こんにちは。
もりおか社会保険労務士事務所、社会保険労務士の川熊です。
産休や育休に入って給与が支給されなくなっても、前年に一定の所得があれば、原則として住民税を支払う必要があります。
産休を取得したことだけを理由に、住民税が自動的に免除されるわけではありません。
ただし、休業中は給与が支給されない、または給与額が大幅に減ることが多いため、それまで行われていた給与天引きを続けられなくなる場合があります。
その場合は、休業前の給与から残額をまとめて徴収したり、普通徴収へ切り替えて本人が納付書で支払ったりします。
どの方法になるかは、産休に入る時期、最後に支給される給与額、会社の給与計算方法、自治体の取扱いなどによって異なります。
産休中は収入が減る一方で、出産や育児に伴う支出が増えやすい時期です。
そのタイミングで住民税の納付書が届き、「産休中なのになぜ住民税がかかるのか」「会社から天引きされたのに、また払う必要があるのか」と不安になる方は少なくありません。
この記事では、産休中の住民税の基本的な仕組み、社会保険料免除との違い、休業開始時期による徴収方法、普通徴収への切り替え、減免や徴収猶予、育休明けの特別徴収再開まで、従業員と会社の双方が確認しておきたいポイントを実務目線で詳しく解説します。
- 産休中も住民税を支払う理由
- 休業開始時期による徴収方法の違い
- 住民税の減免や徴収猶予の考え方
- 育休明けに特別徴収を再開する方法

産休中の住民税に関する基本
まずは、産休に入っても住民税がなくならない理由を整理します。
住民税、所得税、社会保険料は、給与から一緒に差し引かれることが多いため混同されやすいのですが、それぞれ計算方法や免除の仕組みが異なります。
産休中の負担を正しく把握するには、どの制度について話しているのかを分けて考えることが重要です。
産休中も住民税は免除されない
産休や育休を取得している期間でも、原則として住民税の納税義務はなくなりません。
住民税は、現在受け取っている給与ではなく、基本的に 前年の所得をもとに計算される税金 だからです。
たとえば、前年に通常どおり勤務して給与を受け取り、その翌年に産休へ入ったケースを考えてみましょう。
産休中の給与が無給になったとしても、前年には給与所得が発生しています。
その前年所得を基礎として計算された住民税は、翌年度に納めなければなりません。
この仕組みを知らないと、「今月は給与が支給されていないのに、なぜ税金を払うのか」と感じるかもしれません。
しかし、産休中に新たな給与へ課税されているというより、 前年の所得に対して後から納める住民税が残っている と考えると分かりやすいかなと思います。
産休で現在の給与がなくなることと、前年所得をもとにすでに決定している住民税がなくなることは別の問題です。
産休だけを理由とする全国一律の免除はない
産休や育休を取得したことのみを理由として、個人住民税が一律に免除される全国共通の制度は、原則として設けられていません。
健康保険料や厚生年金保険料には産前産後休業期間中の免除制度がありますが、住民税には同じ仕組みがないためです。
実際によくある相談が、「会社から社会保険料は免除になると聞いたので、税金も払わなくてよいと思っていた」というものです。
給与明細では住民税と社会保険料がどちらも控除欄に記載されるため、同じような制度に見えますよね。
しかし、住民税は地方税、健康保険料や厚生年金保険料は社会保険制度上の保険料であり、制度の目的も根拠も異なります。
免除と減免は分けて考える
産休を理由とする自動的な免除がない一方で、収入が著しく減少し、納税が困難になった場合には、自治体の条例に基づく減免制度の対象となる可能性があります。
ただし、産休中であるというだけで認められるものではありません。
世帯の所得、資産、収入減少の程度、生活状況、申請時期などを踏まえて自治体が判断します。
したがって、「産休中の住民税は絶対に軽減されない」とも、「申請すれば必ず免除される」ともいえません。
原則として納税義務は続きますが、特別な事情がある場合には個別の制度を確認する、という整理が適切です。
住民税の減免には申請期限が設けられていることがあります。
納期限を過ぎた税額や、すでに納付した税額には適用されない自治体もあるため、支払いが難しいと分かった時点で早めに相談してください。
会社側も、従業員へ「産休に入れば住民税も免除されます」と案内しないよう注意が必要です。
社会保険料免除と混同した説明をすると、休業後に納付書が届いたときにトラブルになりかねません。
産休前の説明では、社会保険料の免除と住民税の徴収方法を分けて案内することが重要です。
住民税は前年の所得で決まる

個人住民税は、原則として前年1月1日から12月31日までの所得をもとに計算され、その翌年度に納付します。
現在の収入に対して、その都度計算される税金ではないため、一般的には後払いに近い仕組みと説明されます。
会社員の場合は、会社が市区町村から通知された住民税額を、毎年6月から翌年5月までの給与から原則12回に分けて天引きします。
この給与天引きによる徴収方法を 特別徴収 といいます。
会社が税額そのものを計算して決定するわけではなく、自治体から通知された月割額を給与から控除し、会社がまとめて納入します。
| 項目 | 所得税 | 住民税 |
|---|---|---|
| 主な計算対象 | その年に支払われる給与など | 原則として前年の所得 |
| 給与からの徴収 | 毎月の給与から源泉徴収 | 通常は6月から翌年5月まで特別徴収 |
| 産休中に給与がない場合 | 給与に対する源泉所得税は通常発生しない | 前年に所得があれば納付が続く |
| 休業による影響 | 当年の給与減少が比較的早く反映される | 翌年度以降の税額に反映される |
年度と年分の違いに注意する
住民税を理解するときは、「何年に得た所得か」と「何年度の住民税か」を分けて考える必要があります。
たとえば、2025年1月から12月までに得た所得をもとに計算されるのは、原則として2026年度の住民税です。
その税額を、会社員であれば通常2026年6月から2027年5月まで給与天引きで納付します。
したがって、2026年に産休へ入り、2026年中の給与が大きく減少しても、2026年度の住民税は主に2025年の所得をもとに決まります。
産休に入った直後に税額が下がるわけではありません。
具体例
- 2025年中は通常勤務し、給与収入がある
- 2026年4月から産休に入る
- 2026年度の住民税は、主に2025年中の所得をもとに計算される
- 2026年の給与が減った影響は、主に2027年度の住民税へ反映される
翌年度の住民税が必ずゼロになるとは限らない
産休や育休によって当年の給与収入が減れば、その所得をもとに計算される翌年度の住民税も下がる可能性があります。
ただし、必ずゼロになるわけではありません。
産休に入る前に受け取った給与や賞与、休業中に会社から支給された給与、給与以外の副業所得や不動産所得などがあれば、それらが課税関係に影響する可能性があります。
また、住民税には所得割のほか、一定の要件を満たす人に定額で課される部分があります。
現在は森林環境税が個人住民税とあわせて徴収される仕組みもあるため、具体的な税額は年度や自治体から届く通知を確認する必要があります。
なお、前年所得をもとに課税する仕組みは共通していますが、非課税基準、均等割、超過課税などには自治体や年度による違いがあります。
税額を正確に知りたい場合は、会社の給与担当者が推測するのではなく、市区町村から交付される特別徴収税額通知書や納税通知書を確認してください。
産休前に家計を見直す場合は、給与の減少だけでなく、前年所得に基づく住民税がしばらく続くことも支出として見込んでおくことが大切です。
社会保険料免除との違い
産前産後休業期間中は、所定の手続きを行うことにより、健康保険料と厚生年金保険料について、被保険者本人の負担分と会社の負担分が免除されます。
免除された期間についても、将来の年金額を計算する際には、保険料を納付した期間として取り扱われます。
一方、住民税には、産前産後休業を取得したことを理由とする同様の免除制度はありません。
つまり、社会保険料がゼロになった月でも、住民税の納付が続くことはあります。
この違いは、産休に入る従業員へ説明するときに最も誤解が生じやすい部分です。
給与明細の控除欄だけを見ると、健康保険料、厚生年金保険料、雇用保険料、所得税、住民税が並んでいるため、すべて同じ条件で免除されるように感じるかもしれません。
しかし、それぞれ発生の仕組みが異なります。
| 負担項目 | 産休中の基本的な扱い | 主な確認事項 |
|---|---|---|
| 健康保険料 | 所定の申出により免除 | 会社が免除の申出を行っているか |
| 厚生年金保険料 | 所定の申出により免除 | 免除開始月と終了月 |
| 雇用保険料 | 賃金の支払いがなければ通常は発生しない | 休業中に給与や賞与が支給されるか |
| 所得税 | 課税対象となる給与がなければ通常は源泉徴収されない | 会社から給与や課税手当が支給されるか |
| 住民税 | 前年所得に基づくため納付が続く | 一括徴収、特別徴収継続、普通徴収のいずれか |
社会保険料免除には会社の申出が必要
産前産後休業期間中の健康保険料と厚生年金保険料は、単に従業員が会社へ産休を申し出ただけで、何の処理もなく自動的に免除されるものではありません。
事業主が日本年金機構などへ所定の申出書を提出します。
免除の対象となる期間も、単純に産休を取得した日から復職日までというわけではなく、月単位で判定されます。
産前産後休業の開始日や終了日、出産予定日と実際の出産日が異なった場合などによって、届出内容の変更が必要になることがあります。
産前産後休業期間中の社会保険料免除の対象期間や手続きについては、 日本年金機構「厚生年金保険料等の免除(産前産後休業・育児休業等期間)」 で公式情報を確認できます。
混同しやすいポイント
- 健康保険料と厚生年金保険料は、所定の手続きにより免除される
- 住民税は、産休に入っただけでは免除されない
- 社会保険料免除と住民税の徴収方法変更は別々の手続き
- 会社から給与や賞与が支給される場合は、項目ごとに扱いを確認する
最後の給与では控除額が大きく見えることがある
産休前最後の給与では、勤怠の締日や支払日の関係で、社会保険料、住民税、欠勤控除などが同時に反映されることがあります。
さらに住民税を一括徴収する場合は、通常の月より控除額が大きくなり、手取りが想定以上に少なくなることがあります。
このとき、「社会保険料が免除されるはずなのに控除されている」と疑問を持つ方もいますが、給与から控除された社会保険料が、どの月分の保険料なのかを確認する必要があります。
会社が当月分を当月給与から控除するのか、前月分を当月給与から控除するのかによって見え方が異なるためです。
実務では、産休開始月だけを見て控除の誤りと判断するのではなく、会社の社会保険料控除のルール、給与締日、支払日、住民税の徴収月を一つずつ確認します。
産休中の賞与と社会保険料の関係については、 産休中のボーナスと社会保険料の扱い でも詳しく解説しています。
給与明細に疑問がある場合は、控除額だけでなく、対象年月と控除項目を確認してください。
住民税と社会保険料は、同じ給与から差し引かれていても別々の制度です。
給付金は翌年の住民税に含まれない

産休や育休中に受け取る代表的な給付には、出産育児一時金、出産手当金、育児休業給付金があります。
これらは、原則として所得税や住民税の課税対象となる給与所得には含まれません。
そのため、たとえば育児休業給付金を受け取ったからといって、その受給額が給与収入として扱われ、翌年度の住民税がその分だけ増えるわけではありません。
出産手当金についても、休業中の生活保障を目的とする健康保険の給付であり、通常の給与とは税務上の扱いが異なります。
ただし、 給付金が非課税であることと、現在納めている住民税がなくなることは別 です。
現在納めている住民税は、基本的に前年の所得をもとに決定されています。
産休中に非課税の給付金しか受け取っていなくても、前年に給与所得があれば、その所得に対する住民税の納付は続きます。
非課税の給付金を受け取っても翌年度の課税所得には通常加算されませんが、前年所得に対する現在の住民税まで消えるわけではありません。
会社独自の手当は名称だけで判断しない
注意したいのが、会社から支給される独自の手当です。
会社が産休中の生活支援として「出産支援金」「産休手当」「育児支援手当」などを支給することがありますが、公的な出産手当金や育児休業給付金と同じ名称に近くても、必ずしも非課税になるとは限りません。
会社が雇用関係に基づいて支給する金銭は、給与として課税される可能性があります。
税務上の扱いは、手当の名称ではなく、支給の根拠、支給条件、実質的な性質などによって判断されます。
会社から産休中や育休中に給与、手当、賞与などが支給された場合は、その支給内容によって税務上の扱いが変わる可能性があります。
名称だけで判断せず、給与明細、賃金規程、支給通知書などを確認してください。
翌年度の住民税が下がる時期
産休や育休により、その年の課税対象となる給与収入が大幅に減った場合、その影響は原則として翌年度の住民税に表れます。
たとえば、年の途中から産休に入り、その後は非課税の給付金のみを受け取っていた場合、翌年度の住民税は、通常勤務を続けた場合より低くなる可能性があります。
ただし、産休に入るまでに受け取った給与や賞与がある場合には、その金額が所得計算の対象になります。
また、配偶者控除や扶養関係、生命保険料控除、医療費控除、副業所得などによっても最終的な税額は変わります。
出産した年には医療費が増えることもありますが、出産育児一時金などで補填される金額を医療費から差し引く必要がある場合があります。
住民税だけでなく所得税の確定申告にも関係するため、領収書や給付金の支給決定通知は保管しておくとよいでしょう。
育児休業給付金の基本的な条件については、 雇用保険の育児休業給付金の条件と申請方法 も参考になります。
保管しておきたい書類
- 会社から交付された源泉徴収票
- 給与明細と賞与明細
- 出産手当金や育児休業給付金の支給決定通知
- 住民税の納税通知書や納付書
- 医療費の領収書や給付金の明細
産休中の住民税はいつまで払うか
住民税は、原則として年度単位で税額が決まり、会社員の特別徴収では6月から翌年5月までの12回に分けて納付します。
そのため、産休に入った月で住民税の支払いが終了するわけではありません。
たとえば、年度途中の10月に産休へ入った場合、それまでの6月から9月までに徴収された住民税だけで、その年度分の納付が完了するわけではありません。
10月以降に徴収する予定だった未徴収税額が残っています。
この残額を、会社が引き続き給与から天引きするのか、休業前の給与からまとめて徴収するのか、普通徴収へ切り替えて本人が納付するのかを決める必要があります。
支払いが終わる時期は徴収方法で異なる
住民税をいつまで払うかは、「産休がいつ終わるか」ではなく、その年度の住民税がどの方法で徴収されるかによって変わります。
休業前に一括徴収された場合は、その年度の未徴収税額が最後の給与などからまとめて控除されます。
一方、普通徴収へ切り替えられた場合は、自治体から届く納付書の各納期限までに本人が支払います。
| 徴収方法 | 支払い方 | 主な注意点 |
|---|---|---|
| 特別徴収の継続 | 会社が給与などから毎月天引き | 休業中に給与がない場合は継続できないことがある |
| 一括徴収 | 最後の給与などから未徴収分をまとめて控除 | 最後の給与の手取りが大きく減る可能性がある |
| 普通徴収 | 本人が納付書などで直接納付 | 納付書と納期限を自分で管理する必要がある |
新しい年度の住民税にも注意する
産休からそのまま育休へ移行すると、休業期間が次の6月をまたぐことがあります。
この場合、前年度の残額だけでなく、新しい年度の住民税についても納税通知書が届く可能性があります。
たとえば、前年に一定の給与所得があり、その翌年の春から産休、夏から育休へ移行した場合、新年度の住民税も課税されることがあります。
本人としては「前の納付書を払い終えた」と思っていても、6月以降に別年度の納付書が届くことがあるため、年度を確認することが大切です。
納付書を見るときは、金額だけでなく、何年度の住民税か、何期分か、納期限はいつかを確認してください。
年度が異なれば、似た時期に複数の通知が届くこともあります。
転居する場合は郵便物の受け取りにも注意
出産を機に里帰りしたり、産休中に転居したりする方もいます。
普通徴収への切り替え後に納付書が旧住所へ送付されると、受け取りが遅れて納期限を過ぎる可能性があります。
個人住民税は、その年度の1月1日時点で住所がある市区町村が課税するのが基本です。
その後に転居しても、その年度の住民税については転居前の自治体から通知が届く場合があります。
住民票の異動だけでなく、郵便物の転送手続きや会社への住所変更届も忘れないようにしましょう。
普通徴収の納付書を受け取ったら、納期限と納付済みの期を記録し、領収証や決済履歴を保管してください。
育休明けに特別徴収へ戻す際、どの期まで納付済みかを会社から確認されることがあります。
休業中の納付管理で行いたいこと
- 納付書を受け取った日を記録する
- 年度、期別、納期限を確認する
- 納付後の領収証や決済履歴を保管する
- 転居時は会社と自治体への届出を確認する
- 支払いが難しい場合は納期限前に相談する
産休時の住民税の支払い方法
産休に入って給与の支払いがなくなる場合、会社は住民税の徴収方法を整理する必要があります。
特に、休業開始の時期によって一括徴収と普通徴収の取扱いが変わる点は、給与担当者と従業員の双方が確認しておきたい実務上の重要なポイントです。
一月から五月は一括徴収が原則
1月から春ごろまでに産休へ入り、給与から住民税を天引きできなくなる場合は、その年度の未徴収税額を最後の給与などからまとめて徴収することがあります。
特別徴収の年度は6月から翌年5月までです。
そのため、1月以降に給与の支払いがなくなる時点では、その年度の住民税は残り数か月分となっています。
一定の場合には、残っている税額を最後の給与や賞与などから一括して徴収する取扱いが原則となります。
厳密には、退職や休職などによって給与から徴収できなくなる場合の一括徴収は、異動日や給与額などによって取扱いが分かれます。
1月1日から4月30日までに異動し、最後に支給される給与などが未徴収税額を上回る場合には、原則として一括徴収します。
5月は年度最後の徴収月であるため、通常は残る5月分を最後の給与から徴収する形になります。
例:4月から給与が支給されない場合
- 3月分までの住民税は通常どおり給与から天引き
- 4月分と5月分の住民税が未徴収として残る
- 最後の給与額で控除できる場合は残額を一括徴収
- 控除しきれない場合は普通徴収への切り替えなどを確認
一括徴収では最後の手取りが減る
一括徴収が行われると、通常は1か月分ずつ差し引かれていた住民税が、複数月分まとめて控除されます。
そのため、産休前最後の給与の手取りが予想より少なくなることがあります。
さらに、最後の給与では欠勤控除、社会保険料、社宅費、会社への立替金返済などが重なることもあります。
給与の総支給額が普段と同じように見えても、控除額が増えることで振込額が大きく減るケースがあります。
一括徴収される予定の住民税額は、産休に入る前に給与担当者へ確認しておきましょう。
最後の給与を出産準備費用として見込んでいる場合、手取り額の違いが家計に影響する可能性があります。
給与から控除しきれない場合
最後に支給される給与や賞与が少なく、住民税の未徴収税額を全額控除できない場合は、一括徴収ができないことがあります。
給与から税額を控除した結果、本人へ支払う金額が不足するような場合には、会社が独自に立て替えて納付するのではなく、普通徴収への切り替えなど、自治体の取扱いに沿って処理する必要があります。
会社によっては、産休中も少額の給与や手当が支給されることがあります。
しかし、毎月の支給額より住民税額のほうが高ければ、継続して特別徴収することが難しい場合があります。
反対に、一定の給与支払いが続き、本人と会社の間で調整できるのであれば、特別徴収を継続することも考えられます。
実務では、産休開始日だけを見て一律に処理するのではなく、給与締日、支払日、最後の給与額、控除予定額、未徴収税額を確認します。
自治体へ異動届を提出した後で処理方法を変更すると、訂正や再提出が必要になる場合もあるため、給与計算前の確認が重要です。
会社が事前に確認したい項目
- 産休開始日と最後の出勤日
- 給与締日と最後の給与支払日
- 住民税の徴収済額と未徴収税額
- 最後の給与から一括徴収できる金額
- 普通徴収へ切り替える必要があるか
六月から十二月は普通徴収へ切替

6月から12月までの間に産休へ入り、休業中の給与支払いがなくなる場合は、給与から天引きできなくなる未徴収税額を 普通徴収へ切り替える ことが一般的です。
普通徴収とは、会社が給与から住民税を天引きするのではなく、本人が自治体から送付される納付書や対応する決済方法を使って、直接住民税を納める方法です。
給与天引きであれば会社が毎月処理してくれますが、普通徴収へ変わると、納付書の受け取りから納期限の管理まで本人が行います。
普通徴収の納期は一般的に年4回とされる自治体が多いものの、具体的な納期限、期別の回数、利用できる支払方法は自治体によって異なります。
納付書のほか、口座振替、金融機関、コンビニエンスストア、スマートフォン決済アプリ、地方税お支払サイトなどを利用できることもありますが、すべての納付書がすべての方法に対応しているとは限りません。
普通徴収の金額が高く感じる理由
特別徴収では通常12回に分けて給与から差し引かれますが、普通徴収では残りの税額を限られた納期に割り振って納めることがあります。
そのため、1回当たりの納付額が給与天引きの月額より大きくなり、「急に住民税が高くなった」と感じることがあります。
しかし、必ずしも年間の税額そのものが増えたわけではありません。
給与からすでに徴収された金額を差し引いた残額を、普通徴収の残っている納期に割り振るため、1回分が大きく見えることがあります。
たとえば、毎月1万円ずつ給与天引きされる予定だった住民税について、年度途中で普通徴収へ切り替わり、残額を2回の納期で支払うことになれば、1回当たりの納付額は複数月分になります。
一括徴収を希望できる場合もある
6月から12月までの異動であっても、本人が希望し、最後の給与や賞与から未徴収税額の全額を控除できる場合には、一括徴収を選択できることがあります。
一括徴収を選ぶと、休業中に納付書を管理する必要がなくなる一方、最後の給与の手取りは大きく減ります。
どちらがよいかは、本人の家計状況によって異なります。
休業前にまとめて払っておきたい方もいれば、普通徴収へ切り替えて納期ごとに支払いたい方もいるでしょう。
ただし、本人が自由に希望するだけで必ず希望どおりになるとは限らず、給与額や自治体の取扱いを確認する必要があります。
産休前に確認したいこと
- 住民税を最後の給与から一括徴収するのか
- 普通徴収の納付書はいつ、どこへ届くのか
- 会社で特別徴収を継続できるのか
- 最後の給与の手取りはいくらになる見込みか
- 休業中に住所を変更する予定があるか
納付書が届かないときの対応
会社から普通徴収へ切り替えると説明を受けたものの、すぐに納付書が届かないことがあります。
会社が異動届を提出してから自治体で処理され、納付書が発送されるまでには一定の期間がかかるためです。
一方で、会社の届出が遅れている、旧住所へ送付されている、郵便物を見落としているといった可能性もあります。
普通徴収へ切り替わったはずなのに納付書が届かない場合は、放置せず、まず会社へ異動届の提出状況を確認し、その後、住民税を課税している市区町村へ問い合わせましょう。
納付書が手元に届かなかったことだけで、納税義務が当然になくなるわけではありません。
納期限が迫っている可能性もあるため、届かない場合も早めに確認してください。
給与所得者異動届出書の手続き
給与から住民税を天引きしていた従業員について、産休や休職などにより特別徴収を継続できなくなった場合、会社は原則として自治体へ 給与支払報告・特別徴収に係る給与所得者異動届出書 を提出します。
この書類は、会社を退職した場合だけに提出するものではありません。
在籍したまま産休や育休に入り、給与の支払いがなくなったことによって住民税を給与から徴収できなくなる場合にも、提出が必要になることがあります。
届出先は、従業員が現在住んでいる自治体とは限りません。
通常は、その年度の住民税について特別徴収税額を通知してきた市区町村へ提出します。
年の途中で従業員が転居している場合には、現住所の自治体と課税自治体が異なることがあるため、会社に届いている特別徴収税額通知書を確認します。
異動届出書に記載する主な内容
自治体ごとに様式や記載欄が多少異なる場合がありますが、一般的には次のような情報を記載します。
- 特別徴収義務者である会社の名称や所在地
- 従業員の氏名、生年月日、住所
- 特別徴収税額と給与から徴収済みの税額
- 今後徴収する予定だった未徴収税額
- 異動年月日と休職などの異動理由
- 一括徴収、普通徴収、特別徴収継続の区分
- 一括徴収する場合の徴収予定月と金額
特に重要なのは、徴収済額と未徴収税額の区分です。
ここに誤りがあると、本人へ送付される普通徴収の納付書の金額が合わなくなったり、会社へ修正の問い合わせが入ったりする可能性があります。
給与明細上で控除した住民税と、実際に会社が自治体へ納入した金額の両方を確認してください。
給与計算の修正や控除取消しがあった場合は、帳簿上の金額だけで判断しないことが重要です。
提出期限と社内処理の流れ
異動届出書は、一般に異動が発生した月の翌月10日までに提出する取扱いです。
ただし、具体的な提出期限や様式は自治体の案内を確認してください。
会社側の実務では、産休開始の連絡を受けたら、最終給与の有無、住民税の残額、一括徴収の可否を確認したうえで、給与計算と異動届の内容を一致させます。
給与計算を確定した後に徴収方法を変えると、給与明細の再発行や自治体への訂正届が必要になることがあるためです。
会社側の処理手順の例
- 産休開始日と給与支払予定を確認する
- 自治体からの特別徴収税額通知書を確認する
- 徴収済額と未徴収税額を計算する
- 一括徴収または普通徴収への切り替えを判断する
- 最終給与へ住民税を反映する
- 異動届出書を自治体へ提出する
- 本人へ今後の納付方法を案内する
eLTAXで提出できる場合がある
給与所得者異動届出書は紙で提出するほか、対応する手続きについては地方税ポータルシステムのeLTAXを利用して電子的に提出できます。
複数の自治体へ届出を行う会社では、郵送管理の負担軽減につながることがあります。
ただし、eLTAXを利用するには利用者ID、電子証明書、対応ソフトなどの準備が必要になる場合があります。
また、自治体や手続きの種類によって取扱いを確認する必要があります。
初めて利用する会社は、提出期限の直前ではなく、事前に利用環境を整えておくとよいでしょう。
電子申告や電子届出の利用方法については、 地方税共同機構「eLTAX地方税ポータルシステム」 で公式情報を確認できます。
従業員本人も処理内容を確認する
異動届出書を提出するのは基本的に会社ですが、従業員本人も今後の徴収方法を確認しておくことが大切です。
「会社が手続きするから自分は何もしなくてよい」と考えていると、普通徴収の納付書が届いたときに見落とす可能性があります。
会社は、普通徴収へ切り替える予定か、一括徴収する予定か、最後の給与からいくら控除する予定かを本人へ案内すると、トラブルを防ぎやすくなります。
中小企業では、産休の社会保険手続きには気づいていても、住民税の異動届が後回しになることがあります。
社会保険料免除と住民税の処理は、別のチェック項目として管理することが必要です。
産休手続きの社内チェックリストには、健康保険・厚生年金保険、雇用保険、住民税、給与計算、社内貸与品、連絡先変更などを分けて記載すると漏れを防ぎやすくなります。
住民税の二重徴収は起こらない
通常の手続きが正しく行われていれば、同じ年度の同じ住民税が、特別徴収と普通徴収によって二重に課税されることはありません。
会社が給与からすでに徴収した金額と、今後本人が普通徴収で納める金額は区分され、未徴収分だけが本人の納付対象となるのが基本です。
そのため、特別徴収から普通徴収へ切り替わったこと自体によって、年間の住民税額が二倍になるわけではありません。
ただし、給与明細から住民税が差し引かれた直後に、自治体から普通徴収の納付書が届くことがあります。
この場合、見た目だけでは「給与からも引かれ、納付書でも請求されている」と感じますよね。
実務上も、二重徴収ではないかという問い合わせが発生しやすい場面です。
納付書が届いたら年度と期別を確認する
まず確認したいのは、給与明細で徴収された住民税と、納付書に記載された住民税が同じ年度のものかどうかです。
普通徴収の納付書が届いた時期によっては、前年度の残額と新年度分の通知が近い時期に届くことがあります。
次に、給与明細で最後に住民税が差し引かれた月と、普通徴収の納付書に反映された税額を照らし合わせます。
納付書の期別は、単純に給与天引きの何月分と一対一で対応しているとは限りません。
普通徴収へ切り替えた時点の未徴収残額を、残っている納期に振り分けるためです。
照合する資料
- 会社から交付された給与明細
- 自治体から届いた納税通知書
- 普通徴収の納付書
- 会社から受けた徴収方法の案内
- すでに支払った納付書の領収証や決済履歴
一括徴収後に納付書が届いた場合
会社が最後の給与から未徴収税額を一括徴収したにもかかわらず、普通徴収の納付書が届いた場合は、処理の時期がずれている可能性があります。
会社が一括徴収をした後、自治体へ異動届や納入情報が反映される前に納付書が作成・発送されたケースです。
一方で、会社が一括徴収したのが前年度の残額で、届いた納付書が新年度分という可能性もあります。
この場合は二重徴収ではなく、年度が異なる住民税です。
納付書が届いたからといって直ちに二重徴収と判断せず、反対に会社で天引きされたからといって納付書を自己判断で破棄しないでください。
確認するときの順番
金額が一致しない場合は、最初に会社の給与担当者へ、最後に住民税を控除した給与月、一括徴収した金額、自治体へ届け出た徴収方法を確認します。
そのうえで、納税通知書に記載されている市区町村の住民税担当課へ問い合わせると、状況を整理しやすくなります。
自治体へ問い合わせる際は、納税通知書の通知書番号、本人の氏名と住所、年度、会社名、給与から最後に徴収された月、納付書の期別などを手元に準備します。
本人確認のため、電話だけでは詳細を回答してもらえない場合もあります。
会社の給与明細と自治体の納付書を並べ、年度、徴収済額、未徴収額を順番に確認することが、二重徴収かどうかを判断する基本です。
万が一、誤って同じ住民税を重ねて納付した場合には、自治体による確認後、未納の別税目へ充当されたり、還付の手続きが行われたりすることがあります。
還付の方法や期間は自治体によって異なるため、自治体から届く案内に従ってください。
減免や徴収猶予を申請できる場合
産休や育休を取得したことだけを理由として、住民税が一律に免除される制度は原則としてありません。
しかし、休業により収入が著しく減少し、生活が困難になった場合などには、自治体の条例に基づく減免制度の対象となる可能性があります。
また、一時に住民税を納付することが困難な事情がある場合には、申請によって徴収猶予が認められることがあります。
徴収猶予は税額そのものをなくす制度ではなく、一定期間、徴収を待ってもらう制度です。
さらに、自治体によっては、納付相談のなかで分割納付について相談できる場合があります。
ただし、分割納付は納税者が自由に支払回数を決められる制度ではありません。
収入、支出、資産、今後の収入見込みなどを確認したうえで、自治体との相談により納付計画を決めます。
| 制度・対応 | 主な内容 | 税額への影響 | 主な注意点 |
|---|---|---|---|
| 減免 | 条例に基づき税額の一部または全部を軽減する場合がある | 認められれば税額が軽減される | 所得要件、申請期限、対象税額は自治体ごとに異なる |
| 徴収猶予 | 一定期間、住民税の徴収を猶予する場合がある | 原則として税額自体は残る | 申請と審査が必要で、猶予後の納付も必要 |
| 分割納付の相談 | 納付可能な金額や期間について自治体と相談する | 原則として税額自体は変わらない | 相談内容や履行状況によって対応が異なる |
減免は自治体の条例で判断される
住民税の減免については、地方税法上、自治体が条例により要件を定めて運用します。
そのため、全国どこでも同じ所得減少率や同じ基準で適用されるわけではありません。
自治体によっては、災害、生活扶助、失業、疾病、所得の著しい減少などを減免事由として定めています。
ただし、産休や育休に伴う収入減少が直ちに対象となるとは限りません。
本人だけでなく世帯全体の所得や資産状況が確認されることもあります。
また、減免申請には期限が設けられている場合があります。
納期限前までの申請が必要な自治体や、申請日以後に到来する納期分のみを対象とする自治体もあります。
すでに納付した住民税については減免の対象外となることもあるため、早めの確認が必要です。
「収入が前年より減った」という事情だけで、減免が必ず認められるわけではありません。
自治体の条例、申請時期、所得や資産の状況などを踏まえて個別に判断されます。
徴収猶予は支払いをなくす制度ではない
徴収猶予が認められた場合、一定期間は納付を待ってもらえる可能性がありますが、原則として住民税そのものが免除されるわけではありません。
猶予期間が終了した後は、猶予された税額を納付する必要があります。
徴収猶予の期間、担保の要否、延滞金の取扱いなどは、申請理由や税額、自治体の判断によって異なります。
産休や育休による一時的な収入減少について相談する場合は、現在の収入だけでなく、出産手当金や育児休業給付金の受給予定、配偶者の収入、復職予定、毎月支払える金額などを確認される可能性があります。
相談時に準備したい資料
自治体へ納付相談をする際には、生活状況を説明できる資料を準備すると話が進みやすくなります。
必要書類は自治体によって異なるため、事前に担当課へ確認してください。
- 住民税の納税通知書や納付書
- 産休や育休の期間が分かる会社の通知
- 直近の給与明細
- 出産手当金や育児休業給付金の支給通知
- 預金通帳や口座残高が分かる資料
- 家賃、住宅ローン、医療費など支出が分かる資料
- 復職予定日や今後の収入見込みが分かる資料
相談先は、原則としてその年度の住民税を課税している市区町村の税務担当課です。
都道府県税事務所ではなく、市役所、区役所、町村役場の個人住民税や納税を担当する窓口へ相談します。
納期限を過ぎる前に相談する
納付が難しいと分かっていても、「給付金が入ってから払おう」と考え、自治体へ連絡しないまま納期限を過ぎるケースがあります。
しかし、給付金の支給時期が想定より遅れれば、住民税の滞納期間が長くなってしまいます。
納期限を過ぎると、督促状が送付されたり、延滞金が発生したりする可能性があります。
さらに長期間放置すると、財産調査や滞納処分の対象となる可能性もあります。
すぐに全額を納付できない場合でも、早い段階で相談することが重要です。
自治体へ相談するときの伝え方
- 産休または育休中で給与収入が減少していること
- 現在受け取っている給付金と支給時期
- 納期限までの全額納付が難しいこと
- 毎月であればいくら支払えるか
- 復職時期と収入回復の見込み
住民税の減免、徴収猶予、分割納付の取扱いは自治体によって異なります。
電話相談だけでは申請にならない場合もあるため、必要な申請書と提出期限まで確認しましょう。
育休明けに特別徴収を再開する方法

産休や育休中に住民税が普通徴収へ切り替わった場合、職場へ復帰しただけで自動的に給与天引きへ戻るとは限りません。
普通徴収から特別徴収へ戻すには、通常、会社から自治体へ特別徴収への切替届出書などを提出します。
書類の名称や様式、添付書類、切り替え可能な納期は自治体によって異なることがあります。
従業員が会社へ「来月から給与天引きにしてください」と申し出ても、会社だけの判断ですぐに天引きを開始できるわけではありません。
自治体が届出を処理し、会社へ特別徴収税額を通知した後、その通知内容に基づいて給与から徴収するのが基本です。
未納付の納付書を会社へ提出する場合がある
普通徴収から特別徴収へ切り替える際には、本人の手元にある未納付の納付書を会社へ提出するよう求められることがあります。
これは、どの期まで本人が納付し、どの期から会社の給与天引きへ切り替えるのかを確認するためです。
すでに納期限が過ぎている期や、すでに本人が納付した期については、特別徴収へ切り替えられない場合があります。
自治体で入金情報が反映されるまで時間がかかることもあるため、納付直後に切り替えを依頼するときは、領収証や決済履歴を準備しておくとよいでしょう。
復職時に会社へ伝える内容
- 普通徴収で住民税を納付していること
- 何年度の住民税か
- どの期まで納付済みか
- 未納付の納付書が手元にあるか
- 給与天引きへの切り替えを希望すること
復職月からすぐに天引きされるとは限らない
会社が切替届出書を提出しても、自治体の処理と税額通知に時間がかかるため、復職した月の給与計算には間に合わないことがあります。
たとえば、月末近くに復職し、給与計算の締日を過ぎてから切り替えを依頼した場合、翌月以降の給与から特別徴収が始まることがあります。
切り替えが完了する前に普通徴収の納期限が到来する場合は、本人が納付書で支払う必要があることもあります。
「会社へ納付書を渡したから払わなくてよい」と自己判断せず、会社または自治体へ確認してください。
切替手続きが完了するまでは、手元の納付書を破棄しないでください。
納期限が近い納付書を会社へ提出するときは、誰にいつ渡したかも記録しておくと安心です。
普通徴収のまま支払う場合もある
職場復帰後も、その年度の残りの住民税については普通徴収のまま本人が納付し、翌年度の6月から特別徴収を再開する運用も考えられます。
残っている納期が少ない場合や、自治体の処理期限に間に合わない場合には、年度途中で切り替えず、本人が納付を続けたほうが分かりやすいこともあります。
どちらの方法が可能かは、会社の給与計算スケジュールと自治体の取扱いによります。
会社側は、普通徴収から特別徴収へ切り替える際、本人がすでに納付した税額を再び給与から控除しないよう注意が必要です。
自治体から届いた税額通知の開始月と月割額を確認し、給与計算システムへ正しく登録します。
復職後の給与明細を確認する
特別徴収が再開されたら、給与明細の住民税欄を確認してください。
復職直後は、社会保険料の標準報酬月額、育児休業終了時の月額変更、住民税の再開など、複数の項目が変わる可能性があります。
住民税額が休業前と異なっていても、直ちに誤りとは限りません。
年度が変わって税額自体が改定されている場合や、年度途中からの切り替えにより残額を残りの月数で徴収している場合があります。
復職後の給与明細で確認したい項目
- 住民税の天引きが始まった月
- 自治体から通知された月額と一致しているか
- 普通徴収で納付済みの税額が重複していないか
- 社会保険料の控除再開月
- 短時間勤務による給与額の変化
金額に疑問がある場合は、まず会社へ特別徴収開始月と通知税額を確認し、必要に応じて自治体へ問い合わせましょう。
産休中の住民税は早めに確認しよう
産休中も、前年に一定の所得があれば、原則として住民税の納付は続きます。
健康保険料や厚生年金保険料のように、産休を取得したことを理由として自動的に免除されるものではありません。
産休中の住民税で特に重要なのは、税額そのものだけでなく、 どの方法で納付することになるのか を事前に確認することです。
休業開始時期、最後の給与額、会社の処理方法などにより、一括徴収、特別徴収の継続、普通徴収への切り替えのいずれかになります。
一括徴収の場合は、最後の給与の手取りが通常より大きく減る可能性があります。
普通徴収の場合は、休業中に納付書が届き、本人が納期限を管理しなければなりません。
どちらの場合も、産休へ入ってから初めて知るより、休業前に確認しておいたほうが家計の見通しを立てやすくなります。
産休前に会社へ確認する
産休に入る前に、会社の給与担当者へ次の点を確認しておきましょう。
- 住民税を最後の給与から一括徴収する予定か
- 一括徴収する場合はいくら控除される予定か
- 普通徴収へ切り替える予定があるか
- 会社で特別徴収を継続できるか
- 普通徴収の納付書はどの住所へ届くか
- 育休明けに特別徴収を再開する方法
会社側も、産休の申出を受けた段階で住民税の処理を説明しておくと、休業後の問い合わせやトラブルを減らせます。
「社会保険料は免除されます」という説明だけで終わらせず、住民税は別途支払いが続く可能性があることを伝えるのが実務的です。
産休前最後の給与計算が確定する前に、住民税の徴収方法と見込手取り額を確認することが重要です。
普通徴収になったら納付状況を記録する
普通徴収へ切り替わった場合は、納付書を受け取るだけでなく、納付状況を自分で管理します。
産後はさまざまな手続きが重なるため、納付書を安全な場所へ保管し、スマートフォンのカレンダーなどに納期限を登録しておくとよいでしょう。
オンライン決済やスマートフォン決済を利用した場合は、紙の領収証が発行されないことがあります。
決済完了画面、利用履歴、口座の出金記録などを保存してください。
育休明けに特別徴収へ戻す際、納付済みの期を確認する資料として役立ちます。
納付管理のチェックリスト
- 納税通知書と納付書を一緒に保管する
- 年度と期別を確認する
- 納期限をカレンダーへ登録する
- 納付後の領収証や決済履歴を保存する
- 転居時は郵便物の転送と住所変更を行う
支払いが難しい場合は放置しない
産休中は、出産手当金や育児休業給付金が支給されるまでに時間がかかることがあります。
その間に住民税の納期限が到来し、手元資金が不足することもあるでしょう。
その場合でも、納付書を放置するのは避けてください。
減免、徴収猶予、分割納付などを利用できるかどうかは自治体や個別事情によって異なりますが、納期限前に相談することで選択肢を確認できます。
相談の際は、現在の収入、給付金の支給予定、配偶者の収入、毎月支払える金額、復職予定などを整理しておくと、具体的な話をしやすくなります。
会社側も手続き漏れを防ぐ
会社側は、産休に関する手続きを社会保険だけで完結させないことが重要です。
実務では、産前産後休業取得者申出書、出産手当金、育児休業給付、住民税の異動届、給与計算、復職後の社会保険手続きなど、複数の処理が連続します。
特に住民税は、年金事務所やハローワークではなく市区町村へ手続きを行うため、担当者が異なると漏れやすい項目です。
産休・育休の社内チェックリストに住民税の欄を設け、異動届の提出日、徴収方法、本人への説明日を記録しておくとよいでしょう。
住民税の税額、納期、減免要件、徴収猶予、延滞金、特別徴収への切替方法などは、年度や自治体によって異なる場合があります。
正確な情報は公式サイトをご確認ください。
個別の給与計算、税務処理、休業手続きについて判断に迷う場合は、会社の給与担当者、住民税を課税している自治体、税理士、社会保険労務士などへ確認し、 最終的な判断は専門家にご相談ください。
産休中の住民税は、仕組みを知っていれば必要以上に不安になるものではありません。
まずは、前年所得に対する税金であることを理解し、産休前に会社へ徴収方法を確認してください。
普通徴収へ切り替わった場合は納期限を管理し、支払いが難しいときは早めに自治体へ相談することが大切です。