こんにちは。
もりおか社会保険労務士事務所、社会保険労務士の川熊です。
企業年金連合会は、企業年金を中途で脱退した方などの年金資産や記録を引き継ぎ、将来の年金給付などを行っている組織です。
以前勤めていた会社で厚生年金基金や確定給付企業年金などに加入していた方は、自分では意識していなくても関係していることがあります。
そのため、企業年金連合会から突然通知が届いたとしても、それだけで不審な書類と判断する必要はありません。
過去の勤務先の企業年金が企業年金連合会へ引き継がれ、年金の記録や請求について案内されている可能性があります。
特に転職を何度か経験している方や、以前の勤務先に厚生年金基金があった方は、国から受け取る老齢年金とは別に企業年金連合会から年金を受け取れる場合があります。
「昔の会社だから関係ないだろう」「退職金を受け取ったから年金も全部精算済みだろう」と思っている方ほど、一度確認しておきたいところです。
企業年金は、国民年金や厚生年金保険と比べると普段確認する機会が少なく、何十年も前の勤務先に関する記録が老後になって初めて関係してくることもあります。
この記事では、企業年金連合会とは何をしている組織なのか、通知が届く理由、中途脱退した企業年金の扱い、年金記録の確認方法、受給時の請求手続きまで順番に整理します。
- 企業年金連合会がどのような役割を担う組織なのか
- 退職や転職後の企業年金がどこへ移るのか
- 企業年金連合会から年金を受け取れる可能性がある人
- 年金記録の確認方法と受給時の請求手続き

企業年金連合会とは?役割と仕組み
企業年金連合会を理解するときは、まず日本年金機構とは別の組織であることを押さえておきましょう。
企業年金連合会は、厚生労働大臣の認可により設立された特別の法人で、主に企業年金の中途脱退者などから年金資産や記録を引き継ぎ、管理・運用・給付を行っています。
企業年金連合会は、前身である厚生年金基金連合会から組織を発展させ、企業年金制度間の年金資産の通算を担う機関として機能しています。
企業年金連合会の公表資料では、約3,000万人の加入者に関する年金記録を管理し、約850万人に年金を支給しているとされています。
非常に多くの方の企業年金に関係する組織だということが分かります。
会社員として働いている間は、自分がどの企業年金制度に加入しているかを詳しく意識する機会が少ないかもしれません。
しかし、退職や転職によって企業年金を脱退すると、それまで積み上げてきた年金資産をどう扱うかという問題が生じます。
そこで重要になるのが、企業年金連合会による年金通算事業とポータビリティの仕組みです。
社会保険とはの全体像については、社会保険とは?仕組み・種類・広義と狭義の違いをまとめた記事で確認できます。
企業年金連合会は「国の年金を管理するところ」ではなく、「企業年金の通算を支えるところ」と考えると整理しやすいです。
日本年金機構から受け取る老齢基礎年金・老齢厚生年金とは別に、企業年金連合会から年金が支給されることがあります。
企業年金連合会から通知が届く理由
企業年金連合会から通知が届いた場合、最初に確認したいのは 過去に勤めていた会社で企業年金に加入していなかったか という点です。
現在の勤務先だけを考えていると「企業年金連合会に加入した覚えがない」と感じるかもしれません。
しかし、企業年金連合会との関係は、本人が直接申し込んで始まるものばかりではありません。
以前の勤務先で加入していた厚生年金基金や確定給付企業年金などを脱退した際、その年金原資や記録が企業年金連合会へ引き継がれているケースがあります。
本人が企業年金への加入を覚えていないケースもある
企業年金は勤務先を通じて加入することが多いため、個人で生命保険やiDeCoを申し込んだ場合とは感覚が違います。
会社へ入社した際に企業年金制度の対象となり、給与や退職金制度の一部として運用されていたため、本人には「企業年金に加入した」という強い記憶が残っていないことがあります。
特に20年、30年前に勤めていた会社の制度については、当時の就業規則や退職金規程、基金の加入員証などを現在まで保管している方のほうが少ないでしょう。
私も年金制度を説明するときは、現在の勤務先だけではなく、過去の勤務先を時系列で整理して考えることが大切だとお伝えしています。
代表的なものとして、企業年金の原資が移換された際に送られる「移換完了通知書」や「年金の引き継ぎのお知らせ」などがあります。
また、年金を受給する時期が近づいた方には、年金請求に関する書類が案内されることがあります。
通知が届いたときに確認したいこと
- 以前勤めていた会社の名称
- 厚生年金基金や企業年金に加入していた記憶がないか
- 通知に記載されている氏名や生年月日
- 基礎年金番号や加入員番号などの記録
- 年金資産の移換や請求に関する案内かどうか
通知を見ただけで「年金がすぐ振り込まれる」とは限らない
もう一つ注意したいのが、企業年金連合会から書類が届いたことと、すぐに年金の支給が始まることは同じではないという点です。
通知の目的が、年金資産を引き継いだことのお知らせなのか、登録情報の確認なのか、年金請求の案内なのかによって、あなたが行うべき対応は変わります。
そのため、封筒の差出人だけを見て判断するのではなく、書類の名称と「何をしてくださいと書かれているか」を確認してください。
請求書が同封されている場合には提出期限や必要書類を確認し、単なる移換完了の通知であれば将来の確認のために保管しておくとよいでしょう。
特に昔の勤務先については、給与明細や退職時の書類が残っておらず、本人も企業年金への加入を覚えていないことがあります。
企業年金は勤務先を通じて加入する制度であるため、「自分で契約した記憶がない」ということ自体は珍しくありません。
通知を捨てる前に内容を確認してください。
企業年金に関する書類は、何十年も前の勤務先に関係する場合があります。
現在の会社名が書かれていないからといって、自分とは無関係とは限りません。
一方で、年金を装った不審な連絡に注意することも必要です。
突然、電話やメールで銀行口座の暗証番号を聞かれたり、金銭の振込みを求められたりした場合には、その場で対応せず、企業年金連合会の公式な連絡先を自分で確認するのが安全です。
通知の真偽が分からなければ、記載された番号だけを信用するのではなく、公式サイトに掲載されている窓口から確認しましょう。
中途脱退者の年金資産を引き継ぐ仕組み

企業年金連合会の重要な役割の一つが、企業年金の 中途脱退者の年金資産を引き継ぐこと です。
企業年金は、必ずしも一つの会社に定年まで勤め続けることを前提としているわけではありません。
転職や退職によって制度を途中で脱退した場合でも、それまで積み上げた年金資産を一定の条件のもとで別の企業年金制度などへ移す仕組みがあります。
このように年金資産を制度間で持ち運ぶことを、一般に ポータビリティ と呼びます。
企業年金連合会は、その受け皿の一つとして機能しています。
企業年金は退職した瞬間に消えるわけではない
企業年金について誤解されやすいのが、「会社を辞めれば、その会社の年金制度との関係もすべて終わる」という考え方です。
確かに退職によってその企業年金制度の加入者資格を喪失することはありますが、それまでに形成された年金原資まで当然になくなるわけではありません。
退職時には、加入していた企業年金制度の規約や加入期間などに応じて、脱退一時金として受け取る、企業年金連合会へ移換する、転職先の制度へ移換するなどの選択肢が生じることがあります。
たとえば、確定給付企業年金に加入していた方が退職し、規約で定める脱退一時金の受給要件を満たす場合、その年金原資を企業年金連合会へ移換し、将来の通算企業年金として受け取る方法があります。
一時金としてその時点で受け取る方法と、将来の年金につなげる方法では、資金を受け取る時期も老後の収入設計も異なります。
そのため、「どちらが得か」を金額だけで単純に決めるより、将来の生活資金、ほかの退職金や年金、税務上の取扱いなども含めて考える必要があります。
中途脱退者といっても、単に「会社を途中で辞めた人」であれば全員同じ取扱いになるわけではありません。
加入していた企業年金の種類、加入期間、退職時期、制度の規約などによって移換できる資産や選択肢が異なります。
退職金と企業年金は分けて確認する
実務では、「前の会社で退職金の手続きをしたから、企業年金も全部終わっている」と考えてしまうケースがあります。
しかし、会社から支給される退職一時金と、企業年金制度上の脱退一時金や年金原資は必ずしも同じものではありません。
会社の退職給付制度は、社内積立による退職一時金だけで構成されているとは限らず、確定給付企業年金や確定拠出年金などを組み合わせて設計されていることがあります。
したがって、退職時に会社から一定額を受け取っていたとしても、それとは別に企業年金に関する権利や資産が残っている場合があります。
退職時に受け取ったお金と、将来受け取る企業年金を分けて考えること がポイントです。
過去の勤務先について確認するときは、「退職金をもらったか」だけではなく、「厚生年金基金や確定給付企業年金の加入員証を受け取っていなかったか」「退職時に移換という言葉が書かれた書類を受け取っていなかったか」という視点で探すと、記憶をたどりやすくなります。
昔の企業年金を確認するときは、勤務先ごとに整理すると分かりやすいです。
- 勤務していた会社名と勤務期間
- 退職金を受け取ったか
- 厚生年金基金や企業年金基金の名称
- 退職時に移換手続きをした記憶があるか
- 企業年金連合会から通知を受け取っていないか
厚生年金基金や企業年金との関係
企業年金連合会が分かりにくい理由の一つが、「厚生年金」「厚生年金基金」「企業年金」という似た言葉が並ぶことです。
まず、会社員などが加入する厚生年金保険は公的年金です。
これに対し、確定給付企業年金や企業型確定拠出年金、厚生年金基金などは、企業が従業員の老後所得を補完するために設ける企業年金制度です。
| 制度・組織 | 基本的な位置づけ | 主な役割 |
|---|---|---|
| 厚生年金保険 | 公的年金 | 会社員などの老齢・障害・遺族保障 |
| 確定給付企業年金 | 企業年金 | 規約に基づき将来の給付を行う |
| 企業型確定拠出年金 | 企業年金 | 拠出した資産を加入者が運用する |
| 厚生年金基金 | 企業年金 | 従来、厚生年金の一部を代行し上乗せ給付を実施 |
| 企業年金連合会 | 企業年金の通算機関 | 中途脱退者などの資産・記録の管理や年金給付 |
日本年金機構と企業年金連合会は別の組織
あなたが国民年金や厚生年金保険について確認するときの中心となるのは日本年金機構です。
一方、企業年金連合会は、企業年金の中途脱退者などに関する年金資産や記録を取り扱います。
この違いは、将来の年金額を確認するときに非常に重要です。
日本年金機構から届く年金関係書類を確認して「自分の年金はこれですべてだ」と考えてしまうと、過去の企業年金に関する給付を見落とす可能性があります。
特に厚生年金基金については注意が必要です。
厚生年金基金は、かつて国の老齢厚生年金の一部を代行して給付するとともに、独自の上乗せ給付を行っていました。
制度改正により現在は新たな厚生年金基金を設立できませんが、過去に加入していた方の年金記録や給付までなくなったわけではありません。
厚生年金基金がなくなっていても記録まで消えたとは限らない
以前加入していた厚生年金基金の名称を検索しても、現在その基金が見つからないことがあります。
しかし、基金自体が解散していることと、加入していた期間に対応する年金の権利がすべてなくなることは別の話です。
基金の解散や制度移行に伴って、一定の年金記録が企業年金連合会へ引き継がれている場合があります。
このため、昔勤めていた会社の基金が現在存在していないとしても、「もう確認できない」と決めつける必要はありません。
そのため、過去に厚生年金基金へ加入していた方では、老後の年金が日本年金機構からだけ支給されるとは限りません。
加入していた基金や企業年金連合会から別途支給される年金がある場合があります。
「厚生年金に加入していた」ことと「厚生年金基金に加入していた」ことは同じではありません。
厚生年金保険は会社員などが加入する公的年金ですが、厚生年金基金は勤務先などが設けていた企業年金の一種です。
名称が似ているため、過去の書類を確認するときは混同しないようにしましょう。
日本年金機構が発行する年金定期便については、 年金定期便の見方と年金見込額 でも詳しく解説しています。
年金定期便は公的年金の加入記録を確認するうえで非常に重要な資料ですが、それだけで企業年金連合会から受け取る給付のすべてを判断するのではなく、企業年金側の記録も別に確認することが重要です。
転職や退職後の年金資産はどうなる?

転職や退職をしたからといって、それまで企業年金に積み立てられていた資産が直ちになくなるわけではありません。
企業年金には、一定の条件のもとで年金資産を次の制度へ引き継ぐ仕組みがあります。
ただし、どこへ移換できるかは、退職前に加入していた制度と、転職後に加入する制度によって異なります。
たとえば確定給付企業年金の中途脱退者では、条件に応じて企業年金連合会の通算企業年金、転職先の企業年金、企業型確定拠出年金、iDeCoなどが選択肢になることがあります。
退職時は「退職金」だけでなく「企業年金」を確認する
退職時には、雇用保険、健康保険、住民税、源泉徴収票、退職金など、多くの手続きや書類が一度に発生します。
そのため、企業年金の案内があっても十分に内容を確認しないまま時間が経過してしまうことがあります。
社労士として見ても、退職時は確認事項が多く、従業員にとって制度の違いをすべて理解するのは簡単ではありません。
だからこそ、退職時に企業年金関係の書類を受け取ったら、少なくとも「今すぐ何かを受け取る書類なのか」「どこかへ資産を移す手続きなのか」「将来の年金として残すものなのか」は確認しておきたいところです。
退職したときは次の3点をセットで確認しましょう。
- 前職で何の企業年金制度に加入していたか
- 脱退一時金や年金資産があるか
- その資産をどこへ移換できるか
ここで重要なのが、 企業から直接支払われる通常の退職一時金まで自由にiDeCoなどへ移せるわけではない ことです。
ポータビリティの対象として扱われるのは、企業年金制度上の年金原資などであり、会社から現金で支払われる退職金と同じように考えることはできません。
何もしなかった場合の取扱いも確認する
企業年金制度によっては、退職後に本人が一定の期間内に移換先を選択する必要があります。
「まだ転職先が決まっていないから後で考えよう」と放置しているうちに、希望していた方法を選択できなくなる可能性があります。
また、企業型確定拠出年金などでは、資格喪失後の資産移換を適切に行わないと、自分が希望する形とは異なる取扱いになる場合があります。
企業年金制度は種類によって手続きが大きく異なりますので、以前聞いた別の会社の事例をそのまま当てはめないことが大切です。
また、手続きには期限が設けられているものがあります。
確定給付企業年金から別制度への移換などでは、資格喪失後の一定期間内に申出が必要になるケースがあります。
「退職してから時間がたっても、いつでも同じ移換方法を選べる」とは限りません。
退職時に渡された企業年金の説明書類は捨てずに保管し、移換を希望する場合は早めに制度の実施者へ確認してください。
会社側にも、中途脱退時の移換制度について適切に案内することが求められる場面があります。
従業員の立場では、退職時に「退職金はいくらか」だけを見るのではなく、企業年金の手続きが別にないか確認することが大切です。
企業年金関係の書類には日常生活では使わない用語が多く出てきますが、「脱退一時金」「移換」「企業年金連合会」「確定拠出年金」といった言葉が記載されていたら、処分する前に内容を確認しておきましょう。
iDeCoなどへ資産を移換できる場合
企業年金のポータビリティでは、一定の条件を満たすと年金資産をiDeCoや転職先の企業型確定拠出年金などへ移換できる場合があります。
たとえば確定給付企業年金を退職によって脱退し、脱退一時金相当額を受け取れる方については、要件を満たせばiDeCoなどへ移換できるケースがあります。
また、いったん企業年金連合会へ移換した通算企業年金の原資についても、その後の加入状況などによっては企業型確定拠出年金やiDeCoなどへの移換が可能な場合があります。
移換先は自由に選べるとは限らない
ただし、 どの制度からどの制度へでも自由に移せるわけではありません。
転職先の制度が資産の受入れに対応しているか、本人が移換先制度の加入要件を満たしているか、移換を申し出られる期間内かなどを確認する必要があります。
たとえば転職先に企業型確定拠出年金があるからといって、前職で保有していたすべての年金資産を必ずその制度へ移せるとは限りません。
反対に、転職先の制度へ直接移す以外にも、iDeCoや企業年金連合会などが選択肢になるケースがあります。
| 状況 | 考えられる選択肢の例 | 確認先 |
|---|---|---|
| DBを中途脱退 | 企業年金連合会、iDeCo、転職先制度など | 前職の企業・企業年金基金 |
| 企業型DCを退職 | 転職先DC、iDeCoなど | 前職・転職先・運営管理機関 |
| 連合会へ移換後に再就職 | 条件により企業型DCやiDeCoなど | 企業年金連合会・移換先制度 |
一時金で受け取るか年金につなげるかも考える
企業年金から脱退した際に複数の選択肢がある場合には、「今受け取れるなら一時金が一番よい」と単純に決めないほうがよいこともあります。
一時金として受け取れば手元資金になりますが、その後は自分で管理することになります。
一方、企業年金連合会などへ移換して年金化する場合には、老後の定期的な収入につなげられる可能性があります。
どちらが適しているかは、金額だけでは決まりません。
あなたの年齢、ほかの退職金、預貯金、住宅ローン、老後の生活費、公的年金の見込額、今後の働き方などによって判断は変わります。
また、企業年金の受け取り方によって税務上の取扱いが異なる場合があります。
特に退職金と企業年金を同時期に受け取る場合などは、税金まで含めて確認したほうがよいケースがあります。
移換の期限を最優先で確認する
移換申出期限も制度ごとに異なります。
企業年金連合会から確定拠出年金等へ移換する場合を含め、加入後や資格喪失後の一定期間内に申出が必要となる制度があります。
期限のある手続きは、損得の検討より先に期限を確認してください。
検討しているうちに申出期間を過ぎてしまえば、当初希望していた選択肢を利用できなくなる可能性があります。
期限や対象となる資産は制度改正によって変わる可能性がありますので、実際に移換するときは退職時の古い資料やインターネット上の過去の記事だけで判断せず、その時点の公式情報を確認してください。
特に企業年金は個人ごとに加入履歴が異なります。
同じ会社を退職した方でも、入社時期や加入期間などによって取扱いが異なる可能性がありますので、自分自身の案内書類を基準に確認するのが基本です。
企業年金連合会の年金と請求手続き
過去の企業年金が企業年金連合会へ引き継がれている場合、一定の要件を満たすと将来、企業年金連合会から年金を受け取れることがあります。
ただし、企業年金連合会に記録があることと、何もしなくても自動的に年金が振り込まれることは別の話です。
企業年金は、過去の勤務先と現在の生活が時間的に大きく離れていることがあります。
20代や30代で退職した会社の記録について、60歳前後になってから請求手続きをするということもあります。
その間に転居、結婚による氏名変更、金融機関の変更などがあれば、企業年金連合会が把握している情報と現在の情報が一致していない可能性もあります。
ここからは、自分が対象になっているか確認する方法、年金見込額の確認、請求手続き、通知が届かない場合の対応を順番に見ていきます。
企業年金連合会の年金をもらえる人
企業年金連合会から年金を受け取れる可能性があるのは、過去の企業年金に関する年金原資や記録が企業年金連合会へ引き継がれている方です。
典型的なのは、過去に厚生年金基金や確定給付企業年金などに加入し、退職によって中途脱退した際に、その年金原資が企業年金連合会へ移換されたケースです。
また、解散した厚生年金基金などに関係する記録を企業年金連合会が引き継いでいる場合もあります。
ここで覚えておきたいのは、 現在の会社に企業年金があるかどうかだけでは判断できない ということです。
たとえば20代で勤務した会社に厚生年金基金があり、その後まったく別の会社へ転職していた場合でも、当時の年金記録が企業年金連合会に残っている可能性があります。
「今の会社」ではなく「これまでの勤務歴」で考える
企業年金連合会との関係を確認するときは、現在の勤務先から逆算するより、初めて会社員として働いた時点から勤務歴を並べるほうが分かりやすいです。
たとえば、A社に5年間勤務、B社に10年間勤務、現在C社に勤務しているという場合、C社の企業年金制度だけを調べても十分ではありません。
A社やB社で厚生年金基金や確定給付企業年金に加入していれば、その時代の記録が企業年金連合会に関係している可能性があります。
次のような方は一度確認してみる価値があります。
- 過去に厚生年金基金へ加入していた記憶がある
- 退職時に企業年金の移換に関する書類を受け取った
- 企業年金連合会から過去に通知が届いた
- 転職回数が多く昔の企業年金の状況が分からない
- 以前の勤務先や企業年金基金がすでに存在しない
会社員だった人全員が対象になるわけではない
一方で、「以前会社員だった」という理由だけで全員が企業年金連合会から年金を受け取れるわけではありません。
そもそも勤務先に対象となる企業年金制度がなかった場合や、年金原資が別制度へ移換されている場合、すでに一時金として受け取っている場合なども考えられます。
また、企業型確定拠出年金に加入していた経験があるからといって、必ず企業年金連合会に資産があるとも限りません。
確定拠出年金については、転職や退職時に別の確定拠出年金制度へ資産を移換していることもあります。
「昔、会社に企業年金があった」=「企業年金連合会から必ず年金をもらえる」ではありません。
重要なのは、あなたの年金原資や記録が最終的にどこへ引き継がれたかです。
最終的には、自分の記憶だけではなく企業年金連合会が保有している年金記録を確認するのが確実です。
何十年も前の勤務先について「たしか基金があったような気がする」という程度でも、確認する意味はあります。
反対に、記憶では加入していたつもりでも実際には別制度だったということもありますので、記録で確認することが大切です。
自分の企業年金記録を確認する方法

昔の勤務先で企業年金に加入していたか分からない場合は、企業年金連合会の年金記録確認サービスを利用できます。
企業年金連合会では、氏名、生年月日、基礎年金番号などの情報をもとに、企業年金連合会が自分の年金記録を保有しているか確認する仕組みを設けています。
過去の勤務先からもらった加入員証などが残っていれば確認しやすくなりますが、手元にないからといって直ちに確認できないわけではありません。
まず自宅にある昔の書類を探してみる
インターネットで記録確認をする前に、古い年金関係書類が残っていないか確認してみるのも有効です。
たとえば、厚生年金基金の加入員証、企業年金基金からの案内、退職時の企業年金に関する説明書、企業年金連合会から届いた移換完了通知書などです。
これらの書類には、基金名や加入員番号など、照会するときに役立つ情報が記載されている場合があります。
記録確認の際に整理しておきたい情報
- 基礎年金番号
- 現在の氏名と旧姓
- 生年月日
- 過去の勤務先名
- 加入していた厚生年金基金の名称
- 加入員番号が分かる書類
特に結婚などで姓が変わっている方は、旧姓で記録されている可能性も考えて確認しましょう。
過去の勤務先の名称についても注意が必要です。
会社の合併、商号変更、事業譲渡などによって現在とは会社名が違うことがあります。
記憶にある現在の社名だけではなく、実際に勤務していた当時の会社名を書き出してみると記録を確認しやすくなります。
基礎年金番号が分からない場合
基礎年金番号が分からない場合は、マイナポータルや基礎年金番号通知書などから確認できます。
詳しい方法は 基礎年金番号の調べ方 で整理しています。
以前は年金手帳を見て番号を確認することが一般的でしたが、現在は年金手帳の新規発行が終了しており、基礎年金番号通知書などで確認する仕組みになっています。
古い年金手帳を持っている方については、そこから番号を確認できる場合もあります。
ねんきんネットだけでは企業年金の確認が完結しない
なお、企業年金連合会の年金記録と、日本年金機構が管理している国民年金・厚生年金の記録は確認先が異なります。
ねんきんネットは公的年金の記録を確認するうえで非常に便利ですが、 「ねんきんネットを確認したから自分の老後の年金はすべて把握できた」とは限りません。
企業年金連合会のほか、現在の勤務先が独自に実施している企業年金、確定拠出年金、個人で加入しているiDeCoなどがあれば、それぞれ別に確認する必要があります。
老後の年金を確認するときは、支給元を分けて整理すると分かりやすいです。
- 日本年金機構から受け取る公的年金
- 企業年金連合会から受け取る年金
- 現在または過去の企業年金基金から受け取る年金
- 企業型確定拠出年金やiDeCoの資産
企業年金連合会が関係している可能性がある場合は、連合会側の記録も確認してください。
年金額と受給開始時期を確認する方法
企業年金連合会に記録があることが分かったら、次に気になるのが「いくら受け取れるのか」「何歳から受け取れるのか」だと思います。
過去に「移換完了通知書」や「年金の引き継ぎのお知らせ」を受け取っている場合、その書類に将来の年金見込額などが記載されていることがあります。
ただし、昔の通知に記載されている金額を、そのまま現在の受給額だと考えるのは避けたほうがよいでしょう。
制度の種類や給付条件などによって、確認すべき内容が異なります。
企業年金連合会の年金は全員同じ条件ではない
企業年金連合会が扱う年金には、過去に加入していた制度や年金原資の移換経緯などによってさまざまなものがあります。
そのため、「企業年金連合会なら全員65歳から同じ計算方法で受け取る」と考えるのは適切ではありません。
企業年金連合会の年金の支給開始年齢は、すべての人が一律ではありません。
加入していた制度、移換された年金の種類、生年月日などによって異なる場合があります。
公的年金については老齢基礎年金・老齢厚生年金が原則65歳からという基本がありますが、企業年金連合会の給付を同じルールだけで判断することはできません。
公的年金側の受給開始年齢について確認したい方は、 年金は何歳からもらえるかを解説した記事 も参考にしてください。
年額・月額・手取りを混同しない
年金額を確認するときには、その数字が年額なのか月額なのかも確認してください。
たとえば通知書に年額として記載されている金額を、そのまま毎月受け取れる金額だと誤解すると、老後の資金計画が大きく変わってしまいます。
また、記載された年金額と、実際に銀行口座へ入る手取り額は同じとは限りません。
年金の種類や本人の所得状況などによっては、税金などが関係する場合があります。
企業年金を老後の生活費に組み込むのであれば、「額面で年間いくらなのか」「何歳から受け取れるのか」「終身なのか一定期間なのか」「公的年金とは別にいくら入るのか」といった項目を整理しておくとよいでしょう。
| 確認する項目 | 確認する理由 |
|---|---|
| 年金の種類 | 給付条件や支給期間が異なるため |
| 受給開始年齢 | 公的年金と開始時期が同じとは限らないため |
| 年金額 | 老後の収入を把握するため |
| 支給期間 | 終身か有期かで老後設計が変わるため |
| 請求の要否 | 自動支給とは限らないため |
日本年金機構からの年金と企業年金連合会からの年金は、分けて確認する ことが大切です。
老後の収入を把握するときは、それぞれの支給元、受給開始時期、見込額を一覧にして整理すると分かりやすくなります。
預貯金や退職金だけを見るのではなく、毎年継続的に受け取れる収入がどれだけあるかを整理することで、老後の生活設計も具体的になります。
年金の請求手続きと必要書類
企業年金連合会から年金を受け取るには、対象となる方が所定の請求手続きを行う必要があります。
「年金の記録があるのだから、年齢になれば自動的に口座へ振り込まれる」と考えないことが重要です。
企業年金連合会では、年金を受け取る権利があることを確認する手続きを裁定といい、裁定請求書に必要事項を記載して書面で手続きする方法などがあります。
現在は、一定の条件を満たす方について年金請求のオンライン手続きも用意されています。
まず手元に届いた裁定請求書を確認する
年金の受給開始時期が近づくと、企業年金連合会から裁定請求書などの請求関係書類が届く場合があります。
書類が届いたら、最初に氏名、生年月日、住所などの基本情報に誤りがないか確認しましょう。
次に、請求書をいつまでに提出する必要があるのか、どのような添付書類が必要なのかを確認します。
年金の種類や受給者の状況によって必要書類が異なる場合があるため、インターネット上で見つけた他人の事例よりも、あなたの手元に届いた案内を優先してください。
| 確認項目 | 内容の例 |
|---|---|
| 本人情報 | 氏名、生年月日、住所など |
| 年金記録 | 基礎年金番号、加入員番号など |
| 受取先 | 年金を受け取る金融機関情報 |
| 添付書類 | 請求する年金や本人の状況に応じた確認書類 |
オンライン請求を利用できる場合もある
企業年金連合会では、年金請求や氏名・住所・受取金融機関の変更についてオンライン手続きの仕組みが整備されています。
オンライン手続きではマイナンバーカードなどが必要となる場合があります。
また、請求する年金の内容や、一時金の受け取り方、扶養親族等申告書の提出が必要なケースなど、状況によってオンライン手続きの対象外になる場合があります。
オンライン手続きがあるからといって、すべての請求をオンラインで完結できるとは限りません。
あなたの請求がオンライン対象かどうかを確認し、対象外であれば書面による手続きを進めます。
住所や氏名が昔のままの場合は要注意
また、住所や氏名が変わっているにもかかわらず企業年金連合会の登録情報が古いと、請求に必要な案内が届かない原因になります。
特に20代や30代で企業年金を脱退し、その後60歳前後で請求する場合、その間に複数回転居していることも珍しくありません。
結婚や離婚などによって氏名が変わっているケースもあります。
現在はオンラインまたは書面による氏名・住所等の変更手続きが用意されていますので、企業年金連合会に年金記録があることが分かっている方は、登録情報が現在の情報と一致しているか確認しておくとよいでしょう。
年金請求書が届かないからといって、年金を受け取る権利がないとは限りません。
住所変更などにより郵便が届いていない可能性もあります。
受給時期が近いのに何も案内がない場合は、自分から記録を確認することも大切です。
実際に請求するときは、手元に届いた請求書や企業年金連合会の最新の案内に記載されている必要書類を基準にしてください。
通知が届かない場合の確認方法

「昔、企業年金に入っていたはずなのに企業年金連合会から何も届かない」という場合でも、通知が届かないことだけを理由に年金がないと判断するのは早いです。
まず考えられるのが、企業年金連合会に登録されている住所と現在の住所が違っているケースです。
企業年金の記録は、退職後数十年にわたって関係することがあります。
その間に引っ越しや結婚による氏名変更があれば、古い登録情報のままになっている可能性があります。
通知が来ない理由は一つではない
企業年金連合会から通知が届かない理由としては、住所変更以外にもいくつか考えられます。
たとえば、そもそも年金原資が企業年金連合会へ移換されていない場合があります。
退職時に一時金として受け取っていたり、転職先の企業年金制度へ移換していたり、iDeCoなど別の制度へ資産を移していたりすれば、企業年金連合会が支給元になるとは限りません。
また、自分では厚生年金基金に加入していたつもりでも、実際には企業独自の別の退職給付制度だったということも考えられます。
通知がない場合は次の順番で確認すると整理しやすいです。
- 昔の勤務先で企業年金に加入していたか確認する
- 退職時の企業年金関係書類を探す
- 企業年金連合会に年金記録があるか確認する
- 登録されている住所や氏名を確認する
- 別の企業年金やiDeCoへ移換していないか確認する
昔の勤務先がなくなっていても確認できる場合がある
昔の勤務先がすでになくなっていたとしても、それだけで確認を諦める必要はありません。
厚生年金基金や確定給付企業年金の記録が企業年金連合会へ引き継がれているケースがあります。
会社が合併して社名が変わっている場合や、勤務していた会社そのものが廃業している場合でも、年金記録の確認先が残っている可能性があります。
まずは当時の会社名、勤務期間、加入していた基金名など、分かる範囲で情報を整理しましょう。
反対に、以前の会社に企業年金があったとしても、必ず企業年金連合会へ移換されているとは限りません。
退職時の選択や制度の内容によって取扱いは異なります。
記憶より記録を優先する
何十年も前の勤務先について、本人の記憶が曖昧になるのは自然なことです。
「退職金はもらったと思う」「基金に入っていた気がする」「何か書類が届いた覚えがある」といった断片的な記憶だけでは、年金の有無を正確に判断できません。
そこで大切なのが、 記憶で結論を出さず、記録を確認すること です。
昔の給与明細、退職時の書類、年金手帳、厚生年金基金の加入員証、企業年金連合会からの通知などが残っていないか確認し、それでも分からなければ企業年金連合会へ照会します。
昔の勤務先が複数ある場合は、紙に勤務歴を書き出す方法がおすすめです。
「会社名・入社年月・退職年月・企業年金の有無・退職時の受取状況」を並べると、どの会社の記録が不明なのか見えやすくなります。
記憶だけで判断せず、勤務歴と年金記録を一つずつ照合していくのが確実です。
企業年金連合会を確認して備えよう
企業年金連合会は、転職や退職などによって企業年金を中途脱退した方の年金資産や記録を引き継ぎ、将来の年金給付などを行う重要な役割を持っています。
そのため、企業年金連合会から通知が届いても、「知らない団体だから自分には関係ない」と処分するのはおすすめできません。
まず過去の勤務先を振り返り、厚生年金基金、確定給付企業年金、企業型確定拠出年金などに加入していなかったかを確認してみてください。
この記事のポイント
- 企業年金連合会は企業年金の通算を担う組織
- 中途脱退者の年金資産や記録を引き継ぐ場合がある
- 過去の勤務先の企業年金が現在の受給につながることがある
- 企業年金の記録は企業年金連合会へ確認できる
- 年金を受け取る際には所定の請求手続きが必要
公的年金だけで老後の収入を判断しない
特に転職回数が多い方や、かなり以前に厚生年金基金へ加入していた方では、自分自身が企業年金の存在を忘れているケースも考えられます。
老後の年金を考えるとき、多くの方が最初に見るのは年金定期便やねんきんネットです。
もちろん公的年金の確認は非常に重要ですが、それだけでは企業年金まで把握できない場合があります。
企業年金連合会、現在の勤務先の企業年金、企業型確定拠出年金、iDeCoなどがある場合には、それぞれを確認して初めて老後の収入全体が見えてきます。
| 老後資金の確認先 | 主な確認内容 |
|---|---|
| 日本年金機構 | 老齢基礎年金・老齢厚生年金など |
| 企業年金連合会 | 引き継がれた企業年金の記録・給付 |
| 勤務先・企業年金基金 | 現在加入している企業年金 |
| 確定拠出年金の管理機関 | 企業型DC・iDeCo等の資産 |
| 本人 | 預貯金、退職金、その他の老後資産 |
現役のうちに一度整理しておく
企業年金の確認は、受給直前になってから始めなければならないものではありません。
むしろ、現役のうちに過去の勤務歴と企業年金の記録を整理しておくほうが安心です。
古い書類を見ても制度名が分からない場合には、「どの会社で、いつ働いていたか」だけでも整理しておきましょう。
その情報があれば、後から記録を確認するときの手掛かりになります。
また、企業年金連合会に年金記録があることが分かった場合には、通知書などを公的年金の書類と一緒に保管しておくとよいでしょう。
家族にも保管場所を伝えておけば、将来本人が書類を確認できない状況になったときにも役立つ可能性があります。
企業年金を確認するときの基本的な流れ
- 過去の勤務先を一覧にする
- 企業年金に加入していた勤務先を確認する
- 退職時に一時金や移換の手続きをしていないか確認する
- 企業年金連合会に記録があるか確認する
- 受給開始時期と見込額を確認する
- 住所や氏名などの登録情報を最新にする
- 受給時期が来たら必要な請求手続きを行う
企業年金は、公的年金以上に「人によって加入履歴が違う」制度です。
同じ年齢、同じ勤務年数であっても、勤めていた会社の制度や退職時の選択によって将来の給付は変わります。
したがって、インターネット上で見つけた他人の受給例や金額を、自分にもそのまま当てはめるのは避けてください。
なお、企業年金制度の移換条件、請求方法、支給開始時期などは、加入していた制度や個人の状況によって異なります。
制度改正によって取扱いが変更される可能性もあるため、 正確な情報は公式サイトをご確認ください 。
企業年金の移換や受給方法によって将来受け取る年金や税務上の取扱いなどに影響する場合があります。
複数の選択肢があり判断に迷う場合には、制度の実施者や企業年金連合会へ確認したうえで、 最終的な判断は専門家にご相談ください 。
企業年金は、昔の勤務先で積み上げた資産が何十年後の生活につながる制度です。
企業年金連合会から通知が届いたことをきっかけにこの記事を読まれた方は、通知だけを確認して終わりにするのではなく、この機会に公的年金と企業年金をまとめて整理しておくとよいかなと思います。