こんにちは。
もりおか社会保険労務士事務所、社会保険労務士の川熊です。
年金の源泉徴収票は、1年間に支払われた公的年金等の金額や、年金から源泉徴収された所得税額などを確認するための書類です。
会社員だった頃は勤務先から給与所得の源泉徴収票を受け取っていた方でも、年金を受給するようになると「年金にも源泉徴収票があるのか」「どの数字を確定申告に使えばよいのか」と戸惑うことがあります。
確定申告や還付申告をするときに確認する重要な書類ですが、「どの金額を見ればよいのか」「いつ届くのか」「なくした場合はどうすればよいのか」と迷う方も少なくありません。
特に注意したいのは、源泉徴収票に記載されている支払金額と、実際に銀行口座へ振り込まれた手取り額は同じとは限らないことです。
年金からは所得税等だけではなく、介護保険料、国民健康保険料、後期高齢者医療保険料などが差し引かれている場合があるためです。
また、年金を受け取っている方すべてに同じ源泉徴収票が届くわけではありません。
老齢年金と、障害年金・遺族年金では税務上の取扱いが異なるため、まず自分が受給している年金の種類を確認することも大切です。
社会保険とはについて基本から確認したい場合は、社会保険とは?仕組み・種類・広義と狭義の違いについて整理した記事も参考にしてください。
記載されている項目の意味を一つずつ確認すると、確定申告の際にも整理しやすくなります。
この記事では、年金の源泉徴収票の基本的な見方から、届く時期、確定申告での使い方、紛失した場合の再発行まで順番に解説します。
- 公的年金等の源泉徴収票に記載される内容
- 支払金額と源泉徴収税額の見方
- 確定申告や還付申告での確認方法
- 届かない場合や紛失した場合の対応

年金の源泉徴収票とは?記載内容と見方
年金の源泉徴収票を見るときは、まず「何のための書類なのか」を理解してから、それぞれの欄を確認すると分かりやすくなります。
基本となるのは、年間に支払われた年金額を示す 支払金額 と、そこから源泉徴収された所得税等を示す 源泉徴収税額 です。
さらに、年金から特別徴収された社会保険料や扶養親族等に関する情報などが記載される場合もあります。
源泉徴収票には多くの欄がありますが、確定申告のために初めて確認する方が、最初からすべての欄を理解しようとする必要はありません。
まず大きな数字の意味を把握し、その後に自分に関係する控除や扶養情報を確認するという順番がおすすめです。
最初に確認したいポイント
確定申告を目的として確認する場合は、まず「支払金額」と「源泉徴収税額」の2つを確認しましょう。
この2つが年金に関する申告の基本となります。
公的年金等の源泉徴収票の見方
公的年金等の源泉徴収票は、老齢基礎年金や老齢厚生年金など、主に 老齢または退職を支給事由とする課税対象の年金 を受け取っている方へ交付される書類です。
源泉徴収票には、支払を受けた方の氏名や住所のほか、その年に支払われた公的年金等の金額、源泉徴収された所得税額、社会保険料の額、扶養親族等に関する情報などが記載されています。
書類を初めて見ると数字や項目が多く、「どこから見ればよいのだろう」と感じるかもしれません。
ただ、実務上はすべての項目を自分で計算し直す必要はありません。
まずは、 支払金額は年金収入を確認する欄、源泉徴収税額はすでに年金から差し引かれた所得税等を確認する欄 と整理すると分かりやすいでしょう。
| 主な項目 | 確認する内容 | 確認する場面 |
|---|---|---|
| 支払金額 | 対象年分として支払われた公的年金等の金額 | 確定申告で年金収入を確認するとき |
| 源泉徴収税額 | 年金から源泉徴収された所得税・復興特別所得税の合計額 | 納付済みの所得税額を確認するとき |
| 社会保険料の額 | 年金から特別徴収された介護保険料などの金額 | 社会保険料控除を確認するとき |
| 本人・扶養親族等の情報 | 申告内容に応じた障害者や扶養親族等に関する情報 | 所得控除の状況を確認するとき |
ここで押さえておきたいのが、 年金という名称が付く給付のすべてが所得税の課税対象になるわけではない ということです。
老齢基礎年金や老齢厚生年金などは原則として課税対象となる公的年金等ですが、障害年金や遺族年金は所得税および復興特別所得税の課税対象ではありません。
そのため、 障害年金や遺族年金だけを受給している方には、公的年金等の源泉徴収票は原則として送付されません。
「自分は年金を受け取っているのに源泉徴収票が届いていない」と感じたときには、郵便事故や紛失を疑う前に、まず受給している年金が老齢年金なのか、障害年金や遺族年金なのかを確認してみてください。
実際、年金関係の書類は名称が似ているものが多く、年金額改定通知書、年金振込通知書、源泉徴収票などを混同しているケースもあります。
それぞれ役割が違いますので、書類の上部に記載されている正式名称を確認することがポイントです。
年金生活者支援給付金も確認
年金生活者支援給付金についても、公的年金等の源泉徴収票の支払金額には含まれません。
「年金と一緒に振り込まれているから、すべて源泉徴収票に載る」と考えないようにしましょう。
また、年金から介護保険料などが差し引かれている場合には、源泉徴収票に社会保険料額が記載されることがあります。
年金から差し引かれていない保険料については別途確認が必要になることもあるため、確定申告では源泉徴収票だけですべての控除資料がそろうとは限りません。
源泉徴収票の様式や記載内容、対象となる年金などについては、日本年金機構の案内で確認できます。
年度によって様式や記載内容が変更されることもあるため、申告する年分の情報を確認してください。
支払金額の欄で確認する内容

支払金額の欄には、対象年分として支払われた公的年金等の金額が記載されます。
ここで特に間違いやすいのが、 支払金額は銀行口座に実際に振り込まれた手取り額ではない という点です。
老齢年金からは、所得税および復興特別所得税のほか、対象となる方について介護保険料、国民健康保険料または国民健康保険税、後期高齢者医療保険料などが特別徴収される場合があります。
そのため、源泉徴収票に記載された「支払金額」と、通帳へ実際に振り込まれた金額を比べると、源泉徴収票のほうが大きくなっていることがあります。
たとえば、源泉徴収票の支払金額が200万円だったとしても、そこから所得税等や社会保険料などが差し引かれていれば、年間の実際の振込額は200万円より少なくなります。
支払金額=年間の振込額ではありません。
確定申告では、通帳に振り込まれた金額を合計するのではなく、原則として源泉徴収票に記載された支払金額を確認します。
ここは確定申告で非常に重要なところです。
通帳しか手元になく、「振り込まれた金額を全部足せば年金収入になるだろう」と考えてしまうと、申告する収入金額を誤る可能性があります。
また、年金から個人住民税や森林環境税が特別徴収されている場合もあります。
これらが差し引かれている方では、源泉徴収票に記載された支払金額から、源泉徴収税額や社会保険料額だけを引いても、実際の銀行振込額と一致しないことがあります。
通帳の金額と一致しないからといって誤りとは限らない
「源泉徴収票の数字と通帳の合計が違います」という疑問は、年金の通知を確認するときに生じやすいポイントです。
しかし、両者が一致しないことだけを理由に、源泉徴収票が間違っているとは判断できません。
源泉徴収票は税務上の対象年分として整理された支払金額を示す書類であり、通帳は実際に振り込まれた手取り額を記録したものだからです。
さらに、年金額の調整や過去にさかのぼる訂正が生じることがあります。
特に、年金と雇用保険給付との調整などによって年金支給額が後から変更された場合には、いったん発行された源泉徴収票の支払金額が訂正され、後日あらためて訂正版の源泉徴収票が送付される場合があります。
訂正版の源泉徴収票が届いた場合は注意
すでに確定申告をした後に訂正版が届くと、申告内容の確認や修正が必要になる可能性があります。
同じ年分の源泉徴収票が複数手元にある場合には、発行時期などを確認し、最新の内容を使用してください。
また、老齢基礎年金と老齢厚生年金を受給している場合でも、日本年金機構から支払われるものについて一つの源泉徴収票にまとめて表示される場合があります。
一方で、日本年金機構以外の支払者から公的年金等を受け取っている場合には、別の源泉徴収票が発行されることがあります。
確定申告をするときは、一枚だけを見て「これが自分の年金収入のすべて」と決めつけず、複数の年金支払者がないかも確認すると安心です。
支払金額に疑問があるときは、通帳だけで判断するのではなく、年金振込通知書や年金額改定通知書などもあわせて確認し、それでも分からない場合は年金支払機関へ確認してください。
源泉徴収税額の欄で確認する内容
源泉徴収税額の欄には、公的年金等からあらかじめ差し引かれた 所得税と復興特別所得税の合計額 が記載されています。
会社員の給与から所得税が源泉徴収されるのと同じように、一定の老齢年金についても、支払時に所得税等が源泉徴収される仕組みがあります。
ただし、老齢年金を受け取っているからといって、すべての方から必ず所得税が差し引かれるわけではありません。
年金額や控除の状況などによっては、源泉徴収税額が0円になることもあります。
源泉徴収票を見るときには、「年金をこれだけ受け取ったから、この税額が最終的な税金なのだ」と考えないことも重要です。
源泉徴収はあくまで年金の支払段階で行われる税金の徴収であり、年間の最終的な所得税額そのものとは限りません。
確定申告では、その年の公的年金等に係る雑所得だけでなく、給与、不動産所得、個人年金など他の所得があればそれらも含め、さらに医療費控除、社会保険料控除、扶養控除などの所得控除を反映したうえで最終的な税額を計算します。
その結果、年金からすでに源泉徴収されていた金額が本来納めるべき税額より多ければ、還付される可能性があります。
反対に、ほかの所得が多いなどの事情によっては、追加で税金を納めることになる場合もあります。
源泉徴収税額は「すでに払っている所得税等」を確認する数字
確定申告では、年間の税額を計算したうえで、すでに源泉徴収された税額との差額を精算します。
源泉徴収税額がある人は還付の可能性を確認する
たとえば、年金から所得税が源泉徴収されている方が、その年に多額の医療費を支払って医療費控除を適用できる場合を考えてみます。
医療費控除を反映すると課税対象となる所得が減り、年間の所得税額が低くなる可能性があります。
その結果、すでに年金から源泉徴収されている所得税の一部または全部が戻る場合があります。
ほかにも、生命保険料控除、地震保険料控除、寄附金控除、扶養に関する控除など、年金の源泉徴収段階では十分に反映されていない控除がある場合には、還付申告を検討する余地があります。
源泉徴収税額が0円の場合
源泉徴収された所得税が0円の場合、所得税については還付する元となる源泉徴収税額がないため、所得控除を追加しても所得税の還付が発生しないケースがあります。
ただし、ほかに給与等から源泉徴収されている税額がある場合や、住民税に影響する場合などもあるため、申告全体で確認する必要があります。
また、源泉徴収税額だけを見て「税金が高すぎる」「必ず戻る」と判断することも避けたほうがよいでしょう。
所得税の最終的な計算は、年金以外の所得や所得控除、税額控除などを含めて行われます。
配偶者の所得状況が変わった、扶養親族の状況が変わった、年の途中で働いて給与を受け取ったといった事情があれば、源泉徴収票だけでは最終的な納税額は判断できません。
私は、こうした書類を見るときには「年金額」と「引かれた税額」をまず分けて整理するのが分かりやすいと思います。
支払金額が収入側、源泉徴収税額が納付済みの税金側。
この2つを混同しなければ、確定申告の書類もかなり読みやすくなりますよ。
源泉徴収票が届く時期

年金の源泉徴収票は、一般的に 年金支払機関から翌年の1月から3月頃 に送付されます。
日本年金機構から老齢基礎年金や老齢厚生年金を受給している方については、例年、翌年1月頃に公的年金等の源泉徴収票が送付されています。
つまり、たとえば2026年中に支払われた年金に関する源泉徴収票であれば、基本的には2027年の確定申告時期より前に受け取る書類と考えると分かりやすいでしょう。
ただし、具体的な発送開始日、地域ごとの到着時期、電子送付の日程などは年度によって異なる可能性があります。
そのため、「去年は1月10日に届いたから今年も同じ日に届くはず」と考える必要はありません。
郵便事情によって発送から到着まで数日かかることもありますので、発送日を過ぎた直後に届かなくても、それだけで紛失と判断するのは早い場合があります。
紙だけでなく電子データで受け取れる場合もある
現在は、紙の源泉徴収票だけではなく、マイナポータルとねんきんネットを利用して電子データを受け取る仕組みも用意されています。
電子送付の希望登録を行っている方は、マイナポータルの「お知らせ」から源泉徴収票の電子データを確認できる場合があります。
さらに、電子データはe-Taxによる確定申告で利用できるため、手入力を減らせるメリットがあります。
普段からマイナポータルやねんきんネットを利用している方であれば、「紙が届いていない」と思ったときに、電子送付の設定をしていなかったかも確認してみるとよいでしょう。
確定申告をする予定がある方は1月から確認
年金関係の郵便物は、年金額改定通知書や振込通知書など種類が多いため、源泉徴収票をほかの通知書と一緒に処分しないようにしてください。
届いたら、確定申告関係の書類と一緒にまとめて保管しておくと安心です。
また、年金の支給額が後から訂正された場合などには、通常の送付時期より後に訂正版の源泉徴収票が送られてくることがあります。
この場合、1月に届いた源泉徴収票をすでに保管していても、後から届いた書類を見落とさないようにしてください。
特に確定申告前後の年金関係の郵便物は、年度と書類名を確認しておくことが大切です。
3月になっても届かない場合は確認を
確定申告をする予定なのに源泉徴収票が確認できない場合は、単に待ち続けるのではなく、年金の種類、電子送付の有無、登録住所などを確認し、必要であれば再交付手続きを検討しましょう。
なお、源泉徴収票の発送時期や電子送付のスケジュールは年度によって変更される可能性がありますので、 正確な情報は公式サイトをご確認ください。
源泉徴収票が届かない場合の確認
源泉徴収票が届かない場合は、すぐに「郵便事故だ」「再発行しなければ」と考える前に、まず自分が源泉徴収票の交付対象なのかを確認しましょう。
特に重要なのが、受給している年金の種類です。
老齢基礎年金や老齢厚生年金など、老齢または退職を支給事由とする課税対象の年金には源泉徴収票が交付されますが、障害年金や遺族年金は非課税であるため、原則として公的年金等の源泉徴収票は交付されません。
したがって、障害年金だけを受け取っている方が「年金の源泉徴収票が来ない」と待ち続けても、そもそも送付対象ではない可能性があります。
まずは次の項目を一つずつ確認してください。
- 受け取っている年金が老齢年金や退職年金なのか
- 障害年金や遺族年金だけを受け取っていないか
- 複数の年金支払機関から年金を受け取っていないか
- 登録している住所が現在の住所と一致しているか
- 電子送付を希望する設定にしていないか
- 家族が郵便物を別の場所に保管していないか
- ほかの年金関係の通知書に紛れていないか
引っ越し後は登録住所も確認する
老齢年金の受給者であるにもかかわらず源泉徴収票が届かない場合には、住所の状況も確認したいところです。
マイナンバーと基礎年金番号が結び付いている方など、住所変更届が原則不要となる場合もありますが、すべてのケースで何も確認しなくてよいとは限りません。
引っ越し後にほかの年金関係の郵便物も届いていない場合や、住所変更に心当たりがある場合には、ねんきんネットなどで登録状況を確認するか、日本年金機構へ問い合わせるとよいでしょう。
電子送付を設定していないか確認する
紙の郵便物が見当たらない場合でも、電子送付を希望している方はマイナポータルへ源泉徴収票が届いている可能性があります。
「紙が来ない=源泉徴収票が発行されていない」とは限りません。
ねんきんネットを利用している方は、源泉徴収票の内容をオンラインで確認できる場合もありますので、紙の書類を探すのと並行してオンラインサービスも確認してみましょう。
複数の年金を受け取っている方は一枚とは限りません
複数の年金支払機関から公的年金等を受け取っている場合には、源泉徴収票が複数になることがあります。
「一枚届いたから確定申告の資料は全部そろった」と判断せず、自分がどこから年金を受け取っているかを確認してください。
また、源泉徴収票を受け取った後に紛失した可能性もあります。
年金関係の通知書は似た封筒やはがきで届くため、医療費の領収書、保険関係の通知、税金関係の書類などと一緒に保管されていることもあります。
確定申告直前に見つからないと慌ててしまいますので、自宅内で一度確認したうえで、見つからない場合には再交付へ切り替えたほうが効率的です。
届かないときの確認順序
「年金の種類を確認する」→「紙・電子の受取方法を確認する」→「住所や郵便物を確認する」→「見つからなければ再交付を検討する」という順番で進めると整理しやすいです。
原因が分からないまま申告期限直前まで待つ必要はありません。
確定申告に使用する予定があるのであれば、余裕を持って確認を始めてください。
年金の源泉徴収票の使い方と再発行
年金の源泉徴収票は、内容を確認するだけではなく、確定申告や還付申告をするときの基礎資料として使います。
特に重要なのが、「支払金額」と「源泉徴収税額」をどのように申告へ反映するのかという点です。
また、確定申告の直前に紛失へ気付くケースもあります。
再交付する方法はいくつかあるため、慌てて探し続けるより、必要に応じて早めに手続きを進めることが大切です。
確定申告で使う金額と転記方法
確定申告をするときは、年金の源泉徴収票に記載されている金額を確認し、確定申告書の公的年金等に関する欄へ反映します。
基本的に確認するのは、 支払金額と源泉徴収税額 です。
支払金額は、公的年金等の収入金額として確認する基本の数字です。
ここから税法上の公的年金等控除額などを反映し、公的年金等に係る雑所得を計算していくことになります。
一方、源泉徴収税額は、すでに年金から差し引かれた所得税および復興特別所得税です。
確定申告で最終的な税額を計算するときに、すでに納めた税額として精算します。
| 源泉徴収票の項目 | 確定申告での考え方 | 注意点 |
|---|---|---|
| 支払金額 | 公的年金等の収入金額として確認する | 通帳の振込額ではなく源泉徴収票を確認する |
| 源泉徴収税額 | すでに納付済みの所得税等として確認する | 最終的な税額そのものではない |
| 社会保険料の額 | 社会保険料控除の計算で確認する | 年金から特別徴収されたものを確認する |
| 扶養親族等の情報 | 所得控除の状況を確認する | 現在の状況と異なる場合は申告時に確認する |
ここでも、銀行口座へ実際に入金された金額をそのまま年金収入として入力しないことが重要です。
確定申告では、原則として源泉徴収票に記載された支払金額を基礎に年金収入を確認します。
源泉徴収票は原則として添付不要
現在の確定申告では、給与所得、退職所得、公的年金等の源泉徴収票について、確定申告書へ原本を添付したり、提出時に提示したりすることは原則として不要です。
ただし、「添付しなくてよい」ということと、「源泉徴収票を見なくてもよい」ということは別です。
申告書へ正しい金額を入力するためには、源泉徴収票に記載された内容を確認する必要があります。
税務署などで申告書の作成相談を受ける場合にも、源泉徴収票を持参しておいたほうがスムーズです。
また、電子申告を利用する方で、マイナポータル経由で源泉徴収票の電子データを取得できる場合には、確定申告書等作成コーナーへデータを連携し、自動入力できる場合があります。
紙と電子データを二重に入力しない
同じ年金について紙の源泉徴収票と電子データの両方を持っている場合、別々の年金として二重に入力しないよう注意してください。
年金以外に給与、個人年金、不動産所得、副業所得などがある場合には、それぞれの所得も含めて確定申告の要否や税額を確認します。
年金受給者だからといって、年金の源泉徴収票だけを入力すれば必ず申告が完了するわけではありません。
一方、一定の条件を満たす年金受給者には確定申告不要制度があります。
公的年金等の収入金額や年金以外の所得金額などによって判断しますので、申告が必要かどうか分からない場合には先に要件を整理しましょう。
年金受給者の確定申告については、 年金受給者の確定申告が必要になる条件と申告不要制度 でも詳しく整理しています。
還付申告で源泉徴収票を使う方法

確定申告をする義務がない方でも、源泉徴収された所得税があり、医療費控除などを適用することで税金を納め過ぎている状態になる場合には、還付申告によって所得税が戻る可能性があります。
ここで理解しておきたいのが、 確定申告不要制度と還付申告は分けて考える ということです。
公的年金等を受け取っている方には、一定の要件を満たす場合に所得税および復興特別所得税の確定申告をしなくてもよい制度があります。
一般的には、公的年金等の収入金額が400万円以下で、公的年金等に係る雑所得以外の所得金額が20万円以下であることなどが基本的な要件となります。
ただし、これは「所得税の確定申告をしなくてもよい場合がある」という制度です。
確定申告が不要であっても、還付を受けたいのであれば確定申告をする必要があります。
たとえば、次のようなケースでは還付申告を検討する余地があります。
- 年間の医療費が多く医療費控除を受けられる場合
- 一定の寄附を行い寄附金控除を受ける場合
- 年金から所得税が源泉徴収されている場合
- 生命保険料控除など反映されていない所得控除がある場合
- 扶養親族等の状況が年の途中で変わった場合
まず源泉徴収税額を確認する
還付の可能性を確認するときには、源泉徴収票の「源泉徴収税額」を見てみましょう。
ここに金額が記載されていれば、その年の年金から所得税等がすでに差し引かれています。
確定申告によって所得控除などを追加し、最終的な所得税額が源泉徴収済みの金額より少なくなれば、その差額について還付を受けられる可能性があります。
反対に、源泉徴収税額が0円で、給与などほかの所得からも所得税を源泉徴収されていなければ、所得税について還付する元となる税額がないケースもあります。
「申告不要」と「申告したほうが有利」は別の話
確定申告をする義務がない方でも、医療費控除などを適用することで所得税が戻る場合があります。
源泉徴収票の源泉徴収税額と、利用できる所得控除がないかを確認しましょう。
また、確定申告不要制度については、公的年金等の収入金額400万円以下という基準だけで判断してはいけません。
公的年金等に係る雑所得以外の所得金額が20万円以下であることや、対象となる公的年金等が源泉徴収の対象であることなども確認が必要です。
給与、個人年金、副業、不動産収入などがある場合には、「受け取った金額」ではなく税法上の所得金額で判断するものもあります。
所得税の確定申告が不要でも住民税は別途確認
所得税の確定申告不要制度に該当しても、住民税の申告が必要になる場合があります。
住民税については、お住まいの市区町村へ確認してください。
公的年金等に係る確定申告不要制度と還付申告の関係については、国税庁でも案内されています。
(出典:国税庁「確定申告が必要な方」年金所得者に係る確定申告不要制度)
なお、私は社会保険労務士として年金制度について説明していますが、確定申告や所得税の個別具体的な税務判断は税理士の専門分野です。
年金以外の所得が複数ある、過年度分も含めて申告したい、どの控除を適用できるか判断できないなど、具体的な申告内容に迷う場合には、税務署や税理士へ相談してください。
源泉徴収票をなくした場合の再発行
源泉徴収票をなくしてしまっても、再交付を受けることができます。
確定申告の準備を始めてから「年金の源泉徴収票がどこにもない」と気付くことは珍しくありません。
年金関係の郵便物は年に何度か届きますし、源泉徴収票もはがき形式などで送付されるため、ほかの通知書と一緒に保管したり、誤って処分したりすることがあります。
紛失したこと自体で年金の受給に影響が出るわけではありませんので、確定申告などで必要な場合には再交付手続きを進めましょう。
日本年金機構から支給されている老齢基礎年金や老齢厚生年金については、ねんきんネットを利用して公的年金等の源泉徴収票の再交付を申請できる仕組みがあります。
まず本当に再交付が必要か確認する
紙の源泉徴収票を紛失した場合でも、ねんきんネットで源泉徴収票の内容を確認できる場合があります。
また、マイナポータルから電子データを取得できる環境が整っていれば、紙の再交付を待たずに確定申告へ利用できる場合もあります。
そのため、「紙をなくした=必ず紙を再発行しなければ申告できない」と決めつける必要はありません。
あなたが申告をどの方法で行うのか、電子データを利用できるのかを確認してから再交付方法を選ぶと効率的です。
| 状況 | 確認したい方法 |
|---|---|
| 紙を紛失した | ねんきんネットで再交付を申請する |
| 内容だけ早く確認したい | ねんきんネットで通知書の内容を確認する |
| e-Taxを利用する | 電子データの受取可否を確認する |
| オンライン利用が難しい | 電話や年金事務所で再交付方法を確認する |
紛失に気付いたら早めの手続きを
紙の源泉徴収票を郵送で再交付してもらう場合、申請したその日に届くわけではありません。
確定申告期限が近い場合ほど、早めに確認することをおすすめします。
ねんきんネットから郵送による再交付を申し込む場合には、申請から発送まで一定の日数がかかります。
さらに発送後の郵送日数も必要です。
電子送付を選べる場合でも、申請直後にその場で必ず受け取れるわけではなく、処理まで数営業日かかることがあります。
確定申告期限の前日になって初めて再交付を申し込むと、希望する方法で間に合わない可能性があります。
毎年確定申告をする方は、1月中に必要書類がそろっているか一度確認する習慣をつけておくとよいでしょう。
訂正版と再交付版を混同しない
単なる紛失による再交付ではなく、年金額の訂正によって新しい源泉徴収票が送付される場合があります。
複数の源泉徴収票が手元にある場合には、どれが最新の内容なのか確認してください。
また、日本年金機構以外から公的年金等を受け取っている場合には、その年金の支払機関へ再交付方法を確認する必要があります。
年金という名称だけで日本年金機構へ問い合わせるのではなく、源泉徴収票に記載されている支払者や、自分が加入していた制度を確認するとスムーズです。
再発行を依頼する方法と確認事項

日本年金機構の公的年金等の源泉徴収票を再交付したい場合には、主にねんきんネット、電話、年金事務所などを通じて手続きを確認できます。
どの方法が適しているかは、ねんきんネットを利用できるか、紙と電子データのどちらが必要か、確定申告までどの程度時間があるかによって変わります。
「とにかく再発行してください」と連絡する前に、対象年分と必要な受取方法を整理しておくと手続きがスムーズです。
ねんきんネットから確認する
ねんきんネットを利用できる方は、オンラインで通知書の再交付申請を行うことができます。
日本年金機構が管理している情報が画面上に表示され、必要な源泉徴収票の年分や再交付理由などを入力して申請します。
マイナポータルからねんきんネットを利用する場合には、条件を満たせば受取方法として電子送付を選択できる場合があります。
電子送付の場合にはマイナポータルの「お知らせ」に届くため、e-Taxで申告する方にとっては便利な方法です。
一方、紙の源泉徴収票が必要な場合には、郵送による再交付を選択します。
ねんきんネットは再交付以外にも便利
源泉徴収票だけではなく、年金記録や年金見込額、各種通知書の内容などを確認できるため、今後も年金関係の手続きをする予定がある方は利用できる状態にしておくと便利です。
電話で再交付を依頼する
インターネットでの手続きが難しい方は、電話で再交付方法を確認することもできます。
電話では本人確認が必要となるため、年金証書など、基礎年金番号や年金コードを確認できる書類を手元に用意してから連絡するとよいでしょう。
また、「何年分の源泉徴収票が必要なのか」も先に確認しておきましょう。
確定申告で通常必要になるのは申告対象となる年分の源泉徴収票ですが、過去の申告を行う場合には過去年分が必要になることもあります。
電話番号や受付時間などは変更される可能性がありますので、その時点の日本年金機構の案内を確認してください。
年金事務所などで相談する
ねんきんネットを利用できず、電話だけでは状況を整理できない場合には、年金事務所や年金相談の窓口で相談する方法があります。
窓口で手続きを行う場合には、本人確認書類などが必要になることがあります。
また、本人ではなく家族などの代理人が相談・手続きをする場合には、委任状や代理人の本人確認書類などが求められる場合があります。
家族だから何も準備せずに本人の年金情報を確認できるとは限りません。
年金情報は重要な個人情報ですので、代理で手続きをする場合ほど事前確認が大切です。
| 確認方法 | 特徴 | 主な確認事項 |
|---|---|---|
| ねんきんネット | オンラインで申請しやすい | ログイン環境、対象年分、受取方法 |
| 電話 | 自宅から再交付方法を確認できる | 基礎年金番号など本人確認に必要な情報 |
| 年金事務所等 | 対面で相談できる | 本人確認書類、代理の場合の委任状等 |
再交付を依頼する前に準備したいもの
再交付をスムーズに進めるためには、次の情報を確認しておくとよいでしょう。
- 基礎年金番号
- 年金コード
- 氏名・生年月日などの本人情報
- 再交付が必要な年分
- 紙または電子データのどちらを希望するか
- 現在登録されている住所
特に基礎年金番号が分からない場合には、再交付の問い合わせをする前に確認方法を整理する必要が出てくることがあります。
基礎年金番号が分からず手続きに困った場合は、 基礎年金番号の調べ方と確認方法 も参考にしてください。
支払機関が日本年金機構とは限りません
すべての公的年金について日本年金機構が源泉徴収票を再発行するわけではありません。
共済組合など別の支払機関から年金を受け取っている場合には、その支払機関へ再交付方法を確認してください。
また、再交付にかかる日数や利用できる受付方法は今後変更される可能性があります。
確定申告期限が迫っている場合には、どの方法が最も適しているのかを早めに確認しましょう。
「紙が必要なのか」「金額だけ確認できればよいのか」「e-Taxへ電子データを取り込みたいのか」によって最適な方法は変わります。
目的を先に整理してから動くと無駄が少ないですよ。
年金の源泉徴収票を正しく確認しよう
年金の源泉徴収票は、1年間に支払われた公的年金等の金額と、そこから源泉徴収された所得税額などを確認するための大切な書類です。
一見すると数字が多く分かりにくい書類ですが、最初からすべての欄を理解する必要はありません。
まず確認したいのは、 支払金額と源泉徴収税額 です。
支払金額は、公的年金等の収入を確認するときの基本となる金額です。
実際に銀行口座へ入金された手取り額とは異なることがあるため、確定申告では通帳の入金額を合計するのではなく、源泉徴収票の金額を確認することが重要です。
源泉徴収税額は、年金からすでに差し引かれた所得税および復興特別所得税の金額です。
源泉徴収税額がある方では、医療費控除などを適用することで所得税が還付される可能性があります。
| 確認したいこと | ポイント |
|---|---|
| 何の年金を受給しているか | 老齢年金か、非課税の障害年金・遺族年金かを確認 |
| 支払金額 | 通帳の手取り額とは異なる場合がある |
| 源泉徴収税額 | すでに年金から徴収された所得税等を確認 |
| 確定申告の要否 | 年金収入だけでなく年金以外の所得も含めて判断 |
| 紛失した場合 | ねんきんネットなどで再交付を検討 |
また、年金を受給しているからといって、すべての方へ源泉徴収票が届くわけではありません。
障害年金や遺族年金は原則として所得税等の課税対象ではないため、これらだけを受給している方には公的年金等の源泉徴収票は送付されません。
一方、老齢基礎年金や老齢厚生年金などを受給している方で、通常の時期を過ぎても源泉徴収票を確認できない場合には、登録住所、電子送付の設定、郵便物の保管状況などを確認し、必要に応じて再交付を申し込みましょう。
確定申告に源泉徴収票そのものを添付する必要がなくても、記載された金額は申告書を作成するために必要です。
また、年金受給者には一定の確定申告不要制度がありますが、申告不要だから何も確認しなくてよいとは限りません。
医療費控除などによって還付を受けられる場合がありますし、所得税の申告が不要でも住民税の申告が必要になることがあります。
最後に確認する5つのポイント
- 支払金額は原則として税金や社会保険料等を差し引く前の金額
- 源泉徴収税額は年金から差し引かれた所得税等の金額
- 源泉徴収票は一般的に翌年1月から3月頃に確認する書類
- 障害年金や遺族年金には原則として源泉徴収票は交付されない
- 紛失した場合は再交付を受けることができる
確定申告を予定している方は、年金の源泉徴収票が届いたら、医療費に関する資料、生命保険料控除証明書、寄附金関係の証明書、給与の源泉徴収票など、ほかの申告資料と一緒に保管しておくとよいでしょう。
確定申告の直前になって一つずつ探すより、届いた段階で「確定申告用」としてまとめておくほうが、結果的に手間が少なくなります。
書類名を確認する習慣を
年金額改定通知書、年金振込通知書、公的年金等の源泉徴収票は、それぞれ役割が異なります。
金額だけを見るのではなく、書類上部の名称と対象年分を確認してから使用してください。
年金制度や通知書の取扱い、確定申告のルールは今後変更される可能性がありますので、 正確な情報は公式サイトをご確認ください。
また、確定申告が必要かどうか、どの所得控除を利用できるか、還付が生じるかどうかは、年金以外の収入や家族構成、各種控除など個別の事情によって異なります。
年金制度について分からない場合は日本年金機構や年金事務所へ、個別具体的な税金や確定申告については税務署や税理士へ確認すると整理しやすいでしょう。
税務上の取扱いを含めて判断に迷う場合には、 最終的な判断は専門家にご相談ください。