社会保険・年金

国民年金学生納付特例とは?申請方法・追納のポイント

こんにちは。

もりおか社会保険労務士事務所、社会保険労務士の川熊です。

国民年金の学生納付特例制度は、20歳以上の学生で本人の前年所得が一定額以下の場合に、申請によって在学中の国民年金保険料の納付を猶予してもらえる制度です。

大学生などが20歳になると国民年金の対象になりますが、学生本人には十分な収入がないことも珍しくありません。

アルバイト収入だけで学費や生活費をまかなっている方にとっては、毎月の国民年金保険料まで負担するのが難しいケースもあるでしょう。

そのような場合に、保険料を単純な未納のままにせず、学生納付特例の承認を受けておくことには大きな意味があります。

学生納付特例の承認期間は、将来の老齢基礎年金の受給資格期間に含まれるほか、障害基礎年金などの保険料納付要件を考えるうえでも重要だからです。

一方で、学生納付特例を利用した期間は、そのままでは将来受け取る老齢基礎年金の金額に反映されません。

「学生の間は払わなくても同じ」という制度ではなく、在学中の支払いをいったん猶予し、必要に応じて卒業後などに追納できる制度と理解しておく必要があります。

この記事では、学生納付特例の対象者や所得基準、申請方法、メリットと注意点、追納をするかどうかの考え方まで、初めて制度を調べる方にも分かるように整理します。

20歳になったばかりの学生本人はもちろん、保護者の方が手続きを確認したい場合にも役立つよう、実務上迷いやすいポイントまで詳しく解説していきます。

  • 学生納付特例を利用できる学生と所得要件
  • 学生納付特例を利用するメリットと注意点
  • 申請方法や必要書類、申請できる期間
  • 卒業後に追納するかどうかの考え方

国民年金学生納付特例とは?申請方法と追納を解説

国民年金学生納付特例の仕組みと対象

まずは、国民年金の学生納付特例がどのような制度なのかを整理します。

特に重要なのは、 保険料そのものがなくなる制度ではなく、在学中の納付を猶予する制度 だという点です。

学生だから自動的に保険料が免除されるわけでもありません。

対象となる学校、学生本人の所得基準、家族の所得との関係、未納との違いまで順番に確認していきましょう。

学生納付特例制度とは

日本国内に住む20歳以上60歳未満の方は、原則として国民年金の被保険者になります。

学生であっても、この基本的な取扱いは変わりません。

20歳になれば国民年金の対象となり、原則として国民年金保険料を納める必要があります。

ただ、大学生や専門学校生などの場合、20歳になった時点ではまだ就職しておらず、収入がアルバイトだけということも多いでしょう。

毎月の生活費や学費を支払いながら国民年金保険料まで負担することが難しい学生も少なくありません。

そこで設けられているのが 学生納付特例制度 です。

学生納付特例は、学生本人の前年所得が一定額以下である場合に、本人が申請し、日本年金機構の承認を受けることで、対象期間の国民年金保険料の納付を猶予してもらえる仕組みです。

社会保険とはの全体像については、社会保険とは?仕組み・種類・広義と狭義の違いを解説した記事で確認できます。

ここで押さえておきたいのは、「免除」と「猶予」は同じ意味ではないということです。

学生納付特例では、その期間の保険料をいま払わなくてもよくなりますが、保険料を納めたものとして将来の老齢基礎年金額に反映されるわけではありません。

学生納付特例のポイント

  • 20歳以上の学生が対象となる制度
  • 本人の前年所得が一定額以下であることが必要
  • 申請しなければ自動的には適用されない
  • 承認期間は単純な未納期間とは扱いが異なる
  • 受給資格期間には算入される
  • 追納しなければ老齢基礎年金額には反映されない

ここで特に注意したいのが、 学生だから国民年金保険料を払わなくてよいわけではない という点です。

20歳になった後、保険料を納めず、学生納付特例の申請もしなければ、原則として未納期間が生じることになります。

私が年金制度について説明するときも、「今は払えないから、何もしないでおこう」と考えないことが重要だとお伝えしています。

学生納付特例は、まさに現在の収入では納付が難しい学生のために設けられている制度だからです。

学生は一般の納付猶予ではなく学生納付特例を確認する

国民年金には、学生納付特例以外にも保険料免除制度や納付猶予制度があります。

そのため、「収入が少ないなら普通の免除申請をすればよいのでは」と考える方もいます。

しかし、学生については基本的に学生納付特例制度を利用することになります。

制度ごとに審査対象となる所得や年金額への反映方法が異なるため、学生である場合はまず学生納付特例に該当するかを確認するのが実務上の順番です。

未納とは大きく意味が異なる

学生納付特例の承認を受けた期間は、老齢基礎年金を受給するために必要となる受給資格期間に含まれます。

老齢基礎年金は、原則として保険料納付済期間や免除期間などを合計した受給資格期間が10年以上必要です。

学生納付特例の承認期間も、この受給資格期間には算入されます。

また、障害や死亡といった事態が生じた場合の障害基礎年金や遺族基礎年金についても、学生納付特例の承認期間は保険料納付要件を判定する際に重要な意味を持ちます。

一方、単純な未納期間は同じ扱いではありません。

項目 学生納付特例 未納
保険料の支払い 承認期間中は猶予 支払っていない状態
老齢基礎年金の受給資格期間 算入される 原則として算入されない
老齢基礎年金額への反映 追納しなければ反映されない 反映されない
障害基礎年金等の納付要件 承認期間として取り扱われる 未納期間として影響する可能性がある
後から納められる期間 原則10年以内に追納可能 通常の保険料は原則として納付期限から2年

「今は払えないから、とりあえず放置する」という選択と、「学生納付特例を申請して正式に猶予を受ける」という選択は、年金制度上かなり意味が違います。

保険料の支払いが難しいのであれば、未納のまま放置するのではなく、まず学生納付特例を利用できるか確認する。

ここが最初の重要ポイントですよ。

対象となる学生と学校

対象となる学生と学校

学生納付特例という名称から、大学生だけが利用できる制度と思われることがありますが、対象は大学生に限られていません。

大学や大学院はもちろん、短期大学、高等学校、高等専門学校、特別支援学校、専修学校、一定の各種学校など、幅広い学校に在学している方が対象になります。

  • 大学・大学院
  • 短期大学
  • 高等学校
  • 高等専門学校
  • 特別支援学校
  • 専修学校
  • 一定の要件を満たす各種学校
  • 一定の海外大学の日本分校など

さらに、全日制だけが対象というわけでもありません。

夜間課程、定時制課程、通信課程に在学している学生についても、学校や課程が制度上の要件を満たしていれば学生納付特例の対象になります。

例えば、仕事をしながら夜間大学に通っている方や、通信制大学で学んでいる方であっても、「夜間だから対象外」「通信だから対象外」と一律に決まるわけではありません。

各種学校は修業年限などの要件がある

注意したいのが、いわゆる各種学校です。

各種学校の場合には、原則として修業年限が1年以上の課程であることなど、一定の要件があります。

私立の各種学校については、都道府県知事の認可を受けていることも確認ポイントになります。

また、海外の大学そのものへ留学していれば自動的に学生納付特例の対象になる、という意味でもありません。

海外大学の日本分校については、日本国内に設置された分校等のうち、文部科学大臣が指定した一定の課程が対象となります。

学校名だけで判断しないことが大切です。

特に専門学校、各種学校、資格取得を目的としたスクール、海外大学関係の学校では、学生本人が「学校に通っている」と認識していても、国民年金法上の学生納付特例の対象校に該当しないケースがあります。

対象校一覧で確認するのが確実

自分の学校が対象になるか分からない場合は、日本年金機構が公表している学生納付特例対象校一覧で確認するのが確実です。

対象校一覧では、学生納付特例の対象となる学校であるかだけでなく、学校が学生納付特例の申請代行事務を行っているかどうかを確認できる場合もあります。

学校経由で申請しようと考えている方にとっては、この点も重要です。

大学や専門学校の窓口で学生納付特例を案内されるケースもありますが、学校側の案内が必ずあるとは限りません。

20歳になったら、自分自身でも国民年金の手続きを確認しておくことをおすすめします。

制度の対象となる学校や課程については、日本年金機構が最新情報を公表しています。

(出典: 日本年金機構「国民年金保険料の学生納付特例制度」

特に学校区分が分かりにくい場合は、自己判断だけで「対象外だろう」と考えず、学校の窓口や年金事務所にも確認してみるとよいでしょう。

学生本人の所得基準

学生納付特例を利用できるかどうかを判断する重要な要件が、学生本人の前年所得です。

学生であれば誰でも利用できるわけではなく、一定以上の所得がある場合には学生納付特例が承認されないことがあります。

現在、日本年金機構が示している学生納付特例の所得基準は、原則として次の計算式です。

所得基準の目安

128万円+扶養親族等の数×38万円+社会保険料控除等

例えば、扶養親族等がいない学生の場合は、128万円を基本として、社会保険料控除等を加味して判定されます。

ここで非常に間違えやすいのが、 128万円という数字はアルバイト先から実際に受け取った給与収入そのものを意味するわけではない という点です。

収入と所得は別物

給与で働いている場合、アルバイト先から1年間に支給された金額が「給与収入」です。

これに対して、税法上の給与所得は、給与収入から給与所得控除を差し引いて計算します。

そのため、「アルバイトの年収が128万円を超えているから学生納付特例は使えない」と、その数字だけで判断するのは適切ではありません。

逆に、アルバイト以外に事業所得や雑所得などがある場合には、それらを含めた所得が審査に影響することがあります。

収入と所得を混同しないことが重要です。

所得基準や税制上の控除額は制度改正によって変更される可能性があります。

数値は一般的な目安として捉え、申請する年度の正確な情報は公式サイトをご確認ください。

審査されるのは原則として前年所得

学生納付特例では、申請する時点の1か月分のアルバイト代だけを見て判断するわけではありません。

基本的には、申請対象となる年度に対応する前年の所得によって審査されます。

例えば、学生になる前に会社員として働いており、その後大学や専門学校に入り直した方の場合、申請時点では収入が少なくなっていたとしても、前年に一定の給与所得があることがあります。

このようなケースでは、前年所得が審査に影響する可能性があります。

反対に、今年になってアルバイトの勤務日数を増やし、現在の月収が高くなっていたとしても、対象年度によっては前年所得が審査対象になります。

つまり、 「今月いくら稼いでいるか」だけで学生納付特例を利用できるかどうかは判断できない ということです。

前年に退職して学生になった場合は確認しておく

会社を退職して学校へ入り直した方など、前年所得が基準を超えていても現在は失業しているケースでは、失業等による特例的な取扱いを受けられる可能性があります。

この場合には、雇用保険受給資格者証、雇用保険受給資格通知、離職票など、退職した事実を確認できる書類が必要となることがあります。

社会人経験のある学生は、一般的な大学生と所得状況が異なるため、「前年の給料が高かったから無理だろう」と自己判断せず、年金事務所などへ確認する価値があります。

所得の申告がされていない場合にも注意

学生で収入が少なく、所得税の確定申告をしていない方でも、市区町村側で所得情報を確認できない場合には、住民税の申告を求められるケースがあります。

学生納付特例の審査では前年所得の情報が必要です。

「収入がゼロだから何もしなくていい」とは限らないため、申請後に所得情報について確認を求められた場合は、そのままにせず対応してください。

所得判定は税制とも関係するため、金額だけを見て判断するより、「何年中のどの所得が審査されるのか」を確認するのが実務上のポイントです。

家族の所得は審査されない

家族の所得は審査されない

学生納付特例の特徴の一つが、 原則として学生本人の所得を基準に判定する ことです。

「父親の年収が高いから学生納付特例は使えないのでは」「親が会社員だから対象外では」と心配される方もいますが、学生納付特例では家族の所得の多寡は問われません。

つまり、親に一定以上の所得があったとしても、それだけを理由として学生納付特例が不承認になるわけではありません。

例えば、父親と母親が共働きで世帯収入が高い家庭でも、20歳になった学生本人の前年所得が所得基準以下で、学校などその他の要件を満たしていれば、学生納付特例を利用できる可能性があります。

親の年収ではなく、まず学生本人の前年所得を確認する のが学生納付特例の基本です。

一般の国民年金保険料免除制度とは審査対象が違う

ここが混乱しやすい理由の一つは、国民年金には学生納付特例とは別に、一般の保険料免除制度があるからです。

一般的な国民年金保険料の全額免除や一部免除では、本人だけではなく、配偶者や世帯主の所得も審査対象になる制度があります。

そのため、親と同居している人について「親の所得が高いと免除が難しい」という話を聞いたことがある方もいるでしょう。

しかし、学生納付特例は学生を対象とした別の仕組みであり、本人の所得を基準として判断します。

制度を混同すると、「親の収入が高いから申請しても無駄」と誤解してしまいます。

対象になりそうであれば、家族の収入を理由に最初から諦める必要はありません。

健康保険の扶養と国民年金は別に考える

もう一つ、実際に混同されやすいのが健康保険の扶養です。

大学生であれば、父親や母親が加入している会社の健康保険で被扶養者になっているケースは多いでしょう。

しかし、 健康保険の被扶養者であることと、国民年金保険料を納める必要があるかどうかは別問題です。

健康保険では一定の条件を満たす子どもを被扶養者として扱えますが、国民年金では20歳以上の学生について、親の健康保険の扶養に入っていることだけを理由に国民年金保険料がなくなるわけではありません。

会社員の配偶者で一定の条件を満たす方には国民年金の第3号被保険者という制度がありますが、「会社員の子ども」である学生は、親が会社員だからという理由だけで第3号被保険者になるわけではありません。

健康保険の扶養に入っている=国民年金も無料、ではありません。

20歳になったら、健康保険とは別に国民年金の手続きを確認する必要があります。

保護者が保険料を支払う選択肢もある

学生本人に収入が少ない場合でも、必ず学生納付特例を利用しなければならないわけではありません。

家計に余裕があれば、保護者が学生本人の国民年金保険料を代わりに負担することも考えられます。

生計を一にする親族の国民年金保険料を実際に支払った場合、一定の条件のもとで支払った方の社会保険料控除の対象となることがあります。

したがって、「学生納付特例を利用する」「親が在学中から保険料を納める」「学生納付特例を利用して卒業後に本人が追納する」といった複数の選択肢があります。

どの方法が適しているかは家計状況によって変わりますので、保険料を現在払える家庭であれば、学生納付特例を申請する前に一度家族で話し合ってみてもよいかなと思います。

学生納付特例のメリットと注意点

学生納付特例の大きなメリットは、保険料をすぐに支払うことが難しい学生でも、正式な手続きを行うことで単純な未納状態を避けられることです。

「将来もらう老齢年金が少なくなるかどうか」だけに目が向きがちですが、国民年金は老後のためだけの制度ではありません。

病気やけがによって一定の障害状態になった場合の障害基礎年金、一定の遺族がいる方が亡くなった場合の遺族基礎年金など、現役世代にも関係する保障があります。

受給資格期間には含まれる

学生納付特例の承認を受けた期間は、老齢基礎年金を受給するために必要となる受給資格期間に算入されます。

老齢基礎年金を受けるためには、原則として保険料納付済期間、保険料免除期間などを合計した期間が10年以上必要ですが、学生納付特例の承認期間もこの期間に含めて考えられます。

したがって、学生時代に保険料を払えなかったとしても、きちんと学生納付特例の承認を受けていれば、その期間が受給資格期間から完全に抜け落ちてしまうわけではありません。

障害基礎年金の納付要件でも重要

私が学生納付特例で特に重要だと考えるのは、障害基礎年金との関係です。

20歳になったばかりの方に「老後の年金」と言っても、まだ何十年も先の話なので実感しにくいですよね。

しかし、病気や事故は年齢に関係なく起こる可能性があります。

障害基礎年金は、一定の障害状態に該当することだけで受け取れるわけではありません。

原則として初診日の前日時点で、国民年金保険料について所定の納付要件を満たしていることも必要です。

学生納付特例の承認期間は、こうした保険料納付要件を判定する際に、単純な未納期間とは異なる取扱いになります。

申請を後回しにしないことが重要です。

過去へさかのぼって学生納付特例を申請できる場合がありますが、申請が遅れたことで、申請前に発生した病気や事故に関する障害基礎年金を受けられないケースがあります。

「2年くらいさかのぼって申請できるなら、卒業するときにまとめてやればいい」と考えるのはおすすめできません。

障害年金では、どの時点で学生納付特例の申請がされていたかが重要になることがあります。

利用するのであれば、20歳になった後、できるだけ早めに申請しておくのが安全です。

そのままでは老齢基礎年金額が増えない

一方、学生納付特例には明確な注意点があります。

学生納付特例の期間は、追納しない限り老齢基礎年金額の計算には反映されません。

例えば、大学在学中の4年間について学生納付特例の承認を受け、その後一度も追納しなかったとします。

その4年間は老齢基礎年金の受給資格期間には含まれますが、保険料を納めた期間として老齢基礎年金額を増やすことにはつながりません。

その意味では、学生納付特例を利用した場合と、在学中から保険料を全額納めていた場合とでは、将来受け取る老齢基礎年金額に差が生じる可能性があります。

学生納付特例を理解する3つのポイント

  • 現在の保険料負担をいったん先送りできる
  • 未納とは異なり受給資格期間などに反映される
  • 老齢基礎年金額を増やしたい場合は後から追納を検討する

学生納付特例は「払わなくても将来の年金が同じになる制度」ではありません。

今の支払いを猶予してもらい、後から追納できるようにする制度 と理解するのが分かりやすいでしょう。

だからこそ、「学生納付特例を使うかどうか」と「卒業後に追納するかどうか」は別々に考えるのがポイントです。

国民年金学生納付特例の申請と追納

制度の対象になることが分かったら、次は実際の申請です。

学生納付特例は自動的に適用される制度ではないため、原則として本人が申請する必要があります。

20歳になった際に日本年金機構から案内が届いても、案内を受け取っただけで学生納付特例が適用されるわけではありません。

ここからは申請方法、必要書類、申請期間、毎年度の手続き、そして卒業後の追納までを具体的に確認します。

学生納付特例の申請方法

学生納付特例を利用するためには、国民年金保険料学生納付特例申請書を提出して承認を受ける必要があります。

申請方法は一つではなく、窓口、郵送、学校を経由する方法、オンラインなどから選べます。

主な申請方法としては、次の方法があります。

  • 住民登録をしている市区町村の国民年金担当窓口へ提出
  • 年金事務所へ提出
  • 申請書を郵送して提出
  • 対応している学校を通じて提出
  • マイナポータルから電子申請

市区町村や年金事務所の窓口で申請する

紙で手続きしたい場合は、住民登録をしている市区町村の国民年金担当窓口や年金事務所で申請できます。

書き方が分からない場合にその場で確認しながら手続きを進められるのが窓口申請のメリットです。

「初めて年金の手続きをするので何を書けばいいのか分からない」「過去分も申請できるか確認したい」といったケースでは、窓口で相談しながら手続きを進める方法もよいでしょう。

郵送でも申請できる

学校やアルバイトが忙しく、平日に窓口へ行くのが難しい場合には、申請書と必要な添付書類を郵送する方法もあります。

郵送の場合には、その場で書類不足を指摘してもらうことができないため、学生証の写しや本人確認関係の書類など、必要書類を事前によく確認してください。

また、マイナンバーを記載した申請書を郵送する場合には、所定の本人確認書類の写しが必要となります。

学校経由で申請できる場合もある

大学などによっては、学生納付特例の申請を学校が取り次いでくれる場合があります。

ただし、すべての学校が申請代行事務に対応しているわけではありません。

「大学生だから大学の学生課で必ず手続きできる」と考えるのではなく、学校が学生納付特例事務法人として指定されているか、学生窓口で取り扱っているかを確認してください。

マイナポータルから電子申請もできる

現在は、学生納付特例についてマイナポータルを利用した電子申請も可能です。

スマートフォンやパソコンから手続きできるため、窓口へ行く時間が取りにくい学生にとって便利な方法です。

マイナポータルとねんきんネットを連携している方は、年金に関する情報をオンライン上で確認しやすくなります。

ただし、ねんきんネットには申請書の作成を支援する機能もありますが、 ねんきんネット上で申請書を作成することと、マイナポータルから電子申請することは同じではありません。

ねんきんネットの届書作成機能で作成した書類については、印刷したうえで提出する手続きとなる場合があります。

「オンラインで入力したから申請まで完了した」と思い込まないようにしましょう。

電子申請を利用するときは、最後まで送信が完了しているかを確認することが大切です。

申請後は承認結果も確認する

申請書を提出した時点で、学生納付特例が確定するわけではありません。

提出された内容や所得情報などをもとに審査が行われ、承認または不承認の結果が通知されます。

申請したから大丈夫だろうと考えず、承認期間がいつからいつまでになっているかを確認してください。

また、国民年金の資格取得手続きと学生納付特例の申請を同時に行った場合でも、事務処理のタイミングによって納付書が届くことがあります。

納付書が届いたからといって直ちに学生納付特例が不承認になったと判断せず、申請状況や承認結果を確認しましょう。

申請に必要な書類と提出先

申請に必要な書類と提出先

学生納付特例を申請するときは、申請書だけでなく、学生であることや本人の年金記録を確認するための書類が必要になります。

どの方法で申請するかによって細かな取扱いは異なりますが、紙で申請する場合には、あらかじめ必要書類をそろえておくと手続きがスムーズです。

一般的には、次のような書類を確認します。

書類等 主な内容 確認ポイント
学生納付特例申請書 氏名、住所、申請期間、学校名などを記入 申請年度や在学予定期間を確認
学生証の写し 在学していることを確認 必要に応じて表面・裏面をコピー
在学証明書 学生証に代えて在学期間を証明 原本が必要となる場合を確認
基礎年金番号を確認できる書類 基礎年金番号で手続きする場合 基礎年金番号通知書など
マイナンバー関係書類 個人番号で申請する場合 番号確認と本人確認
退職を確認できる書類 失業等の特例を利用する場合 離職票などが必要となる場合あり

学生証は裏面まで確認する

学生証の写しを提出する場合は、表面だけコピーすればよいとは限りません。

学生証の裏面に有効期限、学年、入学年月日、在学期間などが記載されている場合は、裏面の写しも必要になります。

これは実務上ありがちな書類不備です。

表面に氏名と学校名しか書かれておらず、裏面に有効期限が記載されているタイプの学生証で、表面だけ提出すると在学期間を確認できないことがあります。

また、学生証にクレジットカード機能などが付いておりカード番号が記載されている場合は、不要な番号をマスキングして提出することも検討してください。

提出先は住所地を基準に考える

主な提出先は、住民登録をしている市区町村の国民年金担当窓口または年金事務所です。

一人暮らしの大学生では、「実家に住民票を残したまま、大学の近くで暮らしている」というケースもあります。

この場合、現在住んでいるアパートの場所だけで考えるのではなく、まず 住民票上の住所がどこになっているか を確認しておくことが大切です。

マイナポータルの電子申請でも、住所欄については住民票上の住所を基準として入力します。

基礎年金番号かマイナンバーを確認する

申請時には、本人の年金記録を特定するため、基礎年金番号またはマイナンバーを使用します。

20歳になったばかりの方の場合、「基礎年金番号を見たことがない」「年金手帳を持っていない」ということもあるでしょう。

現在は従来の年金手帳に代わって基礎年金番号通知書が発行されています。

基礎年金番号で申請する場合は、基礎年金番号通知書や、すでに年金手帳を持っている方であれば年金手帳など、番号を確認できる書類を用意します。

マイナンバーで申請する場合は、マイナンバーカードがあれば番号確認と本人確認を行いやすくなります。

マイナンバーカードを持っていない場合には、個人番号が確認できる書類と、運転免許証などの本人確認書類の組み合わせが必要となる場合があります。

郵送の場合は本人確認書類の取扱いに注意してください。

窓口なら提示だけで済む書類でも、郵送では写しの添付が必要になることがあります。

在学期間と申請期間を合わせて確認する

学生納付特例は、学校に在学している期間について利用する制度です。

例えば3月に卒業した後の4月分まで、学生だったからという理由で学生納付特例の対象になるわけではありません。

一方、年度途中に20歳になった場合は、20歳になって国民年金の被保険者となった後の期間について申請することになります。

申請書を書く際には、「学校に在学している期間」と「国民年金の被保険者となっている期間」の双方を意識すると間違いを防ぎやすくなります。

提出方法によって必要書類の扱いが異なることがありますので、申請直前に日本年金機構や提出先の案内を確認してください。

申請できる期間と毎年度の手続き

学生納付特例では、年度の考え方が非常に重要です。

学生納付特例における1年度は、 4月から翌年3月まで です。

一般的な学校年度と同じ区切りなので分かりやすい部分ではありますが、「一度申請したら卒業まで有効」と思い込まないようにしてください。

例えば4月から翌年3月まで大学に在学している場合、その年度について学生納付特例の審査を受けます。

翌年度も引き続き学生納付特例を利用したい場合には、原則として翌年度分についても申請が必要です。

学生納付特例は年度ごとの確認が基本です。

大学入学時に一度申請したからといって、卒業までの4年間が自動的にすべて承認されるわけではありません。

翌年度も在学する場合は案内を確認する

前年度に学生納付特例が承認され、翌年度も引き続き同じ学校へ在学する予定の方には、日本年金機構から翌年度分の手続きに関する案内が送られることがあります。

一定の場合には、通常より簡略化された申請方法を利用できることもあります。

ただし、案内を受け取っただけで翌年度の学生納付特例が自動更新されるわけではありません。

新年度も利用するのであれば、案内の内容を確認して必要な申請を行いましょう。

学校を変更した場合、在学予定期間が変わった場合などには、通常の申請書や学生証等の提出が必要となるケースがあります。

過去の期間もさかのぼって申請できる

「20歳になったときに手続きを忘れていた」「学生納付特例という制度を知らなかった」という場合でも、一定期間については過去へさかのぼって申請できる可能性があります。

現在の制度では、原則として 保険料の納付期限から2年を経過していない期間、申請時点からおおむね2年1か月前まで について、学生納付特例をさかのぼって申請できます。

ただし、「今日申請すれば必ず丸々2年1か月分申請できる」という意味ではありません。

国民年金保険料には月ごとに納付期限があり、各月について申請できる最終期限が異なります。

古い期間から順番に期限を迎えていくため、過去分を申請したい場合は早めに手続きをした方がよいでしょう。

年度をまたぐ場合は申請書も複数になる

学生納付特例は4月から翌年3月までを1年度として審査するため、さかのぼって複数年度分を申請する場合には、原則として年度ごとに申請書が必要です。

例えば、前年度分と今年度分の両方について学生納付特例を申請したい場合、1枚の申請書にまとめるのではなく、それぞれの年度について申請することになります。

さらに、審査対象となる所得も年度によって異なります。

「今の所得が少ないから過去2年分も全部同じ結果になる」とは限らない点にも注意しましょう。

遡及申請できることと障害年金の保障は別問題

ここは特に重要です。

過去へさかのぼって申請できるからといって、「何かあってから申請すれば大丈夫」という意味ではありません。

学生納付特例の申請が遅れた場合、申請前に発生した病気や事故による障害について、障害基礎年金を受給できなくなることがあります。

年金制度では、単に後から書類上の未納期間を埋められるかだけではなく、初診日などの時点で保険料納付要件を満たしているかが問題になるからです。

私としては、学生納付特例を利用する予定なのであれば、 「申請期限ぎりぎりまで待つ」のではなく、20歳になったら早めに手続きをする ことをおすすめします。

過去に申請していない期間がある方も、期限が過ぎたと決めつけず、まず年金事務所などへ確認してみてください。

学生納付特例の追納は必要か

学生納付特例の追納は必要か

学生納付特例について、申請後によく出てくる疑問が「卒業して就職したら、学生時代の保険料を必ず追納しなければならないのか」という点です。

結論からいうと、 学生納付特例を受けた期間について、卒業後に必ず追納しなければならないという義務があるわけではありません。

追納しないという選択も制度上は可能です。

ただし、追納しなければ、その学生納付特例期間は将来受け取る老齢基礎年金額には反映されません。

したがって、「追納しなければ違反なのか」という問題と、「将来の年金額を考えると追納した方がよいのか」という問題は分けて考える必要があります。

追納できるのは原則10年以内

学生納付特例の承認を受けた期間については、原則として 追納の承認を受けた月の前10年以内の期間 であれば、後から国民年金保険料を納付できます。

これを追納といいます。

通常の国民年金保険料を単純に未納にしている場合は、原則として納付期限から2年を過ぎると時効により納付できなくなります。

一方、学生納付特例として正式に承認を受けている期間は、10年以内という長い期間の中で追納を検討できます。

ここにも、未納のまま放置することと学生納付特例の承認を受けておくことの大きな違いがあります。

追納すると将来の年金額が増える

学生納付特例期間を追納すると、その期間について保険料を納付したものとして老齢基礎年金額へ反映されます。

日本年金機構では、学生納付特例や納付猶予の期間を1年間分追納した場合、老後の年金額が年間でおおむね2万円程度増える目安を示しています。

例えば、1年間追納したことによって毎年受け取れる老齢基礎年金が増えれば、年金を長期間受給するほど累計額も大きくなります。

ただし、実際に増える金額は年金額の改定などによって変わります。

「1年追納すれば必ず生涯で○万円得をする」と単純に判断できるわけではありません。

将来の年金額、受給期間、税金、現在の資金余力などを含めて考える必要があります。

時間がたつと追納額が増える場合がある

追納を検討するときに重要なのが、いつ納めるかです。

学生納付特例の承認を受けた期間の翌年度から数えて、 3年度目以降に追納すると、当時の国民年金保険料に経過期間に応じた加算額が上乗せされます。

つまり、「10年以内ならいつ払っても同じ金額」というわけではありません。

将来的に追納する意思が固まっており、資金にも余裕があるのであれば、加算額が付く時期も確認したうえで早めに追納することにはメリットがあります。

追納を考えるときのポイント

  • 追納しなければ学生納付特例期間は年金額に反映されない
  • 追納できる期間には原則10年という期限がある
  • 3年度目以降は加算額が上乗せされる
  • 古い期間から順に追納するのが原則
  • 現在の生活資金を圧迫してまで無理に行う必要があるとは限らない

追納制度の具体的な取扱いや年度ごとの追納保険料については、日本年金機構が毎年度案内しています。

(出典: 日本年金機構「国民年金保険料の追納制度」

追納した保険料は社会保険料控除の対象

追納した国民年金保険料は、実際に支払った年の社会保険料控除の対象となります。

例えば、学生時代に学生納付特例を利用し、卒業後に会社員となって給与所得が発生してから過去の保険料を追納した場合、その年に実際に支払った追納保険料を社会保険料控除として所得から差し引ける可能性があります。

その結果、所得税や住民税の負担が軽減される場合があります。

追納する金額だけを見るのではなく、社会保険料控除による税負担への影響まで含めて考えると、追納を検討しやすくなります。

国民年金保険料の控除や控除証明書については、 国民年金控除証明書の使い方と再発行のポイント でも詳しく解説しています。

全期間ではなく一部だけ追納することも考えられる

学生納付特例を4年間利用したからといって、その4年間分を一度にまとめて追納しなければならないわけではありません。

資金状況に応じて、追納可能な期間のうち一部を追納することもできます。

例えば、就職1年目は生活を整えることを優先し、2年目以降に余裕が出た段階で少しずつ追納するという考え方もあります。

ただし、追納には期限があり、時間の経過によって加算額も発生します。

「そのうち払おう」と考えたまま10年の期限を過ぎてしまわないよう、学生納付特例を利用した期間と追納期限は把握しておきましょう。

追納するかは家計全体で考える

私は、追納については「絶対にした方がよい」「追納する必要はない」と一律に結論づけるより、本人の家計全体を踏まえて判断することが大切だと考えています。

卒業直後は、引っ越し代、新生活の家具や家電、自動車の購入費、奨学金の返済など、さまざまな支出が重なります。

社会人になったばかりで十分な預貯金がない状態で、学生時代数年分の国民年金保険料を一気に追納すると、日々の生活資金が不足する可能性もあります。

将来の老齢基礎年金額を増やすことは重要ですが、病気や退職などに備える当面の生活防衛資金までなくして追納することが必ずしも適切とは限りません。

一方で、一定の預貯金があり、毎月の家計にも余裕があるのであれば、追納期限や加算額を確認したうえで早めに納めることには合理性があります。

「追納義務があるから払う」のではなく、「現在の家計と将来の年金額を比較して、自分にとって追納する意味があるかを判断する」 と考えると整理しやすいでしょう。

追納額が大きい場合や、税金を含めてどの年度に支払うか迷う場合は、税理士など税務の専門家にも確認するとより具体的に判断できます。

国民年金学生納付特例のまとめ

国民年金の学生納付特例は、20歳以上の学生で本人の前年所得が一定額以下の場合に、申請によって在学中の国民年金保険料の納付を猶予してもらえる制度です。

最大のポイントは、単に保険料を支払わない「未納」と、学生納付特例の「承認を受けた期間」はまったく同じではないということです。

学生納付特例の承認期間は、老齢基礎年金を受給するために必要な受給資格期間に算入されます。

また、障害基礎年金や遺族基礎年金の保険料納付要件を考えるうえでも重要な意味があります。

そのため、20歳になったものの国民年金保険料を支払うことが難しい学生は、何も手続きをせず未納にするのではなく、まず学生納付特例を利用できるか確認することが重要です。

国民年金学生納付特例の要点

  • 20歳以上の学生も原則として国民年金の対象になる
  • 学生本人の前年所得が一定額以下であることが基本要件
  • 家族の所得の多寡は原則として審査されない
  • 大学以外にも幅広い学校や課程が対象となる
  • 申請しなければ自動的には適用されない
  • 学生納付特例と単純な未納は扱いが異なる
  • 承認期間は老齢基礎年金の受給資格期間に算入される
  • 追納しなければ老齢基礎年金額には反映されない
  • 一定の過去期間について遡及申請できる場合がある
  • 承認期間は原則10年以内であれば追納できる
  • 3年度目以降の追納では加算額が生じる場合がある

特に大切なのは、 「払えない」と「何もしなくてよい」は別 ということです。

学生本人に十分な収入がなく保険料を支払うことが難しいのであれば、そのために学生納付特例制度があります。

また、学生納付特例は申請できる期間に限りがあるだけでなく、障害基礎年金などとの関係からも早めに申請しておくことが大切です。

「後で遡及申請できるから」と放置するのではなく、20歳になったときや新年度になったときに、自分の手続き状況を一度確認しておきましょう。

そして、卒業後に就職して収入が安定したら、学生納付特例を受けていた期間について追納するかを改めて検討します。

追納は義務ではありませんが、追納すれば将来の老齢基礎年金額を増やせます。

一方で、生活費や奨学金返済など現在必要なお金もあります。

追納するかどうかは、期限や加算額、税金への影響、預貯金などを確認しながら家計全体で考えるのがよいでしょう。

制度や金額は変更されることがあります。

学生納付特例の所得基準、申請可能期間、必要書類、追納額、年金額などは、制度改正や申請する年度によって変更される可能性があります。

この記事で紹介している数値は制度を理解するための一般的な目安です。

正確な情報は公式サイトをご確認ください。

また、前年に会社を退職して学生になった方、過去に未納期間がある方、複数年度について遡及申請したい方などは、一般的な学生とは取扱いが異なる場合があります。

自分の年金記録がどうなっているか分からない場合は、ねんきんネットや年金事務所で確認しておくと安心です。

学生納付特例は、単に学生時代の支払いを先送りするだけの制度ではありません。

未納を防ぎ、万一の障害などに備えながら、将来追納するという選択肢を残すための制度でもあります。

20歳になったら、まず国民年金の状態を確認する。

払うことが難しければ学生納付特例を申請する。

卒業後に余裕ができたら追納を検討する。

この流れで考えると、制度をかなり整理しやすくなるかなと思います。

個別の所得状況、在学状況、過去の納付記録によって判断が異なることもありますので、判断に迷う場合は年金事務所や社会保険労務士などへ確認し、 最終的な判断は専門家にご相談ください。

-社会保険・年金