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産休はいつから?開始日の計算方法と申請手続きの注意点

こんにちは。

もりおか社会保険労務士事務所、社会保険労務士の川熊です。

産休のうち産前休業は、原則として出産予定日の6週間前から取得できます。

双子以上の多胎妊娠では14週間前から、産後休業は実際の出産日の翌日から8週間です。

ただし、産前休業は本人が会社へ請求して取得する制度であり、開始可能日になれば自動的に休業へ切り替わるわけではありません。

また、実際の出産日が予定日からずれると、産前休業や育児休業の期間にも影響します。

この記事では、産休がいつからいつまでなのか、開始日の計算方法、会社へ伝える時期、パートやアルバイトの取り扱い、出産手当金まで、社会保険労務士の実務目線で分かりやすく解説します。

産休の全体像については、産休とは?期間・条件・手当・会社手続きを解説した記事で確認できます。

産休の全体像については、産休とは?期間・条件・手当・会社手続きを解説した記事で確認できます。

  • 産前休業と産後休業の開始日
  • 出産日が予定日とずれた場合の扱い
  • 会社への報告と申請のタイミング
  • 育休や出産手当金との関係

産休はいつから?開始日の計算と手続きを解説

産休はいつからいつまで取れる?

一般に産休と呼ばれる制度は、出産前の産前休業と、出産後の産後休業に分かれています。

どちらも労働基準法に基づく制度ですが、休業期間の数え方だけでなく、本人からの請求が必要かどうかにも違いがあります。

産休がいつから始まるかを確認するときは、単に「出産予定日の何日前か」だけを見るのではなく、単胎妊娠か多胎妊娠か、実際の出産日が予定日とずれたか、本人がいつから休業を請求するかまで整理する必要があります。

会社側では、産前産後休業の期間が社会保険料免除などの手続きにも関係するため、日付を正確に把握することが重要です。

まずは、産前休業と産後休業それぞれの期間と、実務上間違えやすいポイントから確認していきましょう。

産前休業は予定日の6週間前

産前休業は、原則として 出産予定日の6週間前から出産日まで 取得できます。

日数で表すと42日前からです。

たとえば、出産予定日が10月1日であれば、原則として8月21日から産前休業を取得できます。

ここで注意したいのは、出産予定日当日も産前休業の期間に含まれることです。

出産予定日を境に機械的に産後休業へ切り替わるのではありません。

産後休業が始まるのは、あくまで実際に出産した日の翌日です。

産前休業の基本期間

  • 単胎妊娠は出産予定日の6週間前から
  • 日数では出産予定日の42日前から
  • 出産予定日当日は産前休業に含まれる
  • 実際の出産日までが産前休業となる

さらに重要なのが、 産前休業は本人が会社へ請求した場合に取得できる制度 だという点です。

産前休業を開始できる日になっただけで、自動的に欠勤扱いや休業扱いへ切り替わるわけではありません。

本人が産前休業を請求した場合、会社は請求された期間に働かせることができません。

一方で、本人が産前休業を請求せず、健康状態にも問題がない場合は、出産予定日の6週間前を過ぎても働き続けることが制度上は可能です。

たとえば、法律上は8月21日から産前休業を取れるケースで、本人が9月1日から休みたいと申し出ることもできます。

この場合、8月21日から必ず休まなければならないわけではなく、本人が請求した9月1日から産前休業に入るという整理になります。

反対に、会社側が「産前6週間に入ったので、今日から必ず休んでください」と一方的に就業を止めることについては、本人の請求がない産前期間の取り扱いとして慎重な判断が必要です。

業務上の安全配慮や医師の指導がある場合は別として、産前休業は本人の請求を前提とする制度だからです。

産前休業の請求方法

法律上、産前休業の請求について必ず特定の様式を使わなければならないとはされていません。

ただし、実務では、会社所定の産前産後休業申出書や休業届を提出することが一般的です。

申出書には、氏名、出産予定日、産前休業の開始希望日、産後に育児休業を取得する予定があるかなどを記載します。

会社によっては、母子健康手帳の出産予定日が分かるページの写しや、医療機関の証明書を求めることもあります。

口頭だけで伝えると、本人と会社の間で開始日の認識がずれる可能性があります。

私が実務で確認する際も、産前休業の開始希望日については、できる限り書面やメールなど記録が残る方法で共有するようにしています。

産前6週間より早く休みたい場合

法律上の産前休業が始まる前から休みたい場合は、年次有給休暇、会社独自の妊娠休暇、欠勤・休職制度などを利用できる可能性があります。

また、医師から勤務時間の短縮や休業などの指導を受けた場合は、母性健康管理措置の対象になることがあります。

妊娠中の体調は一人ひとり異なります。

つわりが重い、切迫早産の可能性がある、通勤や立ち仕事が大きな負担になっているといった場合は、産前休業の開始日だけで対応しようとせず、主治医と会社へ早めに相談してください。

会社側も、本人から具体的な相談があった場合には、業務内容の変更、休憩時間の確保、勤務時間の短縮などが必要かを確認します。

単に「産休開始日まで通常勤務してください」と考えるのではなく、医師の指導と本人の体調を踏まえて柔軟に対応することが大切です。

産前休業は、取得できる開始日と、実際に本人が休業を開始する日が一致しないことがあります。

この違いを理解しておくと、会社とのやり取りや出産手当金の申請でも迷いにくくなりますよ。

双子の産休は14週間前から

双子の産休は14週間前から

双子や三つ子などの多胎妊娠の場合、産前休業は 出産予定日の14週間前 から取得できます。

日数では98日前からです。

単胎妊娠では出産予定日の6週間前からであるのに対し、多胎妊娠では14週間前からとなるため、8週間早く産前休業を取得できることになります。

多胎妊娠は母体への負担が大きくなりやすく、早産となる可能性も考慮されるため、単胎妊娠より長い産前休業期間が設けられています。

妊娠の区分 産前休業の開始 産前の日数 産後休業の開始
単胎妊娠 出産予定日の6週間前 42日前 実際の出産日の翌日
多胎妊娠 出産予定日の14週間前 98日前 実際の出産日の翌日

多胎妊娠でも、産前休業は本人からの請求によって取得します。

出産予定日の14週間前に入った時点で、自動的に休業になるわけではありません。

本人がいつから休業したいかを会社へ申し出る必要があります。

会社側が特に注意したいのは、通常の42日前で計算してしまうことです。

従業員から出産予定日の報告を受けた際には、単胎妊娠か多胎妊娠かも確認し、産前休業の開始可能日を正しく計算しなければなりません。

実務では、会社所定の申出書に多胎妊娠であることを記載してもらい、母子健康手帳や医療機関の書類などで出産予定日を確認します。

書類の提出方法や必要な証明については会社ごとに異なるため、人事担当者へ事前に確認しておくとよいでしょう。

多胎妊娠でも産後休業は8週間

産前休業は単胎妊娠と多胎妊娠で期間が異なりますが、産後休業の期間はどちらも同じです。

実際の出産日の翌日から8週間が産後休業となります。

「双子なら産後休業も長くなるのではないか」と質問を受けることがありますが、労働基準法上の産後休業期間は、多胎妊娠であっても原則8週間です。

ただし、産後休業後に取得する育児休業や、育児に関する会社独自の支援制度については別途確認が必要です。

また、双子の出産が複数日にまたがったような特殊なケースでは、どの日を出産日として扱うかを個別に確認する必要があります。

通常は最後の子を出産した日を基準として産後期間を数える取り扱いが考えられますが、実際の手続きでは会社や年金事務所、健康保険の保険者へ確認するのが安全です。

多胎妊娠では早めの相談が重要です

多胎妊娠では、法律上の産前休業開始日より前から医師に安静を指示されることもあります。

14週間前より前であっても、医師の指導に基づく休業や勤務軽減が必要になる場合があるため、体調に変化があれば早めに会社へ相談してください。

産前休業に入る前から休業した場合、その期間が年次有給休暇、欠勤、会社独自の休職、傷病手当金の対象となる休業のいずれに当たるかは、事情によって異なります。

産前休業と、それ以前の体調不良による休業は制度上分けて考える必要があります。

また、多胎妊娠では産前休業が長くなるため、業務の引き継ぎにも十分な時間が必要です。

本人としては、体調を優先しつつ、引き継ぐ業務、休業中の連絡先、産後の育児休業予定などを早めに整理しておくと安心です。

会社側も、単胎妊娠を前提としたスケジュールで引き継ぎを進めないよう注意しましょう。

産休に入る時期が早いことを理由に不利益な取り扱いをすることは認められません。

多胎妊娠の事情を踏まえ、余裕のある人員配置を検討することが実務上のポイントです。

産後休業は出産翌日から8週間

産後休業は、 実際の出産日の翌日から8週間 です。

日数では56日間となり、出産した当日は産前休業に含まれます。

たとえば、10月1日に出産した場合は、10月1日が産前期間の最終日となり、10月2日から産後休業が始まります。

出産予定日が何日であったかにかかわらず、産後休業の起算日は実際の出産日の翌日です。

産前休業との大きな違いは、産後休業は本人が請求しなくても会社が与えなければならないことです。

会社は原則として、産後8週間を経過していない女性労働者を就業させることができません。

産前休業と産後休業の違い

  • 産前休業は本人の請求によって取得する
  • 産後休業は請求がなくても会社が与える
  • 産後6週間は本人が希望しても就業できない
  • 産後6週間経過後は一定条件で就業できる

産後6週間は就業できません

出産後6週間は、本人が希望したとしても就業できない絶対的な休業期間です。

会社が人手不足であったり、本人が在宅勤務を希望したりしても、業務を行わせることはできません。

この就業禁止には、会社へ出勤して働く場合だけでなく、在宅でメールに返信する、オンライン会議へ参加する、書類を作成するなどの業務も含まれると考える必要があります。

「少しだけなら大丈夫だろう」と業務を依頼するのは避けなければなりません。

中小企業では、本人が担当していた取引先から問い合わせがあり、休業中の本人へ確認してしまうケースがあります。

しかし、業務上の指示や対応を求めれば、実質的に就業させたと評価される可能性があります。

産休前に引き継ぎを済ませ、休業中は別の担当者が対応できる体制を整えることが大切です。

産後6週間を過ぎた後の就業

産後6週間を経過した後は、本人が就業を請求し、医師が支障ないと認めた業務に限って、産後8週間を待たずに働くことができます。

ここでは、本人からの請求と医師の判断の両方が必要です。

会社から「人手が足りないので復帰してほしい」と依頼するだけでは足りません。

また、本人が復帰したいと希望しても、医師が就業に支障があると判断した場合には働かせることはできません。

医師が認めるのは、必ずしも産前と同じ業務とは限りません。

通常業務への復帰は難しくても、身体への負担が少ない業務であれば可能と判断されることもあります。

その場合、会社は医師の意見を踏まえ、就業させる業務内容や勤務時間を具体的に確認する必要があります。

本人が早期復帰を希望しても慎重に

産後の回復状況には個人差があります。

本人が経済的な理由などから早期復帰を希望している場合でも、会社は医師の確認を省略せず、勤務時間、通勤負担、業務内容を慎重に検討してください。

流産や死産の場合の産後休業

労働基準法上の産後休業における出産には、妊娠4か月以上の分娩が含まれ、死産や流産も対象になります。

そのため、妊娠4か月以後に流産または死産となった場合も、原則として産後休業の取り扱いが必要です。

非常に繊細な場面ですので、会社側は本人の心身の状態やプライバシーに十分配慮しなければなりません。

社内で共有する情報は手続きに必要な範囲へ限定し、本人の同意なく事情を広く伝えることは避けるべきです。

また、産後休業、社会保険料免除、出産手当金などで、それぞれ「出産」の取り扱いや必要書類が関係します。

個別の事情によって確認事項が異なるため、会社の担当者、健康保険の保険者、年金事務所などへ確認してください。

産後休業は、本人の希望だけで自由に短縮できる休暇ではありません。

母体保護のために会社へ就業禁止を課している制度であることを、本人と会社の双方が理解しておくことが重要です。

出産日が予定日とずれた場合

出産日が予定日とずれた場合

出産予定日と実際の出産日が一致しないことは珍しくありません。

実際の出産日が予定日より早まるか遅れるかによって、産前休業の長さが変わります。

一方、産後休業は、出産予定日ではなく実際の出産日を基準に計算します。

そのため、出産日がずれたときは、産前休業の終了日だけでなく、産後休業の開始日と終了日、育児休業の開始予定日なども再計算しなければなりません。

予定日より早く出産した場合

出産が予定日より早まった場合、産前休業は実際の出産日までで終了します。

そのため、当初予定していた産前休業期間より短くなります。

たとえば、出産予定日が10月10日で、産前休業を8月30日から取得していたものの、実際には10月5日に出産した場合、産前休業は10月5日までとなります。

予定日より5日早く出産しているため、当初想定していた産前休業も5日短くなります。

産後休業は、実際の出産日の翌日である10月6日から8週間です。

もともとの出産予定日である10月10日を基準に産後休業を計算してはいけません。

確認項目 予定日より5日早く出産した場合
産前休業の終了 実際の出産日まで
産前休業の日数 当初の予定より5日短くなる
産後休業の開始 実際の出産日の翌日
産後休業の期間 実際の出産日の翌日から8週間

出産が早まった場合は、育児休業の開始予定日も前倒しになる可能性があります。

出産した女性の育児休業は、通常、産後休業の終了日の翌日から始まるためです。

育児休業申出書に当初の予定日を前提とした開始予定日を記載していた場合は、実際の出産日に合わせて変更手続きが必要になることがあります。

会社へ出産日を報告する際に、育児休業の開始日も確認するとスムーズです。

予定日より遅く出産した場合

出産が予定日より遅れた場合は、予定日を過ぎてから実際に出産する日までの期間も産前休業として扱われます。

つまり、 遅れた日数分だけ産前休業が延びる ことになります。

たとえば、出産予定日が10月1日で、実際の出産日が10月6日だった場合、10月2日から10月6日までの5日間も産前休業に含まれます。

産前休業が6週間を超えているように見えますが、予定日を超過した期間はそのまま産前休業として扱われます。

出産が遅れたからといって、産後休業が短くなることはありません。

産後休業は、実際の出産日の翌日である10月7日から8週間確保されます。

予定日を過ぎても休業期間がなくなるわけではありません

予定日から実際の出産日までの期間は産前休業となり、その後、実際の出産日の翌日から改めて8週間の産後休業が始まります。

出産予定日を過ぎた従業員に対して、会社が「予定日を過ぎたので産前休業は終了した」と考えて出勤を求めることはできません。

実際に出産するまで産前休業が続くため、就業を求めないよう注意が必要です。

会社へ実際の出産日を報告する

出産後は、本人または家族から会社へ実際の出産日を報告します。

会社所定の出産報告書がある場合は、その書式に従ってください。

会社側では、出産日の報告を受けた後、次のような日付や手続きを確認します。

  • 産前休業の実際の終了日
  • 産後休業の開始日と終了日
  • 育児休業の開始予定日
  • 社会保険料免除の対象期間
  • 出産手当金申請書に記載する休業期間
  • 復職予定日や社内管理表の日付

会社側で確認したいポイント

実際の出産日が予定日と異なった場合は、産後休業の終了日、育児休業の開始予定日、社会保険料免除の届出内容などを見直します。

予定日を登録したまま処理を進めないよう注意が必要です。

特に社会保険料免除については、会社が産前産後休業取得者申出書を提出します。

出産予定日と実際の出産日が異なり、休業期間に変更が生じた場合は、変更の届出が必要になることがあります。

本人としては、出産直後に複数の手続きを細かく確認するのは負担になります。

産休前に、出産後は誰に、どの方法で、何を報告するのかを会社と決めておくとよいでしょう。

家族から連絡してもよいのかも確認しておくと安心です。

出産予定日から出産日がずれた場合の計算や会社手続きは、 産休と出産予定日の関係を解説した記事 でも詳しく整理しています。

産休開始日の計算と早見表

産前休業の開始日は、出産予定日から6週間、または多胎妊娠の場合は14週間さかのぼって計算します。

単純に「1か月半前」と考えると、月ごとの日数の違いによって日付を間違えやすいため、日数で計算するのが確実です。

単胎妊娠は42日前、多胎妊娠は98日前となります。

ただし、ここでいう42日前または98日前は、出産予定日当日を産前期間に含めて数える必要があります。

カレンダー上で単純に42日を引いた結果と、制度上の開始日の数え方が混乱しやすいため、厚生労働省の自動計算ページなどを利用すると安心です。

出産予定日 単胎妊娠の開始日 多胎妊娠の開始日
4月1日 2月19日ごろ 前年12月24日ごろ
7月1日 5月21日ごろ 3月25日ごろ
10月1日 8月21日ごろ 6月25日ごろ
1月1日 前年11月21日ごろ 前年9月25日ごろ

上記は仕組みを理解するための一般的な早見表です。

年による暦の違い、うるう年、入力条件などによって日付が異なる場合があるため、実際の開始日は個別に計算してください。

産休開始日を計算する手順

開始日の確認方法

  • 医療機関から伝えられた出産予定日を確認する
  • 単胎妊娠か多胎妊娠かを確認する
  • 単胎は42日前、多胎は98日前を確認する
  • 法律上の開始可能日と実際の開始希望日を分ける
  • 会社へ実際に休業を始める日を申し出る

最初に確認するのは、医療機関から伝えられた出産予定日です。

自分で計算した予定日ではなく、医師から示された予定日を基準にします。

次に、単胎妊娠であれば6週間前、多胎妊娠であれば14週間前の日付を確認します。

この日が法律上、産前休業を取得できる最も早い日です。

そのうえで、実際にいつから休業したいかを決めます。

法律上の開始可能日から休む必要はなく、本人が希望するのであれば、それより後の日から産前休業を請求することも可能です。

たとえば、開始可能日が8月21日でも、業務の区切りや年次有給休暇の使い方を考え、8月25日から産前休業を請求することができます。

一方、8月21日より前から休みたい場合は、その前の期間について別の休暇制度を利用する必要があります。

有給休暇と組み合わせる場合

産前休業に入る前に年次有給休暇を利用するケースもよくあります。

たとえば、法律上の産前休業開始日が8月21日で、8月10日から休みたい場合、8月10日から8月20日まで年次有給休暇を取得し、8月21日から産前休業へ切り替える方法があります。

また、産前休業を取得できる期間に入った後でも、年次有給休暇を使うことが可能かは、本人の請求内容や会社の運用を踏まえて整理します。

年次有給休暇を使えば賃金が支払われる一方、出産手当金は給与の支払い状況により支給されない、または差額支給となる可能性があります。

そのため、年次有給休暇を使う方が有利か、産前休業として出産手当金を申請する方がよいかは、給与額、残っている有給休暇の日数、健康保険の加入状況などによって変わります。

開始日だけでなく収入面も確認しましょう

有給休暇、会社独自の有給の産休、無給の産前休業では、休業中に受け取れる給与や出産手当金の金額が異なる可能性があります。

会社の給与規程と健康保険の取り扱いを併せて確認してください。

厚生労働省の自動計算ページでは、出産予定日を入力して産前休業、産後休業、育児休業の目安を確認できます。

計算結果は会社の担当者とも共有しておくとよいでしょう。

(出典:厚生労働省「産前・産後休業、育児休業の自動計算」)

なお、法律上の開始可能日より前から休みたい場合は、会社独自の休暇制度、有給休暇、欠勤・休職制度などを利用できる可能性があります。

また、医師から休業などの指導を受けた場合は、母性健康管理措置の対象となることがあります。

正確な開始日は、出産予定日、妊娠の状況、会社への請求日などによって確認します。

計算に不安がある場合は、会社の人事担当者や社会保険労務士へ相談してください。

産休はいつから会社に伝える?

法律上、妊娠報告を行う時期について一律の期限はありません。

ただし、産前休業は本人からの請求が必要であり、会社側にも業務の引き継ぎや社会保険手続きの準備があります。

また、妊娠中に体調への配慮が必要な場合、会社は妊娠の事実や医師の指導内容を把握しなければ適切な対応ができません。

いつ伝えるべきかは、妊娠週数だけで一律に決めるのではなく、体調、仕事内容、職場環境などを踏まえて考える必要があります。

ここからは、妊娠報告の目安、正式な産休申請、パートやアルバイトの取り扱い、育児休業や出産手当金との関係を確認していきます。

妊娠報告をする時期の目安

妊娠をいつ会社へ伝えるかについて、法律で具体的な期限は定められていません。

妊娠初期は経過が安定しないこともあるため、報告時期は本人の体調や仕事内容、職場環境によって判断することになります。

実務では、妊娠12週前後から安定期に入る頃までに、まず直属の上司や人事担当者へ伝えるケースが多く見られます。

ただし、これはあくまで一般的な目安であり、必ずこの時期に報告しなければならないわけではありません。

妊娠が分かってすぐに報告する方もいれば、一定期間が経過してから報告する方もいます。

本人のプライバシーに関わる情報ですので、体調上の配慮や業務調整が不要な段階であれば、報告時期を慎重に考えること自体は不自然ではありません。

一方、勤務上の配慮が必要な状況では、会社へ伝えないまま無理を続けるのは避けた方がよいでしょう。

会社は妊娠を把握しなければ、業務内容の変更、勤務時間の調整、通院時間の確保などを検討できないためです。

早めの相談を検討したいケース

  • つわりなどで通常勤務が難しい
  • 重量物を取り扱う仕事をしている
  • 長時間の立ち仕事がある
  • 夜勤や不規則勤務がある
  • 出張や長距離移動が多い
  • 有害物質を取り扱う可能性がある
  • 医師から勤務上の指導を受けた

最初は誰に伝えるか

最初の報告先は、一般的には直属の上司または人事・総務担当者です。

会社の就業規則や社内マニュアルで報告先が決まっている場合は、そのルールに従います。

直属の上司へ報告する場合は、まず個別に話す時間を設けてもらい、出産予定日、現在の体調、勤務上必要な配慮、産休に入るおおよその時期を伝えるとよいでしょう。

この段階で、同僚や取引先へいつ伝えるかまで決める必要はありません。

妊娠に関する情報はプライバシー性が高いため、誰まで共有してよいかを上司や人事担当者と確認してください。

報告時に伝えておくとよい内容

  • 出産予定日
  • 現在の体調と勤務への影響
  • 通院や勤務調整の必要性
  • 産前休業を開始できるおおよその時期
  • 職場内で共有してよい範囲

医師から勤務上の指導を受けた場合

医師から通勤緩和、休憩の増加、勤務時間の短縮、作業の制限、休業などの指導を受けた場合は、その内容を会社へ伝えます。

口頭で説明するだけでは、会社が具体的にどのような措置を取ればよいか判断しにくいことがあります。

そのような場合は、母性健康管理指導事項連絡カードを利用して、医師の指導内容を会社へ伝える方法があります。

会社は、医師の指導内容を把握した場合、必要な措置を検討しなければなりません。

本人の体調を軽視し、「他の妊婦も同じ仕事をしていた」「産休まであと少しだから頑張ってほしい」と一律に通常勤務を求める対応は適切ではありません。

私が会社側から相談を受ける際も、妊娠しているという事実だけで判断するのではなく、医師の指導内容、現在の業務、代替可能な作業などを一つずつ整理します。

妊娠の経過には個人差があるため、他の従業員の過去の事例をそのまま当てはめないことが重要です。

妊娠や産休を理由とする不利益取り扱い

妊娠や産休の取得などを理由として、解雇、雇止め、降格その他の不利益な取り扱いをすることは禁止されています。

たとえば、妊娠を報告した直後に合理的な理由なく契約を更新しない、正社員からパートへの変更を迫る、退職を勧めるといった対応は、法令上問題になる可能性があります。

ただし、妊娠中の安全確保のために業務内容を変更することが、直ちに不利益取り扱いになるとは限りません。

本人の希望や医師の指導を踏まえた合理的な措置かどうかを個別に確認します。

会社の対応に不安がある場合

妊娠報告後に退職を迫られた、契約更新を断られた、理由なく賃金を下げられたなどの事情がある場合は、やり取りの記録を残し、都道府県労働局や社会保険労務士などへ相談してください。

会社へ妊娠を伝えることに不安を感じる方もいますが、勤務上の配慮や産休手続きを進めるためには、一定の段階で報告が必要になります。

体調と業務の状況を見ながら、必要以上に遅らせず相談するのがよいかなと思います。

産休手続きはいつまでに行う?

産休手続きはいつまでに行う?

産前休業の申請時期についても、労働基準法上、一律に「開始日の何日前まで」といった期限は定められていません。

ただし、産前休業は本人からの請求がなければ始まらないため、休業開始日より前に会社へ意思を伝え、必要な手続きを済ませておく必要があります。

会社の就業規則や育児・介護休業規程などで、産休申出書の提出期限や必要書類が定められている場合があります。

妊娠を報告した際に、申請様式、提出期限、添付書類、提出先を確認しましょう。

実務では、妊娠8か月頃までを目安に正式な産休申請を行い、業務の引き継ぎや社会保険関係の準備を進めるケースが一般的です。

ただし、体調が不安定な場合や多胎妊娠の場合は、さらに早く休業へ入る可能性があるため、早めに手続きしておく方が安心です。

産休前に会社と確認する項目

  • 出産予定日
  • 産前休業の開始希望日
  • 産後休業の終了予定日
  • 産後に育児休業を取得するか
  • 育児休業の申出方法と提出期限
  • 業務の引き継ぎ予定
  • 休業中の連絡方法
  • 出産後の報告方法
  • 出産手当金の申請方法
  • 社会保険料免除の手続き
  • 住民税や会社からの請求の支払方法

特に、産前休業と育児休業は別の制度であり、申出方法も異なります。

産休を申し出れば自動的に育児休業の手続きまで完了するとは限りません。

産後休業終了後にそのまま育児休業へ入りたい場合は、育児休業申出書の提出期限も確認してください。

出産予定日を基準として仮の日付を設定し、実際の出産後に変更する運用を取る会社もあります。

産休前に手続き一覧を作っておきましょう

出産後は体調の回復や育児で、会社との細かなやり取りが負担になりやすい時期です。

誰が、いつ、どの書類を提出するかを産休前に一覧化しておくと、申請漏れを防ぎやすくなります。

会社へ提出することが多い書類

会社によって名称は異なりますが、一般的には、産前産後休業申出書、育児休業申出書、出産手当金支給申請書、扶養追加に関する書類などを扱います。

出産手当金支給申請書には、本人が記入する欄だけでなく、会社と医師または助産師が記入する欄があります。

そのため、本人だけで申請を完結できるわけではありません。

また、子どもを健康保険の扶養へ入れる場合は、配偶者との収入比較や加入している健康保険の審査が必要になることがあります。

出生後に慌てないよう、必要書類を事前に確認しておくとよいでしょう。

手続き 主な確認内容 主な対応者
産前産後休業の申出 出産予定日、休業開始日 本人から会社
社会保険料免除 産前産後休業の期間 会社から年金事務所等
出産手当金 休業期間、給与の支払状況 本人、会社、医師等
育児休業の申出 育児休業開始予定日 本人から会社
子の扶養追加 被扶養者の要件 本人または配偶者の会社

社内の申請期限を過ぎた場合

社内期限を過ぎても産休自体を拒否できるとは限りません

産前産後休業は法律に基づく制度です。

社内規程の提出期限を過ぎたことだけを理由に、法定の産休を一律に認めない取り扱いは適切ではありません。

ただし、円滑な手続きと引き継ぎのため、可能な限り社内ルールに沿って早めに申し出ましょう。

急な体調悪化や早産などにより、事前の申請が間に合わないこともあります。

その場合、会社は事情を確認し、後日書類を提出してもらうなど、現実的な対応を検討する必要があります。

本人としても、提出期限を過ぎたから産休が取れないと自己判断する必要はありません。

まず会社へ状況を説明し、必要な手続きを確認してください。

会社が行う社会保険手続き

会社側では、産前産後休業期間中の健康保険料と厚生年金保険料を免除するため、産前産後休業取得者申出書を提出します。

この免除は、本人負担分だけでなく会社負担分にも関係します。

産前産後休業を取得していることを正確に届け出る必要があるため、開始日と終了予定日を間違えないことが重要です。

実際の出産日が予定日と異なり、産前産後休業の期間が変わった場合は、変更の届出が必要になることがあります。

会社は出産後に実際の出産日を確認し、当初の申出内容と差がないかを確認しましょう。

本人も会社へ出産日を報告しましょう

社会保険の手続きは会社が行うことが一般的ですが、会社は実際の出産日を把握しなければ変更手続きを行えません。

出産後の連絡方法を産休前に決めておくことが大切です。

本人としても、出産後は体調や育児で手続きの確認が難しくなりがちです。

産休前に、誰へ何を提出するのか、会社が行う手続きと本人が行う手続きを分けて整理しておくと安心です。

パートやアルバイトも取得可能

産前産後休業は、正社員だけの制度ではありません。

パート、アルバイト、契約社員、派遣社員なども、雇用形態にかかわらず対象 です。

産休には、育児休業のように勤続期間を理由として一定の労働者を除外する仕組みはありません。

そのため、入社して間もない場合や、週の勤務日数が少ない場合でも、労働者として雇用されていれば産前産後休業を取得できます。

産休は勤続年数や雇用形態を理由に拒否できません

「パートだから産休はない」「入社から1年未満なので取得できない」という説明は、産前産後休業の取り扱いとしては適切ではありません。

たとえば、週2日勤務のパートであっても、雇用契約に基づいて働いている女性労働者であれば産前産後休業の対象です。

産後休業については、本人の申出がなくても会社が就業させてはいけません。

会社側が「勤務日数が少ないので、休業ではなく単にシフトを入れない扱いにする」と考えることがありますが、法定の産前産後休業を取得している期間として適切に管理する必要があります。

入社直後でも産休を取得できる

産前産後休業については、原則として「入社後6か月以上」「勤続1年以上」といった要件はありません。

入社後間もなく妊娠が判明した場合や、妊娠中に転職した場合でも、雇用関係があれば取得できます。

一方、育児休業については、労使協定の内容などによって、入社1年未満の労働者が対象外となる場合があります。

産休が取れるかどうかと、育休が取れるかどうかを混同しないようにしましょう。

確認項目 産前産後休業 育児休業
主な根拠 労働基準法 育児・介護休業法
入社直後の取得 原則として可能 労使協定により対象外となる場合あり
パート・契約社員 雇用形態を問わず対象 一定の要件を確認
本人の申出 産前は必要、産後は不要 必要

有期雇用契約の場合

有期雇用契約の場合も、契約期間中であれば産前産後休業を取得できます。

ただし、産休中に契約期間の満了日を迎えることがあります。

産休を取得したことを理由として契約を更新しない取り扱いは認められません。

一方で、産休を取得したからといって、有期雇用契約が当然に延長される制度でもありません。

契約更新の有無については、契約書に記載された更新基準、過去の更新回数、これまでの会社からの説明、同様の立場にある他の従業員の取り扱いなどを踏まえて判断します。

たとえば、これまで繰り返し契約が更新され、会社から今後も継続して働いてほしいと説明されていたにもかかわらず、妊娠報告の直後に雇止めを告げられた場合は、妊娠や産休取得との関係を慎重に確認する必要があります。

産休と契約更新は分けて確認します

産休の取得資格があることと、契約期間満了後も雇用が継続することは別の問題です。

雇止めの理由や契約更新への期待を含め、個別の事情を確認してください。

派遣社員の場合

派遣社員も産前産後休業の対象です。

ただし、雇用主は実際に働いている派遣先ではなく、原則として派遣元会社になります。

そのため、産休の申出、社会保険手続き、出産手当金に関する会社証明などは、派遣元会社と進めることになります。

一方で、現場での業務調整や引き継ぎについては派遣先とも連携が必要です。

妊娠の報告を派遣先の担当者だけに行い、派遣元会社へ伝えていないと、正式な産休手続きが進まない可能性があります。

まず派遣元の担当者へ連絡し、派遣先への共有方法を相談してください。

産休と出産手当金は別に判断する

産休を取得できるかどうかと、出産手当金を受け取れるかどうかは別の問題です。

パートやアルバイトであっても産休は取得できますが、出産手当金は勤務先の健康保険の被保険者であることなどが必要です。

配偶者の健康保険の扶養に入っている方は、自分自身が被保険者ではないため、原則として出産手当金の対象になりません。

また、国民健康保険に加入している方も、一般的な健康保険の出産手当金とは取り扱いが異なります。

勤務時間が短い方は加入状況を確認しましょう

同じパート勤務でも、社会保険に加入している方と、配偶者の扶養に入っている方では、出産手当金の取り扱いが異なります。

給与明細や健康保険証の情報などで加入先を確認してください。

パートやアルバイトの産休と給付の条件については、 パートの産休に関する詳しい解説 も参考にしてください。

会社側にも、パートだから産休を認めなくてよいという誤解が残っていることがあります。

雇用形態で判断するのではなく、産前産後休業、育児休業、社会保険給付の要件をそれぞれ分けて確認することが大切です。

産休と育休はいつから切り替わる?

産休と育休は、名前が似ていますが別の制度です。

産休は労働基準法に基づく母体保護のための休業であり、育休は育児・介護休業法に基づく子の養育のための休業です。

出産した女性が育児休業を取得する場合は、原則として 産後休業が終了した翌日から育児休業へ切り替わります

産後休業は実際の出産日の翌日から8週間ですので、育児休業の開始日も実際の出産日によって決まります。

出産予定日を基準として育児休業の開始予定日を考えていても、実際の出産日がずれれば開始日も変わることがあります。

制度 主な目的 一般的な期間 申出の要否
産前休業 出産前の母体保護 予定日の6週間前から出産日まで 本人の請求が必要
産後休業 出産後の母体保護 出産翌日から8週間 請求がなくても就業禁止
育児休業 子の養育 産後休業終了後から原則1歳まで 本人の申出が必要

育児休業は自動的には始まらない

産前産後休業を取得していても、そのまま自動的に育児休業へ移行するわけではありません。

育児休業を取得するためには、本人から会社への申出が必要です。

原則として、育児休業開始予定日の1か月前までに申し出ます。

出産した女性の場合、育児休業の開始日は産後休業の終了日の翌日となるため、産前休業に入る前または産前休業中に手続きを進めるケースが一般的です。

会社から渡される産休関係の書類に育児休業申出書が含まれていることもあります。

産休の申出だけで安心せず、育休申出書も提出済みか確認してください。

産休の申出と育休の申出は別です

「産休を取ると伝えたので、育休も申請したことになっている」と思い込まないようにしましょう。

会社の様式や提出状況を確認し、育児休業の開始予定日を明確にしてください。

出産日が早まった場合

実際の出産日が予定日より早まると、産後休業の開始日も早まり、終了日も前倒しになります。

その結果、育児休業の開始日も当初の予定より早くなる可能性があります。

育児休業申出書をすでに提出している場合は、開始予定日の変更が必要になることがあります。

出産後に会社へ実際の出産日を報告し、育児休業の開始日を再確認しましょう。

会社側も、当初の出産予定日だけを基準に勤怠システムや人事管理システムへ登録したままにせず、実際の出産日に合わせて日付を更新する必要があります。

出産日が遅れた場合

出産が予定日より遅れた場合は、産前休業が延び、産後休業の開始日も後ろへずれます。

その結果、育児休業の開始日も後ろへずれることになります。

産前休業が予定より長くなったからといって、産後休業を短くして当初の育休開始日に合わせることはできません。

産後休業は実際の出産日の翌日から8週間確保されます。

実際の出産日を基準に再計算します

予定日から出産日がずれたときは、産前休業、産後休業、育児休業を一続きで再計算すると分かりやすくなります。

育児休業を取得できる期間

育児休業は、原則として子が1歳になるまで取得できます。

保育所等に入れないなど一定の事情がある場合には、要件を満たすことで1歳6か月、さらに2歳まで延長できる場合があります。

ただし、延長は本人が希望すれば自動的に認められるものではありません。

保育所等への申込みや入所できなかったことを示す書類など、所定の要件と手続きが必要です。

保育所への入所申込みを行う時期や申込内容によっては、育児休業給付金の延長審査にも影響する可能性があります。

自治体の入所申込期限と、会社やハローワークの手続き期限を早めに確認してください。

産後パパ育休との違い

父親などが出生後の一定期間に取得できる産後パパ育休は、出産した女性本人の産後休業とは別の制度です。

女性本人は出産翌日から産後休業に入りますが、配偶者は一定の要件のもとで産後パパ育休や通常の育児休業を取得できます。

夫婦で同時に休業を取ることも可能です。

夫婦の休業期間を決める際は、出産予定日、退院後の支援、里帰りの有無、保育所への入所時期、育児休業給付の見込みなどを踏まえて考えるとよいでしょう。

育休の申出期限や延長要件は制度改正によって変更される可能性があります。

正確な情報は公式サイトをご確認ください。

産休中に受け取れる出産手当金

産休中に受け取れる出産手当金

産休期間中の給与を会社が支払うかどうかは、就業規則や雇用契約によって異なります。

法律上、産休期間を有給にすることまでは会社に義務付けられていないため、無給となる会社も少なくありません。

給与が支払われない場合や給与が減額される場合には、健康保険の被保険者で一定の要件を満たす方は、 出産手当金 を受け取れる可能性があります。

出産手当金は、産休を取得した人全員に一律で支給されるものではありません。

勤務先の健康保険に本人として加入していること、出産のために仕事を休んでいること、休業中に給与が支払われていないことなどを確認します。

出産手当金の対象期間

一般的な支給対象期間は、出産予定日以前42日から出産日の翌日以後56日までの範囲で、出産のために仕事を休み、給与の支払いを受けなかった期間です。

多胎妊娠の場合は、出産予定日以前98日から対象となります。

出産日は産前の期間に含まれます。

したがって、産後の56日間は実際の出産日の翌日から数えることになります。

区分 支給対象となり得る期間
単胎妊娠の産前 出産予定日以前42日
多胎妊娠の産前 出産予定日以前98日
産後 出産日の翌日以後56日

出産が予定日より遅れた場合

出産予定日を過ぎてから実際に出産するまでの期間も、出産手当金の支給対象期間に含まれる可能性があります。

この点は、法定の産前休業期間と同様に、予定日より遅れた日数分が考慮されます。

たとえば、出産予定日より5日遅れて出産した場合は、通常の産前42日に加えて、予定日を超過した5日間も対象期間に含まれる可能性があります。

その後、実際の出産日の翌日から56日間が産後の対象期間となります。

一方、予定日より早く出産した場合は、実際に仕事を休んだ期間が短くなるため、産前分の支給日数も短くなることがあります。

出産手当金の主な支給要件

  • 勤務先の健康保険の被保険者であること
  • 妊娠4か月以後の出産であること
  • 出産のために仕事を休んでいること
  • 休業期間中に給与が支払われていないこと

出産手当金は、健康保険の被保険者本人を対象とする給付です。

会社員の配偶者の健康保険へ扶養として加入している方は、原則として出産手当金の対象になりません。

また、国民健康保険には、一般的な会社員向け健康保険と同じ出産手当金制度が設けられていないことが通常です。

ただし、加入している国民健康保険組合などに独自の給付がある場合も考えられるため、加入先へ確認してください。

休業中に給与が支払われる場合

産休中に会社から給与が全額支払われる場合は、原則として出産手当金は支給されません。

一方、会社から支払われる給与の日額が出産手当金の日額より少ない場合は、その差額が支給される可能性があります。

ここでいう給与には、基本給だけでなく、会社から休業期間に対して支払われる各種手当が含まれることがあります。

どの賃金が調整対象になるかは、支払いの性質を含めて確認が必要です。

有給休暇を使う期間にも注意しましょう

年次有給休暇を取得した日は通常の賃金が支払われるため、その日の出産手当金は支給されないことが一般的です。

産休前後に有給休暇を使う場合は、会社と健康保険の保険者へ確認してください。

出産手当金の支給額

出産手当金の1日当たりの支給額は、一般に、支給開始日前12か月間の各標準報酬月額を平均した額を30日で割り、その3分の2に相当する額を基礎として計算します。

ただし、健康保険の加入期間が12か月に満たない場合は、別の計算方法が用いられます。

また、休業中に給与が支払われる場合には、出産手当金との差額調整が行われることがあります。

標準報酬月額は、毎月の手取り額や基本給そのものではありません。

健康保険料や厚生年金保険料を決める基礎となる等級上の金額です。

そのため、「給与の3分の2がそのまま振り込まれる」と考えると、実際の支給額との間に差が出ることがあります。

支給額は手取り給与の3分の2ではありません

出産手当金は標準報酬月額を基礎として計算されます。

税金や社会保険料を控除した後の手取り額を基準にするわけではない点に注意してください。

出産手当金の申請方法

出産手当金を申請する際は、出産手当金支給申請書を加入している健康保険の保険者へ提出します。

申請書には、本人が記入する欄、会社が休業期間と賃金支払状況を証明する欄、医師または助産師が出産日などを証明する欄があります。

産前分と産後分を分けて申請する方法と、産後にまとめて申請する方法があります。

早めに一部を受け取りたい場合は分割申請を検討できますが、その分だけ会社や医療機関へ証明を依頼する回数が増える可能性があります。

会社経由で提出する場合もあれば、本人が直接健康保険へ提出する場合もあります。

産休前に会社の担当者へ申請の流れを確認しておくとよいでしょう。

出産育児一時金との違い

出産手当金と出産育児一時金は別の制度です。

名称が似ているため混同されやすいですが、目的も支給条件も異なります。

給付 主な目的 主な対象
出産手当金 出産で仕事を休む期間の所得保障 健康保険の被保険者本人
出産育児一時金 出産費用の負担軽減 被保険者または被扶養者

出産育児一時金は、健康保険の被扶養者として加入している方でも対象となり得ます。

一方、出産手当金は原則として被保険者本人が対象です。

出産手当金の支給期間や計算方法は、協会けんぽの公式情報でも確認できます。

(出典:全国健康保険協会「出産で会社を休んだとき(出産手当金)」)

支給額や対象期間は、加入している協会けんぽまたは健康保険組合、給与の支給状況、被保険者期間などによって異なります。

数値はあくまで一般的な目安であり、正確な情報は公式サイトをご確認ください。

産休はいつからか早めに確認しよう

産休の開始時期を整理すると、産前休業は原則として出産予定日の6週間前から、多胎妊娠では14週間前から取得できます。

産後休業は、実際の出産日の翌日から8週間です。

ただし、産前休業は本人が会社へ請求して取得する制度です。

開始可能日になれば自動的に休業へ入るわけではないため、会社の申請方法と期限を事前に確認しておきましょう。

産休がいつから始まるかを正しく把握するには、出産予定日だけでなく、単胎妊娠か多胎妊娠か、実際に本人がいつから休みたいか、会社独自の休暇制度があるかも確認する必要があります。

また、出産予定日と実際の出産日がずれた場合は、産前休業の終了日、産後休業の開始日、育児休業の開始日が変わります。

出産後は、実際の出産日を会社へ報告し、必要な日付を再計算してください。

この記事の要点

  • 単胎妊娠の産前休業は予定日の6週間前から
  • 多胎妊娠の産前休業は予定日の14週間前から
  • 産前休業は本人が会社へ請求して取得する
  • 産後休業は実際の出産日の翌日から8週間
  • 産後6週間は本人が希望しても就業できない
  • 予定日より出産が遅れた期間も産前休業となる
  • パートやアルバイトも雇用形態を問わず取得できる
  • 産休後に育休を取る場合は別途申出が必要

本人が産休前に確認すること

本人は、出産予定日が決まったら、まず産前休業を取得できる開始日を確認します。

そのうえで、実際にいつから休業したいかを決め、会社へ申し出ます。

また、産前休業より前に年次有給休暇を利用するか、産休後に育児休業を取得するか、出産手当金の申請をどのように行うかも整理しておきましょう。

  • 出産予定日と産休開始可能日
  • 会社所定の申出書と提出期限
  • 有給休暇を利用する期間
  • 業務の引き継ぎ内容
  • 出産後の会社への連絡方法
  • 育児休業の申出状況
  • 出産手当金の申請方法
  • 休業中の住民税や会社への支払い

産休前は、出産準備や通院と並行して引き継ぎや書類の提出を進めることになります。

体調が変化する可能性もあるため、ぎりぎりまで待たず、余裕を持って確認することが大切です。

会社が産休前に確認すること

会社側は、本人から出産予定日と産前休業の開始希望日を確認し、産前産後休業の期間を管理します。

同時に、業務の引き継ぎ、休業中の連絡方法、社会保険料免除の手続き、出産手当金申請書への証明、育児休業の予定なども確認します。

会社が本人の出産予定日だけを聞き、産休開始日を自動的に決めてしまうのは適切ではありません。

産前休業は本人の請求に基づくため、実際の開始希望日を明確に確認してください。

実務では一覧管理がおすすめです

会社側では、出産予定日、産前休業開始日、実際の出産日、産後休業終了日、育児休業開始日、各手続きの提出日を一覧にして管理すると、届出漏れや日付の間違いを防ぎやすくなります。

予定日が変わった場合も再確認する

妊娠の経過によって、医師から伝えられる出産予定日が変更されることがあります。

また、帝王切開などの計画分娩日と、労働基準法上の産前休業を計算する際の予定日の考え方が一致しない場合もあります。

予定日に変更があった場合は、自己判断で開始日を変更せず、医療機関から示された予定日と会社の取り扱いを確認してください。

会社側も、書類上の予定日が変更されたときは、社会保険手続きなどへの影響を確認します。

体調を最優先に考える

産休の開始日を計算することは大切ですが、法律上の開始日まで必ず働かなければならないわけではありません。

妊娠中に医師から休業や勤務軽減を指示された場合は、その内容を会社へ伝え、必要な措置を受けてください。

年次有給休暇、会社独自の休暇、母性健康管理措置などを利用できる可能性があります。

反対に、本人が希望し、健康上も問題がない場合には、産前休業の開始可能日を過ぎて働くこともできます。

ただし、無理を前提とした働き方にならないよう、体調の変化を会社と共有することが重要です。

体調や勤務条件によって必要な対応は異なります

同じ妊娠週数でも、体調、仕事内容、通勤時間、医師の指導内容は一人ひとり異なります。

一般的な開始日だけで判断せず、個別の状況に応じて会社や医師へ相談してください。

妊娠中の体調、雇用契約、給与の支払い方、健康保険の加入状況によって、必要な対応は異なります。

制度の最新情報については厚生労働省、都道府県労働局、協会けんぽ、加入している健康保険組合などの案内を確認してください。

正確な情報は公式サイトをご確認ください。

個別の雇用契約や会社の対応を含めた最終的な判断は専門家にご相談ください。

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