退職・解雇

雇い止めとは?無効になる要件と会社が確認すべき実務のポイント

こんにちは。

もりおか社会保険労務士事務所、社会保険労務士の川熊です。

雇い止めとは、契約社員やパートなどの有期労働契約について、契約期間が満了したときに会社が次の契約を更新せず、雇用関係を終了させることです。

有期契約は期間満了で終了するのが原則ですので、雇い止めそのものが直ちに違法になるわけではありません。

ただし、契約を何度も更新してきた場合や、会社の説明などから労働者が今後も契約を更新してもらえると期待することに合理的な理由がある場合は、労働契約法19条の雇い止め法理が問題になります。

この場合、会社に客観的に合理的な理由がなく、社会通念上も相当と認められなければ、雇い止めが認められない可能性があります。

会社側にとって特に注意したいのは、契約書に期間が書いてあるから自由に更新を終了できる、と考えてしまうことです。

更新回数、これまでの更新手続き、会社からの説明、更新基準、無期転換ルールとの関係などを含めて判断する必要があります。

この記事では、雇い止めの基本から労働契約法19条、30日前の予告、無期転換ルール、更新上限、会社が契約管理で注意したいポイントまで、実務の流れに沿って整理します。

  • 雇い止めと解雇・契約満了の違い
  • 雇い止めが無効となり得る条件
  • 30日前予告や無期転換ルールとの関係
  • 会社が契約更新時に整えておく実務対応

雇い止めとは?無効になる要件と会社の実務対応

雇い止めとは?違法になるケースと基本ルール

まずは、雇い止めという言葉の意味と、どのような場合に会社の判断が制限されるのかを整理します。

有期契約は期間満了で終了するのが原則ですが、実際の契約運用によっては、単純な期間満了として処理できません。

特に労働契約法19条に該当するかどうかは、雇い止めを検討するときの重要な確認事項です。

雇い止めと解雇の違い

雇い止めと解雇は、どちらも会社側の判断によって雇用が終了する場面がありますが、法律上は異なるものです。

雇い止めは、契約期間の定めがある有期労働契約について、その期間が満了したときに次の契約を更新しないことをいいます。

たとえば、4月1日から翌年3月31日までの1年契約で働いている契約社員について、3月31日で契約を終了し、4月1日以降の契約を締結しないケースです。

これに対して解雇は、労働契約が続いている途中で、会社が一方的に労働契約を終了させることです。

期間の定めのない正社員を会社が辞めさせる場合だけでなく、有期労働契約の契約期間中に会社側から契約を終了させる場合も解雇の問題になります。

比較項目 雇い止め 解雇
終了する時期 有期契約の期間満了時 労働契約の途中
対象 主に契約社員・パートなどの有期契約 無期契約・有期契約の双方
基本的な考え方 期間満了で終了するのが原則 会社側から一方的に契約を終了
主な法的論点 労働契約法19条の雇い止め法理 解雇権濫用法理など

有期労働契約の場合、契約期間の途中で会社から解雇することは、期間満了時の雇い止めよりもさらに厳しい制約を受けます。

そのため、会社としては「有期契約だから途中でも辞めてもらえる」という認識を持たないことが重要です。

一方で、 契約期間満了だから必ず自由に雇い止めできる、というわけでもありません。

契約更新を何度も繰り返していたり、会社が継続雇用を期待させる説明をしていたりすると、後ほど説明する雇い止め法理によって会社の更新拒否が制限されることがあります。

試用期間として有期契約を利用している会社でも同じ問題が生じます。

試用期間と有期労働契約は法律上の意味が異なります。

詳しくは 試用期間に契約社員なのはなぜ?社労士が実務解説 も参考にしてください。

雇い止めと契約満了の違い

雇い止めと契約満了の違い

雇い止めを理解するときには、単なる契約期間満了との関係も整理しておく必要があります。

有期労働契約は、あらかじめ契約の始期と終期を決めて締結する契約です。

たとえば「2026年4月1日から2027年3月31日まで」と定められていれば、原則として2027年3月31日の到来によって契約期間が満了します。

そのうえで、期間満了後も働いてもらうために新しい契約を締結するのが契約更新です。

会社がその更新を行わず、契約期間満了によって雇用を終了させることを一般に雇い止めと呼びます。

契約満了は契約期間が終了するという事実、雇い止めは会社が次回契約を更新しないという判断を含む言葉 と考えると理解しやすいでしょう。

実務では「契約満了なのだから会社都合ではないですよね」という相談を受けることがありますが、ここには二つの異なる論点があります。

一つは、労働契約法上、その雇い止め自体が有効なのかという問題です。

もう一つは、雇用保険の基本手当において、その離職がどの離職理由として取り扱われるのかという問題です。

この二つは同じではありません。

有期契約が期間満了になったからといって、雇用保険上も自動的に自己都合退職になるわけではありませんし、会社が更新しなかったから必ず一般的な意味での会社都合になるとも限りません。

雇用保険では、契約期間、更新回数、更新の明示状況、本人が更新を希望していたか、会社に更新の意思があったかなどを確認して離職理由が判断されます。

契約期間満了時の離職票については、 契約期間満了離職票の書き方|離職理由と更新判断のポイント で詳しく整理しています。

したがって会社側では、「期間満了だから問題ない」と結論だけを先に決めるのではなく、契約書と実際の運用の両方を確認することが大切です。

労働契約法19条の雇い止め法理

雇い止めを検討するときに最も重要な法律上のルールが、 労働契約法19条の雇い止め法理 です。

有期労働契約は本来、契約期間の満了によって終了します。

しかし、長期間にわたって契約更新を繰り返しているケースなどでは、実態として無期契約に近い状態になっていることがあります。

また、会社の説明やこれまでの更新実績から、労働者が「次回も当然更新されるだろう」と期待しているケースもあります。

このような場合まで会社が自由に更新を拒否できるとすると、契約期間という形式だけで長期間働いてきた労働者の雇用を終了できてしまいます。

そのため、過去の裁判例で形成されてきた考え方が労働契約法19条として法律上明文化されています。

大きく分けると、次の二つの類型があります。

類型 考え方
実質的に無期契約と同視できる場合 契約が反復更新され、雇い止めが無期契約労働者の解雇と社会通念上同視できる場合
更新への合理的期待がある場合 契約期間満了時に契約が更新されると労働者が期待することについて合理的な理由がある場合

これらのいずれかに該当する場合、会社が契約更新を拒否することについて 客観的に合理的な理由がなく、社会通念上相当とも認められなければ、雇い止めが認められない可能性があります。

労働者から契約更新の申込みがされるなど労働契約法19条の要件を満たし、会社の更新拒否が認められない場合には、従前と同一の労働条件で有期労働契約が更新されたものとして取り扱われます。

会社側で注意したいのは、何回更新したら自動的にアウトという単純な基準ではないことです。

更新回数、通算契約期間、担当している業務が恒常的なものか、契約更新時に毎回きちんと面談や契約締結をしていたか、会社がどのような説明をしていたかなど、さまざまな事情が総合的に判断されます。

契約書に「更新する場合がある」「更新しない場合がある」と記載しているだけで、必ず雇い止めが有効になるわけではありません。

書面の内容だけではなく、実際にどのような契約運用をしてきたかも重要です。

契約更新への合理的期待とは

契約更新への合理的期待とは

雇い止め法理の中でも、会社が判断に迷いやすいのが 契約更新への合理的期待 です。

これは、単に労働者本人が「更新してほしいと思っていた」という主観的な希望だけを意味するものではありません。

これまでの契約関係や会社側の言動などから見て、契約が今後も更新されると考えることに客観的な理由があるかどうかが問題になります。

たとえば、1年契約を長期間にわたり何度も更新し、更新時には書類を形式的に交換するだけだったケースがあります。

毎回ほぼ自動的に更新され、上司からも「これからも長く働いてください」と説明されているような状況であれば、労働者側に更新への期待が生じやすくなります。

反対に、期間限定のプロジェクトのために採用され、契約締結時から「この事業が終了するまで」「更新は最大1回まで」などと明確に説明され、実際の契約管理もその内容に沿って行われているケースでは、事情が異なります。

合理的期待の判断で確認したい事情

  • これまでに契約を何回更新しているか
  • 通算でどのくらい勤務しているか
  • 担当業務が一時的か恒常的か
  • 更新時に実質的な審査をしていたか
  • 契約書を毎回適切に締結していたか
  • 上司や人事担当者が継続雇用を期待させる説明をしていないか
  • 他の有期契約労働者が通常どのように更新されているか
  • 更新基準が事前に明確になっていたか

実際によくあるのが、会社の契約書では「更新する場合がある」としている一方で、現場の管理職が「普通に働いていればずっと更新される」「基本的には辞めるまで働ける」と説明してしまうケースです。

人事部門が適切な契約書を作成していても、現場で異なる説明をしていれば、更新への期待を判断する材料になる可能性があります。

そのため会社では、契約書を整備するだけでなく、管理職にも有期契約の更新ルールを共有しておくことが重要です。

また、労働者側から見れば、更新を期待していた根拠となる契約書、メール、面談での説明、更新履歴などが重要になります。

個別の雇い止めが有効かどうかは事実関係によって判断が大きく変わるため、単純に更新回数だけで結論を出さないようにしてください。

雇い止めは30日前の予告が必要か

一定の有期労働契約を雇い止めする場合には、厚生労働省の有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準により、 少なくとも契約期間満了日の30日前までに雇い止めを予告する必要があります。

対象となる代表的なケースは、次のとおりです。

  • 有期労働契約を3回以上更新している場合
  • 雇入れから1年を超えて継続勤務している場合

ただし、あらかじめその契約を更新しないことが明示されている場合など、予告基準の対象にならないケースがあります。

3回以上更新または1年超継続勤務している有期契約を更新しない場合は、まず30日前予告の対象かを確認する という流れにしておくと、実務上の漏れを防ぎやすくなります。

ここで注意したいのは、この30日前予告と労働基準法上の解雇予告を混同しないことです。

解雇の場合には、労働基準法20条による30日前の予告や解雇予告手当が問題になります。

一方、期間満了時の雇い止めについては、厚生労働省の雇い止めに関する基準に基づく予告です。

したがって、雇い止めについて「30日前に通知できなかったから、30日分の賃金を払えば必ず問題が解決する」という仕組みではありません。

また、 30日前に予告したから雇い止めそのものが必ず有効になるわけでもありません。

30日前予告の問題と、労働契約法19条によって雇い止めが有効かどうかという問題は別に確認する必要があります。

たとえば、5年間ほぼ自動的に契約更新を繰り返してきた従業員へ、満了日の40日前に雇い止めを通知したとしても、更新への合理的期待が強く認められる事情があれば、通知時期だけでは雇い止めの有効性は決まりません。

会社では契約満了日の直前に更新判断を始めるのではなく、少なくとも数か月前から対象者、更新回数、通算勤務期間、更新基準、無期転換申込権の発生時期などを一覧で確認できる仕組みにしておくことをおすすめします。

雇い止めで会社が注意すべき実務対応

ここからは会社側の実務に重点を置きます。

雇い止めのトラブルは、契約満了時の判断だけで突然発生するものではありません。

採用時の労働条件明示、各回の契約更新、更新上限の設定、上司からの説明など、それまでの契約管理の積み重ねが大きく影響します。

争いになってから対応するより、契約を締結するときから更新ルールを整備しておくことが重要です。

無期転換ルール回避の雇い止め

有期契約を長期間更新している会社では、雇い止めとあわせて必ず確認しておきたいのが 労働契約法18条の無期転換ルール です。

同一の使用者との間で有期労働契約が更新され、通算契約期間が5年を超えた場合には、一定の要件のもとで労働者に無期転換申込権が発生します。

労働者が無期転換を申し込むと、会社が自由に拒否することはできません。

現在の有期契約が終了した翌日から、期間の定めのない労働契約へ転換することになります。

ここで会社が注意したいのが、無期転換申込権が発生する直前の雇い止めです。

たとえば、これまで毎年更新してきた従業員について、通算5年を超える直前になって初めて「今後は更新しません」とするケースです。

無期転換ルールの適用を避けることだけを目的として雇い止めを行うことは、非常に慎重な判断が必要です。

無期転換直前であるという事実だけで雇い止めが当然に無効になるわけではありません。

しかし、長期間の更新実績があり、これまで更新上限も設けておらず、突然5年直前で終了させるようなケースでは、労働契約法19条の雇い止め法理との関係が問題になりやすくなります。

無期転換申込権を発生させたくないという理由だけで、5年直前に契約を終了させる運用は避けるべきです。

契約更新の必要性は、業務量、能力、勤務成績、会社の経営状況など、実際の事情に基づいて判断してください。

会社側では「無期転換=正社員化」と誤解していることもありますが、無期転換は基本的に契約期間が有期から無期になる制度です。

必ず正社員と同じ賃金、職務、配置転換範囲にしなければならない、という意味ではありません。

そのため、無期転換を一律に避けようとするのではなく、無期転換後の社員区分や労働条件をあらかじめ設計しておく方が、長期的な労務管理としては安定します。

更新上限を設定するときの注意点

更新上限を設定するときの注意点

会社によっては、有期労働契約について「更新は最大4回まで」「通算契約期間は5年まで」といった更新上限を設定することがあります。

更新上限を設けること自体が直ちに違法になるわけではありません。

ただし、どのタイミングで、どのような理由で設定したのかが重要です。

2024年4月から、有期労働契約については、契約の締結時と更新時ごとに 更新上限の有無と、その内容を明示する必要があります。

更新上限とは、たとえば次のようなものです。

  • 通算契約期間は5年を上限とする
  • 契約更新は4回を上限とする

さらに、最初の契約を締結した後になって新たに更新上限を設ける場合や、従来の上限を短縮する場合には、その理由を労働者へあらかじめ説明する必要があります。

2024年4月以降の労働条件明示事項については、 労働条件通知書とは?2024年4月改正の明示事項を実務で確認 でも詳しく解説しています。

実務で特に注意したいのが、長年更新してきた従業員について、無期転換申込権が発生する直前になって更新上限を追加するケースです。

たとえば、これまで4年間は更新上限を示しておらず、5年目の更新時に突然「通算5年を上限とする」と変更し、その上限を理由に次回更新を拒否するような運用です。

形式的に更新上限を書面へ追加したからといって、それまでに生じている更新への合理的期待が当然になくなるわけではありません。

更新上限は、雇い止めを簡単にするための文言ではなく、会社の人員計画と有期雇用の利用目的に基づいて設計し、採用時から分かりやすく説明することが重要です。

会社では、有期契約社員を採用するときに「なぜ有期契約にするのか」「どの程度の期間を想定しているのか」「長期勤務になった場合はどの雇用区分へ移行するのか」まで考えておくと、後から無理に更新上限を設定する必要が少なくなります。

契約更新の判断基準を明確にする

雇い止めのトラブルを予防するうえで、私が会社側に特に重要だと考えているのが、 契約更新の判断基準を最初から明確にしておくこと です。

有期契約社員を採用したにもかかわらず、労働条件通知書には「契約更新の可能性あり」とだけ書かれており、誰が何を見て更新を判断するのか決まっていない会社は少なくありません。

この状態で数年間自動的に更新を繰り返し、突然「今回は更新しません」と伝えると、会社側としても雇い止めの理由を説明しにくくなります。

契約更新の判断基準としては、一般的に次のような事項が考えられます。

  • 契約期間満了時の業務量
  • 労働者の勤務成績
  • 勤務態度や勤怠状況
  • 担当業務に必要な能力
  • 会社の経営状況
  • 担当している業務の進捗状況

ただし、これらを契約書に並べれば十分というわけではありません。

たとえば「勤務成績により判断する」と記載しているなら、普段から勤務成績をどのように評価しているのかが重要になります。

評価制度も面談記録もなく、契約満了時になって突然「成績が悪かった」と説明しても、労働者から見れば納得しにくいでしょう。

更新判断は契約満了直前だけで行わない

中小企業では、契約期間満了の1か月前になって初めて「この人を更新するかどうか」と話し始めるケースがあります。

しかし、勤務態度や能力を理由に更新しない可能性があるのであれば、問題が生じた時点で本人へ伝え、必要な指導を行い、その経過を記録しておくことが重要です。

契約終了を決めた後になって過去の問題点を探し始めるのではなく、日常の人事管理と契約更新判断をつなげておく必要があります。

契約書に更新基準を書く、日常的に評価する、必要な指導をする、更新時に改めて判断する という一連の運用を作ることで、契約更新が単なる形式的作業になることを防ぎやすくなります。

また、「何も問題がなければ自動更新」「本人から退職を言わない限り更新」といった運用を長期間続けると、契約書上は有期であっても、更新への期待が強まる要因となり得ます。

毎回必要以上に厳しい審査をする必要はありませんが、少なくとも契約満了日を管理し、本人と更新内容を確認し、新しい契約書を適切に取り交わすことが大切です。

雇い止め通知書と理由証明の対応

雇い止め通知書と理由証明の対応

会社が雇い止めを決定した場合には、口頭だけで伝えるのではなく、 雇い止め通知書などの書面で通知しておくことをおすすめします。

雇い止めについて全国共通の決められた通知書様式があるわけではありません。

しかし、いつ、誰に、どの契約について更新しないことを伝えたのかを後から確認できるため、書面にしておくことは実務上重要です。

通知書には、少なくとも次のような内容を整理しておくとよいでしょう。

確認項目 記載内容の例
対象となる契約 現在の契約期間の開始日と満了日
更新の取扱い 現在の契約をもって終了し、次回更新を行わないこと
契約終了日 雇用関係が終了する年月日
通知日 会社が本人へ雇い止めを伝えた年月日
必要に応じた理由 更新基準に基づく具体的な判断理由

さらに、30日前予告の対象となる有期契約について、労働者から雇い止めの理由に関する証明書を求められた場合には、会社は遅滞なく交付する必要があります。

雇い止め後に請求された場合も同様です。

理由を記載するときに「契約期間満了のため」とだけ書けばよいとは限りません。

労働者が知りたいのは、契約期間が満了すること自体ではなく、 なぜこれまで更新してきた契約を今回は更新しないのか という点だからです。

たとえば業務量の減少が理由であれば、その事情を整理します。

勤務成績や勤務態度を理由とするのであれば、抽象的な評価ではなく、実際の評価や指導経過との整合性を確認してください。

会社に有利になる理由を後から作るのは避けてください。

契約書、評価記録、面談記録、本人への指導内容など、これまでの事実と一致する理由を説明することが重要です。

また、雇い止めを通知するときは、直属の上司だけに対応を任せない方が安全です。

更新条件やこれまでの契約履歴を確認できる人事担当者などが事前に内容を確認し、説明内容を統一しておくことをおすすめします。

雇い止めを適切に進めるためのまとめ

雇い止めとは、有期労働契約の期間満了時に会社が次回の契約を更新せず、雇用関係を終了させることです。

有期契約は期間満了によって終了するのが原則であるため、 雇い止めそのものが直ちに違法というわけではありません。

しかし、契約を反復更新して実質的に無期契約と同じような状態になっている場合や、労働者が契約更新を期待することについて合理的な理由がある場合には、労働契約法19条の雇い止め法理を確認する必要があります。

その場合、会社の雇い止めに客観的に合理的な理由がなく、社会通念上も相当と認められなければ、雇い止めが認められない可能性があります。

会社側で確認しておきたいポイントを整理すると、次のとおりです。

  • 現在までの契約更新回数と通算契約期間を確認する
  • 労働者に更新への合理的期待が生じていないか確認する
  • 契約更新の判断基準を事前に明確にする
  • 形式的な自動更新を繰り返さない
  • 30日前の雇い止め予告の対象か確認する
  • 無期転換申込権が発生する時期を管理する
  • 更新上限の有無と内容を適切に明示する
  • 更新上限を新設・短縮するときは理由を事前に説明する
  • 雇い止めの判断理由とこれまでの記録を一致させる
  • 通知内容をできるだけ書面で残しておく

雇い止めのリスク管理は、雇い止めを通知する日の対応だけではありません。

採用時の契約設計から、毎回の契約更新、評価、本人への説明までを一貫して管理すること が最も重要です。

実務で問題になりやすいのは、何年間も特に確認せず契約を自動更新した後で、会社の事情により突然更新を終了するケースです。

契約書に期間が記載されていても、それまでの運用や会社側の説明によっては、雇い止め法理の検討が必要になります。

反対に、採用時から有期契約にする理由や更新基準を明確にし、契約更新のたびに本人と内容を確認し、必要な評価や説明を積み重ねていれば、会社と労働者双方の認識のずれを小さくできます。

労働者側で雇い止めを通告された場合も、「契約社員だから仕方がない」「何回更新していれば必ず無効になる」と単純に判断するのではなく、契約書、更新履歴、会社から受けた説明、実際の業務内容などを整理することが大切です。

なお、雇い止めが労働契約法上有効かどうかという問題と、雇用保険上の離職理由がどのように判定されるかは別の問題です。

個別の紛争では裁判例を含めた具体的な事実関係の検討が必要になることがあります。

法令や厚生労働省の取扱いは改正される可能性がありますので、正確な情報は公式サイトをご確認ください。

雇い止めの有効性は更新回数だけで決まるものではなく、個別の契約内容やこれまでの経緯によって判断が異なります。

最終的な判断は専門家にご相談ください。

会社として重要なのは、雇い止めをできるかどうかだけを考えるのではなく、争いになる前に有期労働契約の管理方法そのものを整えておくことです。

契約更新の判断基準、労働条件通知書、更新上限、無期転換への対応を一度整理しておくと、その後の採用や契約更新も進めやすくなります。

-退職・解雇