育児休業

学童は育休中も利用できる?退所ルールと自治体確認のポイント

こんにちは。

もりおか社会保険労務士事務所、社会保険労務士の川熊です。

育休中でも、上の子の学童保育を継続して利用できる可能性があります。

2026年6月29日、こども家庭庁は、放課後児童クラブの対象となる「労働等」には保護者が育児休業中の場合等を含められることから、市町村の判断により学童を活用することは可能との考え方を改めて示しました。

これまで、「下の子の育休に入ったら、上の子は学童を退所しなければならない」と案内される自治体は珍しくありませんでした。

そのため、第2子や第3子の出産を控えている方にとっては、育児休業そのものだけでなく、上の子の放課後の居場所をどうするかも大きな問題になります。

ただし、今回の国の見解によって、全国すべての自治体で無条件に学童を利用できるようになったわけではありません。

放課後児童クラブは市町村が実施主体となる制度であり、定員、待機児童の状況、利用調整の方法、必要書類などには自治体差があります。

「国が利用可能と言っているから絶対に継続できる」と考えるのでも、「育休中だから必ず退所になる」と考えるのでもなく、国の考え方とあなたの自治体の最新運用を分けて確認することが大切です。

この記事では、これまで育休中の学童退所が多かった背景、2026年6月のこども家庭庁の見解、自治体が今後どのように対応していく可能性があるのか、実際に退所を求められた場合の確認事項まで、保護者の立場から実務的に整理します。

  • 育休中でも上の子が学童を利用できるのか
  • 2026年6月に示されたこども家庭庁の見解
  • 自治体によって利用条件が異なる理由
  • 退所を求められた場合に確認したいポイント

学童は育休中も利用できる?退所ルールと国の見解

学童は育休中も継続利用できる?

まず押さえておきたいのは、「育休に入ったら必ず学童を退所する」という全国共通のルールがあるわけではないという点です。

一方で、これまでは育児休業によって保護者が日中自宅にいることを理由として、学童の利用要件から外れると判断していた自治体が少なくありませんでした。

2026年6月29日にこども家庭庁が考え方を明確にしたことで、この取扱いは大きく見直される可能性があります。

ただし、国が制度上の考え方を示すことと、それぞれの自治体が申込要件や利用調整基準を実際に変更することは別の話です。

ここでは最初に、育休中の学童利用について何が変わったのか、そして何がまだ自治体判断として残っているのかを整理します。

育休中でも学童を利用できる?

結論から整理すると、 育休中だからという理由だけで、上の子が当然に学童を利用できなくなるわけではありません。

放課後児童クラブ、いわゆる学童保育は、児童福祉法に基づき、保護者が労働等によって昼間家庭にいない小学生に対して、授業終了後などに適切な遊びや生活の場を提供する事業です。

制度の基本的な位置付けについては、こども家庭庁も公式ページで同様に説明しています。

(出典:こども家庭庁「放課後児童健全育成事業について」)

これだけを見ると、「育休中は会社へ行っていないのだから、保護者が昼間家庭にいないとはいえないのでは」と感じるかもしれません。

実際、従来はそのような解釈をして、保護者が育休へ入った時点や、産後一定期間を経過した時点で上の子の退所を求める自治体がありました。

しかし、2026年6月29日にこども家庭庁が示した考え方では、児童福祉法上の「労働等」について、 保護者が育児休業中の場合等を含めることができる とされています。

そのため、市町村の判断によって、育休期間中も放課後児童クラブを利用することは制度上可能です。

重要なポイント

育休を取得したことだけを理由として、法律上当然に学童の対象外になるという整理ではありません。

育休中の利用を認める余地があり、実際に利用できるかどうかは自治体の運用や利用調整を確認する必要があります。

この点は、第2子や第3子の出生に伴って育休を取得する家庭にとって非常に重要です。

育児休業という名称から「仕事を休んでいる期間」とだけ捉えられがちですが、実際には、生まれたばかりの子どもの授乳、睡眠、通院、健診など、日中を含めて継続的な育児が必要になる期間です。

さらに、上の子から見ても、下の子の誕生だけで家庭環境は大きく変わります。

そこに学童退所まで重なれば、学校終了後の居場所、友人関係、帰宅時間、生活リズムまで同時に変わることになります。

保護者が自宅にいるかどうかだけではなく、上の子がこれまでどのような放課後生活を送ってきたかという視点も欠かせません。

一方で、ここは誤解しやすいところですが、 「育休中でも利用可能」と「育休中なら必ず利用できる」は同じ意味ではありません。

学童には定員があり、自治体によっては多数の待機児童が発生しています。

育休中の家庭を利用対象としていても、利用調整の結果として入所できないことはあり得ます。

また、既に学童を利用している子どもの継続利用と、育休中に新規で申し込むケースでも、自治体の取扱いが同じとは限りません。

たとえば、既存利用者については年度途中の継続を認める一方、新規申込みについては就労状況や復職予定時期を踏まえて優先順位を決める、といった運用も考えられます。

育休を取れば自動的に学童を継続できるわけではありません。

育休開始日、育休終了予定日、復職予定日、現在の学童利用状況を整理したうえで、市区町村の担当窓口へ最新の利用要件を確認しましょう。

社労士として育休に関する相談を受けていると、勤務先への育休申出や給付の手続きには意識が向いていても、上の子の保育園や学童の手続きまでは後回しになっているケースがあります。

育休が決まったら、会社の手続きと同じ時期に上の子の学童についても確認しておくと、後になって慌てにくいですよ。

育休中の学童退所が多かった理由

育休中の学童退所が多かった理由

これまで、育休中になると上の子の学童を退所するよう求められる自治体が多かった背景には、放課後児童クラブの対象者について定める法律上の表現があります。

放課後児童クラブは、「小学校に就学している児童であって、その保護者が労働等により昼間家庭にいないもの」を対象とする制度です。

そのため、自治体の実務では長い間、「保護者が現実に日中勤務しているか」という点が利用資格を判断する重要な基準の一つになってきました。

通常勤務をしている間は、保護者が夕方まで勤務先にいるため、学校が終わった後に子どもだけで過ごす時間が生じます。

一方、下の子の出産によって育児休業に入ると、雇用関係は続いているものの、保護者は勤務先へ出勤せず自宅で育児をする状態になります。

そこで従来、一部の自治体では、 「昼間家庭に保護者がいるのであれば、学童を利用する必要性はなくなった」 という整理がされていました。

その結果、

  • 育児休業開始日をもって退所する
  • 出産後一定期間までは利用できるが、その後は退所する
  • 翌月末や年度末まで利用して退所する
  • 育休中は新規申込みを受け付けない

といった運用につながっていたわけです。

2026年6月に報道された全国主要109区市を対象とする調査では、6割弱の自治体で、第2子以降の出産に伴って育休を取得した家庭について、上の子を学童から退所させる運用が行われていたとされています。

つまり、「自分の自治体だけ特別に厳しい」という話ではなく、全国的にかなり広く見られた運用だったことが分かります。

以前に退所を求められた家庭があっても不思議ではありません。

今回の見解が示される以前は、「育休中は昼間家庭に保護者がいる」と考えて対象外にする自治体運用が現実に存在していました。

もっとも、育児休業は、退職や無職とは性質が異なります。

会社との雇用関係は継続しており、育児・介護休業法に基づいて一定期間仕事を休み、原則として育休終了後には職場へ復帰することが前提となる制度です。

ここは労務実務ではとても重要なポイントです。

「現在会社へ出勤していない」という一点だけを見れば、退職して家庭にいる方と育休中の方は似て見えるかもしれません。

しかし、雇用契約が継続しているか、復職を予定しているかという点では大きく異なります。

さらに、育休中だから時間に余裕があるとも限りません。

乳児は昼夜を問わず世話が必要ですし、産後間もない時期には母親の身体的負担も大きくなります。

上の子が学校から帰宅する時間に、下の子の授乳、通院、健診などが重なることも十分考えられます。

また、学童は単純な「親がいない時間の預かり場所」だけではありません。

子どもにとっては、放課後を継続して過ごしてきた生活の場であり、支援員や友人との人間関係もあります。

下の子が生まれるという家庭内の大きな変化に加えて、上の子の居場所まで急に変更することが本当に適切なのかという観点も必要になります。

こうした事情から、育休という形式だけを見て一律に学童の対象外とすることについて、国が改めて考え方を整理したと理解すると分かりやすいかなと思います。

2026年6月のこども家庭庁見解

育休中の学童利用を考えるうえで、最も重要なのが 2026年6月29日にこども家庭庁成育局成育環境課が発出した事務連絡 です。

この事務連絡の名称は、「放課後児童健全育成事業における保護者が育児休業期間中の取扱いについて」です。

各都道府県・市区町村の放課後児童健全育成事業担当部署に対し、育休中の利用に関する国の考え方を改めて周知しています。

事務連絡では、児童福祉法上、放課後児童クラブが「保護者が労働等により昼間家庭にいない」小学生を対象としていることを確認したうえで、その 「労働等」には保護者が育児休業中の場合等を含められる との考え方が示されました。

その結果、実施主体である市町村の判断によって、育児休業中でも放課後児童クラブを活用することは可能と整理されています。

この点は記事の根幹になる部分ですので、一次資料を直接確認しておきたい方は、こども家庭庁の事務連絡をご確認ください。

(出典:こども家庭庁「放課後児童健全育成事業における保護者が育児休業期間中の取扱いについて」)

2026年6月29日の見解で押さえたい点

  • 「労働等」には育児休業中の場合等を含められる
  • 市町村の判断により育休中でも学童を活用することは可能
  • 受け皿不足を理由に一律除外している場合も個別的な配慮を視野に入れる
  • 保護者、下の子、学童を利用していた上の子の状況を踏まえる
  • 利用できない場合には児童館等の居場所を紹介するよう努める

ここで非常に重要なのは、国が単に「育休中も使ってよい」とだけ伝えているわけではないことです。

事務連絡では、受け皿確保や待機児童数の状況を理由として育児休業を一律に対象から除外している自治体についても、 保護者、育休の対象となっている弟妹、これまで学童を利用していた小学生の状況を踏まえ、個別的な配慮を行うことを視野に入れるよう求めています。

さらに、母親の産後の心身の状態や、児童の発育状況、障害などについてリスクが認められる場合には、関係部署と連携した対応を検討するよう具体的に言及しています。

これは、学童利用の判断を単純に「親が自宅にいるか、いないか」という二択だけで行うのではなく、家庭全体と子どもの状況を見る必要があることを示したものといえるでしょう。

ただし、この事務連絡は「育休中のすべての家庭について、必ず入所させなければならない」と定めたものではありません。

文面でも「実施主体である市町村の判断により」とされており、定員や待機児童などを踏まえた利用調整そのものがなくなったわけではありません。

つまり、今回の国の見解は、育休中の家庭を制度上最初から排除する必要はないことを明確化したものです。

そのうえで、具体的に誰が利用できるのか、利用希望者が定員を超えた場合にどのように調整するのかについては、市町村の判断が残されています。

この違いは実務上かなり大切です。

自治体へ問い合わせる際に「こども家庭庁が利用できると言っているのだから入所させてください」とだけ伝えるよりも、「2026年6月29日の事務連絡を受けて、現在の市の利用基準はどのようになっていますか」と確認する方が、話が整理しやすいですよ。

一律退所ではなく柔軟な判断へ

一律退所ではなく柔軟な判断へ

2026年6月のこども家庭庁の見解でもう一つ重要なのが、 育児休業に入ったという事実だけで機械的に退所を決めるのではなく、それぞれの家庭や子どもの状況を踏まえる という方向性です。

これまでの運用では、自治体の基準に「育児休業」が含まれていなければ、家庭事情にかかわらず育休開始後に退所するという扱いになることがありました。

育休開始 = 保護者が自宅にいる = 学童は不要

このような画一的な整理は、行政実務としては判断しやすい一方で、実際の家庭の事情を十分に反映できないことがあります。

たとえば、同じ育休中でも、出産直後の家庭と、子どもが1歳に近づき復職準備を進めている家庭では状況が違います。

多胎児を育てている家庭、下の子に継続的な通院が必要な家庭、上の子が学童という環境に強く慣れている家庭など、必要性もさまざまです。

上の子の立場から見ることも重要です。

学童は学校が終わってから毎日数時間を過ごす場所であり、場合によっては何年も通っています。

支援員との関係、同級生や異学年の子どもとの関係、宿題をする時間、遊ぶ時間、迎えの時間まで、一つの生活リズムができています。

そこから突然退所することになれば、下の子が生まれて家庭内の環境が変わる時期と同時に、上の子の日常も大きく変わることになります。

だからこそ、今回の事務連絡では、保護者だけではなく、育休の対象となる弟妹や、これまで学童を利用していた小学生の状況についても言及されているわけです。

柔軟な判断は無条件利用という意味ではない

ただし、「個別的な配慮を行う」という考え方と、「希望すれば誰でも利用できる」という話は分けて考える必要があります。

学童には物理的な受入人数があります。

利用希望者が定員を上回っている地域では、現在就労していて放課後に保護者が不在となる家庭、ひとり親家庭、低学年の児童など、それぞれの自治体が定める基準によって優先順位を付けることになります。

育休中も利用対象に含めたとしても、その家庭の優先順位が必ず高くなるとは限りません。

結果として利用できない場合があること自体は、今回の事務連絡でも想定されています。

実際、こども家庭庁は、育休中を利用対象としていたとしても、利用調整の結果として利用できなかった児童や、育休取得をきっかけに退所する児童について、児童館等の子どもの居場所を紹介するよう努めることも求めています。

今回の方向性は、二つに分けて考えると分かりやすいです。

  • 育休中という属性だけで最初から一律に排除しない
  • 実際に利用できるかは定員や家庭状況を踏まえて調整する

保護者としては、「利用資格があるか」と「実際に利用枠を確保できるか」を分けて確認することが大切です。

利用対象にはなったものの待機になるケースと、そもそも育休中を対象外としているケースでは、意味がまったく異なります。

自治体へ相談するときも、「育休中は利用対象に含まれますか」「対象に含まれる場合、利用調整上はどのような扱いになりますか」と二段階で確認すると、回答が明確になりやすいでしょう。

自治体で対応が分かれる可能性

育休中の学童利用について最も注意したいのが、 自治体によって実際の対応時期や利用条件が分かれる可能性があること です。

2026年6月29日にこども家庭庁から事務連絡が出されたからといって、その翌日から全国の利用要件が一斉に統一されたわけではありません。

放課後児童クラブは市町村が実施主体となっています。

自治体によって、条例、規則、利用案内、申込要領、選考基準などの形で具体的な運用が定められており、国の見解を受けてどの部分をどの時期から改めるかにも差が生じます。

実際、2026年夏以降には、国の事務連絡を受けて育休中の利用を認める方向へ運用を変更する自治体が出てきています。

その一方で、変更時期を次年度からとする自治体もあります。

つまり、同じ2026年に育休を取得する家庭でも、住んでいる場所によって取扱いが異なる可能性があるわけです。

確認項目 自治体によって異なり得る内容
継続利用 育休開始後も現在利用している学童を継続できるか
新規申込み 育休中に新しく学童へ申し込めるか
適用開始時期 2026年度途中からか、2027年度からか
利用期間 育休期間全体を通じて利用できるか
復職条件 一定期間内の復職予定が必要か
優先順位 待機児童がいる場合に育休中が何順位になるか
必要書類 就労証明書や育休期間を確認する書類が必要か

特に区別したいのが、 現在学童へ通っている上の子の継続利用と、これまで利用していなかった子どもの新規申込み です。

継続利用の場合には、「下の子が生まれたことで、これまでの生活環境まで急に変えない」という子どもの生活継続の観点があります。

一方、新規利用では、既に待機している家庭との優先順位をどうするのかという問題がより強く出てきます。

そのため、自治体が育休中の利用を認めたという情報を見つけた場合でも、必ず「継続利用だけなのか、新規申込みも対象なのか」まで確認してください。

他の自治体の事例だけで判断しない

インターネットやSNSでは、「うちの市は育休中でも学童を使えた」「うちは退所になった」といった体験談を見かけると思います。

こうした情報は参考にはなりますが、そのままあなたのケースへ当てはめることはできません。

自治体によって制度設計が異なるだけでなく、同じ自治体でも、利用した年度や申込時期によって取扱いが変わる可能性があるためです。

確認すべきなのは他の家庭の過去の事例ではなく、あなたが利用する自治体の現在の利用要件です。

また、ホームページ上の情報にも注意が必要です。

制度変更直後には、トップページのお知らせだけが更新され、通常の「学童利用案内」やPDFの申込要領がまだ旧制度のままというケースも考えられます。

ホームページを読んでも判断できない場合は、ページの記載だけで結論を出さず、市区町村の担当部署へ直接問い合わせましょう。

その際には、「2026年6月29日のこども家庭庁の事務連絡を踏まえ、育休中の継続利用について現在どのような取扱いになっていますか」と具体的に聞くと確認しやすいですよ。

学童を育休中に利用する際の注意点

国の考え方が明確になったことで、育休中の学童利用については、これまでよりも柔軟な取扱いへ向かうことが期待されます。

ただし、実際の保護者にとって大切なのは、「国がどう考えているか」を知るだけではありません。

自分の育休開始日までに何を確認し、どの書類を準備し、もし退所と言われた場合にどこへ問い合わせればよいのかまで把握しておく必要があります。

ここからは、これから育休を取得する方、既に育休中の方それぞれが確認しておきたい実務上のポイントを詳しく解説します。

今後の自治体運用はどう変わる?

2026年6月29日の事務連絡を受け、今後は 育休中という理由だけで上の子を一律に学童から退所させる自治体運用は、徐々に見直されていく可能性が高い と考えられます。

ただし、運用変更の方法は自治体によって異なります。

学童の利用資格が自治体の条例や規則、要綱などに具体的に定められている場合には、内部での検討や必要な手続きを経て改正することになります。

そのため、国の通知が出た日と自治体の新ルールが実際に適用される日は一致しないことがあります。

たとえば、自治体によっては2026年度途中から現在の利用者について育休中の継続を認めることも考えられます。

一方で、利用申込みや選考が年度単位で行われている自治体では、2027年4月利用分から新しい基準を適用するという方法もあり得ます。

保護者としては、「国の考え方が変わったらしい」という情報だけでなく、 自分の自治体ではいつから何が変わるのか まで確認する必要があります。

今後変更される可能性があるポイント

  • 育休中の既存利用者について継続利用を認める
  • 育休中の新規申込みを可能にする
  • 育休終了後の復職予定を申込要件に加える
  • 育休中の家庭について利用調整上の優先順位を設定する
  • 家庭や子どもの個別事情を確認する仕組みを設ける
  • 就労証明書や申立書などの様式を変更する

ここで特に気を付けたいのが、 利用対象の拡大と定員の拡大は別問題 だということです。

育休中の家庭も申込みできるようになれば、当然、利用希望者が増える可能性があります。

しかし、学童の施設面積や支援員の人数をすぐに増やせるとは限りません。

利用対象を広げても受け皿が増えなければ、利用調整の重要性はむしろ高くなります。

「育休中も対象になった=必ず入れる」とは考えないようにしましょう。

自治体によっては、育休中も申込みはできるものの、復職済みの家庭などより優先順位が低く設定される可能性があります。

また、第2子の育休が年度をまたぐ場合には注意が必要です。

たとえば、2026年10月に育休へ入り、2027年夏に復職する予定であれば、2026年度の継続利用だけでなく、2027年4月以降の利用申込みが必要になります。

現在の学童を年度末まで利用できることが確認できたとしても、それだけでは翌年度の利用まで保証されたとは限りません。

学童の申込みは秋から冬に行われる自治体も多いため、育休中だからと申込みを見送ってしまうと、新年度の利用に影響することがあります。

育休が年度をまたぐ場合は、二つの確認をしてください。

  • 現在の年度をいつまで継続利用できるか
  • 翌年度の利用申込みをいつ、どの条件で行うか

私は労務相談でも、育休の「開始」だけではなく「いつ復職するのか」を先に整理することをおすすめしています。

学童でも同じで、育休期間と復職予定日を時系列にしておくと、自治体へ何を確認すべきかがかなり分かりやすくなります。

申請前に自治体の利用要件を確認

申請前に自治体の利用要件を確認

これから育休へ入る予定があり、上の子が学童を利用している場合は、 できるだけ育休開始前に自治体の利用要件を確認しておく ことをおすすめします。

会社員の方の場合、出産や育休をめぐっては、勤務先への育児休業の申出、社会保険関係の手続き、育児休業給付に関する手続きなど、短期間にさまざまな準備が重なります。

その中で上の子の学童手続きは忘れやすいのですが、退所や翌年度申込みに関係する可能性があるため、早めに確認しておいた方が安心です。

自治体へ問い合わせる際には、単に「育休中も学童を使えますか」とだけ聞かない方がよいでしょう。

利用できるという回答を得ても、「いつまで」「どの条件で」「翌年度も」という点まで確認しなければ、後から認識の違いが生じることがあるためです。

自治体へ確認したい項目

  • 育休中も現在の学童を継続利用できるか
  • 育休中の利用を認める運用はいつから適用されるか
  • 育休期間全体を通して利用できるか
  • 復職予定日について条件があるか
  • 育休期間を証明する書類が必要か
  • 就労証明書の再提出が必要か
  • 翌年度も改めて申込みが必要か
  • 利用調整上の優先順位はどうなるか

会社に書類作成を依頼する場合もある

自治体によっては、育休中であることや復職予定日を確認するため、会社が作成した就労証明書などの提出を求めることがあります。

この場合、保護者本人だけで手続きを完結できるとは限りません。

勤務先の人事・総務担当者へ書類作成を依頼しなければならないため、提出期限直前になってから準備すると間に合わない可能性があります。

就労証明書には、雇用期間、就労時間、育児休業期間、復職予定日などを記載する欄が設けられていることがあります。

実際の様式は自治体によって異なるため、まず自治体から最新様式を取得してから会社へ依頼しましょう。

私も会社側の労務手続きを行う際、従業員の方から保育園や学童に提出する就労証明書について相談を受けることがあります。

ここでよく混同されるのが、 会社への育休申出と自治体への学童手続きはまったく別の手続き という点です。

会社が育休を承認したからといって、その情報が自動的に自治体へ伝わるわけではありません。

逆に、学童へ育休期間を届け出たからといって、会社への育児休業の申出が完了するわけでもありません。

自治体のホームページを見ても2026年6月29日以降の取扱いが分からない場合は、利用している学童だけでなく、市区町村の放課後児童クラブ担当部署へ直接確認しましょう。

「ホームページには育休中は対象外と書いてありますが、6月29日の事務連絡後も現在の取扱いは同じでしょうか」と聞くと確認しやすくなります。

また、電話で重要な説明を受けた場合には、担当部署名、確認した日、説明された内容を簡単にメモしておくとよいでしょう。

特に年度替わりや制度変更の時期は、後になって「いつの基準について話していたのか」が分からなくなることがあります。

最終的には、自治体が公表する最新の利用案内や通知を確認し、それに沿って期限内に手続きを進めてください。

退所を求められたときの確認事項

既に上の子が学童を利用していて、育休取得を理由として退所を求められた場合は、すぐに「もう利用できない」と諦める必要はありません。

一方で、「国が認めたのだから退所を求める自治体はおかしい」と決めつけるのも適切ではありません。

まず必要なのは、 誰が、どのルールに基づいて、どの時点から退所になると判断しているのか を整理することです。

特に2026年6月29日の事務連絡以降は、それ以前に作成された学童の利用案内と、自治体内部の現在の運用が一致していない可能性があります。

制度変更の過渡期には、PDFの利用案内は旧ルールのままでも、実際には個別相談を受け付けているということも考えられます。

順番 確認すること 確認のポイント
1 退所理由 育休取得そのものが理由なのか
2 根拠となる利用要件 現在有効な要綱や利用案内か
3 国の見解への対応 2026年6月29日以降に見直しが行われたか
4 個別事情の考慮 家庭や子どもの状況を相談できるか
5 退所時期 即日なのか、月末・年度末なのか
6 翌年度への影響 再申込みや優先順位に影響するか

学童の職員と自治体の判断を分ける

現場の学童職員から「育休に入るなら退所です」と言われることもあると思います。

この場合に確認したいのは、それが現場職員の個人的な判断なのか、市区町村が現在定めている正式な運用なのかという点です。

民間事業者が自治体から委託を受けて学童を運営している地域では、制度上の利用要件を決めているのは自治体であることがあります。

制度変更直後には、本庁から運営事業者、さらに各施設の現場職員へ情報が伝わるまでに時間差が生じる可能性もあります。

そのため、現場で退所と言われた場合でも、必要に応じて市区町村の担当部署へ直接確認してください。

  • 現在の育休中の利用基準はどうなっているか
  • 2026年6月29日の事務連絡を受けて変更された点はあるか
  • 既存利用者について経過措置はあるか
  • 家庭事情を個別に相談することはできるか

といった形で確認するとよいでしょう。

「国が利用できると言っているのだから、退所を求めるのは違法だ」と直ちに断定するのは避けましょう。

今回の事務連絡でも、実際の活用については市町村の判断とされており、待機児童や受入体制を踏まえた利用調整は残されています。

ただし、自治体が以前から「育休中は一律対象外」としており、2026年6月29日の事務連絡を踏まえた検討がされていないのであれば、現在の取扱いについて改めて確認する意味は十分にあります。

また、家族の状況によっては、単に育休中というだけでは説明できない事情もあります。

今回の国の事務連絡では、受け皿や待機児童を理由に育休を一律除外する場合でも、保護者、弟妹、利用していた小学生の状況を踏まえた個別的な配慮を視野に入れるよう求めています。

家庭事情がある場合には、「困っています」だけではなく、何が具体的に困難なのかを整理して伝えることが重要です。

たとえば、下の子の通院が継続している、上の子が長期間同じ学童を利用している、復職時期が既に決まっているなど、自治体が判断するために必要な情報を具体的に伝えましょう。

感情的に争うよりも、現在の基準、国の通知、個別事情を一つずつ確認していく方が実務的です。

上の子の保育園継続との違い

上の子の保育園継続との違い

第2子以降の育休を取得する家庭では、「上の子が保育園の場合は育休中も通えるのに、小学生になると学童を退所しなければならないのはなぜだろう」と疑問に感じることがあります。

ここは、 保育園と学童では対象年齢だけでなく、制度の仕組みや利用判断の考え方が異なる ことを押さえておく必要があります。

保育所等を利用する場合、市区町村が保護者の就労、妊娠・出産、疾病、育児休業などの事情を踏まえ、「保育の必要性」を認定します。

既に保育所等を利用している上の子について、下の子の育児休業中も継続利用が必要と認められるかは、自治体の認定基準に沿って判断されます。

一方、学童保育は、小学校へ就学した子どもの放課後の生活の場を確保する制度です。

児童福祉法では、保護者が「労働等により昼間家庭にいない」ことが対象児童を示す表現として使われています。

これまで一部自治体では、この「昼間家庭にいない」という部分を重視し、育休によって保護者が自宅にいる場合には利用対象から外れると解釈していました。

今回、こども家庭庁が「労働等」に育児休業中の場合等を含められると明確にしたことで、その前提が改めて整理されたわけです。

項目 保育園 学童保育
主な対象 就学前の子ども 小学生
制度上の考え方 保育の必要性を認定 放課後の遊び・生活の場を提供
育休中の継続 自治体の保育認定基準により判断 国の見解と自治体の利用要件を踏まえて判断
必要書類 就労証明書など 自治体により就労証明書など
主な確認先 保育担当部署 放課後児童クラブ担当部署

したがって、上の子が保育園、別の上の子が学童という家庭では、 同じ育休に伴う手続きであっても、それぞれ別に確認する必要があります。

保育園で育休中の継続利用が認められたからといって、学童も自動的に継続できるわけではありません。

逆に、学童について育休中の利用を認める自治体であっても、保育園側で必要な認定変更や届出をしなくてよいという意味ではありません。

家族全体のスケジュールを一度整理する

第2子以降の育休では、下の子の出産と上の子の手続きが重なるため、時系列を整理しておくことをおすすめします。

  • 下の子の出産予定日
  • 産前産後休業の期間
  • 育休開始予定日
  • 育休終了予定日
  • 会社への復職予定日
  • 上の子の保育園または学童の年度更新時期
  • 翌年度申込みの締切日

この7点をカレンダーに並べるだけでも、「会社へいつ書類を出すか」「自治体へいつ確認するか」がかなり整理できます。

特に注意したいのが、年度替わりです。

たとえば、育休中の2027年3月までは現在の学童を継続できても、4月以降については新年度の利用審査を受ける必要があるかもしれません。

「今通えているから復職まで大丈夫だろう」と考えず、年度をまたぐ場合は必ず翌年度の取扱いまで確認しましょう。

保育園と学童では担当部署が異なる自治体もあります。

きょうだいが両方を利用している場合は、それぞれの窓口へ別々に確認した方が確実です。

育休関連の手続きは制度ごとに窓口が異なるため、保護者から見るとかなり分かりにくい部分です。

会社の育休、保育園、学童を一つの制度として考えず、それぞれ別の手続きとして整理することがポイントです。

学童を育休中に使うなら自治体確認を

育休中の学童保育については、2026年6月29日にこども家庭庁が重要な考え方を示しました。

放課後児童クラブの対象を定める際の「労働等」には、保護者が育児休業中の場合等を含めることができ、市町村の判断によって育休中も学童を活用することは可能とされています。

したがって、 「下の子の育休に入ったら、上の子は法律上当然に学童を退所しなければならない」という理解は適切ではありません。

これまで育休中の保護者を一律に対象外としてきた自治体についても、国は、保護者、下の子、これまで学童を利用していた小学生の状況を踏まえ、個別的な配慮を行うことを視野に入れるよう求めています。

これは保護者だけでなく、上の子の生活の継続という意味でも大きな変化です。

この記事の要点

  • 育休中でも上の子の学童利用は制度上可能
  • 2026年6月29日にこども家庭庁が考え方を明確化
  • 「労働等」には育児休業中の場合等を含められる
  • 育休を理由にした一律除外ではなく個別的な配慮も求められている
  • 具体的な利用可否や優先順位は市町村によって異なる
  • 継続利用と新規申込みは同じ条件とは限らない
  • 年度をまたぐ場合は翌年度の申込みも確認する

一方で、最も避けたいのは、今回の見解を「全国どこでも育休中なら無条件で学童を利用できる制度になった」と理解してしまうことです。

今回の事務連絡でも、市町村の判断によることが明記されています。

また、学童には受入人数の制約があり、育休中の家庭を利用対象に含めても、利用調整の結果として利用できないケースはあり得ます。

そのため、第2子以降の妊娠・出産が分かり、育休を取得する予定になったら、できれば育休開始前に上の子の学童についても確認してください。

確認するときは、

  • 現在の学童を育休中も継続できるか
  • 育休中の取扱いは2026年6月29日以降変更されたか
  • 育休終了予定日や復職予定日の条件はあるか
  • 就労証明書などの提出は必要か
  • 翌年度も継続利用する場合の申込期限はいつか

まで聞いておくと実務上安心です。

既に育休へ入っていて、学童から退所を求められている場合にも、まずは現在の自治体運用を確認してください。

旧来の利用案内を基に案内されている可能性があれば、2026年6月29日のこども家庭庁の事務連絡を受けて取扱いが変わっていないか、市区町村の担当部署へ改めて確認する価値があります。

正確な情報は公式サイトをご確認ください。

学童の利用要件、必要書類、利用調整、適用開始時期は自治体によって異なり、今後も変更される可能性があります。

また、育児休業の取得条件、会社との手続き、復職時期など労務上の問題が関係する場合には個別事情によって判断が異なります。

最終的な判断は専門家にご相談ください。

育休中の学童利用は、単純に「親が働いているか、休んでいるか」だけの問題ではありません。

生まれたばかりの子どもの育児と、上の子の放課後の生活を家庭としてどう両立していくかという問題でもあります。

今回の国の見解によって、これまで一律に退所としていた運用は見直されていく可能性があります。

ただ、制度が動いている時期だからこそ、過去の情報や他の自治体の事例だけで判断せず、あなたが住んでいる自治体の最新ルールを確認してください。

育休が決まったら、勤務先への育休手続きとあわせて、上の子の学童も確認する。

この一つを早めに行っておくだけでも、出産後の手続き負担をかなり減らせるかなと思います。

-育児休業