こんにちは。
もりおか社会保険労務士事務所、社会保険労務士の川熊です。
労災の認定基準とは、仕事や通勤が原因で発生したケガ・病気・障害・死亡について、労災保険の対象になるかを労働基準監督署が判断するための基準です。
労災についてさらに詳しく知りたい場合は、労災の休業補償はいつまで?1年6ヶ月後と終了条件を解説した記事も参考にしてください。
ただし、すべての労災を一つの基準で判断するわけではありません。
仕事中の事故、業務による病気、精神障害、脳・心臓疾患、腰痛、通勤途中の事故など、事案の種類によって確認されるポイントは異なります。
従業員本人であれば、自分のケガや病気が仕事とどのように関係しているのかを整理することが大切です。
一方、会社側も、社内だけで労災に当たるかどうかを決めつけるのではなく、事実関係を整理したうえで適切に手続きへつなげる必要があります。
この記事では、労災の認定基準について、基本となる考え方から精神障害、過労死、腰痛、通勤災害、不支給となった場合の対応まで、実務で特に迷いやすいポイントを順番に整理します。
労災についてさらに詳しく知りたい場合は、労災認定されなかった医療費はどうなる?手続きについて整理した記事も参考にしてください。
- 業務災害を判断する業務遂行性と業務起因性
- 精神障害や過労死など疾病ごとの認定基準
- 通勤災害で問題になる合理的経路と逸脱・中断
- 労災が不支給となった場合の確認事項と対処法

労災の認定基準と判断の基本
労災の認定基準を理解するときは、まず「どの種類の労災について判断しているのか」を切り分けることが重要です。
仕事中の事故と精神障害では、確認される事実も認定基準も同じではありません。
労災保険では、大きく業務災害、複数業務要因災害、通勤災害という区分があります。
さらに業務災害の中でも、転倒や機械への巻き込まれなど事故による負傷と、長時間労働や有害物質などを原因とする疾病では判断方法が異なります。
実務では、最初に事案の類型を整理することが重要です。
「仕事に関係しているから労災」「会社の中で起きていないから労災ではない」と単純に判断することはできません。
業務遂行性と業務起因性とは
仕事中に発生した事故による負傷などが業務災害に当たるかを考える際、基本となるのが 業務遂行性と業務起因性 です。
業務遂行性とは、労働者が労働契約に基づいて事業主の支配下にある状態をいいます。
分かりやすいのは、勤務時間中に会社で仕事をしている状態です。
ただし、事業主の支配下にあるかどうかは会社の敷地内だけで判断するものではありません。
出張や社用での外出など、会社の指示に基づいて事業場外で働いている場合にも認められます。
一方の業務起因性とは、 業務に伴う危険や負担が現実化したことによって傷病が発生したといえるか という考え方です。
たとえば、工場で機械を操作している最中に手を挟まれたのであれば、業務との関係は比較的分かりやすいでしょう。
会社の階段に設備上の問題があり転倒した場合なども、施設の状況と事故との関係が問題になります。
反対に、勤務時間中に会社内でケガをしたとしても、その原因が完全な私的行為にある場合には、業務災害と認められないことがあります。
「会社にいたか」だけではなく、「なぜその事故が起きたのか」まで見る のがポイントです。
実際の相談でも、「勤務時間内だったから絶対に労災ですよね」「休憩時間だったから労災になりませんよね」と聞かれることがありますが、時間や場所だけで結論は決まりません。
なお、労災保険の基本的な仕組みや給付内容については、 労災とは何かを認定基準・給付内容・申請の流れから整理した記事 でも詳しく解説しています。
労災についてさらに詳しく知りたい場合は、労災認定の期間は何ヶ月?給付別の目安と長引く理由について整理した記事も参考にしてください。
業務災害が認定されるケース

業務災害に該当するかどうかは、事故が起きた場面によって考えると整理しやすくなります。
通常の仕事をしている最中の事故
所定労働時間中に通常の業務を行っている最中に事故が発生した場合は、特段の事情がなければ業務との関連性は認められやすくなります。
たとえば、荷物の運搬中に転倒した、機械を操作していて負傷した、営業先へ向かう途中に交通事故に遭ったといったケースです。
もっとも、勤務時間中であっても、労働者が仕事とは無関係の私的行為を行っている最中の事故や、故意による行為などについては別途判断が必要です。
休憩時間中の事故
休憩時間は、原則として労働者が自由に利用できる時間です。
そのため、休憩中に行っていた私的行為そのものを原因とするケガは、通常は業務災害とは認められません。
しかし、 会社の施設や設備、管理状況に原因があった場合には結論が変わります。
たとえば、休憩中に社内の壊れた階段で転倒した場合などは、施設の欠陥が事故原因となっていないか確認します。
また、トイレの利用などの生理的行為は、業務に通常付随する行為として扱われます。
このため、その過程で発生した事故について業務災害となる場合があります。
出張中の事故
出張は、会社の指示によって通常の勤務地を離れて業務を行うものです。
そのため、一般的には出張の過程全体について事業主の支配が及んでいると考えられます。
移動中や宿泊を伴う場合であっても、積極的な私的行為など特段の事情がなければ業務災害となる可能性があります。
会社が「労災ではない」と判断しただけで労災保険の対象外になるわけではありません。
労災保険給付について最終的に支給・不支給を判断するのは、請求を受けて調査を行う労働基準監督署です。
業務上疾病の認定要件と一覧
事故によるケガとは異なり、病気については「会社で発症した」という事実だけで業務上疾病になるわけではありません。
たとえば勤務中に脳出血を発症したとしても、仕事と発症との間に十分な関係がなければ労災とは認められません。
反対に、自宅で症状が現れた場合でも、その原因となった業務上の負荷との関係が認められれば、業務上疾病となる可能性があります。
業務上疾病では、一般的に次の3点を確認します。
| 確認事項 | 内容 |
|---|---|
| 有害因子の存在 | 仕事の中に身体へ負担を与える要因が存在していたか |
| 十分なばく露 | 健康障害を起こし得る程度の量や期間、その要因にさらされていたか |
| 医学的な妥当性 | 発症までの経過や症状が医学的にみて矛盾しないか |
有害因子には、化学物質や病原体だけではなく、身体に過度の負担をかける作業なども含まれます。
また、業務上疾病は、有害因子にさらされた直後に発症するものだけではありません。
疾病によっては一定の潜伏期間を経て発症するため、退職後や配置転換後に症状が出たからといって、直ちに業務との関係が否定されるわけではありません。
具体的な業務上疾病については、労働基準法施行規則別表第1の2に定められています。
そこには、化学物質による疾病、身体に過度の負担がかかる作業による疾病、病原体による疾病など、さまざまな類型があります。
さらに、列挙された病名にそのまま当てはまらなくても、 その他業務に起因することの明らかな疾病 として認定対象となる余地があります。
暑い環境での作業による熱中症も、この考え方で業務上疾病として認定される代表例です。認定基準や申請手続きは、 労災で熱中症は認定される?基準と申請手続きを実務で確認 で詳しく確認できます。
病気の労災では、病名だけを見るのではなく、 どのような仕事を、どの程度の期間、どのような環境で行っていたか という就労実態の確認が重要です。
労災については、労災の症状固定とは?補償の変化と後遺障害のポイントを解説した記事で詳しく整理しています。
精神障害の労災認定基準

うつ病などの精神障害については、仕事によるストレスが原因だったのか、私生活上の出来事など他の要因が大きかったのかを客観的に評価します。
現在の精神障害の労災認定では、基本的に次の3つの要件を確認します。
- 労災認定基準の対象となる精神障害を発病していること
- 発病前おおむね6か月の間に業務による強い心理的負荷が認められること
- 業務以外の心理的負荷や個体側要因によって発病したとは認められないこと
特に重要になるのが、2つ目の 業務による強い心理的負荷 です。
精神的なつらさは本人にしか分からない面がありますが、労災認定では本人の主観だけによって判断するわけではありません。
職種、職場での立場、経験などが似た労働者であれば一般的にどの程度の心理的負荷を感じる出来事だったかという視点から評価します。
具体的には、厚生労働省の心理的負荷評価表を使い、発生した出来事やその程度を「強」「中」「弱」などに評価します。
対象になる出来事には、長時間労働、仕事内容や仕事量の大きな変化、重大な事故、パワーハラスメント、セクシュアルハラスメントなどがあります。
令和5年9月の認定基準改正では、カスタマーハラスメントに関する出来事や、感染症などの病気・事故の危険性が高い業務への従事などが心理的負荷評価表に追加され、具体例も拡充されました。
また、既に精神障害を発病していた人についても、悪化直前おおむね6か月以内に業務による強い心理的負荷があり、それによって悪化したと認められる場合には、悪化した部分について業務起因性が認められる可能性があります。
「パワハラがあったから必ず労災になる」「残業が長かったから必ず認定される」という仕組みではありません。
出来事の内容、継続期間、程度、他の出来事との組み合わせなどを総合して判断します。
精神障害の認定基準は改正されることがあります。
正確な情報は 厚生労働省の精神障害の労災補償に関する公式情報 をご確認ください。
脳・心臓疾患と過労死ライン
長時間労働などが原因となって脳血管疾患や心臓疾患を発症した場合には、脳・心臓疾患の労災認定基準に沿って判断されます。
代表的な対象疾病としては、脳内出血、くも膜下出血、脳梗塞、高血圧性脳症、心筋梗塞、狭心症、心停止、重篤な心不全、解離性大動脈瘤などがあります。
業務による過重負荷については、大きく次の3つの類型があります。
| 類型 | 主な評価期間 | 考え方 |
|---|---|---|
| 異常な出来事 | 発症直前から前日 | 極度の緊張、恐怖、驚愕などを伴う突発的な出来事 |
| 短期間の過重業務 | 発症前おおむね1週間 | 短期間に特に過重な業務へ従事したか |
| 長期間の過重業務 | 発症前おおむね6か月 | 長期間にわたる著しい疲労の蓄積があったか |
特に知られているのが、いわゆる 過労死ライン です。
- 発症前1か月間におおむね100時間を超える時間外労働
- 発症前2か月間から6か月間にわたり月平均80時間を超える時間外労働
これらに該当すると、業務と発症との関連性が強いと評価されます。
ただし、 100時間や80時間は「超えなければ労災にならない」という絶対的な線引きではありません。
現在の認定基準では、労働時間だけではなく、勤務間インターバルが短い勤務、休日の少ない連続勤務、出張の多い業務、深夜勤務、心理的負荷を伴う業務など、労働時間以外の負荷も総合的に評価します。
そのため、「残業が月70時間だから過労死の労災にはならない」というように、時間数だけで即断するのは適切ではありません。
実務では、タイムカードだけでなく、パソコンの使用記録、メール、業務日報、シフト表、休日出勤の記録などから実際の労働時間や業務負荷を確認することがあります。
なお、厚生労働省が現在案内している脳・心臓疾患の認定基準は、令和3年9月14日付けの基準を基本とし、その後の改正も反映されています。
数値は認定上の一般的な評価目安であり、個別事案の結果を保証するものではありません。
正確な情報は 厚生労働省の脳・心臓疾患の労災補償に関する公式情報 をご確認ください。
労災の認定基準と通勤・不支給対応
労災の判断が難しいのは、典型的な仕事中の事故だけではありません。
腰痛のように仕事以外の原因も考えられる症状や、通勤途中の寄り道がある事故、不支給となった事案では、より細かな事実関係の整理が必要です。
ここからは、実際の相談でも判断に迷いやすい腰痛、通勤災害、逸脱・中断、不支給決定について解説します。
腰痛が労災認定される基準
腰痛は非常に多くの人に起こる症状であり、加齢や日常生活、持病などさまざまな原因が考えられます。
そのため、「仕事中に腰が痛くなった」という事実だけでは業務上の腰痛と判断できないことがあります。
労災上の腰痛は、大きく 災害性の原因による腰痛 と 災害性の原因によらない腰痛 に分けて考えます。
災害性の原因による腰痛
重量物を持ち上げた瞬間に腰へ強い力がかかった、転倒して腰を負傷したなど、業務中の突発的な出来事によって発症した腰痛です。
この場合には、事故の状況、腰部に加わった力、発症までの時間、医師の診断などを確認し、事故と腰痛との関係を判断します。
いわゆるぎっくり腰も、この災害性の原因による腰痛として労災認定される代表例です。具体的な認定基準は、 仕事中のぎっくり腰は労災になる?認定基準と補償を実務で確認 で確認できます。
災害性の原因によらない腰痛
明確な一回の事故がなくても、腰に大きな負担のかかる作業を長期間続けることによって腰痛が発症することがあります。
認定基準では、筋肉などの疲労を原因とする腰痛について、腰部に過度の負担がかかる業務に おおむね3か月以上 従事したことなどが一つの判断要素となります。
また、骨の変化を原因とする腰痛では、重量物の取り扱いなど腰部へ著しい負担をかける業務に おおむね10年以上 継続して従事していたことなどが検討されます。
これらの期間はあくまで一般的な認定上の目安であり、期間だけで自動的に労災となるわけではありません。
実際の作業姿勢、重量、作業回数、従事期間、身体の状態などから総合的に判断されます。
特に慢性的な腰痛では、仕事内容を具体的に説明できる資料が重要です。
「重い物を持っていた」という説明だけではなく、何キログラム程度の物を、1日に何回程度、どのような姿勢で取り扱っていたのかまで整理すると、実態が伝わりやすくなります。
通勤災害の認定基準と通勤の定義

通勤途中の事故が通勤災害として認められるためには、法律上の「通勤」に該当している必要があります。
労災保険でいう通勤とは、就業に関して、原則として次の移動を 合理的な経路および方法 で行うことをいいます。
- 住居と就業場所との間の往復
- 就業場所から他の就業場所への移動
- 単身赴任先の住居と帰省先住居との間の一定の移動
2つ目には、たとえば副業や兼業をしている労働者が、本業の勤務先から別の勤務先へ移動する場合などが含まれます。
ここでいう合理的な経路は、必ずしも毎日利用している一つのルートだけではありません。
通常利用できる複数の経路があれば、それぞれ合理的と認められる場合があります。
渋滞や工事のために迂回した場合など、合理的な理由があるルート変更についても直ちに通勤から外れるものではありません。
また、合理的な方法には、電車やバスだけでなく、自動車、自転車、徒歩など一般的な移動方法が含まれます。
会社に届け出ている通勤経路と違っただけで、直ちに通勤災害ではなくなるわけではありません。
労災保険上は、その移動が就業に関係し、合理的な経路・方法だったかが重要です。
一方、事業主が用意した専用交通機関による移動や、休日に緊急の呼び出しを受けて出勤する場合など、移動そのものに業務性が認められる場合には、通勤災害ではなく業務災害として扱われることがあります。
逸脱・中断で通勤災害にならない例
通勤災害で特に相談が多いのが、帰宅途中などに寄り道をしたケースです。
労災保険では、合理的な通勤経路から仕事や通勤と関係のない目的で外れることを 逸脱 、通勤経路上で通勤とは関係のない行為を行うことを 中断 といいます。
労災の具体的な内容は、労災は通勤中も対象?通勤災害の認定基準と手続きをまとめた記事で確認できます。
原則として逸脱や中断をすると、その行為をしている間だけでなく、 その後の移動についても通勤とは認められなくなります。
たとえば、帰宅途中に映画館へ行く、長時間飲食店で飲酒するといった私的行為は、一般的に逸脱・中断の問題になります。
ただし、すべての寄り道が通勤災害から外れるわけではありません。
そもそも逸脱・中断にならない行為
通勤経路上で飲み物を買う、公衆トイレを利用するなど、通勤に通常伴う程度の ささいな行為 は、そもそも逸脱・中断として扱われないことがあります。
合理的経路に戻れば通勤が再開する行為
一定の日常生活上必要な行為については、逸脱・中断している間そのものは通勤となりませんが、必要な行為を終えて合理的な通勤経路へ戻った後は、再び通勤として扱われる場合があります。
代表的なものには、次のような行為があります。
- 日用品の購入その他これに準ずる行為
- 一定の職業訓練や学校教育を受ける行為
- 選挙権を行使する行為など
- 病院や診療所で診察・治療を受ける行為
- 法令上の条件を満たす家族の介護
たとえば、仕事帰りに日用品を購入するためスーパーへ寄り、買い物を終えて通常の帰宅経路へ戻った場合、スーパーで買い物をしている間は通勤とはなりませんが、その後の帰宅について再び通勤と認められる可能性があります。
「コンビニに寄ったら全部ダメ」「寄り道をしても帰宅途中なら全部大丈夫」というどちらの理解も正確ではありません。
何のために、どこへ、どの程度の時間立ち寄ったのかを具体的に確認する必要があります。
通勤災害の逸脱・中断は細かな事実関係によって判断が変わります。
特に介護などについては対象となる家族や行為について条件がありますので、正確な情報は厚生労働省や労働局などの公式サイトをご確認ください。
労災が認定されない主な理由
労災保険を請求したからといって、必ず支給されるわけではありません。
労働基準監督署が事実関係を調査し、認定基準を満たさないと判断すれば不支給となります。
認定されない理由は事案によって異なりますが、典型的には次のような点が問題になります。
- 業務と傷病との因果関係が十分に認められない
- 事故時に業務とは無関係な私的行為をしていた
- 精神障害で業務による強い心理的負荷が認められない
- 脳・心臓疾患で業務上の過重負荷との関係が認められない
- 通勤途中の逸脱・中断が例外に当たらない
- 申告内容と客観的な記録との間に大きな違いがある
特に精神障害や脳・心臓疾患では、事故のように原因が一つに特定できないケースが多いため、発症前の労働時間、仕事内容、職場で起きた出来事などを詳しく調査することになります。
会社側で注意したいのは、 「会社として仕事が原因ではないと思うから申請させない」という対応をしないこと です。
会社が把握している事実と従業員本人の認識が異なることはあります。
その場合には、会社側は会社が把握している事実を適切に説明し、最終的な労災認定は労働基準監督署の判断に委ねるという整理が基本になります。
また、労災が不支給となった場合には、その後に健康保険など別制度との調整が必要になることがあります。
具体的な対応については、 労災から健康保険へ切り替える場合の手続きと注意点 も参考にしてください。
不支給という結果だけを見るのではなく、 認定基準のどの部分が満たされなかったのか を確認することが、その後の対応を考える第一歩です。
不支給決定後の審査請求と対処法

労働基準監督署から労災保険給付の不支給決定を受け、その判断に納得できない場合には、不服申立てを検討できます。
最初に行うのが 審査請求 です。
審査請求は、原則として労災保険給付に関する決定があったことを知った日の翌日から起算して 3か月以内 に、労働者災害補償保険審査官に対して行います。
審査官の決定にも不服がある場合には、労働保険審査会への 再審査請求 を検討できます。
再審査請求についても期限があり、原則として審査官の決定書の送付を受けた日の翌日から起算して 2か月以内 です。
審査請求・再審査請求の進め方や準備すべき資料は、 労災の不服申し立て完全ガイド|審査請求と期限を整理 でさらに詳しく整理しています。
| 手続き | 申立先 | 主な期限 |
|---|---|---|
| 審査請求 | 労働者災害補償保険審査官 | 決定を知った日の翌日から原則3か月以内 |
| 再審査請求 | 労働保険審査会 | 審査官の決定書送付日の翌日から原則2か月以内 |
| 取消訴訟 | 裁判所 | 法定の出訴期間内 |
労災保険給付に関する処分について取消訴訟を提起する場合には、原則として審査請求を経る必要があります。
審査請求後一定期間を経過しても決定がない場合などには例外もあります。
取消訴訟の出訴期間などは個別事情によって確認が必要なため、通知を受け取ったら早めに対応することが重要です。
不支給通知を受けたら資料を整理する
不支給決定に納得できないからといって、同じ主張を繰り返すだけでは十分とはいえません。
まず、なぜ不支給となったのかを確認したうえで、認定基準との関係で不足している事実や資料がないか整理します。
たとえば、長時間労働が問題になっているのであれば、タイムカードだけでなく、業務メール、パソコンのログ、入退館記録などが実労働時間を裏付ける資料になることがあります。
精神障害であれば、ハラスメントや業務上の出来事について、メール、チャット、録音、社内相談記録、業務指示書などが事実確認の材料になる場合があります。
審査請求には期限があります。
不支給決定通知を受け取ったまま長期間放置すると、不服申立てができなくなる可能性があります。
期限に関する数値は制度改正の可能性もあるため、正確な情報は公式サイトをご確認ください。
労災の申請そのものの流れや必要書類を確認したい場合は、 労災手続きの流れと必要書類を整理した記事 で詳しく解説しています。
労災の認定基準を正しく確認するポイント
労災の認定基準を調べるときに最も大切なのは、 一つの基準ですべての労災を判断しようとしないこと です。
仕事中の事故であれば業務遂行性と業務起因性が基本になります。
病気であれば業務上の有害因子や医学的な因果関係を確認し、精神障害なら心理的負荷、脳・心臓疾患なら過重業務、通勤災害なら就業との関連性や合理的な経路、逸脱・中断などを見ていきます。
| 事案 | 主な確認ポイント |
|---|---|
| 仕事中の事故 | 業務遂行性・業務起因性 |
| 業務上疾病 | 有害因子・ばく露状況・医学的妥当性 |
| 精神障害 | 発病前おおむね6か月の心理的負荷 |
| 脳・心臓疾患 | 異常な出来事・短期または長期の過重負荷 |
| 腰痛 | 事故の有無・作業負荷・従事期間 |
| 通勤災害 | 就業との関係・合理的経路・逸脱や中断 |
また、副業や兼業をしている人については、複数の勤務先での業務負荷を合算して判断する 複数業務要因災害 という仕組みもあります。
一つの会社だけの業務負荷では労災認定に至らなくても、複数の事業場における労働時間や心理的負荷などを総合的に評価して、脳・心臓疾患や精神障害が労災として認められる場合があります。
従業員側では、「この数字を超えたから認定される」「会社で起きたから認定される」と一つの条件だけで考えないことが重要です。
会社側も同様に、「残業が80時間未満だから労災ではない」「寄り道をしているから通勤災害ではない」などと、認定基準の一部だけを取り出して結論を出さないよう注意が必要です。
労災認定は、事故や発症までの経過を事実関係と客観資料から組み立て、該当する認定基準に照らして判断するものです。
まず事案を正しく分類し、その類型で何が評価されるのかを確認することが大切です。
認定基準や通達は改正されることがあります。
また、同じように見える事案でも、具体的な仕事内容、労働時間、事故状況、医学的所見などによって判断は変わります。
この記事で紹介した期間や時間数などは、制度を理解するための一般的な目安です。
正確な情報は公式サイトをご確認ください。
実際の労災認定の可能性や、不支給決定への対応などについては個別事情の確認が欠かせません。
判断に迷う場合には、最終的な判断は専門家にご相談ください。