給や毎月固定的に支払われる手当などの所定内賃金を確認します。

一般的には、残業代、休日労働や深夜労働に対する割増賃金、賞与、臨時に支払われる賃金、通勤手当、家族手当、精皆勤手当などは判定から除外されます。

そのため、実際の給与振込額が月8万8,000円を超えているから必ず加入対象になる、あるいは手取り額が8万8,000円未満だから加入しない、と判断することはできません。

税金や雇用保険料を控除する前の総支給額とも完全には一致しないため、賃金の内訳を確認する必要があります。

2か月を超える雇用見込みの考え方

雇用契約の期間が2か月以内であっても、契約書に更新する場合があると記載されている場合や、同じ会社で同様の契約が更新されている実績がある場合は、当初から2か月を超えて雇用される見込みがあると判断される可能性があります。

採用時に2か月だけの契約書を作れば社会保険へ加入しなくてよい、という単純なものではありません。

短期間の契約を形式的に繰り返しながら、実際には継続雇用を予定している場合は、当初から加入対象として扱う必要が生じることがあります。

社会保険の加入条件全体については、 社会保険への加入条件と週20時間・賃金要件の判断基準 でも詳しく整理しています。

採用時によく確認するのは、実際に働いた時間だけではなく、 雇用契約上の所定労働時間と今後の勤務見込み です。

契約書の数字と実際のシフトが異なる場合は、契約書だけで判断を完結させず、勤務実態もあわせて確認してください。

2026年10月の適用拡大

短時間労働者の社会保険については、2026年10月に月額8万8,000円以上という賃金要件を撤廃する予定とされています。

これは、いわゆる106万円の壁に関係する制度改正です。

予定どおり施行された場合、企業規模、週の所定労働時間、雇用期間、学生ではないことなどの他の条件を満たす短時間労働者は、賃金額にかかわらず社会保険の加入対象になり得ます。

副業先で週20時間前後働いている人にとっては、特に影響が大きい改正です。

撤廃されるのは月額8万8,000円の要件

2026年10月に撤廃予定とされているのは、短時間労働者に関する月額8万8,000円以上の賃金要件です。

週20時間以上という要件や、2か月を超えて雇用される見込み、学生ではないこと、企業規模に関する要件まで、同時にすべてなくなるわけではありません。

そのため、2026年10月以降は、副業先で週20時間以上働けば、会社の規模を問わず直ちに加入する、と理解するのは正確ではありません。

企業規模要件は段階的に縮小され、最終的に撤廃される予定です。

時期 短時間労働者の対象となる企業規模 副業者への主な影響
2027年9月まで 原則として従業員数51人以上 対象企業で週20時間以上働く場合は加入を確認する
2027年10月から 従業員数36人以上 36人から50人規模の勤務先も対象になる
2029年10月から 従業員数21人以上 中小企業の副業先でも対象が広がる
2032年10月から 従業員数11人以上 小規模事業所でも加入対象者が増える
2035年10月から 企業規模要件を撤廃予定 企業規模ではなく勤務条件が中心になる

企業規模は店舗の人数とは限らない

企業規模要件でいう従業員数は、単純な在籍人数や一つの店舗で働く人数ではなく、厚生年金保険の被保険者数を基に判断するのが基本です。

法人の場合は、支店、店舗、営業所が分かれていても、同じ法人番号の事業所を合算して確認します。

たとえば、副業先の店舗には10人しか働いていなくても、同じ法人が全国で複数の店舗を運営し、厚生年金保険の被保険者数が基準を超えていれば、企業規模要件を満たす可能性があります。

求人票や職場の人数だけを見て、社会保険の対象外と判断しないようにしてください。

106万円の壁だけを見ない

賃金要件が撤廃されると、短時間労働者の加入判定において、年収106万円という金額を意識する意味は小さくなります。

ただし、税金の壁や健康保険の被扶養者認定で使われる収入基準まで、すべて同時に撤廃されるわけではありません。

本業ですでに自分自身が社会保険の被保険者になっている人は、配偶者の扶養内で働く人とは前提が異なります。

副業者の場合に重要なのは、副業先だけで短時間労働者の加入条件を満たすかどうかです。

現在は副業先の所定内賃金が月8万8,000円未満で加入していない人でも、2026年10月以降に対象になる可能性があります。

副業先の週の所定労働時間が20時間前後である場合は、契約書やシフトを改めて確認しておく必要があります。

制度改正の時期や対象要件は、今後の法令、通知、実務運用によって確認すべき内容が更新される可能性があります。

最新の加入要件については、 (出典:厚生労働省「社会保険加入の要件」) をご確認ください。

副業先の会社側も、現在加入していない短時間労働者の所定労働時間、雇用期間、企業規模を一覧化しておくと、制度改正時の確認漏れを防ぎやすくなります。

正確な情報は公式サイトをご確認ください。

社会保険と副業の手続きと注意点

本業と副業の両方で社会保険の加入条件を満たした場合、単に二つの会社で別々に保険料を計算し、二つの健康保険資格を自由に使い分けるわけではありません。

二以上事業所勤務として届け出たうえで、両方の報酬を合算し、一つの標準報酬月額を決定します。

その後、決定された社会保険料を、本業と副業のそれぞれから受け取る報酬額に応じて按分します。

各会社には、それぞれが納付する保険料額が通知され、本人負担分は各社の給与から控除されます。

ここからは、本人が行う二以上事業所勤務届、会社ごとの保険料負担、会社に副業が伝わる可能性、雇用保険や労災保険との違いを詳しく確認します。

二以上事業所勤務届の提出方法

本業と副業の両方で健康保険と厚生年金保険の加入条件を満たした場合、被保険者本人が健康保険・厚生年金保険 被保険者所属選択・二以上事業所勤務届を提出します。

実務では二以上事業所勤務届と呼ぶことが多い書類です。

提出期限は、二つ以上の事業所で被保険者となった事実が発生した日から10日以内です。

副業を開始した日が必ず届出の起算日になるとは限らず、副業先で社会保険の加入条件を満たして被保険者となった日を確認する必要があります。

最初に副業先の資格取得届を確認する

二以上事業所勤務届を提出する前提として、新たに加入対象となった副業先から、健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届が提出されている必要があります。

本人が二以上事業所勤務届を提出しても、副業先が資格取得届を提出していなければ、手続きが円滑に進まない可能性があります。

副業先の人事担当者へ、自社での社会保険加入日と資格取得届の提出状況を確認しておくとよいでしょう。

二以上事業所勤務届の提出義務者は、原則として会社ではなく被保険者本人です。

会社がすべて自動的に処理してくれると思い込み、届出が遅れるケースがあります。

本業と副業の両方の会社へ状況を伝え、必要な情報を確認してください。

選択事業所を決める

届出では、本業と副業のいずれか一方を選択事業所として選びます。

一般的には本業の会社を選ぶケースが多いものの、給与額が多い勤務先を必ず選択しなければならないわけではありません。

選択事業所は、社会保険における手続き上の中心となる事業所です。

健康保険の保険者や標準報酬月額の決定を担当する管轄を決める意味があります。

本業が協会けんぽ、副業先が健康保険組合というように、加入する健康保険の保険者が異なる場合は、選択する事業所によって健康保険の取扱いが変わる可能性があります。

また、国や地方公共団体などで共済組合の短期給付を受ける場合には、選択に関する特別な取扱いがあります。

提出先と提出方法

提出先は、選択した事業所の所在地を管轄する事務センターまたは年金事務所です。

提出方法には、電子申請、郵送、年金事務所窓口への持参があります。

健康保険組合に加入している事業所を選択する場合は、その健康保険組合への手続きも必要になることがあります。

届書には、本業と副業の事業所情報、資格取得日、報酬月額、選択する事業所などを記載します。

本人だけでは正確な報酬月額や事業所整理記号を確認できないことがあるため、両方の勤務先の担当者へ必要事項を照会することになります。

確認事項 主な内容
提出する人 原則として被保険者本人
提出期限 二以上事業所勤務となった事実発生から10日以内
提出先 選択事業所を管轄する事務センターまたは年金事務所
提出方法 電子申請、郵送、窓口持参
事前確認 副業先の資格取得届が提出されているか
会社への確認事項 事業所情報、資格取得日、報酬月額など

提出後は両方の会社に通知される

届出後は、日本年金機構などが本業と副業の報酬月額を合算して標準報酬月額を決定します。

そのうえで、決定された保険料を各事業所の報酬額に応じて按分し、それぞれの会社へ保険料額を通知します。

したがって、届出を提出すれば本人だけで手続きが完結するわけではありません。

本業と副業の両方の給与計算に影響するため、会社の給与担当者との連携が必要です。

届出の時期によっては、通知が届くまでの間、給与からの控除額を後日調整することもあります。

二以上事業所勤務の正式な手続き、届書様式、添付書類については、 (出典:日本年金機構「複数の事業所に雇用されるようになったときの手続き」) をご確認ください。

届出が遅れた場合でも、加入条件を満たした日そのものが後ろへずれるとは限りません。

資格取得日まで遡って標準報酬月額や保険料が訂正され、複数月分の本人負担額をまとめて調整する可能性があります。

社会保険料の合算と按分計算

社会保険料の合算と按分計算

二以上事業所勤務になった場合は、本業と副業の給与を別々に見て、それぞれ独立した標準報酬月額を決めるわけではありません。

本業と副業のそれぞれから受ける報酬月額を合算し、その合計額に対応する標準報酬月額を一つ決定します。

決定された標準報酬月額を基に健康保険料と厚生年金保険料の総額を計算し、その保険料を各事業所の報酬額の比率に応じて按分します。

本人負担分と会社負担分も、それぞれの事業所へ割り振られます。

合算と按分の基本的な流れ

  1. 本業と副業から支払われる報酬月額を確認する
  2. 両方の報酬月額を合算する
  3. 合算額に対応する標準報酬月額を決定する
  4. 標準報酬月額から社会保険料の総額を算出する
  5. 各事業所の報酬月額の比率で保険料を按分する
  6. 各事業所が本人負担分を給与から控除する

たとえば、本業の報酬月額が30万円、副業先の報酬月額が10万円であれば、合計40万円を基に一つの標準報酬月額を決定します。

その標準報酬月額から算出された保険料を、本業と副業の報酬比率である3対1を基礎として按分します。

項目 本業 副業 合計
報酬月額の例 30万円 10万円 40万円
報酬の比率 75% 25% 100%
保険料の按分 総保険料の約75% 総保険料の約25% 標準報酬月額に基づく総額

実際には、報酬の合計額へ保険料率を単純に掛けるだけではなく、標準報酬月額の等級に当てはめて保険料を計算します。

そのため、合計報酬が数千円増えただけでは保険料が変わらない場合もあれば、等級が一つ上がって保険料が変わる場合もあります。

副業先の給与からも控除される

各事業所は、日本年金機構などから通知された保険料額に基づき、本人負担分をそれぞれの給与から控除します。

本業の給与だけから社会保険料の全額を控除するものではありません。

本業と副業の両方で社会保険に加入すると、副業先の給与からも健康保険料や厚生年金保険料が控除されます。

副業の額面給与だけを見て手取り額を見込むと、想定より受取額が少なくなることがあります。

副業先で月10万円の給与を受け取る予定であっても、そのまま10万円が増えるわけではありません。

所得税、雇用保険料の対象となる場合の雇用保険料、社会保険料などが控除される可能性があります。

健康保険料率や介護保険料にも注意する

健康保険料率は、加入する健康保険の保険者や都道府県、年度などによって異なります。

また、40歳以上65歳未満の健康保険加入者は、原則として介護保険料も負担します。

二以上事業所勤務では、選択事業所が加入する健康保険の取扱いが関係するため、本業と副業のどちらを選択事業所にするかによって確認事項が変わる場合があります。

単純な手取り比較だけではなく、健康保険の給付内容や手続き窓口も確認するとよいでしょう。

賞与も合算の対象になる

本業と副業の両方から賞与を受け取った場合、標準賞与額についても二以上事業所勤務の取扱いが関係します。

各事業所から支給された賞与額を合算し、健康保険と厚生年金保険の上限を踏まえて保険料を計算し、それぞれの賞与額に応じて按分することになります。

毎月の給与だけを見て保険料の増加を予測していると、副業先から賞与が支給された月に想定外の控除が発生する可能性があります。

副業先でも賞与制度がある場合は、給与だけではなく賞与の支給予定も確認してください。

ここで示した金額と按分割合は、仕組みを理解するための一般的な例です。

実際の保険料は、標準報酬月額、保険料率、年齢、賞与、加入する健康保険などによって異なります。

給与明細へ反映する際は、行政から届いた決定通知の金額を使用してください。

副業が会社にバレる可能性

副業先でも社会保険の加入条件を満たし、二以上事業所勤務届を提出する場合、本業の会社に副業の事実が伝わる可能性は高くなります。

これは、本人が会社へ副業の内容を詳しく説明するかどうかとは別に、社会保険料の決定と給与控除に会社の対応が必要になるためです。

届出後は、本業と副業の報酬を合算した標準報酬月額と、各社が負担する保険料が決定されます。

それぞれの会社には保険料に関する通知が届き、給与担当者は通知された金額に基づいて本人負担分を控除します。

二以上事業所勤務の通知で分かる

本業の会社には、二以上事業所勤務に伴う標準報酬月額や保険料額に関する通知が届きます。

そのため、少なくとも別の適用事業所でも社会保険の被保険者になっていることを、会社が把握する可能性があります。

副業先で行っている具体的な仕事内容、勤務日、細かな給与明細まで本業の会社へ自動的にすべて共有されるとは限りません。

しかし、本業の給与だけを基にした場合とは異なる社会保険料の通知が届くため、給与担当者が複数事業所勤務であることを把握することになります。

社会保険への加入を避けるために、必要な届出をしないという対応は適切ではありません。

後から加入対象だったことが確認されると、資格取得日の訂正、保険料の遡及徴収、給与控除の再計算などが必要になる可能性があります。

住民税から分かることもある

個人事業主や業務委託として副業し、社会保険に影響しない場合でも、住民税を通じて本業の会社が副業所得の存在に気づくことがあります。

本業の給与から特別徴収される住民税が、会社の給与水準から想定される金額より高い場合、給与担当者が疑問を持つことがあるためです。

ただし、会社に届く住民税の通知内容、給与以外の所得に関する徴収方法、普通徴収を選択できるかどうかは、所得の種類や自治体の取扱いによって異なります。

確定申告で普通徴収を選べば必ず会社に分からない、という保証はありません。

労災や雇用保険の手続きから分かる場合

副業先で労災事故に遭い、休業補償給付などの手続きをする場合、複数の勤務先における賃金や就業状況を確認することがあります。

本業を休む必要が生じれば、欠勤や休職の理由を会社へ説明する場面も出てくるでしょう。

また、雇用保険は原則として一つの勤務先で加入するため、副業先が誤って資格取得届を提出した場合や、本業と副業の両方が主たる勤務先として手続きを進めた場合は、ハローワークから確認が行われる可能性があります。

就業規則上の届出も確認する

副業自体が直ちに法律違反になるわけではありませんが、会社の就業規則で、副業を開始する前の届出や許可を求めている場合があります。

会社が副業を制限できるかどうかは、長時間労働、本業への支障、競業、秘密情報の漏えい、会社の信用を害する行為などの具体的な事情によって判断されます。

就業規則に届出制が定められているにもかかわらず、会社に知られないことだけを優先して申告しない場合、後から副業が判明したときに、社会保険の問題とは別に服務規律違反が問題になる可能性があります。

就業規則に副業禁止や届出の規定が見当たらない場合の考え方は、 就業規則に副業禁止が書いていない場合の判断 でも詳しく整理しています。

副業が会社に分かる経路は、社会保険だけではありません。

  • 二以上事業所勤務に関する保険料の通知
  • 住民税の特別徴収額
  • 労災保険や雇用保険の手続き
  • 勤務時間や体調の変化
  • 本人や同僚の会話、SNSへの投稿

会社に知られない方法を探すより、就業規則を確認し、本業へ支障を出さない働き方を整える方が実務的です。

雇用保険は二重加入できない

健康保険と厚生年金保険は、複数の勤務先で加入条件を満たすと二以上事業所勤務になります。

一方、雇用保険は原則として一人一保険であり、本業と副業の両方で同時に一般の被保険者になることはできません。

社会保険と雇用保険をまとめて社会保険と呼ぶことがありますが、複数の勤務先がある場合のルールは同じではありません。

健康保険と厚生年金保険では両方の勤務先で資格を取得する可能性があるのに対し、雇用保険では主たる一つの勤務先を選ぶのが原則です。

原則は主たる一つの勤務先で加入する

複数の会社で雇用保険の加入条件を満たす場合は、原則として、生計を維持するために必要な主たる賃金を受けている一つの勤務先で加入します。

一般的には、給与額、所定労働時間、雇用の安定性などから主たる勤務先を判断します。

本業で雇用保険に加入している人が、副業先でも週20時間以上働くようになった場合、副業先がそのまま二つ目の資格取得届を提出するのではなく、どちらが主たる勤務先なのかを確認する必要があります。

通常の雇用保険の加入条件

通常の雇用保険では、原則として次の条件を一つの勤務先だけで満たす必要があります。

  • 週の所定労働時間が20時間以上である
  • 31日以上引き続き雇用されることが見込まれる

本業が週15時間、副業が週10時間で、合計週25時間働いている場合でも、原則として二つの勤務先の所定労働時間を合算し、通常の雇用保険へ加入することはできません。

それぞれの勤務先では週20時間未満であるため、一般の被保険者の要件を満たさないことになります。

反対に、本業が週25時間、副業が週10時間であれば、通常は本業で雇用保険へ加入します。

副業先は週20時間未満であるため、副業先で雇用保険料を控除することは通常ありません。

社会保険の週20時間と混同しない

雇用保険にも社会保険にも週20時間という数字が登場しますが、加入要件は同じではありません。

社会保険の短時間労働者には、賃金、雇用期間、学生ではないこと、企業規模などの条件があります。

一方、雇用保険では、原則として週20時間以上と31日以上の雇用見込みを中心に判断します。

制度 複数勤務先での基本的な扱い 週20時間の考え方
健康保険・厚生年金保険 各勤務先で条件を満たせば二以上事業所勤務 勤務先ごとに加入要件を判定する
雇用保険 原則として主たる一つの勤務先だけで加入 原則として一つの勤務先で20時間以上が必要
労災保険 雇用されるすべての勤務先で適用 加入に週20時間の要件はない

65歳以上のマルチジョブホルダー制度

65歳以上の方には、雇用保険マルチジョブホルダー制度があります。

通常の雇用保険では勤務時間を合算できませんが、この制度では、一定の条件を満たす二つの勤務先の所定労働時間を合算できます。

  • 複数の事業所に雇用される65歳以上の労働者である
  • 二つの事業所でそれぞれ週5時間以上20時間未満働いている
  • 二つの事業所の所定労働時間を合計すると週20時間以上になる
  • それぞれの事業所で31日以上雇用される見込みがある
  • 本人が住所地を管轄するハローワークへ申し出る

マルチジョブホルダー制度は、会社が自動的に加入手続きを行う制度ではありません。

対象となる本人が、二つの勤務先から必要事項の証明を受け、ハローワークへ申し出ます。

65歳以上で複数の短時間勤務をしている人は、通常の週20時間要件だけを見て加入できないと判断せず、マルチジョブホルダー制度の対象になるか確認してください。

制度の要件や提出書類は変更される可能性があるため、正確な情報はハローワークや厚生労働省の公式情報で確認する必要があります。

副業先でも労災保険は適用される

副業先でも労災保険は適用される

労災保険は、健康保険や厚生年金保険、雇用保険とは加入条件が異なります。

副業先と雇用契約を結んで労働者として働いている場合、勤務時間が短くても、賃金が少なくても、原則として労災保険の対象になります。

副業先で週1日だけ働くアルバイトや、1日数時間だけ勤務するパートであっても、雇用関係があれば労災保険の対象です。

本業の会社で労災保険が適用されていることを理由に、副業先の労災保険が不要になるわけではありません。

事故が起きた勤務先の労災として手続きする

副業先で業務中に転倒してけがをした場合や、副業先への通勤途中で交通事故に遭った場合は、原則として副業先に関する業務災害または通勤災害として手続きを進めます。

本業の会社ではなく、事故や通勤が関係する勤務先を基に請求書を作成します。

ただし、休業補償給付などの給付額を算定する際には、本業を含む複数の勤務先の賃金が関係します。

そのため、請求書には他の就業先があることを記載し、必要に応じて各勤務先の賃金額などを確認します。

会社が労災保険の成立手続きを適切に行っていなかった場合でも、労働者が当然に労災保険給付を受けられなくなるわけではありません。

会社の加入漏れと、被災した労働者の給付請求は分けて扱われます。

複数の勤務先の賃金を合算する

2020年9月1日以降に発生したけがや病気について、複数の事業所で雇用される労働者の休業補償給付などは、原則としてすべての就業先の賃金を合算した額を基礎に給付額を決定します。

たとえば、本業で月30万円、副業で月5万円の賃金を受け取っている人が副業先で労災事故に遭った場合、被災した副業先の月5万円だけを基礎に休業補償給付を算定するのではなく、本業の賃金も含めて給付基礎日額を算定する仕組みです。

副業先で発生した労災でも、給付額の計算では本業を含む複数の勤務先の賃金が関係します。

本業の会社にも休業が生じる場合は、本業の出勤状況や賃金支払いの有無も確認する必要があります。

複数の勤務先の負荷を総合評価する場合

脳・心臓疾患や精神障害などでは、一つの勤務先における業務上の負荷だけでは認定基準に達しなくても、複数の勤務先の負荷を総合的に評価することで労災認定につながる場合があります。

これを複数業務要因災害といいます。

本業と副業を合わせて長時間労働になっている場合や、複数の職場で強い心理的負荷を受けている場合などは、それぞれの勤務先における労働時間、業務内容、出来事を確認します。

会社側としても、自社の勤務時間だけが短いから健康面の問題はないと考えるのではなく、本人から副業の申告を受けた場合は、全体として過重労働になっていないかを確認することが重要です。

業務委託は原則として通常の労災対象外

業務委託や個人事業主として副業する場合は、雇用される労働者ではないため、原則として通常の労災保険の対象にはなりません。

ただし、契約の名称が業務委託でも、実態として会社の指揮命令下で働く労働者に該当する場合は、労災保険の対象となる可能性があります。

また、個人事業主やフリーランスでも、業種や働き方によっては労災保険の特別加入制度を利用できる場合があります。

特別加入は自動的に適用されるものではなく、対象となる団体などを通じて事前に加入する必要があります。

労災事故が発生した後に、業務委託だから労災は使えない、会社員だから本業の労災を使えばよい、と即断しないでください。

事故が発生した業務、契約の実態、複数の勤務先、特別加入の有無を確認したうえで判断する必要があります。

副業中の労災手続きや、本業の会社に副業が伝わる場面については、 労災で副業が分かるケースと休業補償の注意点 でも詳しく解説しています。

社会保険と副業で迷った際の確認点

社会保険と副業の関係で迷ったときは、副業収入の金額だけを見て判断しないことが大切です。

実務では、契約形態、勤務条件、企業規模、他の保険制度、会社の就業規則を順番に確認します。

最初に確認する7つの項目

  1. 副業先との契約が雇用契約か業務委託契約か
  2. 副業先の週の所定労働時間と所定労働日数
  3. 副業先の所定内賃金と賃金の内訳
  4. 副業先で2か月を超えて雇用される見込みがあるか
  5. 副業先が社会保険の企業規模要件を満たすか
  6. 本業と副業の両方で加入条件を満たしているか
  7. 就業規則上の副業届出や許可が必要か

個人事業主や業務委託として副業する場合は、副業収入が本業の健康保険料や厚生年金保険料に直接加算されることは原則としてありません。

ただし、所得税や住民税、退職後の国民健康保険料、法人化した場合の社会保険などは別に確認する必要があります。

一方、副業先でも雇用契約を結び、その勤務先だけで社会保険の加入条件を満たす場合は、本業と副業の報酬を合算して保険料を計算します。

この場合は、副業先が資格取得届を提出したうえで、被保険者本人が二以上事業所勤務届を提出します。

制度ごとの違いを整理する

確認する制度 個人事業主・業務委託 雇用契約による副業
健康保険・厚生年金保険 副業所得は原則として本業の保険料に加算されない 副業先でも条件を満たすと二以上事業所勤務になる
雇用保険 原則として対象外 原則として主たる一つの勤務先で加入する
労災保険 原則として対象外だが特別加入できる場合がある 雇用されるすべての勤務先で適用される
所得税・住民税 副業所得に応じて影響する 副業給与を含めて影響する
会社への届出 就業規則により必要な場合がある 就業規則と社会保険手続きの両方を確認する

従業員側が準備しておきたい資料

自分が加入対象になるか分からない場合は、本業と副業の雇用契約書、労働条件通知書、直近のシフト表、給与明細、副業先の会社名や企業規模が分かる資料を準備してください。

業務委託の場合は、業務委託契約書、請求書、業務の進め方が分かる資料も確認します。

二以上事業所勤務の可能性がある場合は、本業と副業の社会保険加入日、報酬月額、加入している健康保険の種類も確認します。

情報がそろっていれば、年金事務所や社会保険労務士へ相談するときも判断が早くなります。

企業側が確認しておきたい実務

副業社員を雇用する企業は、本業で社会保険に入っているという本人の申告だけで、自社の資格取得届を省略しないようにしてください。

採用時に、他社での雇用状況、所定労働時間、社会保険や雇用保険の加入状況、副業に伴う総労働時間を確認する仕組みが必要です。

また、二以上事業所勤務となった後は、行政から通知される保険料額を給与計算へ正確に反映しなければなりません。

通知が届く前に見込み額で控除した場合や、届出が遅れて過去分を調整する場合は、本人へ控除額と調整方法を説明することも重要です。

社会保険と副業の結論は、次のように整理できます。

  • 個人事業主や業務委託の副業収入は、原則として本業の社会保険料に加算されない
  • 雇用契約の副業は、副業先だけで加入条件を満たすか確認する
  • 両方の会社で加入すると、報酬を合算して保険料を按分する
  • 二以上事業所勤務届は、原則として被保険者本人が提出する
  • 雇用保険と労災保険は、健康保険や厚生年金保険とルールが異なる

副業の働き方は、同じアルバイトや業務委託という名称でも、契約内容や勤務実態によって判断が変わることがあります。

また、2026年10月の賃金要件撤廃をはじめ、社会保険の適用範囲は今後も段階的に広がる予定です。

現在は副業先の社会保険に加入していない方でも、勤務時間の増加、契約更新、会社規模の変化、制度改正によって加入対象になる可能性があります。

雇用契約書を作成した時点だけでなく、実際の勤務時間が変わったときにも再確認してください。

社会保険と副業の判断では、契約書だけでなく、実際の勤務時間、賃金の内訳、会社の規模、雇用期間、指揮命令の実態まで確認することがあります。

正確な情報は公式サイトをご確認ください。

個別事情を踏まえた最終的な判断は専門家にご相談ください。

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