休職

失業手当と休職期間の受給可否を社労士がわかりやすく解説

こんにちは。

もりおか社会保険労務士事務所、社会保険労務士の川熊です。

休職期間があること自体で、失業手当を受けられなくなるわけではありません。

ただし、退職後すぐに働ける状態かどうか、休職中の無給期間が賃金日額の計算にどう影響するかは、分けて確認する必要があります。

休職のまま退職する場合、傷病手当金、失業手当、受給期間延長の順番を誤ると、思っていた給付を受けられない期間が生じることがあります。

この記事では、休職期間がある方が失業手当を考えるときに、実務上どこを確認すべきかを整理します。

  • 休職のまま退職しても失業手当を受けられるか
  • 休職期間が算定基礎期間に含まれるか
  • 無給の休職月が失業手当の金額に与える影響
  • 傷病手当金と受給期間延長の確認ポイント

失業手当と休職期間の扱いを社労士が解説

失業手当と休職期間の基本

まずは、休職期間がある場合に失業手当の受給資格へどう影響するのかを確認します。

休職制度の基本的な仕組みや手続きの全体像については、休職とは何か制度の基本と注意点で詳しく解説しています。

実務上は、休職期間そのものよりも、退職後に求職活動ができる状態か、雇用保険の被保険者期間を満たしているか、という点が重要になります。

休職のまま退職してもらえるか

休職のまま退職した場合でも、要件を満たせば失業手当、正確には雇用保険の基本手当を受けられる可能性があります。

休職していたという事実だけで、失業手当の対象外になるわけではありません。

ここは、相談の現場でも誤解が非常に多いところです。

失業手当は、雇用保険に加入していた人が離職し、再就職を目指す期間の生活を支える制度です。

そのため、見るべきポイントは、休職していたかどうかではなく、 離職後に働く意思と能力があり、求職活動を行える状態か 、そして雇用保険上の受給資格を満たしているかです。

たとえば、病気やけがで休職し、そのまま退職したとしても、療養が終わり、医師から就労可能と判断され、本人も再就職を希望しているのであれば、失業手当の手続きに進める可能性があります。

一方で、退職後もまだ療養中で、すぐには働けない状態であれば、その時点では失業手当を受け取る段階ではありません。

つまり、休職のまま退職するケースでは、退職日だけでなく、退職後の健康状態や求職活動の可否も一緒に確認します。

ここを整理しないまま退職してしまうと、傷病手当金は終わった、しかし失業手当もすぐには受けられない、という空白期間が生じることがあります。

退職後にすぐ働けるかで流れが変わる

実務では、休職期間満了で退職となる方、復職が難しく自己都合で退職する方、会社から退職勧奨を受けて退職する方など、状況はさまざまです。

ただ、失業手当の観点では、まず退職後に求職活動ができるかを確認します。

すぐに働ける状態であれば、ハローワークで求職の申込みを行い、離職票を提出して受給資格の確認を受ける流れになります。

まだ働けない状態であれば、受給期間延長の手続きを検討することになります。

休職のまま退職しても、失業手当の受給可能性はあります。

ただし、退職後に求職活動ができる状態であることが前提です。

休職していた事実そのものより、退職後の就労可能性を確認してください。

休職から退職する流れ全体を確認したい場合は、 休職から退職できる?手続きとお金の注意点を実務解説 も参考にしてください。

受給に必要な失業の状態

受給に必要な失業の状態

失業手当を受けるためには、単に仕事を辞めているだけでは足りません。

ハローワークでは、働く意思と能力があり、積極的に求職活動をしているにもかかわらず、就職できない状態かどうかが確認されます。

この失業の状態という考え方は、休職期間がある方にとって特に重要です。

なぜなら、休職していた理由が病気やけがである場合、退職後も引き続き働けない状態である可能性があるからです。

失業手当は、療養そのものを支える給付ではありません。

再就職できる状態にある人が、仕事を探している間の生活を支える給付です。

たとえば、医師の診断書で就労不可とされている、通院や療養のためフルタイム勤務はもちろん短時間勤務も難しい、求職活動を行うこと自体が困難である、という状態であれば、失業手当の受給はすぐには難しいと考えられます。

この場合、後で説明する受給期間延長を行い、働ける状態になってから基本手当の受給手続きに進むのが実務上の基本です。

一方で、退職時点では休職中であっても、その後に症状が回復し、主治医から一定の就労が可能と判断された場合は、求職活動を始められる可能性があります。

このときは、ハローワークで本人の健康状態、希望する働き方、求職活動の実態などを踏まえて確認されます。

働く意思と能力はセットで見られる

失業手当では、働く意思だけでなく、働く能力も必要です。

反対に、働ける体調ではあるものの、しばらく働く予定がない、家事や療養に専念したい、開業準備だけをしていて就職する意思がない、という場合も、失業の状態と認められないことがあります。

休職から退職した方の場合、本人としては生活の不安が大きく、早く給付を受けたいと感じることが多いです。

しかし、制度上は、生活が苦しいかどうかだけで支給が決まるわけではありません。

再就職に向けて動ける状態かどうか が大切です。

実務上は、主治医の意見、本人の体調、希望する職種、働ける時間数などを整理しておくと、ハローワークで相談しやすくなります。

無理に働けると言い切るのではなく、現在の状態を正確に伝えることが大切です。

失業手当は、生活に困っているかどうかだけで判断されるものではなく、働ける状態で求職活動をしているかが重要です。

基本手当の受給資格や受給期間の考え方は、 ハローワークインターネットサービス「基本手当について」 で確認できます。

休職中は失業手当を受けられない

休職中は、通常、会社との雇用関係が続いています。

雇用関係が続いている間は、まだ離職していないため、失業手当の対象にはなりません。

休職中に給与が出ていない場合でも、会社に在籍している以上、雇用保険上は失業している状態とは別に考えます。

この点も、相談の現場では非常によく出てきます。

休職中は給与が止まり、健康保険の傷病手当金で生活している方もいます。

そのため、失業手当もあわせて使えないか、または傷病手当金が終わったら在職中でも失業手当に切り替えられないか、という疑問が出てくるのは自然です。

ただし、失業手当は退職後の求職者を対象とする制度です。

在職中である休職期間は、会社の従業員としての身分が残っています。

そのため、休職中の給与がゼロであっても、そのことだけで失業手当の対象になるわけではありません。

また、休職中に傷病手当金を受けている場合、その状態は一般的に、療養のため仕事に就けない状態です。

失業手当の前提である働ける状態とは方向性が異なります。

制度の目的が違うわけです。

在職中の生活保障と退職後の求職給付は別

在職中の病気やけがによる収入減に対応する代表的な制度が、健康保険の傷病手当金です。

一方、退職後に求職活動を行う人を支える制度が、雇用保険の基本手当です。

同じように生活費を支える給付に見えても、支給される場面が違います。

そのため、休職中に考えるべきことは、まず傷病手当金の受給条件、会社の休職期間満了日、退職日、社会保険の資格喪失日、退職後も傷病手当金を継続できるか、といった点です。

そのうえで、退職後に働ける状態になった時点で、失業手当の手続きを検討します。

休職中に会社へ在籍したまま失業手当を受けることは、通常想定されません。

退職後も働けない状態が続く場合は、失業手当をすぐに受け取るのではなく、受給期間延長を検討します。

在職中の休職期間と、退職後の失業状態は別の場面です。

ここを混同すると、手続きの優先順位を誤りやすくなります。

退職前に会社の休職制度、傷病手当金、雇用保険の流れを一度整理しておくと安心ですよ。

算定基礎期間に休職は含まれるか

休職期間がある場合に特に誤解されやすいのが、算定基礎期間の扱いです。

算定基礎期間とは、失業手当の所定給付日数を決める基礎となる、雇用保険の被保険者であった期間のことです。

簡単にいうと、雇用保険に入っていた期間がどれくらいあるかを、給付日数の判定に使う考え方です。

結論からいうと、私傷病などによる休職期間は、雇用保険の被保険者資格が続いている限り、原則として算定基礎期間に含まれます。

無給だったからといって、当然に算定基礎期間から外れるわけではありません。

ここで大切なのは、休職期間中に給与が支払われていたかどうかと、雇用保険の被保険者資格が継続していたかどうかは、別の話だということです。

休職中に給与がゼロでも、雇用関係が続き、雇用保険の資格が継続しているのであれば、その期間は被保険者であった期間として扱われるのが基本です。

厚生労働省の資料では、算定基礎期間から除かれるケースとして、被保険者であった期間に1年を超える空白がある場合、過去に基本手当等を受給したことがある場合、一定の遡及確認がある場合、育児休業基本給付金の支給を受けた休業期間がある場合などが整理されています。

一般的な私傷病休職は、これらにそのまま当てはまるものではありません。

休職期間が長い場合の誤解

休職期間が1年、2年と長くなると、本人としては、こんなに働いていない期間があるなら失業手当の期間も減るのではないか、と不安になることがあります。

実際、ネット上でも休職期間は算定基礎期間に入らないという趣旨の説明を見かけることがあります。

しかし、所定給付日数を決める算定基礎期間と、受給資格を判定する被保険者期間の月数カウントは別物です。

ここを混同すると、休職期間があると失業手当がもらえない、または休職期間は全部無視される、という誤った理解につながります。

休職期間は算定基礎期間に原則含まれます。

ただし、休職中の無給月が受給資格判定や賃金日額の計算に影響することはあります。

つまり、影響する場所が違うという理解が大切です。

算定基礎期間の考え方については、厚生労働省の資料で整理されています(出典: 厚生労働省「雇用保険 被保険者の皆さまへ」 )。

被保険者期間との違い

被保険者期間との違い

失業手当の受給資格を考えるときには、離職の日以前2年間に、被保険者期間が通算して12か月以上あるかを確認します。

倒産や解雇などの特定受給資格者、または一定の特定理由離職者に該当する場合は、離職前1年間に6か月以上で足りることがあります。

この受給資格を判定する被保険者期間は、単に雇用保険に加入していた暦上の期間をそのまま数えるわけではありません。

離職日から1か月ごとに区切り、その期間に賃金支払基礎日数が11日以上ある月、または賃金支払の基礎となった労働時間数が80時間以上ある月を1か月として数える考え方です。

ここが、休職期間の相談で一番混乱しやすいところです。

算定基礎期間は、所定給付日数を決めるための雇用保険に入っていた期間です。

一方、被保険者期間は、失業手当を受ける資格があるかどうかを判定するための月数です。

同じような言葉ですが、役割が違います。

たとえば、10年間勤務していて、最後の1年間を私傷病で休職し、そのまま退職したケースを考えます。

この場合、雇用保険の被保険者資格が継続していれば、休職期間も算定基礎期間には原則含まれます。

一方で、最後の1年間が完全無給で賃金支払基礎日数も労働時間もない場合、その期間は受給資格判定上の1か月としてはカウントされない可能性があります。

混同しやすい3つの期間

実務では、次の3つを分けて説明すると理解しやすくなります。

1つ目は、所定給付日数に関係する算定基礎期間。

2つ目は、受給資格の有無に関係する被保険者期間。

3つ目は、基本手当日額の計算に関係する賃金日額の算定期間です。

この3つは、すべて休職期間と関係しますが、影響の仕方が違います。

算定基礎期間には原則含まれる。

被保険者期間の月数としては、無給で日数要件を満たさない月はカウントされない可能性がある。

賃金日額では、完全な賃金月に該当するかどうかで計算対象が変わる。

こういう整理です。

項目 主な役割 休職期間の影響 確認する資料
算定基礎期間 所定給付日数を決める基礎 被保険者資格が続く限り原則含まれる 雇用保険の加入期間
被保険者期間 受給資格の有無を判定 無給月は1か月として数えられない場合がある 賃金支払基礎日数、労働時間
賃金日額 基本手当日額の計算基礎 賃金が少ない月が含まれると金額に影響しうる 離職票の賃金額

あなたが確認する場合は、まず離職票の内容を見て、いつからいつまでが賃金支払対象期間として記載されているか、各月の賃金支払基礎日数がどうなっているかを確認してください。

分かりにくい場合は、ハローワークに離職票を持参して確認するのが確実です。

賃金支払基礎日数が足りない月

休職により給与が出ていない月は、賃金支払基礎日数が11日未満になることがあります。

また、令和2年8月1日以降の離職については、賃金支払基礎日数が11日以上ない場合でも、賃金支払の基礎となった労働時間数が80時間以上あれば、被保険者期間1か月として扱われることがあります。

賃金支払基礎日数とは、簡単にいうと、給与計算の基礎となった日数です。

月給者であれば、欠勤控除の扱いや会社の給与規程によって見え方が変わることがあります。

日給者、時給者であれば、実際に勤務した日数がより直接的に影響します。

病気休職でまるまる無給だった月は、通常、この11日以上または80時間以上の要件を満たさない可能性が高くなります。

そのため、休職が長い場合には、受給資格を満たす月数が足りるかを確認する必要があります。

ただし、休職前に十分な勤務期間があり、賃金支払基礎日数を満たす月がすでに12か月以上ある場合は、休職月が一部カウントされなくても、受給資格に影響しないこともあります。

反対に、入社してから間もなく休職し、そのまま退職したようなケースでは、受給資格を満たす月数が不足する可能性があります。

休職開始月と退職月は特に確認

実務上、特に確認したいのは、休職開始月と退職月です。

月の途中まで働いていた、途中から有給休暇を使った、途中から欠勤控除になった、という月は、賃金支払基礎日数が11日以上になることがあります。

たとえば、月の前半は勤務し、後半から病気休職に入った場合、その月が受給資格判定の1か月に含まれる可能性があります。

一方、月のほとんどを無給で休んでいた場合は、含まれない可能性があります。

この違いは、最終的な受給資格の有無に影響することがあります。

賃金支払基礎日数は、本人の感覚だけでは判断しにくい項目です。

給与明細、勤怠記録、離職票を照らし合わせて確認し、不明点はハローワークや会社へ確認してください。

確認すべきなのは、休職した月があるかどうかではなく、離職前の対象期間内に要件を満たす月が何か月あるか です。

休職期間があっても、過去の勤務実績によっては問題なく要件を満たすこともあります。

失業手当の休職期間による影響

次に、休職期間が失業手当の金額や手続きにどう影響するのかを見ていきます。

特に、休職中に無給だった方、傷病手当金を受けていた方、退職後もしばらく働けない方は、ここを丁寧に確認してください。

休職退職後はいくらもらえるか

失業手当で受け取れる1日あたりの金額を、基本手当日額といいます。

基本手当日額は、原則として離職前の賃金をもとに計算される賃金日額に、一定の給付率をかけて決まります。

休職退職後にいくらもらえるかを知りたい場合、まず確認するのは、離職票に記載される賃金額です。

失業手当は、退職前の生活費をそのまま全額補償する制度ではありません。

離職前の賃金、年齢、賃金日額の上限や下限、給付率などによって基本手当日額が決まります。

一般的には、離職前の賃金が高いほど基本手当日額も高くなりますが、上限があります。

また、給付率は賃金水準によって異なり、賃金が低い方ほど給付率が高くなる仕組みです。

具体的な金額は年度によって変更されることがあるため、必ず最新の情報を確認してください。

休職期間がある場合に注意したいのは、直前6か月という言葉を単純にカレンダー上の6か月と考えないことです。

賃金日額の計算では、賃金支払基礎日数が11日以上、または労働時間数が80時間以上ある完全な賃金月を見ていくため、完全無給の休職月は計算対象から外れることがあります。

金額を確認するときの順番

まず、離職票の賃金額欄を確認します。

次に、どの月が賃金日額の計算対象になっているかを見ます。

そのうえで、基本手当日額の目安を確認する流れです。

会社から離職票が届く前に概算を知りたい場合は、給与明細や勤怠情報をもとに、おおまかに整理することはできます。

ただし、休職、欠勤控除、有給休暇、通勤手当、固定残業代などが絡むと、本人が思っている給与額と離職票上の賃金額が一致しないことがあります。

特に休職開始月や復職月は、通常月より賃金が少なくなりやすいです。

休職退職後の失業手当の金額は、休職期間の有無だけで決まるものではありません。

離職票に記載される賃金額、賃金支払基礎日数、年齢、離職理由などによって変わります。

失業手当の具体的な上限額や給付率は改定されることがあります。

正確な情報は公式サイトをご確認ください。

無給の休職月と賃金日額

無給の休職月と賃金日額

無給の休職月がある場合、その月が賃金日額の計算に含まれるのかを気にされる方は多いです。

実際によくある相談です。

特に、休職前は通常どおり給与を受けていたのに、退職直前は無給だったという場合、失業手当が大きく下がるのではないかと不安になりますよね。

原則として、賃金支払基礎日数が11日未満で、労働時間数も80時間未満の月は、賃金日額を計算するための完全な賃金月に該当しないことがあります。

この場合、その月を飛ばして、さらに前の月へさかのぼって6か月分を確認する流れになります。

たとえば、退職直前の3か月が完全無給の休職期間だった場合、その3か月を単純にゼロ円として計算するのではなく、計算対象になる完全な賃金月をさらに前にさかのぼって確認する可能性があります。

この点は、休職したら必ず失業手当が大幅に減る、という誤解を避けるために重要です。

一方で、休職に入る月や復職した月など、欠勤控除はあるものの一定の日数働いていた月は、賃金支払基礎日数の要件を満たすことがあります。

その月の賃金が通常より少なければ、賃金日額に影響し、結果として基本手当日額が下がる可能性があります。

一部賃金がある月は要注意

完全無給の月よりも、むしろ注意したいのは、一部だけ賃金が支払われている月です。

たとえば、月の途中まで出勤し、その後に欠勤や休職に入った月、残っていた有給休暇を一部使った月、会社独自の休職手当が支払われた月などです。

その月が完全な賃金月に該当すると、通常より少ない賃金額が計算に入る可能性があります。

結果として、休職前の通常給与だけで計算される場合より、賃金日額が低くなることがあります。

無給月は計算対象から外れる可能性がありますが、一部賃金がある月は計算対象に入る可能性があります。

休職開始月、退職月、有給休暇を使った月は、離職票で特に確認しましょう。

休職期間があると必ず失業手当が減るのではなく、計算対象にどの月が入るかによって影響が変わります。

離職票の休職期間の確認点

休職から退職した場合、離職票の内容は必ず確認してください。

特に見るべきなのは、離職理由、賃金支払対象期間、賃金支払基礎日数、賃金額です。

失業手当の判断は、最終的にはハローワークが行いますが、その基礎資料になるのが離職票です。

休職中に給与が支払われていない月がある場合、その月がどのように記載されているかによって、ハローワークでの判断に影響することがあります。

また、有給休暇を使った月、欠勤控除があった月、休職開始月などは、日数や賃金額の確認が必要です。

会社側も、休職期間中の賃金の有無や支払基礎日数を正確に記載する必要があります。

中小企業では、休職、欠勤、有給休暇、傷病手当金の扱いが混在しやすく、離職票の作成で迷いやすいところです。

社労士として見ていても、休職退職の離職票は通常退職より確認事項が多くなります。

離職理由も確認する

休職期間がある場合、離職理由も重要です。

本人の申出による自己都合退職なのか、休職期間満了による自然退職なのか、会社都合に近い事情があるのか、病気やけがによるやむを得ない退職なのかによって、給付制限や所定給付日数の扱いが変わる可能性があります。

特に、病気やけがにより退職せざるを得なかった場合は、特定理由離職者に該当する可能性があります。

ただし、これは本人がそう思うだけで決まるものではなく、離職理由や証明資料、ハローワークの判断によります。

確認したい項目

  • 離職理由が実態と合っているか
  • 休職期間が賃金支払対象期間にどう反映されているか
  • 賃金支払基礎日数が実際の勤務や有給休暇と合っているか
  • 欠勤控除後の賃金額が正しく記載されているか
  • 退職日や休職期間満了日が正しいか

離職票の内容に違和感がある場合は、そのまま自己判断で進めず、ハローワークに確認しましょう。

会社へ確認すべき点がある場合も、感情的に争うのではなく、記載内容の事実確認として進めることが大切です。

離職票は、失業手当の金額や手続きに関わる重要書類です。

内容が分からない場合は、給与明細や勤怠記録と一緒に確認すると、どこに疑問があるのか整理しやすくなります。

傷病手当金と同時受給できるか

休職中に健康保険の傷病手当金を受けていた方は、失業手当との関係に注意が必要です。

結論として、傷病手当金と失業手当を同時に受けることは、通常できません。

傷病手当金は、業務外の病気やけがで療養し、仕事に就けない状態であることを前提とする給付です。

一方、失業手当は、働く意思と能力があり、求職活動ができる状態であることを前提とします。

つまり、制度が想定している状態が違います。

傷病手当金を受けているということは、原則として、療養のため労務不能である状態です。

これに対して、失業手当を受けるためには、いつでも就職できる能力があり、積極的に求職活動をしていることが必要です。

この2つは、同じ時点で両立しにくい関係にあります。

退職後も引き続き療養が必要で働けない場合は、まず傷病手当金の継続可否を確認し、失業手当については受給期間延長を検討するのが一般的な流れです。

反対に、傷病手当金の対象となる労務不能状態が終わり、働ける状態になった場合は、失業手当の手続きへ進むことを検討します。

退職後の傷病手当金は要件確認が必要

退職後も傷病手当金を継続して受けられる場合がありますが、健康保険の被保険者期間や退職日時点での受給状況など、確認すべき要件があります。

退職すれば必ず継続できるわけではありません。

また、傷病手当金の受給期間と、失業手当の受給期間延長の手続きは別です。

傷病手当金を受けているから、失業手当の受給期間も自動で延びるわけではありません。

ここを誤解している方は少なくありません。

退職後も働けない場合は、傷病手当金の継続可否を確認しつつ、失業手当については受給期間延長を検討します。

療養が終わって働ける状態になってから、失業手当の受給手続きに進む流れです。

傷病手当金や退職後の生活保障については、 休職から退職する際のお金と手続き でも解説しています。

受給期間延長が必要なケース

受給期間延長が必要なケース

失業手当の受給期間は、原則として離職した日の翌日から1年間です。

しかし、退職後も病気やけがなどで30日以上働けない状態が続く場合は、受給期間を延長できる制度があります。

この延長は、失業手当を多くもらうための制度ではありません。

働けない期間があるため、求職活動を始められる時期まで、受給できる期間を後ろに延ばすための制度です。

ここは非常に大事です。

休職のまま退職し、退職後も療養が続く場合は、受給期間延長の手続きを検討する必要があります。

手続きをしないまま時間が過ぎると、働ける状態になったときに、本来の受給期間が残り少なくなっている可能性があります。

たとえば、退職後すぐには働けないため、半年間療養したとします。

その間に何も手続きをしていないと、原則1年間の受給期間のうち半年が経過してしまいます。

その後に求職活動を始めようとしても、残り期間が短くなり、所定給付日数を受け切れない可能性があります。

受給期間延長で確認すること

受給期間延長を考える場合は、退職日、働けなくなった理由、働けない期間、医師の証明、申請先のハローワーク、必要書類を確認します。

病気やけがで働けない場合は、医師の証明が必要になることがあります。

また、受給期間延長の申請をしたからといって、すぐに失業手当が支給されるわけではありません。

あくまで、将来働ける状態になったときに受給手続きができるよう、受給期間を延ばす手続きです。

受給期間延長をしないまま時間が経過すると、働ける状態になったときに失業手当を受けられる期間が不足することがあります。

休職退職後も療養が続く場合は、早めにハローワークへ相談してください。

休職から退職する場合は、退職日、傷病手当金の状況、医師の就労可否の判断、失業手当の受給期間延長をセットで確認することが重要です。

適応障害などで休職か退職かを迷っている場合は、 適応障害は休職か退職か社労士が実務で判断基準を解説 も参考になります。

失業手当と休職期間の要点

失業手当と休職期間の関係は、いくつかの制度が重なるため、少し複雑です。

ただ、実務上は分けて整理すれば、確認すべきポイントは明確になります。

まず、休職期間があるだけで失業手当が受けられなくなるわけではありません。

休職のまま退職した場合でも、退職後に働ける状態で求職活動を行えるのであれば、失業手当の対象になる可能性があります。

次に、休職期間は、雇用保険の被保険者資格が続いている限り、原則として算定基礎期間に含まれます。

無給の休職期間だからといって、当然に所定給付日数の基礎から外れるわけではありません。

一方で、受給資格を判定する被保険者期間の月数や、基本手当日額を計算する賃金日額には、休職中の無給月や賃金が少ない月が影響することがあります。

ここが、この記事で最も押さえていただきたいポイントです。

  • 休職期間があるだけで失業手当が受けられなくなるわけではない
  • 退職後に働けない状態であれば、すぐに失業手当を受けるのは難しい
  • 休職期間は、雇用保険の被保険者資格が続く限り、原則として算定基礎期間に含まれる
  • 無給の休職月は、受給資格判定や賃金日額の計算で影響することがある
  • 傷病手当金と失業手当は、通常同時には受けられない
  • 退職後も働けない場合は、受給期間延長を検討する

退職前に整理しておきたいこと

休職から退職する前には、退職日、休職期間満了日、傷病手当金の受給状況、主治医の就労可否、離職理由、離職票の記載内容を整理しておくとよいです。

特に、退職後もしばらく働けない見込みがある場合は、失業手当の受給期間延長を忘れないようにしてください。

会社に確認しづらいこともあるかもしれませんが、離職票や社会保険の手続きは退職後の生活に直結します。

感情的に対立するよりも、必要な書類と事実関係を一つずつ確認するほうが、結果的に早く進むことが多いです。

休職期間がある場合の失業手当は、受給資格、算定基礎期間、賃金日額、傷病手当金、受給期間延長を分けて確認するのが実務上のコツです。

特に大切なのは、 休職期間があるかどうかだけで判断しないこと です。

受給資格、所定給付日数、基本手当日額、受給期間延長、傷病手当金との関係を分けて確認する必要があります。

失業手当や傷病手当金は、退職日や手続きのタイミングによって結果が変わることがあります。

妊娠中の休職と育休手当の条件については妊娠中ずっと休職でも育休手当は出る?も参考にしてください。

正確な情報は公式サイトをご確認ください。

また、個別事情によって判断が分かれるため、最終的な判断は専門家にご相談ください。

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