こんにちは。
もりおか社会保険労務士事務所、社会保険労務士の川熊です。
育児休業給付金は、2人目の妊娠で復帰一年未満のまま産休・育休に入る場合でも、条件を満たせば受給できる可能性があります。
ただし、復帰期間が短いことよりも、育休開始前に必要な就業実績があるか、時短勤務によって計算基礎となる賃金が下がっていないかが重要です。
この記事では、2人目の育児休業給付金について、復帰一年未満でももらえるのか、いくらになるのか、時短勤務や連続育休では何に注意すべきかを実務目線で整理します。
- 復帰一年未満でも給付金を受けられる条件
- 2人目の育児休業給付金の計算方法
- 時短勤務で給付額が下がる理由
- 連続育休や4年遡りの注意点
育児休業給付金の制度全体(条件・金額・手続き)については雇用保険の育児休業給付金とはで詳しく解説しています。

育児休業給付金は2人目で復帰一年未満でも対象?

まず確認したいのは、復帰してからの期間だけで受給可否が決まるわけではないという点です。
実際によくある相談でも、「半年しか復帰していないから、2人目はもらえないのでは」と不安に感じている方が多いです。
しかし、育児休業給付金では、一定期間の中に賃金支払基礎日数を満たす月がどれだけあるかを見ます。
1人目の育休前の勤務実績や、産休・育休で働けなかった期間の取り扱いも関係するため、単純に復帰期間だけで判断しないことが大切です。
この章では、復帰一年未満でも受給できる可能性がある理由、育休開始前2年間の見方、4年遡りの考え方、そして2人目や連続育休で注意したいケースを順番に確認します。
復帰一年未満でももらえる条件

育児休業給付金は、原則として雇用保険の被保険者が、1歳未満の子を養育するために育児休業を取得する場合に対象となります。
ここで大切なのは、制度上の確認ポイントが「復帰してから何か月働いたか」だけではないということです。
もちろん復帰後の勤務実績も関係しますが、それだけで結論が決まるわけではありません。
基本的には、育休開始前の一定期間について、賃金支払基礎日数が11日以上ある月が12か月以上あるかを確認します。
賃金支払基礎日数という言葉は少し専門的ですが、簡単にいうと、給与の支払いの基礎になる日数です。
月給者、時給者、日給者で見方が変わることがあるため、給与明細だけを見て自己判断するのは少し危ないところです。
そのため、2人目の妊娠で復帰一年未満のまま産休に入る場合でも、 復帰後の勤務月数と、1人目の育休前の勤務実績を合わせて要件を満たせるか が重要になります。
1人目の育休前にすでに長く働いていた方であれば、復帰期間が半年程度であっても、必要な月数を確保できるケースがあります。
復帰期間だけで判断しない
実務でよくあるのは、「育休明けに半年だけ復帰して、また産休に入るから、2人目の育児休業給付金はもらえないですよね」という相談です。
しかし、この時点で私はすぐに「もらえません」とは判断しません。
まず、1人目の産休前にどのくらい働いていたか、雇用保険にいつから加入していたか、1人目の産休・育休の期間がどのくらいだったかを確認します。
たとえば、1人目の育休前に数年以上勤務していて、その後に産休・育休を取得し、2人目の前に数か月だけ復帰したようなケースでは、すぐに対象外とはいえません。
むしろ、復帰期間が短いケースでも、4年遡りの考え方により受給できることはあります。
ポイント
復帰一年未満かどうかだけで判断せず、育休開始前に必要な就業実績を確保できるかを確認します。
復帰期間が短くても、1人目の育休前の勤務実績を使える場合があります。
ただし、勤務先が雇用保険の加入状況や出勤日数を正しく把握していないと、本人の想定と異なる案内になることがあります。
特に、パートから正社員になった、途中で勤務時間が変わった、時短勤務に入った、欠勤があったという場合は確認が必要です。
あなたがまず準備しておくとよいのは、給与明細、勤怠記録、1人目と2人目の産休開始日、育休開始日、職場復帰日です。
このあたりの日付がそろっていると、会社やハローワークに確認するときの話がかなり進みやすくなります。
実務では、日付の整理だけで不安が解消されることも多いですよ。
育休開始前二年の確認点
育児休業給付金でよく出てくるのが、育休開始前2年間という考え方です。
この2年間に、賃金支払基礎日数が11日以上ある月が12か月以上あるかを確認します。
ここだけ聞くと、「復帰してから1年未満なら、12か月に足りないのでは」と感じるかもしれません。
しかし、2人目のケースでは、この2年間の中に1人目の産休・育休期間が含まれることがあります。
産休・育休中は通常の給与が支払われていないことが多く、賃金支払基礎日数を満たす月として数えられない場合があります。
そのため、表面上は月数が足りないように見えることがあります。
ここで重要になるのが、単純にカレンダー上の2年だけを見るのではなく、産休・育休などで働けなかった期間の扱いを確認することです。
育児休業給付金は、出産や育児によって賃金を受けられなかった期間がある場合に、一定の範囲で確認期間を広げる仕組みがあります。
賃金支払基礎日数の見方
賃金支払基礎日数とは、給与計算の基礎になった日数です。
月給者であれば、欠勤控除がなければ暦日数や所定労働日数が基礎になることがあります。
一方で、時給者や日給者の場合は、実際に勤務した日数が中心になることが多いです。
たとえば、復帰後に時短勤務をしていても、毎月きちんと勤務していれば、賃金支払基礎日数11日以上を満たすことはあります。
反対に、時短勤務ではなくても、欠勤が多い月や無給の日が多い月は、基礎日数の確認が必要です。
ここは「時短勤務だから不利」と単純にはいえません。
確認のコツ
育休開始前2年間を見るときは、給与額だけでなく、各月の賃金支払基礎日数を確認します。
給与が出ている月でも、基礎日数が足りなければ要件上の1か月として数えられないことがあります。
2人目の場合、育休開始日から単純に2年さかのぼると、その中に1人目の産休・育休期間が含まれることがあります。
この期間は通常の勤務実績がないため、「12か月に足りないのでは」と見えやすいところです。
しかし、妊娠、出産、育児などの理由で一定期間賃金を受けられなかった場合には、後で説明する4年遡りの考え方が関係することがあります。
したがって、 育休開始前2年だけを見て足りないように見えても、そこで諦めないこと が大切です。
なお、制度の要件や取り扱いは改正されることがあります。
正確な情報は公式サイトをご確認ください。
育児休業給付金の支給要件やQ&Aについては、厚生労働省が公開している情報を確認するのが確実です。
4年遡りで見られる期間
2人目の育児休業給付金で重要になるのが、いわゆる4年遡りの考え方です。
妊娠、出産、育児、病気、けがなどのやむを得ない事情により、一定期間賃金を受けられなかった場合、その期間を考慮して確認期間を延ばせることがあります。
一般的には、育休開始前2年間で必要な月数を確認します。
しかし、産休・育休などで働けなかった期間がある場合、確認できる期間が最長4年まで広がる可能性があります。
これにより、1人目の育休前に働いていた月を使って、2人目の受給要件を満たせるケースがあります。
ここは、2人目の育児休業給付金でかなり大きなポイントです。
復帰一年未満という状況だけを見ると、12か月分の勤務実績が足りないように見えます。
しかし、1人目の産休・育休で働けなかった期間を考慮すると、1人目の産休前の勤務実績まで確認できることがあります。
4年遡りは救済的な確認方法
実務上、ここを知らずに「1人目の育休が長かったから、2人目は無理」と誤解している方がいます。
もちろん全員が必ず対象になるわけではありませんが、4年遡りを確認しないまま判断するのは早いです。
たとえば、1人目の産休に入る前に2年以上勤務していた方が、1人目の産休・育休を経て、数か月だけ復帰し、すぐ2人目の産休に入るようなケースでは、2人目の育休開始前2年間だけでは勤務実績が足りないように見えることがあります。
しかし、1人目の産休・育休期間を除いて確認すると、1人目の産休前の勤務実績を使える可能性があります。
実務メモ
会社に確認するときは、「4年遡りできますか」とだけ聞くよりも、「1人目の産休・育休で賃金を受けていない期間を除いて、育休開始前の被保険者期間を確認できますか」と伝えると具体的です。
ただし、4年遡りがあるから絶対に安心、というわけではありません。
入社してから1人目の産休までの勤務期間が短かった場合、1人目の育休を2年以上取得した場合、2人目・3人目と連続して休業が続いている場合などは、必要な12か月分を確保できないことがあります。
また、転職直後に1人目の産休に入った方や、雇用保険に加入していない期間があった方も注意が必要です。
育児休業給付金は雇用保険の給付ですので、単に会社に在籍している期間ではなく、雇用保険の被保険者としての期間が関係します。
この確認は、本人だけで判断するのが難しい部分です。
会社の担当者に相談し、必要であればハローワークで確認しましょう。
育児休業給付金の要件に届くか不安な場合は、 育児休業給付金をギリギリもらえなかった時の救済策 も確認すると、みなし期間や確認すべき日付の考え方を整理しやすくなります。
2人目でもらえないケース

2人目だから必ずもらえない、という制度ではありません。
一方で、2人目でも育児休業給付金を受けられない可能性があるケースはあります。
ここを整理しておくと、必要以上に不安にならずに済みますし、反対に注意すべきケースを見落としにくくなります。
典型的には、1人目の育休前の勤務期間が短く、復帰後の勤務期間も短いため、賃金支払基礎日数が11日以上ある月を12か月分確保できない場合です。
たとえば、入社して間もなく1人目の産休に入り、その後長く育休を取得し、復帰してすぐ2人目の産休に入る場合などは、慎重な確認が必要です。
また、1人目の育休をかなり長く取得していた場合や、2人目、3人目と連続して育休を取得する場合も注意が必要です。
4年遡りがあるとはいえ、どこまでも無制限に過去を見られるわけではありません。
最長4年という枠の中で、必要な月数を確保できるかがポイントになります。
雇用保険に入っていない場合
さらに、雇用保険に加入していない働き方の場合、育児休業給付金の対象にならない可能性があります。
パートや時短勤務であっても、雇用保険に加入していれば対象になり得ますが、加入条件を満たしていない場合は別です。
たとえば、週の所定労働時間が短い働き方で雇用保険に加入していない場合、育児休業そのものは会社制度や法律上の要件で取得できることがあっても、育児休業給付金は出ない可能性があります。
ここは混同しやすいところです。
注意点
育休を取得できることと、育児休業給付金を受けられることは同じではありません。
育児休業そのものの取得要件と、雇用保険から支給される給付金の要件は分けて確認します。
復帰後に欠勤が多い場合
復帰後の勤務月数がある程度あっても、欠勤が多い月が続くと、賃金支払基礎日数を満たさないことがあります。
特に、子どもの体調不良や保育園の事情で欠勤が増えた場合、本人としては「復帰して働いていた」という感覚でも、制度上は1か月として数えられない月が出ることがあります。
また、有給休暇を使った日が賃金支払基礎日数に含まれるかどうか、欠勤控除がある月をどのように扱うかなどは、給与計算や雇用保険の確認に関係します。
会社の賃金台帳や出勤簿をもとに見る必要があります。
会社側でも、妊娠報告を受けた段階で、産前休業開始日、産後休業終了日、育休開始日、雇用保険加入状況、賃金支払基礎日数を確認しておく必要があります。
中小企業では迷いやすいポイントですが、早めに確認すれば本人も生活設計を立てやすくなります。
本人としては、「会社に聞きにくい」と感じることもあると思います。
ただ、給付金は生活費に直結します。
遠慮しすぎず、産休前の早い段階で確認しておいた方がよいかなと思います。
連続育休で注意する条件
連続育休では、1人目の育休中に2人目を妊娠し、そのまま2人目の産休・育休に入るケースがあります。
この場合も、4年遡りの考え方により、1人目の育休前の勤務実績を確認できる可能性があります。
よくある流れとしては、1人目の育休中に2人目の妊娠が分かり、1人目の育休を終了して、2人目の産前産後休業に入り、その後2人目の育児休業に入るという形です。
この場合、職場復帰を挟まないため、「まったく働いていないから給付金は無理では」と不安になる方がいます。
しかし、連続育休であっても、1人目の産休・育休前に十分な勤務実績があり、4年遡りの範囲内で必要な月数を確認できれば、2人目の育児休業給付金の対象になる可能性があります。
ここも、復帰の有無だけで判断しないことが大切です。
3回連続は特に慎重に確認
ただし、連続育休が複数回続く場合は注意が必要です。
たとえば、3人目まで立て続けに育休を取得する場合、最長4年まで遡っても、必要な12か月分の就業実績を確保できないことがあります。
実務上は、2人目までは要件を満たせても、3人目で急に難しくなることがあります。
これは制度の趣旨として、一定期間の雇用保険被保険者としての勤務実績を確認する仕組みになっているためです。
また、1人目の前に勤務期間が短かった方、2人目の前にもほとんど復帰していない方、3人目まで続けて休業する方は、日付の整理がかなり重要になります。
感覚的に「ずっと同じ会社にいるから大丈夫」と思っていても、給付金の要件では、実際に賃金支払基礎日数を満たす月があるかを見ます。
確実に受給できるかを見たい場合は、次のような日付を並べて確認します。
| 確認する日付 | 見る理由 | 確認に使う資料 |
|---|---|---|
| 入社日 | 雇用保険の加入開始時期を確認するため | 雇用契約書、雇用保険被保険者証 |
| 1人目の産休開始日 | 勤務実績がどこまであるか確認するため | 産休申出書、母子健康手帳 |
| 1人目の育休開始日 | 前回の給付金の起点を確認するため | 育休申出書、支給決定通知書 |
| 職場復帰日 | 復帰後の勤務月数を確認するため | 勤怠記録、復職届 |
| 2人目の産休開始日 | 賃金計算の基準を確認するため | 産休申出書、給与明細 |
| 2人目の育休開始日 | 受給要件の確認起点になるため | 育休申出書、会社の申請書類 |
連続育休では、本人の記憶だけで整理すると日付がずれやすいです。
母子健康手帳、会社への申出書、給与明細、出勤簿などをもとに、勤務先やハローワークで確認することをおすすめします。
連続育休での実務ポイント
連続育休では、「復帰していないから対象外」と早合点しないことが重要です。
一方で、3人目以降や入社後すぐの産休では要件不足の可能性もあるため、日付と被保険者期間を具体的に確認しましょう。
育児休業給付金の2人目で復帰一年未満の計算

次に、2人目の育児休業給付金がいくらになるのかを確認します。
復帰一年未満のケースでは、受給できるかどうかだけでなく、時短勤務によって金額が下がるのではないかという不安も多いです。
給付額は、原則として休業開始時賃金日額をもとに計算されます。
2人目の場合、1人目のときと同じ金額になるとは限りません。
特に、育休明けに時短勤務で復帰している場合は、賃金月額の見方が重要になります。
この章では、支給額の基本計算、休業開始時賃金日額、時短勤務の影響、賃金月額証明書の見方、新しい給付制度との関係まで確認します。
2人目の給付金はいくらか
育児休業給付金の支給額は、一般的には次の計算式で考えます。
育休開始から180日目までは、休業開始時賃金日額に支給日数を掛け、さらに67%を掛けます。
181日目以降は、支給率が50%になるのが基本です。
| 期間 | 計算の考え方 | 確認したい点 |
|---|---|---|
| 育休開始から180日目まで | 休業開始時賃金日額 × 支給日数 × 67% | 最初の約6か月の支給率 |
| 181日目以降 | 休業開始時賃金日額 × 支給日数 × 50% | 長期休業時の支給率 |
2人目でも、この基本的な計算の考え方は同じです。
ただし、休業開始時賃金日額が1人目のときと同じとは限りません。
復帰後に時短勤務をしていた、残業が減った、欠勤があった、手当が変わったという場合には、計算基礎となる賃金が変わる可能性があります。
つまり、2人目の育児休業給付金がいくらになるかは、単に「1人目と同じくらい」とは言い切れません。
特に時短勤務で復帰している場合は、1人目より下がることがあります。
1人目より少なく見える理由
1人目のときはフルタイム勤務で、残業代や各種手当も含めた給与をもとに計算されていた方が、2人目の前には時短勤務になっていることがあります。
この場合、2人目の給付金は、時短勤務後の賃金を反映して計算される可能性があります。
また、育休明けは子どもの体調不良や保育園の慣らし保育などで、欠勤や早退が発生しやすい時期です。
欠勤控除がある月が計算対象に入ると、休業開始時賃金日額が下がることがあります。
本人の感覚としては「きちんと復帰して働いていた」としても、賃金額で見ると下がっていることがあるわけです。
金額を見るときの注意
育児休業給付金の金額は、家庭の生活設計に直結します。
ただし、実際の支給額には上限・下限、賃金支払いの有無、制度改正の影響があるため、計算式だけで断定しないようにしましょう。
なお、支給額には上限や下限があり、制度改正で変わる可能性があります。
金額を正確に知りたい場合は、厚生労働省の試算ツールやハローワークで確認してください。
出典:厚生労働省「産休・育休中の経済的支援かんたん試算ツール」
休業開始時賃金日額の計算

休業開始時賃金日額とは、育児休業給付金の計算の基礎になる1日あたりの賃金額です。
原則として、育休開始前6か月間の賃金総額を180で割って計算します。
ここでいう6か月は、単に直前の暦月を機械的に並べるだけではなく、賃金支払基礎日数なども関係します。
ここでいう賃金は、一般的には社会保険料や税金を控除する前の総支給額をもとに考えます。
ただし、賞与は通常この計算に含めない扱いです。
そのため、年収ベースで考えていると、思っていた金額と違って見えることがあります。
2人目で産前産後休業を取得する場合、実務上は産休期間が計算対象から外れるため、産前休業開始前の賃金が重要になります。
産前休業に入る直前まで時短勤務をしていた場合、その時短勤務中の賃金が計算に影響する可能性があります。
産休前6か月の賃金を確認する
2人目の育児休業給付金でよく誤解されるのが、「育休開始前6か月」という表現です。
女性の場合、育休の前には産前産後休業があります。
そのため、実務上は産休期間を除き、産前休業開始前の賃金を確認する流れになることが多いです。
つまり、2人目の育休開始日から見て直前6か月をそのまま使うというより、産前産後休業で賃金支払基礎日数が足りない月を除き、実際に賃金が支払われていた月を確認するイメージです。
ここを勘違いすると、「産休中は無給だから給付金が極端に下がるのでは」と不安になりやすいです。
確認したいこと
- 2人目の産前休業開始日はいつか
- 産休前6か月の給与はいくらか
- 時短勤務や欠勤控除があったか
- 通勤手当や各種手当の扱いはどうなっているか
- 賞与を月額賃金に含めて考えていないか
手取りではなく総支給額を見る
育児休業給付金の計算で見る賃金は、普段あなたが口座で受け取っている手取り額とは違います。
社会保険料、所得税、住民税などが引かれる前の金額で確認するのが基本です。
ただし、給与明細上のすべての支給が同じように扱われるわけではありません。
臨時的な支給や賞与に該当するものは、休業開始時賃金日額の計算に含まれないことがあります。
会社の給与項目が複雑な場合は、賃金月額証明書の作成時にどの項目を含めているか確認する必要があります。
通知書の金額を見て違和感がある場合は、 育児休業給付金の支給決定通知書の見方と確認方法 で、休業開始時賃金日額や支給率の見方を確認しておくと理解しやすくなります。
時短勤務で給付額は減るか
育休明けに時短勤務で復帰している場合、2人目の育児休業給付金が1人目より減ることがあります。
これは、給付金の計算が育休前の賃金をもとに行われるためです。
復帰一年未満の相談では、受給できるかどうかと同じくらい、金額が下がるかどうかを気にされる方が多いです。
たとえば、1人目の育休前はフルタイムで働いていたものの、復帰後は8時間勤務から6時間勤務に変更した場合、月給が下がることがあります。
その下がった賃金が2人目の産休前6か月に含まれると、休業開始時賃金日額も低くなりやすいです。
特に、時短勤務で復帰してから6か月以上経過して産休に入る場合は、低くなった賃金が6か月分反映される可能性があります。
一方で、時短勤務での復帰期間が6か月未満の場合には、フルタイム時代の賃金が一部含まれることもあります。
復帰期間が6か月未満かどうか
2人目の育児休業給付金で金額に影響しやすいのは、産前休業開始前の6か月に、どの賃金月が入ってくるかです。
時短勤務で復帰してからすぐ産休に入る場合、時短勤務の賃金だけで6か月分が埋まらないことがあります。
その場合、時短勤務前、つまり1人目の産休前の賃金が一部入る可能性があります。
反対に、時短勤務で復帰してから6か月以上経ってから産休に入る場合、産休前6か月の多く、または全部が時短勤務後の賃金になる可能性があります。
そうなると、1人目のときより休業開始時賃金日額が下がり、結果として給付額も下がることがあります。
注意点
時短勤務だから必ず大きく減る、というわけではありません。
ただし、産休前の賃金が計算基礎になるため、時短勤務の期間、給与額、欠勤控除の有無によって給付額は変わります。
時短勤務と欠勤控除は分けて考える
時短勤務による給与減と、欠勤控除による給与減は、似ているようで確認の意味が少し違います。
時短勤務は、所定労働時間を短くして働く制度ですので、その短縮後の賃金が通常の賃金として扱われます。
一方、欠勤控除は、勤務すべき日に勤務できなかったことによる控除です。
育休明けは、子どもの発熱や保育園の呼び出しで欠勤が増えることがあります。
復帰一年未満の期間に欠勤控除が多い月があると、賃金額が下がるだけでなく、賃金支払基礎日数にも影響することがあります。
実際によくある相談として、「復帰一年未満でもらえるか」よりも、確認してみると「もらえるが、金額は1人目より少なくなる可能性がある」というケースがあります。
受給可否と金額は分けて考えるのが実務的です。
実務での見方
給付金の見込み額を知りたいときは、時短勤務開始後の給与明細を6か月分並べると分かりやすいです。
まだ6か月分ない場合は、どの月が計算に入る可能性があるかを会社に確認しましょう。
賃金月額証明書の見方
育児休業給付金の計算では、勤務先が作成する休業開始時賃金月額証明書の内容が重要です。
この書類には、給付金の計算に使う賃金や賃金支払基礎日数などが記載されます。
本人が直接作成する書類ではありませんが、給付額に疑問があるときは非常に重要な確認資料になります。
本人が直接すべての項目を確認する機会は少ないかもしれませんが、給付額に疑問がある場合は、会社にどの月の賃金が計算に使われているかを確認してもらうとよいです。
特に、2人目で復帰一年未満のケースでは、産休前の賃金、時短勤務後の賃金、1人目育休前の賃金が混在しやすくなります。
特に2人目のケースでは、次のような点で金額に差が出ることがあります。
- 時短勤務後の給与が含まれている
- 欠勤控除がある月が含まれている
- 産休開始月の扱いが分かりにくい
- 通勤手当や固定手当の扱いに誤解がある
- 賞与を含めて考えてしまっている
どの6か月が使われたかを見る
賃金月額証明書を見るときにまず確認したいのは、どの6か月が計算に使われているかです。
2人目の産休前に時短勤務をしていた場合、その時短勤務後の月がどの程度含まれているかで、給付額の印象が変わります。
また、産休開始月は、月の途中で産休に入ることが多いため、賃金支払基礎日数が足りるかどうかが問題になることがあります。
基礎日数が足りない月は、計算対象から外れる場合があります。
ここを丁寧に確認すると、「なぜこの月が入っていないのか」「なぜこの月が入っているのか」が見えてきます。
| 確認項目 | 見方 | よくある誤解 |
|---|---|---|
| 賃金支払対象期間 | どの期間の賃金かを確認 | 単純な暦月と同じだと思っている |
| 賃金支払基礎日数 | 11日以上あるか確認 | 給与があれば必ず1か月になると思っている |
| 賃金額 | 総支給ベースで確認 | 手取り額で考えてしまう |
| 備考欄 | 産休、育休、欠勤などの情報を確認 | 備考欄を見落とす |
会社に聞くときの言い方
給付金の金額を見るときは、手取り額ではなく、計算基礎となる賃金で考える必要があります。
普段の感覚では「毎月これくらいもらっていた」と思っていても、制度上の計算では違う数字になることがあります。
会社に確認するときは、「なぜ少ないのですか」と聞くよりも、「休業開始時賃金月額証明書では、どの6か月の賃金を使っていますか」と具体的に聞く方が確認しやすいです。
実務では、この聞き方だけで話がかなり整理されます。
また、「時短勤務後の賃金が何か月分入っていますか」「欠勤控除がある月は計算に入っていますか」「産休開始月は対象になっていますか」と分けて確認すると、担当者も答えやすくなります。
会社の担当者も制度を毎月扱っているとは限らないため、質問を具体化することが大切です。
本人が確認してよいポイント
育児休業給付金は会社が申請することが多いですが、給付を受けるのはあなたです。
金額に違和感がある場合は、遠慮しすぎず、計算に使われた月と賃金額を確認してよい部分です。
育児時短就業給付金の活用

2025年4月から、育児時短就業給付金が始まっています。
これは、2歳未満の子を養育するために所定労働時間を短縮して就業した場合に、一定の要件を満たすと支給される給付です。
育休明けに時短勤務で復帰する方に関係しやすい制度です。
支給額は、時短勤務中に支払われた賃金の一定割合として計算されます。
一般的には賃金の10%相当が目安とされますが、具体的な支給額や上限、調整の有無は個別事情によって変わるため、正確な情報は公式サイトをご確認ください。
2人目の育児休業給付金との関係で見ると、育児時短就業給付金は、時短勤務による収入減を一部補う制度です。
ただし、育休明けに時短勤務で復帰してすぐに2人目の産休へ入る場合、活用できる期間は短くなります。
2人目の給付金を直接増やす制度ではない
ここで注意したいのは、育児時短就業給付金は、2人目の育児休業給付金そのものを直接増やす制度ではないという点です。
あくまで、時短勤務中の賃金低下を一部補う制度として考えると分かりやすいです。
たとえば、1人目の育休明けに時短勤務で復帰し、その期間に育児時短就業給付金を受けることができれば、復帰中の収入減を一部補える可能性があります。
しかし、その後2人目の産休・育休に入ったときの育児休業給付金は、別途、休業開始時賃金日額をもとに計算されます。
補足
育児時短就業給付金は、2人目の育児休業給付金そのものを増やす制度ではありません。
時短勤務中の収入減を補う制度として整理すると分かりやすいです。
短期間復帰では活用期間が短くなる
復帰一年未満で2人目の産休に入る場合、育児時短就業給付金を利用できるとしても、実際に活用できる期間は限られることがあります。
たとえば、復帰して3か月で産休に入る場合、時短勤務中の給付を受けられる期間も短くなります。
一方で、復帰期間が半年から1年近くある場合には、時短勤務中の収入減を補う意味で確認する価値があります。
会社側としても、育児時短就業給付金の対象になるかどうか、申請に必要な情報を整理しておく必要があります。
会社側では、時短勤務制度の利用開始日、週所定労働時間、賃金の変動、育児時短就業期間の証明などを整理する必要があります。
本人としても、時短勤務を始める前に、給与がどの程度変わるか、給付の対象になりそうかを確認しておくと安心です。
制度改正に注意
育児時短就業給付金は新しい制度のため、実務運用や案内が更新されることがあります。
会社の説明だけで不明点が残る場合は、ハローワークや厚生労働省の最新情報を確認してください。
出生後休業支援給付金とは
出生後休業支援給付金も、2025年4月から始まった制度です。
父母ともに一定の育児休業を取得する場合など、要件を満たすと、育児休業給付金に上乗せされる形で支給されることがあります。
共働き世帯や、配偶者も育休を取る予定がある家庭では、確認しておきたい制度です。
一般的には、休業開始時賃金日額に休業日数を掛け、13%を掛けて計算されます。
対象となる日数には上限があり、育児休業給付金と合わせると一定期間について80%相当になる考え方が示されています。
ただし、出生後休業支援給付金は、誰でも自動的に受けられるものではありません。
配偶者の育児休業取得状況、本人の休業期間、子の出生時期、雇用保険の要件などを確認する必要があります。
配偶者の休業状況も関係する
出生後休業支援給付金の特徴は、本人だけでなく、配偶者の育児休業取得状況が関係する場合があることです。
両親ともに一定期間の育児休業を取得することが要件になるケースがあるため、本人だけが育休を取れば必ず対象になる、というものではありません。
実務上は、配偶者の勤務先でどのように育休を取るのか、産後パパ育休を利用するのか、通常の育児休業を利用するのかといった点も確認することになります。
家庭内の予定だけでなく、双方の会社の申出期限や手続きも関係するため、早めに話し合っておくとよいです。
手取り100%相当という表現の注意
また、社会保険料の免除や給付金の非課税の扱いを加味すると、手取りに近い水準になると言われることがあります。
制度説明では、一定の前提のもとで実質的な手取りが高くなるイメージが示されることがあります。
ただし、これはあくまで一定の前提を置いた説明です。
実際の手取りや家計への影響は、給与額、保険料、税金、会社からの賃金支払いの有無、住民税の支払い時期などによって変わります。
したがって、「必ず手取りが100%になる」と断定的に考えない方がよいです。
慎重に確認したい点
出生後休業支援給付金は制度改正の影響を受けやすい分野です。
対象になるかどうか、支給額がいくらかは、勤務先やハローワークで最新の情報を確認してください。
2人目の育児休業給付金を考えるときは、本人の給付金だけでなく、配偶者が育休を取得するかどうかも家計に影響します。
特に、出産直後の一定期間は支出も増えやすいため、制度を使えるかどうかを早めに確認することをおすすめします。
育児休業給付金は2人目復帰一年未満も確認
育児休業給付金は、2人目で復帰一年未満だからといって、ただちにもらえないわけではありません。
大切なのは、育休開始前の就業実績、1人目の産休・育休期間の扱い、4年遡りの可否、そして2人目の産休前の賃金です。
特に、時短勤務で復帰している場合は、受給できるかどうかと、金額がいくらになるかを分けて確認しましょう。
受給要件は満たしていても、時短勤務後の賃金が計算基礎に入ることで、1人目より給付額が下がる可能性があります。
実務上は、次の順番で確認すると整理しやすいです。
- 雇用保険に加入しているか
- 2人目の育休開始日がいつか
- 育休開始前2年間で12か月あるか
- 足りない場合に4年遡りを確認できるか
- 産休前6か月の賃金がいくらか
- 時短勤務や欠勤控除が計算に影響していないか
本人が準備しておくとよい資料
不安な場合は、会社の担当者に産休開始日、育休開始日、賃金支払基礎日数、休業開始時賃金月額証明書の内容を確認してもらってください。
会社だけで判断が難しい場合は、管轄のハローワークに確認するのが確実です。
その際、次の資料があると話が進みやすいです。
給与明細、出勤簿や勤怠記録、雇用契約書、1人目と2人目の産休・育休の申出書、育児休業給付金の支給決定通知書、母子健康手帳の日付情報などです。
最終確認の流れ
- 2人目の産前休業開始日と育休開始日を確認する
- 雇用保険の加入期間を確認する
- 育休開始前2年間の賃金支払基礎日数を確認する
- 足りない場合は4年遡りを確認する
- 産休前6か月の賃金を確認する
- 時短勤務や欠勤控除の影響を確認する
会社に相談するときの伝え方
会社に相談するときは、「2人目の育児休業給付金はもらえますか」とだけ聞くよりも、確認してほしい点を分けて伝えるとよいです。
たとえば、「育休開始前の被保険者期間を4年遡りで確認できますか」「産休前6か月の賃金はどの月で計算されますか」「時短勤務後の賃金がどの程度反映されますか」と聞くと、実務的な確認につながります。
会社の担当者がすぐに答えられない場合もあります。
育児休業給付金は、雇用保険の制度であり、最終的にはハローワークの確認が関係します。
会社の担当者を責めるというより、必要な日付と賃金情報を一緒に整理する姿勢で進めるとよいかなと思います。
育児休業給付金は生活設計に直結する制度です。
制度の概要を理解しておくことは大切ですが、個別の勤務実績や賃金額によって結論が変わることがあります。
正確な情報は公式サイトをご確認ください。
最終的な判断は専門家にご相談ください。
最後に
この記事では一般的な制度の考え方を整理しています。
実際の受給可否や支給額は、雇用保険の加入状況、勤務実績、賃金額、産休・育休の日付によって変わります。
迷う場合は、勤務先、ハローワーク、社会保険労務士などに具体的な資料をもとに相談してください。