未分類

産休の助成金はいくら?企業向け申請要件と手続きを整理

こんにちは。

もりおか社会保険労務士事務所、社会保険労務士の川熊です。

従業員が産休や育休に入ることになったとき、企業が利用できる可能性のある代表的な制度が、厚生労働省の両立支援等助成金です。

対象となるコースを確認し、休業開始前に育児・介護休業規程の整備、対象従業員との面談、支援プランの作成などを進める必要があります。

ただし、産休を取得しただけで自動的に企業へ助成金が支給されるわけではありません。

育児休業の取得、職場復帰、男性従業員の育休取得、業務を代替する従業員への手当支給、代替要員の新規雇用など、コースごとに異なる要件が設けられています。

また、企業が受け取る両立支援等助成金と、従業員本人が受け取る出産手当金や育児休業給付金は別の制度です。

産休の助成金について相談を受けると、この二つが混同されているケースが実際によくあります。

この記事では、企業が利用できる産休・育休関連の助成金について、対象となる企業、主なコース、支給額の目安、休業開始前に必要な準備、申請手続きまで順番に解説します。

これから従業員が産休に入る企業は、手続きの全体像を確認するために活用してください。

  • 産休や育休に関連する企業向け助成金の種類
  • 中小企業が確認すべき対象要件と支給額
  • 休業開始前に準備しておく書類と手続き
  • 従業員本人が受け取る給付金との違い

産休の助成金を企業向けに解説|申請要件と金額

産休の助成金で企業が使える制度

産休や育休に関連して企業が利用を検討できる代表的な制度は、厚生労働省の両立支援等助成金です。

最初に押さえておきたいのは、産休そのものに対して一律に支給される制度ではなく、育児休業を取得しやすい職場環境の整備、職場復帰の支援、休業者の業務を代替する体制づくりなど、企業が行った具体的な取り組みに対して支給される制度だという点です。

どのコースを利用できるかは、対象従業員の性別、雇用形態、休業期間、子の出生時期、会社の従業員数、代替要員の確保方法などによって変わります。

まずは産休と育休の違いを整理し、そのうえで自社がどのコースに該当する可能性があるかを確認していきましょう。

産休のみでは対象外になる理由

産休の助成金について相談を受けた際、私が実務上最初に確認するのが、対象となる従業員が産後休業の終了後に育児休業を取得する予定があるかどうかです。

「従業員が産休に入るので会社が受け取れる助成金を知りたい」という相談であっても、実際の制度では、産休だけでなく、その後に取得する育児休業や職場復帰までが支給要件に関係します。

一般に産休と呼ばれているものは、労働基準法に基づく産前休業と産後休業です。

産前休業は、原則として出産予定日の6週間前から、本人が請求した場合に取得できます。

多胎妊娠の場合は、原則として14週間前から取得可能です。

産後休業は、出産日の翌日から8週間が原則であり、産後6週間を経過した後に本人が就業を希望し、医師が支障ないと認めた業務に限って就業できる仕組みになっています。

これに対して育児休業は、育児・介護休業法に基づき、原則として子が1歳になるまで取得できる休業です。

保育所に入れないなど一定の事情がある場合には、1歳6か月、さらに2歳まで延長できる可能性があります。

産後休業が終わった翌日から、そのまま育児休業へ移行するケースが多いため、企業の現場では一連の休業として扱われがちですが、法律上は根拠となる制度が異なります。

産前産後休業だけを取得し、育児休業を取得しない場合は、育児休業等支援コースなどの対象にならないのが基本です。

助成金の名称に産休という言葉が含まれていなくても、検索上は産休の助成金として探されることが多いため、制度の対象を取り違えないよう注意してください。

たとえば、女性従業員が産後休業を終えた直後に通常勤務へ復帰する場合、育児休業の取得を要件とする育児休業等支援コースは原則として申請できません。

また、産後休業に引き続いて育児休業を取得したとしても、必要な期間に満たない場合や、休業開始前の面談・支援プラン作成を実施していない場合には、支給対象外となる可能性があります。

妊娠の報告を受けた時点で確認する項目

  • 出産予定日と産前休業の開始予定日
  • 産後休業後に育児休業を取得する予定があるか
  • 育児休業の取得予定期間
  • 職場復帰予定日と復帰後の働き方
  • 休業期間中の業務を誰が担当するか
  • 代替者に手当を支給する予定があるか

企業側では、妊娠の報告を受けた段階で、出産予定日だけではなく、育児休業の取得予定期間や復帰予定時期まで確認することが重要です。

ただし、妊娠・出産に関する情報は非常にセンシティブです。

必要な範囲を超えて家庭事情を聞き出したり、育児休業を取得しないよう誘導したりしてはいけません。

本人の意向を丁寧に確認しながら、会社として必要な手続き、利用できる制度、休業中の連絡方法、職場復帰に向けた支援内容を説明しておくと、その後の手続きが進めやすくなります。

助成金だけを目的に面談を行うのではなく、従業員が安心して休業し、円滑に復帰できる体制をつくることが本来の目的です。

産休の助成金を検討するときは、「産休に入るか」ではなく、「育休をどのくらい取得し、会社がどのように支援するか」まで確認することがポイントです。

両立支援等助成金の基本概要

両立支援等助成金の基本概要

両立支援等助成金は、仕事と育児・介護などを両立できる職場環境を整備し、実際に従業員の休業取得や制度利用を支援した事業主に支給される助成金です。

従業員が育児休業を取得した事実だけではなく、企業が事前に制度を整備し、対象者への支援を具体的に行ったかどうかが審査されます。

企業にとって育児休業は、人員の一時的な減少、引き継ぎ、代替要員の採用、周囲の従業員の業務負担増加など、複数の課題が同時に発生する場面です。

両立支援等助成金は、こうした負担の一部を軽減しながら、従業員が育児休業を取得しやすい職場づくりを促すことを目的としています。

産休や育休に関係する主なコースには、次のようなものがあります。

主なコース 支援する取り組み 利用を検討しやすいケース 主な対象
育児休業等支援コース 育休取得と職場復帰を計画的に支援 女性従業員などが一定期間の育休を取得する 主に中小企業
出生時両立支援コース 男性の育児休業取得を支援 男性従業員が子の出生後早期に育休を取得する 一定規模以下の企業
育休中等業務代替支援コース 代替手当や代替要員の確保を支援 同僚が業務を代替する、または新たに人を雇う 区分により異なる
柔軟な働き方選択制度等支援コース 短時間勤務やテレワークなどを支援 育児中の従業員が複数の働き方を選択する 主に中小企業
不妊治療及び女性の健康課題対応両立支援コース 不妊治療や女性の健康課題への対応を支援 休暇制度や相談体制を整備して利用実績がある 主に中小企業

助成金は、従業員が休業を取得したという事実だけで支給されるものではありません。

育児・介護休業規程の整備、対象労働者との面談、支援プランの作成、業務体制の見直し、必要な情報提供、職場復帰後の継続雇用など、企業が行った具体的な取り組みが審査されます。

助成金と法律上の義務は別に考える

ここで注意したいのが、育児・介護休業法上の義務を果たすことと、助成金の支給要件を満たすことは同じではないという点です。

育児休業を認めること、制度を個別周知すること、本人の意向を確認することなどは、法律に基づいて企業が対応すべき事項です。

一方、助成金を受給するためには、法律上の最低限の対応に加えて、コースごとに定められた面談、プラン作成、業務引き継ぎ、情報公表、代替手当の支給などを行う必要があります。

法令を守っているから自動的に助成金を受給できるわけではありません。

助成金は、法律上当然に受け取れる給付ではなく、支給要件をすべて満たした場合に支給される制度です。

書類を提出すれば必ず受給できるわけではなく、審査の結果、不支給となることもあります。

助成金を前提に代替要員の採用費用などを組む場合は、支給されない可能性も考慮しておきましょう。

また、両立支援等助成金のコース、対象範囲、支給額、申請様式は年度ごとに改正されます。

対象従業員が休業を開始した日や会社が取り組みを実施した日によって、適用される年度の制度が変わる可能性もあります。

令和8年度の制度内容を確認する場合は、厚生労働省が公表している資料を基準にしてください。

概要だけで判断せず、支給申請の手引き、支給要領、申請様式、チェックリストまで確認することが重要です。

(出典:厚生労働省「両立支援等助成金のご案内」)

助成金の制度名が同じでも、年度改正によって対象企業や必要な取り組みが変わることがあります。

以前に同じ助成金を申請した経験がある企業も、過去の書類をそのまま流用せず、最新年度の要件を確認してください。

中小企業に該当する判断基準

両立支援等助成金の多くは、中小企業事業主を主な対象としています。

もっとも、すべてのコースが同じ企業規模要件を採用しているわけではありません。

令和8年度には、一部のコースや支給区分について対象範囲が拡大されているため、「自社は大企業だから使えない」「資本金が基準を超えているから対象外」と早い段階で決めつけないことが大切です。

一般的な中小企業事業主の判定では、業種ごとに定められた資本金・出資総額または常時雇用する労働者数のいずれかを確認します。

通常は、二つの基準のうち、いずれか一方を満たせば中小企業事業主として取り扱われます。

業種 資本金・出資総額 常時雇用する労働者数 判定の考え方
小売業 5,000万円以下 50人以下 いずれか一方を満たす
サービス業 5,000万円以下 100人以下 いずれか一方を満たす
卸売業 1億円以下 100人以下 いずれか一方を満たす
その他の業種 3億円以下 300人以下 いずれか一方を満たす

たとえば、サービス業を営む企業で資本金が5,000万円を超えていても、常時雇用する労働者数が100人以下であれば、中小企業事業主に該当する可能性があります。

反対に、資本金が基準以下であれば、労働者数が基準を超えていても、一般的な中小企業要件を満たす可能性があります。

常時雇用する労働者の数え方

常時雇用する労働者数は、単純な正社員数ではありません。

期間の定めなく雇用されている労働者に加えて、一定期間を超えて継続して雇用されている有期契約労働者なども含まれます。

パートやアルバイトという呼称だけで除外できるわけではなく、契約期間や実際の雇用状況を確認して判断します。

複数の店舗や事業所を運営している会社の場合、原則として会社全体の労働者数で判断することになります。

申請対象者が働いている店舗だけの人数で判定するものではありません。

法人単位で申請する制度では、本社、支店、営業所、店舗などを含めて確認する必要があります。

また、会社の主たる事業がどの業種に該当するかも重要です。

複数の事業を行っている会社では、売上高、従業員数、事業実態などから主たる業種を判断することがあります。

サービス業か小売業かによって労働者数の基準が変わるため、業種区分が曖昧な企業は注意が必要です。

コース独自の企業規模要件も確認する

令和8年度は、一部の支給区分について常時雇用する労働者数が300人以下の事業主まで対象となるなど、従来の中小企業区分とは異なる範囲が設定されています。

また、育休中等業務代替支援コースでは、手当支給等の区分と新規雇用の区分で対象事業主の範囲が異なる場合があります。

一般的な中小企業の定義を満たすかどうかだけで、助成金の対象可否を確定しないでください。

最終的には、申請を予定しているコースと支給区分に記載された事業主要件を確認する必要があります。

企業規模の判定時点も確認しておきたいポイントです。

申請時点だけではなく、取り組みを実施した時点、対象労働者が休業を開始した時点など、支給要領で定められた時点の状況が基準になる可能性があります。

急速に採用を進めている会社や、合併・事業譲渡などを予定している会社では、人数の変動にも注意しましょう。

企業規模の判定方法や対象範囲は、助成金の年度改正によって変更されることがあります。

資本金、労働者数、業種区分を整理したうえで、正確な情報は公式サイトをご確認ください。

育児休業等支援コースの要件

育児休業等支援コースの要件

育児休業等支援コースは、育児休業を取得する従業員について、休業前から職場復帰後まで計画的に支援した中小企業事業主を対象とするコースです。

女性従業員が産前産後休業に続いて育児休業を取得するケースでは、最も検討しやすいコースの一つです。

このコースの大きな特徴は、育児休業を取得させたという結果だけではなく、企業が育休復帰支援プランを作成し、そのプランに基づいて引き継ぎや職場復帰支援を行う点です。

対象従業員とのコミュニケーションを取りながら、休業前、休業中、復帰前、復帰後という流れで支援を行います。

主な支給要件

  • 育児・介護休業規程を整備していること
  • 対象労働者と休業前の面談を行っていること
  • 育休復帰支援プランを休業開始前に作成していること
  • 業務の引き継ぎや休業中の情報提供を行っていること
  • 対象労働者が所定の期間以上の育児休業を取得すること
  • 職場復帰前にも面談を実施していること
  • 原則として育児休業前の職務や職制へ復帰させること
  • 職場復帰後も一定期間継続して雇用すること

対象となる育児休業の期間には細かな要件があります。

令和8年度の制度では、対象労働者が連続3か月を超える育児休業を取得することが基本となり、産後休業に引き続いて育児休業を取得する場合は、産後休業期間と合わせた取り扱いも確認する必要があります。

育休取得時の取り組み

育休取得時の申請では、対象従業員との面談によって、休業期間、引き継ぎが必要な業務、休業中に提供を希望する情報、職場復帰後の働き方などを確認します。

その内容を踏まえて育休復帰支援プランを作成し、対象従業員へ周知したうえで、プランに基づく引き継ぎを実施します。

面談記録には、実施日、参加者、確認した内容を具体的に残してください。

「面談を実施した」とだけ記載するのではなく、引き継ぎの対象業務、休業中の連絡方法、復帰時の不安、制度利用の希望などを記録しておくと、会社が実際に支援したことを説明しやすくなります。

職場復帰時の取り組み

職場復帰時の申請では、復帰前の面談、原職等への復帰、復帰後の継続雇用などが重要になります。

復帰前面談では、保育所の利用状況、送迎時間、短時間勤務の希望、残業や出張の可否、子の体調不良時の連絡体制などを確認します。

ただし、従業員が育児中であることを理由に、本人の同意なく責任の軽い仕事へ一方的に変更したり、役職を外したり、賃金を引き下げたりすると、不利益取扱いの問題になる可能性があります。

会社として配慮するつもりであっても、本人の意向と異なる配置変更はトラブルの原因になります。

令和8年度の支給額の一般的な目安

  • 育休取得時:30万円
  • 職場復帰時:30万円
  • 情報公表加算:所定の要件を満たした場合に2万円

有期雇用労働者と無期雇用労働者について、それぞれ対象人数の上限が設定されるため、企業全体の受給上限も併せて確認してください。

支給額だけを見ると、対象従業員一人につき60万円を受け取れる制度に見えますが、職場復帰時の助成金は、同じ対象労働者の同じ育児休業について、育休取得時の助成金を受給していることが前提となる場合があります。

取得時の申請を見送って、復帰時だけ申請するという取り扱いができるとは限りません。

育休復帰支援プランは、従業員が育児休業に入った後で形式的に作成しても、支給対象にならない可能性があります。

面談日、プラン作成日、本人への周知日、引き継ぎ実施日が休業開始日より前になっているかを必ず確認してください。

実際によくある相談が、従業員の育休が始まってから助成金の存在を知ったというケースです。

育児休業給付金や社会保険料免除の手続きは休業開始後に進めるものが多いため、助成金も同じ時期に考えればよいと思われがちです。

しかし、両立支援等助成金は休業前の取り組みが支給要件になるため、検討のタイミングが異なります。

従業員から妊娠や育児休業の申出を受けた段階で、法定手続きと助成金の確認を同時に始める仕組みを社内に作っておくと、申請機会を逃しにくくなります。

出生時両立支援コースの内容

出生時両立支援コースは、男性労働者が育児休業を取得しやすい職場環境を整備し、実際に男性の育児休業取得につなげた事業主を支援する制度です。

男性従業員の育休に関する助成金として利用されることが多く、子育てパパ支援助成金と呼ばれることもあります。

対象となる休業には、出生時育児休業、いわゆる産後パパ育休のほか、子の出生後の一定期間内に開始する通常の育児休業が含まれる場合があります。

ただし、子の出生後8週間以内に休業を開始すること、一定日数以上連続して取得すること、その期間に一定数以上の所定労働日が含まれることなど、細かな要件があります。

企業側に求められる主な準備

  • 育児・介護休業規程の整備
  • 育児休業を取得しやすくする雇用環境整備
  • 対象労働者への制度の個別周知と意向確認
  • 育児休業取得者の業務を補う体制の整備
  • 一般事業主行動計画の策定と届出
  • 男性労働者の育児休業取得実績

雇用環境整備としては、育児休業制度に関する研修の実施、相談窓口の設置、社内における育休取得事例の収集と提供、育児休業の取得促進方針の周知などがあります。

単に社内掲示板へ制度名を掲載するだけではなく、制度を利用しやすくするための具体的な取り組みが必要です。

取得日数の要件

令和8年度の第1種では、対象となる男性労働者の順番に応じて、必要な育児休業日数が異なります。

一般的な目安は次のとおりですが、実際の判定では暦日だけでなく、その期間に含まれる所定労働日数も確認します。

対象者 連続した育児休業日数 休業期間中の所定労働日 支給額の目安
1人目 5日以上 4日以上 20万円
2人目 10日以上 8日以上 10万円
3人目 14日以上 11日以上 10万円

1人目について、所定数以上の雇用環境整備措置を実施した場合には、支給額が30万円となる場合があります。

また、自社の育児休業取得状況などを所定の方法で公表した場合には、情報公表加算が設けられることがあります。

ここで迷いやすいのが、土日や祝日を含めて5日間休んだ場合です。

連続5日以上という要件だけを見れば該当するように思えますが、休業期間内に所定労働日が4日以上含まれていなければ要件を満たさない可能性があります。

会社の休日が多い時期に育休を取得する場合は、カレンダー上の日数と所定労働日の両方を確認してください。

第2種は育休取得率の上昇を確認する

出生時両立支援コースには、男性労働者個人の育児休業取得だけではなく、企業全体の男性育児休業取得率を上昇させた場合に対象となる区分があります。

対象年度と比較年度の取得率、対象となる男性労働者数、子が出生した労働者の把握方法などを整理しておく必要があります。

従業員数が少ない企業では、一人が取得しただけで取得率が大きく変動することがあります。

一方で、対象となる男性労働者を正しく把握できていなければ、分母や分子を誤る可能性があります。

出生を会社に報告していない従業員もいるため、プライバシーに配慮しながら制度周知を行い、本人が申し出やすい環境を整えることが大切です。

男性本人が育児休業を申請しただけでは足りず、企業が休業開始前に環境整備や規程整備を行っていることが重要です。

育休申出書を受け取ってから慌てて研修や相談窓口の設置を行うと、取り組みの実施時期が要件を満たさない可能性があります。

男性の育児休業取得を進める際は、本人だけでなく直属の上司や同じ部署の従業員にも制度の趣旨を伝える必要があります。

「繁忙期だから取らないでほしい」「短期間で戻ってきてほしい」といった発言は、育児休業取得を抑制するものと受け取られる可能性があります。

助成金を受給することだけを目的にするのではなく、業務の属人化を解消し、誰かが休んでも業務が継続できる体制を作る機会として取り組むことが重要かなと思います。

産休の助成金を申請する方法

産休や育休に関する助成金を申請する場合は、最初に助成金のコースを決めるのではなく、対象従業員の休業予定と会社が行う支援内容を整理することが大切です。

そのうえで、要件に合うコースを選定し、規程整備、面談、支援プランの作成、業務引き継ぎ、休業実績の記録、職場復帰後の確認へと進みます。

特に重要なのが、取り組みを行う順番です。

後から書類の形式を整えても、面談や制度整備を実施すべき時期を過ぎていれば、支給対象にならない可能性があります。

ここからは、業務代替、柔軟な働き方、事前準備、申請書類という実務の順番に沿って解説します。

業務代替支援コースの支給内容

育休中等業務代替支援コースは、育児休業を取得する従業員や育児短時間勤務制度を利用する従業員の業務を、ほかの従業員や新たに採用した人に代替させた企業を支援する制度です。

従業員が長期間休業すると、残された従業員の業務量が増えやすくなります。

特に中小企業では、一人の担当者が顧客対応、請求、発注、勤怠管理など複数の業務を担っていることがあり、単純に一人を補充しただけでは十分に代替できないことも少なくありません。

そこで、既存従業員が業務を分担する場合には代替業務手当を支給し、新たに人員を確保する場合には採用や派遣受入れを行うなど、会社として具体的な負担軽減策を講じることになります。

主な支給パターンは、次のとおりです。

支給パターン 主な内容 実務上の確認事項
手当支給等 既存従業員に代替業務を担当させ、手当を支給する 手当制度、支給対象者、業務代替期間、実際の支給額
新規雇用 育休取得者の代替要員を新たに雇用する 採用日、雇用契約、担当業務、勤務実績
派遣受入 人材派遣会社から代替要員を受け入れる 派遣契約、派遣期間、指揮命令、担当業務
短時間勤務の業務代替 短時間勤務で減少した業務をほかの従業員が代替する 短縮時間、代替業務、手当支給、制度利用実績

既存従業員へ手当を支給する場合

既存従業員が育休取得者の業務を代替する場合は、誰が、どの業務を、どの期間代替するかを明確にします。

そのうえで、代替業務に対する手当の名称、金額、支給条件などを就業規則や賃金規程に定め、実際に賃金として支給します。

単に残業時間が増えたため時間外手当を支払っただけでは、助成金上の代替業務手当として認められない可能性があります。

通常業務に加えて特定の代替業務を担当することへの対価として、制度に基づく手当を支給したことが分かるようにする必要があります。

また、業務を一人へ集中させすぎると、長時間労働やメンタルヘルス不調につながるおそれがあります。

助成金を受給できたとしても、周囲の従業員が疲弊して退職してしまっては、本来の両立支援とはいえません。

業務の廃止、延期、標準化、外注化なども含めて負担を調整してください。

新規雇用や派遣受入れを行う場合

新規雇用や派遣受入れの場合は、代替期間に応じて支給額が変わります。

令和8年度の制度では、代替期間が1年以上の場合、一般的な事業主で81万円、プラチナくるみん認定事業主で99万円が支給額の目安となります。

ただし、採用した人が在籍しているだけでは足りません。

育休取得者が担当していた業務を実際に代替していること、代替期間中に勤務していること、契約に基づく賃金を支払っていることなどを確認できる資料が必要です。

代替要員を別部署へ配置し、育休取得者の部署では既存従業員だけで業務を分担した場合などは、直接的な代替関係を説明しにくくなる可能性があります。

組織全体として玉突き配置を行う場合には、誰の異動によって誰の業務が代替されたのか、組織図や業務分担表で説明できるようにしておきましょう。

代替要員の確保方法や契約上の注意点については、 産休代替の派遣・有期雇用・社内分担を企業向けに整理 でも詳しく解説しています。

育休取得者の業務を周囲に割り振っただけでは、手当支給等の区分に該当するとは限りません。

代替業務の内容を明確にし、手当制度を整備したうえで、賃金台帳や給与明細から支給実績を確認できる状態にしておく必要があります。

このコースでは、一年度に申請できる人数や、初回申請からの利用期間などに上限が設けられる場合があります。

複数の従業員が順番に育児休業を取得する企業では、一人ずつ個別に判断するだけでなく、会社全体の申請履歴を管理してください。

柔軟な働き方支援の対象制度

柔軟な働き方支援の対象制度

柔軟な働き方選択制度等支援コースは、育児をする従業員が仕事を続けやすいように、複数の働き方を選択できる制度を導入し、実際の利用につなげた事業主を支援するコースです。

育児休業から復帰した従業員は、保育所の送迎、子の体調不良、配偶者との役割分担などにより、休業前とまったく同じ働き方を続けることが難しい場合があります。

企業が短時間勤務だけでなく、始業・終業時刻の変更、テレワーク、休暇制度など複数の選択肢を用意することで、離職を防ぎやすくなります。

対象となり得る制度には、次のようなものがあります。

  • 始業時刻や終業時刻を変更する制度
  • フレックスタイム制度
  • 育児のためのテレワーク制度
  • 短時間勤務制度
  • 保育サービスの手配や費用補助
  • 養育両立支援休暇

制度を設けるだけでは足りない

助成金を受給するためには、対象制度を就業規則などに定めるだけでなく、対象労働者との面談を行い、本人の希望を踏まえた柔軟な働き方支援プランを作成し、実際に制度を利用させる必要があります。

たとえば、テレワーク制度を就業規則に定めていても、対象従業員が利用していなければ、制度利用を要件とする区分の対象にはならない可能性があります。

また、口頭で時差出勤を認めているだけでは、制度の内容や利用実績を客観的に確認できません。

制度の対象者、申請方法、利用期間、労働時間の管理方法、賃金の取り扱いなどを規程に定め、申出書、承認書、勤怠記録などを残しておきましょう。

複数制度の導入と本人の選択

このコースでは、企業が複数の柔軟な働き方を用意し、従業員が自分の状況に合う制度を選択できる環境を整えることが重視されます。

会社が一方的に短時間勤務だけを指定するのではなく、本人と面談を行い、業務内容や家庭状況を踏まえて利用制度を決めることが大切です。

たとえば、保育所の送迎時間が固定されている従業員には時差出勤が合うかもしれません。

通勤時間が長い従業員には、週の一部をテレワークにする方法が有効な場合があります。

一方、顧客対応や現場作業が中心でテレワークが難しい職種では、短時間勤務、休暇制度、業務分担の見直しなどを組み合わせることになります。

従業員の困りごと 検討しやすい制度 会社側の実務ポイント
保育所の送迎に間に合わない 時差出勤・短時間勤務 始業終業時刻と賃金計算を明確にする
通勤時間の負担が大きい テレワーク 勤怠管理、情報管理、通信費を定める
子の通院や行事が多い 養育両立支援休暇 取得単位、有給無給、申請方法を定める
毎日決まった時間に働きにくい フレックスタイム 清算期間やコアタイムを労使協定等で整備する

支給額は、導入した制度数や実際に利用した制度数などによって、20万円または30万円程度とされる年度があります。

障害のある子どもや医療的ケアが必要な子どもを養育する労働者への支援について、加算が設けられる場合もあります。

短時間勤務制度は、法律上の義務として整備する部分と、助成金の対象となる追加的な取り組みを分けて考える必要があります。

法定制度を育児・介護休業規程に記載しただけで、当然に助成金が支給されるわけではありません。

必要な制度数、面談、支援プラン、利用実績を確認してください。

柔軟な働き方を導入するときは、対象従業員だけでなく、周囲の従業員への影響も確認してください。

特定の人だけが働きやすくなった一方で、ほかの従業員へ負担が偏ると、職場内の不公平感につながります。

助成金を活用しながら、業務の見える化、担当者の複数化、会議時間の見直しなど、組織全体の働き方を改善する視点が必要です。

助成金申請前に必要な準備

産休や育休に関連する助成金では、休業開始前の準備が支給可否を大きく左右します。

従業員から正式な育児休業申出書が提出された後に慌てて書類をそろえるのではなく、妊娠や配偶者の出産予定について報告を受けた段階から準備を始めるのが理想です。

助成金の手続きでは、規程の施行日、面談日、プラン作成日、本人への周知日、休業開始日などの順番が確認されます。

必要な取り組みを実際に行っていても、実施時期が要件より遅ければ、申請できない可能性があります。

休業開始前の確認事項

  • 対象者の雇用形態と雇用保険の加入状況
  • 産前産後休業と育児休業の予定期間
  • 育児・介護休業規程の内容
  • 就業規則の労働基準監督署への届出状況
  • 育休復帰支援プランの作成期限
  • 休業前面談の実施と記録
  • 引き継ぎ方法と代替要員の確保方法
  • 職場復帰後の勤務形態
  • 過去の助成金申請人数と受給履歴
  • 併給を検討しているほかの助成金

育児・介護休業規程を最新化する

助成金申請では、育児・介護休業規程が存在するだけでなく、法令に適合した内容であること、従業員へ周知されていること、その規程に基づいて休業を認めていることが重要です。

育児・介護休業法は改正が続いています。

出生時育児休業、育児休業の分割取得、子の看護等休暇、所定外労働の制限、柔軟な働き方を実現するための措置など、過去に作成した規程では対応できていない可能性があります。

特に、インターネット上で取得した古いひな形をそのまま使用している企業は注意してください。

規程の制度名や対象者要件が古いままだと、助成金の審査以前に、法令対応として問題が生じることがあります。

面談は実態のある内容にする

休業前面談では、対象従業員の育児休業取得予定、業務の引き継ぎ、休業中の連絡方法、職場復帰の希望などを確認します。

助成金申請用の様式へ形式的にチェックを付けるだけではなく、実際の業務に沿った内容を記録してください。

たとえば、営業担当者であれば顧客ごとの引き継ぎ先、見積中の案件、契約更新時期などを整理します。

経理担当者であれば、月次処理、支払日、年末調整、決算対応など、休業期間中に発生する業務を確認します。

面談時点では復帰後の働き方を確定できないこともあります。

その場合は、現時点での希望を記録し、復帰前面談で改めて確認する流れにしておけば問題ありません。

大切なのは、会社が一方的に復帰条件を決めるのではなく、本人の意向を確認することです。

育児休業の開始日が決まったら、最初に助成金の対象可能性を確認してください。

育児休業給付金や社会保険料免除は休業開始後に申請することが多いため、助成金も後から対応できると思われがちです。

しかし、助成金は休業開始前の準備を要件とするコースが多く、確認のタイミングが異なります。

日付を一覧にして管理する

実務では、休業開始日、面談日、プラン作成日、規程の施行日、従業員への周知日、引き継ぎ日が前後していないかを時系列で確認します。

担当者の記憶だけに頼ると、後から正確な日付を説明できなくなります。

管理する日付 確認する資料 注意点
規程の施行日 就業規則・改定履歴 休業開始前に適用されているか
従業員への周知日 社内通知・閲覧記録 規程を実際に確認できる状態か
休業前面談日 面談記録 支援プラン作成前後の順序を確認
プラン作成日 育休復帰支援プラン 休業開始後の日付になっていないか
育児休業開始日 育休申出書・出勤簿 申出内容と実績が一致しているか

書類上の日付を後から実態と異なる日付に変更してはいけません。

申請に間に合わせるために事実と異なる記録を作成すると、不正受給と判断される可能性があります。

社内で妊娠・出産の報告を受けたら、人事担当者、給与担当者、社会保険担当者、現場責任者が必要な情報を共有できるフローを作っておくと安心です。

ただし、本人の同意なく妊娠情報を広範囲へ共有しないよう、情報管理にも配慮してください。

申請手続きと必要書類

助成金申請は、対象従業員が育児休業を取得した後に申請書を一枚提出すれば完了するものではありません。

休業前の制度整備から支給申請まで、一連の取り組みを証明する複数の書類が必要になります。

申請の一般的な流れは次のとおりです。

ただし、コースによって申請できる時期、対象期間、必要書類が異なるため、実際には利用するコースの手引きに沿って進めてください。

  1. 従業員の休業予定と会社の支援内容を確認する
  2. 対象になり得るコースを選定する
  3. 育児・介護休業規程を整備する
  4. 対象労働者との面談を実施する
  5. 育休復帰支援プランなどを作成する
  6. 業務の引き継ぎや雇用環境整備を実施する
  7. 育児休業や制度利用の実績を記録する
  8. 職場復帰前の面談を実施する
  9. 職場復帰後の勤務実績を確認する
  10. 申請期限までに管轄労働局へ書類を提出する

申請先は、原則として事業主の所在地を管轄する都道府県労働局の雇用環境・均等部または雇用環境・均等室です。

一定の助成金については、雇用関係助成金ポータルを利用した電子申請ができる場合もあります。

主な必要書類

  • 支給申請書
  • 支給要件確認申立書
  • 就業規則と育児・介護休業規程
  • 労働基準監督署へ届け出たことを確認できる資料
  • 育児休業申出書
  • 育休復帰支援プラン
  • 休業前・復帰前の面談記録
  • 出勤簿やタイムカード
  • 賃金台帳や給与明細
  • 雇用契約書または労働条件通知書
  • 子の出生を確認できる書類
  • 業務の引き継ぎや代替状況を確認できる資料
  • 代替手当の制度と支給実績を確認できる資料
  • 一般事業主行動計画の届出を確認できる資料

出勤簿と賃金台帳の整合性を確認する

審査では、申請書に記載した休業期間と出勤簿の内容が一致しているか、休業中に賃金が支払われているか、職場復帰後に実際に勤務しているかなどが確認されます。

育児休業中に一時的に就労した日がある場合は、その日数や時間、賃金の取り扱いを明確にしてください。

育児休業給付金上は一定範囲の就労が認められる場合がありますが、助成金では別の観点から休業実績を確認します。

また、給与計算上の締日と支払日の関係により、育児休業開始後の給与に休業前の勤務分が含まれることがあります。

その場合は、何月分の勤務に対する賃金なのかを賃金台帳や給与明細から説明できるようにしておきましょう。

申請期限はコースごとに管理する

育児休業等支援コースの育休取得時では、対象となる休業期間が経過した後に申請期間が始まります。

職場復帰時では、復帰後に一定期間継続して勤務した後に申請期間が始まります。

このため、休業開始日だけではなく、申請可能期間の開始日と締切日をあらかじめ計算しておく必要があります。

申請期限は厳守です。

郵送申請では、消印日ではなく労働局への到着日を基準とする取り扱いが行われることがあります。

期限当日に郵便局へ持ち込んでも間に合わない可能性があるため、余裕を持って提出してください。

必要書類に不足がある場合は、労働局から追加提出を求められることがあります。

ただし、追加提出によって何でも補えるわけではありません。

休業前に実施すべき面談や制度整備を行っていなかった事実を、申請時の書類追加で解消することは困難です。

併給制限と申請履歴も確認する

同一の従業員による同一の育児休業について、複数コースを自由に重複受給できるわけではありません。

たとえば、育児休業等支援コースと出生時両立支援コースでは、同一労働者の同一休業について併給できない場合があります。

一方、業務代替に関する取り組みなど、一定の条件下で別コースとの組み合わせが認められるものもあります。

制度名だけを見て判断せず、支給要領の併給調整に関する規定を確認してください。

過去に別の担当者が申請している場合や、複数の事業所で助成金を管理している場合には、会社全体の申請履歴を確認します。

一事業主当たりの支給人数や支給回数に上限が設けられているコースでは、過去の受給が今回の申請に影響する可能性があります。

虚偽の書類作成や事実と異なる申請は絶対に行ってはいけません。

不正受給と判断された場合は、不支給や全額返還だけでなく、一定期間の助成金申請停止、事業主名の公表、延滞金等の対象になる可能性があります。

事実に基づく資料を提出し、要件を満たさない場合は無理に申請しないことが重要です。

従業員向け給付金との違い

従業員向け給付金との違い

両立支援等助成金は、職場環境の整備や育児休業の取得支援を行った 事業主が受け取るお金 です。

産休や育休を取得する従業員本人に直接支給されるものではありません。

一方、従業員本人が出産や育児休業に伴って受け取れる可能性があるお金には、出産手当金、出産育児一時金、育児休業給付金、出生後休業支援給付金などがあります。

さらに、産前産後休業中や育児休業中には、健康保険料と厚生年金保険料の免除制度があります。

制度 受け取る人・効果 主な対象期間・目的 主な申請先
両立支援等助成金 事業主 育休取得支援や職場環境整備 都道府県労働局
出産手当金 従業員本人 産前産後休業中の所得保障 協会けんぽ・健康保険組合
出産育児一時金 被保険者または被扶養者 出産費用の負担軽減 協会けんぽ・健康保険組合など
育児休業給付金 従業員本人 育児休業中の所得保障 ハローワーク
出生後休業支援給付金 一定の要件を満たす従業員本人 出生直後の育休取得時の追加給付 ハローワーク
社会保険料免除 本人負担と会社負担を免除 産休・育休中の保険料負担軽減 年金事務所・健康保険組合

出産手当金

出産手当金は、健康保険の被保険者本人が出産のために仕事を休み、給与の支払いを受けられない場合などに支給される制度です。

一般的には、出産予定日以前42日から出産日の翌日以後56日までの範囲が対象となります。

多胎妊娠の場合は、出産予定日以前98日から対象となるのが基本です。

支給額は、支給開始日前12か月間の各標準報酬月額を平均した額を基礎として計算され、一般的には休業前の給与のおおむね3分の2相当と説明されます。

ただし、入社してからの期間、健康保険の加入期間、休業中に支払われる給与などによって実際の金額は変わります。

会社が給与を一部支払っている場合には、出産手当金との差額が支給されることがあります。

給与の支給額が出産手当金以上であれば、その期間について出産手当金が支給されない可能性もあります。

育児休業給付金

育児休業給付金は、雇用保険の被保険者が一定の要件を満たして育児休業を取得した場合に支給されます。

休業開始前の一定期間に、賃金支払基礎日数などの要件を満たす月が必要です。

支給額は、原則として休業開始から180日までは休業開始時賃金日額の67%、181日目以降は50%を基準として計算されます。

ただし、支給上限額と下限額があり、休業中に会社から賃金が支払われた場合には減額または不支給となる可能性があります。

有期契約労働者についても、一定の要件を満たせば育児休業給付金の対象になります。

正社員かどうかだけで判断するのではなく、雇用保険の加入状況、育児休業の申出時点における雇用継続の見込みなどを確認してください。

出生後休業支援給付金

出生後休業支援給付金は、子の出生直後の一定期間に、本人と配偶者がそれぞれ一定日数以上の育児休業を取得するなどの要件を満たした場合に、育児休業給付へ上乗せして支給される制度です。

配偶者が専業主婦・専業主夫である場合、ひとり親である場合、配偶者が産後休業中である場合など、配偶者の育児休業取得を要件としない例外もあります。

従業員から相談を受けた企業は、配偶者の状況を決めつけず、制度の対象可能性を確認するよう案内してください。

社会保険料の免除

産前産後休業や育児休業の期間について、会社が所定の届出を行うことで、健康保険料と厚生年金保険料の本人負担分・会社負担分が免除されます。

保険料が免除されても、将来の厚生年金額の計算上は、保険料を納付したものとして取り扱われます。

助成金と異なり、社会保険料免除は、会社にも直接的な負担軽減効果があります。

ただし、両立支援等助成金とは別制度であり、労働局へ助成金を申請しただけでは社会保険料は免除されません。

産前産後休業取得者申出書や育児休業等取得者申出書など、所定の届出が必要です。

企業向けの助成金と、従業員向けの給付金は同時に手続きを進めることがありますが、申請先も支給要件も別です。

  • 会社の助成金は都道府県労働局
  • 育児休業給付はハローワーク
  • 出産手当金は健康保険の保険者
  • 社会保険料免除は年金事務所や健康保険組合

実務では、同じ従業員の産休・育休について複数の手続きを並行して進めます。

手続きごとに期限が異なるため、「産休・育休手続き一覧」を作り、申請日、提出先、必要書類を管理すると漏れを防ぎやすくなります。

給付金の支給率や上限額は改定されることがあります。

従業員へ金額を案内するときは、手取り額を断定せず、休業開始前賃金、休業中の給与、社会保険加入状況などによって変わることを説明してください。

産休の助成金は早めに確認する

産休や育休に関連する助成金を活用するうえで最も重要なのは、従業員が休業を開始する前に確認することです。

育児休業給付金や社会保険料免除は休業開始後に手続きを行うことが多いため、企業向けの助成金も後から申請できると思われがちですが、両立支援等助成金では事前の規程整備や面談、支援プランの作成が要件になります。

企業が利用できる可能性のある主な制度として、育児休業等支援コース、出生時両立支援コース、育休中等業務代替支援コース、柔軟な働き方選択制度等支援コースがあります。

女性従業員が産後休業に続いて一定期間の育児休業を取得し、会社が休業前から職場復帰まで計画的に支援する場合は、育児休業等支援コースを検討します。

男性従業員が子の出生後早期に育児休業を取得する場合は、出生時両立支援コースが候補になります。

育休取得者の業務を同僚が代替し、会社が手当を支給する場合や、新たな代替要員を雇用する場合には、育休中等業務代替支援コースを検討します。

復帰後の従業員へ時差出勤、テレワーク、短時間勤務、休暇制度など複数の選択肢を用意する場合は、柔軟な働き方選択制度等支援コースが候補になります。

産休の助成金を検討するときのポイント

  • 産後休業に続けて育児休業を取得するか確認する
  • 休業開始前に育児・介護休業規程を確認する
  • 必要な面談と支援プランの作成を先に行う
  • 男性育休では取得日数と所定労働日数を確認する
  • 代替要員や社内の業務分担を早めに決める
  • 代替手当を支給する場合は規程と金額を明確にする
  • 申請期限から逆算して証拠書類を保管する
  • 会社向け助成金と従業員向け給付金を区別する

社内の対応時期を決めておく

助成金の申請機会を逃さないためには、担当者が個別に気付くことへ期待するのではなく、社内の手続きフローへ組み込むことが有効です。

タイミング 会社が行うこと 助成金上の確認
妊娠・出産予定の報告時 制度説明、個別周知、意向確認 利用可能なコースを仮判定
休業開始前 規程確認、面談、引き継ぎ 支援プランや環境整備を完了
休業中 必要な情報提供、記録保管 休業実績と代替実績を確認
復帰前 復帰前面談、勤務条件確認 原職等復帰の要件を確認
復帰後 勤怠・賃金・継続雇用を確認 申請可能日と期限を管理

従業員から妊娠の報告を受けた直属の上司が、人事担当者へ速やかに連絡するルールを定めておくと、規程整備や助成金確認を早く始められます。

ただし、妊娠や家族に関する情報は慎重に取り扱い、本人の同意なく必要以上の範囲へ共有しないでください。

自治体独自の助成制度も確認する

国の両立支援等助成金とは別に、都道府県や市区町村が、育児休業取得、代替要員の確保、職場環境整備などを支援する独自制度を設けていることがあります。

国の助成金への上乗せとして利用できる制度もあれば、国の助成金との併給が制限される制度もあります。

自治体制度は、対象地域、申請期間、予算、募集件数などが限定されていることが多く、年度途中で受付を終了する場合もあります。

国の制度だけでなく、本店所在地や事業所所在地の自治体ホームページも確認しておくとよいでしょう。

助成金の支給額、対象企業、申請期限、必要書類は年度ごとに変更される可能性があります。

この記事で記載している金額は一般的な目安であり、実際の支給を保証するものではありません。

申請を検討する際は、厚生労働省の案内ページから、対象年度の支給要領、申請の手引き、様式、チェックリストを確認してください。

(出典:厚生労働省「子ども・子育て両立支援等助成金のご案内」)

正確な情報は公式サイトをご確認ください。

特に、すでに育児休業が始まっている場合、規程の整備時期が不明な場合、複数コースの併用を検討している場合、過去に同じ助成金を申請している場合は、個別の事実関係によって判断が変わります。

助成金を受給できるかどうかだけでなく、育児・介護休業法への対応、従業員への説明、代替者の労働時間、復帰後の配置なども一緒に確認することが大切です。

最終的な判断は専門家にご相談ください。

-未分類