こんにちは。
もりおか社会保険労務士事務所、社会保険労務士の川熊です。
出生時育児休業、いわゆる産後パパ育休の28日を数えるときは、基本的に勤務日だけではなく、土曜日・日曜日・祝日などを含む暦日で考えます。
たとえば、土日休みの会社で月曜日から2週間の出生時育児休業を取得した場合、「実際に仕事を休んだ平日は10日だから10日取得」と数えるわけではありません。
途中の土曜日と日曜日も含め、原則として14日間の出生時育児休業として考えます。
一方で、2回に分割して取得する場合や、休業期間中に一部就業する場合、有給休暇や会社独自の特別休暇を組み合わせる場合は、単純にカレンダーだけを見ればよいとは限りません。
さらに、出生後休業支援給付金には14日以上という基準があり、健康保険・厚生年金保険の社会保険料免除にも14日という数字が出てきます。
同じ「14日」であっても、それぞれ別の制度であり、日数を確認する目的や判定方法も同じではありません。
実務でも、産後パパ育休の日程を確認するときに、「土日は28日に入りますか」「途中で1日働いたら残りの日数は増えますか」「14日取得すれば社会保険料も給付金も全部同じ扱いですか」といった質問はよくあります。
この記事では、出生時育児休業28日の数え方について、実際の日付を使いながら、分割取得や就業日の扱い、年次有給休暇や特別休暇との違い、出生後休業支援給付金、社会保険料免除まで順番に整理します。
- 出生時育児休業の28日を数える基本ルール
- 土日祝や分割取得を含めた具体的な計算方法
- 出勤日・有給休暇・特別休暇を組み合わせる場合の注意点
- 出生後休業支援給付金と社会保険料免除の14日要件

出生時育児休業28日の数え方の基本
出生時育児休業は、原則として子どもの出生直後の一定期間内に通算28日まで取得できる制度です。
この「28日」は、実際に会社へ出勤する予定だった所定労働日を28日分休めるという意味ではありません。
出生時育児休業として申し出た休業開始日から休業終了日までの期間を基準として考えます。
そのため、一般的な土日休みの会社だけでなく、シフト制、変形労働時間制、週3日勤務などの場合でも、まず確認するのは「勤務予定日が何日あるか」ではなく、「出生時育児休業を何月何日から何月何日まで取得するのか」です。
また、出生時育児休業は2回に分割することができます。
分割する場合は、それぞれの休業期間を個別に数えたうえで合計し、通算28日以内に収まっているかを確認します。
ここを最初に整理しておくと、その後に出てくる給付金や社会保険料免除の日数と混同しにくくなります。
上限28日は土日祝を含む暦日で数える
出生時育児休業の上限である4週間は、 暦日による28日間 として考えるのが基本です。
つまり、出生時育児休業として申し出た休業開始日から休業終了日までに土曜日、日曜日、祝日、会社の所定休日などが含まれている場合、それらの日を飛ばして数えるわけではありません。
たとえば、土日休みの会社に勤務している人が、9月1日月曜日から9月14日日曜日まで出生時育児休業を取得するとします。
この期間に実際の所定労働日が10日しかなかったとしても、出生時育児休業の期間は9月1日から9月14日までの14日間です。
出生時育児休業の28日は「実際に勤務を休んだ所定労働日を28日分数える」のではなく、休業開始日から終了日までの暦日を基本として数えます。
この点は、週休2日の会社ほど誤解しやすいところです。
仮に「土日はもともと休みだから28日に入らない」と考え、平日だけ28日分取得しようとすると、実際のカレンダー上では5週間を超える期間になってしまうことがあります。
しかし、出生時育児休業は原則として子どもの出生直後の限られた期間に通算4週間、つまり28日まで取得する制度です。
| 取得方法 | 出生時育児休業の日数 | 考え方 |
|---|---|---|
| 月曜日から日曜日まで | 7日 | 土日を含めて7日 |
| 月曜日から翌週日曜日まで | 14日 | 2回の土日を含めて14日 |
| 4週間連続取得 | 28日 | 休日を含めた4週間 |
シフト勤務の場合も同じです。
たとえば、4勤2休の勤務形態で休業期間中に休日が何日入るとしても、出生時育児休業として申し出た期間そのものを確認します。
週3日勤務のパートタイマーについても、「勤務日だけを数えて28日」という意味ではありません。
対象となる労働者であれば、出生時育児休業として設定した期間を暦日で確認します。
28日と「出生後8週間」は別の数字
もう一つ混同しやすいのが、「出生後8週間」と「28日」の違いです。
出生後8週間は、出生時育児休業を取得できる期間の枠を示すものです。
一方、28日は、その枠の中で実際に出生時育児休業として取得できる上限です。
したがって、出生後8週間すべてを出生時育児休業として休めるという制度ではありません。
原則として対象となる期間の中から、通算28日以内の期間を選んで取得します。
また、実際の出生日が出産予定日より早かった場合や遅かった場合には、取得できる期間の始点・終点について出産予定日との関係も確認する必要があります。
単純に「実際の出生日から必ず56日間」とだけ覚えるより、会社へ申出をするときに出生日と出産予定日の双方を確認する方が安全です。
制度の基本的な対象期間、利用回数、手続きについては、厚生労働省も産後パパ育休を「原則として子の出生後8週間以内に通算4週間、28日まで、2回に分割して取得できる制度」と案内しています。
産後パパ育休そのものの対象者や取得できる時期、会社への申出方法を詳しく確認したい場合は、 産後パパ育休制度の仕組みと取得条件 もあわせて確認してください。
休業開始日から終了日までの日数を数える

出生時育児休業の日数を実際に計算するときは、 休業開始日と休業終了日の両方を含めて数えます 。
たとえば、9月1日から9月14日まで出生時育児休業を取得する場合、9月2日を1日目として数えるのではありません。
9月1日が1日目、9月14日が14日目となります。
実務では「9月1日から2週間休みたい」という申し出があったときに、終了日が9月14日なのか9月15日なのかで迷うことがあります。
2週間を14日間という意味で考えるのであれば、9月1日を初日として9月14日までです。
9月15日から復職する形になります。
| 出生時育児休業期間 | 日数 | 復職日の例 |
|---|---|---|
| 9月1日~9月7日 | 7日 | 9月8日 |
| 9月1日~9月14日 | 14日 | 9月15日 |
| 9月1日~9月28日 | 28日 | 9月29日 |
このように、日数だけを頭の中で計算するより、開始日、終了日、復職予定日の3つを並べると分かりやすくなります。
「終了日」と「復職日」を分けて確認する
会社とのやり取りでは、出生時育児休業の終了日と復職日が混同されることがあります。
たとえば、9月14日まで出生時育児休業を取得する場合、9月14日は休業期間に含まれています。
通常、復職日はその翌日の9月15日です。
ところが、「9月14日まで休みます」と伝えた一方で、会社側が9月14日を復職日として処理してしまうと、勤怠、給与、雇用保険給付、社会保険料免除などの確認にも影響する可能性があります。
取得申出をするときは、「休業開始日」「休業終了予定日」「復職予定日」を別々に書き出しておくと、従業員と会社双方の認識違いを防ぎやすくなります。
私が実務で育児休業の日程を確認するときも、「何日間休みますか」だけではなく、具体的な年月日を確認します。
特に月をまたぐ場合、社会保険料免除の判定にも関係するため、日数だけでは十分ではありません。
出産予定日と実際の出生日が違う場合
出生時育児休業は、一般的には「出生後8週間以内」と説明されることが多い制度です。
ただし、出産予定日より早く子どもが生まれた場合や、予定日を過ぎて生まれた場合には、法律上の取得可能期間は出生日と出産予定日の関係を踏まえて確認します。
そのため、出産前の段階で予定日を基準に28日間をきっちり組んでいても、実際の出生日によっては日程を見直した方がよいケースがあります。
「子どもが生まれた日から8週間以内なら、どの日程でも必ず取得できる」と機械的に判断しないようにしてください。
実際の出生日と出産予定日が異なる場合には、取得可能期間を会社の人事担当者等と確認したうえで休業開始日・終了日を確定することをおすすめします。
特に出生後休業支援給付金まで含めて取得計画を作る場合、対象期間の考え方が重要になります。
予定日と出生日がずれたケースでは、単純なカレンダー計算だけで判断せず、給付申請時の対象期間もあわせて確認しておくと安心です。
2回に分割した場合は取得日数を合算する
出生時育児休業は、一定の要件のもとで 2回に分けて取得することができます 。
つまり、28日すべてを連続して取得する必要はありません。
出産直後にまとまった休みを取り、いったん職場へ戻った後、配偶者や家族の状況に合わせて再度取得するといった利用方法も考えられます。
2回に分割した場合は、1回目と2回目の出生時育児休業をそれぞれ暦日で数え、その日数を合計します。
たとえば、1回目を9月1日から9月14日まで取得し、2回目を9月22日から10月5日まで取得するとします。
| 取得回 | 期間 | 日数 |
|---|---|---|
| 1回目 | 9月1日~9月14日 | 14日 |
| 出生時育児休業を取得しない期間 | 9月15日~9月21日 | 28日には含めない |
| 2回目 | 9月22日~10月5日 | 14日 |
| 合計 | - | 28日 |
この場合、9月15日から9月21日までは出生時育児休業ではありません。
そのため、1回目14日と2回目14日を合算して、通算28日となります。
「1回目の開始日から2回目の終了日まで全部数える」わけではない点が重要です。
分割取得では間の勤務期間を28日に含めない
分割取得で分かりにくくなるのが、1回目と2回目の間にある期間です。
たとえば、1回目を7日取得し、10日間通常勤務を行い、その後2回目を14日取得した場合、出生時育児休業の通算日数は7日+14日の21日です。
間の10日間まで加えて31日になるわけではありません。
分割取得の場合は、 出生時育児休業として実際に設定した第1回と第2回の期間だけをそれぞれ数えて合算 します。
実際によくあるのは、出産直後に1~2週間取得し、家族の支援がある期間はいったん復職し、その後、配偶者の負担が大きくなるタイミングでもう一度取得する方法です。
出生時育児休業が2回に分けられることで、28日を連続取得する以外の選択肢が生まれます。
1回目と2回目の長さは同じでなくてもよい
分割取得というと、「14日+14日」のように半分ずつ取得しなければならないと思われることがありますが、そのような決まりではありません。
たとえば、1回目10日+2回目18日、1回目7日+2回目21日など、合計28日以内で取得期間を設定することができます。
もちろん、28日をすべて使い切る必要もありません。
1回目5日、2回目9日の合計14日だけ取得することも考えられます。
育児休業の日程は、単純に「最大まで取った方が得」と決めるものでもありません。
配偶者の産後の状況、祖父母等の支援、仕事の繁忙期、出生後休業支援給付金の要件などを総合的に考えて決めることになります。
分割取得では、カレンダー上に「第1回の開始日・終了日」「第2回の開始日・終了日」を書き、各期間の日数を計算してから最後に合算すると間違いにくくなります。
従業員側だけでなく、人事担当者にとってもこの方法は有効です。
申出書だけを見て処理するのではなく、カレンダー上で日程を一度確認すると、28日超過や取得可能期間外の申出を早めに発見できます。
分割取得でも合計28日以内に収める

出生時育児休業を2回に分割できるからといって、それぞれについて28日ずつ取得できるわけではありません。
同じ子について法律上の出生時育児休業として取得できる日数は、原則として通算28日まで です。
したがって、1回目に10日取得したのであれば、出生時育児休業として残っている日数は原則18日です。
1回目に21日取得した場合、残りは7日となります。
| 1回目の取得日数 | 残っている日数 | 2回合計の上限 |
|---|---|---|
| 7日 | 21日 | 28日 |
| 10日 | 18日 | 28日 |
| 14日 | 14日 | 28日 |
| 21日 | 7日 | 28日 |
| 28日 | 0日 | 28日 |
実務で注意したいのは、「4週間を2回まで取得できる」という意味ではないことです。
制度を短く説明するときに「産後パパ育休は4週間、2回に分割可能」と表現することがあります。
この文章だけを見ると、4週間を2回取れるようにも読めます。
しかし、正しくは 通算4週間までの休業を、最大2回に分けて取得できる という意味です。
2回に分ける場合は申出方法にも注意する
日数だけでなく、手続き面にも注意が必要です。
出生時育児休業を2回に分割して取得する場合は、原則として最初の申出時に2回分をまとめて申し出る仕組みになっています。
そのため、「最初に1週間だけ取得し、復職してから必要になったらもう1回申請しよう」と考えている場合、法律上当然に2回目の申出ができるとは限りません。
出生時育児休業の分割取得を予定している場合は、取得日数だけでなく、最初の申出段階で第1回・第2回の予定を整理して会社へ申し出ることが重要です。
なお、会社が法律を上回る制度としてより柔軟な取扱いを設けている場合もあります。
就業規則や育児・介護休業規程によって法定以上の取得を認めること自体は可能です。
ただし、その場合でも「会社独自の休業として認められる部分」と「育児・介護休業法上の出生時育児休業に該当する部分」、さらに「雇用保険給付の対象になる部分」が必ずしも同じとは限りません。
ここは企業側でも迷いやすいポイントです。
法定の出生時育児休業として処理する日程と、会社独自に追加で認める休業がある場合には、勤怠区分や給付申請を分けて管理する必要があります。
28日を超える予定を立てたい場合
出産直後から1か月以上休みたい場合、「出生時育児休業だけでは足りない」ということもあります。
この場合は、通常の育児休業との組み合わせを検討することになります。
出生時育児休業と通常の育児休業は別の制度として設けられているため、要件を満たせば出生時育児休業の終了後に通常の育児休業へ移行することも可能です。
一方で、会社独自の特別休暇や年次有給休暇を組み合わせる方法もあります。
重要なのは、休み全体を一括して「産後パパ育休」と考えないことです。
どの日が出生時育児休業なのか、どの日が通常の育児休業なのか、どの日が有給休暇なのかを分けて整理すると、給付金や社会保険料免除も確認しやすくなります。
出勤した日は休業日数から除外される
出生時育児休業中に出勤するケースでは、「休業日数」という言葉をどの制度について使っているのかを分けて考える必要があります。
この点は特に重要です。
出生時育児休業そのものの上限28日については、休業開始日から休業終了日までの期間が基本となるため、途中で一部就業した日があるからといって、その日だけが自動的に28日の枠から抜けて後ろへ1日追加できるわけではありません。
たとえば、9月1日から9月14日まで14日間の出生時育児休業を申し出、その期間中の9月8日に所定の手続きを踏んで一部就業したとします。
この場合、「9月8日は働いたから出生時育児休業は13日になり、あと1日別の日に取得できる」と単純に考えるのは適切ではありません。
「出勤日は休業日数から除外する」という考え方が登場する制度はありますが、出生時育児休業の28日上限、雇用保険給付、社会保険料免除では判定方法がそれぞれ異なります。
出生時育児休業中の就業には手続きが必要
通常の育児休業は、基本的に休業期間中の就業を前提とした制度ではありません。
一方、出生時育児休業には、一定の条件を満たした場合に休業期間中の一部就業を可能とする特別な仕組みがあります。
ただし、会社が「忙しいから明日だけ出てください」と一方的に出勤を命じられる制度ではありません。
休業中の就業を行うためには、まず労使協定において出生時育児休業中に就業できる労働者の範囲を定めていることが必要です。
そのうえで、労働者本人が就業可能日や就業可能時間帯などを申し出、会社がその範囲内で候補となる就業日時を提示し、最終的に本人が同意するという手続きになります。
つまり、基本となるのは 労働者本人の申出と同意 です。
法律上の就業上限と給付金上の基準は別に考える
出生時育児休業中に就業できる日数・時間には上限があります。
法律上は、原則として休業期間中の所定労働日数と所定労働時間のそれぞれ半分までが上限となります。
また、休業開始予定日や終了予定日に就業する場合には、その日の所定労働時間未満とする必要があります。
たとえば、2週間の出生時育児休業期間中に所定労働日が10日、所定労働時間が80時間ある場合には、法律上の就業上限は原則として所定労働日5日、所定労働時間40時間までという考え方になります。
一方、出生時育児休業給付金には雇用保険上の就業日数・時間に関する基準があります。
28日間の出生時育児休業を取得した場合には、休業期間中の就業日数が最大10日、10日を超える場合には就業時間が80時間以下であることなどが支給要件に関係します。
休業期間が28日より短い場合は、この上限も休業期間に応じて短くなります。
「出生時育児休業中に働ける上限」と「出生時育児休業給付金を受けるための就業日数・時間の基準」は似ていますが、確認している制度が異なります。
社会保険料免除では就業日を除く場合がある
さらに、健康保険・厚生年金保険の社会保険料免除における「同月内14日以上」の判定では、休業期間中に就業予定日がある場合、その就業日を除いて育児休業等の日数を確認する取扱いがあります。
たとえば、同じ月の中で14日間の出生時育児休業期間を設定していても、その中に就業日が含まれている場合、「カレンダー上14日だから必ず14日要件を満たす」とは限りません。
このように、一部就業があるケースでは、次の3つを分ける必要があります。
- 出生時育児休業そのものの28日上限
- 雇用保険の出生時育児休業給付金等の支給要件
- 社会保険料免除の14日判定
私が実務で確認する場合も、「何日出勤しましたか」だけでは判断しません。
休業開始日、終了日、所定労働日、実際の就業日、就業時間、賃金の支払状況まで分けて確認します。
特に給付金や社会保険料免除まで含めて取得計画を作るのであれば、休業期間中の就業を予定した時点で人事担当者に確認しておくことをおすすめします。
出生時育児休業28日の数え方と給付金
出生時育児休業の日数を確認するときは、法律上取得できる28日だけでなく、雇用保険から支給される給付金や、健康保険・厚生年金保険の保険料免除についても一緒に確認しておくと分かりやすくなります。
特に2025年4月から始まった出生後休業支援給付金では、対象となる育児休業を通算14日以上取得することが重要な要件の一つとなっています。
一方、社会保険料免除にも「14日以上」という基準があります。
同じ14日という数字が出てくるため混同しやすいのですが、出生後休業支援給付金は雇用保険の給付制度、社会保険料免除は健康保険・厚生年金保険の制度です。
さらに、年次有給休暇や会社独自の特別休暇を組み合わせる場合、その日が出生時育児休業として処理されているのか、別制度の休暇なのかによって日数の扱いが変わります。
ここからは、休業日程とお金に関係する制度を分けながら整理します。
有給休暇を取得した日の扱い
出生時育児休業と年次有給休暇は、どちらも「会社へ出勤しない日」という点では同じように見えますが、法律上はまったく別の制度です。
年次有給休暇は、労働義務がある日に労働者が年休を取得することによって、その日の労働義務を免除してもらいながら賃金の支払いを受ける制度です。
一方、出生時育児休業として適法に休業している期間は、そもそも育児・介護休業法に基づいて労働義務がなくなっています。
そのため、同じ日について「出生時育児休業を取得しながら、さらに年次有給休暇も1日消化する」という二重取得を前提に考えるものではありません。
たとえば、9月1日から9月14日まで出生時育児休業として取得するのであれば、その期間中の平日について、さらに年次有給休暇を申請して残日数を減らす必要はありません。
一方、9月1日から9月5日までは年次有給休暇を取得し、9月6日から出生時育児休業を開始するという日程を組んだ場合、原則として9月1日から9月5日は出生時育児休業ではありません。
| 会社を休む理由 | 出生時育児休業28日に含まれるか | 確認ポイント |
|---|---|---|
| 出生時育児休業 | 含まれる | 休業開始日・終了日を確認 |
| 年次有給休暇 | 原則として含まれない | 別制度として取得 |
| 出生時育児休業を会社が有給扱い | 出生時育児休業なら含まれる | 年休消化とは別 |
「有給」と「有給休暇」は同じではない
ここで実務上かなり重要なのが、 「有給の出生時育児休業」と「年次有給休暇」は別物 だということです。
法律上、出生時育児休業期間について会社に給与支払いを義務付ける規定はありません。
そのため、多くの会社では無給扱いとし、一定の要件を満たした場合に雇用保険の出生時育児休業給付金を利用することになります。
ただし、会社が独自制度として「出生時育児休業期間中も給与を全額支給する」「一定割合を補償する」と定めることは可能です。
この場合、給与が支払われているからといって、その日が年次有給休暇になるわけではありません。
法律上の出生時育児休業として取得しながら、会社が賃金を支給しているだけというケースがあります。
勤怠上で「有給」と表示されていても、年次有給休暇を消化しているとは限りません。
何の制度として休んでいるのか を確認することが重要です。
休業中に給与が出る場合は給付金にも注意する
出生時育児休業期間について会社から賃金が支払われる場合は、雇用保険給付との関係も確認する必要があります。
出生時育児休業給付金は、休業期間中に会社から支払われる賃金額によって給付額が調整される仕組みになっており、一定額以上の賃金が支払われた場合には給付金が減額されたり、支給されなかったりすることがあります。
したがって、「会社が有給にしてくれるなら、給与も給付金もそのまま両方満額もらえる」とは限りません。
出生時育児休業を有給扱いとする会社では、給与制度だけでなく、出生時育児休業給付金や出生後休業支援給付金への影響も確認してください。
また、すでに年次有給休暇を申請していた日と出生時育児休業の取得期間が重なる場合など、実際の勤怠処理は会社の申請状況によって確認が必要になることがあります。
取得前に「この日は年休、この日から出生時育児休業」と区分を明確にし、人事担当者と認識を合わせておくのが実務上は一番分かりやすい方法です。
特別休暇を取得した日の扱い

会社によっては、配偶者が出産した従業員に対して「配偶者出産休暇」「出産立会休暇」「育児目的休暇」「パパ休暇」などの名称で、会社独自の特別休暇を設けていることがあります。
このような特別休暇と、法律上の出生時育児休業も原則として別制度です。
たとえば、会社の就業規則に「配偶者が出産した場合、3日間の有給の特別休暇を付与する」と定められている会社を考えてみましょう。
従業員が出産直後にその特別休暇を3日間取得し、その翌日から14日間の出生時育児休業を取得した場合、会社を休んだ期間は合計17日間になります。
しかし、法律上の出生時育児休業として取得した期間が14日であれば、出生時育児休業の日数は原則14日として整理します。
「会社を休んだ合計日数」と「出生時育児休業として取得した日数」は一致するとは限りません。
会社独自の休暇を先に取得するケース
実務では、出産当日やその直後だけ会社独自の配偶者出産休暇を使い、その後に出生時育児休業へ移行するケースがあります。
たとえば次のような日程です。
| 期間 | 休暇の種類 | 出生時育児休業の日数 |
|---|---|---|
| 9月1日~9月3日 | 会社独自の特別休暇 | 0日 |
| 9月4日~9月17日 | 出生時育児休業 | 14日 |
| 合計して会社を休んだ期間 | 17日 | 出生時育児休業は14日 |
このように制度を分けて整理すると、28日の残日数も分かりやすくなります。
上記の例であれば、出生時育児休業として使ったのは14日なので、取得可能期間などの要件を満たすことを前提に、出生時育児休業として残り14日を検討できることになります。
名称だけで判断しない
一方で、就業規則上の名称だけでは判断できないケースもあります。
会社によっては、法律上の出生時育児休業そのものを有給扱いにしたうえで、社内システム上「パパ育休」「育児特別休暇」など独自の名称を付けている場合があります。
この場合、名前に「特別休暇」と書いてあるからといって、必ず法律上の出生時育児休業とは別制度だとは限りません。
実務では、名称ではなく次の点を確認します。
- 育児・介護休業法に基づく出生時育児休業の申出を行っているか
- 出生時育児休業開始日と終了日が会社から通知されているか
- 勤怠上はどの休暇区分として処理されているか
- 年次有給休暇の残日数が減っているか
- 雇用保険の出生時育児休業給付金を申請する期間に含めるか
従業員側からすると、「会社からパパ休暇があると言われたので、産後パパ育休だと思っていた」というケースもあり得ます。
一方、企業側では、会社独自の特別休暇と法定の出生時育児休業を同じ名称で運用していると、給付金申請や社会保険料免除の際に確認が難しくなることがあります。
会社独自の配偶者出産休暇などを設けている場合は、法定の出生時育児休業とどのように組み合わせられるのかを就業規則や育児・介護休業規程で確認しておくと安心です。
特別休暇を先に使うのか、出生時育児休業を先に使うのかによって、出生後休業支援給付金の対象期間や取得日数にも関係する可能性があります。
給付金の14日要件を意識する場合は、単純な「休んだ合計日数」ではなく、どの日が対象となる育児休業なのかを確認してください。
出生後休業支援給付金は14日以上が要件
出生時育児休業28日の数え方を確認する方にとって、あわせて重要になるのが 出生後休業支援給付金 です。
出生後休業支援給付金は2025年4月から始まった雇用保険の給付制度で、子どもの出生直後の一定期間に育児休業を取得する人の所得をより手厚く支えることを目的としています。
本人については、同一の子について出生時育児休業給付金または育児休業給付金が支給される対象となる育児休業を、対象期間内に 通算14日以上 取得することが要件の一つです。
さらに原則として、配偶者についても一定期間内に通算14日以上の育児休業を取得することが求められます。
ただし、配偶者がいない場合や、配偶者が育児休業を取得できない一定の場合など、配偶者の育児休業を要件としない例外があります。
「本人が14日休めば必ず出生後休業支援給付金を受給できる」という制度ではありません。
本人の雇用保険上の受給資格や配偶者の状況など、日数以外の要件も確認する必要があります。
7日+7日でも14日を検討できる
出生後休業支援給付金の14日は、必ず14日間連続して取得しなければならないという意味ではありません。
対象期間内に給付対象となる育児休業を通算して14日以上取得しているかを確認するため、出生時育児休業を分割して取得する場合でも要件を満たす可能性があります。
| 取得方法 | 通算日数 | 本人の14日要件 |
|---|---|---|
| 14日連続 | 14日 | 日数要件を満たす |
| 7日+7日 | 14日 | 日数要件を満たす可能性あり |
| 10日+4日 | 14日 | 日数要件を満たす可能性あり |
| 7日+6日 | 13日 | 14日には達しない |
| 28日連続 | 28日 | 日数要件を満たす |
そのため、「仕事の都合で14日間連続は難しい」という場合でも、分割取得によって14日以上となる日程を検討する余地があります。
就業した日があっても直ちに14日未満になるわけではない
出生時育児休業期間中に一部就業した場合の考え方も重要です。
出生後休業支援給付金では、単純に「出勤した日をすべて休業日数から引き、実際に1日も働かなかった日だけを数える」という仕組みではありません。
出生時育児休業期間中に一部就業した場合でも、出生時育児休業給付金または育児休業給付金が14日分以上支給される対象となっていれば、出生後休業支援給付金の14日要件を満たす可能性があります。
一方、休業中の就業によって支払われた賃金が多くなり、そもそも出生時育児休業給付金等が支給されない場合には、出生後休業支援給付金にも影響します。
出生後休業支援給付金の14日は、「会社に何日出勤しなかったか」だけではなく、 給付対象となる育児休業を14日以上取得しているか という観点から確認します。
手取り10割相当は給与が100%支給される意味ではない
出生後休業支援給付金については、「育休中も手取り10割」と説明されることがあります。
制度上、出生時育児休業給付金または育児休業給付金の給付率67%に、出生後休業支援給付金の13%が上乗せされると、合計の給付率は80%となります。
育児休業中に一定の要件を満たすと社会保険料が免除されること、育児休業給付が非課税であることなどを踏まえ、一般に「休業前の手取り10割相当」と説明されています。
ただし、これは会社から休業前とまったく同じ手取り給与が振り込まれるという意味ではありません。
休業開始時賃金日額の計算、給付額の上限、休業中に会社から支払われる賃金、本人の給与水準などによって実際の受取額は変わります。
「14日取得すれば給与と同額が必ずもらえる」と考えず、実際の給付対象期間と支給額は個別に確認してください。
出生時育児休業を14日以上取るか、28日まで取得するかを考えるときには、給付額だけでなく、家族の育児体制や職場復帰後の働き方も含めて日程を決めることをおすすめします。
社会保険料免除の14日要件とは別に考える

出生後休業支援給付金の14日要件と非常に混同しやすいのが、育児休業等期間中における健康保険料・厚生年金保険料の免除です。
同じ「14日以上」という数字が登場しますが、出生後休業支援給付金と社会保険料免除は別制度です。
出生後休業支援給付金は雇用保険の制度です。
一方、育児休業等期間中の社会保険料免除は、健康保険・厚生年金保険の制度であり、要件を満たして事業主が所定の届出を行うことで、対象月の健康保険料・厚生年金保険料について本人負担分と事業主負担分が免除されます。
現在の制度では、毎月の給与にかかる社会保険料について、原則として育児休業等を開始した日の属する月から、育児休業等が終了する日の翌日が属する月の前月までが免除対象になります。
さらに、育児休業等の開始日と終了日の翌日が同じ月に属する短期間の育児休業であっても、一定の場合にその月の中で14日以上育児休業等を取得すると、その月の月額保険料が免除される仕組みがあります。
月末を含む場合と14日以上の場合を分ける
社会保険料免除を理解するときは、「14日以上でなければ免除されない」と覚えない方がよいです。
たとえば、9月25日から10月5日まで育児休業等を取得する場合、9月末時点では育児休業等の期間中です。
このようなケースでは、従来からある月末を含む免除ルールを確認します。
一方、9月1日から9月14日まで取得して9月15日に復職するような、同じ月の中で開始・終了する短期間の育児休業等では、14日以上の要件が重要になります。
| 取得例 | 月末の状態 | 主に確認する考え方 |
|---|---|---|
| 9月1日~9月14日 | 月末前に復職 | 同月内14日以上の要件 |
| 9月10日~9月23日 | 月末前に復職 | 同月内14日以上の要件 |
| 9月25日~10月5日 | 9月末は育休中 | 月末を含む原則ルール |
| 9月20日~9月25日 | 月末前に復職 | 14日に満たないため別途確認 |
日本年金機構も、育児休業等を開始した日の属する月と終了日の翌日が属する月が同一の場合でも、育児休業等開始日が含まれる月に14日以上育児休業等を取得した場合には月額保険料が免除される旨を案内しています。
(出典:日本年金機構「従業員が育児休業等を取得・延長したときの手続き」)
14日を数えるときは就業日にも注意する
出生時育児休業期間中に一部就業する場合には、社会保険料免除の14日要件でも注意が必要です。
同月内14日以上の育児休業等を判定するとき、休業期間中に就業予定日がある場合には、その就業日を除いて育児休業等の日数を確認する取扱いがあります。
たとえば、カレンダー上で14日間の出生時育児休業期間を設定していたとしても、その期間中に就業日が含まれる場合には、「14日間の期間があるから社会保険料も必ず免除」とは判断できません。
出生時育児休業そのものの28日上限では休業期間を暦日で確認しますが、社会保険料免除の同月内14日要件では休業期間中の就業日が判定に影響します。
出生後休業支援給付金の14日と比較する
| 項目 | 出生後休業支援給付金 | 社会保険料免除 |
|---|---|---|
| 制度 | 雇用保険 | 健康保険・厚生年金保険 |
| 14日の意味 | 給付対象となる育児休業を対象期間内に通算14日以上取得することなど | 同月内で短期育休を取得する場合の月額保険料免除要件など |
| 就業した場合 | 給付対象となる休業・支給日数等を確認 | 14日判定では就業日を除く取扱いに注意 |
| 確認先 | ハローワーク等 | 年金事務所等 |
この違いを理解すると、「14日取得したはずなのに、なぜ制度によって結果が違うのか」という疑問がかなり解消されると思います。
私が実務で短期間の育児休業を確認するときも、まず育児休業期間を確定し、その後に雇用保険給付と社会保険料免除を別々に判定します。
一つのカレンダーだけを見て「14日だから全部大丈夫」と処理しないことが重要です。
社会保険料免除の条件について詳しく確認したい場合は、 育休の社会保険料免除はいつからかを解説した記事 で、月末要件と14日要件、賞与保険料との違いまで整理しています。
なお、賞与にかかる社会保険料の免除には、月額保険料とは異なる期間要件があります。
出生時育児休業を14日以上取得したからといって、賞与保険料まで同じ条件で免除されるわけではありません。
「月額保険料の14日要件」「賞与保険料の免除要件」「出生後休業支援給付金の14日要件」は、それぞれ別に確認してください。
出生時育児休業28日の数え方を確認しよう
出生時育児休業28日の数え方で最初に押さえておきたいのは、 28日は土日祝を含む暦日を基本として数える ということです。
休業開始日から休業終了日までを両方含めて数え、2回に分割する場合は、第1回と第2回の出生時育児休業期間をそれぞれ計算したうえで合算します。
一般的な土日休みの会社で4週間連続して出生時育児休業を取得した場合、実際に勤務を休む平日は20日前後になることがあります。
それでも出生時育児休業としては28日です。
反対に、週3日勤務だからといって所定労働日だけ28日分選んで数か月にわたって出生時育児休業を取得する制度でもありません。
- 出生時育児休業の上限は原則として通算28日
- 28日は土日祝や所定休日を含む暦日を基本に数える
- 休業開始日と休業終了日の両方を日数に含める
- 2回に分割した場合はそれぞれの休業期間を合算する
- 2回に分けても合計28日を超えて取得できるわけではない
- 一部就業しても勤務日が自動的に28日の枠から外れるわけではない
- 年次有給休暇や会社独自の特別休暇は出生時育児休業と分けて確認する
- 出生後休業支援給付金と社会保険料免除の14日要件は別制度として確認する
まず出生時育児休業の期間を確定する
実際に日程を決めるときは、最初から給付金や社会保険料免除の14日を考えるより、まず出生時育児休業そのものの日程を確定する方が分かりやすいです。
私は次の順番で確認することをおすすめします。
- 出産予定日と実際の出生日を確認する
- 出生時育児休業を取得できる期間を確認する
- 第1回の開始日と終了日を決める
- 分割取得する場合は第2回の開始日と終了日を決める
- それぞれを暦日で数えて合計28日以内か確認する
- 休業期間中に就業する予定があるか確認する
- 年休や会社独自の特別休暇を組み合わせるか確認する
- 出生時育児休業給付金等の要件を確認する
- 出生後休業支援給付金の14日要件を確認する
- 社会保険料免除の対象月を確認する
この順番で整理すると、制度ごとの日数が混ざりにくくなります。
28日・14日・就業日数を同じ数字として考えない
出生時育児休業で一番ややこしいのは、さまざまな場面で「日数」が出てくることです。
出生時育児休業そのものには28日という上限があります。
出生後休業支援給付金には14日以上という要件があります。
社会保険料免除にも14日以上という要件があります。
出生時育児休業給付金には休業期間中の就業日数・就業時間に関する基準があります。
さらに、出生時育児休業中に一部就業する場合には、法律上の就業可能日数・時間の上限もあります。
数字だけを見ると似ていますが、それぞれ別のルールです。
「28日取った」「14日休んだ」という事実だけで、給付金や社会保険料免除まで自動的に判定しないことが大切です。
会社へは具体的な日付で確認する
従業員の方が会社へ相談するときは、「2週間取りたい」「4週間全部取りたい」と期間だけを伝えるより、具体的な日付で伝えた方が確実です。
たとえば、次のように整理します。
第1回:9月1日から9月14日まで14日間
第2回:9月22日から10月5日まで14日間
合計:28日間
休業期間中の就業予定:なし
一部就業を予定する場合は、その日付や時間も別に整理します。
人事担当者側でも、申出書を受け取ったら、出生時育児休業の日数、取得可能期間、分割回数、就業予定、雇用保険給付、社会保険料免除を一つずつ確認することが重要です。
特に短期間の育児休業では、開始日や終了日が数日違うだけで社会保険料免除の対象月が変わることがあります。
給与計算まで考えるのであれば、「給与から保険料を何月に控除しているか」も含めて確認する必要があります。
出生時育児休業は、制度の基本だけを見ると「出生後8週間以内に28日まで」と比較的シンプルです。
しかし、実際に使う段階になると、分割取得、休業中の就業、有給休暇、特別休暇、出生時育児休業給付金、出生後休業支援給付金、社会保険料免除が重なります。
だからこそ、最初に出生時育児休業28日の数え方を正しく整理し、その後に各制度の判定へ進むことが大切です。
出生時育児休業の日程を考えるときは、まず「何月何日から何月何日まで出生時育児休業なのか」を確定してください。
そのうえで給付金や社会保険料を別々に確認するのが、最も間違いの少ない整理方法です。
制度改正や個別の勤務状況、休業中の賃金支払い、就業の有無などによって取扱いが異なる場合があります。
正確な情報は公式サイトをご確認ください。
具体的な取得日程や出生時育児休業給付金、出生後休業支援給付金については会社の人事担当者やハローワーク、社会保険料免除については会社や年金事務所等へ確認してください。
複数の制度が関係して判断が難しい場合は、最終的な判断は専門家にご相談ください。