育児休業

育児休業給付金にボーナスは含まれる?社労士が実務解説

こんにちは。

もりおか社会保険労務士事務所、社会保険労務士の川熊です。

育児休業給付金にボーナスが含まれるのかという点については、原則として、賞与は育児休業給付金の計算対象に含まれません。

そのため、育休中や育休前にボーナスを受け取ったからといって、それだけで育児休業給付金が減るわけではありません。

ただし、育児休業給付金の計算方法、育休中の賞与支給、賞与にかかる社会保険料免除は、それぞれ別の制度として整理する必要があります。

実際の相談でも、この3つを混同して不安になっている方は少なくありません。

この記事では、育児休業給付金とボーナスの関係を、従業員の方にも分かりやすいように、実務目線で整理して解説します。

  • 育児休業給付金に賞与が含まれるか
  • 育休手当の計算で含まれる賃金
  • 育休中のボーナス支給と減額の考え方
  • 賞与の社会保険料免除との違い

育児休業給付金にボーナスは含まれる?

育児休業給付金にボーナスは含まれる?

育児休業給付金にボーナスは含まれる?

まずは、育児休業給付金の計算にボーナスが入るのかを確認していきます。

結論だけを見るとシンプルですが、給与明細に載っている手当のうち何が含まれるのか、賞与がなぜ除かれるのかまで理解しておくと、実際の支給額を確認するときに迷いにくくなります。

賞与は原則として含まれない

賞与は原則として含まれない

育児休業給付金の額は、育児休業に入る前の賃金をもとに計算されます。

ここで使われるのが、 休業開始時賃金日額 という考え方です。

休業開始時賃金日額は、育児休業開始前の一定期間に支払われた賃金をもとに算出されますが、年2回の夏季賞与・冬季賞与のような一般的なボーナスは、原則としてここに含めません。

この点は、育児休業給付金を受ける方から実際によく相談されます。

「育休前にボーナスをもらったから、育休手当が増えるのでは」「育休中に賞与が出たら、給付金が減るのでは」と考える方が多いのですが、育児休業給付金の計算における賞与の扱いは、毎月の給与とは分けて考えます。

育児休業給付金は、会社から支払われる賞与そのものを補填する制度ではありません。

雇用保険から支給される給付であり、育児休業に入る前の毎月の賃金水準をもとに、一定割合で支給される仕組みです。

したがって、賞与が多い会社に勤めているからといって、その賞与額まで育児休業給付金に反映されるわけではありません。

結論の整理

一般的な年2回のボーナスは、育児休業給付金の計算対象に含まれません。

育休前6か月間に賞与が支給されていても、通常はその賞与を加えて休業開始時賃金日額を計算するわけではありません。

たとえば、育休開始前6か月間の毎月の給与が25万円で、別途60万円の賞与が支給されていたとします。

この場合、育児休業給付金の計算では、通常、毎月の給与部分を中心に見ます。

60万円の賞与を足して計算するわけではないため、「ボーナスが出た月があるから育休手当が大きく上がる」という理解は正確ではありません。

反対に、育休中に賞与が支給された場合も、その賞与が育休期間中の労働に対する賃金でなければ、それだけで育児休業給付金が減額されるとは限りません。

ここは安心材料になる部分かなと思います。

育休中のボーナス支給と、育児休業給付金の算定は、似ているようで別の論点です。

実務では、給与明細、賞与明細、会社の賃金規程、賞与規程を見ながら判断します。

従業員の方は、まず「賞与が育児休業給付金の計算に含まれるか」と「育休中に賞与がもらえるか」を切り分けて考えると、かなり整理しやすくなります。

育休手当のボーナス計算

一般に育休手当と呼ばれるものは、多くの場合、雇用保険から支給される育児休業給付金を指しています。

この育児休業給付金は、会社が独自に金額を決めて支払うものではなく、雇用保険のルールに基づいて計算されます。

したがって、会社の賞与額が大きいか小さいかというよりも、育休開始前の賃金日額がいくらになるかが重要です。

育児休業給付金の基本的な支給額は、休業開始時賃金日額に支給日数を掛け、さらに一定の支給率を掛けて計算します。

育児休業開始から180日目までは67%、181日目以降は50%が基本です。

支給率や計算の考え方については、厚生労働省も育児休業等給付のQ&Aで案内しています(出典: 厚生労働省「Q&A~育児休業等給付~」 )。

期間 計算の基本 支給率 賞与の扱い
育児休業開始から180日目まで 休業開始時賃金日額 × 支給日数 67% 一般的な賞与は含めない
181日目以降 休業開始時賃金日額 × 支給日数 50% 一般的な賞与は含めない

ここで大切なのは、育休手当のボーナス計算という言葉で検索していても、実際には「ボーナスを足して計算するのか」を知りたい方が多いという点です。

結論としては、通常の賞与は休業開始時賃金日額に含めません。

つまり、ボーナスを含めた年収ベースで育児休業給付金を計算するわけではない、ということです。

一方で、育児休業給付金は非課税であり、要件を満たす育児休業期間中は社会保険料も免除されるため、単純に給与の67%だから手取りも67%になるとは限りません。

実際の手取り感としては、休業前の手取りと比べて思ったより差が小さいと感じる方もいます。

ただし、住民税の支払い、会社からの賃金支払い、社会保険料免除の対象期間などによって実感は変わります。

概算と実際の支給額は分けて考える

インターネット上の計算ツールや記事を使えば、おおまかな育児休業給付金の目安は出せます。

しかし、実際の支給額は、会社が作成する雇用保険被保険者休業開始時賃金月額証明書の内容や、ハローワークでの確認によって決まります。

特に、休業前に欠勤がある場合、産前産後休業を挟む場合、勤務日数が少ない月がある場合は、単純な6か月平均だけでは判断しにくいことがあります。

育児休業給付金の基本的な条件や申請の流れは、 雇用保険育児休業給付金の条件と申請方法を社労士が解説 でも詳しく整理しています。

支給額だけでなく、申請時期や会社側の手続きも合わせて確認しておくと安心です。

注意点

育児休業給付金の支給額には上限や下限があり、育休中に賃金が支払われた場合には調整が入ることがあります。

ボーナスだけで判断せず、支給対象期間中の賃金支払い全体を確認することが大切です。

賃金日額の計算方法

育児休業給付金を理解するうえで大切なのが、休業開始時賃金日額です。

これは、育児休業に入る前の賃金水準を1日あたりに換算したものです。

育児休業給付金の支給額は、この休業開始時賃金日額を土台に計算されるため、ここを理解すると、なぜ賞与が含まれないのかも見えやすくなります。

原則的には、育児休業開始前6か月間の総支給額を180で割って計算します。

この総支給額は、健康保険料や厚生年金保険料、雇用保険料、所得税などが控除される前の金額で考えます。

いわゆる手取り額ではなく、給与明細上の総支給額をベースにするという点がポイントです。

休業開始時賃金日額の基本

育児休業開始前6か月間の総支給額を180で割って計算します。

ただし、一般的な賞与、臨時に支払われる賃金、3か月を超える期間ごとに支払われる賃金は、原則として除いて考えます。

ここでいう6か月間は、単にカレンダー上の直近6か月を機械的に見るだけではありません。

雇用保険の手続きでは、賃金支払基礎日数などを確認しながら、どの月を対象にするかを判断します。

たとえば、欠勤が多い月、休職していた月、産前産後休業に入っていた月などがある場合、通常の給与が支払われていた月と同じように扱ってよいのか、慎重に確認する必要があります。

給与明細で確認する項目

従業員の方が概算を知りたい場合は、まず育休開始前の給与明細を6か月分そろえるとよいでしょう。

確認する項目は、基本給、各種手当、残業代、通勤手当などです。

手取り額だけを見るのではなく、総支給額の欄を確認します。

ボーナス明細が別にある場合、その金額を足して計算しない点にも注意してください。

確認する書類 見るポイント 注意点
給与明細 総支給額、基本給、手当、残業代 手取り額ではなく控除前の金額を見る
賞与明細 支給日、支給額、対象期間 一般的な賞与は賃金日額に含めない
会社の規程 賃金規程、賞与規程、育休中の扱い 支給条件や査定期間を確認する
支給決定通知書 実際の給付額、支給対象期間 概算ではなく決定額を確認する

会社の実務では、雇用保険被保険者休業開始時賃金月額証明書を作成する際に、どの月の賃金を記載するかを確認します。

ここを誤ると、育児休業給付金の支給額に影響する可能性があります。

私も実務で確認するときは、単に給与額だけを見るのではなく、対象期間、欠勤控除、手当の性質、賞与の支給頻度まで確認します。

なお、正確な計算は個別事情によって変わります。

特に、時短勤務から育休に入る場合、休職後に育休に入る場合、産前産後休業の前後で給与が変動している場合は、自己判断だけで決めつけないほうが安全です。

会社の人事労務担当者やハローワーク、必要に応じて専門家に確認しましょう。

残業代や通勤手当は含まれる

残業代や通勤手当は含まれる

育児休業給付金の計算では、賞与は原則として除かれますが、毎月の給与として支払われる賃金は、基本的に算定対象になります。

ここでよく質問されるのが、残業代や通勤手当です。

結論としては、残業代や通勤手当は、毎月の賃金として支払われているものであれば、休業開始時賃金日額の計算に含まれるのが一般的です。

たとえば、基本給のほか、時間外労働手当、深夜手当、休日手当、通勤手当、住宅手当、家族手当、役職手当、資格手当などは、労働の対価として毎月支払われる性質のものであれば、賃金日額の計算に反映されることがあります。

賞与が除かれる一方で、残業代が含まれることがあるため、この違いは押さえておきたいところです。

区分 含まれやすいもの 含まれにくいもの 実務上の確認点
毎月の給与 基本給、残業代、通勤手当、各種手当 臨時的な一時金 給与明細上の総支給額を確認
賞与関係 年4回以上など特殊な支給形態のもの 年2回の賞与、決算賞与など 支給頻度と賃金規程を確認
退職関係 通常は該当しにくい 退職金 労働の対価かどうかを確認

特に残業代については、「育休に入る前に残業が多かった月があるのですが、その分も育休手当に反映されますか」と聞かれることがあります。

育休開始前6か月間に時間外労働があり、その残業代が通常の賃金として支払われている場合には、休業開始時賃金日額に反映される可能性があります。

ただし、注意したいのは、育休直前だけ意図的に残業を増やすような考え方です。

会社の業務上必要な残業であれば問題ありませんが、給付金を増やす目的で不自然に勤務実態を変えるような運用は、労務管理上も適切ではありません。

会社側としても、通常の勤務実態に基づいて賃金を証明する必要があります。

通勤手当の考え方

通勤手当は、給与明細に毎月支給されている場合、賃金として扱われることがあります。

たとえば、毎月定額の通勤手当が支給されている場合には、育休開始前6か月間の賃金総額に含まれる可能性があります。

一方で、育休中は実際に通勤しないため、会社が通勤手当を停止することもあります。

これは、育休前の賃金日額の計算と、育休中に支給する賃金の扱いを分けて考える必要があります。

読者が確認すべきポイント

  • 給与明細の総支給額に何が含まれているか
  • 残業代が育休開始前6か月に支払われているか
  • 通勤手当が毎月支給されているか
  • 賞与明細の金額を給与6か月分に足していないか

従業員の方にとっては、給与明細を見てもどの手当が対象になるのか判断しづらいことがあります。

その場合は、会社の人事担当者に「育児休業給付金の休業開始時賃金日額に含まれる賃金として、どの手当を証明する予定ですか」と確認すると、具体的な説明を受けやすいですよ。

賞与が含まれる例外ケース

通常の賞与は育児休業給付金の計算に含まれません。

ただし、すべての賞与的な支払いが必ず除外されるわけではありません。

ここは一般向けの記事では省略されやすいのですが、社労士実務では意外と大切なポイントです。

賞与という名称だけで判断するのではなく、支給頻度や支給条件、賃金規程上の位置づけを見て判断します。

雇用保険の賃金日額の考え方では、臨時に支払われる賃金や、3か月を超える期間ごとに支払われる賃金は、原則として賃金日額の算定から除かれます。

年2回や年3回の賞与は、通常この「3か月を超える期間ごとに支払われる賃金」に該当しやすいため、育児休業給付金の計算対象に含まれない、という整理になります。

一方で、同じ賞与という名前であっても、年4回以上の頻度で定期的に支給される場合には、3か月を超える期間ごとに支払われる賃金とは言いにくくなります。

そのため、制度設計や支給実態によっては、通常の賃金として休業開始時賃金日額に含まれる可能性があります。

実務上の注意点

賞与という名称だけで判断するのではなく、支給頻度、支給条件、賃金規程上の位置づけを確認することが重要です。

会社によっては、名称は賞与でも実態として毎月または四半期ごとの賃金に近い場合があります。

年4回以上の支給は確認が必要

たとえば、会社が賞与を年4回に分けて支給している場合や、業績手当のような名称で四半期ごとに支給している場合は、一般的な夏冬の賞与とは扱いが変わることがあります。

もちろん、年4回なら必ず含まれると単純に言い切れるものではありません。

就業規則、賃金規程、支給基準、実際の支給実態を総合的に見て判断します。

支給形態 育児休業給付金の計算上の考え方 確認すべき資料
年2回の夏季・冬季賞与 原則として含まれない 賞与規程、賞与明細
年3回の賞与 原則として含まれない可能性が高い 賞与規程、支給実績
年4回以上の定期支給 賃金として含まれる可能性がある 賃金規程、支給条件、支給頻度
臨時一時金 原則として含まれにくい 支給決定書、会社通知

従業員の方にとっては、一般的な年2回のボーナスであれば、育児休業給付金の計算に含まれないと理解して差し支えありません。

ただ、会社側が給与制度を設計する場合には注意が必要です。

賞与を分割して支給する、賞与とは別に定期手当を設ける、業績連動給を四半期ごとに支給するなどの制度では、雇用保険上の賃金としてどう扱われるかを確認する必要があります。

このあたりは、個人の給与明細だけでは判断が難しいこともあります。

会社の賃金規程や賞与規程を確認したうえで、必要に応じてハローワークや専門家に確認するのが安全です。

特に会社側は、給与設計の段階で社会保険・雇用保険・労働法の扱いがずれないようにしておくことが大切です。

育児休業給付金とボーナスが含まれる誤解

育児休業給付金とボーナスが含まれる誤解

次に、育児休業給付金とボーナスに関してよくある誤解を整理します。

特に、育休中にボーナスが支給されるか、給付金が減額されるか、社会保険料が免除されるかは、それぞれ別の話です。

ここを分けて考えると、制度の全体像が見えやすくなります。

育休中に賞与は支給されるか

育休中に賞与が支給されるかどうかは、育児休業給付金の制度で決まるものではありません。

基本的には、会社の就業規則、賃金規程、賞与規程、査定期間の扱いによって決まります。

ここを誤解して、「育休に入ったら法律上ボーナスは必ず出ない」「育休中でも必ず満額支給される」と考えてしまうと、実際の会社運用とずれてしまいます。

賞与は、法律で一律に支給が義務づけられているものではありません。

会社が賞与制度を設けている場合に、その会社の規程や労働契約に従って支給されます。

つまり、賞与の有無や金額は、会社ごとの制度設計によってかなり違います。

中小企業では、明確な賞与規程がないまま慣例で支給しているケースもあるため、育休時の扱いで迷いやすいところです。

たとえば、賞与の算定期間中に勤務実績がある場合、その期間に応じて賞与が支給される会社もあります。

一方で、算定期間中の出勤日数や評価期間を反映し、減額されることもあります。

これは、育休を取得したから罰として減らすという話ではなく、賞与の計算ルールとして、実際の勤務期間や評価対象期間を反映するという考え方です。

注意したい考え方

育休を取得したことだけを理由に、不利益に取り扱うことは問題になり得ます。

ただし、賞与の算定期間中に勤務していない期間があるため、規程に基づいて日割りや評価期間に応じた計算をすることが、直ちに違法になるとは限りません。

賞与規程で確認する項目

育休中の賞与について確認する場合は、単に「出るか出ないか」だけではなく、賞与の計算ルールを具体的に確認することが大切です。

特に、賞与の算定期間、支給日在籍要件、出勤率、評価期間、休業期間の扱いは見ておきたいポイントです。

  • 賞与の算定期間がいつからいつまでか
  • 支給日在籍要件があるか
  • 育児休業期間を出勤扱いにするか
  • 勤務日数や評価期間による減額規定があるか
  • 産前産後休業と育児休業で扱いが異なるか

たとえば、7月支給の賞与が前年10月から当年3月までを算定期間としている場合、その期間に通常勤務していれば、育休中の7月に支給日が来ても賞与が支給される可能性があります。

一方で、算定期間の大部分が育休期間であれば、規程に基づいて減額または不支給となることもあります。

休職中の賞与の考え方と重なる部分もあるため、賞与規程の見方については、 休職中のボーナスはもらえる?減額・不支給の条件と対処法を社労士が解説 も参考になります。

育休と休職は制度としては別ですが、賞与規程の読み方という点では共通する部分があります。

従業員の方は、会社に確認する際、「育休中でも賞与は出ますか」と聞くだけでなく、「賞与の算定期間に勤務していた分はどのように反映されますか」「育児休業期間は賞与計算上どのように扱われますか」と聞くと、より具体的な回答を得やすいですよ。

賞与で給付金は減額されるか

賞与で給付金は減額されるか

育休中に賞与を受け取った場合でも、その賞与が育児休業期間中の労働に対する賃金でなければ、通常は育児休業給付金の減額対象にはなりません。

ここは、読者の方がかなり不安に感じやすいポイントです。

せっかく会社からボーナスが出たのに、その分だけ育児休業給付金が減らされたら困る、という心配ですね。

育児休業給付金で問題になるのは、育児休業期間中に会社から賃金が支払われた場合です。

たとえば、育休中に一部就業をして、その就業に対する給与が支払われる場合、その金額によっては育児休業給付金が減額されたり、支給されなかったりすることがあります。

これは、育児休業中であっても賃金収入がある場合に、給付金との調整が行われるためです。

しかし、賞与は過去の勤務実績や会社業績に基づいて支給されることが多く、必ずしも育休中の労働の対価とは限りません。

たとえば、育休に入る前の査定期間に勤務していた実績に対して、育休中の支給日にボーナスが振り込まれるケースがあります。

この場合、支給日が育休中であっても、賞与の対象期間は育休前であることがあります。

切り分けのポイント

育休中に支払われたお金が、育休期間中の労働の対価なのか、それとも過去の勤務実績に対する賞与なのかを分けて考えます。

支給日だけでなく、何に対する支払いなのかを見ることが大切です。

支給日ではなく対象期間を見る

実務上は、支給日だけで判断すると誤解が生じます。

たとえば、12月に賞与が支給されたとしても、その賞与が4月から9月までの勤務実績に対するものであれば、12月の育休期間中の労働に対する賃金とは限りません。

逆に、育休中に短時間だけ働き、その労働に対して給与が支払われた場合は、名称が手当であっても給付金調整の対象になる可能性があります。

支払いの種類 給付金への影響 確認するポイント
育休前の勤務実績に対する賞与 通常、それだけで減額とは限らない 賞与の算定期間、賞与明細
育休中の就業に対する給与 減額や不支給の可能性がある 就業日数、支給額、対象期間
会社独自の育休支援金 賃金性の判断が必要 支給規程、支給目的、名称だけで判断しない

この点は、会社側の賃金台帳や賞与明細の記載も重要です。

人事労務の実務では、育休中の賃金支払いがある場合、どの期間に対する支払いなのかを説明できるようにしておく必要があります。

支給日だけを見て処理すると、育児休業給付金の申請時に混乱することがあります。

従業員の方は、育休中に賞与が支給された場合でも、まずは賞与明細や会社の説明を確認しましょう。

支給決定通知書の金額と照らし合わせる場合には、 育児休業給付金の支給決定通知書の見方と確認方法 も確認しておくと安心です。

なお、育休中に就業した場合の給付金の扱いは、就業日数や賃金額によって判断が必要になります。

賞与と給与の区別が難しい場合や、会社独自の手当が支給される場合は、早めに会社の担当者や専門家に確認してください。

賞与の社会保険料免除

育児休業給付金の計算に賞与が含まれるかどうかとは別に、育休中に支給された賞与に健康保険料や厚生年金保険料がかかるのかという論点があります。

これは、育児休業等期間中の社会保険料免除の話です。

育児休業給付金の金額計算とは制度が違うため、ここを混同しないことが非常に大切です。

育児休業給付金は雇用保険の給付です。

一方、社会保険料免除は健康保険・厚生年金保険の保険料に関する制度です。

どちらも育休に関係するため、同じ制度のように感じやすいのですが、所管も目的も判断基準も異なります。

実際の相談でも、「賞与の保険料が免除されるなら、賞与も育休手当の計算に入るのでは」と混同されることがあります。

2022年10月以降に開始した育児休業等については、賞与にかかる社会保険料免除の要件が見直されています。

大まかにいうと、賞与支給月の末日を含み、かつ連続して1か月を超える育児休業等を取得している場合に、その賞与にかかる保険料が免除される扱いです。

制度改正の詳細は、日本年金機構でも案内されています(出典: 日本年金機構「令和4年10月から育児休業等期間中における社会保険料の免除要件が改正されました」 )。

混同しやすいポイント

賞与の社会保険料が免除されるかどうかと、賞与が育児休業給付金の計算に含まれるかどうかは別問題です。

賞与保険料が免除されても、その賞与が育児休業給付金の賃金日額に含まれるという意味ではありません。

給与の保険料免除と賞与の保険料免除は要件が違う

育児休業等期間中の社会保険料免除では、毎月の給与にかかる保険料と、賞与にかかる保険料で要件の見方が異なります。

給与については、月末を含む育児休業等や、同一月内に14日以上の育児休業等を取得した場合などが関係します。

一方、賞与については、連続して1か月を超える育児休業等であることが重要になります。

対象 主な確認点 注意点
毎月の給与にかかる社会保険料 月末を含むか、同一月内14日以上か 短期育休でも免除対象になる場合がある
賞与にかかる社会保険料 賞与支給月の末日を含み、連続1か月超か 月末だけの短期育休では免除されない場合がある
育児休業給付金の計算 休業開始時賃金日額、支給日数、支給率 賞与保険料免除とは別制度

以前は、賞与支給月の末日をまたぐ短期の育休でも賞与保険料が免除されるケースがありました。

しかし、改正後は短期間の育休で賞与月の末日だけをまたぐようなケースでは、免除されないことがあります。

特に、男性の短期育休や出生時育児休業では、日付の見方が重要になります。

この制度は、取得開始日、終了日、賞与支給日、月末を含むか、連続1か月を超えるかなど、日付の見方が重要です。

会社側も従業員側も、賞与月の育休取得については、給付金だけでなく社会保険料免除の要件も分けて確認しましょう。

正確な情報は公式サイトをご確認ください。

上限額と下限額に注意する

育児休業給付金は、休業前の賃金をもとに計算されますが、無制限に支給額が増えるわけではありません。

休業開始時賃金日額には、上限額と下限額があります。

そのため、休業前の給与が高い場合でも、一定額を超える部分は給付額に反映されません。

反対に、賃金が低い場合には下限額の考え方が関係することがあります。

ここで重要なのは、「ボーナスが含まれない」という話と、「上限額がある」という話を合わせて理解することです。

仮に毎月の給与が高くても、上限額があるため、育児休業給付金が青天井で増えることはありません。

また、賞与が高額であっても、一般的な賞与は賃金日額に含まれないため、賞与額がそのまま給付額を押し上げるわけではありません。

上限額・下限額は、毎年8月1日に改定される仕組みです。

したがって、記事を読んでいる時点の金額と、あなたが実際に育児休業を開始する時点の金額が異なる可能性があります。

特に、育休開始日が8月前後になる場合は、どの時点の上限額・下限額が使われるのか、最新情報を確認する必要があります。

金額確認の注意

育児休業給付金の上限額や下限額は改定されるため、実際に申請する時点の最新情報を確認する必要があります。

古い記事や古いシミュレーション結果だけで判断しないようにしましょう。

高収入の方ほど上限額を確認する

育休前の給与が高い方は、休業開始時賃金日額が高く計算されても、支給額の上限に達することがあります。

この場合、給与の67%や50%を単純に掛けた金額よりも、実際の育児休業給付金が低くなることがあります。

ボーナスが多い会社に勤めている方ほど、年収ベースで期待すると実際の給付額と差が出やすいです。

確認したい人 注意点 確認方法
毎月の給与が高い人 上限額により給付額が抑えられる可能性 最新の上限額を確認する
時短勤務後に育休に入る人 休業前賃金が低くなる可能性 育休開始前6か月の給与を確認する
欠勤や休職がある人 対象月の見方が複雑になる可能性 会社やハローワークに確認する
賞与割合が大きい人 年収の感覚と給付額に差が出やすい 月例賃金ベースで概算する

また、育休前に時短勤務をしていた場合、休業開始時賃金日額が時短勤務後の給与をもとに計算されることがあります。

たとえば、妊娠中の体調や勤務調整で時短勤務になっていた場合、育児休業給付金の概算にも影響する可能性があります。

この点は、個別事情が大きく関係するため、早めに確認しておくとよいでしょう。

インターネット上の記事やシミュレーションで見た金額が、現在の上限額と一致しているとは限りません。

概算を出すこと自体は有効ですが、実際の支給額を断定するのは避けるべきです。

最終的な判断は専門家にご相談ください。

会社の賞与規程を確認する

会社の賞与規程を確認する

育児休業給付金の計算に賞与が含まれないとしても、育休中のボーナスそのものがどうなるかは別の話です。

そのため、実際に確認すべきなのは会社の賞与規程です。

育児休業給付金は雇用保険の制度ですが、賞与の支給有無や金額は、会社のルールによって決まります。

賞与規程には、支給対象者、算定期間、支給日在籍要件、出勤率、評価方法、休業期間の扱いなどが定められていることがあります。

会社によっては、就業規則の中に賞与の条項があるだけの場合もありますし、別に賃金規程や賞与規程を設けている場合もあります。

まずは、自分の会社でどの規程に賞与のルールが書かれているかを確認しましょう。

たとえば、賞与算定期間の大部分を勤務していた場合は支給対象になる一方で、育休期間が算定期間に含まれるため一定の減額が行われることもあります。

このような減額がすべて違法になるわけではありませんが、育休取得を理由とした不利益取扱いにならないよう、会社側は慎重な運用が必要です。

会社に確認するときの聞き方

単に「ボーナスは出ますか」と聞くよりも、「賞与の算定期間に勤務していた分はどのように計算されますか」「育児休業期間は賞与計算上どう扱われますか」と確認したほうが、具体的な回答につながりやすいです。

支給日在籍要件に注意する

賞与規程でよくあるのが、支給日在籍要件です。

これは、賞与の支給日に会社に在籍していることを支給条件とするルールです。

育児休業中であっても雇用関係は継続しているため、在籍要件を満たす場合があります。

ただし、退職予定者や支給日前に退職した人の扱いなど、規程の書き方によって結論が変わることがあります。

確認項目 見るべき内容 実務上の注意点
算定期間 賞与の対象となる勤務期間 育休前の勤務実績が反映されるか確認
支給日在籍要件 支給日に在籍している必要があるか 育休中は在籍扱いかを確認
出勤率要件 一定以上の出勤が必要か 育休期間を欠勤扱いにするか確認
評価方法 人事評価や業績評価の反映方法 評価対象外期間の扱いを確認
休業期間の扱い 育休・産休・休職の取扱い 制度ごとに扱いが異なる場合がある

従業員の方としては、会社に確認するときに、次のように具体的に確認すると話が進みやすくなります。

  • 育休中でも賞与の支給対象になりますか
  • 査定期間中の育休期間はどう扱われますか
  • 支給日在籍要件はありますか
  • 減額される場合の計算方法はどこに定められていますか
  • 育休前に勤務した期間分は賞与に反映されますか

会社側の実務では、規程の文言と実際の計算方法が一致しているかも重要です。

給与計算ソフトの自動計算だけに頼ると、規程と異なる処理になっていることがあります。

中小企業では特に迷いやすいポイントです。

従業員から質問を受けたときに説明できるよう、賞与規程と計算根拠を整理しておくことをおすすめします。

育児休業給付金にボーナスは含まれるか

育児休業給付金にボーナスが含まれるかについては、原則として、年2回などの一般的な賞与は計算対象に含まれません。

育児休業給付金は、育休開始前の毎月の賃金をもとにした休業開始時賃金日額から計算されます。

まずは、この結論を押さえておけば大丈夫です。

一方で、残業代、通勤手当、住宅手当、家族手当、役職手当など、毎月の賃金として支払われるものは、休業開始時賃金日額の計算に含まれることがあります。

ここが、賞与との大きな違いです。

給与明細に毎月載っているものと、賞与明細として別に支給されるものは、育児休業給付金の計算上も扱いが異なることがあります。

また、育休中にボーナスを受け取った場合でも、それが過去の勤務実績に対する賞与であれば、通常はそのことだけで育児休業給付金が減額されるわけではありません。

ただし、育休中の労働に対する賃金が支払われた場合は、給付額の調整が問題になることがあります。

支給日ではなく、何に対する支払いなのかを見ることが大切です。

この記事の整理

  • 一般的な賞与は育児休業給付金の計算に含まれない
  • 賞与を受け取っただけで給付金が減るとは限らない
  • 育休中の賞与支給は会社の賞与規程で確認する
  • 賞与の社会保険料免除は別制度として考える
  • 年4回以上の賞与的支給は例外的に確認が必要

最後に確認する順番

迷ったときは、確認する順番を決めると整理しやすくなります。

まず、育児休業給付金の計算に使うのは休業開始時賃金日額であり、一般的な賞与は含まれないことを確認します。

次に、毎月の給与に含まれる手当や残業代を確認します。

そのうえで、育休中の賞与支給については会社の賞与規程を確認します。

最後に、賞与の社会保険料免除については、育休期間や賞与支給月の末日を含むかを確認します。

確認順 確認する内容 見る資料
最初 育児休業給付金の計算対象 給与明細、休業開始時賃金月額証明書
毎月の賃金に含まれる手当 給与明細、賃金規程
育休中の賞与支給の有無 賞与規程、賞与明細
最後 賞与の社会保険料免除 育休期間、賞与支給日、社会保険手続き

育児休業給付金、賞与、社会保険料免除は、似ているようで制度の目的も判断基準も違います。

迷ったときは、給与明細、賞与明細、会社の規程、育児休業給付金の支給決定通知書を分けて確認することが大切です。

ひとつの書類だけで判断せず、どの制度の話をしているのかを意識すると、かなり理解しやすくなります。

制度の金額や要件は改定されることがあります。

特に、育児休業給付金の上限額・下限額、社会保険料免除の要件、会社の規程改定などは、時期によって変わる可能性があります。

正確な情報は公式サイトをご確認ください。

個別の勤務状況や会社規程によって結論が変わる場合もあるため、最終的な判断は専門家にご相談ください。

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