こんにちは。
もりおか社会保険労務士事務所、社会保険労務士の川熊です。
2026年度(令和8年度)の年金額は、前年度と比べて国民年金(基礎年金)が1.9%、厚生年金の報酬比例部分が2.0%引き上げられました。
老齢基礎年金の満額は、代表的なケースで月額69,308円から70,608円となり、月1,300円の増額です。
ただし、厚生年金を受給している方は、基礎年金と報酬比例部分で改定率が異なるため、「現在の受給額に一律2.0%を掛ければよい」というわけではありません。
あなた自身の増額後の年金額は、年金額改定通知書などで確認することが大切です。
また、ニュースで「年金が1.9%増える」「厚生年金は2.0%増える」と聞くと、通帳へ振り込まれる金額も同じ割合で増えるように感じるかもしれません。
しかし、年金から税金や介護保険料などが差し引かれている方は、額面の年金額と実際の振込額を分けて考える必要があります。
この記事では、2026年の年金支給額がいくら上がるのか、国民年金と厚生年金の違い、具体的な金額例、マクロ経済スライドを含む改定の仕組みまで順番に整理します。
- 2026年度の国民年金と厚生年金の改定率
- 老齢基礎年金や標準的な厚生年金の増額例
- 2026年度の年金額が決まった仕組み
- 増額された年金がいつから支払われるか

2026年の年金支給額はいくら上がる?
まず結論から確認しましょう。
2026年度の年金額は前年度より引き上げられていますが、国民年金と厚生年金では改定率が同じではありません。
また、「2%程度増える」という数字だけを見るより、実際の月額がいくら変わったのかを確認した方がイメージしやすいと思います。
厚生労働省が公表した令和8年度の年金額改定では、国民年金(基礎年金)は1.9%、厚生年金の報酬比例部分は2.0%の引き上げです。
老齢基礎年金の満額は代表的なケースで月70,608円となり、標準的な厚生年金のモデルでは夫婦2人分の基礎年金を含め月237,279円となっています。
ただし、後者はあくまで一定のモデル世帯の金額です。
あなた自身の年金額を知る場合には、このモデル額をそのまま当てはめず、年金記録や通知書を確認する必要があります。
| 項目 | 2026年度の改定 | 主な金額例 |
|---|---|---|
| 国民年金(基礎年金) | 1.9%引き上げ | 満額70,608円/月 |
| 厚生年金の報酬比例部分 | 2.0%引き上げ | 加入記録や報酬により異なる |
| 標準的な年金額 | 構成する年金ごとに改定 | 237,279円/月 |
ここからは、年度の考え方、国民年金と厚生年金の改定率、具体的な増額例、実際にいつから振り込まれるのかまで一つずつ確認していきます。
令和8年度は2026年度を指す
年金額のニュースでは「2026年度」と「令和8年度」という2つの表記が使われますが、どちらも同じ年度を指しています。
令和8年度は2026年4月から2027年3月まで です。
ここで最初に理解しておきたいのは、公的年金の年度改定は「2026年1月1日から新しい金額になる」という意味ではないことです。
日本の公的年金では、年度が切り替わる4月分から新しい年金額が適用されます。
そのため、「2026年の年金支給額はいくら上がるのか」と考える場合には、2026年という暦年全体ではなく、令和8年度の年金額改定を見る必要があります。
たとえば、2026年2月に振り込まれる年金は、原則として2025年12月分と2026年1月分です。
この時点では令和7年度の年金額が使われています。
また、2026年4月の支払いについても、対象となるのは原則として2026年2月分と3月分なので、まだ令和7年度の金額です。
年金の「対象月」と「振込月」を分けて考える
年金の年度を理解するときに迷いやすい原因は、「何月分の年金なのか」と「何月に振り込まれるのか」が一致していないことです。
公的年金は原則として後払いで、偶数月に前月分と前々月分がまとめて支給されます。
したがって、2026年度の新しい年金額が適用されるのは4月分からですが、4月分と5月分が実際に支払われるのは原則として6月です。
この仕組みを知っておくと、「4月から年金額が上がると聞いたのに、4月の振込額が変わっていない」という疑問も解消できます。
| 時期 | 主な対象月 | 適用される年度 |
|---|---|---|
| 2026年2月支払 | 2025年12月・2026年1月分 | 令和7年度 |
| 2026年4月支払 | 2026年2月・3月分 | 令和7年度 |
| 2026年6月支払 | 2026年4月・5月分 | 令和8年度 |
社労士として年金の説明をするときも、「4月から改定」と「6月から振込額が変わる」を分けて説明するようにしています。
この2つを一緒にすると、制度を知っている方でも混乱しやすいポイントだからです。
年金額を見るときは「2026年分」というよりも、「令和8年度の年金額」と考えると整理しやすくなります。
年度が変わる2026年4月分から新しい年金額が適用され、通常は6月の支払いから改定後の金額を確認できます。
なお、年金の支給状況や支給停止などによって通常と異なる支払いになるケースもあります。
個別の振込時期については、年金振込通知書などで確認してください。
国民年金は1.9%引き上げ

2026年度の国民年金、正確には老齢基礎年金などの基礎年金部分は、 前年度から1.9%の引き上げ となりました。
年金額が減額されたわけではなく、2025年度に続くプラス改定です。
ここで注意したいのは、「国民年金が1.9%上がる」というニュースの意味です。
これは、国民年金に加入している現役世代が支払う国民年金保険料が1.9%上がるという意味ではありません。
今回の1.9%は、受給する側の基礎年金額の改定率です。
国民年金保険料は年金給付額とは別の仕組みで改定されます。
2026年度の国民年金保険料は月額17,920円ですが、「保険料の増加」と「受給する年金額の増加」は別々に整理する必要があります。
検索していると双方の数字が同時に出てくることがありますので、何についての金額なのかを確認してください。
1.9%は額面の年金額についての改定率
もう一つ重要なのが、1.9%という改定率と通帳への振込額は必ずしも同じ割合では増えないことです。
公的年金を受け取っている方は、年金額や所得状況、年齢などによって、所得税、住民税、介護保険料、国民健康保険料、後期高齢者医療保険料などが年金から特別徴収される場合があります。
たとえば、額面の年金額が月10万円だった方について、単純な参考計算として1.9%増えれば月1,900円程度の増加になります。
しかし、その時期に介護保険料や住民税などの控除額も変われば、実際の振込額が1,900円増えるとは限りません。
「年金額」と「振込額」は別の数字として確認する ことが大切です。
| 確認する金額 | 意味 |
|---|---|
| 年金額 | 税金や保険料などを差し引く前の年金給付額 |
| 振込額 | 年金から控除される金額を差し引いた後の実際の入金額 |
満額でない方も改定の対象になる
また、「1.9%引き上げ」という説明を見て、満額を受給している方だけが対象になると考える必要はありません。
実際の老齢基礎年金額は、保険料の納付状況や免除期間などに応じて計算されますので、満額ではない方についても、その方の年金額が制度上の改定ルールに基づいて見直されます。
そのため、あなた自身が月いくら増えたのかを確認したい場合には、満額70,608円との差を見るよりも、2025年度の自分の年金額と2026年度の年金額を比較した方が適切です。
6月に送られる年金額改定通知書を確認すると、改定後の年金額が分かります。
2026年度の基礎年金の改定率はプラス1.9%です。
ただし、1.9%は受給する年金額の改定率であり、国民年金保険料の改定率ではありません。
また、実際の手取り額の増加率とも異なる場合があります。
年金について相談を受ける場面でも、「年金が増えたはずなのに振込額がほとんど変わらない」という疑問は起こりやすいものです。
この場合は、年金額改定通知書だけでなく年金振込通知書もあわせて確認すると、年金額と控除後の振込額を整理しやすくなります。
厚生年金は2.0%引き上げ
2026年度は、 厚生年金の報酬比例部分について前年度から2.0%の引き上げ となっています。
基礎年金の1.9%より0.1ポイント高い改定率です。
ただし、この「厚生年金2.0%」という数字は読み方に注意が必要です。
会社員として長く働いた方が65歳以降に受け取る老齢年金は、一般的には老齢基礎年金と老齢厚生年金を組み合わせたものです。
そのすべてに一律2.0%が適用されるわけではありません。
2026年度は、基礎年金部分が1.9%、厚生年金の報酬比例部分が2.0%という異なる改定率になっています。
そのため、現在受け取っている年金総額に単純に1.02を掛けても、実際の改定後の年金額とは一致しないことがあります。
同じ年金月額でも増加額は同じとは限らない
たとえば、仮に2人とも改定前の年金総額が月15万円だったとしても、基礎年金と厚生年金の内訳が異なれば改定後の増加額も微妙に変わります。
基礎年金部分が多い方は1.9%の影響を受ける部分が大きくなり、報酬比例部分が多い方は2.0%の影響を受ける部分が大きくなるからです。
さらに、実際の老齢厚生年金には、加入時期や加入期間によって経過的加算などが含まれることがあります。
加給年金額や振替加算などが関係する人もいますので、「厚生年金を受給している=年金全体を2.0%増やせば計算できる」とは考えない方がよいでしょう。
「厚生年金が2.0%上がる」というニュースを見ても、現在受け取っている年金総額に単純に1.02を掛けた金額が、新しい支給額になるとは限りません。
厚生年金の金額は現役時代の加入記録で変わる
老齢厚生年金の報酬比例部分は、原則として厚生年金へ加入していた期間や、その期間の標準報酬月額・標準賞与額などをもとに計算されます。
現役時代の給与が高かった方、厚生年金へ長期間加入した方ほど、一般的には報酬比例部分が大きくなる傾向があります。
反対に、会社員期間が短く、自営業など国民年金第1号被保険者だった期間が長い場合には、老齢年金全体に占める基礎年金の比率が大きくなることがあります。
このように一人ひとりの職歴によって年金の構成が異なるため、2.0%という数字だけでは個人の増加額を確定できません。
厚生年金の受給額そのものについて、年収や加入期間との関係を確認したい方は、 厚生年金はいくらもらえるかを解説した記事 も参考にしてください。
厚生年金受給者の場合は、「基礎年金部分」「厚生年金の報酬比例部分」「その他の加算等」を分けて考えることがポイントです。
最終的には、自分で複雑な計算をするよりも、年金額改定通知書に記載された改定後の年金額を確認する方法が確実です。
特に複数の年金を受給している場合や在職老齢年金による支給停止がある場合は、改定率だけから実際の受給額を逆算しない方がよいかなと思います。
老齢基礎年金の満額は月7万608円
2026年度の老齢基礎年金の満額は、昭和31年4月2日以後に生まれた方の場合、 月額70,608円 です。
2025年度は月額69,308円でしたので、 月額で1,300円、年額では15,600円の増額 となります。
| 年度 | 老齢基礎年金の満額 | 前年度との差 |
|---|---|---|
| 2025年度 | 月額69,308円 | ― |
| 2026年度 | 月額70,608円 | 月額+1,300円 |
| 2026年度の年額換算 | 847,296円 | 年額+15,600円 |
年金改定のニュースを見るときには、この「満額」という言葉に注意してください。
月70,608円は、国民年金に加入している人や老齢基礎年金を受け取っている人が全員一律でもらえる金額ではありません。
満額になるには40年間の納付状況が重要
老齢基礎年金は、原則として20歳から60歳までの40年間、つまり480月の保険料納付状況などをもとに年金額が計算されます。
原則として40年間すべてについて保険料納付済期間などが満額の条件を満たせば、老齢基礎年金を満額受け取ることができます。
一方、未納期間がある場合は、その月について年金額へ反映されません。
保険料免除期間については、免除の種類などに応じて一定割合が年金額へ反映されます。
学生納付特例や納付猶予の期間は、そのままでは老齢基礎年金額の計算へ反映されないため、追納の有無などによっても将来の年金額が変わります。
したがって、「2026年度の満額が70,608円だから、自分も70,608円受け取れる」と判断するのではなく、あなた自身の加入記録を確認する必要があります。
生年月日によって満額が200円異なる
もう一つ、2026年度の年金額で少し分かりにくいのが生年月日による違いです。
昭和31年4月2日以後に生まれた方の老齢基礎年金の満額は月70,608円ですが、 昭和31年4月1日以前に生まれた方は月70,408円 です。
両者では月200円の差があります。
ただし、2026年度の引き上げ率そのものが年齢によって1.9%と別々になっているわけではありません。
2026年度の引き上げ率は全年齢で同じですが、過去の年度における改定率の取扱いの違いが残っているため、現在の満額に差があります。
| 生年月日 | 2026年度の老齢基礎年金満額 |
|---|---|
| 昭和31年4月2日以後 | 月70,608円 |
| 昭和31年4月1日以前 | 月70,408円 |
70,608円はすべての国民年金受給者が受け取る金額ではなく、一定の生年月日と満額の受給要件を満たした場合の金額です。
なお、老齢基礎年金には繰上げ受給や繰下げ受給という選択肢もあります。
繰上げをしている場合は所定の減額率が適用され、繰下げをした場合は増額率が反映されます。
そのため、40年間すべて保険料を納付していたとしても、受給開始時期によって実際の受給額が70,608円と一致しないケースがあります。
自分の年金が満額なのか、未納や免除期間がどのくらいあるのか分からない場合には、ねんきんネットや年金定期便で加入記録を確認してみてください。
将来の生活設計を考える場合は、満額という一般的な数字より自分自身の記録を基準にすることが重要です。
標準的な厚生年金はいくら増える?

厚生労働省が年金額改定を公表するときには、厚生年金について「標準的な年金額」というモデルケースも示しています。
2026年度の標準的な年金額は、2025年度の月額232,784円から 月額237,279円 となり、月額4,495円増えています。
年額に換算すると、単純計算では増額幅は53,940円です。
数字だけを見ると、「厚生年金を受給する人は月23万7,279円くらい受け取れる」と感じるかもしれませんが、この理解は適切ではありません。
237,279円は1人分の平均年金ではない
このモデルは、男性が平均的な収入で40年間就業した場合の老齢厚生年金に、 夫婦2人分の老齢基礎年金の満額を加えた金額 です。
2026年度の公表資料では、平均標準報酬を賞与込みの月額換算で45.5万円として計算しています。
つまり、237,279円は「平均的な会社員1人の厚生年金額」でもなければ、「高齢者1人当たりの平均年金額」でもありません。
夫婦世帯を想定した従来からの標準モデルです。
| 年度 | 標準的な年金額 | 前年度との差 |
|---|---|---|
| 2025年度 | 232,784円/月 | ― |
| 2026年度 | 237,279円/月 | +4,495円/月 |
| 年額での増加 | ― | +53,940円/年 |
実務上も、この数字の読み方はかなり重要です。
たとえば独身の方であれば夫婦2人分の基礎年金という前提そのものが当てはまりません。
また、夫婦共働きで双方が長期間厚生年金に加入してきた場合には、夫婦それぞれに老齢厚生年金があるため、この標準モデルより世帯全体の公的年金が多くなることも考えられます。
実際の加入履歴に近い概算例も公表されている
厚生労働省は2026年度の年金額改定資料で、2024年財政検証の年金額分布推計をもとに、経歴類型・男女別の概算例も示しています。
たとえば、厚生年金期間が20年以上中心の男性では月176,793円、同じく女性では月134,640円という概算例が示されています。
一方、国民年金第1号被保険者期間が20年以上中心の男性は月63,513円、女性は月61,771円です。
| 経歴類型の例 | 2026年度の概算月額 |
|---|---|
| 厚生年金期間中心の男性 | 176,793円 |
| 厚生年金期間中心の女性 | 134,640円 |
| 国民年金第1号期間中心の男性 | 63,513円 |
| 国民年金第1号期間中心の女性 | 61,771円 |
| 国民年金第3号期間中心の女性 | 78,249円 |
これらも個人の確定額ではありませんが、「237,279円」という夫婦モデルだけを見るより、公的年金額には働き方や加入履歴によってかなり幅があることが分かると思います。
将来の自分の年金額を確認したい場合には、モデルケースよりもあなた自身の加入記録を使って試算する方が適切です。
具体的な確認方法については、 公的な年金シミュレーションの使い方 で詳しく解説しています。
標準的な年金額237,279円は、夫婦2人分の老齢基礎年金を含むモデル額です。
自分自身が月237,279円受給できるという意味ではありません。
老後資金を考えるときは、一般的な平均や標準モデルを入口として使い、その後に自分の年金記録へ置き換えていく方法がおすすめです。
特に退職時期や今後の働き方を検討している方は、ねんきんネットなどで条件を変えて確認すると判断しやすくなります。
改定額は6月支給分から反映される
2026年度の新しい年金額は、 2026年4月分の年金から適用 されます。
ただし、公的年金は原則として後払いで、偶数月に前月分と前々月分がまとめて支払われます。
そのため、2026年4月分と5月分の年金は原則として6月に支払われます。
日本年金機構によると、2026年度の新しい年金額は、通常のケースでは2026年6月15日の支払いから反映されています。
「2026年4月から1.9%増える」と聞くと、4月15日ごろに振り込まれる年金から増えるように思いやすいのですが、4月の支払いは2月分と3月分に対応しています。
そのため、4月の振込額が前年と同じ水準でも制度上おかしいわけではありません。
年金額改定通知書で年間の年金額を確認する
現在年金を受給している方には、改定後の年金額を知らせる年金額改定通知書が送付されます。
この通知書を見ると、2026年度の年金額がいくらになったのかを個人単位で確認できます。
一方、年金振込通知書では、実際の各支払期に振り込まれる予定額を確認できます。
税金や介護保険料などが年金から差し引かれている場合は、年金額改定通知書に記載される年金額と、年金振込通知書に記載される振込額が一致しません。
| 通知書 | 主に確認する内容 |
|---|---|
| 年金額改定通知書 | 改定後の年金額 |
| 年金振込通知書 | 各支払期の振込予定額や控除額 |
2026年度については、ねんきんネットでも年金額改定通知書や年金振込通知書の内容を確認できるようになっています。
紙の通知書をなくした場合でも、ねんきんネットを利用している方であれば確認できるため便利です。
制度上は2026年4月分から改定されますが、通常の受給者が実際に改定後の金額を受け取るのは6月支払分からです。
支給停止がある方は単純に増額しない場合もある
働きながら老齢厚生年金を受け取っている方の場合には、在職老齢年金による支給停止が関係することがあります。
特に2026年度は、在職老齢年金の支給停止調整額についても制度改正があり、基準額が月65万円へ引き上げられています。
そのため、厚生年金の本来の年金額が2.0%改定されたとしても、在職中の給与や賞与との関係で支給停止額が変われば、実際の振込額の変化は単純な2.0%とはなりません。
年金を受け取りながら勤務している方は、年金額の改定と在職老齢年金による支給停止を分けて確認してください。
また、年金生活者支援給付金を受給している場合は、年金本体とは別に給付金額も改定されています。
2026年度の老齢年金生活者支援給付金の給付基準額は月5,620円ですが、実際の支給額は納付済期間や免除期間などによって異なる場合があります。
2026年度の年金額、支払時期、年金生活者支援給付金については、 (出典:日本年金機構「令和8年4月分からの年金額等について」) で公式情報を確認できます。
「年金額が増えた割合」と「実際の振込額が増えた割合」は一致しない場合があります。
通知書を見るときは、年金額、支給停止額、税金や保険料などの控除額を分けて確認しましょう。
2026年の年金支給額はいくら上がる仕組み?
2026年度の年金額が増えた背景には、単純な物価連動だけではなく、賃金の動きとマクロ経済スライドという仕組みがあります。
「物価が3%以上上がったのであれば、なぜ年金は1.9%や2.0%しか上がらないのか」と疑問に感じる方もいると思います。
年金額は物価上昇率をそのまま反映する制度ではありません。
2026年度については、物価変動率3.2%と名目手取り賃金変動率2.1%を比較したうえで、2.1%を改定の基準とし、さらにマクロ経済スライドによる調整が行われています。
ここからは、「なぜ物価が3.2%上がっているのに年金は1.9%なのか」という部分を中心に、年金額改定の仕組みをできるだけ分かりやすく整理します。
年金額は賃金と物価で毎年改定される
公的年金の金額は固定されているわけではなく、賃金や物価の動きに応じて原則として毎年度改定されます。
長期間にわたって同じ金額を支給し続けると、物価や現役世代の賃金が大きく変化したときに、年金の実質的な価値や現役世代とのバランスが崩れてしまうためです。
ただし、「物価が3%上がれば年金も3%上がる」という単純な仕組みではありません。
公的年金制度では、物価の動きだけではなく、年金制度を支える現役世代の賃金の動きも考慮して改定率を決める仕組みになっています。
物価と賃金の両方を見る理由
年金受給者の立場から考えると、物価が上昇したときには年金も同じ程度増えてほしいと感じるのは自然だと思います。
食料品や光熱費が3%上がれば、年金収入も3%増えなければ購買力が下がるからです。
一方、公的年金の財源は、現役世代が支払う保険料、国庫負担、積立金などによって支えられています。
現役世代の賃金が物価ほど上がっていない状況で、年金給付だけを物価に完全連動させれば、現役世代の負担とのバランスが崩れる可能性があります。
そのため、法律上の年金額改定ルールでは、物価変動率と名目手取り賃金変動率の関係を確認し、その状況に応じた指標を使います。
2026年度は物価より賃金の伸びが低かった
2026年度の改定で使われた物価変動率はプラス3.2%でした。
一方、名目手取り賃金変動率はプラス2.1%です。
つまり、物価の方が賃金より1.1ポイント高く上昇しています。
| 指標 | 2026年度改定で用いる数値 |
|---|---|
| 物価変動率 | +3.2% |
| 名目手取り賃金変動率 | +2.1% |
このように物価変動率が名目手取り賃金変動率を上回る場合は、現役世代の負担能力に応じた給付とする観点から、賃金側の指標を使って年金額を改定します。
2026年度では、このルールにより2.1%が改定計算の出発点になりました。
年金額改定は「物価だけを見る制度」ではありません。
物価と賃金の関係を見ながら、現役世代と受給世代のバランスを考えて改定する仕組みです。
そのうえで、さらにマクロ経済スライドという調整が行われます。
したがって、2026年度について「物価が3.2%上がったのに年金は1.9%しか増えていない」という数字だけを見るのではなく、「物価3.2%と賃金2.1%を比較し、まず2.1%を使い、そこから調整した」と順番に見ることがポイントです。
2026年度は賃金2.1%が基準

2026年度の年金額を理解するうえで重要なのが、 改定の出発点となった数字が2.1% であることです。
2026年度の改定で使われた主な指標は、物価変動率が3.2%、名目手取り賃金変動率が2.1%でした。
物価変動率の方が高いため、年金額の改定では名目手取り賃金変動率2.1%が基準として使われています。
| 2026年度の参考指標 | 数値 |
|---|---|
| 物価変動率 | 3.2% |
| 名目手取り賃金変動率 | 2.1% |
| 実質賃金変動率 | ▲1.1% |
| 可処分所得割合変化率 | 0.0% |
| 基礎年金のマクロ経済スライド調整 | ▲0.2% |
| 基礎年金の最終的な改定率 | +1.9% |
| 厚生年金報酬比例部分の改定率 | +2.0% |
名目手取り賃金変動率とは何か
「名目手取り賃金変動率」という言葉は、年金改定のニュースで初めて見る方も多いと思います。
これは単純に前年の平均給与が2.1%上がったという数字ではありません。
2026年度の名目手取り賃金変動率2.1%は、2022年度から2024年度までの3年度平均の実質賃金変動率▲1.1%、2025年の物価変動率+3.2%、可処分所得割合変化率0.0%をもとに算出されています。
イメージとしては、賃金の実質的な動きに物価変動などを反映し、年金改定に使うための賃金指標を計算していると考えると分かりやすいでしょう。
2026年度の計算を大きく整理すると、「物価3.2%」と「賃金2.1%」を比較し、賃金2.1%を年金額改定の基準にしています。
2.1%がそのまま年金の増額率ではない
ここでもう一段階あります。
2.1%はあくまで改定の基準であり、そのまま最終的な年金額改定率になるわけではありません。
2026年度は物価と賃金がいずれもプラスとなっているため、マクロ経済スライドが発動しました。
基礎年金では2.1%から0.2ポイントを調整し、最終的に1.9%。
厚生年金の報酬比例部分については0.1ポイントの調整となり、最終的に2.0%です。
したがって、2026年度の改定を数字だけで整理すると、「3.2%→1.9%」と直接つながっているわけではありません。
| 計算の段階 | 基礎年金 | 厚生年金の報酬比例部分 |
|---|---|---|
| 改定の基準 | +2.1% | +2.1% |
| マクロ経済スライド等の調整 | ▲0.2% | ▲0.1% |
| 最終的な改定率 | +1.9% | +2.0% |
年金額は前年より増えているものの、その増加率は物価上昇率3.2%を下回っています。
つまり、名目上は年金が増額されていますが、物価との比較では年金の購買力が同じ割合で増えたわけではありません。
生活費がどの程度増えているかは世帯によって異なりますので、家計を考えるときには「年金が何円増えたか」と「生活費が何円増えたか」を別々に見る必要があります。
マクロ経済スライドで0.2%調整
2026年度の基礎年金では、賃金を基準とした2.1%から、マクロ経済スライドによる ▲0.2%の調整 が行われ、最終的に1.9%の引き上げとなりました。
マクロ経済スライドという言葉だけを見ると、「年金を減らす仕組みなのではないか」と感じる方もいると思います。
実際には、公的年金制度の長期的な財政バランスを維持するために、一定期間、年金額の伸びを調整する仕組みです。
被保険者数と平均余命を反映する仕組み
マクロ経済スライドでは、公的年金を支える被保険者数の変化と、平均余命の伸びを年金額の改定に反映します。
2026年度のスライド調整率▲0.2%は、公的年金被保険者総数の変動率+0.1%と、平均余命の伸び率を勘案した一定率▲0.3%を組み合わせたものです。
結果として▲0.2%となりました。
| マクロ経済スライドの要素 | 2026年度 |
|---|---|
| 公的年金被保険者総数の変動率 | +0.1% |
| 平均余命の伸び率を勘案した一定率 | ▲0.3% |
| スライド調整率 | ▲0.2% |
日本では少子高齢化が進んでいます。
年金を受け取る期間が長期化する一方、将来、制度を支える現役世代が相対的に減っていけば、従来と同じペースで給付を増やし続けることが難しくなります。
そこで一定期間、賃金や物価が上昇したときの年金額の伸びを抑えることで、将来世代の給付水準を確保しようというのがマクロ経済スライドの基本的な考え方です。
「0.2%年金が減る」という意味ではない
2026年度について特に注意したいのは、▲0.2%という数字の読み方です。
これは、2025年度の年金額からさらに0.2%減額して、そのうえで1.9%増やすという意味ではありません。
まず改定の基準となる伸びが2.1%あり、その伸びを0.2ポイント抑えた結果、最終的に1.9%のプラス改定になるということです。
2026年度の基礎年金は、「2.1%増えるところをマクロ経済スライドで0.2ポイント調整し、結果として1.9%増える」と考えると分かりやすいです。
仮に前年の年金額を100とした単純なイメージで考えると、本来の基準では102.1になるところ、マクロ経済スライドの調整によっておおむね101.9の水準になるということです。
前年よりは増えていますが、調整がなかった場合ほどは増えません。
2026年度で7回目の発動
マクロ経済スライドは2004年の年金制度改正で導入され、その後、一定の条件を満たした年度に発動してきました。
2026年度の発動は、2015年度、2019年度、2020年度、2023年度、2024年度、2025年度に続くものです。
マクロ経済スライドには、その年度の賃金や物価の状況によってすべての調整を行えない場合に、未調整分を翌年度以降へ繰り越す仕組みもあります。
ただし、2026年度の年金額を知りたい読者にとっては、まず「基準2.1%から基礎年金では0.2ポイント調整され、1.9%になった」と押さえておけばよいでしょう。
マクロ経済スライドは、年金額を毎年必ず減らす仕組みではなく、賃金・物価の変動と制度の財政状況を踏まえて年金額の伸びを調整する仕組みです。
年金制度全体を理解するときは、「今年何%増えたか」だけではなく、長期間にわたってどの程度の給付水準を維持するのかという視点も必要になります。
毎年度の改定率が物価上昇率より低くなることがあるのは、このような制度調整が背景にあるためです。
厚生年金の調整率が異なる理由

2026年度は、基礎年金が1.9%の引き上げである一方、厚生年金の報酬比例部分は2.0%の引き上げとなっています。
この0.1ポイントの差には、2025年、令和7年の年金制度改正が関係しています。
年金額改定の基準そのものは、基礎年金も厚生年金の報酬比例部分も2.1%です。
それにもかかわらず最終的な改定率が異なるのは、マクロ経済スライドによる調整の大きさが異なるからです。
基礎年金は▲0.2%、厚生年金は▲0.1%
2026年度の本来のマクロ経済スライド調整率は▲0.2%です。
そのため基礎年金については、2.1%から0.2ポイントを調整し、最終的な改定率が1.9%になっています。
一方、厚生年金の報酬比例部分では、令和7年の年金制度改正によって一定期間、調整率を本来の3分の1に緩やかにする措置が設けられています。
その結果、2026年度に実際に適用される厚生年金の調整率は▲0.1%となり、2.1%から0.1ポイントを調整した2.0%が最終的な改定率になりました。
| 区分 | 改定の基準 | 調整率 | 最終的な改定率 |
|---|---|---|---|
| 国民年金(基礎年金) | +2.1% | ▲0.2% | +1.9% |
| 厚生年金(報酬比例部分) | +2.1% | ▲0.1% | +2.0% |
なぜ厚生年金だけ調整を緩やかにするのか
令和7年の制度改正では、厚生年金の報酬比例部分について、マクロ経済スライドによる調整期間を次期財政検証の翌年度まで継続する仕組みが設けられています。
現時点では令和12年度、2030年度が予定されています。
ただし、調整期間を延長すると、その期間に厚生年金を受給する方の給付水準に影響します。
その影響を緩和するため、延長期間中の厚生年金の調整率を本来の3分の1に緩やかにする措置が設けられました。
2026年度については、本来の調整率▲0.2%を3分の1にした数値を年金改定上の計算へ反映した結果、実際の厚生年金の調整率は▲0.1%とされています。
2026年度に基礎年金が1.9%、厚生年金の報酬比例部分が2.0%となったのは、改定の基準が違うからではなく、マクロ経済スライドの調整率が異なるためです。
厚生年金受給者は両方の改定率が関係する
ここまで読むと、「私は厚生年金を受け取っているから2.0%だけ見ればよい」と感じるかもしれません。
しかし、一般的な老齢厚生年金受給者は老齢基礎年金も受給しています。
つまり、あなたの公的年金のうち、基礎年金部分には1.9%の改定が関係し、厚生年金の報酬比例部分には2.0%の改定が関係します。
さらに加給年金や振替加算、支給停止などが関係する場合もあります。
そのため、実際の年金額を確認する場面では「私は国民年金だから1.9%」「私は厚生年金だから2.0%」と二者択一で考えるより、自分が受給している年金の内訳を見ることが重要です。
令和8年度の年金額改定率、参考指標、マクロ経済スライドの調整率については、 (出典:厚生労働省「令和8年度の年金額改定について」) で確認できます。
2026年度の厚生年金2.0%は、厚生年金受給者の振込額が一律2.0%増えるという意味ではありません。
実際の受給額は年金額改定通知書で確認してください。
年金制度改正と毎年度の年金額改定は、同じニュースの中で説明されることが多く、かなり複雑に見えます。
2026年度については「物価3.2%・賃金2.1%」「基礎年金は0.2ポイント調整」「厚生年金は0.1ポイント調整」という3段階で見ると理解しやすいかなと思います。
2026年の年金支給額はいくら上がるか総括
2026年の年金支給額がいくら上がるのかを整理すると、 2026年度は国民年金(基礎年金)が1.9%、厚生年金の報酬比例部分が2.0%の引き上げ です。
代表的な金額では、昭和31年4月2日以後生まれの方の老齢基礎年金の満額が月額69,308円から70,608円となり、月1,300円、年間15,600円増えました。
また、厚生労働省が示す夫婦2人分の老齢基礎年金を含む標準的な年金額は、月額232,784円から237,279円となり、月4,495円の増額です。
2026年度のポイント
- 国民年金(基礎年金)は1.9%引き上げ
- 厚生年金の報酬比例部分は2.0%引き上げ
- 老齢基礎年金の満額は代表例で月70,608円
- 標準的な年金額は月237,279円
- 新しい年金額は2026年4月分から適用
- 通常は2026年6月支払分から増額を確認できる
自分の年金が何円増えたかは通知書で確認する
一方で、実際にあなたがいくら増えるかは、国民年金の納付状況、厚生年金の加入期間、現役時代の報酬、加算額、年金の種類などによって異なります。
特に厚生年金受給者は、基礎年金部分と報酬比例部分の改定率が異なるため、現在の年金総額に一律1.9%や2.0%を掛けるだけでは正確な金額を求められない場合があります。
現在年金を受給している方は、年金額改定通知書で2026年度の年金額を確認する方法が最も分かりやすいでしょう。
さらに、実際に銀行口座へいくら振り込まれるのかを確認する場合は年金振込通知書も見ます。
税金、介護保険料、国民健康保険料、後期高齢者医療保険料などが年金から差し引かれている方は、額面の年金額が増えても振込額が同じ割合で増えるとは限りません。
| 知りたいこと | 主な確認方法 |
|---|---|
| 2026年度の年金額 | 年金額改定通知書 |
| 実際の振込予定額 | 年金振込通知書 |
| 将来の年金見込額 | ねんきんネット・公的年金シミュレーター |
| 過去の加入記録 | ねんきんネット・年金定期便 |
これから受給する方は加入記録を確認する
これから年金を受給する方は、2026年度の改定率だけを見ても将来の受給額は分かりません。
現在までの国民年金・厚生年金の加入記録、今後何歳まで働くか、今後の給与水準、年金を何歳から受け取るかなどによって見込額が変わります。
たとえば50歳未満の方の年金定期便には、原則としてこれまでの加入実績に応じた年金額が表示されるため、その数字を「65歳から受け取る完成した年金額」と考えないことが重要です。
一方、50歳以上では現在の加入条件が一定期間継続することなどを前提とした見込額が表示されます。
年金記録や見込額の確認方法は、 年金定期便の見方と年金見込額の確認ポイント も参考にしてください。
年金は増えたが物価との比較も必要
2026年度は年金額自体はプラス改定です。
ただし、物価変動率が3.2%であるのに対し、基礎年金の改定率は1.9%、厚生年金の報酬比例部分は2.0%です。
そのため、家計の観点では「年金が前年より増えたから生活がその分楽になる」と単純には言えません。
食費、光熱費、住宅費、医療費など、自分の実際の支出がどの程度変化しているのかも一緒に確認する必要があります。
私としては、年金改定のニュースを見るときに「何%上がったか」だけで終わらせるより、 自分の年金が年間で何円増えたのか、手取りではいくらになるのか、生活費と比べてどうなのか まで確認するのがおすすめです。
2026年度の年金額改定は、年金受給者全員に同じ金額を上乗せする制度ではありません。
年金の種類や加入記録によって実際の増加額は異なります。
2026年の年金支給額がいくら上がるのかという問いに対して、まず押さえておく結論は「基礎年金1.9%、厚生年金の報酬比例部分2.0%」です。
そのうえで、自分自身の金額については一般的な改定率だけで判断せず、年金額改定通知書やねんきんネットなどで個別に確認してください。
この記事で紹介した年金額や増額例は、2026年度の公表資料に基づく代表的な金額です。
個人の実際の受給額、税金や社会保険料控除後の振込額は、年金記録、所得、年齢、居住地、加入する医療保険などによって異なります。
また、公的年金制度や年金額は年度ごとに改定される可能性がありますので、正確な情報は公式サイトをご確認ください。
繰上げ・繰下げ受給、在職老齢年金、加入記録の訂正など個別事情を含めた最終的な判断は専門家にご相談ください。