休職

休職はいつから始まる?診断書と開始日の実務ポイント解説

こんにちは。

もりおか社会保険労務士事務所、社会保険労務士の川熊です。

休職は、従業員が休みたいと思った日や欠勤を始めた日から自動的に始まるものではありません。

原則として、医師の診断書や欠勤状況などを踏まえ、会社が休職を認め、休職命令を出した日から始まります。

ただし、実務では診断書の提出日、欠勤開始日、会社の承認日、傷病手当金の支給開始日が混同されやすく、ここで悩む方が非常に多いです。

この記事では、休職はいつから始まるのかを、従業員の方にも会社の担当者にも分かるように整理していきます。

  • 休職開始日の基本的な決まり方
  • 診断書提出日と休職開始日の違い
  • 有給消化や傷病手当金との関係
  • 入社直後やうつ病休職で確認すべき点

休職はいつから始まる?開始日の実務解説

休職はいつから始まるのか

休職はいつから始まるのか

休職制度の基本的な仕組みや手続きの全体像については、休職とは何か制度の基本と注意点で詳しく解説しています。

まず押さえておきたいのは、休職は法律で一律に開始日が決まっている制度ではないという点です。

多くの会社では、就業規則に基づいて、会社が休職を命じることで休職が始まります。

ここでは、休職開始日の基本、診断書の扱い、欠勤から休職に切り替わる流れを確認していきます。

休職開始日の基本的な考え方

休職開始日の基本的な考え方

休職開始日は、基本的には会社が休職を承認し、休職命令を発令した日を起点に考えます。

従業員が体調不良で休み始めた日や、本人が休職したいと申し出た日が、そのまま休職開始日になるとは限りません。

休職制度は、労働基準法で必ず設けなければならない制度ではなく、会社が就業規則などで任意に定める制度です。

そのため、休職できる条件、休職期間、休職開始日の決め方は、原則として会社の就業規則に従って判断します。

厚生労働省のモデル就業規則でも、業務外の傷病による欠勤が一定期間を超え、なお療養が必要で勤務できないときに休職とする例が示されています。

つまり、休職は「休みたいから始まる」というより、会社が就労できない状態を確認し、雇用を維持したまま労働義務を免除する扱いと考えると分かりやすいです。

実務上のポイント

休職開始日を判断するときは、本人の申出日、診断書の日付、欠勤開始日、会社の承認日のうち、どれを基準にするかを就業規則や社内手続きで確認します。

開始日があいまいなままだと、休職期間満了日や自然退職日の計算で後からトラブルになりやすいため注意が必要です。

休職制度がなぜ会社にとっても意味があるのかという点も、押さえておくと理解が深まります。私傷病で働けない状態の従業員をそのまま欠勤扱いにし続けると、いつまで様子を見るのか、いつ退職の話になるのかがあいまいなまま長期化しやすくなります。休職という手続きを挟むことで、雇用契約は維持したまま療養に専念してもらい、一定期間内に回復すれば復職、回復しなければ休職期間満了に応じた対応、という見通しを立てやすくなるという狙いがあります。

従業員側から見ても、休職は「雇用が維持されたまま療養に専念できる」という安心材料になり得ます。ただし休職は無条件に認められる権利ではなく、就業規則の要件を満たし、会社の判断を経て初めて始まる制度である、という原則は変わりません。体調が悪化してすぐに休みたい場合でも、まずは自分の会社の休職に関する規定がどうなっているかを確認することが出発点になります。

欠勤と休職はどう違うのか

「欠勤」と「休職」は似た言葉ですが、実務上の位置づけは異なります。欠勤は、本来労働義務がある日に従業員側の事情で休むことを指し、原則として会社の個別の承認を必要とする手続きではありません。一方、休職は、会社が労働義務そのものを免除する扱いであり、休職命令という会社の意思表示があって初めて成立します。

比較の観点 欠勤 休職
開始のきっかけ 従業員本人が休む 会社が休職を命じる
労働義務 免除されていない(休んだ扱い) 会社により免除される
期間の目安 短期・単発が多い 会社の規定に基づく一定期間
給与 原則無給(会社規定による) 原則無給(会社規定による)

この違いを理解しておくと、「欠勤が続いているだけの状態」なのか、「会社の休職命令を受けて休職に入っている状態」なのかを区別しやすくなり、休職はいつから始まっているのかという疑問にも整理して答えやすくなります。

診断書を出せば休職になる?

診断書を会社に提出しただけで、その日から自動的に休職扱いになるわけではありません。

診断書は、会社が休職の必要性を判断するための重要な資料ですが、休職を開始するには、通常、会社側の確認や承認が必要です。

たとえば、診断書に「1か月の自宅療養を要する」と書かれていたとしても、会社はその内容を確認したうえで、就業規則上の休職要件に該当するか、欠勤扱いにするのか、有給休暇を使うのか、休職命令を出すのかを判断します。

会社によっては、産業医面談や人事面談を行うこともあります。

特にメンタル不調の場合、診断書の内容だけでなく、本人の業務状況、復職見込み、職場での配慮の可否なども確認されることがあります。

これは、本人を責めるためではなく、休職に入るべきか、短期間の欠勤で様子を見るべきかを実務上整理するためです。

診断書の発行には、保険適用外の文書料として4,000円から5,000円程度の実費がかかることが一般的です。即日発行してもらえる医療機関もありますが、混雑状況によっては数日かかることもあるため、早めに主治医へ相談しておくと安心です。

また、初診の診断書では2週間程度の療養期間が示されることが多く、その後の経過を踏まえて「1か月の自宅療養を要する」といった内容に更新されていくのが一般的な流れです。診断書の期間がそのまま休職期間の全体像になるわけではなく、あくまで当面の療養見込みを示すものとして扱われる点も理解しておくとよいでしょう。

診断書提出時の注意点

診断書を提出した後も、会社から追加確認がある場合があります。

無断で連絡を絶つと、勤怠管理上は無断欠勤に近い扱いになるおそれがあります。

体調が悪い場合でも、可能な範囲で上司や人事に連絡し、今後の手続きの確認をしておくことが大切です。

休職時の診断書の扱いについて詳しく確認したい場合は、休職は診断書なしでできる?社労士が実務の注意点を解説も参考になります。

休職開始日の決め方

休職開始日の決め方は、会社の就業規則や運用によって異なります。

実務では、主に次のような日付が候補になります。

  • 会社が休職を承認した日
  • 会社が休職命令を発令した日
  • 診断書に記載された療養開始日
  • 欠勤が一定期間続いた後の日
  • 休職届に記載された休職開始希望日

原則としては、会社が休職命令を出した日を休職開始日とするのが分かりやすい運用です。

ただし、医師の診断書により、すでにその前から就労困難な状態だったことが明らかな場合には、会社の判断で欠勤開始日や診断書上の療養開始日にさかのぼって休職開始日を設定することもあります。

ここで重要なのは、会社と従業員の間で開始日を明確にしておくことです。

休職開始日は、休職期間の満了日、復職判断、給与の有無、社会保険料の控除、退職扱いになる可能性などに関わります。

候補になる日付 実務上の考え方 注意点
欠勤開始日 実際に働けなくなった日 自動的に休職開始日になるとは限らない
診断書提出日 会社が医学的資料を確認した日 診断書だけで休職が確定するわけではない
会社承認日 休職を正式に認めた日 最も実務上整理しやすい
休職命令発令日 会社が休職を命じた日 就業規則との整合性が重要

中小企業では、休職制度の規定はあっても、開始日の決め方まで細かく書かれていないことがあります。

その場合は、診断書、欠勤状況、本人への通知日を整理し、後から説明できる形で記録を残すことが大切です。

休職開始日は、単に「いつから休みか」という以上に、複数の実務処理の基準日になります。たとえば、休職期間中の社会保険料の納付スケジュール、賞与算定期間における出勤日数の扱い、年次有給休暇の付与日数を計算する際の出勤率などにも関わってきます。

そのため、休職開始日を口頭のやり取りだけで済ませず、休職命令書や休職承認通知など、書面やメールで日付を明確に残しておくことが、後々のトラブル防止につながります。

休職開始日の決め方の丁寧さは、会社の規模によっても差が出やすい部分です。人事労務の専任担当者がいる会社では、休職の申出から承認、休職命令書の発行までの流れがあらかじめ様式化されていることが多い一方、中小企業では都度の判断になりやすく、開始日の記録が曖昧になりがちです。従業員の立場からは、会社の規模にかかわらず、休職開始日がいつなのかを書面やメールで確認しておくことをおすすめします。

欠勤は何日から休職扱い?

欠勤は何日から休職扱い?

欠勤が何日続いたら休職になるかは、法律で一律に決まっているわけではありません。

会社の就業規則に「私傷病による欠勤が〇か月を超えたとき」などの規定がある場合は、その定めに従って判断します。

実務では、私傷病による欠勤が一定期間続いた場合に、欠勤から休職へ切り替える会社が多いです。

期間の目安は会社によって異なりますが、1か月程度を一つの区切りにしている例もあります。

ただし、これはあくまで一般的な目安であり、会社ごとの規定を確認する必要があります。

また、欠勤が連続していなくても、出勤と欠勤を繰り返し、日常業務に支障が出ている場合には、会社が休職の必要性を検討することがあります。

特にメンタル不調では、数日出勤してまた休むという状態が続くこともあり、単純に連続欠勤の日数だけでは判断しにくいケースもあります。

会社側の実務メモ

就業規則で「連続欠勤〇日」とだけ定めていると、断続的な欠勤を繰り返すケースに対応しにくくなります。

休職制度を整備する場合は、連続欠勤だけでなく、断続的な欠勤により通常業務に支障がある場合も想定しておくと実務上扱いやすくなります。

欠勤が続いている間は、有給休暇の残日数がある場合はそれを充てたり、傷病手当金の申請を検討したりすることもあります。休職に切り替わる前の欠勤期間中であっても、要件を満たせば傷病手当金の対象になり得るため、欠勤か休職かという整理と、傷病手当金を受けられるかどうかという整理は別の問題として考える必要があります。

従業員の方は、自分の会社で欠勤が何日から休職扱いになるのかを、就業規則や人事担当者に確認してください。

会社側も、本人に対して「いつから欠勤扱いで、いつから休職扱いなのか」を書面やメールで明確に伝えておくと安心です。

休職届が遅れた場合の扱い

体調不良が急に悪化した場合、先に欠勤が始まり、診断書や休職届の提出が後になることがあります。

特にメンタル不調では、本人がすぐに会社へ連絡したり、必要書類を整えたりすることが難しいこともあります。

このような場合、就業規則に特別な定めがなければ、会社の承認が完了した時点から休職開始とするのが原則的な考え方です。

ただし、診断書の取得に時間がかかった、本人の状態から早期の手続きが困難だったなどの事情がある場合には、会社の判断で実際に就労不能となった時期にさかのぼって休職開始日を設定することもあります。

ただし、バックデートは便利な反面、慎重に扱う必要があります。

休職期間満了日、給与計算、社会保険料、傷病手当金の申請期間などに影響するためです。

本人のために柔軟に扱ったつもりでも、後から「いつ休職が始まったのか」で認識がずれることがあります。

実務上は、まず本人または家族から欠勤の連絡を受け、その後診断書の提出を待ちながら、必要に応じて上司や人事担当者が本人の状態を確認する、という順番になることが多いです。緊急性が高いケースでは、診断書の到着を待たずに一旦欠勤扱いとし、診断書が届いた段階で休職への切り替えとその開始日を確定させる、という二段階の対応を取る会社も見られます。

たとえば、ある日突然出社できなくなり、本人からの連絡もしばらく途絶えたのち、家族からの連絡で状況が判明し、数日後にようやく受診・診断書提出に至る、というケースも考えられます。このような場合でも、会社側は一方的に無断欠勤として処分を進めるのではなく、本人や家族との連絡状況、診断書の内容を踏まえて、休職の要否と開始日を落ち着いて整理することが望まれます。

事後提出で特に注意したい点

休職届が遅れた場合は、休職開始日を口頭だけで済ませず、会社からの通知書、メール、休職命令書などで記録を残すことが重要です。

本人も、いつから休職扱いになったのかを必ず確認しておきましょう。

休職はいつから可能か確認する点

休職はいつから可能か確認する点

次に、休職がいつから可能になるのかを考えるうえで、よく一緒に問題になる点を整理します。

入社直後でも休職できるのか、有給休暇を先に使えるのか、傷病手当金はいつから受けられるのかなど、実務で相談が多い部分です。

入社後すぐ休職できるか

入社後すぐに休職できるかどうかも、会社の就業規則によって変わります。

休職制度は会社が任意に設ける制度であるため、「勤続〇か月以上の従業員を対象とする」「試用期間中は休職制度を適用しない」といった在籍期間要件を設けている会社もあります。

そのため、入社直後に体調を崩した場合でも、必ず休職できるとは限りません。

就業規則で休職の対象外とされている場合は、欠勤扱い、病気休暇、退職の相談など、別の整理になることがあります。

一方で、就業規則に在籍期間要件や試用期間中の適用除外が書かれていない場合には、入社直後であっても休職制度の対象になる可能性があります。

会社側から見ると、ここは採用時によく確認しておきたいポイントです。

会社が在籍期間要件を設ける背景には、採用してすぐの従業員について、休職期間中の代替要員の確保や業務の引き継ぎといった負担を考慮したいという事情があります。一方で、要件を設けるかどうかは会社の判断であり、労働契約締結時にどのような条件になっているかは、雇用契約書や労働条件通知書、就業規則を確認しないと分かりません。

正社員だけでなく、契約社員やパートタイマーの休職の扱いも、会社ごとに差が出やすいポイントです。休職制度は正社員のみを対象とし、契約社員やパートタイマーには適用しない、または休職期間を短く設定するという会社も少なくありません。パートタイム・有期雇用労働法では、雇用形態による不合理な待遇差を禁止していますが、休職期間に一定の差があること自体は、双方に何らかの休職の機会が確保されていれば、直ちに不合理とはされないという整理が一般的です。

確認すべき規定

  • 休職制度の対象者
  • 試用期間中の休職可否
  • 勤続期間による休職期間の違い
  • 欠勤が続いた場合の扱い
  • 休職期間満了時の取扱い

入社直後の休職は、従業員本人も会社も感情的になりやすい場面です。

ただ、実務では就業規則に何と書かれているかが出発点になります。

まずは制度の有無と適用条件を冷静に確認しましょう。

有期契約の従業員の場合は、契約期間の満了時期と休職期間の関係にも注意が必要です。休職期間中に契約満了日を迎える場合、休職を理由に契約更新をしないという扱いが直ちに認められるわけではなく、更新の可否は、それまでの更新実績や業務内容など、休職の有無以外の事情も踏まえて判断されるのが一般的です。契約の更新時期が近い場合は、休職の扱いとあわせて、契約更新についても早めに会社へ確認しておくと安心です。

休職前に有給消化できるか

休職前に有給消化できるか

休職に入る前で、まだ労働義務がある日については、有給休暇を使える場合があります。

たとえば、体調不良で欠勤する予定の日について、本人が有給休暇を申請し、会社が通常の手続きで処理するケースです。

一方で、休職期間に入った後は、原則として有給休暇を消化することはできません。

有給休暇は、もともと労働義務がある日に、その労働義務を免除して賃金を受ける制度です。

休職中は会社から労働義務を免除されている状態のため、そこにさらに有給休暇を充てるという考え方にはなりにくいです。

実務では、休職に入る前に有給を使うか、すぐ欠勤や休職にするかで、給与や傷病手当金の対象期間が変わることがあります。

有給を使えばその日は給与が出ますが、傷病手当金の支給対象日にはなりにくい点も確認が必要です。

なお、会社が就業規則で年次有給休暇の計画的付与制度を導入している場合でも、すでに休職に入っている期間については、計画的付与の対象日とすることは想定されていません。計画的付与はあくまで労働義務がある日を前提とした制度だからです。

また、休職期間の途中で退職に至るケースでは、退職日までに残っている有給休暇をどう扱うかも論点になります。休職したまま退職する場合、退職日以降は在籍していないため有給休暇を消化する余地がなくなる点には注意が必要です。

なお、年次有給休暇には付与された日から2年の時効があります。休職期間が長期にわたる場合、休職前に十分消化しきれなかった有給休暇が、復職を待つ間に時効で消滅してしまうこともあり得ます。休職期間が長くなりそうな場合は、この時効についても頭の片隅に置いておくとよいでしょう。

休職と有給消化の関係については、休職中の有給消化はできる?社労士が実務で詳しく解説でも詳しく整理しています。

有給消化は会社が強制できません

休職前に有給を使うかどうかは、原則として従業員本人の請求が前提です。

会社が一方的に「休職前に有給を全部使ってください」と強制する運用は、トラブルになりやすいため注意が必要です。

傷病手当金はいつからか

休職の開始日と、傷病手当金の支給開始日は別のものです。

ここを混同している相談は、実際によくあります。

傷病手当金は、業務外の病気やけがで仕事に就けない場合に、健康保険から支給される給付です。

原則として、療養のために連続して3日間仕事を休んだ後、4日目以降も仕事に就けず、給与を受けられない日について支給対象になります。

この最初の連続3日間を待期期間といいます。

待期期間には、有給休暇や土日祝日などの公休日も含まれる場合があります。

つまり、休職命令が出た日とは別に、実際に療養のため仕事を休み始めた日から待期を数えることがあります。

支給される金額は、おおよそ標準報酬日額の3分の2が目安です。具体的には、直近12か月間の標準報酬月額を平均し、30日で割った額(標準報酬日額)の3分の2に相当する額が、1日あたりの支給額の目安になります。

支給を受けられる期間は、同一の傷病について、支給開始日から通算して最長1年6か月です。この間に一時的に出勤して給与が支払われた期間があっても、その期間は支給期間としてカウントされない扱いになる点も押さえておきたいポイントです。

申請にあたっては、本人が記入する欄のほか、会社が出勤状況や給与の支払状況を証明する欄、医師が労務不能であったことを証明する意見書欄があり、これらがそろって初めて申請できます。

休職開始日と傷病手当金の違い

  • 休職開始日は会社の就業規則や休職命令で決まる
  • 傷病手当金は連続3日間の待期完成後の4日目以降が対象
  • 有給や公休日も待期に含まれる場合がある
  • 給与が出ている日は支給額が調整されることがある

たとえば、欠勤開始日から3日間で待期が完成し、その後に会社が休職命令を出した場合、傷病手当金の支給開始日の考え方が、会社の正式な休職開始日より前に関係してくることがあります。

なお、有給休暇を使った日に給与が全額支払われている場合は、その日について傷病手当金は支給されません。ただし、時短勤務中の給与など、支払われた給与額が傷病手当金の日額を下回るケースでは、その差額分が傷病手当金として支給されることがあります。「有給を使うと傷病手当金は一切もらえなくなる」というわけではなく、支払われた給与額との比較で調整される、という理解が正確です。

休職中の社会保険料の扱い

休職期間中に給与が支払われない場合でも、健康保険料・厚生年金保険料(40歳以上は介護保険料も含む)の被保険者資格や支払義務はなくなりません。通常は給与から天引きされている保険料を、休職中は本人が会社に振込むなどの方法で納付するケースが多く、休職に入る前に会社の担当部署へ具体的な納付方法を確認しておくと安心です。

一方、雇用保険料や労災保険料は、実際に支払われた給与額をもとに計算されるため、給与が発生しない休職期間中は原則として発生しません。傷病手当金は非課税の給付であり、健康保険料・厚生年金保険料の算定基礎にもならない点も、あわせて押さえておきたいポイントです。

退職後も傷病手当金は続くか

休職期間中に体調が回復せず、そのまま退職に至るケースもあります。この場合でも、一定の要件を満たせば、退職後も傷病手当金の継続給付を受けられることがあります。具体的には、資格喪失日(退職日の翌日)の前日までに継続して1年以上の被保険者期間があること、資格喪失時点ですでに傷病手当金を受けているか、受けられる要件を満たした状態にあることなどが条件になります。

継続給付が認められる場合、支給開始日から通算して最長1年6か月まで、退職後も同じ傷病について傷病手当金を受け続けることができます。休職開始日がいつなのかは、この1年6か月の起算点を確認するうえでも重要な情報になります。

正確な情報は公式サイトをご確認ください。

傷病手当金の詳細は、協会けんぽの傷病手当金の案内で確認できます。

申請の流れを確認したい場合は、傷病手当金の申請方法を初めての方へ社労士が実務解説も参考にしてください。

休職期間はいつまで続くか

休職期間がいつまで続くかも、会社の就業規則で決まります。

法律で「私傷病休職は必ず何か月」と決まっているわけではありません。

会社によって、勤続年数に応じて1か月、3か月、6か月、1年など、休職期間を分けていることがあります。

休職期間は、単に療養できる期間というだけではありません。

期間満了時に復職できない場合、就業規則に基づいて自然退職や退職扱いになることがあります。

そのため、休職開始日がいつなのかは、休職期間満了日を計算するうえで非常に重要です。

たとえば、休職期間が3か月の会社で、休職開始日が4月1日なのか、4月15日なのかによって、満了日が変わります。

満了日が変われば、復職判断のタイミング、診断書の再提出時期、会社との面談時期も変わります。

実務では満了日管理が重要です

会社側は、休職開始日、休職期間、満了日、復職可否の判断日を一覧で管理しておくと安心です。

従業員本人も、休職に入るときに「いつまでが休職期間なのか」を必ず確認しておきましょう。

休職期間の満了時になお復職できない場合の扱いも、就業規則の定め方によって「解雇」となる場合と「自然退職(自動退職)」となる場合があります。就業規則に「休職期間満了をもって退職とする」と定められている場合は、通常の解雇のような予告手続きを経ずに退職扱いとなる自然退職の規定として運用されることが多い一方、「休職期間満了をもって解雇する」と定められている場合は、労働基準法上の解雇予告(原則30日前まで)などの手続きが必要になります。

同じ「休職期間満了」という出来事でも、就業規則の書きぶり次第で解雇なのか自然退職なのかが変わってくるため、従業員の方は自分の会社の就業規則がどちらの規定になっているかを確認しておくと安心です。

休職期間が長期化し、傷病手当金の支給期間の上限(通算1年6か月)に近づいてくる場合は、障害年金の利用も選択肢に入ってきます。障害年金は、原則として初診日から1年6か月を経過した「障害認定日」以降、一定の障害等級に該当すれば請求できる制度で、傷病手当金の支給が終わったあとの収入面を支える役割を果たすことがあります。休職開始日や初診日がいつだったのかは、この障害認定日を確認するうえでも手がかりになります。

休職期間満了後の扱いは、雇用関係に大きな影響があります。

最終的な判断は専門家にご相談ください。

うつ病の休職期間の目安

うつ病の休職期間の目安

うつ病などのメンタル不調による休職期間は、症状の程度、仕事内容、治療経過、職場環境によって大きく変わります。

初回の診断書では、2週間から1か月程度の療養が示され、その後の状態を見ながら延長されるケースもあります。

ただし、「うつ病なら何か月休めばよい」と一律に決めることはできません。

短期間で復職できる方もいれば、数か月以上の療養が必要になる方もいます。

ここで大切なのは、診断書の期間だけで復職を急がず、主治医の意見、本人の状態、会社の受け入れ体制を合わせて確認することです。

実務では、休職中に1か月から3か月程度の間隔で診断書の再提出を求める会社もあります。診断書の内容が更新されるたびに、休職を継続するのか、そろそろ復職に向けた準備を始めるのかを、会社と本人とですり合わせていくことになります。

あわせて、休職中の会社との連絡方法や頻度も、あらかじめ取り決めておくとお互い安心です。療養に専念できるよう連絡を最小限にしてほしいという本人の希望と、状況を把握しておきたいという会社側の必要性のバランスを取るため、月に1回程度、決まった担当者経由でメールや電話により近況を報告する、といった形にしている例もあります。

また、復職前には、主治医の復職可能の意見だけでなく、産業医面談や会社との面談を行い、段階的な復帰が可能かを確認することもあります。

復職の判断に際しては、いきなり通常勤務に戻すのではなく、模擬出勤・通勤訓練・試し出勤といった「リハビリ出勤(試し出勤)」制度を設けている会社もあります。実際の通勤経路を使って会社付近まで移動する通勤訓練や、一定期間本来の職場に試験的に出勤する試し出勤を通じて、復職後にすぐ元の業務量へ戻れるかどうかを見極める狙いがあります。

リハビリ出勤の間は、労働をさせない位置づけで運用されることが多く、賃金が発生しない場合もあります。導入するかどうか、どのような形で行うかは会社ごとに異なるため、制度がある場合は事前に内容を確認しておくとよいでしょう。

また、復職後にいきなり休職前と同じ業務量・労働時間に戻すのではなく、一定期間は残業を控える、業務内容を軽減する、短時間勤務から始めるといった形で段階的に戻していくことも、再休職を防ぐうえで有効とされています。

多くの会社の就業規則には、「復職後〇か月以内に同一または類似の事由により再び欠勤・休職に至った場合は、前後の休職期間を通算する」といった再休職の通算規定が置かれています。メンタル不調は症状がいったん落ち着いても再発しやすいため、この通算規定の有無や期間が、実際に何度目の休職からが「休職期間満了」に近づくのかに直結します。復職後にまた体調を崩してしまった場合は、前回の休職開始日や復職日も踏まえて、通算の対象になるかどうかを会社に確認しておくと安心です。

メンタル不調の復職は慎重に

本人が復職したいと考えていても、すぐに通常業務へ戻ることが負担になる場合があります。

反対に、会社側が一方的に復職を拒むことも問題になり得ます。

復職判断は、医学的な意見と業務上の現実を丁寧にすり合わせることが大切です。

うつ病の休職期間は、一般的な目安だけで判断せず、主治医や産業医、会社の人事担当者と確認しながら進めてください。

休職がいつからか迷う場合の確認点

休職がいつから始まるのか迷ったときは、まず就業規則を確認してください。

就業規則に、休職の対象者、休職事由、欠勤から休職に切り替わる条件、休職期間、休職開始日の扱いが書かれていることがあります。

就業規則は、事業場内の見やすい場所へ掲示する、備え付ける、書面を交付する、社内システムで常時閲覧できるようにするなど、労働者がいつでも確認できる状態にしておくことが会社に義務づけられています。自分の会社の就業規則がどこにあるか分からない場合は、人事担当者に確認しても差し支えありません。

次に、会社からの通知内容を確認します。

休職命令書、休職承認通知、メール、面談記録などに、休職開始日や休職期間が明記されていれば、それが実務上の重要な根拠になります。

従業員の方は、次の点を確認しておくと安心です。

  • 自分はいつから欠勤扱いになっているか
  • いつから休職扱いになるのか
  • 休職期間はいつまでか
  • 給与はいつから止まるのか
  • 傷病手当金の申請期間はいつからか
  • 有給休暇を使う余地があるか
  • 復職時に診断書や面談が必要か

会社側は、本人に対して休職開始日を明確に伝えることが重要です。

特に休職期間満了による退職扱いが就業規則にある場合、開始日をあいまいにすると、満了日の計算で争いになる可能性があります。

会社と話し合っても休職の開始日や取扱いがはっきりしない、休職そのものを認めてもらえず対応に困っているという場合には、一人で抱え込まず、労働局や労働基準監督署に設置されている総合労働相談コーナーのような公的な相談窓口を利用する方法もあります。匿名での相談を受け付けている窓口もあるため、まずは状況を整理して相談してみるとよいでしょう。

この記事のまとめ

休職がいつから始まるかは、原則として会社の就業規則と休職命令で決まります。

診断書を出した日や欠勤を始めた日から自動的に休職になるわけではありません。

一方で、傷病手当金は連続3日間の待期完成後の4日目以降という別の考え方で判断します。

休職は、体調面だけでなく、給与、社会保険、復職、退職にも関わる重要な手続きです。

診断書なしで休職できるかどうかは休職は診断書なしでできる?で、休職願の書き方は休職願の書き方で解説しています。

正確な情報は公式サイトをご確認ください。

会社ごとの就業規則や個別事情によって結論が変わるため、最終的な判断は専門家にご相談ください。

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