こんにちは。
もりおか社会保険労務士事務所、社会保険労務士の川熊です。
産休中に配偶者の扶養に入れるかどうかは、税制上の扶養と社会保険上の扶養で答えが異なります。
税金では配偶者控除などの対象になれる場合がありますが、勤務先の社会保険に加入したまま産休を取得する人は、原則として配偶者の健康保険の扶養へ切り替える必要はありません。
さらに、出産手当金や育児休業給付金を収入に含めるかどうかも、税金と社会保険では扱いが異なります。
この違いを理解しないまま手続きを進めると、勤務先や健康保険から書類の訂正を求められることがあります。
この記事では、産休中に夫の扶養へ入れる条件、配偶者控除の考え方、130万円基準、必要な手続きを実務目線で整理します。
- 税制上の扶養と社会保険上の扶養の違い
- 出産手当金や育児休業給付金の取扱い
- 配偶者控除と130万円基準の考え方
- 扶養に入る時期と必要な手続き

産休中の扶養は2種類で考える
扶養という言葉には、税金を計算するときの扶養と、健康保険・国民年金に関する扶養があります。
両者は判定基準も手続きも別です。
まずは、あなたが確認したいのがどちらの扶養なのかを切り分けましょう。
実際の相談では、「産休に入って収入がなくなるので夫の扶養に入りたい」という質問をよく受けます。
しかし、詳しく状況を確認すると、税金上の配偶者控除を受けたいのか、夫の健康保険に入りたいのか、社会保険料を免除してもらいたいのかが整理されていないことも少なくありません。
扶養という同じ言葉を使っていても、目的によって確認する制度や提出書類が変わります。
ここでは、最初に2種類の扶養を分けたうえで、出産手当金や育児休業給付金がどのように扱われるのかを順番に解説します。
税制上と社会保険上の違い
税制上の扶養とは、主に配偶者控除または配偶者特別控除を受けられる状態を指します。
控除を受けるのは、産休を取得する本人ではなく、その配偶者です。
たとえば妻が産休に入り、その年の給与収入が一定額以下になった場合、夫が年末調整や確定申告で配偶者控除等を申告できる可能性があります。
一方、社会保険上の扶養とは、配偶者が加入している健康保険の被扶養者となり、一定の要件を満たす人が国民年金の第3号被保険者になることを指します。
健康保険の扶養に認定されると、本人が個別に健康保険料を納める必要は原則としてありません。
また、20歳以上60歳未満の配偶者が第3号被保険者になれば、国民年金保険料を個別に納付しなくても、その期間は保険料納付済期間として扱われます。
判定する期間が異なる
税制上の扶養は、原則として1月1日から12月31日までの1年間に生じた所得をもとに判定します。
年の途中から産休に入った場合でも、産休前に支給された給与や賞与は年間の給与収入に含まれます。
そのため、12月時点で給与を受け取っていなくても、その年の前半に十分な給与を受け取っていれば、配偶者控除等の対象にならないことがあります。
これに対し、社会保険上の扶養は、扶養へ入ろうとする時点以降の年間収入見込みを中心に判定します。
過去1年間に130万円以上の給与があったから必ず扶養に入れないという仕組みではなく、退職や労働条件の変更後に今後どの程度の収入が見込まれるかが重要です。
ただし、出産手当金などの継続的な給付を受ける場合は、その給付額も収入として確認されることがあります。
| 区分 | 主な制度 | 判定の基準 | 主な効果 | 主な手続き先 |
|---|---|---|---|---|
| 税制上の扶養 | 配偶者控除・配偶者特別控除 | 1月から12月までの合計所得金額 | 扶養する側の所得税や住民税を軽減 | 扶養する側の勤務先または税務署 |
| 社会保険上の扶養 | 健康保険の被扶養者・国民年金第3号 | 認定時点から見込まれる年間収入など | 本人の健康保険料や国民年金保険料の負担が原則不要 | 扶養する側の勤務先や健康保険 |
税制上は扶養の対象になっても、社会保険上は扶養に入れないことがあります。
反対に、社会保険の扶養に入っていても、年間所得によっては配偶者控除を受けられないことがあります。
税金と社会保険で使われる「収入」や「所得」の意味も同じではありません。
税金では、給与収入から給与所得控除を差し引いた後の金額が給与所得になります。
社会保険では、給与だけでなく、非課税の手当、公的給付、年金なども収入として確認されることがあります。
この違いが、産休中の扶養を分かりにくくしている大きな理由です。
産休中の扶養を考えるときは、税金と社会保険を分けて確認することが出発点です。
- 税金の相談では1年間の給与と所得を確認する
- 社会保険の相談では現在の資格と今後の収入を確認する
- 出産手当金などの給付は制度ごとに扱いを分ける
実務上は、まず「現在、自分の勤務先の健康保険に加入しているか」「産休後も在籍する予定か」「退職する予定があるか」「出産手当金を受給するか」の4点を確認すると整理しやすいかなと思います。
産休中に夫の扶養へ入れる条件

会社員として勤務先の健康保険と厚生年金に加入している人は、産休に入っても被保険者資格がなくなるわけではありません。
産前産後休業中も勤務先との雇用関係は継続しており、勤務先の社会保険に加入したままです。
産休期間中は給与が支給されないケースも多いため、「保険料を払えないなら夫の扶養に入るのでは」と考える人もいます。
しかし、産前産後休業中には、会社が所定の申出を行うことで、健康保険料と厚生年金保険料が本人負担分・会社負担分ともに免除される制度があります。
この免除期間については、将来の年金額を計算する際も、保険料を納めた期間として扱われます。
したがって、在籍したまま産休を取得する一般的なケースでは、社会保険料を減らす目的で夫の扶養へ切り替える必要はありません。
勤務先の被保険者資格が優先される
本人が勤務先の健康保険の被保険者である間は、原則として夫が加入する健康保険の被扶養者にはなれません。
夫婦の収入を比較してどちらの扶養に入るかを自由に選択するのではなく、本人が被保険者となる加入要件を満たしている場合は、自分の勤務先の社会保険へ加入することになります。
これは正社員に限りません。
パートやアルバイトであっても、勤務先の規模、週の所定労働時間、月額賃金、雇用期間の見込み、学生ではないことなど、短時間労働者の社会保険加入要件を満たせば、本人の勤務先で被保険者になります。
夫の扶養を検討する主なケース
夫の社会保険上の扶養を検討することになるのは、主に次のような場合です。
- 産休前後に退職し、勤務先の社会保険資格を喪失した場合
- もともと勤務先の社会保険に加入していないパート勤務の場合
- 勤務条件を変更し、本人の社会保険の加入要件から外れた場合
- 勤務先が適用事業所ではなく、本人が被保険者になっていない場合
もっとも、勤務先の社会保険資格を失っただけで、自動的に夫の扶養へ入れるわけではありません。
退職後も出産手当金を受給する場合や、給与、公的年金、事業収入などがある場合は、それらを含めた今後の収入見込みが確認されます。
産休に入ったことだけを理由に、勤務先の社会保険を脱退して夫の扶養へ入るわけではありません。
まずは勤務先に、産前産後休業期間中の社会保険料免除手続きが行われるか確認してください。
会社側では、従業員から産休の申出を受けたら、休業期間を確認し、産前産後休業取得者申出書を提出します。
実際には、出産予定日と出産日がずれることもあるため、出産後に休業期間の変更手続きが必要になる場合があります。
従業員側としては、会社が手続きをしてくれるだろうと考えて何も確認しないのではなく、社会保険料免除の開始月と終了月、給与明細上の控除状況を確認しておくと安心です。
免除期間の計算には月末時点の休業状況などが関係するため、休業日数だけで単純に判断できない場合もあります。
また、パート勤務で扶養内に収入を抑えている人でも、産前産後休業を取得する権利はあります。
産休そのものと、社会保険に加入しているかどうかは別の問題です。
パート勤務の産休取得条件については、 産休はパートでも取れるのかを解説した記事 でも詳しく説明しています。
税制上の配偶者控除については、本人が自分の勤務先の社会保険に加入したままでも利用できる場合があります。
「自分の健康保険に加入しているから税金上の扶養には入れない」ということではありません。
出産手当金は扶養判定に含むか
出産手当金は、出産のために会社を休み、休業期間中に十分な給与を受けられない健康保険の被保険者を対象として支給される所得補償です。
産休中の生活を支える重要な給付ですが、扶養判定における扱いは税制上と社会保険上で異なります。
税制上は非課税で所得に含めない
税制上、出産手当金は非課税です。
配偶者控除や配偶者特別控除を判定するときの合計所得金額には、原則として含めません。
出産育児一時金についても、通常は同様に課税所得へ含めずに考えます。
たとえば、産休前に給与収入として100万円を受け取り、その後に出産手当金を80万円受け取ったとします。
この場合、税制上の配偶者控除等を考える際に、単純に100万円と80万円を足して給与収入180万円とするわけではありません。
課税対象となる給与収入と、非課税の出産手当金を分けて判断します。
実務では、通帳に振り込まれた金額をすべて年間収入として合計してしまう人もいます。
しかし、税制上の判定では、何という名目で支給されたお金なのかを確認することが大切です。
給与、賞与、会社からの課税手当は含めますが、健康保険から支給される出産手当金は通常含めません。
社会保険上は収入として扱われる
一方、社会保険上の被扶養者認定では、出産手当金も継続的な収入として扱われるのが一般的です。
退職などにより本人の健康保険資格を失った後も、資格喪失後の継続給付として出産手当金を受給する場合、支給日額が被扶養者の収入基準以上である間は、夫の健康保険の扶養に入れないことがあります。
60歳未満の人については、年収130万円未満という基準を日額に換算し、一般的には 1日当たり3,612円未満 が目安になります。
3,612円未満とは、3,611円以下を意味するため、資料によって「3,612円未満」「3,611円以下」という異なる表記が使われることがあります。
| 出産手当金の日額 | 社会保険上の扶養の目安 | 確認すべきこと |
|---|---|---|
| 3,612円未満 | 収入要件を満たす可能性がある | 給与やほかの収入も含めて確認 |
| 3,612円以上 | 受給期間中は認定されない可能性が高い | 受給終了後の再申請時期を確認 |
ただし、日額だけで最終決定されるわけではありません。
ほかに給与、事業収入、公的年金などがあれば、それらも確認されます。
また、健康保険組合によって提出書類や認定日の考え方が異なることがあります。
日額基準や認定日は加入先の健康保険によって確認方法が異なる場合があります。
出産手当金の支給決定通知書、支給申請書の写し、受給終了予定日が分かる書類などを用意し、配偶者の勤務先または健康保険へ事前に確認してください。
受給終了後は扶養へ入り直せる可能性がある
出産手当金の日額が基準以上であるため扶養に入れない場合でも、その状態が永久に続くわけではありません。
出産手当金の受給期間が終了し、その後の年間収入見込みが130万円未満となれば、受給終了日の翌日以降について扶養申請を検討できます。
この場合、出産手当金の最後の支給日ではなく、支給対象期間の終了日を確認することが重要です。
給付金は申請から振込みまで時間がかかるため、通帳への入金日と収入が発生する期間は一致しません。
出産手当金の支給対象期間は、原則として出産予定日以前42日、多胎妊娠の場合は98日から、出産日の翌日以後56日までの範囲です。
予定日より遅く出産した場合は、予定日から実際の出産日までの期間も支給対象となるため、終了日を正確に確認しましょう。
出産手当金の扶養判定では、次の3点を分けて確認してください。
- 税制上は原則として所得に含めない
- 社会保険上は原則として収入に含める
- 受給終了後は改めて扶養申請を検討する
出産手当金の支給条件や計算方法は、標準報酬月額、休業期間中の給与支給状況、健康保険の加入期間などによって異なります。
給付を受けられるかどうかと、夫の扶養に入れるかどうかは別々に確認する必要があります。
育児休業給付金と扶養の関係

育児休業給付金は、雇用保険の被保険者が育児休業を取得し、一定の要件を満たした場合に支給される給付です。
産休期間が終了した後に育児休業へ移行する人にとって、家計を支える中心的な収入になることもあります。
育児休業給付金についても、税制上の扶養と社会保険上の扶養で取扱いが異なります。
名称に「給付金」と付いているからすべての制度で収入に含まれない、というわけではありません。
税制上は非課税として扱う
育児休業給付金は雇用保険から支給される非課税の給付であり、配偶者控除や配偶者特別控除を判定する際の合計所得金額には、原則として含めません。
たとえば、1月から6月まで給与を受け取り、7月から育児休業給付金だけを受け取っている場合、税制上の配偶者控除等では、主に1月から6月までに支給された給与や賞与を使って所得を計算します。
育児休業給付金を加えて給与収入を計算することは通常ありません。
ただし、育児休業中に会社から給与、賞与、育児支援手当などが支給された場合は、その内容を確認する必要があります。
会社から支給される金銭がすべて非課税になるわけではなく、給与として課税されるものは年間給与収入に含めます。
社会保険上は収入として確認される
社会保険上の被扶養者認定では、育児休業給付金も継続的な収入として確認されることがあります。
健康保険上の収入判定では、所得税が課税されるかどうかより、生活費に充てられる継続的な収入であるかが重視されるためです。
もっとも、在籍したまま育児休業を取得している人は、通常、自分の勤務先の健康保険と厚生年金の被保険者資格が継続します。
その場合は、そもそも夫の扶養へ入る場面ではありません。
一定の要件を満たす育児休業期間について社会保険料が免除されるため、自分の社会保険資格を維持したまま育児休業給付金を受け取ります。
育児休業給付金を受け取っている人が必ず夫の扶養に入るわけではありません。
在籍中で本人の社会保険資格が継続しているケースと、本人が社会保険に加入していないケースを分けて考えましょう。
たとえば、勤務先の社会保険には加入していないものの、雇用保険には加入しているパート労働者が育児休業給付金を受けるケースでは、夫の健康保険における収入基準が問題になることがあります。
この場合は、育児休業給付金の日額や月額、会社から支払われる賃金、復職後の契約内容などを健康保険へ提出して判断を受けます。
181日目以降に扶養要件を満たす場合がある
育児休業給付金は、原則として育児休業開始から180日目までは休業開始時賃金日額の67%相当、181日目以降は50%相当で計算されます。
給付率が下がることで、181日目以降の給付額が健康保険の収入基準を下回る可能性があります。
ただし、給付率が50%になったから必ず扶養へ入れるわけではありません。
もともとの賃金が高ければ、50%になった後も基準を上回ることがあります。
また、育児休業中に一部就労して給与が発生している場合や、ほかの収入がある場合は、それらも含めて確認されます。
| 期間 | 給付率の原則 | 扶養確認のポイント |
|---|---|---|
| 育児休業開始から180日目まで | 休業開始時賃金日額の67%相当 | 給付額が収入基準以上になる可能性が高い |
| 181日目以降 | 休業開始時賃金日額の50%相当 | 基準を下回るか再計算して確認 |
実務では、育児休業給付金の支給決定通知書を確認し、支給単位期間、支給日数、給付額から日額の目安を計算します。
そのうえで、配偶者の勤務先を通じて健康保険へ認定の可否を照会します。
給付率が変わる日と、健康保険の扶養認定日が自動的に一致するわけではありません。
認定申請が遅れると希望した日まで遡れない場合もあるため、181日目を迎える前に必要書類と申請時期を確認しておくとよいでしょう。
また、2025年4月からは、一定の要件を満たす場合に出生後休業支援給付金や育児時短就業給付金が支給される制度も始まっています。
これらの給付を受ける場合も、社会保険上の収入判定について加入先へ確認してください。
給付金が増えたことで扶養基準を上回る可能性もあります。
配偶者控除を受けられる収入額
産休や育休でその年の給与収入が減ると、配偶者が配偶者控除または配偶者特別控除を受けられる場合があります。
共働き夫婦では通常、配偶者控除等を受けていなくても、産休に入った年だけ対象になることがあります。
税制上の判定で重要なのは、産休中の月収ではなく、1月1日から12月31日までの合計所得金額です。
産休開始月が同じでも、産休前の給与額や賞与の支給時期によって結論は変わります。
令和8年分の給与収入基準
令和8年分の所得税では、給与収入のみである配偶者について、給与収入が 136万円以下 であれば、合計所得金額62万円以下となり、配偶者控除の対象になることが基本です。
給与収入が136万円を超えても、一定範囲内であれば配偶者特別控除を受けられます。
令和8年分では、給与収入が概ね207万円以下まで、配偶者の所得に応じて段階的な控除が設けられています。
| 配偶者の給与収入の目安 | 適用を検討する控除 | 控除額の考え方 |
|---|---|---|
| 136万円以下 | 配偶者控除 | 扶養する側の所得に応じて控除 |
| 136万円超159万円以下 | 配偶者特別控除 | 扶養する側の所得が一定以下なら最大額の範囲 |
| 159万円超164万円以下 | 配偶者特別控除 | 控除額が段階的に減少 |
| 164万円超169万円以下 | 配偶者特別控除 | 控除額が段階的に減少 |
| 169万円超179万円以下 | 配偶者特別控除 | 収入区分に応じて控除額が縮小 |
| 179万円超194万円以下 | 配偶者特別控除 | 収入増加に応じてさらに縮小 |
| 194万円超207万円以下 | 配偶者特別控除 | 最終段階の控除額を適用 |
| 207万円超 | 原則として対象外 | 給与以外の所得がある場合は別途計算 |
表の金額は、給与収入だけがある人についての一般的な目安です。
副業所得、不動産所得、事業所得、一時所得などがある場合は、それらを含めた合計所得金額で判定します。
そのため、給与収入が136万円以下でも、給与以外の所得によって配偶者控除の対象外になることがあります。
産休前の給与と賞与も含める
ここで重要なのは、 判定対象が産休に入ってからの収入だけではなく、その年の1月1日から12月31日までの所得であること です。
年の途中から産休に入った場合は、産休前に支給された給与や賞与も含めて計算します。
たとえば10月から産休に入った場合、給与を受け取らない期間は2か月程度です。
その年の1月から9月まで通常どおり勤務していれば、年間給与収入が配偶者控除等の基準を超える可能性は十分にあります。
反対に、1月から長期間にわたって産休・育休中で、その年に受け取った給与が少額であれば、配偶者控除等の対象になりやすくなります。
産休に入ったという事実だけで判断せず、源泉徴収票や給与明細を使って年間給与を確認しましょう。
出産手当金などは含めない
出産手当金、出産育児一時金、育児休業給付金は非課税であり、通常は配偶者控除等を判断する合計所得金額には含めません。
通帳への入金額ではなく、課税対象となる所得を集計することがポイントです。
一方、会社から支給された給与や賞与は、産休中の支給であっても原則として給与収入に含まれます。
たとえば、産休前の勤務実績に対する賞与が産休中に支給された場合、その賞与は年間給与収入に加える必要があります。
控除を受ける側の合計所得金額が900万円を超えると控除額は段階的に減少し、1,000万円を超える場合は配偶者控除・配偶者特別控除を受けられません。
給与以外の所得や所得金額調整控除がある場合は、給与収入だけで単純に判断できないことがあります。
配偶者控除の金額は、配偶者の所得だけでなく、控除を受ける本人の所得によっても変わります。
一般的な配偶者控除額は38万円ですが、これは38万円がそのまま還付されるという意味ではありません。
課税所得から38万円を差し引く所得控除であり、実際に軽減される税額は本人の所得税率や住民税率によって異なります。
配偶者控除等を受けても、産休中の本人の税金が直接安くなるわけではありません。
控除を申告する配偶者側の所得税や住民税が軽減されます。
税制上の金額は税制改正によって変わります。
令和8年分の基準や申告書については、 国税庁「令和8年度税制改正による所得税の基礎控除の引上げ等について」 をご確認ください。
産休後に扶養へ入る手続き
配偶者の社会保険上の扶養に入るには、本人が勤務先の社会保険資格を失っていることに加え、今後の収入見込みなどの認定要件を満たす必要があります。
税制上の扶養とは申請時期や提出先が異なるため、それぞれの手続きを確認しましょう。
特に注意したいのが、出産手当金の受給終了、育児休業給付金の給付率変更、退職、復職などによって、収入状況が途中で変わるケースです。
ある時点では扶養に入れなくても、数か月後には要件を満たすことがあります。
反対に、一度扶養に入った後、復職によって収入見込みが増えれば、扶養から外れる手続きが必要です。
扶養認定は一度受ければそのままでよいものではなく、状況が変わったら速やかに届け出る必要があります。
130万円基準と日額の考え方
健康保険の被扶養者となる一般的な収入要件は、60歳未満の場合、年間収入130万円未満です。
60歳以上またはおおむね障害厚生年金を受けられる程度の障害がある人については、年間収入180万円未満が一般的な基準です。
ここでいう130万円は「130万円以下」ではなく、原則として「130万円未満」です。
年間収入の見込みがちょうど130万円の場合は、通常、130万円未満の要件を満たしません。
同居と別居で条件が異なる
被保険者である配偶者と同居している場合は、原則として、被扶養者となる人の年間収入が被保険者の年間収入の2分の1未満であることも確認されます。
たとえば妻の年間収入見込みが120万円で130万円未満であっても、夫の年間収入が200万円であれば、妻の収入は夫の収入の2分の1以上になります。
この場合は、夫が主として妻の生活を維持しているといえるか、世帯の状況を含めて確認される可能性があります。
別居している場合は、被扶養者となる人の年間収入が、被保険者から送られる仕送り額より少ないことが原則的な要件です。
単身赴任や里帰り出産など、一時的に住所が異なるケースでは、別居の理由や生活費負担の実態を説明することがあります。
月額と日額に換算する理由
130万円を月額と日額に換算した一般的な目安は、次のとおりです。
- 年間収入は130万円未満
- 月額収入は108,334円未満
- 日額収入は3,612円未満
給与のように毎月支給される収入は月額基準、出産手当金や失業等給付のように日額で計算される収入は日額基準を使って判断されることがあります。
月額108,334円未満という表現は、一般的には月額108,333円以下と同じ意味です。
同様に、日額3,612円未満は日額3,611円以下を意味します。
検索した資料によって数字が1円違って見えることがありますが、「未満」と「以下」の表現による違いです。
過去の実績ではなく今後の見込みで考える
社会保険上の年間収入は、原則として、1月から12月までに受け取った確定額だけで判断するものではありません。
扶養認定を受けようとする時点から、将来1年間にどの程度の収入が見込まれるかを確認します。
たとえば、9月末に退職し、それまでの給与収入が200万円あったとしても、10月以降に収入がなく、出産手当金などの継続的な収入もなければ、10月以降の年間収入見込みをもとに扶養認定を受けられる可能性があります。
反対に、その年の1月から8月までの給与が50万円しかなくても、9月から月額15万円の給与を受け取る契約で働き始めれば、今後の年間収入見込みは180万円になります。
この場合は、年初からの累計が130万円未満でも、扶養から外れる可能性があります。
2026年4月以降の契約内容による判定
2026年4月以降、給与収入がある人の被扶養者認定については、労働条件通知書や雇用契約書に記載された時給、所定労働時間、所定労働日数などから年間収入を見積もる取扱いが始まっています。
契約上の年間収入が130万円未満であり、給与以外の収入が見込まれないなどの要件を満たす場合は、契約内容をもとに被扶養者として認定する仕組みです。
一時的な残業などによって実際の収入が増えた場合でも、直ちに扶養から外れるとは限らない取扱いが想定されています。
ただし、出産手当金、公的年金、事業収入など、給与以外の収入がある場合は別途確認が必要です。
雇用契約上の給与が130万円未満だから、自動的に扶養へ入れるとは限りません。
健康保険組合によっては、給与明細、雇用契約書、給付金の支給決定通知書、課税証明書など、複数の資料を使って確認します。
130万円という数字だけで自己判断せず、加入先の必要書類と認定基準を確認しましょう。
第3号被保険者へ切り替える方法

厚生年金に加入する配偶者の健康保険上の被扶養者に認定され、20歳以上60歳未満で一定の要件を満たす場合は、国民年金の第3号被保険者になります。
第3号被保険者になると、本人が国民年金保険料を個別に納付する必要はありません。
ただし、保険料を払わなくてもよいことと、手続きをしなくてもよいことは別です。
届出をしなければ、第3号被保険者として記録されず、年金記録に空白が生じる可能性があります。
基本的な手続きの流れ
一般的には、配偶者の勤務先を通じて健康保険被扶養者(異動)届と国民年金第3号被保険者関係届を提出します。
本人が年金事務所へ直接提出するのではなく、配偶者の会社の人事・総務担当者へ必要書類を提出し、会社から健康保険や日本年金機構へ届け出る流れが基本です。
- 本人の社会保険資格喪失日を確認する
- 今後の給与や給付金の見込みを整理する
- 配偶者の勤務先へ扶養に入りたい旨を申し出る
- 健康保険が指定する添付書類をそろえる
- 被扶養者届と第3号被保険者関係届を提出する
- 認定日と資格情報を確認する
マイナ保険証を利用している場合でも、被扶養者認定の届出自体が不要になるわけではありません。
認定後、資格情報が反映されるまで時間がかかる場合があるため、医療機関を受診する予定があるときは資格確認書等の取扱いを勤務先へ確認してください。
提出を求められることがある書類
必要書類は加入する健康保険によって異なりますが、一般的には次のような資料を求められます。
- 健康保険被扶養者(異動)届
- 国民年金第3号被保険者関係届
- 退職証明書または健康保険資格喪失証明書
- 雇用契約書や労働条件通知書
- 出産手当金や育児休業給付金の支給額が分かる書類
- 給与明細や源泉徴収票
- 所得証明書または課税証明書
- 続柄や同居関係を確認する住民票等
- 別居している場合の仕送りを確認できる通帳等
退職した場合は、退職日の翌日が本人の健康保険と厚生年金の資格喪失日になります。
扶養の認定を資格喪失日に合わせて受けたい場合は、退職証明書や資格喪失証明書を早めに取得しておくと手続きが進みやすくなります。
出産手当金の終了後に申請する場合
出産手当金の日額が基準以上であるため受給期間中は扶養に入れない場合、受給終了後に改めて申請するケースがあります。
この場合は、出産手当金の支給対象期間が終了したことを確認できる書類を提出します。
認定日を受給終了日の翌日とすることができるか、申請日からの認定になるかは、加入先の健康保険や提出時期によって異なる可能性があります。
書類の提出が遅れた場合、希望する日まで遡って認定されないこともあるため、受給終了前から配偶者の勤務先へ相談しておくことが重要です。
扶養に入れない期間がある場合は、国民健康保険と国民年金第1号被保険者への加入が必要になることがあります。
手続きを放置すると、健康保険の未加入期間や国民年金の未納期間が生じるおそれがあります。
第1号から第3号への切り替え漏れに注意
出産手当金の受給期間中だけ国民健康保険と国民年金第1号へ加入し、受給終了後に夫の扶養へ入る場合は、切り替えが2回発生します。
最初は会社の社会保険から国民健康保険・第1号への切り替え、次に国民健康保険・第1号から夫の扶養・第3号への切り替えです。
扶養認定後は、市区町村で国民健康保険の脱退手続きが必要になる場合があります。
扶養へ入ったから市区町村の手続きも自動で完了するとは限りません。
国民健康保険料がそのまま請求されることもあるため、扶養認定日が分かる書類を持参して脱退手続きを行いましょう。
手続き後は次の3点を確認してください。
- 健康保険の被扶養者認定日
- 国民年金第3号被保険者の該当日
- 国民健康保険の脱退日と保険料の精算
届出の基本的な流れや書式については、 日本年金機構「家族を被扶養者にするとき、被扶養者に異動があったときの手続き」 をご確認ください。
育休中はいつから扶養に入れるか
育休中にいつから扶養へ入れるかは、本人が勤務先の社会保険に加入し続けているかどうかで大きく異なります。
単に育児休業に入った日を基準として、夫の扶養へ自動的に切り替わるわけではありません。
在籍して社会保険資格が続く場合
在籍したまま育児休業を取得し、勤務先の健康保険と厚生年金の被保険者資格が継続している場合は、原則として配偶者の社会保険上の扶養へは入りません。
会社が育児休業等取得者申出書を提出し、法令上の要件を満たすと、育児休業期間中の健康保険料と厚生年金保険料が免除されます。
免除期間中も健康保険の給付を受けることができ、将来の年金額を計算する際には保険料を納付したものとして扱われます。
この場合、育児休業給付金の額が130万円未満かどうかを理由として、夫の健康保険へ移る必要はありません。
本人は勤務先の被保険者であり、被扶養者ではないからです。
本人が社会保険に加入していない場合
一方、勤務先の社会保険に加入していないパート労働者などが育児休業給付金を受ける場合は、夫の扶養に入れるかどうかについて収入基準の確認が必要です。
育児休業給付金の日額や支給月額が基準以上であれば、その期間は扶養認定を受けられない可能性があります。
給付率が下がり、収入基準を下回った時点で申請できる場合もあります。
このケースでは、雇用保険には加入しているものの、健康保険と厚生年金には加入していないという加入関係が前提になります。
雇用保険の加入と社会保険の加入は要件が異なるため、このようなケースは実際にあります。
181日目以降の見直し
育児休業給付金は181日目以降に給付率が67%相当から50%相当へ下がります。
そのため、最初の180日間は日額基準を超えていても、181日目以降は基準を下回ることがあります。
たとえば休業開始時賃金日額が7,000円の場合、単純計算では67%相当が4,690円、50%相当が3,500円です。
ほかの調整がない前提では、181日目以降に日額3,612円未満となり、扶養の収入要件を満たす可能性があります。
一方、休業開始時賃金日額が10,000円の場合は、50%相当でも5,000円となるため、181日目以降も日額基準を上回ります。
給付率だけを見るのではなく、実際の支給額を確認しなければなりません。
育休開始日や181日目という日付だけで自動的に扶養へ切り替わるわけではありません。
給付金の日額やほかの収入を確認したうえで、配偶者の勤務先を通じて申請します。
復職予定がある場合の考え方
短期間だけ扶養に入り、その後すぐ復職する予定がある場合は、復職後の給与見込みも確認されることがあります。
扶養認定時点で、数週間後や数か月後に月額108,334円以上の給与を受けることが明らかな場合、加入先によっては扶養認定の対象期間や認定の可否について個別判断が必要になります。
復職後に本人の勤務先で社会保険へ加入する場合は、その資格取得日の前日まで夫の扶養となり、資格取得日から本人の社会保険へ移るのが基本です。
会社側の資格取得届が遅れると、扶養削除の時期との間にずれが生じることがあります。
扶養認定日と本人の社会保険資格取得日が重複すると、資格関係の訂正が必要になることがあります。
復職日、所定労働時間、月額賃金、社会保険の加入予定日を、本人と夫の双方の勤務先で確認してください。
実務では、次の情報を一覧にして配偶者の会社へ伝えると判断が進みやすいです。
- 育児休業の開始日
- 育児休業給付金の支給額と支給単位期間
- 181日目に当たる日
- 会社から支給される給与や手当の有無
- 復職予定日
- 復職後の週所定労働時間と月額賃金
- 本人の勤務先で社会保険へ加入する予定の有無
育休中に扶養へ入れる時期は、一律に「育休開始から半年後」と決まっているわけではありません。
本人の資格、給付額、ほかの収入、復職予定を組み合わせて判断する必要があります。
年末調整で必要な申告と書類

税制上の配偶者控除または配偶者特別控除を受ける場合は、扶養する側の配偶者が勤務先の年末調整で申告します。
通常、産休や育休を取得した本人の勤務先ではなく、控除を受ける夫または妻の勤務先へ申告書を提出します。
配偶者の年間所得を見積もる
年末調整では、給与所得者の基礎控除申告書兼給与所得者の配偶者控除等申告書などの該当欄に、産休・育休を取得した配偶者の年間所得の見積額を記入します。
記入するのは年間の入金額ではなく、税法上の合計所得金額です。
給与しかない場合は、年間給与収入から給与所得控除を差し引いて給与所得を計算します。
年末調整書類を記入する時点では、12月分の給与や賞与が確定していないこともあります。
その場合は、直近の給与明細、賞与の予定額、勤務先から示された支給予定などをもとに見積もります。
年間給与収入の確認手順
たとえば年の途中から産休に入った場合は、次の手順で確認すると分かりやすいです。
- 1月から産休開始前までの課税対象給与を確認する
- その年に支給された課税対象の賞与を加える
- 産休中に会社から支払われた給与や手当を確認する
- 復職後に給与が支給される場合は見込額を加える
- 非課税の出産手当金などを除外する
- 年間給与収入から給与所得を計算する
給与明細では、差引支給額ではなく課税支給額を確認します。
社会保険料、所得税、住民税などが控除された後の手取り額を合計しても、正しい給与収入にはなりません。
源泉徴収票がすでに発行されている場合は、「支払金額」欄で年間給与収入を確認できます。
ただし、年末調整の申告時期にはその年分の源泉徴収票がまだ発行されていないため、給与明細などを使って見積もることになります。
非課税給付を誤って加えない
出産手当金、出産育児一時金、育児休業給付金は、通常、配偶者の合計所得金額へ加算しません。
これらの給付を給与収入に加えてしまうと、本来受けられる配偶者控除等を受けられないと誤解する可能性があります。
ただし、会社から独自に支給される出産祝い金や育児支援金については、その支給目的や社内規程によって税務上の取扱いが異なる可能性があります。
給与明細の課税・非課税区分を確認し、不明な場合は会社の給与担当者へ問い合わせましょう。
| 受け取ったもの | 配偶者控除等の所得計算 | 確認資料 |
|---|---|---|
| 勤務先からの給与 | 原則として含める | 給与明細・源泉徴収票 |
| 勤務先からの賞与 | 原則として含める | 賞与明細・源泉徴収票 |
| 出産手当金 | 原則として含めない | 支給決定通知書 |
| 出産育児一時金 | 原則として含めない | 健康保険からの通知 |
| 育児休業給付金 | 原則として含めない | 支給決定通知書 |
見積額と実際の所得が違った場合
年末調整時の見込みと実際の所得に差が生じることは珍しくありません。
予定していなかった賞与が支給された、復職時期が変わった、12月に給与調整が行われたといった理由で、基準を超えることがあります。
年末調整後に誤りが分かった場合は、勤務先で再年末調整を行えるか確認します。
勤務先で対応できない場合は、翌年の確定申告で正しい所得と控除額に精算することができます。
配偶者控除等を多く受け過ぎていた場合は追加で納税する可能性があり、反対に申告していなかった控除が受けられる場合は還付を受けられる可能性があります。
社会保険上の扶養に入っていなくても、税制上の配偶者控除等を受けられる場合があります。
年末調整の申告書で、健康保険の扶養状況だけを見て判断しないようにしてください。
会社側で確認したい実務ポイント
従業員から配偶者控除等申告書を受け取る会社は、記載された見積所得と控除区分を確認します。
ただし、会社が配偶者のすべての収入を把握できるわけではないため、申告する本人が正確に見積もることが前提です。
人事・総務担当者は、「健康保険の扶養に入っていないから記入できない」と案内しないよう注意が必要です。
税制上の扶養と社会保険上の扶養は連動していません。
また、前年と同じ基準額で説明すると、税制改正後の年分では誤った案内になることがあります。
年末調整の時期には、その年分の国税庁資料と申告書を確認することが大切です。
年末調整では、次の順番で確認すると整理しやすくなります。
- 産休・育休中の配偶者の年間給与収入を確認する
- 非課税の出産手当金や育児休業給付金を除く
- 給与所得控除後の所得額を計算する
- 控除を受ける側の合計所得金額も確認する
- 申告書の配偶者控除等の欄へ記入する
産休と扶養の違いを正しく確認する
産休中の扶養について最も大切なのは、税制上の扶養と社会保険上の扶養を混同しないことです。
インターネット上で「産休中は夫の扶養に入れる」「出産手当金を受けると扶養に入れない」という異なる説明が見つかるのは、それぞれが別の扶養や異なる前提条件を説明していることが多いためです。
在籍したまま産休・育休を取る場合
勤務先の社会保険に加入したまま産休・育休を取得する場合は、通常、その資格を維持したまま社会保険料免除を受けます。
単に給与収入が減ったという理由で、夫の健康保険の扶養へ切り替えるものではありません。
本人の健康保険資格が継続しているため、出産手当金の申請、医療機関での資格確認、傷病手当金などの給付関係も基本的には本人の加入先で扱われます。
会社側は、産前産後休業と育児休業について、それぞれ必要な社会保険料免除の申出を行います。
従業員側は、給与明細で保険料控除が止まっているか、休業終了後に控除が再開しているかを確認しましょう。
退職して本人の資格を失う場合
退職により本人の社会保険資格を失う場合は、夫の扶養に入る、国民健康保険へ加入する、健康保険を任意継続するなどの選択肢を検討します。
夫の扶養に入りたい場合でも、出産手当金の日額が基準以上である期間は認定されないことがあります。
その期間だけ国民健康保険と国民年金第1号に加入し、出産手当金終了後に夫の扶養と第3号へ切り替えることもあります。
任意継続被保険者となった場合、本人は健康保険の被保険者であるため、同時に夫の健康保険の被扶養者になることはできません。
任意継続と夫の扶養を比較するときは、保険料だけでなく、扶養認定の見込み、健康保険組合独自の給付、加入期間なども確認しましょう。
税制上は年間所得を確認する
税制上は、産休や育休によって年間の給与所得が減れば、配偶者控除または配偶者特別控除の対象になる可能性があります。
出産手当金や育児休業給付金は非課税であるため、一般的には所得へ含めません。
自分の勤務先の健康保険に加入したままでも、税制上の配偶者控除等を受けられることがあります。
税金上の扶養に入るために、健康保険証を夫の扶養へ変更する必要はありません。
- 在籍中の産休・育休では本人の社会保険資格が原則継続する
- 社会保険料は会社の届出により免除される場合がある
- 退職後の扶養認定では出産手当金なども収入として確認される
- 税制上は非課税給付を除いた年間所得で判定する
時期ごとに状況を見直す
実務では、産休に入る時点、出産日、出産手当金が終了する時点、育児休業給付金の給付率が変わる時点、復職する時点で状況が変わります。
| 確認する時期 | 主な確認事項 | 必要になる可能性がある手続き |
|---|---|---|
| 産休開始時 | 本人の社会保険資格と保険料免除 | 産前産後休業の申出 |
| 退職時 | 資格喪失日と今後の収入 | 扶養申請・国民健康保険・任意継続 |
| 出産手当金終了時 | 受給終了日と今後の収入見込み | 被扶養者認定と第3号の届出 |
| 育休開始181日目 | 育児休業給付金の日額 | 扶養要件の再確認 |
| 復職時 | 給与見込みと本人の社会保険加入 | 扶養削除・資格取得 |
| 年末調整時 | 年間給与と合計所得金額 | 配偶者控除等の申告 |
配偶者の会社へ相談するときは、退職日、健康保険の資格喪失日、出産手当金の日額、受給終了予定日、育児休業給付金の支給額、復職予定日を整理して伝えるとよいでしょう。
資料がないまま「産休中ですが扶養に入れますか」と尋ねても、会社や健康保険は正確な判断ができません。
相談前に給与明細、雇用契約書、退職証明書、給付金の支給決定通知書をそろえておくと、確認がスムーズです。
会社から追加資料を求められた場合も、認定のために必要な確認として対応しましょう。
会社側も2種類の扶養を分けて案内する
人事・総務担当者が従業員から相談を受けたときも、最初に税制上の扶養か社会保険上の扶養かを確認することが重要です。
税制上の質問であれば、その年の給与と非課税給付を分け、配偶者控除等申告書の案内をします。
社会保険上の質問であれば、本人の被保険者資格、今後の収入、出産手当金等の受給状況を確認します。
また、健康保険の被扶養者認定は、会社が最終判断するものではありません。
会社は書類を受け付けて届出を行いますが、最終的には協会けんぽや健康保険組合が認定します。
「会社の担当者に扶養に入れると言われた」というだけでは認定が確定したことにならない点にも注意が必要です。
扶養認定を受けた後に収入が増えた場合や、本人の勤務先で社会保険へ加入した場合は、速やかに扶養から外れる届出が必要です。
届出が遅れると、医療費の返還や資格記録の訂正を求められることがあります。
制度の基準額や被扶養者認定の運用は、法改正や加入する健康保険によって変わることがあります。
この記事で示した金額は一般的な目安であり、個別の認定を保証するものではありません。
正確な情報は公式サイトをご確認ください。
個別の収入状況、退職時期、給付金額、勤務条件によって結論が異なるため、最終的な判断は専門家にご相談ください。