こんにちは。
もりおか社会保険労務士事務所、社会保険労務士の川熊です。
健康保険の埋葬料とは、健康保険の被保険者が業務外の理由で亡くなったときに、一定の要件を満たす人へ支給される給付です。
被保険者本人が亡くなった場合の埋葬料は、現在の法定額では5万円です。
ただし、亡くなった人と請求する人との関係によって、埋葬料ではなく埋葬費になることがあります。
また、被扶養者が亡くなった場合は家族埋葬料、国民健康保険や後期高齢者医療では葬祭費、仕事や通勤が原因の死亡では労災保険の葬祭料・葬祭給付と、制度の名称も変わります。
実務でも、遺族の方から「健康保険から5万円出ると聞いたが、誰が請求すればよいのかわからない」「埋葬料と葬祭費は両方もらえるのか」といった相談があります。
特に大切なのは、最初に亡くなった方がどの制度に加入していたのか、死亡原因が業務上・通勤によるものではないかを確認することです。
この記事では、健康保険の埋葬料の金額や受給できる人、埋葬費や家族埋葬料との違い、国保・後期高齢者医療・労災保険との切り分けまで、実務で迷いやすいポイントを順番に整理します。
- 健康保険の埋葬料を受け取れる人と支給額
- 埋葬料・埋葬費・家族埋葬料の違い
- 国保・後期高齢者医療・労災との違い
- 申請先・必要書類・2年の申請期限

健康保険の埋葬料とは何か
まず押さえておきたいのは、死亡に関する公的医療保険等の給付はすべて同じ制度ではないという点です。
健康保険では埋葬料・埋葬費・家族埋葬料、国民健康保険や後期高齢者医療では葬祭費、業務上や通勤による死亡では労災保険の葬祭料・葬祭給付というように分かれます。
会社員が加入する健康保険の仕組みそのものを確認したい場合は、 健康保険の仕組み・種類・給付内容を整理した解説 も参考になります。
また、埋葬料以外の現金給付については、 健康保険で受けられる給付金の一覧 で全体像を確認できます。
最初に確認するポイント
- 亡くなった人が健康保険・国保・後期高齢者医療のどれに加入していたか
- 死亡原因が業務上または通勤によるものではないか
- 被保険者本人が亡くなったのか、被扶養者が亡くなったのか
- 被保険者に生計を維持されていた人がいるか
埋葬料はいくら支給されるか
健康保険の被保険者本人が業務外の事由によって亡くなり、支給要件を満たす場合、埋葬料として 5万円 が支給されます。
これは健康保険法に基づく法定給付で、健康保険法施行令によって金額が定められています。
2026年9月時点では、協会けんぽでも埋葬料は5万円として案内されています。
葬儀費用の金額に応じて増減する給付ではない
埋葬料について最初に理解しておきたいのが、葬儀に実際いくらかかったかによって支給額が変わる制度ではないという点です。
たとえば葬儀費用として30万円を支払った場合でも100万円を支払った場合でも、埋葬料の支給要件を満たしていれば、法定の埋葬料は5万円です。
反対に、一般的な葬儀式を行わず火葬のみとした場合だからといって、埋葬料が実費額まで減額されるという仕組みでもありません。
つまり、 埋葬料は葬儀費用を補填する実費精算型の給付ではなく、一定の要件を満たした場合に定額で支給される健康保険給付 と考えると分かりやすいでしょう。
ここは後ほど説明する「埋葬費」との大きな違いです。
名前が非常に似ているので、実務でも「葬儀代が5万円未満なら埋葬料もその金額だけですか」と質問されることがありますが、埋葬料と埋葬費では金額の決まり方そのものが異なります。
埋葬費は5万円を上限とする実費
一方、亡くなった被保険者に生計を維持されていた人がおらず、埋葬料を受けられる人がいない場合には、実際に埋葬を行った人へ「埋葬費」が支給されることがあります。
埋葬費は定額5万円ではありません。
5万円を上限として、実際に埋葬に要した費用に相当する額 が支給されます。
たとえば、支給対象となる埋葬費用が3万円だったのであれば、原則として支給額は3万円です。
対象となる費用が8万円だったとしても、健康保険から支給される埋葬費の上限は5万円となります。
金額だけで整理すると次のようになります。
- 埋葬料:5万円の定額
- 家族埋葬料:5万円の定額
- 埋葬費:5万円を上限とした実費
全国健康保険協会では、被保険者が亡くなった場合の埋葬料を5万円、埋葬料を受けられる人がいない場合の埋葬費を5万円の範囲内の実費、被扶養者が亡くなった場合の家族埋葬料を5万円として案内しています。
(出典: 全国健康保険協会「埋葬料・埋葬費」 )
健康保険組合では付加給付がないかも確認する
協会けんぽではなく企業や業界の健康保険組合に加入している場合には、法定給付とは別に、組合独自の 付加給付 が設けられていることがあります。
たとえば「埋葬料付加金」などの名称で、法定の5万円に一定額を上乗せする健康保険組合があります。
ただし、付加給付はすべての健康保険組合にあるわけではなく、金額も一律ではありません。
そのため、亡くなった人が協会けんぽではなく健康保険組合の加入者だった場合には、「法定給付の5万円だけ」と早い段階で判断せず、健康保険組合の給付規程まで確認しておくのが実務的です。
勤務先にも弔慰金や死亡慶弔金の制度が設けられていることがあります。
健康保険の埋葬料とは別制度なので、会社の就業規則、慶弔規程、福利厚生制度なども確認してみてください。
死亡時には公的給付と会社独自給付が並行することがあるため、「健康保険から5万円」という情報だけで確認を終えないことがポイントです。
なお、給付額や健康保険組合の付加給付は将来的に変更される可能性があります。
申請時点の正確な金額については、加入していた保険者の最新情報を確認してください。
埋葬料は誰がもらえるのか

健康保険の埋葬料について、金額以上に迷いやすいのが「誰がもらえるのか」という問題です。
健康保険法では、被保険者が死亡した場合、その被保険者によって生計を維持していた人に埋葬料を支給する仕組みが設けられています。
相続人だから受け取れるという制度ではない
まず重要なのは、埋葬料の請求者は「相続人かどうか」だけで決まるわけではないということです。
たとえば亡くなった人に配偶者と子がいたとしても、「法定相続人だから当然に埋葬料を受け取る」という構造ではありません。
健康保険の埋葬料では、 亡くなった被保険者との生計維持関係 が重要になります。
協会けんぽの取扱いでは、被保険者によって生活費の一部でも維持されていた人であればよく、民法上の親族や遺族であることまでは求められていません。
また、被保険者と同居していることや同一世帯であること、被保険者が世帯主であることも絶対条件ではありません。
このため、法律上の婚姻届を出していない内縁関係の配偶者、別居しているものの継続的に仕送りを受けていた親や子、健康保険上の被扶養者には認定されていなかったものの生活費の援助を受けていた人などについても、実際の生活状況によっては対象になる可能性があります。
生計維持関係を考えるときのポイント
- 親族であるかだけでは決まらない
- 同居しているかだけでも決まらない
- 健康保険の被扶養者だったかだけでも決まらない
- 実際に生活費の一部を被保険者が負担していたかが重要
別居していても対象になる可能性がある
「一緒に住んでいなかったので埋葬料はもらえませんよね」と思われる方もいますが、別居だけを理由として直ちに対象外になるわけではありません。
たとえば、被保険者が離れて暮らす高齢の母親へ毎月生活費を仕送りしていた場合や、別居している配偶者の生活費の一部を継続的に負担していた場合などは、生計維持関係が認められる可能性があります。
一方で、単に兄弟姉妹や親子であるというだけで、実際には経済的な援助を全く受けていなかった場合まで当然に対象になるわけではありません。
別居しているケースでは、仕送りの状況、生活費の負担状況、銀行振込の記録など、実態を説明できる資料が重要になる場合があります。
私が実務で確認するときも、「続柄は何ですか」だけではなく、「亡くなった方が生活費をどのように負担していましたか」というところまで確認します。
親族関係と生計維持関係は分けて考えるのがポイントです。
埋葬料は実際の葬儀費用を払った人だけの給付ではない
ここも埋葬費との違いとして重要です。
健康保険法の条文では「埋葬を行うもの」という表現がありますが、協会けんぽの実務上、埋葬料については実際に一般的な葬儀を行った事実そのものが厳格な支給要件とされているわけではありません。
死亡の事実が確認できれば、仮埋葬や一般的な葬儀を行わないケースでも支給対象となり得ます。
つまり、「葬儀会社に100万円を支払った人が必ず埋葬料を受け取る」という制度ではありません。
まず生計維持関係者がいるかどうかを確認する必要があります。
生計維持関係があるかどうか判断しにくいケースでは、自己判断で申請を諦めない方がよいでしょう。
特に内縁関係、別居、親族以外の人、複数の人が生活費を負担していたケースなどは事実関係によって扱いが変わるため、加入していた保険者へ確認するのが安全です。
反対に、生計維持関係者が誰もいない場合には、次に説明する「埋葬費」が問題になります。
誰が葬儀を行ったのか、誰が費用を支払ったのかが重要になりますので、埋葬料と埋葬費を混同しないよう整理してください。
埋葬料と埋葬費の違い
健康保険の死亡給付で最も混同されやすいのが、 埋葬料と埋葬費の違い です。
名称は一文字しか違いませんが、誰が請求できるのか、金額がどのように決まるのか、費用の証明が必要なのかという点で大きく異なります。
| 項目 | 埋葬料 | 埋葬費 |
|---|---|---|
| 対象となるケース | 被保険者に生計を維持されていた人がいる | 埋葬料を受けられる人がいない |
| 請求できる人 | 被保険者に生計を維持されていた人 | 実際に埋葬を行った人 |
| 支給額 | 5万円 | 5万円の範囲内の実費 |
| 葬儀費用の証明 | 実費精算ではない | 領収書・明細書などが重要 |
| 時効の起算 | 死亡日の翌日 | 埋葬を行った日の翌日 |
埋葬費は埋葬料を受ける人がいない場合の制度
順番としては、まず「埋葬料を受け取れる生計維持関係者がいるか」を確認します。
そのような人がいるのであれば、原則として埋葬料の問題になります。
生計を維持されていた人が誰もおらず、埋葬料を受けるべき人がいない場合に初めて、実際に埋葬を行った人に対する埋葬費を検討します。
このため、 埋葬料と埋葬費の好きな方を選んで請求するわけではありません 。
たとえば、一人暮らしの被保険者が亡くなり、配偶者や子などから生活費を援助される側で、生計を維持されていた人が全くいなかったとします。
その後、遠方に住む親族や知人が葬儀を手配し、その費用を実際に負担した場合、その人が埋葬費を請求できる可能性があります。
また、遺族がおらず、会社が社葬として葬祭を行い費用を負担するようなケースでは、事実関係によって会社などの法人が請求者となることも考えられます。
埋葬費では何の費用が対象になるか
埋葬費では、実際に埋葬に要した費用が支給額の基礎になります。
一般的には、霊柩車代、遺体の運搬費、火葬料、霊前供物代、僧侶への謝礼など、埋葬そのものに直接関係する費用が対象として扱われます。
葬壇一式料などについても対象となる場合があります。
一方、「葬儀の際に支払ったものなら何でも対象になる」という意味ではありません。
たとえば参列者への飲食接待費、香典返しなどは、通常は埋葬に直接要した費用とは区別して考えられます。
葬儀会社の請求書が「葬儀一式○○万円」とだけ記載されていると、どの費用が埋葬費の対象なのか分かりにくいことがあります。
埋葬費を申請する可能性がある場合には、領収書だけではなく、費目ごとの内訳が確認できる明細書も保管しておくと実務上スムーズです。
誰が支払ったか分かる領収書を残しておく
埋葬費は実際に埋葬を行った人へ支給されるため、「誰が費用を負担したのか」が重要です。
特に独居の被保険者が亡くなったケースでは、親族、知人、会社など複数の関係者が手続きを進めることがあります。
このとき、領収書の宛名が故人本人になっていたり、実際の支払者が分からない形になっていたりすると、追加確認が必要になる可能性があります。
可能であれば、葬儀会社から領収書を受け取る段階で、 実際に費用を負担した人の氏名と支払額が確認できる形 にしておくことをおすすめします。
どの費用まで埋葬費として認められるかは、個々の支出内容によって判断されます。
5万円を超える領収書があれば自動的に5万円支給されると考えるのではなく、対象費用の内容を確認してください。
判断に迷う場合は、申請前に保険者へ確認すると確実です。
埋葬料と埋葬費の違いは、「5万円かどうか」だけではありません。
生計維持関係者に対する定額給付なのか、埋葬料を受けられる人がいない場合の実費給付なのか という制度の構造から理解すると、請求者を判断しやすくなります。
被扶養者は家族埋葬料の対象

亡くなったのが被保険者本人ではなく、健康保険の 被扶養者 であった場合には、埋葬料ではなく 家族埋葬料 が支給されます。
家族埋葬料は、健康保険法上、被扶養者が死亡した場合に被保険者へ支給される給付です。
2026年9月時点の法定額は5万円です。
家族埋葬料を請求するのは被保険者本人
たとえば、会社員である夫が健康保険の被保険者、その妻が被扶養者として加入しているケースを考えてみましょう。
妻が亡くなった場合には、亡くなった妻に生活を維持されていた人を探すのではなく、 健康保険の被保険者である夫に家族埋葬料5万円が支給される という仕組みになります。
同様に、被扶養者となっている子や親が亡くなった場合にも、被保険者が家族埋葬料の請求者になります。
被保険者本人が死亡したときの埋葬料では「被保険者によって誰が生計を維持されていたのか」という確認が重要になりますが、被扶養者の死亡では制度の構造が違います。
この違いを押さえておくと、誰の名義で申請するのか迷いにくくなります。
本人死亡と被扶養者死亡の違い
- 被保険者本人が死亡:生計維持関係者に埋葬料
- 生計維持関係者がいない本人死亡:実際に埋葬した人に埋葬費
- 被扶養者が死亡:被保険者本人に家族埋葬料
家族埋葬料には埋葬費に相当する制度がない
被保険者本人が亡くなった場合には、埋葬料を受ける人がいなければ埋葬費へ移る仕組みがあります。
一方、被扶養者の死亡については、「家族埋葬料を受けられない場合に、実際に葬儀代を負担した第三者へ5万円以内の実費を支給する」といった埋葬費に相当する仕組みはありません。
この点も埋葬料・埋葬費・家族埋葬料を混同しないために重要です。
資格喪失後の家族死亡には注意
実務上、特に注意したいのが、会社を退職した後に、それまで被扶養者だった家族が亡くなったケースです。
被保険者本人については、後ほど説明するように資格喪失後3か月以内の死亡など一定の場合に以前の健康保険から埋葬料・埋葬費が支給される特例があります。
しかし、この資格喪失後給付をそのまま元被扶養者にも当てはめることはできません。
被保険者が資格を喪失した後に、以前その被扶養者だった家族が亡くなった場合、以前の健康保険から家族埋葬料は支給されません。
「退職後3か月以内なら本人も家族も対象」と覚えてしまうと誤りです。
資格喪失後3か月という特例は、元被保険者本人の死亡に関する埋葬料・埋葬費について確認するものです。
元被扶養者の死亡とは分けて考えてください。
死産の場合は家族埋葬料とは別に考える
もう一つ、制度上区別しておきたいのが死産の場合です。
胎児は健康保険の被扶養者として加入しているわけではないため、死産について家族埋葬料を請求するという整理にはなりません。
一方、妊娠週数など一定の要件を満たす場合には出産育児一時金の対象となることがあります。
死亡や出産に伴う給付は名称が似ているものも多いため、まず「誰が被保険者で、誰が被扶養者だったのか」という資格関係を確認することが実務では重要です。
被扶養者が亡くなった場合には、家族埋葬料の申請だけでなく、会社側では被扶養者に関する資格の届出も必要になります。
遺族側と会社側で必要な手続きを分けて整理しておくと、漏れを防ぎやすいですよ。
国保の葬祭費との違い
市区町村の国民健康保険に加入していた人が亡くなった場合、健康保険の埋葬料ではなく、原則として 国民健康保険の葬祭費 を確認します。
ここは実務でも制度を取り違えやすいところです。
「人が亡くなったら健康保険から5万円」という一つの制度があるのではなく、死亡時にどの医療保険制度へ加入していたかによって、給付の名称や金額、請求者が変わります。
| 加入制度・状況 | 主な給付 | 金額の考え方 |
|---|---|---|
| 会社員等の健康保険 | 埋葬料・埋葬費 | 埋葬料5万円、埋葬費は上限5万円の実費 |
| 健康保険の被扶養者 | 家族埋葬料 | 5万円 |
| 国民健康保険 | 葬祭費 | 市区町村により異なる |
| 後期高齢者医療 | 葬祭費 | 広域連合等の制度による |
| 業務・通勤による死亡 | 労災保険の葬祭料等 | 労災保険の算定方法による |
健康保険と国民健康保険は制度が違う
たとえば、会社員として協会けんぽに加入していた人が在職中に業務外の病気で亡くなったのであれば、健康保険の埋葬料・埋葬費を検討します。
一方、自営業者や退職後の人などで市区町村の国民健康保険に加入していた人が亡くなった場合には、市区町村の葬祭費を確認します。
国民健康保険の葬祭費は全国一律5万円と法律で固定されているわけではありません。
支給額、請求できる人、必要書類、申請期限などの具体的な運用は自治体によって違いがあります。
そのため、ネット上で「葬祭費は5万円」と見かけても、自分の自治体でも必ず5万円とは限りません。
亡くなった人が加入していた市区町村の国民健康保険窓口で確認する必要があります。
後期高齢者医療も葬祭費
75歳以上の人などが加入する後期高齢者医療制度でも、健康保険の埋葬料ではなく葬祭費という形で給付が設けられています。
したがって、「父は会社で働いていたから健康保険の埋葬料だろう」と考えていたとしても、死亡時に75歳以上で後期高齢者医療制度へ加入していたのであれば、確認するのは後期高齢者医療の葬祭費です。
在職していたかどうかではなく、 死亡時点でどの医療保険の資格を持っていたか を見ることが大切です。
原則として同じ死亡について二重に受け取る制度ではない
健康保険の埋葬料と国民健康保険の葬祭費を、それぞれ5万円ずつ請求できるのではないかと考える方もいますが、基本的にはそのような二重給付を前提とする制度ではありません。
通常は、死亡時点で加入していた制度に対応する給付を確認します。
また、退職後3か月以内の死亡のように以前の健康保険の埋葬料が問題になるケースでは、資格喪失後に加入した別制度から既に葬祭関係の給付を受けていないかという確認も必要です。
死亡時の保険資格が分からない場合は、故人が持っていた資格確認書、資格情報のお知らせ、マイナポータルの情報、勤務先の資格喪失日などを確認してください。
「会社員だった」「退職していた」という肩書だけで判断すると、申請先を間違えることがあります。
死亡後はさまざまな窓口から「葬祭費」「埋葬料」という言葉を聞くため混乱しやすいのですが、まず死亡時点の医療保険資格を一本確認すれば、多くの場合は整理できます。
どの制度か分からない状態で複数の窓口へ同時に申請するのではなく、資格関係から順番に確認するのがおすすめです。
健康保険の埋葬料とはどう判断するか
ここからは、実際に死亡手続きを進める際に迷いやすいケースを整理します。
特に75歳以上、仕事中や通勤中の事故、退職後の死亡では、単純に「会社員だったから健康保険の埋葬料」と判断すると手続きを誤る可能性があります。
私が実務で確認するときも、まず年齢、死亡時の保険資格、退職日、死亡原因の順に整理します。
制度名から考えるよりも、亡くなった時点の状況から当てはめていく方が確実です。
75歳以上は後期高齢者の葬祭費
75歳以上の人は、原則として後期高齢者医療制度の被保険者となります。
そのため、75歳以上の親が亡くなった場合などは、会社に勤めていたとしても、まず 後期高齢者医療制度の葬祭費 を確認することになります。
在職していることと医療保険資格は分けて考える
この点は、現役で働き続ける高齢者が増えていることもあり、実務で間違えやすいポイントです。
75歳を超えて会社に勤務して給与を受け取っていたとしても、それだけを理由に会社の健康保険の被保険者であり続けるわけではありません。
原則として75歳に達すると後期高齢者医療制度へ移行します。
つまり、「会社員であること」と「協会けんぽや健康保険組合の被保険者であること」は必ずしも同じではありません。
そのため、75歳以上の従業員が亡くなったときに、会社側が機械的に「在職者死亡なので健康保険の埋葬料」と案内してしまうと、申請先を誤る可能性があります。
75歳以上の死亡で最初に見るもの
- 死亡時の年齢
- 後期高齢者医療の資格状況
- 死亡時点で利用していた医療保険制度
- 葬祭を行った人
後期高齢者医療の葬祭費は地域ごとに確認する
後期高齢者医療制度では、被保険者が亡くなった際に葬祭を行った人へ葬祭費が支給されますが、具体的な支給額や申請方法については加入していた後期高齢者医療広域連合や市区町村の案内を確認する必要があります。
健康保険の埋葬料が法定5万円だからといって、後期高齢者医療の葬祭費も必ず同じ金額になるわけではありません。
死亡後は住民票のある市区町村でさまざまな手続きを行うことが多いため、その際に後期高齢者医療の葬祭費について案内を受けることもあります。
葬祭を行った人の名義や振込先、葬儀を行ったことを確認できる書類などが必要になる場合がありますので、自治体の案内を確認してください。
65歳以上75歳未満でも後期高齢者の場合がある
さらに注意したいのが、後期高齢者医療制度は「全員75歳から」とだけ覚えておくと例外を見落とすことです。
65歳以上75歳未満で一定の障害の状態にあり、認定を受けて後期高齢者医療制度へ加入している人もいます。
この場合も死亡時に後期高齢者医療の被保険者であれば、健康保険の埋葬料ではなく後期高齢者医療の葬祭費を確認することになります。
死亡に関する給付を判断するときは、「何歳だったか」だけではなく「死亡日時点で何の医療保険資格を持っていたか」まで確認するのが確実です。
資格確認書や保険者からの通知などが残っていれば、まずそこを確認しましょう。
会社の人事担当者として案内する場合も、年齢だけを見て給付名を決めるのではなく、死亡時点の資格を確認してから遺族へ案内することをおすすめします。
業務上の死亡は労災の葬祭料

従業員が在職中に亡くなった場合、人事労務担当者が最初に確認したいのが 死亡原因が業務上または通勤によるものではないか という点です。
健康保険の埋葬料は業務外の事由による死亡について確認する給付です。
一方、仕事中の事故などによる業務災害や、通勤災害により死亡した場合には、労災保険の葬祭料等・葬祭給付を検討します。
在職中に亡くなっただけでは健康保険とは決まらない
たとえば、従業員が休日に病気で亡くなった場合と、工場での作業中の事故によって亡くなった場合では、死亡時に同じ会社へ在職していたとしても、確認する制度は異なります。
前者で健康保険の支給要件を満たすのであれば埋葬料等を検討しますが、後者が業務災害に該当する場合には労災保険の葬祭料等を確認することになります。
また、会社から自宅への通常の通勤途中に交通事故で亡くなったような場合には、通勤災害に該当する可能性があります。
「会社員が在職中に死亡した=健康保険の埋葬料」という判断はできません。
事故や急死など仕事との関係が疑われるケースでは、まず死亡原因、発生場所、業務内容、勤務時間、通勤経路などを確認する必要があります。
労災の葬祭料等は健康保険の5万円とは金額体系が違う
労災保険の葬祭料等・葬祭給付は、健康保険の埋葬料とは給付額の計算方法も異なります。
2026年4月1日から、労災保険の葬祭料等の定額部分は改正されており、2026年9月時点では 33万円に給付基礎日額30日分を加えた額 が基本となります。
その額が給付基礎日額60日分に満たない場合には、給付基礎日額60日分が支給額となります。
以前は定額部分が31万5,000円でしたが、2026年4月1日施行の改正により33万円へ変更されています。
古い解説記事や資料を確認すると31万5,000円と記載されていることがありますので、申請時点の金額には注意が必要です。
(出典: 厚生労働省「葬祭料、複数事業労働者葬祭給付及び葬祭給付の額の改正について」 )
2026年9月時点の労災の葬祭料等
33万円+給付基礎日額30日分
ただし、この額が給付基礎日額60日分より少ない場合は、給付基礎日額60日分
労災か健康保険か判断が難しい死亡もある
実務では、工場で機械に巻き込まれた事故のように業務との関係が明らかな死亡だけではありません。
長時間労働が続いた後の脳・心臓疾患、精神障害を背景とした死亡、出張中の事故、会社行事中の事故など、業務上か業務外か判断に検討を要するケースもあります。
また、交通事故では業務災害・通勤災害の問題に加えて、相手方が存在する第三者行為災害としての手続きが必要になる場合があります。
労災認定には事実確認が必要であり、会社や遺族だけで最終判断するものではありません。
そのため、「たぶん私傷病だろう」と決めつけて健康保険だけを案内するのではなく、仕事との関係が疑われる事情がある場合には労働基準監督署や社会保険労務士などへ確認することが重要です。
会社側では、死亡事故が発生したら埋葬料の手続きだけを見るのではなく、事故発生時刻、勤務状況、業務命令の有無、通勤経路、医療機関の診断内容などの資料を早い段階で整理しておくと、その後の手続きを進めやすくなります。
健康保険と労災保険では給付の目的も金額も異なります。
死亡という重大な場面だからこそ、最初の制度選択を急ぎ過ぎず、事実関係を確認してから進めることが大切です。
退職後3か月以内の死亡も対象
健康保険の埋葬料は、死亡時にその健康保険へ加入していなければ必ず対象外になる、というわけではありません。
一定の場合には、 資格喪失後の死亡でも以前の健康保険から埋葬料または埋葬費が支給される ことがあります。
資格喪失後3か月以内という特例がある
代表的なのは、被保険者本人が健康保険の資格を喪失した後、3か月以内に亡くなったケースです。
たとえば8月31日に退職すると、通常は9月1日に健康保険の被保険者資格を喪失します。
その後、一定の要件のもとで資格喪失後3か月以内に亡くなった場合には、以前加入していた健康保険から埋葬料または埋葬費が支給される可能性があります。
しかも、この資格喪失後3か月以内の死亡については、資格喪失前の被保険者期間が何年間必要といった長期加入要件が設定されている制度ではありません。
資格喪失後に確認する3つのケース
- 資格喪失後3か月以内に元被保険者本人が死亡した
- 傷病手当金・出産手当金の資格喪失後の継続給付中に死亡した
- 継続給付を受けなくなった日後3か月以内に死亡した
傷病手当金などの継続給付中も対象になる場合がある
健康保険には、退職により資格を失った後であっても一定の要件を満たせば傷病手当金や出産手当金を継続して受けられる制度があります。
この資格喪失後の継続給付を受けている間に元被保険者が亡くなった場合や、その継続給付を受けなくなった日から3か月以内に亡くなった場合にも、埋葬料・埋葬費の対象になる可能性があります。
そのため、退職から3か月以上経っているからという理由だけで直ちに対象外と判断するのは早いケースがあります。
たとえば、長期間の療養で傷病手当金の継続給付を受けていた人が退職後しばらくして亡くなった場合には、退職日だけではなく、傷病手当金の受給状況も確認する必要があります。
退職後に加入した健康保険との重複には注意
退職後は、国民健康保険へ加入する、家族の健康保険の被扶養者となる、別の会社へ就職して新しい健康保険へ加入するなど、別の医療保険資格を取得することがあります。
資格喪失後3か月以内だからといって、以前の健康保険と新しく加入した制度の両方から死亡に関する給付を重ねて受け取れるわけではありません。
協会けんぽでも、資格喪失後の埋葬料・埋葬費の支給要件に該当する場合であっても、資格喪失後に加入した健康保険から埋葬料等を請求している場合には支給されない旨が案内されています。
退職後の死亡では、次の2点を必ずセットで確認してください。
- 以前の健康保険をいつ資格喪失したか
- 資格喪失後にどの医療保険へ加入していたか
任意継続中の死亡は通常の被保険者として考える
退職後に協会けんぽなどの任意継続被保険者となっている場合には、その人は任意継続の健康保険について現在も「被保険者」です。
したがって、任意継続の資格を持っている間に亡くなった場合は、「元被保険者が資格喪失後3か月以内に死亡した」という整理ではなく、任意継続被保険者本人が死亡した場合の埋葬料・埋葬費として確認することになります。
資格喪失後の死亡は、日付が数日違うだけでも資格関係が変わることがあります。
退職日、資格喪失日、次の保険への加入日、死亡日を時系列に並べると整理しやすいですよ。
埋葬料の申請先と必要書類
協会けんぽの被保険者に関する埋葬料・埋葬費を申請する場合は、原則として 加入している協会けんぽの都道府県支部 へ健康保険埋葬料(費)支給申請書を提出します。
健康保険組合に加入していた場合は、その健康保険組合が申請先になります。
まず保険者を確認してから申請書を用意する
会社員だからといって全員が協会けんぽへ申請するわけではありません。
勤務先が健康保険組合へ加入している場合には、その健康保険組合へ申請します。
死亡後に書類を準備する際には、勤務先の人事担当者へ「どの健康保険へ加入していたか」を確認すると早いでしょう。
協会けんぽの場合には「健康保険埋葬料(費)支給申請書」を使用します。
埋葬料と埋葬費で全く別の用紙になるのではなく、同じ申請書の中で必要事項を記入して申請する形になっています。
死亡の事実を確認する書類
申請時には、亡くなった事実を確認するための証明が必要になります。
具体的には、死亡に関する事業主の証明を申請書上で受ける方法のほか、状況に応じて埋葬許可証や火葬許可証、死亡診断書、死体検案書など、死亡年月日や死亡の事実を確認できる書類が必要になることがあります。
会社員本人が在職中に亡くなったケースであれば、会社側で死亡の事実を把握しているため、申請書の事業主証明を行うことで遺族側の添付書類を減らせる場合があります。
会社としては、被保険者の資格喪失手続きだけを行って終わりにするのではなく、遺族へ埋葬料の制度も案内すると親切です。
死亡直後の遺族は複数の行政手続きを抱えているため、会社側で証明できるものを早めに準備すると負担軽減につながります。
埋葬費では領収書・明細書が特に重要
埋葬料は定額給付ですが、埋葬費は5万円を上限とした実費給付です。
そのため、埋葬費を申請する場合には、実際に埋葬へ要した費用の額を証明する書類が重要になります。
葬儀会社の領収書については、支払った人の氏名、支払額、葬儀会社名などが確認できる形で保管しておきましょう。
さらに、何にいくら支払ったのか分かる明細書があると、埋葬に直接要した費用を確認しやすくなります。
特に、独居の被保険者が亡くなり、遠縁の親族や友人、勤務先などが葬祭費用を負担した場合は、請求者と領収書上の支払者が誰なのかを整理しておくことが重要です。
会社側では資格喪失や扶養解除の手続きも発生する
被保険者本人が亡くなった場合、会社側では健康保険・厚生年金保険の被保険者資格喪失に関する手続きが必要になります。
死亡日の翌日が資格喪失日となるため、給与計算、保険料、被扶養者の今後の保険加入なども含めて確認する必要があります。
一方、亡くなったのが被扶養者の場合には、被扶養者に関する届出が必要になります。
実務では、遺族へ埋葬料を案内しながら、健康保険資格、厚生年金、遺族年金、会社の弔慰金、給与や退職金など複数の手続きを同時に整理することになります。
チェックリスト化しておくと漏れを防ぎやすいでしょう。
交通事故、暴行など第三者の行為が死亡原因となっている場合には、通常の埋葬料申請だけではなく、第三者行為に関する届出が必要となる場合があります。
死亡原因に関係する事実は省略せず、保険者へ正確に伝えてください。
申請方法や添付書類は個別事情によって追加書類を求められる場合があります。
申請前に保険者の最新の申請書・記入案内を確認すると、書類の差戻しを避けやすくなります。
埋葬料の申請期限は2年

健康保険の給付には時効があります。
埋葬料についても、いつまでも請求できるわけではありません。
埋葬料と家族埋葬料は、原則として 死亡した日の翌日から2年 で時効となります。
一方、埋葬費は 実際に埋葬を行った日の翌日から2年 です。
| 給付 | 時効の起算日 | 期間 |
|---|---|---|
| 埋葬料 | 死亡日の翌日 | 2年 |
| 家族埋葬料 | 死亡日の翌日 | 2年 |
| 埋葬費 | 埋葬を行った日の翌日 | 2年 |
埋葬料と埋葬費では時効のスタートが違う
「どちらも2年」とだけ覚えていると、起算日を間違える可能性があります。
埋葬料は、死亡した日の翌日から時効期間が進みます。
家族埋葬料についても同様です。
一方、埋葬費については、実際に埋葬を行った日の翌日が起算日になります。
これは埋葬費が、実際に埋葬を行った後に、その費用を基礎として請求する制度だからです。
死亡日と火葬・埋葬を行った日が異なるケースでは、起算日も異なることになります。
時効を判断するときは「2年」だけでなく起算日まで確認してください。
- 埋葬料:死亡日の翌日から
- 家族埋葬料:死亡日の翌日から
- 埋葬費:埋葬を行った日の翌日から
死亡後は手続きが集中するため後回しになりやすい
実際には、死亡直後に埋葬料だけを落ち着いて手続きできる家庭は多くありません。
死亡届、火葬、葬儀、公共料金、銀行口座、生命保険、勤務先への連絡、相続、年金、税金など、短期間に非常に多くの対応が発生します。
そのため、「健康保険から何か出ると聞いたけれど、後で調べよう」と考えているうちに時間が経ってしまうことがあります。
2年というと長く感じますが、相続手続きなどが長引くと意外に早く経過します。
必要書類が揃っているのであれば、葬儀後の各種手続きとあわせて早めに申請しておく方が安心です。
会社側から早期に案内すると請求漏れを防ぎやすい
従業員本人が亡くなった場合、会社は遺族と資格喪失や最終給与、退職金、貸与品返却などについて連絡を取ることになります。
このタイミングで健康保険の埋葬料についても案内できれば、遺族側が制度を知らないまま時効を迎えるリスクを減らせます。
特に中小企業の場合、死亡時の事務手続きを担当者の経験だけに任せているケースもあります。
私は、資格喪失手続き、埋葬料、遺族年金、会社独自の弔慰金などを死亡時チェックリストとしてまとめておくのがよいかなと思います。
死亡に伴って確認する公的給付は埋葬料だけではありません。
遺族の状況によっては遺族年金や未支給年金など、別制度の手続きも必要です。
遺族年金については、 遺族年金の受給条件・対象者を整理した解説 も参考にしてください。
時効直前の場合は自己判断せず確認する
死亡から2年近く経っている場合でも、「もう間に合わないだろう」と自己判断して申請を諦めるのはおすすめしません。
実際の死亡日、埋葬日、給付の種類によって起算日が異なるため、まず日付を確認してください。
書類を提出した時期や過去の照会状況など、個別事情がある場合には保険者へ確認する必要があります。
逆に、時効までまだ期間があるからと長期間放置するメリットもほとんどありません。
死亡関係の書類や領収書を紛失する前に申請しておく方が手続きは進めやすいでしょう。
健康保険の埋葬料とは何かを整理
健康保険の埋葬料とは、健康保険の被保険者が業務外の事由で亡くなったときに、被保険者によって生計を維持されていた人へ支給される給付です。
2026年9月時点の法定額は5万円です。
ただし、死亡に関する給付はすべて「埋葬料」になるわけではありません。
生計維持関係者がいなければ埋葬費、被扶養者が亡くなれば家族埋葬料、国保や後期高齢者医療では葬祭費、仕事や通勤が原因の死亡では労災保険の葬祭料等を確認します。
最初に制度を切り分けることが一番重要
死亡後の給付を調べると、「埋葬料」「埋葬費」「家族埋葬料」「葬祭費」「葬祭料」という似た名称が次々に出てきます。
一つずつ暗記しようとすると分かりにくいのですが、実務上は最初に制度を切り分ければ整理できます。
判断に迷ったときは、次の順番で整理すると分かりやすくなります。
- 死亡時に加入していた医療保険を確認する
- 業務上・通勤による死亡ではないか確認する
- 本人死亡か被扶養者死亡かを確認する
- 本人死亡なら生計維持関係者の有無を確認する
- 資格喪失後なら退職日と死亡日を確認する
健康保険の被保険者本人が業務外の理由で亡くなったのであれば、次に生計維持関係者がいるかを確認します。
いる場合は埋葬料、いない場合には実際に埋葬を行った人への埋葬費を検討します。
被扶養者が亡くなったのであれば、被保険者への家族埋葬料を確認します。
亡くなった人が国民健康保険や後期高齢者医療の被保険者だったのであれば、健康保険の埋葬料ではなく葬祭費を確認します。
さらに、業務災害や通勤災害であれば労災保険の制度を確認するという流れです。
埋葬料と埋葬費の違いは生計維持関係がポイント
この記事の中でも特に押さえてほしいのが、埋葬料と埋葬費を区別する基準です。
埋葬料は、被保険者に生計を維持されていた人に対する5万円の定額給付です。
一方、埋葬費は、そのような埋葬料を受けられる人がいない場合に、実際に埋葬を行った人へ5万円を上限として実費を支給するものです。
したがって、誰が葬儀代を払ったかだけを見て埋葬料の請求者を決めることはできません。
まず生計維持関係を確認し、その人がいない場合に埋葬費を検討します。
死亡時の保険資格と日付を確認する
75歳以上の人、退職後の人、任意継続中の人などでは、「以前どこに加入していたか」ではなく、死亡時点の資格や資格喪失日が重要になります。
特に退職後3か月以内の死亡には健康保険の資格喪失後給付がある一方、資格喪失後に別制度から葬祭関係の給付を受ける場合には重複の問題があります。
判断に迷ったら、紙に「退職日」「健康保険資格喪失日」「次の保険の資格取得日」「死亡日」を並べてみるとかなり整理しやすくなります。
| 確認事項 | 確認する内容 |
|---|---|
| 死亡時の保険 | 健康保険・国保・後期高齢者医療など |
| 死亡原因 | 業務外・業務災害・通勤災害の可能性 |
| 亡くなった人 | 被保険者本人か被扶養者か |
| 請求者 | 生計維持関係者の有無 |
| 退職後の場合 | 資格喪失日から死亡日までの期間 |
| 期限 | 埋葬料等の時効起算日から2年以内か |
会社側は死亡手続きをまとめて案内する
従業員本人が亡くなった場合、会社側では健康保険の埋葬料だけではなく、資格喪失、最終給与、社会保険料、退職金、会社独自の弔慰金、遺族年金に関する案内など複数の対応が発生します。
遺族にとっては会社の制度と公的制度の区別がつかないことも珍しくありません。
そのため、人事担当者が「会社から支給されるもの」「健康保険へ申請するもの」「年金事務所などへ確認するもの」を分けて案内すると、かなり分かりやすくなります。
また、会社が死亡の事実を申請書上で証明できれば、埋葬料の申請で遺族側の書類負担を減らせる場合があります。
資格喪失届を行うタイミングで埋葬料についても案内する運用にしておくと、請求漏れを防ぎやすいでしょう。
「健康保険から5万円出る」とだけ覚えるのではなく、 誰が亡くなったのか、どの保険に加入していたのか、誰が請求するのか までセットで確認することが重要です。
制度や申請様式、健康保険組合の付加給付、国保や後期高齢者医療の葬祭費、労災保険の給付額などは、法改正や各保険者の規程変更によって変わる可能性があります。
正確な情報は公式サイトをご確認ください 。
死亡原因、生計維持関係、資格喪失後の加入状況などによって取扱いが変わることがあります。
特に、労災該当性が問題になるケース、内縁関係や別居で生計維持関係の判断が難しいケース、複数の保険制度が関係するケースでは、自己判断だけで手続きを進めない方が安全です。
また、相続や税務など健康保険以外の判断が関係する場合もあります。
個別事情がある場合の 最終的な判断は専門家にご相談ください 。