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産休届とは?書き方と提出後の会社手続きを実務で確認

こんにちは。

もりおか社会保険労務士事務所、社会保険労務士の川熊です。

この記事では、産休届がどのような書類なのかを整理したうえで、提出時期、提出先、記載項目、会社が行う社会保険の手続きまで順番に解説します。

産休届には法律で定められた共通様式がないため、勤務先によって名称や書き方が異なります。

また、従業員が会社へ提出する産休届と、会社が日本年金機構へ提出する書類は別のものです。

初めて産休を取得する方だけでなく、従業員から申し出を受けた人事・労務担当者にも、必要な書類と手続きの全体像が分かる内容にしています。

自分が何を提出するのか、会社がその後に何をするのかを分けて確認していきましょう。

  • 産休届の役割と法的な位置づけ
  • 産休届を提出する時期と提出先
  • 産休届の書き方と必要な記載項目
  • 提出後に会社が行う社会保険の手続き

産休届とは?書き方と提出後の手続きを解説

産休届の基本と提出方法

まずは、産休届が何のために必要なのかを確認しましょう。

特に間違えやすいのが、社内で使用する産休届と、日本年金機構へ提出する産前産後休業取得者申出書との違いです。

書類の名称だけを見ると似ていますが、提出する人、提出先、目的はそれぞれ異なります。

ここを最初に整理しておくと、産休に関する手続きの全体像が見えやすくなります。

産休届とはどのような書類か

産休届とは、従業員が産前産後休業を取得することを勤務先へ申し出るための社内書類です。

会社によっては、産休申請書、産前産後休業申出書、産前産後休業届などの名称が使われています。

名称が違っていても、従業員が出産予定日や産前休業の開始希望日などを会社へ伝えるという基本的な役割は同じです。

法律上、産休届という名称の書類や全国共通の書式が定められているわけではありません。

そのため、会社が独自にWordやExcelで様式を作成し、就業規則や社内規程に沿って提出してもらう運用が一般的です。

労務管理システム上の電子申請を産休届として扱っている会社もあります。

産休届の法的な意味を理解するためには、産前休業と産後休業の違いを押さえる必要があります。

一般には両方をまとめて産休と呼びますが、休業が始まる仕組みは同じではありません。

区分 休業期間 休業の始まり方 会社の対応
産前休業 出産予定日の6週間前から
多胎妊娠は14週間前から
本人が請求した場合に取得する 請求を受けた期間は就業させない
産後休業 実際の出産日の翌日から8週間 本人の請求がなくても適用される 原則として就業させてはならない

産前休業は本人からの請求が必要

労働基準法第65条では、出産予定日の6週間前、多胎妊娠の場合は14週間前から、本人が休業を請求した場合、会社はその従業員を就業させてはならないと定めています。

つまり、産前休業は出産予定日の6週間前になっただけで自動的に始まるものではありません。

本人からの請求があって、初めて会社が休業として取り扱う仕組みです。

この請求の記録として実務上使われているのが産休届です。

法律には、請求を必ず紙で行うことや、特定の様式を使用することまでは定められていません。

口頭による請求が直ちに無効になるわけではありませんが、口頭だけでは、いつ申し出たのか、いつから休業するのか、会社がどのように受け付けたのかが後から確認しづらくなります。

私が実務で手続きを確認するときも、開始日が書面で残っているかは重要なポイントです。

産前休業の開始日は、勤怠、給与、社会保険料の免除期間、出産手当金の申請などに関係するためです。

従業員と会社の双方を守る意味でも、書面や電子申請によって記録を残す運用が適切ですよ。

産後休業は本人の希望だけでは短縮できない

一方、産後休業は、本人が請求したかどうかにかかわらず適用されます。

会社は、原則として出産日の翌日から8週間を経過しない女性を就業させることができません。

本人が早く復職したいと希望しても、それだけで産後休業を終了させることはできない点に注意が必要です。

例外として、産後6週間を経過した後に本人が就業を請求し、医師が支障ないと認めた業務であれば、就業させることができます。

この場合でも、会社の判断だけで復職させたり、本人の希望だけで通常業務へ戻したりすることはできません。

本人の請求と医師の判断の両方が必要です。

産前休業は本人の請求によって始まりますが、産後休業は本人の請求の有無にかかわらず適用されます。

産休届が実質的に重要になるのは、特に産前休業の請求内容を明確にする場面です。

なお、出産当日は産前の期間に含まれ、産後休業はその翌日から始まります。

また、ここでいう出産には、一定の要件を満たす死産や流産なども含まれます。

産前産後休業の基本的な考え方は、厚生労働省の案内でも確認できます。

制度の正確な取扱いについては、 厚生労働省「産前・産後の休業について」 をご確認ください。

会社に産休届のテンプレートがない場合でも、産前休業を取得できなくなるわけではありません。

本人の氏名、出産予定日、休業開始希望日、提出日などを記載した書面やメールで申し出る方法が考えられます。

会社側としては、様式の有無よりも、本人からの請求を適切に受け付け、法定の休業を確保することが重要です。

産休届と産休申請書の違い

産休届と産休申請書の違い

産休届と産休申請書は、一般にはほぼ同じ意味で使われています。

どちらも、従業員が会社に対して産前産後休業を取得する意思や予定期間を伝える社内書類です。

会社によって呼び方が異なるだけで、法律上、産休届と産休申請書に明確な区別が設けられているわけではありません。

たとえば、ある会社では産前産後休業申出書、別の会社では産休届、さらに別の会社では休業申請書という名称が使われることがあります。

名称だけを見て別の制度だと判断せず、その書類に何を記載し、誰へ提出するのかを確認することが大切です。

申請書という名称でも会社が自由に拒否できるわけではない

産休申請書という名称を見ると、会社の承認を受けなければ産休を取得できないように感じるかもしれません。

しかし、産前産後休業は会社が任意に設ける福利厚生制度ではなく、労働基準法に基づく制度です。

出産予定日の6週間前、多胎妊娠の場合は14週間前の範囲内で、従業員本人から産前休業の請求があれば、会社はその期間に就業させることができません。

繁忙期であること、引き継ぎが完了していないこと、代替要員を採用できていないことなどを理由に、産前休業そのものを拒否することはできません。

もちろん、業務の引き継ぎや休業中の連絡方法について会社と相談することは必要です。

ただし、引き継ぎが終わるまで産休に入れないという扱いにしてしまうと、法定の休業を妨げる可能性があります。

会社側は、産休の取得可否と、引き継ぎの進め方を分けて考える必要があります。

書類名が申請書であっても、会社が産前産後休業を自由に許可・不許可にできるわけではありません。

社内の承認欄は、申し出の内容を確認し、勤怠や給与などの処理につなげるためのものと考えるのが実務的です。

産前産後休業取得者申出書とは目的が違う

産休届や産休申請書と最も混同しやすいのが、産前産後休業取得者申出書です。

産休届は従業員が勤務先へ提出する社内書類ですが、産前産後休業取得者申出書は、会社が日本年金機構へ提出する社会保険上の届出です。

比較項目 産休届・産休申請書 産前産後休業取得者申出書
提出する人 産休を取得する従業員 事業主
提出先 勤務先の人事・総務など 日本年金機構
主な目的 産前休業の請求と予定の共有 健康保険料・厚生年金保険料の免除
書式 会社独自の様式が一般的 所定の行政様式

実際によくあるのが、従業員から産休届を受け取ったことで、すべての手続きが終わったと思ってしまうケースです。

産休届は社内手続きの出発点であり、会社はその内容をもとに、社会保険料免除の届出や出産手当金の事業主証明などを進めます。

産休と育休も別の制度

産休と育児休業も別の制度です。

産休は、出産する女性本人の産前産後の身体を保護する制度で、労働基準法に定められています。

これに対し、育児休業は、原則として子どもを養育する男女の労働者を対象とする制度で、育児・介護休業法に基づきます。

出産した本人が産後休業に続けて育児休業を取得する場合、見た目には休業が連続します。

しかし、産後休業が終わった後に育児休業が始まるため、会社への申し出や社会保険の手続きも分かれます。

産休届に育児休業の予定を記載しただけでは、育児休業の正式な申し出として扱われない場合もあるため、勤務先の手続きを確認してください。

産休に関する書類は、 産休届、産前産後休業取得者申出書、出産手当金支給申請書、育児休業申出書 をそれぞれ分けて管理すると、手続き漏れを防ぎやすくなります。

従業員としては、会社から渡された書類の名称だけで判断せず、何のための書類なのかを担当者へ確認しましょう。

会社側も、従業員へ書類を渡す際には、提出先、期限、提出後に会社が行う処理まで説明しておくと安心です。

産休届は誰が提出するのか

社内書類としての産休届を提出するのは、産前産後休業を取得する従業員本人です。

上司や家族が本人に代わって会社へ妊娠を報告することはありますが、産前休業は本人の請求によって始まるため、最終的には本人の意思が確認できる形で申し出ることが重要です。

体調不良や入院などにより本人が通常の方法で提出できない場合は、家族から連絡してもらったうえで、後日、本人の意思をメールや書面で確認する方法も考えられます。

会社所定の紙を出社して提出することだけにこだわらず、本人の健康状態に配慮した柔軟な対応が必要です。

雇用形態を問わず産前産後休業の対象になる

産前産後休業は、正社員だけを対象とする制度ではありません。

パート、アルバイト、契約社員、派遣労働者なども、労働者であり出産を予定している場合には対象になります。

育児休業のように、労使協定による除外や一定の雇用期間が問題になる制度とは仕組みが異なります。

そのため、入社直後であること、週の勤務日数が少ないこと、所定労働時間が短いことだけを理由に、産前産後休業の対象外とすることはできません。

会社側が、社会保険に加入していないパート従業員は産休を取得できないと誤解しているケースもありますが、産前産後休業を取得できるかどうかと、健康保険の出産手当金を受けられるかどうかは別の問題です。

たとえば、勤務先の健康保険に被保険者本人として加入していない場合でも、労働者として産前産後休業を取得することはできます。

ただし、出産手当金は健康保険の被保険者本人を対象とする給付であるため、扶養に入っている方や国民健康保険に加入している方は、原則として勤務先の健康保険から出産手当金を受ける仕組みとは異なります。

パート従業員の産休については、 産休をパートが取得する場合の条件と手当 でも詳しく解説しています。

従業員と会社で提出する書類が異なる

産休に関する手続きでは、従業員が提出する書類と会社が提出する書類を区別する必要があります。

書類によっては、本人、会社、医師または助産師がそれぞれ記載する欄が設けられているものもあります。

書類 主な作成者・提出者 提出先 主な目的
産休届・産休申請書 従業員本人 勤務先 産休取得の申し出
産前産後休業取得者申出書 会社 日本年金機構 社会保険料の免除
産前産後休業取得者変更(終了)届 会社 日本年金機構 休業期間の変更や早期終了の届出
出産手当金支給申請書 本人が申請
会社や医師等の証明が必要
加入する健康保険 休業中の所得補償
育児休業申出書 従業員本人 勤務先 育児休業の申し出

従業員は、まず勤務先の担当者へ出産予定日と産休取得の意向を伝え、必要な社内様式を確認します。

その際、産休中の給与、出産手当金の申請方法、育児休業を取得する場合の書類、休業中の連絡方法などもまとめて聞いておくとよいでしょう。

会社側が確認しておきたい事項

会社は本人から産休の申し出を受けた後、出産予定日、産前休業開始希望日、単胎妊娠か多胎妊娠か、社会保険の加入状況、休業中の給与の取扱い、育児休業の予定などを確認します。

ただし、妊娠や出産に関する情報は個人情報であり、必要な範囲を超えて聞き取ったり、本人の同意なく社内へ広く共有したりしない配慮が必要です。

中小企業では、従業員から初めて産休の申し出を受け、担当者が何から始めればよいか分からないケースもあります。

私が実務でおすすめしているのは、本人用と会社用のチェックリストを分ける方法です。

本人には提出書類と予定日を、会社側には社会保険、給与、住民税、出産手当金、育児休業の各処理を記載します。

産休届の提出者は従業員本人ですが、手続き全体は本人だけで完結しません。

会社が期限管理と行政手続きを適切に行うことで、社会保険料免除や給付申請につながります。

派遣労働者の場合、雇用主は派遣先ではなく派遣元です。

日常的には派遣先の上司へ相談する場合もありますが、正式な産休届の提出先や社会保険の手続きは派遣元になります。

雇用関係がどこにあるのかを確認し、派遣元の担当者へ早めに連絡しましょう。

産休届はいつまでに出すのか

産休届はいつまでに出すのか

産休届について、法律で全国一律の提出期限が定められているわけではありません。

法律で定められているのは産前休業を請求できる期間や産後休業の期間であり、社内書類である産休届を何日前までに提出しなければならないという共通ルールではありません。

ただし、会社の就業規則、育児・介護休業規程、社内申請マニュアルなどに提出期限が定められている場合があります。

まずは勤務先のルールを確認し、その期限に沿って提出するのが基本です。

実務では産前休業開始の1か月前が一つの目安

実務上は、業務の引き継ぎ、代替要員の配置、給与計算、社会保険手続き、貸与物の管理などに準備期間が必要です。

そのため、産前休業開始日の1か月前までを一つの目安として、産休届の提出を求める会社が多くあります。

ただし、1か月前という期間は法律上の一律の期限ではなく、あくまで一般的な社内運用の目安です。

就業規則で2か月前までと定めている会社もあれば、妊娠の報告時に予定だけを確認し、正式な産休届は休業開始前に提出してもらう会社もあります。

会社が定めた提出期限を過ぎてしまった場合でも、それだけを理由に法定の産前休業を認めない扱いは適切ではありません。

本人の体調や妊娠経過によっては、予定より早く休業が必要になることもあります。

会社側は、社内期限を手続きの円滑化に使いつつ、法定の権利を制限する運用にならないよう注意してください。

妊娠報告と産休届の提出は同じ時期とは限らない

妊娠が分かった時点ですぐに、正式な産休届を提出しなければならないわけではありません。

妊娠報告は、健康状態への配慮、通院時間の確保、業務内容の調整、時間外労働や深夜業の制限などを検討するために行うものです。

一方、産休届は、産前休業の開始時期が具体的になった段階で提出する書類として運用されることが多いです。

妊娠をいつ会社へ伝えるかは、体調や仕事内容、職場環境によって異なります。

安定期まで待ちたいと考える方もいますが、立ち仕事、重量物の取扱い、夜勤、長時間労働などがある場合は、早い段階で配慮が必要になることがあります。

医師から勤務時間の短縮や休業などの指導を受けたときは、産休開始時期にかかわらず会社へ相談してください。

一般的には、妊娠の報告、出産予定日の共有、産休開始日の確認、産休届の提出、業務の引き継ぎという順番で進みます。

会社の様式がまだ用意されていなくても、産前休業の請求そのものができなくなるわけではありません。

産前休業を開始できる日の数え方

産前休業を取得できるのは、原則として出産予定日の6週間前からです。

多胎妊娠の場合は14週間前から請求できます。

出産当日は産前休業に含まれ、産後休業は実際の出産日の翌日から始まります。

産前休業は本人の請求によって取得する制度なので、取得可能日になったら必ず休業しなければならないわけではありません。

本人が希望すれば、取得可能日より後の日から産前休業を開始することもできます。

体調に問題がなく、別の母性健康管理措置が必要でなければ、出産直前まで働く選択も制度上は可能です。

一方で、会社側から本人の意思を確認せず、一律に出産予定日の6週間前から休ませる扱いも慎重に考える必要があります。

産前休業は本人の請求が前提だからです。

本人の希望と健康状態を確認し、開始日を決めましょう。

出産予定日は、実際の出産日と異なることがあります。

産休届を提出した後に予定日や休業開始日が変わった場合は、会社へ速やかに連絡してください。

会社側も、変更内容を勤怠や社会保険の届出へ反映する必要があります。

切迫早産などにより、法定の産前休業開始日より前から働けない場合は、その期間が自動的に産前休業になるわけではありません。

医師の指導に基づく休業、会社の病気休職制度、年次有給休暇など、別の制度を利用することになります。

どの制度で処理するかによって給与や給付の取扱いが変わるため、会社の担当者へ確認してください。

産休届の提出先と提出方法

産休届の提出先は、通常、勤務先の人事部、総務部、労務担当者または直属の上司です。

会社の規模や組織体制によって異なり、直属の上司へ提出した後に人事部へ回付する会社もあれば、本人が労務管理システムから直接申請する会社もあります。

まずは就業規則、社内ポータル、申請マニュアル、過去に会社から配布された案内などを確認しましょう。

提出先が分からない場合は、上司または給与や社会保険を担当している部署へ問い合わせるのが確実です。

主な提出方法

産休届の提出方法には、次のようなものがあります。

  • 会社所定の紙の様式を担当部署へ提出する
  • WordやExcelの様式へ入力してメールで送付する
  • 勤怠管理や労務管理のシステムから申請する
  • 必要事項を記載したメールで申し出る
  • 指定様式がない場合に任意の書面を提出する

会社に指定様式がある場合は、その様式を使用するのが基本です。

指定様式には、産休期間だけでなく、緊急連絡先、育児休業の予定、引き継ぎ状況など、会社が必要とする項目がまとめられているためです。

指定様式がない場合は、氏名、所属、提出日、出産予定日、単胎妊娠か多胎妊娠か、産前休業の開始希望日、会社への申し出であることが分かる文章を記載します。

産後休業終了後に育児休業を希望する場合は、その予定も併記しておくと、その後の案内を受けやすくなります。

口頭だけでなく記録を残す

法律上、産前休業の請求方法について特定の書面が定められているわけではありません。

しかし、口頭だけでは、申し出た日や開始日について認識が食い違う可能性があります。

たとえば、本人は6月1日から産前休業に入ると伝えたつもりでも、会社が6月3日からと理解していた場合、勤怠、給与、社会保険料免除の処理にずれが生じます。

こうしたトラブルを防ぐため、紙、メール、社内システムなど、後から確認できる方法を使いましょう。

重要なのは、 誰が、いつ申し出て、いつから産前休業を取得するのかを、本人と会社の双方が確認できる状態にすること です。

会社側は、産休届を受け取った日を記録し、本人へ受領した旨を伝えるとよいでしょう。

申請システムを使用する場合も、承認済み、受付済みなどの状況が本人から確認できる仕組みにしておくと安心です。

診断書や母子健康手帳は必須なのか

通常の産前休業を請求する際に、医師の診断書が法律上一律に必要とされているわけではありません。

ただし、会社が出産予定日を確認するため、母子健康手帳の該当部分、医療機関が発行した出産予定日の証明などを求めることがあります。

また、医師から通勤緩和、休憩時間の延長、勤務時間の短縮、休業などの指導を受けた場合には、母性健康管理指導事項連絡カードを会社へ提出する方法があります。

これは通常の産休届とは役割が異なり、医師の指導内容を会社へ伝えるための書類です。

会社が確認資料を求める場合でも、必要以上の医療情報を集めないことが大切です。

出産予定日の確認だけが目的であれば、母子健康手帳のすべてのページの写しを求めるのではなく、必要な部分だけを確認する方法が適切です。

個人情報の管理にも注意する

産休届には、妊娠や出産に関する情報、住所、電話番号、家族に関する情報などが記載されることがあります。

これらは慎重な取扱いが必要な個人情報です。

従業員は、提出先を確認せず、複数の従業員が閲覧できる共有フォルダなどへ保存しないようにしましょう。

会社側も、閲覧できる担当者を必要な範囲に限定し、上司や同僚へ共有する情報も、業務上必要な内容にとどめる必要があります。

妊娠や産休取得の事実を、本人の意思を確認せず社内へ広く公表することは避けましょう。

引き継ぎのために周囲へ伝える必要がある場合も、共有する時期と範囲を本人と相談するのが実務的です。

郵送で提出する場合は、送付先の部署名や担当者名を確認し、追跡できる方法を利用すると安心です。

メールで提出する場合は、宛先間違いに注意し、必要に応じてファイルへパスワードを設定するなど、会社の情報管理ルールに従ってください。

産休届の書き方と会社の手続き

ここからは、産休届に記載する項目と具体的な書き方を確認します。

あわせて、従業員から産休届を受け取った後に会社が行う社会保険料免除の手続きや、出産手当金の申請との違いも整理します。

産休届は提出して終わりではなく、出産後の報告や育児休業への移行までを一連の流れとして考えることが大切です。

産休届に記載する主な項目

産休届には法定の様式がないため、記載項目は会社ごとに異なります。

ただし、産休期間の管理、勤怠処理、給与計算、社会保険手続きを行うため、一般的には一定の情報が必要になります。

会社所定の様式がある場合は、その欄に沿って記入してください。

分からない項目や、現時点では確定していない項目がある場合は、推測で記載せず、担当者へ確認するのが安全です。

本人と出産予定に関する項目

  • 届出日
  • 所属部署
  • 従業員番号
  • 氏名
  • 出産予定日
  • 単胎妊娠または多胎妊娠の別

届出日は、実際に会社へ提出する日を記載します。

所属や従業員番号は、同姓同名の従業員との取り違えを防ぎ、社会保険の被保険者情報と照合するために使われます。

出産予定日は、医療機関から伝えられた日付を記載します。

産前休業を開始できる日や社会保険料免除の対象となる期間を判断する基礎になるため、正確に記載してください。

後から出産予定日が変更された場合は、会社へ速やかに伝えます。

単胎妊娠か多胎妊娠かも重要です。

単胎妊娠では出産予定日の6週間前から産前休業を請求できますが、多胎妊娠では14週間前から請求できます。

双子以上の場合は、その旨が分かるように記載しましょう。

休業期間に関する項目

  • 産前休業の開始希望日
  • 産後休業の終了予定日
  • 育児休業の取得予定
  • 復職予定日

産前休業の開始希望日は、出産予定日の6週間前、多胎妊娠の場合は14週間前以降の日のうち、本人が実際に休業を希望する日を記載します。

取得可能な最初の日から必ず休業しなければならないわけではないため、年次有給休暇の取得予定や最終出勤日も踏まえて決めましょう。

産後休業の終了予定日は、産休届を提出する段階では、出産予定日を基準に記載することになります。

しかし、実際の産後休業は、実際の出産日の翌日から8週間です。

出産日が予定日と異なれば、産後休業の終了日も変わります。

産後休業は、出産予定日ではなく 実際の出産日の翌日から8週間 です。

会社側は、出産後に実際の出産日を必ず確認し、勤怠や社会保険の手続きへ反映してください。

産後休業に続けて育児休業を取得する場合は、育児休業の取得予定も記載します。

ただし、産休届に予定を書くだけで育児休業の正式な申し出が完了するとは限りません。

会社の育児休業申出書や社内システムによる別の申請が必要になることがあります。

復職予定日についても、保育所への入所状況や育児休業の取得期間によって変わる可能性があります。

確定していない場合は、現時点の予定であることを明記し、変更時に改めて会社へ申し出る運用にしましょう。

休業中の連絡や引き継ぎに関する項目

  • 休業中の住所
  • 連絡可能な電話番号
  • 連絡可能なメールアドレス
  • 会社から連絡してよい方法と時間帯
  • 業務の引き継ぎ状況
  • 会社からの貸与物の管理方法

休業中の連絡先は、社会保険や出産手当金の手続き、出産日の確認、育児休業の申し出などに必要な連絡を行うために使用します。

里帰り出産をする場合は、通常の住所と休業中の滞在先が異なることもあります。

ただし、会社が本当に必要とする情報だけを記載すればよく、過度に詳細な私生活上の情報まで提出する必要はありません。

会社から連絡を受けやすい方法や時間帯も伝えておくと、産後の負担を軽減できます。

たとえば、電話よりメールを希望する、緊急時以外は平日の午後に連絡してほしいといった希望があれば、事前に相談しておくとよいでしょう。

産休届に記載する連絡先は、会社が手続き上必要な確認を行うためのものです。

会社側は利用目的を明確にし、営業連絡や不要不急の業務連絡に使わないよう配慮しましょう。

引き継ぎについては、産休届そのものへ詳細を書かず、別に引き継ぎ一覧を作成する方法もあります。

業務名、進捗、保存場所、引き継ぎ先、今後の期限などを整理しておくと、休業後に頻繁な問い合わせが発生するのを防ぎやすくなります。

産休届の書き方と注意点

産休届の書き方と注意点

産休届を書くときは、会社所定の様式に沿って、分かる範囲を正確に記載します。

出産予定日については、医療機関から伝えられた日付を記載し、自己判断で日付を前後させないようにしましょう。

指定様式がない場合でも、難しい文章を書く必要はありません。

誰が、いつ、どのような理由で、いつから産前休業を取得したいのかが分かれば、申し出の内容を確認できます。

産前休業の開始日を正確に分ける

書き方で特に注意したいのが、最終出勤日、年次有給休暇の開始日、産前休業の開始日を混同しないことです。

これらは同じ日になるとは限りません。

たとえば、5月10日を最後に出勤し、5月13日から5月24日まで年次有給休暇を取得し、5月27日から産前休業に入る場合、最終出勤日は5月10日、年次有給休暇の期間は5月13日から5月24日、産前休業開始日は5月27日です。

土日などの所定休日を挟む場合もあります。

日付の種類 意味 確認が必要な理由
最終出勤日 実際に最後に勤務した日 引き継ぎや貸与物返却の基準になる
有給休暇開始日 年次有給休暇として休み始める日 賃金が支払われる休暇として処理する
産前休業開始日 産前休業として休み始める日 社会保険料免除などの基礎になる

産前休業の前に年次有給休暇を取得すること自体は可能ですが、年次有給休暇と産前休業は別の制度です。

どちらとして勤怠処理するかによって、給与や出産手当金、社会保険料免除の取扱いに影響することがあります。

産休と有給休暇の関係については、 産休と有給休暇の取扱い で詳しく整理しています。

指定様式がない場合の記載例

会社に指定様式がない場合は、次のような内容を記載します。

私は、出産予定日が令和○年○月○日であるため、令和○年○月○日から産前休業を取得したく申し出ます。

出産後は、労働基準法に定める産後休業を取得します。

出産日その他の予定に変更があった場合は、速やかに報告します。

この文章に、提出日、所属、氏名、出産予定日、単胎妊娠または多胎妊娠の別、休業中の連絡先などを加えれば、基本的な内容を整理できます。

育児休業を予定している場合は、その旨も記載しておくと、その後の手続き案内につながりやすくなります。

ただし、上記は一般的な記載例です。

会社に指定様式や社内ルールがある場合は、それを優先してください。

また、申請書へ押印が必要かどうか、原本提出が必要かどうかも会社によって異なります。

未確定の予定は予定として記載する

産休届を提出する時点では、実際の出産日、育児休業の終了日、復職日、保育所への入所状況などは確定していません。

確定していない内容を断定的に記載するのではなく、予定日であることが分かるようにしましょう。

たとえば、復職予定日の欄には、現時点の予定として令和○年○月○日と記載し、変更する場合は別途申し出ると付記する方法があります。

会社側も、産休届に書かれた復職予定日を確定事項として扱うのではなく、育児休業申出書などによって改めて確認する必要があります。

出産予定日と実際の出産日が異なった場合は、産後休業の期間や社会保険料免除の対象期間が変わる可能性があります。

出産後は、実際の出産日を会社へ忘れずに報告してください。

修正方法と提出後の保管

提出後に記載内容の誤りへ気付いた場合は、自己判断で書類を差し替えるのではなく、担当者へ連絡して修正方法を確認します。

紙の書類であれば訂正印や再提出、電子申請であれば申請の取下げや再申請など、会社ごとに方法が異なります。

従業員側でも、提出した産休届の写しや送信したメールを保管しておくと安心です。

会社側も、受領日、産前休業開始日、出産予定日、出産後の変更内容などを確認できる状態で保存します。

給与計算や行政手続きに関係するため、担当者間で情報が分断されないようにしましょう。

私が実務で確認するときは、産休届の記載内容と、勤怠システム、給与計算、社会保険の届出に入力された日付が一致しているかを見ます。

どこか一つだけ日付が異なると、後から修正が必要になりやすいためです。

産休届のテンプレートの使い方

産休届のテンプレートは、WordやExcelで作成されたものが多く、必要事項を入力して印刷またはデータで提出します。

無料テンプレートも多数ありますが、インターネット上のものを使用する前に、勤務先に指定様式がないか確認してください。

勤務先に指定様式がある場合、外部のテンプレートを使用すると、会社が必要とする項目が不足したり、社内の承認ルートに乗らなかったりする可能性があります。

まずは人事、総務、上司などへ問い合わせるのが確実です。

従業員がテンプレートを使うときの確認事項

従業員がテンプレートを使用するときは、少なくとも次の点を確認しましょう。

  • 勤務先の正式な様式か
  • 現在も使用されている最新版か
  • 提出先と提出期限が記載されているか
  • 出産予定日と休業開始日の欄が分かれているか
  • 単胎妊娠と多胎妊娠を区別できるか
  • 育児休業の申し出を兼ねる書類か
  • 押印や添付書類が必要か

特に確認したいのが、産休届と育児休業申出書を兼ねているかどうかです。

一枚の書類で両方を申し出る会社もありますが、別々の申請を求める会社もあります。

産休届へ育児休業の予定を書いたから手続きが完了したと思い込まないようにしましょう。

また、古いテンプレートには、現在の制度や社内の運用に合わない項目が残っていることがあります。

会社の共有フォルダから取得した場合でも、更新日や担当部署を確認してください。

会社がテンプレートへ設けたい項目

会社が産休届のテンプレートを作成する場合は、従業員が迷わず記入できることと、担当者が後続手続きを進められることの両方を意識します。

項目 記載内容 実務上の確認点
申出者情報 所属、氏名、従業員番号 被保険者情報と照合する
出産情報 出産予定日、単胎・多胎の別 産前休業開始可能日を確認する
休業期間 産前休業開始日、終了予定日 有給休暇との区分を確認する
育児休業 取得予定の有無、予定期間 別途正式な申出が必要か案内する
復職情報 復職予定日、希望する働き方 未確定の場合は予定として管理する
連絡先 電話番号、メールアドレス 利用目的と管理方法を明確にする
引き継ぎ 引き継ぎ先、関連資料 過度な記載を求めない

記載欄だけでなく、提出先、提出期限、添付書類、出産後に必要な報告についても様式内に案内しておくと、問い合わせを減らせます。

たとえば、出産後○日以内を目安に出産日を担当部署へ連絡する、育児休業を希望する場合は別紙を提出するといった説明です。

産休届以外の様式も一連で整備する

会社側では、産休届だけを単独で作成するのではなく、産休から復職までに必要な様式を一連で整備すると管理しやすくなります。

  • 妊娠・出産に関する申出書
  • 産休届
  • 出産後の報告書
  • 育児休業申出書
  • 育児休業期間変更申出書
  • 復職届
  • 短時間勤務等の申出書

同時に、会社内部で使用するチェックリストも作成すると効果的です。

従業員へ渡す書類、社会保険の届出、出産手当金の証明、住民税の取扱い、貸与物、復職前面談などを時系列で管理します。

テンプレートは手続きを円滑にするための道具です。

会社所定の書式がないことを理由に、産前休業の請求を受け付けない運用は避ける必要があります。

また、テンプレートへ不要な情報を詰め込みすぎないことも大切です。

妊娠の経過や家族構成など、手続きに直接必要のない情報まで必須項目にすると、従業員の負担や個人情報管理上のリスクが増えます。

紙と電子申請のどちらがよいか

紙と電子申請のどちらにも利点があります。

紙は本人が内容を確認しやすく、運用を始めやすい一方、紛失、保管、担当者への回付に注意が必要です。

電子申請は、提出日時や承認状況を記録しやすく、在宅勤務中や休業直前でも提出できます。

電子化する場合は、入力した内容を本人が保存または確認できるようにし、承認後に変更があった場合の修正方法も定めましょう。

会社側では、産休届の情報を給与、勤怠、社会保険の担当者が必要な範囲で共有できる仕組みを整えることが重要です。

会社が行う産休の手続き

従業員から産休届を受け取った会社は、休業期間を確認したうえで、勤怠、給与、社会保険、住民税、業務の引き継ぎなどを整理します。

産休届をファイルへ保管するだけでは、会社側の手続きは完了しません。

産休前、産休中、出産後、育児休業への移行時で必要な対応が異なるため、時系列で管理すると分かりやすくなります。

産休届を受け取った直後の確認

  1. 出産予定日を確認する
  2. 単胎妊娠か多胎妊娠かを確認する
  3. 産前休業開始日を確認する
  4. 最終出勤日と有給休暇の期間を確認する
  5. 社会保険の加入状況を確認する
  6. 産休中の給与や賞与の取扱いを確認する
  7. 育児休業の取得予定を確認する
  8. 休業中の連絡方法を確認する

最初に日付を正確に整理することが重要です。

最終出勤日、年次有給休暇、産前休業開始日が混在していると、勤怠や給与の処理を誤りやすくなります。

担当者は本人と一緒にカレンダーを確認し、それぞれの日付を分けて記録するとよいでしょう。

また、産休中の給与を支払うかどうかは、労働基準法に全国一律の定めがあるわけではなく、就業規則や雇用契約によります。

無給とする会社が多い一方、会社独自の有給制度や手当を設けている場合もあります。

本人へ説明するときは、休業できるかどうかと、給与が支払われるかどうかを分けて伝えてください。

産休中に賞与の支給日がある場合の取扱いについては、 産休中のボーナスと社会保険料の考え方 も参考になります。

休業開始までに行う準備

産休開始前には、業務の引き継ぎ、貸与物の取扱い、休業中の連絡方法、給与明細や源泉徴収票の交付方法などを確認します。

パソコンや携帯電話を会社へ返却する場合、休業中に会社からメールを受け取れなくなるため、私用メールアドレスなど別の連絡先を確認しておく必要があります。

引き継ぎは必要ですが、妊娠中の従業員へ過度な負担をかけないようにします。

体調によって予定より早く休業に入る可能性も考え、妊娠報告後から少しずつ共有を進めると安心です。

特定の従業員しか分からない業務を日頃から減らしておくことも、会社のリスク管理になります。

産休開始直前にまとめて引き継ぐのではなく、業務一覧、保存場所、取引先、定期業務の期限などを日頃から共有しておくと、本人の体調が急に変化した場合にも対応しやすくなります。

産休中と出産後に行う手続き

産休に入った後、会社は産前産後休業取得者申出書を日本年金機構へ提出し、健康保険料と厚生年金保険料の免除手続きを進めます。

出産後は、実際の出産日を本人から確認し、申出書に記載した予定と異なる場合は、必要に応じて変更の届出を行います。

出産手当金を申請する場合は、申請書の事業主証明欄へ、休業期間や賃金の支払い状況などを記載します。

給与の締日や申請期間によっては、休業期間を複数回に分けて申請することもあります。

会社は、本人がいつ申請を希望しているかを確認し、証明に必要な給与計算が確定した後に対応します。

住民税を給与から控除している場合、産休中に給与が支払われないと控除できなくなることがあります。

普通徴収へ切り替えるのか、休業前にまとめて控除するのか、本人が会社へ振り込むのかなど、会社と本人で確認が必要です。

自治体や時期によって処理が異なるため、給与担当者が個別に確認しましょう。

育児休業への移行と復職準備

本人が産後休業に続けて育児休業を取得する場合は、育児休業の申出を受け、会社側で別途必要な手続きを進めます。

産前産後休業と育児休業では、社会保険料免除の届出も別です。

育児休業給付金を受給する場合は、雇用保険上の申請も必要です。

会社が申請を代行するのか、本人が希望する頻度、申請に必要な書類などを案内します。

産休届を受け取った段階で、育児休業までの大まかなスケジュールを本人へ説明しておくと、産後の問い合わせを減らせます。

復職前には、復職予定日、保育所の状況、短時間勤務の希望、時間外労働の制限、子の看護等休暇などを確認します。

産休前に書いた復職予定日がそのまま確定するとは限らないため、復職前面談などで改めて確認しましょう。

会社は、妊娠、出産、産前産後休業の取得などを理由として、解雇その他の不利益な取扱いをしてはいけません。

また、妊娠・出産等に関するハラスメントを防止するための措置も必要です。

私が会社の実務を確認するときは、産休届の受付、社会保険料免除、出産手当金、育児休業、育児休業給付、復職準備を一枚の管理表にまとめます。

担当者が変わった場合でも、現在どの段階にあるのかを確認できるからです。

産前産後休業取得者申出書とは

産前産後休業取得者申出書は、産前産後休業期間中の健康保険料と厚生年金保険料の免除を受けるために、事業主が日本年金機構へ提出する書類です。

正式には、健康保険・厚生年金保険産前産後休業取得者申出書と呼ばれます。

従業員本人が年金事務所へ直接提出する書類ではなく、本人から産前産後休業を取得する旨の申し出を受けた会社が手続きを行います。

産休届は、この行政手続きを始めるための社内情報としても重要です。

提出先と提出方法

提出方法には、電子申請、郵送、年金事務所の窓口への持参があります。

郵送の場合は事務センター、窓口へ持参する場合は事業所を管轄する年金事務所が提出先になります。

電子申請に対応している会社は、e-Govなどを利用して手続きできます。

提出時期は、産前産後休業をしている間、または産前産後休業終了後の終了日から起算して1か月以内です。

産休に入る前に将来の予定だけで提出するのではなく、産前産後休業が始まった後に提出する点に注意してください。

申出書の様式、届書作成プログラム、電子申請の方法などは変更されることがあります。

手続き時には、 日本年金機構「産前産後休業を取得し、保険料の免除を受けようとするとき」 で最新情報をご確認ください。

社会保険料が免除される期間

産前産後休業取得者申出書を提出すると、産前産後休業開始日の属する月から、休業終了日の翌日が属する月の前月までの健康保険料と厚生年金保険料が免除されます。

休業終了日が月末の場合は、休業終了月まで免除対象となるのが基本です。

たとえば、産前産後休業が6月15日に始まり、9月10日に終了する場合、原則として6月から8月までが免除対象になります。

9月10日の翌日は9月11日であり、その属する月の前月が8月だからです。

一方、休業終了日が9月30日であれば、9月まで免除対象になります。

項目 内容
免除される保険料 健康保険料・厚生年金保険料
従業員負担分 免除される
事業主負担分 免除される
被保険者資格 休業中も継続する
将来の年金額 保険料を納めた期間として扱われる

免除されるのは従業員負担分だけではなく、事業主負担分も含まれます。

また、免除期間中も健康保険と厚生年金保険の被保険者資格がなくなるわけではありません。

将来の年金額を計算するときも、保険料を納付した期間として扱われます。

従業員が会社へ産休届を提出しただけでは、社会保険料免除の申し出は完了しません。

会社が産前産後休業取得者申出書を日本年金機構へ提出する必要があります。

免除対象となる産前産後休業期間

社会保険料免除における産前産後休業とは、出産日以前42日、多胎妊娠の場合は98日から、出産日後56日までの間で、妊娠または出産を理由として労務に従事しなかった期間をいいます。

出産日が出産予定日より後になった場合は、出産予定日以前42日または98日から計算します。

法定の産前休業を取得できる期間に入っていても、本人が実際に勤務している期間は、産前産後休業として社会保険料免除の対象に含めることはできません。

本人がいつから労務に従事しなかったのかを、産休届や出勤簿などによって確認することが重要です。

また、産前休業に入る前に年次有給休暇を使用した期間は、産前産後休業とは別に扱われるのが基本です。

産休届に記載された開始日と、実際の勤怠が一致しているかを確認しましょう。

出産日が変わった場合の届出

出産予定日と実際の出産日が異なり、産前産後休業期間が変更になった場合や、休業終了予定日より前に休業を終了した場合には、産前産後休業取得者変更(終了)届を速やかに提出します。

特に、出産日が予定日より遅れた場合は、産前の期間が予定より長くなり、産後休業は実際の出産日の翌日から始まります。

逆に、予定日より早く出産した場合も、実際の出産日を基準に産後休業期間が決まります。

産休届に書かれた予定日だけで社会保険の処理を完結させず、出産後に実際の出産日を確認してください。

変更届が必要かどうかは、申出書を提出した時期や記載内容によって異なるため、個別に確認が必要です。

会社側では、本人から出産報告を受ける方法をあらかじめ決めておくとよいでしょう。

出産直後の本人へ複雑な手続きを求めるのではなく、まずは出産日だけをメール等で報告してもらい、その他の書類は体調を見ながら提出してもらう運用が現実的です。

出産手当金の申請は別に必要

出産手当金の申請は別に必要

出産手当金は、健康保険の被保険者本人が、出産のため会社を休み、その期間について給与の支払いを受けられない場合に、一定の要件のもとで支給される給付です。

産休中の生活を支える重要な制度ですが、産休届を提出しただけで自動的に支給されるものではありません。

また、産前産後休業取得者申出書は社会保険料を免除するための届出であり、出産手当金を申請する書類ではありません。

出産手当金を受給するには、健康保険出産手当金支給申請書による別の申請が必要です。

出産手当金の主な対象者

出産手当金の主な対象となるのは、勤務先の健康保険に被保険者本人として加入し、出産のため仕事を休み、その期間について給与の支払いを受けなかった方です。

会社員であっても、家族の健康保険の扶養に入っている方は、被扶養者であり被保険者本人ではないため、原則として出産手当金の対象にはなりません。

また、国民健康保険には、一般に会社員の健康保険と同じ出産手当金の仕組みはありません。

ただし、加入している制度や自治体独自の給付がある場合は、加入先へ確認してください。

産休を取得できるかどうかと、出産手当金を受けられるかどうかは別の判断です。

パートや契約社員でも産前産後休業は取得できますが、出産手当金については健康保険の加入状況などを確認する必要があります。

産休を取得したすべての人に、必ず出産手当金が支給されるわけではありません。

健康保険の加入状況、仕事を休んだ期間、給与の支払い状況などによって判断が異なります。

支給対象となる期間

一般的な支給対象期間は、出産の日以前42日、多胎妊娠の場合は98日から、出産日の翌日以後56日までの範囲で、実際に仕事を休んだ期間です。

出産日は産前の期間に含まれます。

出産が予定日より遅れた場合は、出産予定日の以前42日または98日から、実際の出産日までの遅れた期間についても支給対象になり得ます。

予定日より遅れたことで、産前の支給対象期間が長くなる仕組みです。

ただし、対象期間内であっても実際に勤務した日は、原則として出産手当金の支給対象にはなりません。

産前休業を請求せず出産直前まで働いた場合は、その勤務日について出産手当金を受けることはできません。

支給額の基本的な考え方

出産手当金の1日当たりの支給額は、原則として、支給開始日以前12か月間の各標準報酬月額を平均した額を30で割り、その3分の2に相当する額です。

1日当たりの支給額の一般的な計算式

支給開始日以前12か月間の各標準報酬月額の平均額 ÷ 30 × 3分の2

ただし、支給開始日以前の健康保険の被保険者期間が12か月未満の場合は、別の方法によって計算されます。

また、出産手当金は月給そのものを基準にするのではなく、社会保険上の標準報酬月額を用いて計算します。

そのため、実際の手取り額の3分の2がそのまま支給されるわけではありません。

休業中に給与が支払われた場合も注意が必要です。

給与の額が出産手当金の額以上であれば、原則としてその日の出産手当金は支給されません。

給与が出産手当金より少ない場合は、差額が支給されることがあります。

具体的な支給額は、加入期間、標準報酬月額、給与の支払い状況などによって異なります。

数値はあくまで一般的な目安として考え、実際の金額は加入する健康保険へ確認してください。

申請書には会社と医師等の証明が必要

出産手当金支給申請書には、本人が記載する欄のほか、事業主が勤務状況や賃金支払い状況を証明する欄、医師または助産師が出産に関する事項を証明する欄があります。

会社を経由して健康保険へ提出する運用もあれば、本人が会社と医療機関から証明を受けて直接提出する運用もあります。

加入する健康保険と勤務先の案内を確認しましょう。

手続き 目的 主な提出先 自動的に行われるか
産休届 会社へ産休取得を申し出る 勤務先 本人の申し出が必要
産前産後休業取得者申出書 社会保険料の免除を受ける 日本年金機構 会社の届出が必要
出産手当金支給申請書 休業中の所得を補う給付を申請する 協会けんぽまたは健康保険組合 別途申請が必要

申請は、産前分と産後分をまとめて行う方法のほか、産前分と産後分を分けて行う方法もあります。

分けて申請すれば早い段階で一部の給付を受けられる可能性がありますが、その都度、会社や医師等の証明が必要になる場合があります。

退職する場合は特に確認が必要

退職後も一定の要件を満たす場合には、出産手当金を継続して受給できることがあります。

一般には、退職日前日までに継続して1年以上被保険者期間があり、退職日の前日に出産手当金を受けているか、受けられる状態にあることなどが問題になります。

退職日に出勤した場合など、退職日の勤務状況が支給可否へ影響することがあります。

また、任意継続被保険者になったことだけを理由に、任意継続期間中の出産手当金が新たに支給されるわけではありません。

退職後の出産手当金は、資格喪失日、被保険者期間、退職日の出勤状況、産前休業の開始日などによって判断が分かれます。

退職を予定している方は、退職日を決める前に加入する健康保険や専門家へ確認してください。

会社側も、退職予定者から産休や出産手当金について相談を受けた場合は、安易に支給される、支給されないと断定しないようにしましょう。

個別の加入記録や勤務状況を確認したうえで案内する必要があります。

産休届から手続きの流れを確認

産休に関する手続きは、従業員が会社へ産休届を提出するところから始まります。

その後、会社が社会保険料免除の届出を行い、出産後には実際の出産日を確認します。

出産手当金を受ける場合には、さらに健康保険への申請が必要です。

それぞれの書類は提出先と目的が異なるため、一つの書類ですべてが完了するとは考えないようにしましょう。

最後に、従業員側と会社側に分けて、手続きの全体像を確認します。

産休前に行うこと

  1. 従業員が妊娠と出産予定日を会社へ報告する
  2. 会社の様式や提出期限を確認する
  3. 産前休業を開始できる日を確認する
  4. 最終出勤日と有給休暇の予定を整理する
  5. 従業員が産休届を会社へ提出する
  6. 会社が産休期間と給与の取扱いを確認する
  7. 業務の引き継ぎと休業中の連絡方法を決める

従業員の立場では、まず勤務先に指定の産休届があるかを確認し、出産予定日と産前休業の開始希望日を伝えることが大切です。

書式がない場合でも、産前休業を請求する意思と開始日が分かる形で会社へ申し出ます。

最終出勤日と産前休業開始日が同じとは限りません。

産休前に年次有給休暇を取得する場合は、それぞれの期間を会社と確認してください。

出産手当金や社会保険料免除に関係するため、日付を曖昧にしないことが重要です。

産休中から出産後に行うこと

  1. 会社が産前産後休業取得者申出書を提出する
  2. 会社が社会保険料の控除停止を給与へ反映する
  3. 出産後に従業員が実際の出産日を会社へ報告する
  4. 会社が産後休業の終了日を確定する
  5. 必要に応じて会社が変更(終了)届を提出する
  6. 出産手当金支給申請書を準備する
  7. 会社と医師等の証明を受けて健康保険へ申請する

会社は、産休届を受け取って終わりではありません。

社会保険料免除の手続き、出産日の確認、変更届の要否、出産手当金の事業主証明などを管理する必要があります。

出産後の本人は、心身ともに負担が大きい時期です。

会社側は、必要な連絡事項をまとめ、同じ内容を複数の担当者から繰り返し問い合わせないようにしましょう。

可能であれば、産休前に出産後の連絡方法と提出書類を説明しておくとスムーズです。

育児休業と復職に向けて行うこと

  1. 育児休業を取得する場合は会社へ別途申し出る
  2. 会社が育児休業中の社会保険手続きを行う
  3. 育児休業給付金の申請を進める
  4. 復職予定日や保育所の状況を確認する
  5. 短時間勤務などの利用希望を確認する
  6. 復職前面談を行う
  7. 復職後の勤務条件を本人と会社で共有する

産後休業から続けて育児休業を取得する場合でも、産休届だけですべての申し出が完了するとは限りません。

育児休業の申出書、育児休業給付金に必要な書類、会社独自の申請などを確認してください。

復職予定日は、保育所への入所状況や家庭の事情によって変更されることがあります。

会社側は、産休届に記載された日をそのまま確定日として扱わず、育児休業の申出や復職前の確認によって最新の予定を把握します。

産休届、社会保険料免除の申出書、出産手当金の申請書は、それぞれ目的と提出先が異なります。

この3段階を分けて考えると、手続きの漏れを防ぎやすくなります。

従業員が最後に確認したいチェック項目

  • 産休届を会社へ提出したか
  • 産前休業の開始日を確認したか
  • 有給休暇との区分を確認したか
  • 産休中の給与の有無を確認したか
  • 出産手当金の申請方法を確認したか
  • 出産後の連絡先を確認したか
  • 育児休業の別申請が必要か確認したか
  • 住民税や会社の貸与物について確認したか

会社が最後に確認したいチェック項目

  • 産休届の受領日を記録したか
  • 出産予定日と休業開始日を確認したか
  • 勤怠と給与へ休業期間を反映したか
  • 産前産後休業取得者申出書を提出したか
  • 出産後に実際の出産日を確認したか
  • 変更(終了)届の要否を確認したか
  • 出産手当金の事業主証明へ対応したか
  • 育児休業の申出と行政手続きを確認したか
  • 復職までの予定を管理しているか

産休届には法律上の統一様式がないため、勤務先によって書き方や提出方法は異なります。

しかし、従業員が産前休業を請求した事実と、休業開始日を明確にするという基本的な役割は共通しています。

従業員は、会社の指定様式と提出先を確認し、出産予定日や休業開始日を正確に記載してください。

会社は、産休届を受け取った後、社会保険料免除、出産手当金、育児休業への移行などを一連の手続きとして管理しましょう。

産休に関する手続きは、予定日と実際の出産日が異なることで変更が生じやすいのが特徴です。

最初の申請だけで完了したと思わず、出産後に日付を再確認することが大切です。

制度や申請様式、電子申請の取扱いは変更されることがあります。

正確な情報は公式サイトをご確認ください。

個別の雇用状況、社会保険の加入状況、給与の支払い方、退職予定などによって判断が分かれる場合には、 最終的な判断は専門家にご相談ください。

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