社会保険・年金

資格取得届の申請と書き方|提出期限と記入例を実務で確認

こんにちは。

もりおか社会保険労務士事務所、社会保険労務士の川熊です。

従業員を新たに採用して社会保険へ加入させる場合、会社は健康保険・厚生年金保険の被保険者資格取得届を提出します。

この記事では、初めて手続きをする担当者でも迷わないように、資格取得届の申請と書き方を記入項目ごとに整理します。

資格取得届そのものは、それほどページ数の多い複雑な書類ではありません。

ただ、実際に手続きをしてみると「資格取得日は入社日でいいのか」「報酬月額には基本給だけを書けばいいのか」「マイナンバーと基礎年金番号はどちらを書くのか」「扶養家族がいる場合は資格取得届だけでいいのか」など、細かなところで判断に迷いやすい書類でもあります。

実務では、資格取得年月日、マイナンバーまたは基礎年金番号、報酬月額などの記入方法で迷うケースが多くあります。

また、資格取得届という名称は社会保険だけでなく雇用保険でも使われるため、まずどちらの届出を行うのかを整理しておくことも大切です。

特に新しく人事・総務を担当することになった方の場合、社会保険と雇用保険の手続きが同じタイミングで発生するため、書類の名称だけを見ていると混同しやすいですよ。

提出先も提出期限も異なりますので、入社手続きを一つのまとまりとして管理しながら、それぞれの制度を切り分けて考えることが重要です。

この記事では、健康保険・厚生年金保険の資格取得届を中心に、提出期限、記入方法、被扶養者がいる場合の対応、60歳以上の継続再雇用まで、企業の人事・総務担当者が実際の入社手続きで確認したいポイントを順番に解説します。

  • 社会保険と雇用保険の資格取得届の違い
  • 資格取得届の提出期限と具体的な記入方法
  • マイナンバーや報酬月額を記入するときの注意点
  • 被扶養者や60歳以上の再雇用で必要になる追加手続き

資格取得届の申請と書き方|記入例と提出期限を整理

健康保険証全体の流れは、マイナ保険証への移行について解説した記事でまとめて整理しています。

資格取得届の申請と書き方の基本

資格取得届を書く前に、まず確認したいのが「何の資格取得届なのか」「誰について提出が必要なのか」「いつまでに提出するのか」という3点です。

書類の記入方法だけを確認しても、加入対象者や資格取得日そのものを間違えてしまえば正しい手続きにはなりません。

ここでは、資格取得届の申請を始める前に押さえておきたい基本から整理します。

特に会社側で重要なのは、資格取得届を単なる「入社時の書類」と考えないことです。

社会保険への加入は、会社や本人が任意に加入日を選ぶものではなく、法律上の加入要件を満たした時点で資格が発生します。

その事実を行政へ届け出るのが資格取得届です。

この基本を押さえておくと、資格取得日の考え方や提出期限についても理解しやすくなります。

社会保険と雇用保険の資格取得届の違い

資格取得届という名称は、実務では大きく分けて 健康保険・厚生年金保険の資格取得届 雇用保険の資格取得届 の2種類があります。

社会保険とはの全体像については、社会保険とは?仕組み・種類・広義と狭義の違いについて整理した記事で確認できます。

ここは採用時によく混同されるポイントです。

どちらも従業員を採用したときに関係するため名称だけを見ると似ていますが、提出先も提出期限も記入する内容も異なります。

項目 健康保険・厚生年金保険 雇用保険
正式な届出 健康保険・厚生年金保険 被保険者資格取得届 雇用保険被保険者資格取得届
主な提出先 事務センター・管轄年金事務所 管轄ハローワーク
提出期限 原則として事実発生から5日以内 原則として資格取得日の属する月の翌月10日まで
主な確認事項 資格取得日、マイナンバー、報酬月額など 被保険者番号、資格取得日、賃金、雇用形態など

たとえば4月1日に正社員を採用し、社会保険と雇用保険の両方の加入要件を満たしたとします。

この場合、社会保険については健康保険・厚生年金保険の資格取得届を作成し、雇用保険については雇用保険被保険者資格取得届を作成します。

同じ「4月1日入社」という一つの出来事から発生する手続きですが、行政上はまったく別の手続きです。

提出期限の違いは特に注意

会社の実務で特に注意したいのは提出期限です。

健康保険・厚生年金保険の資格取得届は、原則として資格取得の事実が発生してから5日以内です。

一方、雇用保険の資格取得届は、原則として被保険者となった日の属する月の翌月10日までとなっています。

この違いを知らずに「資格取得届は翌月10日までだったはず」と考えて社会保険の手続きまで後回しにしてしまうと、社会保険側では提出期限を過ぎてしまいます。

「資格取得届」という名前だけで管理しないことが大切です。

社内の入社チェックリストでは「社会保険資格取得」と「雇用保険資格取得」を別々の項目にして、それぞれ提出期限まで管理することをおすすめします。

また、加入要件そのものも異なります。

社会保険では正社員のほか、4分の3基準や短時間労働者の適用要件を確認します。

雇用保険では、原則として1週間の所定労働時間や雇用見込みなど、雇用保険独自の基準によって被保険者になるかを判定します。

つまり、「社会保険に入る人だから雇用保険にも必ず入る」「雇用保険に入る人だから健康保険・厚生年金にも必ず入る」という単純な関係ではありません。

パート・アルバイトについては特に、それぞれの制度ごとに加入判定が必要になります。

実際の入社手続きでは、社会保険、雇用保険、税務、給与計算が同時に動きます。

制度ごとに担当者を分けている会社では、採用情報が一部の担当者にしか伝わっておらず、どれか一つの届出だけ漏れてしまうことがあります。

採用決定情報を起点として各手続きへ連携する仕組みを作っておくと安心です。

この記事では、これ以降は健康保険・厚生年金保険の被保険者資格取得届を中心に解説します。

資格取得届の提出期限や加入基準などについては、日本年金機構でも詳細が案内されています。

(出典:日本年金機構「就職したとき(健康保険・厚生年金保険の資格取得)の手続き」)

資格取得届が必要になる従業員とタイミング

資格取得届が必要になる従業員とタイミング

健康保険・厚生年金保険の資格取得届が必要になる代表的なケースは、 新たに採用した従業員が社会保険の加入要件を満たしたとき です。

正社員は原則として社会保険の加入対象になりますが、パートやアルバイトについては、雇用形態の名称だけで加入・未加入を判断することはできません。

「正社員なら加入、パートなら加入しない」という理解をしている会社もありますが、これは実務上かなり危険です。

社会保険の加入判定は、会社が付けた雇用区分の名称ではなく、その人の実際の労働条件を基準として行います。

まず確認する4分の3基準

まず確認するのが、同じ事業所で働く通常の労働者と比較した所定労働時間と所定労働日数です。

1週間の所定労働時間と1か月の所定労働日数が、同じ事業所で同種の業務を行う通常の労働者の4分の3以上である場合には、原則として健康保険・厚生年金保険の被保険者となります。4分の3基準や短時間労働者の適用拡大については、 パートの社会保険加入条件|4分の3基準と適用拡大の改正点 でパート・アルバイトの具体例とあわせて解説しています。

たとえば、通常の労働者が週40時間、月20日勤務する会社であれば、単純化すると週30時間以上かつ月15日以上という水準が一つの目安になります。

ただし、実際の判定ではその会社の通常の労働者の所定労働時間・所定労働日数を確認する必要があります。

パート・アルバイトだから社会保険に加入しない、という判断はできません。

雇用契約書や労働条件通知書を確認し、その従業員が加入要件を満たしているかを個別に判断する必要があります。

4分の3未満でも加入対象になることがある

さらに、4分の3基準を満たさない短時間労働者についても、一定の事業所に勤務し、所定労働時間などの要件を満たす場合には社会保険の加入対象になります。

2026年8月時点では、特定適用事業所などで働く短時間労働者について、週の所定労働時間20時間以上、所定内賃金月額8.8万円以上、学生ではないことなどの要件を確認します。

なお、短時間労働者の適用拡大は制度改正が続いており、賃金要件についても2026年10月から撤廃が予定されています。

そのため、この記事を公開後しばらくしてから確認する場合には、現在の要件を改めて確認してください。

社会保険の適用範囲は今後も段階的な拡大が予定されています。

特に短時間労働者については、過去に作った社内マニュアルだけで加入判定を続けると、現在の要件とずれてしまう可能性があります。

入社後に加入条件を満たした場合も資格取得届が必要

また、資格取得届が必要になるのは、新規採用のときだけではありません。

たとえば、入社時点では勤務時間が短く社会保険の加入要件を満たしていなかったパート従業員について、契約変更によって所定労働時間が増え、その時点から加入要件を満たすようになることがあります。

この場合も、新たに被保険者資格を取得するため資格取得届の提出が必要です。

実務では、ここが意外と抜けやすいところです。

採用時には社会保険の加入判定をしていても、その後の契約変更については給与担当者だけで処理し、社会保険担当者まで情報が届いていないことがあります。

たとえば週18時間勤務だったパート従業員を週25時間勤務へ変更した場合、単に給与ソフトの所定労働時間を変更するだけでは足りません。

勤務先の適用状況なども踏まえて、社会保険の資格取得が必要になるかを再判定する必要があります。

実務では、契約上の労働時間だけでなく、実際の勤務状況との関係も確認が必要になるケースがあります。

契約変更があったときに給与だけを変更し、社会保険の加入判定を見直していないというケースは中小企業では珍しくありません。

採用時だけでなく、 労働時間や雇用条件を変更したタイミングでも社会保険の加入要件を再確認する 仕組みを作っておくことが大切です。

もう一つ重要なのが、60歳以上の従業員を退職後すぐに継続して再雇用するケースです。

一定の要件を満たす場合には、資格喪失と資格取得を同じ日付で行う、いわゆる同日得喪の取り扱いを利用できることがあります。

再雇用後に給与が大きく下がる企業では社会保険料にも関係する重要な手続きですので、後ほど詳しく説明します。

資格取得届の提出期限は5日以内

健康保険・厚生年金保険の被保険者資格取得届は、 原則として資格取得の事実が発生してから5日以内 に提出します。

たとえば4月1日に従業員を採用し、その日から社会保険の加入要件を満たしているのであれば、原則として4月1日が資格取得日となり、その資格取得の事実について速やかに届出を行います。

ここで間違えやすいのが、給与締日や最初の給与支給日を基準としてしまうケースです。

資格取得届は、給与計算が終わってから提出する書類ではありません。

社会保険の資格を取得した事実に基づいて提出するため、給与締日が月末なのか20日なのか、給与支給日が翌月なのか当月なのかによって提出期限が変わるわけではありません。

初回給与の確定を待たない

報酬月額を確定させるために初回給与の計算が終わるまで待つ必要はありません。

資格取得時の報酬は入社時点で見込まれる額をもとに届け出るため、給与計算の確定を待っていると提出期限を過ぎてしまう可能性があります。

たとえば4月1日入社、毎月末締め、翌月25日払いの会社を考えてみます。

この場合、「4月分の残業代が確定する4月末まで待とう」「初回給与が支払われる5月25日まで待とう」と考えるのは適切ではありません。

資格取得時点で決まっている基本給や各種手当、合理的に見込まれる報酬をもとに資格取得届を作成します。

なぜ資格取得届が遅れるのか

実務で資格取得届が遅れやすい会社には、一定の共通点があります。

  • 採用情報が現場から総務担当者へ届くのが遅い
  • マイナンバーなどの入社情報を入社後に集め始めている
  • パートの社会保険加入判定を給与計算時に行っている
  • 扶養家族の確認が後回しになっている
  • 雇用契約書の作成と社会保険手続きが別々に管理されている
  • 資格取得届の作成担当者が入社日を事前に把握していない

こうした遅れを防ぐには、採用が決定した段階で、入社日、勤務条件、給与条件、マイナンバー等、扶養家族の有無を確認できるようにしておくことが重要です。

私が会社の入社フローを確認するときも、「資格取得届を誰が書くか」だけではなく、「資格取得届を書くための情報がいつ、誰から、どの方法で担当者へ届くか」を重視します。

手続きの遅延は、担当者の知識不足よりも情報連携の仕組みの問題で起きていることが多いからです。

提出が遅れても資格取得日が自由に変わるわけではない

なお、資格取得届の提出が遅れたからといって、本来加入すべきだった資格取得日を会社の都合で後ろへずらせるわけではありません。

本来は4月1日から加入すべき従業員について手続きが遅れていたのであれば、原則として4月1日にさかのぼって資格取得の処理を行うことになります。

その結果、会社と従業員双方について過去分の社会保険料を精算する必要が生じる場合があります。

資格取得届は「提出した日から社会保険に入るための書類」ではなく、 実際に資格を取得した事実を届け出るための書類 と理解すると分かりやすいでしょう。

さらに、手続きが遅れている期間に本人や扶養家族が医療機関を受診していると、資格確認について追加対応が必要になることもあります。

単に届出期限だけの問題ではありません。

提出先は、原則として事業所を管轄する年金事務所または事務センターです。

電子申請、電子媒体、郵送、窓口持参などの方法があります。

提出期限や手続き方法は制度改正によって変更される可能性もあるため、実際に申請するときは日本年金機構の最新情報を確認してください。

事業所情報と従業員情報の書き方

事業所情報と従業員情報の書き方

資格取得届を作成するときは、まず会社側の事業所情報と、社会保険へ加入する従業員の基本情報を記入します。

事業所情報として確認するのが、 事業所整理記号と事業所番号 です。

事業所整理記号・事業所番号は、日本年金機構が適用事業所ごとに付与している情報です。

会社の法人番号とは異なるため、初めて手続きを担当する方は混同しないよう注意してください。

事業所整理記号・事業所番号を確認する

事業所整理記号や事業所番号は、日本年金機構から会社へ届く納入告知書や各種通知書などで確認できます。

会社に複数の事業所があり、それぞれが別の適用事業所として管理されている場合には、どの事業所の資格取得として届け出るのかも確認が必要です。

本店と支店がある会社で、「会社名は同じだから同じ番号だろう」と考えてしまうと、誤った事業所で手続きをしてしまう可能性があります。

初めて社会保険事務を担当する場合は、過去の資格取得届をそのままコピーするより、日本年金機構から届いている直近の通知書で事業所情報を確認しておくと安全です。

従業員情報は根拠資料と照合する

従業員については、氏名、生年月日、個人番号または基礎年金番号、資格取得年月日、報酬月額、被扶養者の有無などを確認します。

確認項目 主な確認資料 実務上の注意点
氏名 本人確認資料 正式な氏名を確認する
生年月日 本人確認資料 年月日の入力間違いに注意する
個人番号等 マイナンバー関係資料等 未記入のまま提出しない
資格取得年月日 雇用契約書・労働条件通知書等 給与支給日と混同しない
報酬月額 雇用契約書・賃金規程等 基本給だけで判断しない
被扶養者の有無 入社時確認書類 扶養ありなら別途届出を確認する

実務上は、氏名の漢字や生年月日の入力間違いといった単純なミスもあります。

特に電子申請では入力自体は短時間でできますが、元となる情報が間違っていれば、そのまま誤った情報を送信してしまいます。

資格取得届を作成する担当者が本人へ一つずつ確認するのではなく、入社時に会社で使用する入社情報シートや人事システムへ本人が情報を登録し、それを確認資料と照合する仕組みにすると効率的です。

資格確認書が必要かも確認する

現在の資格取得届では、資格確認書の発行要否を確認する項目もあります。

マイナ保険証を利用できない事情などにより資格確認書の交付が必要な場合には、該当欄も確認して申請します。

資格取得届は「名前と入社日と給与を書けば終わり」という書類ではなくなっています。

現在の健康保険制度や本人の状況まで含めて確認することが必要です。

入社手続きの情報は、社会保険、雇用保険、給与計算で共通して使用するものが多くあります。

同じ氏名や生年月日を担当者ごとに何度も手入力するより、最初に正しい情報を取得し、それを各手続きへ連携する仕組みにした方が入力ミスも減らせます。

私は、資格取得届だけを単独で効率化するより、「採用決定から初回給与まで」の一連の流れを整理した方が、中小企業の実務では効果が大きいと考えています。

マイナンバーと基礎年金番号の記入

資格取得届を作成するときに、特に記入漏れへ注意したいのが 個人番号(マイナンバー)または基礎年金番号 です。

資格取得届では、原則として従業員本人の個人番号を記入します。

個人番号を記入できない場合などには、基礎年金番号を用いて手続きを行います。

実務では、氏名、生年月日、入社日、給与額までは会社側で把握していても、マイナンバーや基礎年金番号だけが入社日までに集まっていないことがあります。

しかし、 個人番号または基礎年金番号の記載は資格取得手続きの重要な確認項目 です。

番号が確認できないからといって、何も記入せずにそのまま提出するという運用は避けましょう。

マイナンバーは採用決定後から準備する

資格取得届の期限管理では、入社日だけでなく「必要情報がいつそろうか」まで管理することがポイントです。

マイナンバー等の回収が遅れると、届書の他の項目が完成していても手続きが滞る原因になります。

たとえば入社日当日に「マイナンバーを持ってきてください」と初めて伝えた場合、本人がその日に確認できるとは限りません。

その後、本人への催促が必要になり、資格取得届の提出が後ろへずれていきます。

採用決定後に送付する入社案内の中へ、社会保険手続きのために必要な情報としてあらかじめ案内しておくとスムーズです。

マイナンバーは本人確認まで必要

なお、会社が従業員からマイナンバーを取得する際には、番号を受け取るだけではなく、法令に沿った本人確認や安全管理も必要です。

マイナンバーを取得する際には、利用目的を本人へ示し、番号確認と身元確認を行うことが基本です。

「本人が自分で入力した番号だから間違いないだろう」と考えるのではなく、会社として適切な本人確認手続きを行ってください。

マイナンバーは重要な個人情報ですので、誰でも閲覧できる社内チャットに投稿してもらったり、社内で必要以上に共有したりする運用は避けるべきです。

会社で決めた取得方法と保管ルールに従って取り扱いましょう。

資格取得届を早く出すことは重要ですが、 提出期限を優先するあまりマイナンバーの管理方法を雑にしてよいわけではありません。

入社手続きそのものを事前に設計し、安全な方法で必要情報を取得できるようにしておくことが大切です。

マイナンバーを記載すると住所を省略できる

資格取得届でマイナンバーを記入した場合には、日本年金機構が住民基本台帳ネットワークから住民票上の住所を確認できるため、被保険者住所の記入を省略できます。

一方、基礎年金番号を使用して資格取得手続きを行う場合には、住所欄についても確認が必要です。

マイナンバーを記載した場合と基礎年金番号を記載した場合では、住所欄の扱いが異なります。

「番号を書いたから住所はすべて不要」と一律に考えず、どちらの番号で申請するかを確認しましょう。

基礎年金番号の確認方法

基礎年金番号については、基礎年金番号通知書や過去の年金関係書類などで本人が確認できる場合があります。

ただし、会社が本人の口頭申告だけを頼りに数字を転記すると、一桁違いなどの単純なミスが起こることがあります。

資格取得届を提出する前に、氏名、生年月日、個人番号または基礎年金番号を確認資料と照合する工程を設けておくことをおすすめします。

日本年金機構でも、資格取得届について、資格取得年月日の記入漏れ、個人番号の記入漏れ、基礎年金番号を記入した場合の住所記入漏れなどが不備の多い事例として示されています。

つまり、専門的な判断が必要な部分だけでなく、こうした基本項目の確認が資格取得手続きでは非常に重要ということです。

資格取得届の申請・書き方と実務注意点

ここからは、資格取得届を実際に作成するときに特に迷いやすい項目を詳しく解説します。

資格取得年月日や報酬月額は、一見すると単純な記入項目に見えます。

しかし、記載した内容は健康保険・厚生年金保険の資格や標準報酬月額、その後の社会保険料にもつながるため、意味を理解せずに記入するのはおすすめできません。

また、被扶養者がいる場合や、60歳以上の従業員を定年後に継続再雇用する場合には、通常の資格取得届以外の手続きが必要になることもあります。

資格取得届だけを完成させるのではなく、 入社や再雇用に伴って必要になる社会保険手続き全体を確認する という視点で進めていきましょう。

資格取得年月日の正しい記入方法

資格取得届の資格取得年月日には、 その従業員が健康保険・厚生年金保険の被保険者資格を取得した日 を記入します。

通常の新規採用で、入社した日から社会保険の加入要件を満たしているのであれば、原則として入社日が資格取得日になります。

たとえば4月1日付で採用され、4月1日から会社との使用関係が発生する場合で考えてみましょう。

その従業員が4月1日から社会保険の加入要件を満たすのであれば、通常は4月1日が資格取得年月日になります。

給与締日ではなく使用関係で考える

ここでよくある誤解が、給与締日を基準に資格取得日を決めてしまうことです。

たとえば毎月20日締めの会社で4月10日に入社した場合、「給与計算期間の途中だから4月21日から社会保険に加入させよう」と会社側の都合で決めることはできません。

給与締日は会社の給与計算上のルールです。

それに対して資格取得日は、社会保険上の使用関係がいつ発生したかという事実をもとに判断します。

資格取得年月日と、給与締日・給与支給日は別の概念です。

給与計算の都合で社会保険の加入日を前後させないよう注意してください。

試用期間でも加入判定は必要

また、「試用期間中だから社会保険に加入させなくてもよい」という考え方も注意が必要です。

試用期間であっても、会社との使用関係があり社会保険の加入要件を満たしているのであれば、原則としてその時点から加入対象となります。

「3か月の試用期間終了後に正社員になるから、その時点で資格取得する」という会社独自の運用が、社会保険上そのまま認められるわけではありません。

実務では、雇用契約書の名称よりも実際の雇用関係を見ることが重要です。

入社後の契約変更で加入する場合

一方、入社時には加入要件を満たしていなかった従業員が、その後の契約変更によって社会保険の加入対象になる場合には、入社日とは別の日が資格取得日になります。

たとえば週15時間勤務だったパート従業員について、6月1日から勤務時間を増やし、社会保険の加入要件を満たす契約へ変更した場合などです。

この場合には、雇用契約の変更内容、変更日、実際の勤務状況などを確認し、社会保険上いつから被保険者資格が発生するかを判断します。

資格取得日は「資格取得届に何日を書くか」という問題ではなく、いつから法律上の被保険者になったのかを確認する問題です。

資格取得日を間違えると保険料にも影響する

資格取得年月日は社会保険料にも影響します。

社会保険料は原則として月単位で発生するため、月末をまたぐ資格取得日の間違いでは、保険料が発生する月そのものが変わる場合があります。

さらに、その間に医療機関を受診していれば健康保険資格にも関係します。

そのため、資格取得年月日は届書上の形式的な項目ではありません。

私は、資格取得日に少しでも迷うケースでは、雇用契約書、労働条件通知書、実際の初出勤日、勤務条件の変更日などを一度並べて確認することをおすすめしています。

後から訂正するより、資格取得届を出す前に根拠を整理した方がはるかに効率的ですよ。

報酬月額は入社時の見込み額で記入

報酬月額は入社時の見込み額で記入

資格取得届の書き方で、実務上もっとも迷いやすい項目の一つが 報酬月額 です。

資格取得届に記入する報酬月額は、入社後に実際に支払われた給与の平均額ではありません。

新しく入社した従業員にはまだ給与実績がないため、 資格取得時点の雇用契約や賃金条件から見込まれる1か月当たりの報酬額 を記入します。

ここは、算定基礎届と混同しやすいところです。

算定基礎届は実際に支払われた報酬をもとに標準報酬月額を見直しますが、資格取得届は入社時点の見込み額を基準にします。

資格取得届の報酬月額は「入社時の見込み額」です。

初回給与が支給されるまで待ってから申請するものではありません。

基本給だけではなく各種手当も確認する

報酬月額を考えるときは、基本給だけを見ればよいわけではありません。

社会保険上の「報酬」に該当する各種手当などを含めて算定します。

給与項目 報酬月額への反映 実務上の注意点
基本給 原則として含める 雇用契約上の月額を確認する
役職手当 原則として含める 毎月支給されるものを確認する
資格手当 原則として含める 労働の対償として支給されるか確認する
住宅手当 原則として含める 名称ではなく支給実態で確認する
通勤手当 原則として含める 税務上の非課税扱いと混同しない
時間外手当 見込み額を考慮する 合理的に見込まれる額を算定する
現物給与 該当する場合は含める 食事や住宅などを所定の価額で換算する

たとえば、基本給25万円、役職手当2万円、通勤手当1万円という給与条件であれば、基本給25万円だけを報酬月額として考えるのではありません。

原則として、毎月支給される役職手当や通勤手当なども含めて報酬を考えます。

残業代は実績がなくても見込みを考える

入社時に特に迷うのが時間外手当です。

まだ一度も勤務していない従業員ですから、「残業代はいくらになるか分からない」というのは当然です。

だからといって、必ず0円としてよいという意味ではありません。

その職種や部署で通常発生する時間外勤務の状況などを踏まえて、合理的に見込まれる金額を考えます。

たとえば同じ業務を担当している従業員が毎月おおむね一定程度の時間外勤務を行っているのであれば、その実績などを参考にする方法があります。

資格取得時の報酬は「将来の給与を1円単位まで当てる」ことが目的ではありません。

資格取得時点で分かっている労働条件や同種の従業員の状況から、合理的な月額報酬を見込む という考え方です。

通勤手当の非課税と混同しない

もう一つ間違いやすいのが通勤手当です。

給与計算では通勤手当の全部または一部が所得税上非課税になることがあります。

そのため、「非課税だから社会保険の報酬にも入らない」と考えてしまうことがあります。

しかし、税務上の課税・非課税と、社会保険上の報酬に該当するかどうかは別の基準です。

通勤手当は原則として社会保険上の報酬に含めて考えます。

給与ソフトで「非課税」と表示されている項目を、そのまま社会保険の報酬から除外しないよう注意してください。

現物給与も報酬になる場合がある

会社が従業員へ現金だけでなく、住宅や食事などを現物で提供している場合には、それが社会保険上の現物給与に該当することがあります。

その場合には、所定の現物給与価額に換算し、通貨による報酬と合算して資格取得届へ記入します。

現在の資格取得届では、「通貨」「現物」「合計」をそれぞれ記入します。

現物給与がない場合でも、現物欄や合計欄の記入漏れには注意しましょう。

資格取得後は標準報酬月額が決定される

会社が届け出た報酬月額をもとに、健康保険・厚生年金保険の標準報酬月額が決定されます。

そして、この標準報酬月額を基礎として毎月の健康保険料や厚生年金保険料が計算されます。

資格取得時に見込んだ報酬と、実際に支給された給与が少し違ったからといって、その都度資格取得届を出し直すわけではありません。

その後は、算定基礎届による定時決定や、一定の条件を満たした場合の月額変更届による随時改定などの仕組みで見直されます。

資格取得時の標準報酬月額の適用期間は、資格取得した時期によって異なります。

一般に、1月から5月に資格取得した場合はその年の8月まで、6月から12月に資格取得した場合は翌年8月まで適用され、その後の定時決定などにつながっていきます。決定後に届く通知書の見方は、 標準報酬決定通知書とは?見方と届いたときの確認ポイント で確認できます。

報酬月額は社会保険料のスタート地点です。

基本給だけを機械的に転記せず、雇用契約書や賃金規程を見ながら社会保険上の報酬全体を確認しましょう。

被扶養者がいる場合の追加手続き

新しく社会保険に加入する従業員に配偶者や子などの家族がいる場合は、健康保険の被扶養者に該当するかもあわせて確認します。

ここで重要なのは、 従業員本人の資格取得届を提出しただけでは、家族の扶養手続きまでは完了しない という点です。

健康保険の被扶養者となる家族がいる場合は、原則として資格取得届とは別に 健康保険被扶養者(異動)届 を提出します。扶養に入れる家族の範囲や年収の壁については、 社会保険の扶養条件とは?年収の壁と手続きを社労士が整理 で詳しく解説しています。

資格取得届に被扶養者の有無を記載しても、それだけで家族が健康保険の被扶養者として認定されるわけではありません。

本人の資格取得と家族の扶養認定は別手続き と覚えておきましょう。

扶養は家族なら誰でも入れるわけではない

健康保険の被扶養者になるためには、単に本人の配偶者、子、親であるというだけでは足りません。

親族関係に加えて、収入状況、生計維持関係、同居・別居の状況などを確認します。

別居している家族については仕送りの状況など、追加の確認が必要になる場合もあります。

確認項目 主な確認内容
続柄 従業員との親族関係
収入状況 給与、年金、事業収入などの有無
同居・別居 生計維持関係の確認
現在の健康保険 前職の健康保険や国民健康保険など
必要書類 状況に応じて収入・続柄等を確認する資料

家族の状況によって必要な確認資料も変わります。

全員について必ず同じ書類を添付するという考え方ではないため、被扶養者となる方の状況に応じて確認してください。

前職で扶養だった人も改めて手続きする

中途採用では、「前の会社でも妻と子を扶養にしていたので、そのまま新しい会社でも扶養になりますよね」という相談があります。

しかし、前職を退職すれば、原則として前職で加入していた健康保険の資格も喪失します。

新しい会社で健康保険の資格を取得する場合には、その健康保険について改めて家族の被扶養者手続きを行う必要があります。

前職で扶養認定されていたという事実は参考にはなりますが、新しい資格へ自動的に家族情報が引き継がれるわけではありません。

税法上の扶養と健康保険の扶養は別

入社時の扶養確認でよく起きるのが、税法上の扶養との混同です。

会社から「扶養家族はいますか」と聞かれた従業員が、年末調整でいう扶養親族をイメージして回答していることがあります。

健康保険上の扶養と、所得税における扶養は別の制度です。

税法上の扶養に入っていることだけを理由として、健康保険の被扶養者にできるとは限りません。

そのため私は、入社書類で確認するときには、単に「扶養家族の有無」と書くよりも、「健康保険の扶養に入れたい家族がいるか」という聞き方をした方が実務では分かりやすいと考えています。

配偶者は国民年金第3号の手続きも確認

配偶者が健康保険の被扶養者となり、20歳以上60歳未満など国民年金第3号被保険者の要件も満たす場合には、第3号被保険者に関する手続きも必要です。

このため、配偶者を扶養に入れるケースでは健康保険だけを見るのではなく、国民年金との関係もあわせて確認します。

資格取得届を提出してから「そういえば妻も扶養に入れたいです」と本人から言われるケースは珍しくありません。

採用決定時の入社情報収集に健康保険の扶養確認まで組み込んでおけば、本人の資格取得届と並行して準備できます。

扶養手続きは家族構成や収入状況によって必要な確認が大きく変わります。

特に別居家族、年金収入がある親、事業収入がある配偶者などは判断が複雑になることがありますので、状況を整理してから手続きを進めましょう。

資格取得届の添付書類と提出方法

通常の新規採用について健康保険・厚生年金保険の資格取得届を提出する場合、 資格取得届そのものについては原則として添付書類は必要ありません。

初めて手続きをする方からは、「雇用契約書のコピーも年金事務所へ送るのですか」「マイナンバーカードのコピーも一緒に付けるのですか」と聞かれることがあります。

通常の資格取得であれば、資格取得届へ毎回これらを添付するという手続きではありません。

ただし、添付書類が不要であることと、会社が確認資料を持たなくてよいことは別です。

資格取得届へ添付しない資料であっても、届出内容の根拠として会社では確認しておく必要があります。

会社側では根拠資料を確認する

たとえば資格取得年月日であれば雇用契約書や労働条件通知書、報酬月額であれば雇用契約書や賃金規程、マイナンバーであれば会社所定の本人確認資料などです。

後日、日本年金機構から照会があったときに、「なぜこの資格取得日なのか」「なぜこの報酬月額なのか」を説明できる状態にしておくことが大切です。

特殊なケースでは添付書類が必要

一方、通常の新規採用とは異なるケースでは、添付書類や関連申請が必要になる場合があります。

ケース 主な対応
通常の新規採用 資格取得届の添付書類は原則不要
60歳以上の退職後継続再雇用 退職と再雇用を確認できる資料等を用意
国民健康保険組合へ継続加入する場合 健康保険被保険者適用除外承認申請等を確認
その他特殊なケース 状況に応じて関連届書や確認資料を確認

特に60歳以上の継続再雇用で同日得喪の取り扱いを行う場合には、通常の新規採用とは異なり、退職と再雇用の事実を確認できる書類が必要になります。

資格取得届の提出方法

資格取得届の主な提出方法としては、電子申請、電子媒体、郵送、年金事務所の窓口への持参などがあります。

  • 電子申請
  • 電子媒体による提出
  • 郵送
  • 年金事務所の窓口への持参

どの方法で提出しても資格取得の内容そのものが変わるわけではありません。

ただし、継続的に入退社が発生する企業であれば、私は電子申請を基本とした運用の方が管理しやすいと思います。

紙の場合は、書類を作成した日、押印等を確認した日、郵送した日、行政側で処理されたか、通知が返ってきたかといった管理が必要です。

電子申請では申請日時や処理状況を記録として追いやすく、申請件数が増えるほど効果を感じやすくなります。

電子申請にすれば記入ミスまで自動的になくなるわけではありません。

入力した資格取得日や報酬月額そのものが間違っていれば、電子申請でも誤った申請になります。

提出前のチェック項目を作る

資格取得届のミスを減らすには、担当者の経験だけに頼らないことが大切です。

たとえば提出前に、次の項目を確認するだけでもかなり違います。

  • 資格取得年月日は正しいか
  • 氏名と生年月日は本人情報と一致しているか
  • マイナンバーまたは基礎年金番号を確認したか
  • 報酬月額に必要な手当を含めているか
  • 現物給与と合計欄を確認したか
  • 短時間労働者に該当する場合の区分を確認したか
  • 被扶養者の有無を確認したか
  • 特殊な資格取得に該当しないか

日本年金機構でも、資格取得年月日の記入漏れ、個人番号の記入漏れ、短時間労働者の区分漏れ、報酬月額の合計額の記入漏れなどが不備の多い事例として示されています。

つまり、特殊なケースだけに注意するより、基本項目を確実に確認することが重要です。

提出後の通知まで確認する

もう一つ大切なのが、資格取得届を提出したら終わりにしないことです。

手続き後には、資格取得の確認や標準報酬月額の決定内容が通知されます。

会社側では、その内容が申請した資格取得年月日や報酬と整合しているか確認し、決定された標準報酬月額を給与計算へ反映します。

「申請」「行政処理」「通知確認」「給与反映」までを一つの手続きとして管理すると、社会保険事務は安定します。

60歳以上の再雇用と同日得喪

60歳以上の再雇用と同日得喪

60歳以上の従業員が定年などによって退職した後、1日の空白もなく同じ会社で継続して再雇用される場合には、社会保険実務で一般に 同日得喪 と呼ばれる取り扱いがあります。

この手続きは、定年後再雇用を行っている会社では必ず知っておきたいポイントです。

特に、定年前と再雇用後で給与が大きく変わる会社では、従業員の手取りにも会社の社会保険料負担にも影響します。

同日得喪とは何か

60歳以上の方が退職後、引き続き同じ事業所で再雇用される一定の場合には、使用関係がいったん中断したものとして、資格喪失届と資格取得届を提出する取り扱いが可能です。

たとえば3月31日に定年退職し、翌日の4月1日から新しい雇用契約によって再雇用されたケースを考えてみます。

3月31日に退職した場合、社会保険の資格喪失日は原則として翌日の4月1日です。

一方、新しい雇用契約による資格取得日も4月1日となるため、資格喪失日と新しい資格取得日が同じ日になります。

これが一般に「同日得喪」と呼ばれているものです。

同日得喪は、単なる給与変更ではなく、退職と継続再雇用という事実を前提として行う取り扱いです。

なぜ同日得喪が重要なのか

定年後再雇用では、給与が定年前より大きく下がることがあります。

たとえば定年前の月額給与が45万円だった従業員を、再雇用後は月額28万円で雇用するとします。

通常の給与変更であれば、給与が下がったその日からすぐに標準報酬月額が28万円相当に変更されるわけではありません。

随時改定などの要件を満たした後に変更されることになるため、一定期間は定年前の高い標準報酬月額が続くことがあります。

その期間は、実際の給与が大きく下がっているにもかかわらず、高い標準報酬月額に基づく社会保険料を負担することになります。

一方、60歳以上の退職後継続再雇用について同日得喪の取り扱いができれば、 再雇用後の給与をもとに新しい標準報酬月額を決定することができます。

そのため、再雇用後に賃金水準を引き下げる会社では非常に重要な実務ポイントです。

60歳以上なら誰でもできるわけではない

60歳以上だからという理由だけで、自由に資格喪失と資格取得を行えるわけではありません。

退職の事実があり、その後に継続再雇用されたことが前提になります。

たとえば、同じ雇用契約を続けたまま「60歳になったので給与だけ下げた」という場合に、当然に同日得喪できるというものではありません。

退職日と再雇用日、新しい雇用契約の内容などを確認し、本当に退職後継続再雇用の取り扱いに該当するかを確認する必要があります。

同日得喪で必要になる添付書類

同日得喪を行う場合には、資格喪失届と資格取得届だけではなく、退職と継続再雇用を客観的に確認できる資料を提出します。

確認方法 主な書類
退職・再雇用を書類で確認 就業規則や退職辞令等の退職日を確認できる書類+新しい雇用契約書等
事業主証明で確認 退職日と再雇用日を記載した継続再雇用に関する事業主の証明書

電子申請の場合には、必要な資料をPDFなどの添付データとして提出できる取り扱いもあります。

同日得喪の具体的な必要書類については、日本年金機構の案内で最新の取り扱いを確認してください。

(出典:日本年金機構「60歳以上の方を、退職後1日の間もなく再雇用したとき」)

定年再雇用は社会保険までセットで確認する

実際の会社の定年再雇用では、雇用契約書の作成、賃金額、勤務日数、役職、仕事内容などについてはかなり丁寧に検討しているのに、社会保険の処理だけが抜けていることがあります。

そして初回給与を計算したときに、「給与はかなり下がったのに、社会保険料が高いままではないか」と気付くわけです。

60歳以上の従業員を再雇用するときには、次の項目を一つの流れとして確認するとよいでしょう。

  • 定年退職日
  • 再雇用日
  • 新しい雇用契約期間
  • 再雇用後の給与
  • 所定労働時間と所定労働日数
  • 社会保険の加入要件
  • 同日得喪の対象になるか
  • 資格喪失届と資格取得届
  • 必要な添付書類
  • 再雇用後の標準報酬月額

定年後再雇用では、雇用契約と社会保険を別々の仕事として処理するのではなく、 「定年再雇用手続き」という一つの業務としてまとめる と漏れを防ぎやすくなります。

同日得喪が可能かどうかは、実際の退職・再雇用の事実関係によって判断する必要があります。

形式だけ整えれば利用できる仕組みではありませんので、判断が難しいケースでは事前に年金事務所や社会保険労務士へ確認することをおすすめします。

資格取得届の申請と書き方のまとめ

健康保険・厚生年金保険の資格取得届は、新しく社会保険の加入対象となった従業員について、その資格取得の事実を届け出るための重要な手続きです。

届書そのものだけを見ると、それほど複雑には見えません。

しかし、実際には加入対象者の判断、資格取得年月日、マイナンバー、報酬月額、被扶養者、短時間労働者の区分など、複数の確認事項が一つの届書に集約されています。

資格取得届の申請と書き方を実務の流れに沿って整理すると、次の順番で確認すると進めやすくなります。

  • 従業員が社会保険の加入対象か確認する
  • 正しい資格取得年月日を確認する
  • マイナンバーまたは基礎年金番号を確認する
  • 入社時の給与条件から報酬月額を確認する
  • 短時間労働者に該当する場合は区分を確認する
  • 被扶養者がいるか確認する
  • 追加の届出や添付書類が必要か確認する
  • 原則として資格取得から5日以内に提出する
  • 処理後の決定内容を確認する
  • 標準報酬月額を給与計算へ反映する

特に多いミスを最後に確認

資格取得届では、難しい法律判断だけがミスの原因になるわけではありません。

実際には、資格取得日の記入漏れ、マイナンバーの確認漏れ、基礎年金番号を記入した場合の住所欄の漏れ、報酬月額の合計欄の漏れなど、基本的な確認不足で手続きが戻ってくることがあります。

よくあるミス 確認ポイント
資格取得日を給与締日と混同する 実際の使用関係が始まった日を確認する
マイナンバー等が未確認 入社前後の情報収集フローを整える
基礎年金番号だけ記入して住所を忘れる 使用する番号に応じた記入方法を確認する
報酬月額を基本給だけで計算する 通勤手当や各種手当、見込み残業等も確認する
現物・合計欄を記入しない 資格取得届の各報酬欄を最後まで確認する
短時間労働者の区分を確認しない 加入要件と届書上の区分を確認する
扶養手続きを忘れる 健康保険被扶養者(異動)届等を確認する
再雇用時の同日得喪を確認しない 60歳以上の退職後継続再雇用では必ず検討する

資格取得届だけではなく入社手続き全体を整える

私が実務で特に重要だと感じるのは、資格取得届の書き方を担当者が暗記することではありません。

もちろん記入方法を理解することは必要ですが、それ以上に重要なのが、採用決定から入社までに必要な情報が担当者へ確実に集まる仕組みです。

たとえば採用が決まった時点で、雇用契約書の作成と同時に、次の情報をまとめて収集する方法があります。

  • 氏名・生年月日・住所
  • マイナンバー等
  • 雇用保険被保険者番号
  • 扶養家族に関する情報
  • 給与振込口座
  • 通勤経路・通勤手当
  • 前職の退職状況
  • 必要な税務関係情報

この情報を社会保険、雇用保険、給与計算へ連携できるようにしておけば、同じ情報を何度も本人へ聞いたり、担当者が手入力したりする必要が減ります。

入社手続きでミスを減らす一番のポイントは、「資格取得届を上手に書くこと」だけではありません。

資格取得届を書くために必要な情報が、必要なタイミングで正確に集まる仕組みを作ることです。

申請した後まで管理する

資格取得届を提出したら、行政側の処理結果も確認してください。

資格取得が確認され、標準報酬月額が決定したら、その内容を給与計算へ正しく反映します。

申請した金額と通知された内容に相違がないか、資格取得年月日は正しいかも確認しましょう。

つまり、資格取得手続きは「資格取得届を送信した瞬間」で終了するわけではありません。

加入判定、情報収集、資格取得届作成、申請、処理結果確認、給与反映までが一連の入社手続き です。

また、この記事の冒頭でも触れたとおり、「資格取得届」という名称は雇用保険でも使用します。

健康保険・厚生年金保険の資格取得届と雇用保険被保険者資格取得届では、提出先も期限も異なります。

入社チェックリストを作る場合には、「資格取得届」という一項目にまとめず、「社会保険資格取得」「雇用保険資格取得」というように分けて管理した方が安全です。

社会保険の加入要件、短時間労働者の適用範囲、資格取得届の様式、マイナンバーの取り扱い、電子申請の方法などは制度改正によって変更されることがあります。

正確な情報は公式サイトをご確認ください。

また、短時間労働者の加入判定、資格取得日の判断、特殊な給与体系における報酬月額、60歳以上の継続再雇用などは、会社や従業員の具体的な状況によって取り扱いが変わることがあります。

特に、「入社日と実際の勤務開始日が違う」「契約変更の時期が曖昧」「給与体系が複雑」「退職と再雇用の区切りがはっきりしない」といったケースでは、一般的な記入例だけでは判断できない場合があります。

こうした場合は、届書を先に作って帳尻を合わせるのではなく、まず事実関係を整理することが大切です。

最終的な判断は専門家にご相談ください。

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